JP2011156984A - ハイブリッド車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電機、あるいはインバータの少なくとも一方の温度上昇を抑制することができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】駆動輪91に動力を出力する内燃機関10と、内燃機関10から出力される動力により発電するMG1と内燃機関10と、MG1と、駆動輪91とを連結し、内燃機関10の動力を、MG1と駆動輪91とに分割する動力分割機構40と、MG1の回転を機械的に停止するブレーキ機構50と、バッテリ22からの直流電力を交流電力に変換してMG1に供給可能であり、且つMG1からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ22に回収可能なインバータ21と、を備えるハイブリッド車両1において、MG1の回転を停止させる際に、MG1あるいはインバータ21の少なくともいずれか一方の温度が所定温度以上か否かを判定し、所定温度以上である場合は、MG1の回転数を停止させない。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関と電気モータとを動力源として走行可能なハイブリッド車両に関するものである。
近年、燃料の燃焼によりトルクを出力する内燃機関と、電力の供給によりトルクを出力する電気モータとを搭載し、この内燃機関と電気モータのトルクを車輪に伝達することで走行可能とするハイブリッド車両が知られている。このようなハイブリッド車両では、車両の走行状況に応じて、発電機の回転数をゼロとすることで、変速比を固定して、内燃機関から駆動輪へ動力伝達を行う固定変速モードと、発電機の回転数を可変制御することで、変速比を無段に変更して、内燃機関から駆動輪へ動力伝達を行う無段変速モードを備えたハイブリッド車両が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1には、発電機の回転を機械的に停止するブレーキ機構を設けたハイブリッド車両が開示されており、発電機の温度に応じて、ブレーキ機構により発電機の回転を機械的に停止し、かつ発電機をシャットダウンするハイブリッド車両の制御装置が開示されている。
特許文献1では、発電機の温度が所定の温度より高くなると、発電機の回転数をゼロに制御し、ブレーキ機構により発電機の回転を機械的に停止し、かつ発電機のスイッチングを停止し、シャットダウンすることで、発電機の温度を低減する技術が開示されている。
特開2002−271911号公報 特開2000−184506号公報
ここで、発電機の回転数をゼロに制御すると、発電機を駆動制御するインバータ回路におけるインバータ素子への通電が周期的に変化しなくなるため、特定の相に通電量の違いが発生する。従って、特許文献1のように、ブレーキ機構により発電機の回転を機械的に停止する前に、発電機の回転数をゼロに制御する場合は、発電機の回転数をゼロに制御しない、すなわち発電機が回転しているときと比較して、特定の相に過大な電流が流れ、特定のインバータ素子の温度が大幅に上昇するので、インバータの温度が大幅に上昇する虞がある。同様に、発電機の温度が大幅に上昇するので、発電機の温度が大幅に上昇する虞がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、発電機、あるいはインバータの少なくとも一方の温度上昇を抑制することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明のハイブリッド車両は、駆動輪に動力を出力する内燃機関と、内燃機関から出力される動力により発電する第一モータジェネレータと内燃機関と、第一モータジェネレータと、駆動輪とを連結し、内燃機関の動力を、第一モータジェネレータと駆動輪とに分割する動力分割機構と、第一モータジェネレータの回転を機械的に停止するブレーキ機構と、バッテリからの直流電力を交流電力に変換して第一モータジェネレータに供給可能であり、且つ第一モータジェネレータからの交流電力を直流電力に変換してバッテリに回収可能なインバータと、を備えるハイブリッド車両において、第一モータジェネレータの回転を停止させる際に、第一モータジェネレータあるいはインバータの少なくともいずれか一方(以下、「温度上昇対象」と記す)の温度が所定温度以上か否かを判定し、所定温度以上である場合は、第一モータジェネレータの回転を停止させないことを特徴とするハイブリッド車両。
上記のハイブリッド車両において、内燃機関の出力する出力トルクが大きいほど、所定温度を小さくすることが好ましい。
上記のハイブリッド車両において、第一モータジェネレータの回転数が大きいほど小さくすることが好ましい。
上記のハイブリッド車両において、さらに、温度上昇対象を冷却する冷却手段を備え、第一モータジェネレータの回転数をゼロに収束させる場合は、冷却手段の冷却能力を上げることが好ましい。
