JP2011156224A - 高圧蒸気滅菌器 - Google Patents

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Abstract

【課題】異常な内圧上昇時における蓋のたわみ変形を防止することができる、医療用器具などが蒸気を用いて滅菌される高圧蒸気滅菌器を提供する。
【解決手段】開閉部材2と蓋3の複数の外周近傍個所3aとの間に間隔調整部5をそれぞれ設け、間隔調整部を開閉部材又は蓋のいずれか一方に、他方との間隔が可変するよう調整移動自在に支持することにより、開閉部材と蓋の複数の外周近傍個所とを間隔調整部を介してそれぞれ隙間なく当接させ、蓋の複数の外周近傍個所を開閉部材に対してそれぞれ位置ズレ不能に支持し、パッキン4を介して蓋をチャンバ1の開口縁1bに均一に密接させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば医療用器具などが蒸気を用いて滅菌される高圧蒸気滅菌器に関する。
詳しくは、チャンバの開口部を開閉自在に塞ぐ蓋の支持機構を改良した高圧蒸気滅菌器に関する。
従来、この種の高圧蒸気滅菌器として、被滅菌物が収納されるチャンバを有する滅菌器本体に、棒状の開閉部材が水平方向に開閉自在に支持され、この開閉部材の外側を覆うように扉が取り付けられるとともに、該開閉部材の内側に円板状の蓋が、その中心部に挿通したネジにより取り付けられ、この蓋の内側外周縁部に沿って設けた円周状の凹部にはパッキンが挿着され、前記開閉部材を水平方向に開閉動させることで、前記蓋がチャンバの開口部を塞ぎ、前記パッキンが前記チャンバの開口縁と圧接して該チャンバを密閉し、電源スイッチをオンにすると、チャンバに供給された水がヒータで暖められて蒸気となり、その体積が膨張してチャンバ内は加圧状態となるが、蓋に設けたパッキンによりチャンバ内の機密性が保たれているため、円滑に被滅菌物の滅菌を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−38178号公報
さらに、特許文献1のような高圧蒸気滅菌器は、滅菌後にチャンバ内の高圧蒸気をチャンバ外に排出することで、チャンバの内圧が外気圧と同じ程度まで減圧され、それにより蓋を開いても残留蒸気が噴出することなく、チャンバ内から滅菌済みの被滅菌物を安全に取り出せるようにしている。
また、高圧蒸気滅菌器の他の例として、真空ポンプなどを搭載し、前述した高圧蒸気による滅菌前の時点で、チャンバ内の空気を真空脱気してチャンバ外に排除することにより、チャンバ内を減圧し内外の圧力差を利用して、チャンバの開口縁と蓋体とがパッキンを介して密封されるようにしたものがある。
しかし乍ら、このような従来の高圧蒸気滅菌器では、開閉部材に対し蓋の中心部のみがネジ止めにより固定されるだけで、蓋の外周部は支持されていないため、チャンバ内において加圧と減圧が繰り返されると、その圧力変化に伴い蓋の外周部が該蓋の厚さ方向へたわみ変形するおそれがあった。
ところで、チャンバの内圧は、故障などが原因となって異常に上昇する可能性があり、この異常な内圧上昇によって蓋の外周部がたわみ変形し、この変形に伴って蓋の外周に配置したパッキンの周方向一部が、チャンバの開口縁から部分的に離れてしまうことがあった。
このパッキンの離れ個所は、チャンバの内圧上昇時に圧力が集中してかかるため、膨張して、その材料自体が弱くなり易く、それによりパッキンの寿命が短くなるとともに、最悪の場合には破裂するおそれもあった。
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、異常な内圧上昇時における蓋のたわみ変形を防止すること、簡単な構造で蓋のたわみ変形を防止すること、チャンバ減圧時における蓋のシール性を向上させること、などを目的とするものである。
このような目的を達成するために本発明は、被滅菌物が収納されて高圧蒸気を発生させるチャンバと、このチャンバの開口部に対し移動自在に設けられる開閉部材と、この開閉部材に取り付けられて前記チャンバの開口部を開閉自在に覆う蓋と、前記チャンバの開口縁又は前記蓋のいずれか一方に設けられて両者間を密閉するパッキンとを備え、前記開閉部材と前記蓋の複数の外周近傍個所との間に間隔調整部をそれぞれ設け、該間隔調整部を前記開閉部材又は前記蓋のいずれか一方に、他方との間隔が可変するよう調整移動自在に支持したことを特徴とする。
