JP2011155919A - ノロウイルス検出用材料および該材料を用いるノロウイルスの検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリカゲルを含むノロウイルス検出用材料を得て、試料に含まれる夾雑物を該材料に吸着させることによるノロウイルスの検出方法を提供する。
【選択図】なし
Description
(1)細孔容積が0.2〜2.5ml/g、比表面積が20〜900m2/g、平均細孔径が1〜1000nmであるシリカゲルを含むノロウイルス検出用材料。
(2)細孔容積が1.0〜1.8ml/g、比表面積が100〜700m2/g、平均細孔径が5〜50nmであるシリカゲルを含むノロウイルス検出用材料。
(3)上記(1)または(2)に記載のノロウイルス検出用材料を用いるノロウイルス検出方法。
(4)試料に含まれる夾雑物を上記(1)または(2)に記載のノロウイルス検出材料に吸着させ、ノロウイルス検出のための前処理を行う上記(3)に記載のノロウイルス検出方法。
(5)上記(4)に記載の前処理を行った後の試料を用い、該試料に含まれるノロウイルスのRNAを鋳型として、PCR法によって増幅させることによる上記(3)に記載のノロウイルス検出方法。
(1)予めpHの調整されているシリカゾルを、これとは非親和性の油のような媒体中に懸濁させ、懸濁中にゲル化させる方法。
(2)シリカゾルを噴霧してシリカヒドロゲルとする方法、すなわちシリカゾルを空気中に一定の流速で飛散させて液滴化した後、ゲル化させる方法。
(1)または(2)によって得られた球状シリカヒドロゲルに含まれている可溶性塩は水洗によって除去し、これを箱型乾燥装置、回転乾燥装置等により乾燥する。
シリカヒドロゲルの球状化は前記の他、シリカヒドロゲルを湿式粉砕処理した後、シリカヒドロゲルと水のスラリーを噴霧乾燥することにより得られる。またシリカキセロゲルを粉砕した微粉末シリカゲルを水に分散したスラリーを噴霧乾燥してもよい。スラリーはバインダーを使用してもよいし、pHを調整し噴霧しやすい粘度に調製してもよい。さらに造粒装置等により球状化することも出来る。球状シリカゲルの製造方法の一例を図2に示した。
本発明の「ノロウイルス検出用材料」は、そのまま、またはカラム等に詰めた形状で、ノロウイルスの検出方法に用いることができる。本発明の「ノロウイルス検出用材料」を含むカートリッジカラム、シリンジフィルター、フィルターチップまたはディスク等は、例えば「ノロウイルス検出器材」として用いることができる。
なお、本発明の「ノロウイルス検出用材料」は、ノロウイルス以外のアデノウイルスやポリオウイルス等のウイルスにおいても、試料に含まれる夾雑物を吸着させることで、試料中のウイルスの検出感度の向上のために用いることができる。
これらの試料に含まれる夾雑物としては、試料に含まれるノロウイルスの検出感度を下げる物質であればいずれの物質も該当するが、例えば、粘液や腐植酸などの多糖類、タンパク質、色素、グリコーゲン等が挙げられる。
タンパク質については、従来、蛋白分解酵素(プロナーゼなど)や、SDSやtween 20などのタンパク質変成剤などで、試料から除く方法が行われているが、カキや環境水に適応しても良好な検出率を得られておらず、本発明の「ノロウイルス検出用材料」の方が高い効率でタンパク質を除くことができ好ましい。
本発明において行うPCR法は、RT−PCR法、リアルタイムPCR法等のいずれの方法であってもよく、LoopampノロウイルスGI検出試薬キットやLoopamp
ノロウイルスGII検出試薬キット等の市販のキットを用いて行ってもよい。
本発明の「ノロウイルス検出方法」においてはさらに、増幅されたノロウイルスのRNAを用いて、ノロウイルスを特定する対象配列を検出することも含むことができる。ノロウイルスを特定する対象配列としては、公開されているノロウイルスの配列情報(例えば、参考文献参照)に基づいて設計されたプライマーなどが挙げられる。
参考文献:Kageyama et al. (2003) J. Clin. Microbiol. 41: 1548−1557
1.シリカゲルの調製
ケイ酸ソーダ(SiO2:20重量%)に硫酸(12N)を混合機中で反応させ、過剰酸濃度1Nのシリカヒドロゾルを調製した。これを室温にて放置しゲル化させた。得られたシリカヒドロゲルをpH7.5、水温40℃で水洗し、硫酸ナトリウムを除去した後、pH2−8、温度20−100℃の水中で水熱処理した。このシリカヒドロゲルを80−100℃で3時間、箱型乾燥装置(田葉井製作所製 SAFETY OVEN SHPS−212)で乾燥してシリカゲルとしたのち、粉砕機(ホソカワミクロン(株)製マイクロACMパルベライザー)により粒度調整を行い、破砕状シリカゲルとして微粒子シリカゲルAまたは微粒子シリカゲルBを得た。
本発明における各物性は下記により求めた。
比表面積は簡便窒素吸着法(柴田科学器工業(株)製迅速表面積測定装置SA−1000)により測定した。細孔容積は窒素吸着法により求めた。
平均細孔径(nm)は次式により求めた。
平均細孔径=4,000×細孔容積/比表面積
上記にて調製した微粒子シリカゲルA〜Cのそれぞれの物性を表1に示した。
