JP2011156676A - 印刷制御システム、方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】単一印刷ジョブ内においてノズル内のインク濃度が増加することによって再現色が濃くなることを抑制する。
【解決手段】ノズルから吐出させるインクの吐出量を指定する吐出量情報を、単一の印刷ジョブを印刷する印刷期間の複数の吐出タイミングごとに有する印刷制御データを生成する印刷制御データ生成手段と、1以上の前記吐出タイミングによって構成される注目期間における前記ノズル内のインク濃度が増加するほど前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を大きく減少させる補正量を取得する補正量取得手段と、備え、前記印刷制御データ生成手段は、前記補正量に応じて、前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を減少させた印刷制御データを生成する。
【選択図】図5
【解決手段】ノズルから吐出させるインクの吐出量を指定する吐出量情報を、単一の印刷ジョブを印刷する印刷期間の複数の吐出タイミングごとに有する印刷制御データを生成する印刷制御データ生成手段と、1以上の前記吐出タイミングによって構成される注目期間における前記ノズル内のインク濃度が増加するほど前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を大きく減少させる補正量を取得する補正量取得手段と、備え、前記印刷制御データ生成手段は、前記補正量に応じて、前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を減少させた印刷制御データを生成する。
【選択図】図5
Description
本発明は、ノズルからインク滴を吐出させることにより印刷を実行させる印刷制御システム、方法およびプログラムに関する。
特許文献1には、最後に印刷ジョブを印刷してからの経過時間に応じてインク量を下方修正する技術が開示されている。これにより、最後に印刷ジョブを印刷してから長時間経過した後の印刷において再現色が濃くなることを抑制することができる。引用文献2には、インクを記録しない非吐出期間が一定時間経過した場合に、追加のインク滴を吐出させることにより、再現色の濃度低下を抑制する技術が開示されている。
引用文献1においては、最後の印刷からの経過時間に応じてインク量を下方修正するに過ぎないため、単一の印刷ジョブ内において生じるインク濃度の増加を抑制することはできないという問題があった。一方、引用文献2では、単一の印刷ジョブ内において生じるインク濃度の低下には対応できるが、追加のインク滴を吐出させても、インク濃度の増加を抑制することができないという問題があった。
本発明は、単一印刷ジョブ内においてノズル内のインク濃度が増加することによって再現色が濃くなることを抑制することを目的とする。
(1)前記目的を達成するための印刷制御システムにおいて、単一の印刷ジョブを印刷する印刷期間内の注目期間におけるノズル内のインク濃度の増加するほど注目期間に属する吐出タイミングにおいてノズルが吐出させるインクの吐出量を大きく減少させる補正量を取得する。そして、補正量に応じて、注目期間に属する吐出タイミングにおいてノズルが吐出するインクの吐出量を減少させる。すなわち、ノズル内のインク濃度が第1増加量まで増加した第1注目期間と、ノズル内のインク濃度が第1増加量よりも大きい第2増加量まで増加した第2注目期間とがある場合に、第1注目期間よりも第2注目期間に属する吐出タイミングにおいてノズルが吐出させるインクの吐出量の方を大きく減少させる。これにより、単一印刷ジョブ内においてノズル内のインク濃度が増加することによって再現色が濃くなることが抑制できる。ノズル内のインク濃度の増加するほど、注目期間に属する吐出タイミングにおいてノズルが吐出させるインクの吐出量が大きく減少すればよく、これらは線形、非線形のいずれの対応関係を有していてもよい。また、ノズル内のインク濃度の増加の変化に対応して注目期間に属する吐出タイミングにおいてノズルが吐出させるインクの吐出量が連続的に変化するものに限らず、ノズル内のインク濃度の増加の変化に対応して注目期間に属する吐出タイミングにおいてノズルが吐出させるインクの吐出量が不連続的に変化してもよい。
(2)注目期間よりも前の吐出タイミングにおいてノズルがインク滴を吐出させることなく経過する非吐出期間に基づいて補正量を取得してもよい。非吐出期間を用いることにより、ノズルにおいて停滞したインクから媒質が蒸発することにより増加するインク濃度の増加量に対応する補正量を正確に取得できる。
(3)注目期間よりも前の吐出タイミングにおいてノズルがインク滴を吐出させることなく移動した空走距離に基づいて補正量を取得してもよい。空走距離は、ハーフトーンデータにおいてインク滴を吐出させないことを示す吐出量情報に対応づけられた画素の連続する数によって得られるため、容易にインク濃度の増加量を取得できる。
(4)注目期間よりも前の1以上の吐出タイミングにおいてノズルが吐出するインクの吐出量が大きいほど吐出量の減少量を小さくするのが望ましい。ノズルからインクを吐出すれば、新たにノズル内に供給されたインクによってノズル内のインクが希釈されることとなる。注目期間よりも前の吐出タイミングにおいてノズルが吐出するインクの吐出量が大きいほど補正量を小さくすれば、希釈によってインク濃度が低下した場合に過度に再現色を濃くすることを防止できる。
(5)印刷制御データを生成するにあたっては、サイズ変換、色変換、ハーフトーン、並べ替え等の処理が順次実行されるが、これらの各処理のいずれかにおいて印刷制御データに補正量を反映させるための補正処理を行うことができる。例えば、色変換後のインク量画像データにおいて補正量を反映させてもよい。インク量画像データを用いることにより、非吐出期間や非吐出期間を推定できる。ハーフトーン処理を行っていないインク量は階調深度が大きいため、注目期間においてノズルが吐出するインクの吐出量を細かく調整できる。
(6)印刷制御データに補正量を反映させるための処理をサイズ変換の前後に行うようにしてもよい。サイズ変換においては入力画像データの画素数が増減するが、サイズ変換の前後の入力画像データのうち画素数が少ない方に対して補正量を反映させるための処理を実行することにより、処理を効率化させることができる。
(7)印刷制御データに補正量を反映させるための処理をハーフトーンデータに対して行うようにしてもよい。すでに各画素についての吐出量情報が決定されたハーフトーンデータによれば、非吐出期間や空走距離を精度よく取得できる。特に吐出量情報が吐出タイミング順に並べ替えられた並べ替え後のハーフトーンデータによれば、容易に非吐出期間や空走距離を取得できる。
(8)印刷制御データに補正量を反映させるための処理をハーフトーン処理とともに実行するようにしてもよい。まず、注目画素についてのハーフトーン処理を実行するにあたり、注目吐出タイミングよりも前の吐出タイミングについての吐出量情報に基づいて補正量を取得する。そして、注目画素についてのインク量を補正量に応じて減少させた上で、注目画素についてのハーフトーン処理を実行する。これにより、ハーフトーン処理と補正処理を一括して行うことができる。また、吐出量情報に基づいて補正量を正確に取得するメリットと、インク量の補正により注目期間においてノズルが吐出するインクの吐出量を細かく調整するメリットとを両立させることができる。
なお、本発明は、前記した印刷制御システムの他にも、印刷制御装置や印刷制御方法や印刷制御プログラムの発明としてもプログラムの記録媒体としても特定可能である。むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.印刷制御システムの構成
印刷制御システム1は、本発明による印刷制御装置の一実施形態としてのPC(personal computer)10と、印刷装置としてのプリンター20とから構成される。
印刷制御システム1は、本発明による印刷制御装置の一実施形態としてのPC(personal computer)10と、印刷装置としてのプリンター20とから構成される。
まず、PC10のハードウェア構成について説明する。PC10は、プリンター20において印刷を実行させるための印刷制御データを生成するために構成される。PC10は、CPU11とRAM12とROM13とハードディスク装置(HDD)14と外部インターフェース(I/F)15と内部インターフェース(I/F)16とを備える。ROM13には起動プログラムが格納されている。HDD14には印刷制御プログラム100やOS等の各種プログラムが格納されている。これらのプログラムは、RAM12にロードされCPU11によって実行される。外部I/F15には、外部のプリンター20が接続されている。内部I/F16は、CPU11とRAM12とROM13とHDD14と外部I/F15を相互に通信可能とするためのインターフェースを構成する。