本発明によれば、温度上昇対象の温度が所定温度未満のとき、温度上昇が起こるが、第一モータジェネレータの回転数をゼロに収束することによる温度上昇対象の発熱が温度上昇対象の許容できる発熱である場合、制御装置により第一モータジェネレータの回転数をゼロに収束し、第一モータジェネレータの回転を機械的に停止させる。また、第一モータジェネレータの回転数をゼロに収束することによる温度上昇対象の発熱が温度上昇対象の許容できない発熱である場合、制御装置により第一モータジェネレータの回転数をゼロに収束させず、第一モータジェネレータの回転を機械的に停止しない。これにより、第一モータジェネレータの回転数をゼロに収束することによる温度上昇対象の発熱が、温度上昇対象の許容できない発熱である場合に、第一モータジェネレータの回転数をゼロに収束させることで流れる過大な電流によって、発生する温度上昇対象の温度上昇を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係る車両の概略構成を示す模式図である。 図2は、エンジントルクと所定温度に関する図である。 図3は、HVECUが実行する制御のフローチャートである。 図4は、他の実施形態におけるHVECUが実行する制御のフローチャートである。 図5は、エンジントルクと要求冷却能力に関する図である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態(以下、「実施形態」と記す)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
実施形態に係る車両の概略構成について、図1を用いて説明する。図1は、車両の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、車両1は、駆動輪91を回転駆動して推進するために、原動機として、内燃機関10と、発電可能な電動機である第一モータジェネレータ(以下、「MG1」と称する),第二モータジェネレータ(以下、「MG2」と称する)とを備えた、いわゆる「ハイブリッド車両」である。MG1,MG2は、後述する動力分割機構40と共に、駆動装置20(いわゆるハイブリッド・トランスアクスル)を構成している。駆動装置20は、内燃機関10と結合されて動力出力装置(パワープラント)を構成し、車両1に搭載されている。
車両1には、内燃機関10及びMG1,MG2を協調して制御する制御手段として、車両用の電子制御装置(以下、「HVECU」と記す)30が設けられている。HVECU30には、各種制御装置に入力信号や、出力信号の入出力を行う入出力ポート(I/O)(図示せず)や、各種マップなどが記憶されているROM(図示せず)が設けられている。HVECU30により制御されて、車両1は、内燃機関10とMG1,MG2を原動機として併用又は選択使用することが可能に構成されている。
内燃機関10は、燃料を燃焼させることにより燃料のエネルギを機械的仕事に変換して出力する熱機関であり、ピストン往復動機関である。内燃機関10は、図示しない燃料噴射装置、スロットル弁装置、及び各種センサ等を有しており、これら装置は、後述する内燃機関制御装置(以下、「エンジンECU」と記す)31により制御される。内燃機関10の出力軸(以下、「出力軸」と記す)11には、後述する係合機構50が結合されている。内燃機関10は、出力軸11から駆動輪91に向けて機械的動力を出力する。内燃機関10が出力軸11から出力する機械的動力(以下、「エンジントルク」と記す)は、後述するエンジンECU31により制御可能となっている。内燃機関10には、出力軸11の回転角位置(以下、「クランク角」と記す)を検出するクランク角センサ12が設けられており、クランク角に係る信号をエンジンECU31に送出している。
エンジンECU31は、HVECU30から出力された要求出力に基づいて内燃機関10の運転制御を行うものである。具体的には、エンジンECU31は、この要求出力に基づいて、噴射信号、点火信号、開度信号などを内燃機関10に出力し、これらの出力信号によりこの内燃機関10に供給される燃料の燃料供給量や噴射タイミングなどの燃料噴射制御、図示しない点火プラグの点火制御、内燃機関10の図示しない吸気系統に設けられたスロットル弁の開度制御などが行われる。なお、エンジンECU31に入力された内燃機関10の運転状態に基づく情報、例えばクランク角センサにより検出された機関回転数などは、HVECU30に出力される。
駆動装置20には、原動機としてMG1,MG2が設けられている。MG1及びMG2は、供給された電力を機械的動力に変換する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能とを兼ね備えた、いわゆるモータジェネレータである。MG1は、主に発電機として用いられ、一方、MG2は、主に電動機として用いられる。