前述した特徴に加えて、前記間隔調整部が、前記蓋の複数の外周近傍個所へ向け突出して当接する押圧部と、前記開閉部材に対し傾斜状に摺動して前記押圧部の突出量を調整する調節部とを有することを特徴とする。
さらに前述した特徴に加えて、前記開閉部材に対し、前記蓋を該蓋の厚さ方向へ往復動自在に支持したことを特徴とする。
前述した特徴を有する本発明は、開閉部材と蓋の複数の外周近傍個所との間に間隔調整部をそれぞれ設け、該間隔調整部を前記開閉部材又は前記蓋のいずれか一方に、他方との間隔が可変するよう調整移動自在に支持することにより、開閉部材と蓋の複数の外周近傍個所とが間隔調整部を介してそれぞれ隙間なく当接し、それに伴い蓋の複数の外周近傍個所が開閉部材に対してそれぞれ位置ズレ不能に支持されるとともに、蓋がパッキンを介してチャンバの開口縁に均一に密接するので、異常な内圧上昇時における蓋のたわみ変形を防止することができる。
その結果、開閉部材に対し蓋の中心部のみがネジ止めして固定される従来のものに比べ、チャンバの内圧が故障などにより異常に上昇しても、蓋がたわみ変形せず、チャンバの内圧上昇時におけるパッキンにかかる圧力を分散させて、パッキンの寿命を延ばすことができるとともに、パッキンの破裂をも防止でき、それにより耐圧性能を向上させることができる。
さらに、前記間隔調整部5が、前記蓋3の複数の外周近傍個所3aへ向け突出して当接する押圧部5aと、前記開閉部材2に対し傾斜状に摺動して前記押圧部5aの突出量を調整する調節部5bとを有する場合には、調節部5bで開閉部材2に対し傾斜状に摺動して押圧部5aの突出量を調整することにより、押圧部5aが蓋3の複数の外周近傍個所3aにそれぞれ隙間なく圧接して、開閉部材2に向けそれぞれ位置決めされ、同方向へ位置ズレ不能に支持されるので、簡単な構造で蓋のたわみ変形を防止することができる。
その結果、間隔調整部の調整操作も容易になるため、作業が容易で初期設定を短時間で行うことができる。
さらに、パッキンの経年変化に伴ってヘタリが発生しても、調節部を再調整することにより、チャンバの開口縁と蓋との間を密閉することができて、圧力漏れの防止を図ることができる。
また、前記開閉部材に対し、前記蓋を該蓋の厚さ方向へ往復動自在に支持した場合には、チャンバ内の減圧時において、蓋がパッキンを圧縮変形させながらチャンバの開口縁に向け移動して密着するので、チャンバ減圧時における蓋のシール性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る高圧蒸気滅菌器の全体構成を示す説明図(蓋を開けた状態の外観斜視図と、蓋側の部分拡大縦断側面図)である。 蓋の閉動状態を示す説明図(縦断側面図であり、蓋側を実線で示し、チャンバ側を二点鎖線で示している)である。 正面から見た状態を示す説明図(一部切欠正面図)である。 平面から見た状態を示す説明図(横断平面図)である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る高圧蒸気滅菌器Aは、図1〜図4に示すように、被滅菌物が収納されるチャンバ(滅菌室)1と、このチャンバ1の開口部1aに対し移動自在に設けられる開閉部材2と、この開閉部材2に取り付けられてチャンバ1の開口部1aを開閉自在に覆う蓋3と、チャンバ1の開口縁1b又は蓋3のいずれか一方に設けられて両者間を密閉する弾性変形可能なパッキン4とを備え、チャンバ1の内部に水を溜め、この水をヒータ1cで加熱して飽和水蒸気の発生により、チャンバ1内を加圧及び加熱して滅菌温度にまで上昇させ、チャンバ1内の被滅菌物を高圧蒸気にて滅菌するものである。
チャンバ1の具体例としては、図1〜図4に示されるように、有底円筒状に形成され、その円形の開口部1aを覆う蓋3が円板状に形成され、蓋3の外周縁に沿ってチャンバ1の開口縁1bとするようにパッキン4を配置している。
また、その他の例として図示しないが、チャンバ1の開口部1aと蓋3を矩形やそれ以外の形状に形成したり、チャンバ1の開口縁1bにパッキン4を配置することも可能である。