次に、プリンター20のハードウェア構成について説明する。プリンター20は、コントローラー21と外部I/F22と内部I/F23とキャリッジユニット24と紙送り機構26とを備える。コントローラー21は、CPUやROMやRAMやASIC等からなり、キャリッジユニット24や紙送り機構26の動作を制御するための処理を実行する。キャリッジユニット24は、印刷ヘッド25を搭載したキャリッジ(不図示)とキャリッジモーター(不図示)等を備える。キャリッジモーターが駆動することにより、印刷ヘッド25を搭載したキャリッジが主走査方向に往復移動する。印刷ヘッド25は、記録媒体に平行に対向する吐出面251を有し、この吐出面251において多数のノズル252の開口が配列されている。紙送り機構26は、紙送りローラー(不図示)と紙送りモーター(不図示)等を備える。紙送りモーターが紙送りローラーを駆動させることにより、記録媒体としての印刷用紙Pは副走査方向に搬送される。紙送りモーターおよびキャリッジモーターの駆動制御は、印刷制御データに含まれる走査制御情報に基づいて実行される。
図2Aはプリンター20の印刷方式を模式的に示す平面図である。図2Aに示すように印刷ヘッド25の吐出面251において、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K),ライトシアン(lc),ライトマゼンタ(lm)インクのノズル252がそれぞれ副走査方向に配列している。本実施形態では、同一種類のインクのノズル252が副走査方向に1インチあたり360個配列するノズルピッチで配列している。
図2Bは印刷ヘッド25の断面図である。プリンター20の印刷ヘッド25は略板状に形成されており、内部に圧力室253とノズル252とが形成されている。圧力室253とノズル252は一体の中空空間をなし、この中空空間にはインクカートリッジ(不図示)から供給されるインクが満たされている。圧力室253の上側壁面は振動板を構成し、この振動板の表面上にピエゾ素子254が備えられている。ノズル252は吐出面251側を先細とした略円錐状とされており、吐出面251側の開口径が20μmとされ、吐出面251に垂直な方向の長さが60μmとされている。ノズル252の吐出面251側と反対側の径は、32μmであり圧力室253の下端の幅よりも十分に狭い。
以上の構成において、ピエゾ素子254に所定の電圧パターンを印加し、振動板を振動させることにより、ノズル252の開口から印刷用紙Pに対してインク滴を吐出させることができる。ピエゾ素子254には印刷制御データに含まれる吐出量情報に基づいて吐出タイミングごとに電圧パターンが印加され、各吐出タイミングにおいてノズル252からインク滴が吐出される。本実施形態では、3種類の電圧パターンがピエゾ素子254に印加可能であり、互いに体積が異なる3種類のインク滴(大インク滴・中インク滴・小インク滴)のいずれかの種類のインク滴が各吐出タイミングにおいてノズル252から吐出される。なお、各種類のインク滴は、必ずしも単一の吐出タイミングにおいて一滴吐出されるものに限られず、単一の吐出タイミングにおいてノズル252から複数のインク滴を吐出することにより吐出されてもよい。なお、ピエゾ素子254にいずれの電圧パターンも印加されない吐出タイミングにおいてはノズル252からいずれの種類のインク滴も吐出されない。インク滴の体積は数plであり、ノズル252の体積は大インク滴の体積の数倍に相当する。
図2Aに示すように印刷ヘッド25は主走査方向に移動し、印刷用紙Pは主走査方向に直交する副走査方向に搬送される。ノズル252からインク滴を吐出することにより、インク滴が印刷用紙P上に着弾してドットが形成される。本実施形態では、3種類のインク滴(大インク滴・中インク滴・小インク滴)に対応して、互いにドット径の異なる3種類のドット(大ドット・中ドット・小ドット)が印刷用紙P上に形成される。ノズル252からインク滴を吐出しながら印刷ヘッド25が主走査方向の端から端まで移動することを主走査パスと表す。主走査パスにおける複数の吐出タイミングにおいてノズル252からインク滴を吐出することにより、ドットが主走査方向に配列した線状パターンを形成することができる。主走査パスにおいては紙送り機構26による印刷用紙Pの搬送は停止し、印刷ヘッド25の主走査方向の移動が停止する期間に紙送り機構26により印刷用紙Pが搬送される。これにより、印刷用紙Pの副走査方向の異なる位置に線状パターンを形成することができ、印刷用紙P上に2次元の印刷画像を形成することができる。
なお、本実施形態では、主走査パスが主走査方向の一方向(順方向)のみのUni−Dモードと、主走査パスが主走査方向の双方向(順方向および逆方向)のBi−Dモードとを走査制御情報に基づいてプリンター20が実行する。また、Uni−DモードとBi−Dモードのいずれにおいても順方向の主走査パスの直前に全ノズル252から印刷用紙Pの外側にインク滴を数十滴吐出(以下、フラッシングと示す。)する。これにより、ノズル252内のインクを一旦排出し、新たなインクをノズル252内に供給させることができる。すなわち、印刷ヘッド25が順方向に主走査するにあたり、ノズル252におけるインク媒質の蒸発に起因するノズル252内のインク濃度のばらつきを低減する。
次に、以上の動作をプリンター20に実行させるためのPC10のソフトウェア構成について説明する。印刷制御プログラム100は、入力画像データに基づいて上述した印刷制御データを生成するための機能をPC10に実行させるためのプログラムである。なお、1枚の印刷用紙Pに対する印刷につき1つの印刷ジョブの印刷制御データが生成される。また、プリンター20が1つの印刷制御データに基づいて1枚の印刷用紙Pに対する印刷を開始して終了させるまでの期間が印刷期間である。図1に示すように、印刷制御プログラム100は、サイズ変換部110と色変換部120とハーフトーン部130と並べ替え部140と補正量取得部150と補正部160とから構成される。
サイズ変換部110は入力画像データを取得し、取得した入力画像データを印刷解像度に対応した画素数にサイズ変換する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。入力画像データは、例えばHDD14に記憶された画像データや他のプログラムから出力された画像データである。印刷解像度は、ユーザーによる指定やプリンター20のハードウェア仕様等によって決定される。本実施形態では、720×720dpiが指定されたこととする。入力画像データは、行列状に配列する複数の位置に対応づけられた複数の画素によって構成され、各画素には例えばsRGB色空間における座標によって表される色情報が対応づけられている。
色変換部120は、サイズ変換された入力画像データを、各画素がC、M、Y、K、lc、lmの6色の色ごとにインク量を示すインク量情報に対応づけられたインク量画像データに変換する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。なお、変換されたインク量画像データは後述する補正処理が完了するまでRAM12またはHDD14に記憶される。色変換部120は、例えばルックアップテーブルを参照することにより、各画素についての色情報をインク量情報に変換する。本実施形態のインク量情報においては、CMYKlclmインク量がそれぞれ8ビット深度で表現されることとする。また、ハーフトーンデータとインク量画像データにおいて主走査方向に並ぶ画素列をラインと示すこととする。
ハーフトーン部130は、インク量画像データを、各画素が前記ノズルからのインクの吐出可否を示す吐出量情報に対応づけられたハーフトーンデータに変換する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。ハーフトーン処理では、各画素について8ビット深度で表現されたインク量情報を、ディザ法や誤差拡散法等の階調数低減手法によって"大インク滴吐出(3)","中インク滴吐出(2)","小インク滴吐出(1)","非吐出(0)"のいずれかを示す4階調の吐出量情報に変換する。なお、ハーフトーンデータは後述する補正処理が完了するまでRAM12またはHDD14に記憶される。