MG1およびMG2は、同期モータであり、それぞれ回転軸61,65と、ロータ62,66と、ステータ63,67とにより構成されている。回転軸61,65には、永久磁石であるロータ62,66が複数個それぞれ固定されている。ステータ63,67は、それぞれロータ62,66と対向する位置に配置され、図示しないハウジングに固定されている。MG1,MG2には、それぞれロータ62,66の回転角位置を検出するレゾルバ64,68が設けられており、ロータ62,66の回転角位置に係る信号を、後述するモータ制御装置(以下、「モータECU」と記す)32に送出している。さらに、MG1には、MG1の温度を測定するために温度センサ(図示しない)が設けられており、MG1の温度に係る信号を後述するモータECU32に送出している。
また、駆動装置20には、MG1,MG2に電力を供給する電力供給装置として、インバータ21が設けられている。インバータ21は、ステータ63,67に接続されている。インバータ21は、バッテリ22から供給される直流電力を交流電力に変換して、それぞれ対応するMG1,MG2に供給することが可能に構成されている。また、MG1,MG2からの交流電力を直流電力に変換して後述するバッテリ22に回収可能に構成されている。インバータ21の電力供給及び電力回収は、後述するモータECU32により制御される。さらに、インバータ21には、インバータ21の温度を測定するために温度センサ(図示しない)が設けられており、インバータ21の温度に係る信号を後述するモータECU32に送出している。
MG1、MG2、インバータには、高回転域において、発熱するため、予め、冷却システム(図示しない)が備えられており、例えば、MG1,MG2のステータ63,64を覆うようにして、ウォータジャケット(図示しない)を設ける。冷却システムは、ウォータジャケット(図示しない)に、ウォータポンプ(図示しない)により冷却媒体であるLLC(Long-Life-Coolant)を供給することで、MG1、MG2、インバータ21を冷却する。この冷却システムのウォータポンプは、流量を調節できるようになっており、後述するモータECU32により制御される。つまり、冷却システムは、冷却能力を変更とすることができ、モータECU32により冷却能力を制御することができる。さらに、冷却システムには、冷却媒体であるLLCの温度を測定するために温度センサ(図示しない)が設けられており、冷却媒体であるLLCの温度に係る信号を後述するモータECU32に送出している。
また、駆動装置20には、MG1,MG2を制御するためのモータECU32が設けられている。モータECU32は、HVECU30から要求トルク、及び要求回転速度に係る信号を受け、インバータ21を制御することで、MG1,MG2のそれぞれについて、ロータ62,66の回転速度(以下、「モータ回転速度」と記す)と、ロータ62,66から出力する機械的動力(以下、「モータ出力」と記す)とを調整することが可能となっている。また、モータECU32に入力されたMG1,MG2、インバータ21、冷却システムの運転状態に基づく情報、例えばMG1,MG2、インバータ21、冷却システムの温度などは、HVECU30に出力される。
内燃機関10とMG1とMG2と駆動輪91とは、動力分割機構40によって連結されている。この動力分割機構40は、内燃機関10から出力される出力トルク(以下、「エンジントルク」と記す)をMG1と駆動輪91とに分割すると共に、MG2からの出力を駆動輪91に伝達する。
動力分割機構40は、プラネタリギヤユニットを含んで構成されている。即ち、この動力分割機構40は、サンギヤ41と、このサンギヤ41の周囲に配置された複数のプラネタリアギヤ42と、この各プラネタリアギヤ42を保持するキャリア43と、プラネタリアギヤ42のさらに外周に配置されたリングギヤ44とを含んで構成されている。そして、出力軸11が中心軸45を介してキャリア43に結合されており、エンジントルクが動力分割機構40のキャリア43に入力される。また、MG2のロータ66は、回転軸65を介してリングギヤ44に結合され、ロータ66及びリングギヤ44は、図示しないギヤユニットを介して減速機88に結合されている。この減速機88は、MG2から動力分割機構40のリングギヤ44に入力された出力をドライブシャフト90に伝達するものであり、MG2はドライブシャフト90と常時若しくは変速機を介して接続された状態となっている。
また、MG1のロータ62は、回転軸61及び図示しないギヤユニットを介してサンギヤ41に結合されている。つまり、内燃機関10の動力は、動力分割機構40で分割され、サンギヤ41を介してMG1のロータ62に伝達可能である。また、内燃機関10の動力は、動力分割機構40で分割され、リングギヤ44、ドライブシャフト90などを介して駆動輪91にも伝達可能となっている。
