JP2011155572A - 画像読取装置の画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のイメージセンサ13を千鳥状に配置し、かつ隣り合うイメージセンサ同士を一部オーバーラップさせて配置し、原稿20の画像を読み取る画像読取装置10の画像処理方法であって、各イメージセンサから出力する画像データに対して黒補正・白補正を行うステップと、黒補正・白補正がされた各画像データに対して副走査方向のずれの補正を行うステップと、副走査方向のずれが補正された各画像データに対して、オーバーラップした領域同士の画素値の平均値が一致するように各イメージセンサによる画像データの全画素値に各イメージセンサに応じたゲインを乗算し、画像の明るさを補正するステップと、明るさ補正された各画像データを結合して画像を再生するステップとを有する。
【選択図】図1
Description
図3は、このような画像読取装置の構成を示している。
この画像読取装置では、固定した画像読取装置10に対して原稿(紙)20が搬送されるか、もしくは原稿20が固定で、画像読取装置10が原稿20上をスキャンする。
この際、画像読取装置10内部の図示しないランプやLEDなどの光源から発せられた照明光11により原稿20が照明され、原稿20で反射・散乱された光がレンズ等の読取光学系12を通って、イメージセンサ13上に結像される。
結像された光はイメージセンサ13の受光素子によって、画像データとして図示しないメモリに出力される。
イメージセンサ13から出力される画像データは、原稿20の搬送と共に順次時系列でメモリに取り込まれていき、原稿20全体の画像データが取得される。
隣接するイメージセンサ13同士は、主走査方向(原稿の搬送方向と直交する方向)で一部オーバーラップするように、基板14上に千鳥状に配置されている。
なお、図3では、1番目、2番目、・・・、n番目、・・・、z番目の複数個のイメージセンサ13が、千鳥状に配置されている様子を示している。
イメージセンサ13の画像データのうち、隣接するイメージセンサ13の画像データとオーバーラップする部分を、オーバーラップ領域と呼ぶ。
ライン状のイメージセンサ13は、原稿20の搬送方向に直交するように配置されている。
そのため、イメージセンサ13から出力される画像データ(以降、イメージセンサから出力される画像データを「初期画像」とも呼ぶ)は、図4(a)に示すように原稿20を主走査方向に裁断した短冊型の画像データになる。
なお、図4(a)において、n番目、n+1番目、n+2番目・・・とあるのは、n番目のイメージセンサ13、n+1番目のイメージセンサ13、n+2番目のイメージセンサ13・・・から出力される画像データ(初期画像)である。
実際には、原稿20を読み取りながらリアルタイムで図4の処理(フロー)が行われるため、副走査方向(図3参照:原稿の搬送方向と逆の方向)のデータサイズは数画素分のみであり、原稿20の搬送に従い、処理の確定した画像データを一画素分削除し(メモリから例えばプリンタ等の外部へ出力し)、新たに読み込まれた画像データを一画素分追加しながら、順次画像結合処理が行われていく。
イメージセンサ13より出力された初期画像に対して、処理Aとして、黒補正と白補正(シェーディング補正)を行う。
黒補正とは、「得られている初期画像の画素値(赤(R)・緑(G)・青(B)の信号強度)から、照明光11が無く読取光学系12が暗室状態にある時のイメージセンサ13の出力(バックグラウンド)を差し引く補正」である。このバックグラウンドは、原稿読取前に事前に取得(測定)しておく。
このゲインは、原稿読取前に事前に白基準板15を読み(測定し)、R・G・Bそれぞれ個別に算出しておく。
白補正では、照明光11の主走査方向照度分布(図3参照)、読取光学系12の周辺光量比、およびイメージセンサ13の各受光素子の感度など、「真っ白な原稿20の読取時に真っ白として画像データを出力しない全ての誤差要因」を同時に補正する。
処理A(黒補正・白補正)によって、均一な明るさ(輝度・濃度)の原稿20を読んだ時に、均一な明るさの再生画像(複写画像)が得られるようになる(特許文献2、3参照)。
なお、図4(b)は、処理A後の画像を示している。
これらバックグラウンドとゲインは、全イメージセンサ13の各受光素子、つまり全画像データの主走査方向の画素の一つずつが、それぞれ固有の値を有している。
後述するように、各イメージセンサ13の原稿20上における読取位置16が副走査方向にばらついているため、各イメージセンサ13からの初期画像は、図4(a)や図4(b)に示すように、同時刻(同タイミング)のデータで見れば、画像(絵)としては副走査方向にずれていることになる。
次の処理Cにて、各イメージセンサ13の画像データを滑らかに繋ぎ合わせるため、この副走査方向のずれ量を補正し、隣接する画像データ間で副走査方向の位置合わせを行う必要がある。