開閉部材2は、例えば金属などの剛性材料で形成され、その一端をチャンバ1の外側に設けられる滅菌器本体A1の正面一側に対して、ヒンジ2hにより軸着するなどして開閉自在に支持し、開閉部材2の内面2aの略中央位置には、チャンバ1の開口部1a及び開口縁1bと対向するように蓋3が取り付けられている。
さらに、開閉部材2及び蓋3の外側には、滅菌器本体A1の正面を覆うように扉A2が一体的に取り付けられている。
また、開閉部材2の他端には、滅菌器本体A1の正面他側に対して、後述するロック手段6により蓋3が閉蓋状態で保持される。
蓋3は、例えば金属などの剛性材料でチャンバ1の開口部1aを覆う板状に形成され、蓋3の内面か又はそれと対向するチャンバ1の開口縁1bのいずれか一方に設けられるパッキン4によって、これら蓋3の内面とチャンバ1の開口縁1bとの間を気密状にシールしている。
さらに、蓋3は、開閉部材2に対して蓋3の厚さ方向へ往復動自在に支持することが好ましい。
これら開閉部材2と蓋3の複数の外周近傍個所3aとの間には、これら両者の間隔を調整する複数の間隔調整部5をそれぞれ設け、間隔調整部5を開閉部材2又は蓋3のいずれか一方に、他方との間隔が可変するよう調整移動自在に支持している。
間隔調整部5は、開閉部材2の内面2aから蓋3の外面3bにおける複数の外周近傍個所3aへ向け又はこれと逆向きへ突出して当接する押圧部5aと、この押圧部5aの突出量を調整する調節部5bを有し、この調節部5bの作動によって開閉部材2の内面2aと蓋3の外面3bにおける複数の外周近傍個所3aとの間隔をそれぞれ所定寸法に調節している。
これら調節部5bは、後述するロック手段6により蓋3を閉蓋し、さらにチャンバ1内を所定圧力に加圧した状態でそれぞれセットされるか、又は初期設定時には事前に得たデータに基づいてそれぞれセットされる。
間隔調整部5の具体例は、図1〜図4に示されるように、蓋3の外面3bとほぼ平行に対向して面接触する押圧部5aと、開閉部材2の内面2aに対し摺動自在に当接する傾斜面部5cとして、V字形に形成された楔状スペーサを採用することが好ましい。
この楔状スペーサは、傾斜面部5cを蓋3の厚さ方向と交差する方向、すなわち蓋3の外面3bと平行な方向へ調整移動する調節部5bを有し、この調節部5bを手動操作などで作動して開閉部材2の内面2aに対し傾斜面部5cを摺動させることにより、押圧部5aが複数の外周近傍個所3aにそれぞれ面接触するように蓋3の厚さ方向へ調整移動して、同方向へ複数の外周近傍個所3aをそれぞれ位置決めしている。
また、その他の例として図示しないが、開閉部材2の内面2a又は蓋3の外面3bにおける複数の外周近傍個所3aのいずれか一方に、先端に押圧部5aが形成されたスクリュー軸を回転自在に配置して、このスクリュー軸を調節部5bで蓋3の厚さ方向へ進退移動させたり、先端に押圧部5aが形成された例えばシリンダなどのアクチュエータを配置して調節部5bで蓋3の厚さ方向へ伸縮移動させたりすることも可能である。
さらに、調節部5bの作動も手動操作に代えて、それ以外にセンサーなどで蓋3の複数の外周近傍個所3aを位置検出し、この検出値に基づいて調節部5bを自動的に作動させることも可能である。
一方、開閉部材2の他端に設けられるロック手段6の具体例としては、図1〜図4に示されるように、扉A2の外側に配置されるハンドル6aと、このハンドル6aの回転操作により開閉部材2から滅菌器本体1へ向け回転自在に突出する摺動ピン6bと、滅菌器本体A1の正面他側に設けられて蓋3の閉動に伴い摺動ピン6bの軸方向先端が挿通されるロック孔6cと、摺動ピン6bの回転移動を規制するロック機構6dとを有している。
また、その他の例として図示しないが、ロック手段6として別な周知構造のものを採用することも可能である。
そして、チャンバ1には、チャンバ1内の空気や高圧蒸気などをチャンバ1外へ排除する排気手段(図示しない)を設けることが好ましい。
この排気手段としては、例えば真空ポンプなどが用いられ、被滅菌物の滅菌前において該排気手段を作動させることにより、チャンバ1内の空気がチャンバ1外へ排除されてチャンバ1内が減圧され、その後に行われる被滅菌物の滅菌工程で、高圧蒸気がチャンバ1内に行き渡り、被滅菌物の隅々まで浸透して充分な加熱が行えるようになる。
また、被滅菌物の滅菌後において該排気手段を作動させることにより、チャンバ1内に残留した空気がチャンバ1外へ放出されてチャンバ1内が減圧され、その後、蓋3を開いてもチャンバ1内から残留蒸気が噴出することなく、滅菌済みの被滅菌物を安全に取り出せるようになる。