そして、MG1には、MG1の回転を機械的に停止するブレーキ機構50が設けられている。ブレーキ機構50は、MG1のロータ62に連結されている回転軸61の回転を停止する、すなわち、MG1の回転軸61の回転を機械的に停止し、MG1のステータ63に対し、ロータ62を回転させないことで、MG1に接続されているサンギヤ41の回転を停止する。このブレーキ機構50は、モータECU32により制御される。HVECU30は、後述する無段変速モードから固定変速モードに切り替える際に、モータECU32を介して、ブレーキ機構50がMG1と係合し、固定変速モードから無段変速モードに切り替える際に、MG1からブレーキ機構50を解放させる。これによって、動力分割機構40をロック状態とすることができる。なお、このブレーキ機構50は、摩擦式、爪またはピン結合式などのいずれのブレーキ機構であって良い。
内燃機関10、あるいはMG2の少なくとも一方から出力される機械的動力は、動力分割機構40、減速機88を介してドライブシャフト90に伝達され、さらにこのドライブシャフト90のそれぞれに装着された駆動輪91に伝達される。なお、駆動輪91の近傍には、駆動輪91の回転速度を検出する車輪速センサ(図示せず)が設けられており、検出した駆動輪91の回転速度に係る信号をHVECU30に送出している。
また、車両1には、MG1,MG2に供給する電力を貯蔵し、充放電が可能なバッテリ(蓄電池)22と、バッテリ22の電圧を昇圧してインバータ21の供給電圧に変換可能な昇圧コンバータ(図示せず)が設けられている。バッテリ22は、MG1,MG2に設けられたインバータ21に、昇圧コンバータを介して電気的に接続されている。バッテリ22は、インバータ21を介して、それぞれMG1,MG2との間で充放電を行う。
また、車両1には、バッテリ22を監視するバッテリ監視用の電子制御装置(以下、「バッテリECU」と記す)33が設けられている。バッテリECU33は、バッテリ22の温度や電圧、充放電電流値等を監視している。これら情報からバッテリECU33は、バッテリ22の蓄電状態(state-of-charge:SOC)、及び充放電電力を算出している。バッテリECU33は、バッテリ22の蓄電状態、及びバッテリ22の充放電電力に係る信号等を、HVECU30に送出している。
また、車両1には、運転者によるアクセルペダル(図示せず)の操作量を検出するアクセルペダルポジションセンサ100が設けられており、検出したアクセルペダルの操作量(以下、「アクセル操作量」と記す)に係る信号を、HVECU30に送出している。
HVECU30は、クランク角センサからのクランク角及び入力軸81の回転速度に係る信号と、車輪速センサからの駆動輪91の回転速度に係る信号と、MG1,MG2にそれぞれ設けられたレゾルバ64,68からのモータ回転速度に係る信号とを検出している。また、HVECU30は、アクセルペダルポジションセンサ100からのアクセル操作量に係る信号を検出している。また、HVECU30は、バッテリECU33からのバッテリ22の蓄電状態に係る信号と、加速度センサ(図示せず)からの車両1の前後、上下及び左右方向の加速度に係る信号を検出している。また、HVECU30は、MG1,MG2、インバータ21、冷却システムに設けられた温度センサからのMG1,MG2、インバータ21、冷却システムの温度に関わる信号を検出している。
これら信号に基づいて、HVECU30は、内燃機関10に要求する要求出力、MG1に要求する要求トルク、MG2に要求する要求トルクを算出する。そして、エンジンECU31に要求出力、モータECU32に要求トルクを出力する。
このように構成された車両1は、車両走行中において、内燃機関10及びMG2を原動機として併用又は選択使用し、これら原動機からの機械的動力を、動力分割機構40により駆動輪91に伝達することで、車両1を駆動することが可能となっている。また、車両1は、車両減速時においては、駆動輪91から動力分割機構40に伝達された機械的動力を、MG2で電力に変換して、バッテリ22に回収する、いわゆる回生制動を行うことが可能となっている。
以下に、本発明のブレーキ機構50を用いた変速モードの切替について、図2を用いて説明する。図2は、エンジントルクと所定温度に関する図である。HVECU30は、運転者の駆動要求や、車両1の状態に応じて、無段変速モード、固定変速モードを選択する。
無段変速モードは、HVECU30が、モータECU32を介してMG1の回転数を可変とすることによって、動力分割機構40が無段変速機として機能し、動力伝達機構40の入力側(内燃機関10側)と出力側(駆動輪94側)との回転数の比である変速比を無段階に変速させる。これは、MG1は、動力分割機構40のサンギヤ41に連結されており、キャリア43の回転数に対してリングギヤ44の回転数をサンギヤ41の回転数によって変更することができるからである。無段変速モードでは、要求される変速比に基づいて、MG1は回転している。つまり、無段変速モードでは、MG1をゼロに収束させず、ブレーキ機構50により、MG1を停止しない。