並べ替え部140は、ハーフトーンデータを構成する各画素についての吐出量情報を並べ替える機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。ハーフトーンデータを構成する各画素を印刷ヘッド25の主走査パスごとに振り分け、さらに各画素に対応する位置のドット形成を担当するノズル252ごとに各画素を振り分ける。そして、ノズル252における吐出タイミングの順に各画素についての吐出量情報を並べ替える。
図3は並べ替えの様子の一例を示す図である。本実施形態では、720×720dpiで生成されたハーフトーンデータをN=1,2のパス番号で識別される主走査パスに分解する。N=1の主走査パスに割り当てられるラインと、N=2の主走査パスに割り当てられるラインとは副走査方向に交互となる。各主走査パスにおいては、ノズル252が1/720インチ移動するごとに吐出タイミングが到来する。これにより、主走査方向について720dpiの印刷解像度を実現する。また、N=1,2の主走査パスの間においてノズルピッチの整数倍の長さにノズルピッチの0.5倍の長さだけオフセットした送り量で印刷用紙Pを搬送することにより、副走査方向についても720dpiの印刷解像度を実現する。
主走査パスごとに分解されたハーフトーンデータは、さらにドット形成を担当するノズル252ごとに分解される。ここでは、主走査パスごとに分解されたハーフトーンデータにおける副走査方向の位置に応じて各ラインに属する画素に対応するドットの形成を担当するノズル252が一意に定まる。また、本実施形態では、主走査方向に関しては複数の主走査パスへの分解が行われないため、同一のラインに属する画素に対応するドットの形成は同一のノズル252によって担当されることとなる。
次に、ノズル252ごとに分解されたハーフトーンデータを各主走査パスにおける複数の吐出タイミングの早い順に並べ替える。Uni−Dモードの場合には、すべての主走査パスにおいて図面右側から左側へ向かう画素の順に吐出タイミングが割り当てられる。Bi−Dモードの場合には、N=2の主走査パスにおいて移動方向が逆方向とされ、N=2の主走査パスについては図面左側から右側へ向かう画素の順に吐出タイミングが割り当てられる。以上のようにして吐出タイミングの早い順に並べ替えられたハーフトーンデータによれば各主走査パスにおける各ノズル252の吐出タイミングごとの吐出量情報を時系列に沿って取得することができる。
補正量取得部150と補正部160は、後述する補正処理をPC10に実行させるプログラムモジュールである。補正処理は、印刷期間におけるノズル252内のインク濃度が増加することにより印刷用紙P上の再現色が濃くなることを防止することを目的とするものである。
補正量取得部150は、印刷期間における注目期間よりも前においてノズル252がインク滴を吐出することなく経過する非吐出期間が長いほど大きくなる補正量を取得する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。まず、PC10は、補正量取得部150の機能により、Uni−D(単方向印刷)モードとBi−D(双方向印刷)モードのいずれによって印刷を実行させるかを判定し、Bi−Dモードである場合には、並べ替え後のハーフトーンデータにおけるすべての吐出タイミングについて補正を行わないこととする。Uni−Dモードである場合には、並べ替え後のハーフトーンデータにおける各吐出タイミングについて個別に補正の必要性を判定する。
補正量取得部150は、印刷期間における注目期間よりも前においてノズル252がインク滴を吐出することなく経過する非吐出期間が長いほど大きくなる補正量を取得する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。まず、PC10は、補正量取得部150の機能により、Uni−D(単方向印刷)モードとBi−D(双方向印刷)モードのいずれによって印刷を実行させるかを判定し、Bi−Dモードである場合には、並べ替え後のハーフトーンデータにおけるすべての吐出タイミングについて補正を行わないこととする。Uni−Dモードである場合には、並べ替え後のハーフトーンデータにおける各吐出タイミングについて個別に補正の必要性を判定する。
この判定では、各主走査パスにおける最初の吐出タイミングから順に吐出タイミングを注目吐出タイミングとして選択していき、注目吐出タイミングについて補正を行う必要があるか否かを判定していく。まず、注目吐出タイミングに対応する吐出量情報がもともと"非吐出"を示している場合には、吐出量情報の補正は行わない。吐出量情報が"非吐出"を示す注目吐出タイミングでは、これ以上、インクの吐出量を減少させる余地がないからである。
注目吐出タイミングに対応する吐出量情報が"非吐出"以外を示している場合には、RAM12またはHDD14に記憶されたインク量画像データと並べ替え前のハーフトーンデータとを参照することにより、注目吐出タイミングに対応する注目画素、および、その周囲の画素(以下、周辺画素と示す。)からなる周辺パターンを取得する。この周辺パターンに基づいて注目吐出タイミングの吐出量情報を補正するか否かを決定する。ここでは、以下に説明する(条件1)〜(条件3)をすべて満足する注目吐出タイミングに限り、補正を行うこととする。
図4は、(条件1)〜(条件3)、および、周辺パターンを示す図である。
(条件1)注目画素よりも主走査方向の下流側の周辺パターンに属する周辺画素についてのインク量の標準偏差が閾値T1よりも小さい。
(条件2)注目画素を含むラインに設けられた周辺パターンおいて、注目画素についてのインク量との差分が閾値T2よりも小さいインク量を有する周辺画素が連続する画素群(注目画素を含む)の幅が閾値T3よりも大きい。
(条件3)注目画素のよりも主走査方向の上流側に設けられた周辺パターンおいて、存在する非吐出連続区間幅の標準偏差が閾値T4よりも大きい。
なお、非吐出連続区間幅とは、吐出量情報が"非吐出"を示す画素が連続する区間(最も下流側のもの)の幅を、注目画素を含むラインの周辺パターン内の各ラインについてカウントしたものである。例えば、閾値T1,T2はインク量の取り得る範囲の10%のインク量の幅とし、閾値T3は印刷用紙P上の2mm相当の画素数とし、閾値T4は注目画素よりも主走査方向の上流側の周辺画素の個数の10%の画素数とする。
(条件1)注目画素よりも主走査方向の下流側の周辺パターンに属する周辺画素についてのインク量の標準偏差が閾値T1よりも小さい。
(条件2)注目画素を含むラインに設けられた周辺パターンおいて、注目画素についてのインク量との差分が閾値T2よりも小さいインク量を有する周辺画素が連続する画素群(注目画素を含む)の幅が閾値T3よりも大きい。
(条件3)注目画素のよりも主走査方向の上流側に設けられた周辺パターンおいて、存在する非吐出連続区間幅の標準偏差が閾値T4よりも大きい。
なお、非吐出連続区間幅とは、吐出量情報が"非吐出"を示す画素が連続する区間(最も下流側のもの)の幅を、注目画素を含むラインの周辺パターン内の各ラインについてカウントしたものである。例えば、閾値T1,T2はインク量の取り得る範囲の10%のインク量の幅とし、閾値T3は印刷用紙P上の2mm相当の画素数とし、閾値T4は注目画素よりも主走査方向の上流側の周辺画素の個数の10%の画素数とする。
例えば写真のような自然画像においては、主走査方向の下流側の周辺画素についてのインク量のばらつきが大きく、(条件1)を満足しないと判定される。一方、文書のような非自然画像において色が一様な領域は、(条件1)を満足すると判定される。(条件1)を満足しない場合には、注目画素の再現色が濃くなっても、そもそも周辺画素の再現色が大きくばらつく領域にあるため、注目画素の再現色が濃くなったことは認識されにくい。なお、(条件1)によって、注目画素よりも主走査方向の下流側の周辺画素のインク量のばらつきが小さい条件を課すことができればよく、例えば周辺画素のインク量の最大値と最小値の幅や色数(異なるインク量の数)等に基づいてばらつきの程度を把握してもよい。なお、(条件1)を判定するための周辺パターンの主走査・副走査方向の一辺の大きさは例えば印刷用紙P上の1mm相当の画素数とする。
例えば表の縦罫線のように主走査方向の幅が細いパターン内に注目画素が存在する場合には、注目画素と同様のインク量を有する周辺画素が主走査方向に連続せず、(条件2)を満足しないと判定される。一方、棒グラフの棒のようにある程度の幅を有するパターン内に注目画素が存在する場合には、(条件2)を満足すると判定される。(条件2)を満足しない場合には、注目画素の再現色が濃くなっても、ほぼ一様な再現色を示すパターンの幅が主走査方向に狭いため、注目画素の再現色が濃くなったことは認識されにくい。なお、(条件2)では、注目画素と同様のインク量を示すパターンの幅が広いか否かを判定することができればよく、例えば注目画素を挟んだエッジ間の幅が広いか否かを判定してもよい。なお、(条件2)を判定するための周辺パターンの主走査方向の長さは例えば印刷用紙P上の6mm相当の画素数とする。