副走査方向の位置合わせには、画像データ中のオーバーラップ領域を利用する。
隣り合う画像データのオーバーラップ領域には、原稿20面上の同じ箇所の情報が含まれており、各画像データを副走査方向に移動させて、オーバーラップ領域同士の濃淡模様を合わせることによって、副走査方向のずれを補正する(特許文献4参照)。
副走査方向の位置合わせが行われた隣接する画像データ間において、オーバーラップ領域の画素値に対し種々の演算が行われる(特許文献5参照)。
これにより、各イメージセンサ13からの画像データが主走査方向に繋ぎ合わされて、一つの画像となる。
複数個のイメージセンサを用いた画像読取装置では、このような画像結合処理によって再生画像(複写画像)が得られる。
例えば、均一な明るさの原稿20を読んだ時に、処理A後で各画像データが均一な明るさになっていない場合がある。
このような場合、処理C後にも主走査方向に実際の原稿20には無い「明暗の縞」が現れ、得られる再生画像は、原稿20の画像に忠実ではない「品質の低い画像」となってしまう。
(a)搬送された原稿20の読取光学系12からの高さ・距離が、白補正に用いた白基準板15と同じでない。[設計的制約による]
(b)読取光学系12からの高さ・距離によって、照明光11の主走査・副走査方向の照度分布が変化する。[設計的制約による]
(c)千鳥状に配置された2つの列のイメージセンサ13(図3に示した奇数番目のイメージセンサ13と偶数番目のイメージセンサ13)の原稿20面上における読取位置16は、副走査方向に2つの列を成しており、その2つの列の中心に対して、照明光11の副走査方向照度分布の中心がずれている。[製造誤差による]
(d)各イメージセンサ13の原稿20面上における読取位置16が、副走査方向にばらついている。[製造誤差による]
(特に奇数番目のイメージセンサ13と偶数番面のイメージセンサ13の読取位置16は、上記(c)に記載のとおり副走査方向に分離している。)
特に、原稿20の副走査方向の両端部周辺は、原稿20の搬送方向の上流側と下流側に位置する搬送ローラ(図示せず)において、上流側もしくは下流側の片側のみでの搬送となるため、読取光学系12からの高さ・距離が変化しやすい。
上記(d)に関しては、図3において読取光学系12の光軸を傾け、奇数番目のイメージセンサ13と偶数番目のイメージセンサ13とで、原稿20面上における読取位置16を副走査方向に一致させた画像読取装置(図示せず)も存在する。
これら(a)〜(d)の要因が複合すると、原稿読取時の各イメージセンサ13の読取位置16における照度が白補正時とは異なり、また、その照度変化は、全てのイメージセンサ13で一様にはならない。
そのため、前述した画像データ全体の明るさを均一化する白補正を行っても、得られる再生画像には主走査方向に明暗の縞が現れてしまい、品質の低い画像となる。
また、特許文献2あるいは特許文献3に記載されているような、何らかの基準チャート(テストチャート)による補正を行っても、「原稿搬送中において読取光学系12からの距離が変化する」あるいは「基準チャートと厚みが異なる原稿20では読取光学系12からの距離が異なる」といった要因のため、問題点(課題)の解決は容易でない。
実施の形態1.
前掲した図3は、本願発明による画像処理方法が適用される画像読取装置の構成も示している。
背景技術の項での説明と重複するが、本発明が適用される画像読取装置の構成について再度説明しておく。
前述したように、画像読取装置10では、固定した装置10に対して原稿(紙)20が搬送されるか、もしくは原稿20側が固定で、画像読取装置10が原稿20上をスキャンする。
そして、画像読取装置10内部の図示しないランプやLEDなどの光源から発せられた照明光11により原稿20が照明され、原稿20で反射・散乱された光がレンズ等の読取光学系12を通って、イメージセンサ13上に結像される。結像された光はイメージセンサ13の受光素子によって、画像データとして図示しないメモリに出力される。
イメージセンサ13から出力される画像データは、原稿20の搬送と共に順次時系列でメモリに取り込まれていき、原稿20全体の画像データが取得される。
隣接するイメージセンサ13同士は、主走査方向に一部オーバーラップするように、基板14上に千鳥状に配置されている。
イメージセンサ13の画像データのうち、隣接するイメージセンサ13の画像データとオーバーラップする部分を、オーバーラップ領域と呼ぶ。
背景技術の項で説明したように、ライン状のイメージセンサ13は、原稿20の搬送方向に直交するように配置されているため、イメージセンサ13から出力される画像データ(初期画像)は、図1(a)に示すように原稿20を主走査方向に裁断した短冊型の画像データになる。
なお、図1(a)において、n番目、n+1番目、n+2番目・・・とあるのは、n番目のイメージセンサ13、n+1番目のイメージセンサ13、n+2番目のイメージセンサ13・・・から出力される画像データ(初期画像)である。