固定変速モードは、MG1の回転数をゼロに維持するものである。固定変速モードでは、本実施形態では、HVECU30がモータECU32を介してMG1を回転数がゼロに収束するように制御し、MG1の回転数がゼロに収束した状態で、ブレーキ機構50がMG1と係合することによって、MG1に接続されているサンギヤ41の回転を停止することができ、動力伝達機構40の入力側(内燃機関10側)と出力側(駆動輪94側)との回転数の比である変速比を固定する。ここで、ブレーキ機構50は、MG1のロータ62に連結されている回転軸61の回転を停止する。ブレーキ機構50によりMG1の回転軸61を機械的に停止させる場合に、MG1の回転数をゼロに収束させていない状態で行うと、係合する際にショックが発生し、その衝撃が車両に伝達されてドライバビリティの低下を引き起こす。従って、ブレーキ機構50がMG1と係合する前に、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束するように制御することで、ブレーキ機構50がMG1と係合する際に発生するショックを抑制することができる。なお、固定変速モードでは、ブレーキ機構50によりMG1を回転させないことで変速比を固定するため、MG1で受け持つエンジントルクを、ブレーキ機構50で受け持つこととなる。従って、固定変速モード時に、MG1を作動させる必要がなく、機械的エネルギと電気的エネルギとのエネルギ変換による動力損失を防ぐことができる。
例えば加速走行から定常走行に移行した場合などは、主に内燃機関10から出力される機械的動力により走行することで効率が向上するので、MG1の回転を停止し、動力分割機構40を介して内燃機関10から出力される機械的動力をすべて駆動輪91に伝達するために、HVECU30が変速モードを無段変速モードから固定変速モードに切り替える。つまり、HVECU30は、MG1の回転を停止することで効率が良くなる場合に、無段変速モードで走行している状態から固定変速モードに切り替える。
ここで、無段変速モードから固定変速モードへの切替は、本実施形態では、温度上昇対象であるインバータ21の温度tが所定温度t1未満の場合に行う。なお、インバータ21の温度tが所定温度t1以上の場合は、MG1の回転数を停止しない。つまり、MG1の回転を停止できる場合であっても、インバータ21の温度tが所定温度t1以上の場合は、無段変速モードから固定変速モードへの切替は行わず、無段変速モードを維持する。
HVECU30がMG1の回転数をゼロに収束する制御を行うと、インバータ21が有する複数のインバータ素子のうち、特定のインバータ素子の温度が上昇し、発熱するので、インバータ21の温度tが上昇し、発熱する。所定温度t1は、HVECU30がMG1の回転数をゼロに収束する制御を行うことで発生するインバータ21の発熱がインバータ21の許容できる発熱を越えないように決定される。所定温度t1は、実験または計算等により予め算出された値であり、制御変数として、HVECU30のROMに記憶されている。所定温度t1は、実施形態では、図2に示すように、エンジントルクに応じて決定されるものであり、エンジントルクが大きいほど、所定温度t1は小さい値となるように、例えばマップなどで決定されている。ここで、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束する制御を行っている間は、エンジントルクの反力をMG1で受け持つこととなるが、エンジントルクが大きいほどMG1で受け持つ反力が大きくなり、MG1の回転数をゼロに収束するために大きな電力を必要とする。従って、インバータ21の温度上昇は、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させる際、エンジントルクが大きいと、エンジントルクが小さい場合と比較して大きくなる。ここで、所定温度t1を一定値とする場合は、所定温度t1がHVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させる際に発生する最大のエンジントルクに合わせて決定されることとなる。上述のように、エンジントルクが小さい場合は、エンジントルクが大きい場合と比較して、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させる際にMG1で受け持つ反力が小さいため、大きな電力を必要としない。つまり、エンジントルクが小さい場合は、エンジントルクが大きい場合と比較してインバータ21の温度上昇が小さくなるので、エンジントルクが大きいために、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させることによるインバータ21の発熱がインバータ21の許容できる発熱を越えるインバータ21の温度tでも、インバータ21の発熱がインバータ21の許容できる発熱を越えない場合がある。