例えば注目画素に対して主走査方向の上流側に隣接する余白幅が緩やかな曲線状に変動する場合には、各ラインの非吐出連続区間幅のばらつきが小さく、(条件3)を満足しないと判定される。一方、注目画素に対して主走査方向の上流側に隣接する余白幅が階段状に変動する場合には、(条件3)を満足すると判定される。(条件3)を満足しない場合には、注目画素と主走査方向の位置が同じ画素に対応する吐出タイミングに至る前の空走距離や非吐出期間が、周辺の各ラインに関してほぼ一様である。この場合、後述するノズル252内のインク濃度の増加によって注目画素の再現色が濃くなったとしても、近傍の各ラインの再現色もノズル252内のインク濃度の増加によって一様に濃くなることとなる。従って、近傍の各ラインの再現色に紛れ、注目画素の再現色が濃くなったことが認識されにくい。(条件3)では、近傍の各ラインを印刷する場合のノズル252内のインク濃度のばらつきを評価することができればよく、例えば周辺パターン内の各ラインにおいて吐出量情報が"非吐出"を示す画素の比率を算出し、この比率の標準偏差に基づいて(条件2)を判定してもよい。なお、(条件3)を判定するための周辺パターンの副走査方向の幅は例えば360画素とし、主走査方向の幅は1440画素とする。
以上のように(条件1)〜(条件3)を満足しない場合には、ノズル252内のインク濃度が増加していても、注目吐出タイミングにおいて形成されたドットの再現色が濃くなったと観察者に認識されにくい。従って、印刷品質を低下させることなく、補正処理を効率化させることができる。
補正量取得部150の機能によりPC10は、注目吐出タイミングについての補正量を取得する。ここでは、各主走査パスにおける注目吐出タイミングよりも前の吐出タイミングのノズル252の吐出量情報に基づいて補正量を取得する。ここで取得される補正量は、ノズル252内におけるインク濃度の増加量に対応する。
図5はノズル252内におけるインク濃度の増加量を示す図である。図5において、縦軸は補正量(インクカートリッジ内のインク濃度を基準濃度とした濃度の増加量ΔD)を示し、横軸は主走査パス開始からの経過時間を示している。また、横軸の経過時間において、ノズル252がいずれの種類のインク滴も連続して吐出しない非吐出期間を示している。主走査方向に均一なドット間隔を形成するために、各吐出タイミングはノズルが1/720インチ移動するごとに到来する。1/720インチを連続する吐出タイミング間のキャリッジの平均速度で除算することにより、連続する吐出タイミング間の経過時間を算出することができる。従って、ノズル252が最後にインク滴を吐出した吐出タイミングから、その次にインク滴を吐出した吐出タイミングの間にわたって、連続する吐出タイミング間の経過時間を順次累積していくことにより、非吐出期間を得ることができる。
図5に示すように、濃度の増加量ΔDは、非吐出期間の関数で表され、非吐出期間が大きくなるにつれて単調増加する性質を有する。濃度の増加量ΔDは、非線形曲線に沿って単調増加し、非吐出期間が大きくなるほど増加量ΔDの傾きが小さくなる性質を有している。また、順方向の主査移動を行うにあたって予めフラッシングが行われるため、主走査パスの最初は基準濃度となる。一方、ある吐出タイミングでノズル252がインク滴を吐出させると、インクカートリッジから基準濃度のインクがノズル252に供給されるため、ノズル252内のインクが希釈され、濃度の増加量ΔDが減少する。ノズル252が吐出するインク滴の体積が大きいほど、インクカートリッジから新たに供給される基準濃度のインクの体積が大きくなるため、濃度の増加量ΔDが大きく減少する。希釈後の濃度の増加量ΔDは、希釈前の濃度の増加量ΔDに対して、(ノズル体積−吐出したインク滴体積)/(ノズル体積)を乗算することにより得ることができる。濃度の増加量ΔDが減少した後に、非吐出期間へと移行する場合には、減少後の濃度の増加量ΔDから、再度、前記非線形曲線に沿って濃度の増加量ΔDが増加していく。主走査パスの最初から順に各吐出タイミングにおける濃度の増加量ΔDを追跡していくことにより、各吐出タイミングにおける濃度の増加量ΔDを取得することができる。このように、注目吐出タイミングの直前の非吐出期間だけでなく、吐出を挟んだ過去の非吐出期間や、非吐出期間の間に行われるインク滴の吐出によるインクの希釈も考慮することにより、正確に濃度の増加量ΔDを得ることができる。
補正量取得部150の機能によりPC10は、注目吐出タイミングにおける濃度の増加量ΔDを補正量として取得する。この注目吐出タイミングは、主走査パス内の吐出タイミングの最初から早い順に選択される。図5に示すように、注目吐出タイミングにおける濃度の増加量ΔDは、注目吐出タイミングよりも前の吐出タイミングにおける吐出量情報に基づいて取得することができる。注目吐出タイミングよりも前の吐出タイミングにおける吐出量情報は、並べ替え後のハーフトーンデータを参照することにより得られるが、注目吐出タイミングよりも前の吐出タイミングについての吐出量情報が補正された場合には、その補正後の吐出量情報に基づいて補正量(濃度の増加量ΔD)が取得される。
補正部160は、補正量に基づいて注目期間においてノズル252が吐出するインクの吐出量を少なくするように並べ替え後のハーフトーンデータの吐出量情報を補正する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。補正部160の機能によりPC10は、注目吐出タイミングについての補正量が所定の閾値T5より大きいか否かを判定し、補正量が所定の閾値T5よりも大きい場合には注目吐出タイミングの吐出量情報が示すインク滴の大きさを一段階小さいものへと補正する。なお、注目吐出タイミングの吐出量情報が"小インク滴吐出"を示す場合には、吐出量情報を"非吐出"を示すように補正する。閾値T5は、ドットの再現色の差が観察者に感じられる程度の色差(例えば、CIE1976の色差式によるΔEが0.5。)に対応する濃度の増加量ΔDに対応する値に設定される。
ここで、図5に示した性質上、補正量が大きければ注目吐出タイミングにおいてインク滴を吐出したとしても、依然として次の吐出タイミングについての補正量も大きくなる可能性が高い。従って、注目吐出タイミングの補正量が大きいほど、注目吐出タイミング、および、注目吐出タイミングの後に連続する吐出タイミングによって構成される注目期間においてノズル252が吐出するインクの吐出量の合計は減少するということができる。このようにすることにより、ノズル252内のインク濃度の増加を補償するように、並べ替え後のハーフトーンデータの吐出量情報を補正することができる。
以上のようにして、注目吐出タイミングの吐出量情報が補正されると、次の吐出タイミングが注目吐出タイミングとして選択され、補正量取得部150の機能による補正量の取得、および、補正部160の機能による補正が同様に行われる。この補正量の取得においては、過去に注目吐出タイミングとして選択していた吐出タイミングの補正結果が反映される。以上の処理を、全ノズル252、全主走査パス、および、全吐出タイミングについて実行すると補正処理を終了させる。最後に、補正済みの並び替え後のハーフトーンデータに走査制御情報等を添付する。これにより、印刷制御データが生成できる。印刷制御データは、並べ替え部140の機能により、プリンター20に出力される。
2.印刷制御処理
図6は、印刷制御処理のフローチャートである。まず、サイズ変換部110の機能によりPC10は、印刷対象の入力画像データを例えばHDD14から取得する(S100)。次に、サイズ変換部110の機能によりPC10は、ユーザーや他のアプリケーションプログラム等から指定された印刷解像度に基づいて入力画像データをサイズ変換する(S110)。すなわち、入力画像データが印刷解像度よりも低解像度であれば画素補間を行い、入力画像データが印刷解像度よりも高解像度であれば画素の間引きを行う。サイズ変換が完了すると、色変換部120の機能によりPC10は、サイズ変換後の入力画像データを色変換する(S120)。本実施形態では、各画素が8ビット深度のCMYKlclmのインク量情報に対応づけられたインク量画像データへと変換する。
図6は、印刷制御処理のフローチャートである。まず、サイズ変換部110の機能によりPC10は、印刷対象の入力画像データを例えばHDD14から取得する(S100)。次に、サイズ変換部110の機能によりPC10は、ユーザーや他のアプリケーションプログラム等から指定された印刷解像度に基づいて入力画像データをサイズ変換する(S110)。すなわち、入力画像データが印刷解像度よりも低解像度であれば画素補間を行い、入力画像データが印刷解像度よりも高解像度であれば画素の間引きを行う。サイズ変換が完了すると、色変換部120の機能によりPC10は、サイズ変換後の入力画像データを色変換する(S120)。本実施形態では、各画素が8ビット深度のCMYKlclmのインク量情報に対応づけられたインク量画像データへと変換する。