このような高圧蒸気滅菌器Aによると、ロック手段6により蓋3を閉蓋し、さらにチャンバ1内が加圧された状態で、開閉部材2の内面2aと蓋3の外面3bにおける複数の外周近傍個所3aとが間隔調整部5を介してそれぞれ隙間なく当接し、それに伴い蓋3の外面3bにおける複数の外周近傍個所3aが開閉部材2の内面2aに対してそれぞれ位置ズレ不能に支持されるとともに、蓋3がパッキン4を介してチャンバ1の開口縁1bに均一に密接する。
それにより、チャンバ1の内圧が例えば故障などにより異常に上昇しても蓋3のたわみ変形を防止することができる。
次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例は、図1〜図4に示すように、開閉部材2が剛性材料からなる板材を枠組みすることで横長の矩形状に形成され、この剛性枠体の内面2aに形成される傾斜面に対し、間隔調整部5として複数の楔形スペーサをそれぞれの傾斜面部5cが摺接するように配置し、調節部5bとして設けたネジの手動による回転操作で、各楔形スペーサの傾斜面部5cを蓋3の外面3bと平行な方向へ調整移動することにより、それぞれの押圧部5aが蓋3の厚さ方向へ往復動するようにしている。
図1〜図4に示される例では、開閉部材2となる剛性枠体に4つの間隔調整部5が、蓋3の外面3bにおける4つ外周近傍個所3とそれぞれ対向するように配置され、これら間隔調整部5に調節部5bとして設けられるネジの手動による回転操作で、開閉部材2の傾斜した内面2aに対し、各楔形スペーサの傾斜面部5cを上下方向へ摺動させている。
その他の例として図示しないが、開閉部材2に3つ又は5つ以上の間隔調整部5を配置したり、調節部5bの手動操作で、間隔調整部5の楔形スペーサの傾斜面部5cを、蓋3の中心部へ向けて摺動させるなど、間隔調整部5を上下方向以外の方向へ調整移動させることも可能である。
さらに、開閉部材2となる剛性枠体の内部には、支持体2bが配置され、この支持体2bに開穿された長孔2cに対し支軸2dを挿通することで、支持体2bが蓋3の厚さ方向へ往復動自在に支持されている。
また、支持体2bと蓋3の中心部に亘って例えばボルトなどの締結軸2eが挿通され、この締結軸2eの先端を支持体2bに螺着するなどにして固定することにより、蓋3が開閉部材2に対して蓋3の厚さ方向へ往復動自在に支持されている。
調節部5bとして設けられるネジは、間隔調整部5となる楔形スペーサの基部5dに開設された通孔5eに遊転自在に挿通されて回転自在であるが進退不能に支持され、その先端を楔形スペーサの基部5dに開設されたネジ孔2fに進退自在に螺合させている。
図1〜図4に示される例では、間隔調整部5となる楔形スペーサの通孔5eに対し、調節部5bとなるネジを回転自在であるが進退不能に支持するための手段として、楔形スペーサの基部5dと開閉部材2の表面2gとの間に、例えばバネなどの弾性部材5fを介装している。
その他の例として図示しないが、バネなどの弾性部材5fに代えて、軸の移動を防ぐ止め輪などを調節部5bとなるネジに装着することにより、間隔調整部5となる楔形スペーサの通孔5eに回転自在であるが進退不能に支持することも可能である。
また、滅菌器本体A1の正面他側には、コントロールパネル7が設けられ、このコントロールパネル7には、電源スイッチ7a、滅菌工程を開始する作動スイッチ7b、チャンバ1内の圧力及び温度を表示する圧力計7c、滅菌温度・滅菌時間・乾燥時間などを表示するデジタル表示部7d、滅菌温度や時間などの設定キー7eなどが配置されている。
次に、斯かる高圧蒸気滅菌器Aにおける蓋3の調整方法及びそれによる作用効果について説明する。
先ず、チャンバ1の開口部1aに向けて蓋3を閉動し、ロック手段6により蓋3がパッキン4を介してチャンバ1の開口縁1bに密着された閉蓋状態で、チャンバ1内に高圧蒸気を充満させて加圧状態にすると、蓋3全体は開閉部材2に向けて押圧される。
この加圧時において、間隔調整部5の調節部5bとなるネジを手動で回転操作すると、開閉部材2の傾斜した内面2aに対して、楔形スペーサの傾斜面部5cが上下方向へ摺動し、その押圧部5aが蓋3の厚さ方向へ調整移動して、蓋3の外面3bにおける外周近傍個所3aに面接触する。