従って、所定温度t1をエンジントルクに応じて決定せずに一定値とする場合は、エンジントルクが小さくインバータ21の温度tが、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させることによるインバータ21の発熱がインバータ21の許容できる発熱を越えない温度であっても、HVECU30により無段変速モードから固定変速モードに切り替えることができず、すぐに固定変速モードに切り替えることができないため効率がその分低下する。このため、エンジントルクが小さいほど所定温度t1を大きくすることによって、HVECU30により無段変速モードから固定変速モードへの切り替えを容易とし、固定変速モードで走行し易くする。これにより、所定温度t1を一定値にして変速モードを切り替えることと比較すれば、エンジントルクが小さいほど、所定温度t1を大きくすることで、ブレーキ機構50を使用する割合が増えるため、より効率の良い切り替えを行うことができる。
次に、本実施形態における車両1の電子制御装置(HVECU)が実行する制御について、図1〜図3を用いて説明する。図3は、HVECUが実行する車両制御のフローチャートである。なお、以下の制御ルーチンは、制御周期ごとに繰り返され、エンジントルク、インバータの温度t、所定温度t1は、制御ルーチンごとに更新される。
図3に示すように、まず、HVECU30は、車両1が現時点において、無断変速モードから固定変速モードに切り替えが可能であるか否かを判断する(ステップS10)。ここでは、HVECU30は、上述のように、例えば無段変速モードから固定変速モードに切り替えることでMG1の回転を停止することにより効率が良くなるか否か、すなわちMG1の回転を停止できる場合であるか否かを判断する。
HVECU30は、無断変速モードから固定変速モードに切り替えが可能であると判断(ステップS10肯定)すると、エンジントルクを取得する(ステップS11)。ここでは、HVECU30は、MG1の回転を停止できる場合であると判断すると、エンジントルクを取得する。なお、HVECU30は、無断変速モードから固定変速モードに切り替えが可能でないと判断(ステップS10否定)すると、現在の制御ルーチンを終了し、次の制御ルーチンに移行する。
次に、HVECU30は、所定温度t1を決定する(ステップS12)。ここでは、HVECU30は、取得したエンジントルクと、上述したマップ(図2参照)とに基づいて、取得したエンジントルクが大きいほど小さくなるように所定温度t1を決定する。
次に、HVECU30は、インバータ21の温度tを取得する(ステップS13)。
次に、HVECU30は、取得したインバータ21の温度tが所定温度t1よりも小さいか否かを判断する(ステップS14)。ここでは、HVECU30は、インバータ21の温度tの状態で無段変速モードから固定変速モードに実際に切り替えることが可能か否かを判断する。つまり、HVECU30は、取得したインバータ21の温度tが、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させることによるインバータ21の発熱がインバータ21の許容できる発熱を越えない温度であるか否かを判断する。
次に、HVECU30は、取得したインバータ21の温度tが所定温度t1より小さいと判断(ステップS14肯定)すると、MG1の回転数を0rpm(ゼロ)に収束する制御を行う(ステップS15)。ここでは、HVECU30は、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させることによるインバータ21の発熱がインバータ21の許容できる発熱を越えないと判断すると、無段変速モードから固定変速モードに実際に切り替えるため、MG1の回転数をゼロに収束する制御を行う。なお、HVECU30によるMG1の回転数をゼロに収束する制御により、MG1の実際の回転数はゼロにするほうがよいが、ゼロ近傍であってもよい。
次に、HVECU30は、ブレーキ機構50をMG1と係合させる(ステップS16)。ここでは、HVECU30は、MG1の回転数をゼロに収束させた後、MG1の回転数をゼロに維持するために、ブレーキ機構50によりMG1の回転を機械的に停止する。
また、HVECU30は、インバータ21の温度tが所定温度t1以上と判断(ステップS14否定)すると、現在の制御ルーチンを終了し、次の制御ルーチンに移行する。つまり、HVECU30は、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させることによるインバータ21の発熱がインバータ21の許容できる発熱を越えると判断すると、無段変速モードから固定変速モードに実際に切り替えを行わず、MG1の回転数をゼロに収束する制御を行わず、ブレーキ機構50をMG1と係合させず、無段変速モードを維持する。