ハーフトーン部130の機能によりPC10は、インク量画像データをハーフトーンデータに変換する(S130)。すなわち、インク量画像データの各画素に対して順次ハーフトーン処理を実行することにより、各画素についてのインク量情報を吐出量情報に変換していく。すべての画素についてのインク量情報を吐出量情報に変換することにより、ハーフトーンデータが生成できる。図3に示したように、ハーフトーンデータでは、各画素が"大インク滴吐出(3)","中インク滴吐出(2)","小インク滴吐出(1)","非吐出(0)"のいずれかを示す吐出量情報に対応づけられている。次に、並べ替え部140の機能によりPC10は、ハーフトーンデータを並べ替える(S140)。図3に示したように、並べ替え後のハーフトーンデータによれば各主走査パスにおける各ノズル252の吐出タイミングごとの吐出量情報を時系列に沿って取得することができる。
2−1.補正処理
次に、補正量取得部150と補正部160の機能によりPC10は、補正処理を実行する(S150)。
図7は、補正処理のフローチャートである。まず、補正量取得部150の機能によりPC10は、Uni−DモードとBi−Dモードのいずれが指定されているかを判定する(S151)。Bi−Dモードが指定されている場合には、補正処理を終了させる。すなわち、並べ替え後のハーフトーンデータに対する補正を実施しない。これにより、印刷制御処理を効率化させることができる。一方、Uni−Dモードが指定されている場合には、補正量取得部150の機能によりPC10は、注目吐出タイミングを選択する(S152〜S154)。すなわち、まず並べ替え後のハーフトーンデータから一つの主走査パスを注目主走査パスとして選択し(S152)、次いで注目主走査パスにおいて動作を行うノズル252から注目ノズル252を選択し(S153)、さらに注目ノズル252が注目主走査パスに属する複数の吐出タイミングから早い順に注目吐出タイミングを選択する(S154)。
次に、補正量取得部150と補正部160の機能によりPC10は、補正処理を実行する(S150)。
図7は、補正処理のフローチャートである。まず、補正量取得部150の機能によりPC10は、Uni−DモードとBi−Dモードのいずれが指定されているかを判定する(S151)。Bi−Dモードが指定されている場合には、補正処理を終了させる。すなわち、並べ替え後のハーフトーンデータに対する補正を実施しない。これにより、印刷制御処理を効率化させることができる。一方、Uni−Dモードが指定されている場合には、補正量取得部150の機能によりPC10は、注目吐出タイミングを選択する(S152〜S154)。すなわち、まず並べ替え後のハーフトーンデータから一つの主走査パスを注目主走査パスとして選択し(S152)、次いで注目主走査パスにおいて動作を行うノズル252から注目ノズル252を選択し(S153)、さらに注目ノズル252が注目主走査パスに属する複数の吐出タイミングから早い順に注目吐出タイミングを選択する(S154)。
注目吐出タイミングを選択すると、補正量取得部150の機能によりPC10は、注目吐出タイミングについての吐出量情報が"非吐出"を示すか否かを判定し(S155)、"非吐出"を示す場合には補正は行わない。次に、補正量取得部150の機能によりPC10は、上述した(条件1)を満足するか否かを判定し(S156)、該当しない場合には注目吐出タイミングについての補正を行わない。さらに、補正量取得部150の機能によりPC10は、上述した(条件2)を満足するか否かを判定し(S157)、該当しない場合には注目吐出タイミングについての補正を行わない。次に、補正量取得部150の機能によりPC10は、上述した(条件3)を満足するか否かを判定し(S158)、該当しない場合には注目吐出タイミングについての補正を行わないこととする。ステップS156〜158において、補正量取得部150の機能によりPC10は、RAM12に記憶されたインク量画像データと並べ替え前のハーフトーンデータから各条件を判定するための周辺パターンを取得する。
以上のステップS156〜158において注目吐出タイミングについて補正を行うとした場合、補正量取得部150の機能によりPC10は、注目吐出タイミングについての補正量を図5に示す関係に基づいて取得する(S159)。すなわち、注目吐出タイミングにおけるノズル252内のインク濃度の増加量ΔDに対応する補正量を取得する。注目吐出タイミングは、主走査パスの吐出タイミングの早い順に選択されていくため、主走査パスの初期の基準濃度からインク濃度の増加量ΔDを順次追跡していくことができる。次に、補正部160の機能によりPC10は、注目吐出タイミングについての補正量が閾値T5よりも大きいか否かを判定し(S160)、補正量が閾値T5よりも大きくなければ注目吐出タイミングの吐出量情報の補正を行わない。一方、補正量が閾値T5よりも大きければ、並べ替え後のハーフトーンデータにおいて、注目吐出タイミングの吐出量情報が示すインク滴の大きさを一段階小さいものへと補正する(S161)。
次に、補正量取得部150の機能によりPC10は、現在の注目吐出タイミングが注目主走査パスの最後の吐出タイミングであるか否かを判定する(S162)。現在の注目吐出タイミングが注目主走査パスの最後の吐出タイミングでなければ、次に早い吐出タイミングを注目吐出タイミングとして選択するためにステップS154に戻る。一方、現在の注目吐出タイミングが注目主走査パスの最後の吐出タイミングであれば、補正量取得部150の機能によりPC10は、すべてのノズル252を注目ノズル252として選択したか否かを判定する(S163)。すべてのノズル252を注目ノズル252として選択したのでなければ、次のノズル252を注目ノズル252として選択するためにステップS153に戻る。一方、すべてのノズル252を注目ノズル252として選択したのであれば、補正量取得部150の機能によりPC10は、すべての主走査パスを注目主走査パスとして選択したか否かを判定する(S164)。すべての主走査パスを注目主走査パスとして選択したのでなければ、次の主走査パスを注目主走査パスとして選択するためにステップS152に戻る。一方、すべての主走査パスを注目主走査パスとして選択したのであれば、並べ替え後のハーフトーンデータについての補正処理を終了させる。
最後に、並べ替え部140の機能によりPC10は、補正済みの並び替え後のハーフトーンデータに走査制御情報等を添付する(図6のS170)。これにより、印刷制御データが生成できる。印刷制御データは、並べ替え部140の機能により、プリンター20に出力される(S180)。プリンター20は、補正済みの並び替え後のハーフトーンデータに基づいて各吐出タイミングにおけるインク滴の吐出制御を実行するため、ノズル252内のインク濃度変動を補償した印刷を実現できる。
4.第2実施形態
第1実施形態においては、キャリッジ速度の不均一さも考慮した非吐出期間に基づいて補正量を取得することとしたが、単に空走距離(非吐出の吐出タイミングが連続する回数)に基づいて補正量を取得することにより、処理の効率化を図ってもよい。また、注目吐出タイミングの直前の空走距離がノズル252内のインク濃度に与える影響度が特に高いため、注目吐出タイミングの直前の空走距離のみに注目することにより、処理の効率化を図ってもよい。さらに、吐出量情報が非吐出から吐出に転じた注目吐出タイミングのみについて注目期間全体の補正量を算出し、注目期間に属する個々の吐出タイミングについての補正量を取得しないようにすることで処理の効率化を図ってもよい。
第1実施形態においては、キャリッジ速度の不均一さも考慮した非吐出期間に基づいて補正量を取得することとしたが、単に空走距離(非吐出の吐出タイミングが連続する回数)に基づいて補正量を取得することにより、処理の効率化を図ってもよい。また、注目吐出タイミングの直前の空走距離がノズル252内のインク濃度に与える影響度が特に高いため、注目吐出タイミングの直前の空走距離のみに注目することにより、処理の効率化を図ってもよい。さらに、吐出量情報が非吐出から吐出に転じた注目吐出タイミングのみについて注目期間全体の補正量を算出し、注目期間に属する個々の吐出タイミングについての補正量を取得しないようにすることで処理の効率化を図ってもよい。