必要に応じて、調節部5bとなるネジのうち全て又はいくつかを回転操作すると、全ての押圧部5aが、蓋3の外面3bにおける複数の外周近傍個所3aにそれぞれ隙間なく面接触する。
この際、いくつかの押圧部5aにより蓋3の外面3bに対して開閉部材2を全体的に蓋3の厚さ方向へ調整移動させる必要がある場合には支持体2bの長孔2cに沿って支軸2dが移動することで、開閉部材2が全体的に蓋3の厚さ方向へ調整する。
それにより、これら蓋3の複数の外周近傍個所3aは、間隔調整部5の押圧部5aによって開閉部材2の内面2aに向けそれぞれ位置決めされ、同方向へ位置ズレ不能に支持される。
それに伴い、チャンバ1の内圧が例えば故障などにより異常に上昇しても蓋3の外周部が部分的に開閉部材2へ向けてたわみ変形せず、蓋3の外周部がパッキン4を介してチャンバ1の開口縁1bに均一に密接する。
実験によれば、本実施例の高圧蒸気滅菌器Aと、同径で同じ厚さの蓋3の中心部のみが開閉部材2にネジ止めで固定される従来の高圧蒸気滅菌器を用いて耐圧テストを行ったところ、本実施例の高圧蒸気滅菌器Aにおけるチャンバ1の内圧を、従来の高圧蒸気滅菌器で蓋3の外周部に部分的なたわみ変形が発生し易い内圧よりも遙かに高くしても、蓋3の外周部に部分的なたわみ変形が発生しないことを確認できた。
その結果、本実施例の高圧蒸気滅菌器Aでは耐圧性能を向上させることができた。
また、楔形スペーサの押圧部5aは、その面積を広くできるため、楔形スペーサの数が少なくても安定した間隔保持が可能となる。
さらに、例えば被滅菌物の滅菌前において滅菌室1内に残留する空気が、例えば真空ポンプなどの排気手段により、チャンバ1外へ排除されることでチャンバ1内が減圧されると、蓋3全体はチャンバ1の開口部1aに向けて吸引される。
その際には、開閉部材2の支軸2に対して、支持体2bの長孔2cが蓋3の厚さ方向へ移動するとともに、必要に応じて支持体2bと共に蓋3が支軸2dを中心として若干首振り移動する。
それにより、蓋3がパッキン4を圧縮変形させながらチャンバ1の開口縁1bに向け移動して密着する。
その結果、チャンバ1の減圧時において蓋3のシール性を向上させることができるという利点がある。
また、その後、チャンバ1内が加圧状態になっても、前述した作用が繰り返されるだけで、蓋3の外周部がチャンバ1内の加圧によって部分的に開閉部材2へ向けてたわみ変形しない。
ところで、パッキン4は、経年変化に伴ってヘタリが発生し、それにより、チャンバ1の開口縁1bと蓋3との間に隙間ができて圧力漏れが生じる可能性がある。
このような状況であっても、調節部5bとなるネジのうち全て又はいくつかを回転操作して押圧部5aを調整移動させることにより、チャンバ1の開口縁1bと蓋3との間を密閉することができて、圧力漏れの防止を図ることができるという利点がある。
なお、前示実施例では、開閉部材2として剛性板材が横長の矩形状に枠組みされた剛性枠体を採用したが、これに限定されず、開閉部材2を十字状やその他の形状に形成しても良い。
1 チャンバ 1a 開口部
1b 開口縁 2 開閉部材
3 蓋 3a 外周近傍個所
4 パッキン 5 間隔調整部
5a 押圧部 5b 調節部

Claims (3)

  1. 被滅菌物が収納されるチャンバと、
    このチャンバの開口部に対し移動自在に設けられる開閉部材と、
    この開閉部材に取り付けられて前記チャンバの開口部を開閉自在に覆う蓋と、
    前記チャンバの開口縁又は前記蓋のいずれか一方に設けられて両者間を密閉するパッキンとを備え、
    前記開閉部材と前記蓋の複数の外周近傍個所との間に間隔調整部をそれぞれ設け、該間隔調整部を前記開閉部材又は前記蓋のいずれか一方に、他方との間隔が可変するよう調整移動自在に支持したことを特徴とする高圧蒸気滅菌器。
  2. 前記間隔調整部が、前記蓋の複数の外周近傍個所へ向け突出して当接する押圧部と、前記開閉部材に対し傾斜状に摺動して前記押圧部の突出量を調整する調節部とを有することを特徴とする請求項1記載の高圧蒸気滅菌器。
  3. 前記開閉部材に対し、前記蓋を該蓋の厚さ方向へ往復動自在に支持したことを特徴とする請求項1又は2記載の高圧蒸気滅菌器。
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