以上のように、温度上昇対象であるインバータ21の温度tが所定温度t1未満、すなわちインバータ21の温度上昇が起こるが、MG1の回転数をゼロに収束することによるインバータの発熱がインバータ21の許容できる発熱である場合に、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束し、ブレーキ機構50によりMG1の回転を機械的に停止させ、温度上昇対象であるインバータ21の温度tが所定温度t1以上、すなわちMG1の回転数をゼロに収束することによるインバータの発熱がインバータ21の許容できない発熱である場合に、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させず、ブレーキ機構50によりMG1の回転を機械的に停止しない。従って、MG1の回転数をゼロに収束することによるインバータ21の発熱がインバータ21の許容できない発熱である場合には、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させないので、MG1の回転数をゼロに収束させることで流れる過大な電流によって発生するインバータ21の温度上昇を抑制することができ、インバータ21の耐久性を向上することができる。
なお、本発明の他の実施形態を図4、図5を用いて説明する。図4は、他の実施形態におけるHVECUが実行する制御のフローチャートである。図5は、エンジントルクと要求冷却能力に関する図である。なお、図4において図3と重複する部分の説明は省略する。
HVECU30は、取得したインバータ21の温度tが所定温度t1より小さいと判断(ステップS14肯定)すると、HVECU30により冷却システムの冷却能力を上げ(ステップS17)、MG1の回転数を0rpm(ゼロ)に収束する制御を行う(ステップS15)。ここでは、HVECU30は、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させる前に、予め冷却媒体であるLLCの流量をウォータポンプにより調節し、要求される冷却能力(以下、「要求冷却能力」と記す)を上げ、インバータ21を冷却する。これにより、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させる際に冷却能力を上げるので、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させることによるインバータ21の発熱が抑制され、インバータ21の許容できる発熱を越えることをさらに抑制することができ、インバータ21の温度上昇を抑制することができる。なお、要求冷却能力は、実験または計算等により予め算出された値であり、制御変数として、HVECU30のROMに記憶されている。
ここで、冷却システムの冷却能力は、一定に上昇しても良いし、MG1の回転数をゼロに収束することによるインバータ21の発熱に応じて決定しても良い。要求冷却能力は、例えば、図5に示すように、エンジントルクに応じて決定されても良く、エンジントルクが大きいほど、要求冷却能力は大きい値となるように、例えばマップなどで決定されている。なお、要求冷却能力は、エンジントルクのみならず、冷却媒体であるLLCの温度、インバータの温度、MG1の温度のいずれか1以上に応じて決定されても良い。要求冷却能力は、これらの温度が大きいほど大きい値に決定される。なお、HVECU30は、冷却システムの冷却能力を上げながら、MG1の回転数をゼロに収束してもよい。また、HVECU30は、インバータ21の温度tが低ければ冷却システムの冷却能力をあげなくても良い。
また、本発明の実施形態および他の実施形態では、所定温度t1をエンジントルクに応じて決定したが、MG1の回転数に応じて決定しても良い。このとき、MG1の回転数が大きいほど、小さい値となるように、例えばマップなどで決定されている。ここで、MG1の回転数が大きいと、MG1の回転数をゼロに収束させるのに時間がかかる。従って、MG1の回転数が大きい状態からMG1の回転数をゼロに収束させる場合は、MG1の回転数が小さい状態からMG1の回転数をゼロに収束させる場合と比較してインバータ21の温度上昇が大きくなる。ここで、所定温度t1を一定値とする場合は、所定温度t1がHVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させる際におけるMG1の最大の回転数に合わせて決定されることとなる。上述のように、MG1の回転数が小さい場合は、MG1の回転数が大きい場合と比較してインバータ21の温度上昇が小さくなるので、インバータ21の発熱がインバータ21の許容できる発熱を越えない場合がある。従って、所定温度t1をMG1の回転数に応じて決定せずに一定値とする場合は、MG1の回転数が小さくインバータ21の温度tが、インバータ21の発熱が許容できる発熱を越えない温度であっても、HVECU30により無段変速モードから固定変速モードに切り替えることができず、すぐに固定変速モードに切り替えることができないため効率がその分低下する。このため、MG1の回転数が小さいほど所定温度t1を大きくすることによって、HVECU30により無段変速モードから固定変速モードに切り替える頻度を増加し、固定変速モードで走行できる時間を延ばす。これにより、所定温度t1を一定値にして変速モードを切り替えることと比較すれば、MG1の回転数が小さいほど、所定温度t1を大きくすることで、ブレーキ機構50を使用する割合を増やすことができるため、MG1の回転数に応じて、所定温度t1を可変にすることで効率の良い切り替えを行うことができる。なお、所定温度t1は、エンジントルク及びMG1の回転数の両者に応じて決定しても良い。また、所定温度t1は、一定値であっても良い。