図8は、本実施形態にかかるフローチャートである。本実施形態では、第1実施形態のステップS159〜S161の代わりに図8の処理を実行する。まず、補正量取得部150の機能によりPC10は、注目吐出タイミングの直前の吐出タイミングの吐出量情報が"非吐出"を示すか否かを判定する(S1591)。注目吐出タイミングの直前の吐出タイミングの吐出量情報が"非吐出"以外を示す場合には、注目吐出タイミングについての補正は行わない。すなわち、"非吐出"からいずれかのインク滴を吐出させるように転じた吐出タイミングについてのみ補正量を取得することとする。
注目吐出タイミングの直前の吐出タイミングの吐出量情報が"非吐出"を示す場合には、補正量を取得する(S1592)。まず、注目吐出タイミングの直前から過去に向かって吐出量情報が"非吐出"を示す吐出タイミングが連続する回数を、空走距離として取得する。前記回数に主走査方向の印刷解像度の逆数(1/720インチ)を乗算することにより現実の空走距離が得られるため、前記回数を空走距離として扱うことができる。そして、補正量取得部150の機能によりPC10は、空走距離に基づいて補正量を取得する。空走距離と補正量との関係は、図5に示す非吐出期間と補正量との関係とほぼ同様である。空走距離によれば、キャリッジの速度を考慮しなくてもよいため、非吐出期間を算出するよりも処理を効率化させることができる。本実施形態の補正量は、第1実施形態のように注目吐出タイミングについての補正量を指すのではなく、注目吐出タイミングを始期として後続の吐出タイミングを含む注目期間全体において補正すべき補正量を指す。
次に、補正部160の機能によりPC10は補正量が0より大きいか否かを判定し(S1611)、補正量が0より大きければ、注目吐出タイミング以降の吐出タイミングのいずれか一つを早い順に補正対象として選択する(S1162)。そして、補正部160の機能によりPC10は、補正対象の吐出タイミングについての吐出量情報が示すインク滴の大きさを一段階小さいものへと補正する(S1613)。次に、補正部160の機能によりPC10は、補正量から既補正量を減じることにより、補正量を更新し(S1614)、ステップS1611に戻る。既補正量は、"大インク滴吐出"を"中インク滴吐出"に補正した場合、"中インク滴吐出"を"小インク滴吐出"に補正した場合、"小インク滴吐出"を"非吐出"に補正したいずれの場合も"1"とする。すなわち、一回の吐出タイミングについて吐出量を1段階減少させるごとに補正量が"1"だけ減少させられる。
次に、更新した補正量が0より大きければ、補正部160の機能によりPC10は、現在の補正対象の吐出タイミングの次の吐出タイミングを補正対象の吐出タイミングとして選択されることとなる。以上の処理を繰り返して実行することにより、既補正量の累積値が最初の補正量に達するまで後続の吐出タイミングについての吐出量情報を補正していくことができる。なお、後続の吐出タイミングについての吐出量情報がもともと"非吐出"である場合には、補正は行われず、既補正量は0とする。この場合には、補正量は減少することなく、そのまま次に続く吐出タイミングに持ち越されることとなる。このように、補正量を空走直後の注目吐出タイミングについてのみ取得し、補正量を後続の吐出タイミングに拡散させるようにすれば、第1実施形態のように、すべての注目吐出タイミングについて補正量を取得する必要がなく、処理を効率化させることができる。本実施形態では、補正量と同じ回数の吐出タイミングについて補正が行われた段階で一つの補正量に基づく補正が完了する。なお、本実施形態では、"大インク滴吐出"を"中インク滴吐出"に補正した場合、"中インク滴吐出"を"小インク滴吐出"に補正した場合、"小インク滴吐出"を"非吐出"に補正した場合の既補正量を均一な大きさとしたが、それぞれの補正によって減少するドットの濃度に応じて異なる既補正量を定義してもよい。
本実施形態のように注目吐出タイミングについての空走距離や非吐出期間に基づいて注目期間全体の補正量を取得する場合、注目期間全体の補正量に基づいて補正マスクを生成してもよい。この補正マスクを参照することにより、注目期間の吐出タイミングについての補正可否を決定してもよい。この補正マスクは、例えば補正量が大きいほど補正可とする吐出タイミングの比率や、補正可とする後続の吐出タイミングの範囲を大きくするように生成される。補正マスクを参照し、補正可とされた吐出タイミングについての吐出量が減少するように吐出量情報を補正し、補正不可とされた吐出タイミングについての補正は行わない。
5.第3実施形態
本実施形態においては、インク量画像データを補正することにより、注目期間において吐出されるインクの吐出量を減少させる。インク量画像データによれば、ステップS155において注目画素の周辺の周辺パターンを容易に取得することができる。従って、効率的な補正処理を実現することができる。また、インク量画像データの各画素が示すインク量情報によれば、各吐出タイミングにおいてインク滴が吐出される確率を推定することができるため、空走距離が推定できる。例えば、インク量が閾値T6を下回る画素が連続している場合に、連続している画素数に対応した長さの空走距離が発生すると推定すればよい。閾値T6は、例えばインク量の取り得る範囲の最大値の5%のインク量の大きさとする。そして、推定された空走距離に応じた補正量を取得する。
本実施形態においては、インク量画像データを補正することにより、注目期間において吐出されるインクの吐出量を減少させる。インク量画像データによれば、ステップS155において注目画素の周辺の周辺パターンを容易に取得することができる。従って、効率的な補正処理を実現することができる。また、インク量画像データの各画素が示すインク量情報によれば、各吐出タイミングにおいてインク滴が吐出される確率を推定することができるため、空走距離が推定できる。例えば、インク量が閾値T6を下回る画素が連続している場合に、連続している画素数に対応した長さの空走距離が発生すると推定すればよい。閾値T6は、例えばインク量の取り得る範囲の最大値の5%のインク量の大きさとする。そして、推定された空走距離に応じた補正量を取得する。
本実施形態においても、第2実施形態と同様に補正量を空走直後の注目吐出タイミング(注目画素)についてのみ取得することとする。また、注目吐出タイミングおよび後続の吐出タイミングによって構成される注目期間の全体において減少させるべきインクの吐出量に対応するインク量とする。そして、第2実施形態のS1161〜S1164と同様に、注目吐出タイミングに対応する注目画素と、後続の吐出タイミングに対応する画素についてのインク量から順次補正量を減じていくことにより、補正を行う。注目画素とその近傍の画素についてのインク量が極端に減少させられないように、一画素について減少可能なインク量に上限を設けるようにしてもよい。なお、インク量を減少させることにより、インク滴が吐出される確率を低下させることができるため、注目吐出タイミングを始期とする注目期間において吐出されるインクの吐出量を減少させることができる。また、ハーフトーン処理を行う前のインク量は階調深度が大きいため、補正量に応じてインク滴を吐出させる確率を細かく調整することができる。なお、誤差拡散法によりハーフトーン処理を行う場合には、誤差の拡散方向を主走査方向の下流側のみに限定するのが望ましい。これにより、他の主走査ラインの印刷結果に補正量が反映されることを防止できる。なお、補正量を取得する注目吐出タイミングは注目期間の始期であるものを例示したが、注目吐出タイミングにおける空走距離や非吐出期間に基づいて取得した補正量に基づいて、注目吐出タイミングよりも前の吐出タイミングを含む注目期間における吐出量を補正するようにしてもよい。
6.第4実施形態
ハーフトーン処理中に本発明の補正処理を実行することにより、処理の効率化を図ってもよい。ハーフトーン部130の機能によりPC10が誤差拡散法によるハーフトーン処理を実行し、主走査方向の上流側の画素からハーフトーン処理を実行するとした場合には、注目吐出タイミングに対応する注目画素についてのハーフトーン処理を実行する段階で、注目画素よりも主走査方向の上流側の吐出量情報が判明していることとなる。従って、第1実施形態と同様に注目吐出タイミングごとに補正量を精度よく取得できる。一方、注目画素はハーフトーン処理が未処理であるため、注目画素にはインク量が対応づけられていることとなる。従って、第1実施形態と同様に取得した補正量(注目吐出タイミングについてのみの補正量)を、第3実施形態と同様にインク量から減算した上で注目画素についてのハーフトーン処理を実行すればよい。このようにすることにより、ハーフトーン処理と補正処理を一括して行うことができ、処理を効率化させることができる。なお、本実施形態においても、誤差の拡散方向を主走査方向の下流側のみに限定するのが望ましい。むろん、主走査方向の上流側の画素からハーフトーン処理を実行するようにすれば、ディザ法においても補正処理を行うことができる。