上記1.で製造した微粒子シリカゲルAまたはBをそのまま本発明のノロウイルス検出用材料とした。
実施例1で作製したノロウイルス検出用材料を用いて試料に含まれるノロウイルスを検出した。
1)海水試料
中国または九州各地の河口付近で採取した海水(採取:2008年1月〜2009年2月)を、それぞれ0.45ないしは0.7ミクロンのフィルターでろ過し、200〜2000mL用いて、加圧(0.1kg/cm2)しながら限外ろ過膜(分画分子量100,000)で限外ろ過した。これにより、海水中に含まれるウイルス画分が濃縮された海水試料1〜7をそれぞれ5〜18mLを得た。
このように調製した海水試料を、調製当日にノロウイルスの検出に用いないで保存する場合には、採取した段階の海水にクロロホルムを適宜添加することで、数週間以上冷蔵保存が可能であり、ノロウイルスの検出に用いることができる。
なお、限外ろ過は、ノロウイルスの限外ろ過膜への非特異的吸着を防止するために、0.05%の牛血清アルブミンに1分間浸して膜面をブロッキングしてから用いた。また、ノロウイルスは安定なウイルスなので、室温で濃縮を行った。
このろ過液および未処理の海水試料(コントロール)を、それぞれ分画分子量200,000の簡易型限外ろ過器(アドバンテック社製、USY−20)に供してすべて通水し、ノロウイルスを膜上に捕捉した。
全10個体の生鮮養殖マガキの中腸腺を摘出し、8倍容のリン酸緩衝液(pH 7.4)を加えてブレンダーで攪拌して乳剤とした。この乳剤を12,000 rpmで5分間遠心分離し、上清を0.45μmのフィルターでろ過してウイルス画分を含むマガキ中腸腺試料を得た。
このように調製したマガキ中腸腺試料は、海水試料と同様に、乳剤とした段階でクロロホルムを適宜添加することにより、数週間以上冷蔵保存が可能であり、ノロウイルスの検出に用いることができる。
上記1)および2)において膜上に捕捉された各ウイルス画分からウイルス由来のRNAを抽出した。
即ち、0.14 mLのDPEC処理水を添加して膜上に補足されたウイルスを懸濁したのち、RNA抽出キット(QIamp Viral RNA Mini Kit;キアゲン社製)を用いてウイルスの遺伝子を抽出した。抽出されたRNA溶液の最終容量は0.05mLであり、海水試料1〜7における濃縮係数はそれぞれ4,000−10,000倍であり、マガキ中腸腺試料における濃縮係数は32倍であった。
ト(以下、GIIと示す)(いずれも栄研化学株式会社)を用い、常法に従って反応試薬を混合し、反応温度は63℃で、70分間測定を行い、0.1秒間隔で吸光度のデータを記録した。テラメックス社製のリアルタイム濁度計(LA−200)で検出を行った。この検出方法では、試料中にノロウイルスが存在すると、明瞭な濁度の上昇が認められる。
なお、海水試料5〜7より得たRNA溶液は、1倍(1/1)、5倍(1/5)または10倍(1/10)となるように希釈したものを用いて同様に検出を行った。
本発明のノロウイルス検出用材料を用い、検出されたノロウイルスGIおよびGIIについて、ノロウイルスの検出時間および検出されたノロウイルスのRNA量を調べた(表2〜5)。
その結果、表2、3および5に示すように、海水試料およびカキ中腸試料において、本発明のノロウイルス検出用材料(微粒子シリカゲルA)を用いて処理することにより、未処理のもの(コントロール)や比較として用いた微粒子シリカゲルCまたはケイソウ土で処理したものと比べて、短い時間でノロウイルスが検出でき、検出できるノロウイルスのRNA量も多いことが確認できた。
また、表4に示すように、海水試料を希釈した場合においても、本発明のノロウイルス検出用材料(微粒子シリカゲルA)で処理したものは、5倍希釈した試料を用いた場合でもノロウイルスが検出できた。比較としてケイソウ土で処理したものは、5倍希釈ではノロウイルスがほとんど検出できておらず、検出時間も長いことから、本発明のノロウイルス検出用材料(微粒子シリカゲルA)を用いて処理することにより、未処理のもの(コントロール)や比較として用いたケイソウ土で処理したものと比べて、5倍以上検出感度が高められることが確認できた。
これらの結果より、本発明のノロウイルス検出材料を用いることにより、試料に含まれる夾雑物を高い吸着率で吸着させ、取り除くことにより、ノロウイルスの検出感度が高められることが確認された。
Claims (5)
- 細孔容積が0.2〜2.5ml/g、比表面積が20〜900m2/g、平均細孔径が1〜1000nmであるシリカゲルを含むノロウイルス検出用材料。
- 細孔容積が1.0〜1.8ml/g、比表面積が100〜700m2/g、平均細孔径が5〜50nmであるシリカゲルを含むノロウイルス検出用材料。
- 請求項1または2に記載のノロウイルス検出用材料を用いるノロウイルス検出方法。
- 試料に含まれる夾雑物を請求項1または2に記載のノロウイルス検出材料に吸着させ、ノロウイルス検出のための前処理を行う請求項3に記載のノロウイルス検出方法。
- 請求項4に記載の前処理を行った後の試料を用い、該試料に含まれるノロウイルスのRNAを鋳型として、PCR法によって増幅させることによる請求項3に記載のノロウイルス検出方法。
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