また、本発明の実施形態および他の実施形態において、インバータ21を温度上昇対象としたが、これに限定されるものではなく、MG1であっても良い。また、インバータ21の温度tが所定温度t1未満である場合に、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させ、ブレーキ機構50によりMG1の回転を機械的に停止したが、これに限定されるものではなく、MG1の温度、冷却媒体であるLLCの温度が所定温度未満である場合に、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させ、ブレーキ機構50によりMG1の回転を機械的に停止しても良い。MG1の温度に対応する所定温度は、HVECU30がMG1の回転数をゼロに収束する制御を行うことで発生するMG1の発熱がMG1の許容できる発熱を越えないように決定される。また、冷却媒体であるLLCの温度に対応する所定温度は、HVECU30がMG1の回転数をゼロに収束する制御を行うことで発生するインバータ21あるいはMG1の発熱がインバータ21あるいはMG1の許容できる発熱を越えないように決定される。なお、HVECU30は、インバータ21の温度、MG1の温度、冷却媒体であるLLCの温度の少なくとも2以上が所定温度未満である場合に、HVECU30によりMG1の回転数をゼロに収束させ、ブレーキ機構50によりMG1の回転を機械的に停止しても良い。
以上のように、本発明は、内燃機関と、電気モータとを動力源として走行可能なハイブリッド車両に有効であり、第一モータジェネレータ、あるいはインバータの少なくとも一方の温度上昇を抑制するのに適している。
1 車両
10 内燃機関
11 出力軸
20 駆動装置
21 インバータ
22 バッテリ
30 車両用の電子制御装置(HVECU)
31 内燃機関制御装置(エンジンECU)
32 モータ制御装置(モータECU)
33 バッテリ監視用の電子制御装置(バッテリECU)
40 動力分割機構
41 サンギヤ
42 プラネタリアギヤ
43 キャリア
44 リングギヤ
50 ブレーキ機構
61,65 回転軸
62,66 ロータ
63,67 ステータ
64,68 レゾルバ
88 減速機
90 ドライブシャフト
91 駆動輪

Claims (4)

  1. 駆動輪に動力を出力する内燃機関と、
    前記内燃機関から出力される動力により発電する第一モータジェネレータと
    前記内燃機関と、前記第一モータジェネレータと、前記駆動輪とを連結し、前記内燃機関の動力を、前記第一モータジェネレータと前記駆動輪とに分割する動力分割機構と、
    前記第一モータジェネレータの回転を機械的に停止するブレーキ機構と、
    バッテリからの直流電力を交流電力に変換して前記第一モータジェネレータに供給可能であり、且つ前記第一モータジェネレータからの交流電力を直流電力に変換してバッテリに回収可能なインバータと、
    を備えるハイブリッド車両において、
    前記第一モータジェネレータの回転を停止させる際に、
    前記第一モータジェネレータあるいは前記インバータの少なくともいずれか一方の温度が所定温度以上か否かを判定し、所定温度以上である場合は、前記第一モータジェネレータの回転を停止させない
    ことを特徴とするハイブリッド車両。
  2. 前記内燃機関の出力する出力トルクが大きいほど、前記所定温度を小さくする
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
  3. 前記第一モータジェネレータの回転数が大きいほど、前記所定温度を小さくする
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車両。
  4. 前記ハイブリッド車両は、さらに、前記第一モータジェネレータあるいは、前記インバータの少なくともいずれか一方を冷却する冷却手段を備え、
    前記第一モータジェネレータの回転数をゼロに収束させる場合は、前記冷却手段の冷却能力を上げる
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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