ハーフトーン処理中に本発明の補正処理を実行することにより、処理の効率化を図ってもよい。ハーフトーン部130の機能によりPC10が誤差拡散法によるハーフトーン処理を実行し、主走査方向の上流側の画素からハーフトーン処理を実行するとした場合には、注目吐出タイミングに対応する注目画素についてのハーフトーン処理を実行する段階で、注目画素よりも主走査方向の上流側の吐出量情報が判明していることとなる。従って、第1実施形態と同様に注目吐出タイミングごとに補正量を精度よく取得できる。一方、注目画素はハーフトーン処理が未処理であるため、注目画素にはインク量が対応づけられていることとなる。従って、第1実施形態と同様に取得した補正量(注目吐出タイミングについてのみの補正量)を、第3実施形態と同様にインク量から減算した上で注目画素についてのハーフトーン処理を実行すればよい。このようにすることにより、ハーフトーン処理と補正処理を一括して行うことができ、処理を効率化させることができる。なお、本実施形態においても、誤差の拡散方向を主走査方向の下流側のみに限定するのが望ましい。むろん、主走査方向の上流側の画素からハーフトーン処理を実行するようにすれば、ディザ法においても補正処理を行うことができる。
7.第5実施形態
色変換前の色情報によっても、空走距離や非吐出距離を推定できる。従って、色変換前の入力画像データに対して本発明の補正処理を実行してもよい。例えば、ある画素についての色情報を構成するRGB階調がともに最大値の近傍の値である場合には、この画素に対応する吐出タイミングにおいてインク滴が吐出される確率は低いと推定できる。従って、このような画素が連続する個数をもって空走距離や非吐出距離を推定できる。また、補正量をRGB階調に加算する補正する(明るい色を示すように補正する)ことにより、注目期間において吐出されるインクの吐出量を減少させることができる。
色変換前の色情報によっても、空走距離や非吐出距離を推定できる。従って、色変換前の入力画像データに対して本発明の補正処理を実行してもよい。例えば、ある画素についての色情報を構成するRGB階調がともに最大値の近傍の値である場合には、この画素に対応する吐出タイミングにおいてインク滴が吐出される確率は低いと推定できる。従って、このような画素が連続する個数をもって空走距離や非吐出距離を推定できる。また、補正量をRGB階調に加算する補正する(明るい色を示すように補正する)ことにより、注目期間において吐出されるインクの吐出量を減少させることができる。
以上のように色変換前の入力画像データに対して補正処理を行う場合、サイズ変換部110の機能によりPC10が入力画像データのサイズ変換を行う前と後のいずれかにおいて補正処理を行うこととなる。サイズ変換によって画素数が増加する場合(拡大する場合)には、サイズ変換を行う前の入力画像データに対して補正処理を行うのが望ましい。画素数の少ない入力画像データに対して補正処理を行うことにより、処理を効率化させることができるからである。同様の理由で、サイズ変換によって画素数が減少する場合(縮小する場合)には、サイズ変換を行った後の入力画像データに対して補正処理を行うのが望ましい。
8.他の実施形態
第1実施形態においては、並べ替え後のハーフトーンデータに対して補正処理を実行することとしたが、並べ替え前のハーフトーンデータに対して補正処理を実行してもよい。特に、第1実施形態のように主走査方向のラインに属する画素を複数の主走査パスに分解をしない場合には、並べ替え前のハーフトーンデータによっても、第1実施形態と同様に空走距離や非吐出期間を精度よく取得できる。一方、主走査方向のラインに属する画素を複数の主走査パスに分解する場合には、分解が考慮された並べ替え後のハーフトーンデータに対して補正処理を行うのが望ましい。
第1実施形態においては、並べ替え後のハーフトーンデータに対して補正処理を実行することとしたが、並べ替え前のハーフトーンデータに対して補正処理を実行してもよい。特に、第1実施形態のように主走査方向のラインに属する画素を複数の主走査パスに分解をしない場合には、並べ替え前のハーフトーンデータによっても、第1実施形態と同様に空走距離や非吐出期間を精度よく取得できる。一方、主走査方向のラインに属する画素を複数の主走査パスに分解する場合には、分解が考慮された並べ替え後のハーフトーンデータに対して補正処理を行うのが望ましい。
上述した各実施形態においては、PC10において印刷制御処理の全部を実行することとしたが、印刷制御処理の一部をプリンター20に実行させてもよい。例えば、プリンター20がPC10から出力された印刷制御データから並べ替え後のハーフトーンデータを取り出し、並べ替え後のハーフトーンデータに対して補正処理を実行するようにしてもよい。この場合、補正量取得部150と補正部160とがプリンター20において実行され、本発明の印刷制御データの生成は最終的にプリンター20において完了することとなる。ノズル252の濃度特性はプリンター20のハードウェア仕様に依存するため、補正処理は機種依存性の強い処理であると言える。従って、プリンター20において補正処理を実行させることにより、PC10における処理を変更することなく、柔軟にプリンター20のハードウェア仕様に対応することができる。
第1実施形態においては、Uni−Dモードにおいてのみ補正処理を実行することとしたが、Bi−Dモードにおいても補正処理を実行するようにしてもよい。また、第1実施形態では、印刷用紙P上の再現色が濃くなったことが観察者に認識できないような場合には補正処理を行わせないようにすることを目的として(条件1)〜(条件3)を課したが、(条件1)〜(条件3)を満足するか否かに拘わらず補正処理を実行してもよい。(条件1)〜(条件3)を満足するか否かに拘わらず印刷用紙P上の再現色が濃くなるため、絶対的な色再現精度が要求される場合には(条件1)〜(条件3)を満足するか否かに拘わらず補正処理を実行すべきである。例えば、印刷物の用途に応じて(条件1)〜(条件3)を課すか否かを切り替えてもよい。
第1実施形態では、順方向の主走査パスの直前にフラッシングを実行することにより、主走査パスの初期段階のノズル252内の濃度の増加量ΔDを0にリセットしているが、主走査パスの直前にフラッシングを実行しない場合でも補正処理を適用できる。主走査パスの直前にフラッシングを実行しない場合には、直前の主走査パスにおけるノズル252内の吐出量情報も参酌してノズル252内の濃度の増加量ΔDを補正量として取得すればよい。また、非吐出期間が主走査パス間にまたがる場合には、主走査パス間の待機時間を非吐出期間に加算した上で、ノズル252内の濃度の増加量ΔDを取得することが望ましい。
さらに、上述した実施形態では、3種類のサイズのインク滴を吐出可能としたが、1種類のインク滴のみを吐出可能なプリンター20に対する印刷制御データの生成においても本発明の補正処理を実行することができる。補正の態様は、注目吐出タイミングについての吐出量情報を"吐出"から"非吐出"に補正するもののみとなるが、補正量が大きいほど、注目吐出タイミングにおいてインク滴がノズル252から吐出される確率が減少し、注目吐出タイミングを始期とする注目吐出タイミングにおいてノズル252から吐出されるインクの吐出量が減少することには変わりはない。Cインク等の濃インクについての吐出量情報を"吐出"から"非吐出"に補正するのに伴って、同一または近傍位置にドットを形成するためのlcインク等の淡インクについての吐出量情報を"非吐出"から"吐出"に補正するようにしてもよい。これにより、再現色の過度の濃度低下を防止できる。また、補正量が閾値よりも大きい場合に吐出させるインク滴の大きさを1段階ずつ小さくするのではなく、補正量に応じて吐出させるインク滴の大きさを小さくさせる段階を増やすようにしてもよい。
1…印刷制御システム、10…PC10、11…CPU、12…RAM12、13…ROM、14…HDD、15…外部I/F、16…内部I/F、20…プリンター、21…コントローラー、24…キャリッジユニット、25…印刷ヘッド、251…吐出面、252…ノズル、253…圧力室、254…ピエゾ素子、26…紙送り機構、100…印刷制御プログラム、110…サイズ変換部、120…色変換部、130…ハーフトーン部、140…並べ替え部、150…補正量取得部、160…補正部。
Claims (11)
- ノズルから吐出させるインクの吐出量を指定する吐出量情報を、単一の印刷ジョブを印刷する印刷期間の複数の吐出タイミングごとに有する印刷制御データを生成する印刷制御データ生成手段と、
1以上の前記吐出タイミングによって構成される注目期間における前記ノズル内のインク濃度が増加するほど前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を大きく減少させる補正量を取得する補正量取得手段と、
を備え、
前記印刷制御データ生成手段は、前記補正量に応じて、前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を減少させた前記印刷制御データを生成する、
印刷制御システム。 - 前記補正量取得手段は、前記注目期間よりも前の1以上の前記吐出タイミングにおいて前記ノズルがインク滴を吐出させることなく経過する非吐出期間に基づいて前記補正量を取得する、
請求項1に記載の印刷制御システム。 - 前記補正量取得手段は、前記注目期間よりも前の1以上の前記吐出タイミングにおいて前記ノズルがインク滴を吐出させることなく移動する空走距離に基づいて前記補正量を取得する、
請求項1に記載の印刷制御システム。 - 前記補正量取得手段は、前記注目期間よりも前の1以上の前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出するインクの吐出量が大きいほど前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量の減少量を小さくする、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷制御システム。 - 前記印刷制御データ生成手段は、
各画素が色を示す色情報に対応づけられた入力画像データを、各画素がインク量を示すインク量情報に対応づけられたインク量画像データに変換する色変換手段と、
前記インク量画像データを、各画素が前記吐出量情報に対応づけられたハーフトーンデータに変換するハーフトーン処理を実行するハーフトーン手段と、
を備え、
前記インク量画像データにおいて、前記注目期間に属する前記吐出タイミングに対応する画素についての前記インク量を前記補正量に応じて補正する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御システム。 - 前記印刷制御データ生成手段は、
各画素が色を示す色情報に対応づけられた入力画像データを、印刷解像度に対応するサイズにサイズ変換するサイズ変換手段と、
サイズ変換後の前記入力画像データを、各画素がインク量を示すインク量情報に対応づけられたインク量画像データに変換する色変換手段と、
前記インク量画像データを、各画素が前記吐出量情報に対応づけられたハーフトーンデータに変換するハーフトーン処理を実行するハーフトーン手段と、
を備え、
前記サイズ変換手段が前記入力画像データを拡大する場合には、前記サイズ変換前の前記入力画像データにおいて前記注目期間に属する前記吐出タイミングに対応する画素についての前記色情報を前記補正量に応じて補正する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御システム。 - 前記印刷制御データ生成手段は、
各画素が色を示す色情報に対応づけられた入力画像データを、印刷解像度に対応するサイズにサイズ変換するサイズ変換手段と、
サイズ変換後の前記入力画像データを、各画素がインク量を示すインク量情報に対応づけられたインク量画像データに変換する色変換手段と、
前記インク量画像データを、各画素が前記吐出量情報に対応づけられたハーフトーンデータに変換するハーフトーン処理を実行するハーフトーン手段と、
を備え、
前記サイズ変換手段が前記入力画像データを縮小する場合には、前記サイズ変換後の前記入力画像データにおいて前記注目期間に属する前記吐出タイミングに対応する画素についての前記色情報を前記補正量に応じて補正する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御システム。 - 前記印刷制御データ生成手段は、
各画素がインク量を示すインク量情報に対応づけられたインク量画像データを、各画素が前記吐出量情報に対応づけられたハーフトーンデータに変換するハーフトーン処理を実行するハーフトーン手段、を備え、
前記ハーフトーンデータにおいて前記注目期間に属する前記吐出タイミングに対応する画素についての前記吐出可否情報を前記補正量に応じて補正する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御システム。 - 前記印刷制御データ生成手段は、
各画素がインク量を示すインク量情報に対応づけられたインク量画像データを、各画素が前記吐出量情報に対応づけられたハーフトーンデータに変換するハーフトーン処理を実行するハーフトーン手段、を備え、
前記補正量取得手段は、
前記ハーフトーン手段が前記注目期間に属する注目吐出タイミングに対応する注目画素についての前記ハーフトーン処理を実行するにあたり、前記注目吐出タイミングよりも前の前記吐出タイミングについての前記吐出量情報に基づいて前記補正量を取得し、
前記ハーフトーン手段は、前記注目画素についての前記インク量を前記補正量が大きいほど減少させた上で、前記注目画素についての前記ハーフトーン処理を実行する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御システム。 - ノズルから吐出させるインクの吐出量を指定する吐出量情報を、単一の印刷ジョブを印刷する印刷期間の複数の吐出タイミングごとに有する印刷制御データを生成する印刷制御データ生成工程と、
1以上の前記吐出タイミングによって構成される注目期間における前記ノズル内のインク濃度が増加するほど前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を大きく減少させる補正量を取得する補正量取得工程と、
を含み、
前記印刷制御データ生成工程において、前記補正量に応じて、前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を減少させた前記印刷制御データを生成する、
印刷制御方法。 - 単一の印刷ジョブを印刷する印刷期間においてノズルと記録媒体とを相対的に移動させ ノズルから吐出させるインクの吐出量を指定する吐出量情報を、単一の印刷ジョブを印刷する印刷期間の複数の吐出タイミングごとに有する印刷制御データを生成する印刷制御データ生成機能と、
1以上の前記吐出タイミングによって構成される注目期間における前記ノズル内のインク濃度が増加するほど前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を大きく減少させる補正量を取得する補正量取得機能と、
をコンピューターに実行させ、
前記印刷制御データ生成機能を実行することにより前記コンピューターは、前記補正量に応じて、前記注目期間に属する前記吐出タイミングにおいて前記ノズルが吐出させるインクの吐出量を減少させた前記印刷制御データを生成する、
印刷制御プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010017919A JP2011156676A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 印刷制御システム、方法およびプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010017919A JP2011156676A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 印刷制御システム、方法およびプログラム |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2010017919A Withdrawn JP2011156676A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 印刷制御システム、方法およびプログラム |
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JP (1) | JP2011156676A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013086412A (ja) * | 2011-10-20 | 2013-05-13 | Canon Inc | インクジェット記録システムおよびインクジェット記録方法 |
-
2010
- 2010-01-29 JP JP2010017919A patent/JP2011156676A/ja not_active Withdrawn
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