実際には、原稿20を読み取りながらリアルタイムで図1の処理(フロー)が行われるため、副走査方向のデータサイズは数画素分のみであり、原稿20の搬送に従い、処理の確定した画像データを一画素分削除し(メモリから例えばプリンタ等の外部へ出力し)、新たに読み込まれた画像データを一画素分追加しながら、順次画像結合処理が行われていく。
イメージセンサ13より出力された初期画像に対し、処理Aとして、黒補正と白補正(シェーディング補正)を行う。
前述したように、黒補正とは、「得られている初期画像(すなわち、イメージセンサ13から出力された画像データ)の画素値(赤(R)・緑(G)・青(B)の信号強度)から、照明光11が無く読取光学系12が暗室状態にある時のイメージセンサ13の出力(バックグラウンド)を差し引く補正」である。このバックグラウンドは、原稿読取前に事前に取得(測定)しておく。
このゲインは、原稿読取前に事前に白基準板15を読み(測定し)、R・G・Bそれぞれ個別に算出しておく。
白補正では、照明光11の主走査方向照度分布、読取光学系12の周辺光量比、およびイメージセンサ13の各受光素子の感度など、「真っ白な原稿20の読取時に真っ白として画像データを出力しない全ての誤差要因」を同時に補正する。
処理A(黒補正・白補正)によって、均一な明るさ(輝度・濃度)の原稿20を読んだ時に、均一な明るさの再生画像(複写画像)が得られるようになる。
しかし、実際には、前述した(a)〜(d)の要因により、画像データ全体の明るさを均一化する補正を行っても、主走査方向に明暗の縞が現れた再生画像となる。
図1(b)は、処理A後の画像を示している。
これらバックグラウンドとゲインは、全てのイメージセンサ13の各受光素子、つまり全画像データの主走査方向の画素の一つずつが、それぞれ固有の値を有している。
各イメージセンサ13の原稿20上における読取位置16(図3参照)は、副走査方向にばらついているため、各イメージセンサ13からの初期画像は、図1(a)や図1(b)に示すように、同時刻(同タイミング)のデータで見れば、画像(絵)としては副走査方向にずれていることになる。
なお、処理A(黒補正・白補正)と処理B(副走査方向のずれ補正)は、前述した背景技術における処理Aと処理Bと同じ処理である。
本実施の形態では、図4に示した処理Bと処理Cの間に処理D(明るさ補正)を有していることを特徴とする。
この処理B後の画像データに対し、オーバーラップ領域を利用して、各画像データ間の全体的な明るさ(輝度)を合わせるための処理Dを行う。
その後、処理D後の画像データに対し、処理C(結合作業)を行う。
処理A、処理B、処理Dおよび処理Cでは、前述したとおり、実際には原稿20を読み取りながらリアルタイムに処理(フロー)が行われるため、副走査方向のデータサイズは数画素分のみである。
図1(c)に示すように、「n番目のイメージセンサ13による画像データIn」中の「n+1番目のイメージセンサ13による画像データIn+1」側のオーバーラップ領域をRnとする。一方、画像In+1中の画像In側のオーバーラップ領域をLn+1とする。
前述したように、原稿20を読み取りながら順次画像結合処理されるので、前記オーバーラップ領域Rn、Ln+1は、共に「(主走査方向数十画素)×(副走査方向十画素)程度のサイズ」である。
処理Bによって画像Inと画像In+1は副走査方向のずれが補正されているため、オーバーラップ領域Rn、Ln+1は原稿20の面上では全く同じ領域のデータのはずであり、その明るさ(画素値)においても同じでなくてはならない。
同様に、領域Ln+1におけるR・G・Bそれぞれの画素値の平均値を求めて、それぞれALn+1(R)、ALn+1(G)、ALn+1(B)とする。
R・G・Bそれぞれにおける比をαn+1(R)、αn+1(G)、αn+1(B)とすると、これらは下記の式(1)で表される。
すなわち、画像In+1を構成する全画素値に対して、R・G・Bのそれぞれを、αn+1(R)倍、αn+1(G)倍、αn+1(B)倍すれば、画像In+1の明るさが画像Inの明るさに一致する。
これにより、n+2番目のイメージセンサ13による画像In+2の明るさを画像Inの明るさに合わせるための倍率は、R・G・Bそれぞれαn+1(R)×αn+2(R)、αn+1(G)×αn+2(G)、αn+1(B)×αn+2(B)となる。
すなわち、1番目のイメージセンサ13による画像I1の明るさを基準に、全てのイメージセンサ13における画像の明るさを合わせることができる。
例えばm番目の画像Imの倍率は、R・G・Bそれぞれ次の式(2)のようになる。
このため、全画像データ中の最も明るい画像基準で明るさ補正を行うのが望ましい。
イメージセンサ13が1番目からz番目まであるとして、例えば、R(赤)において、β1(R)〜βz(R)のうち最小値をβmin(R)とする。
同様に、G(緑)、B(青)においても、最小値をβmin(G)、βmin(B)とする。
m番目の画像Imの明るさを最も明るい画像に合わせるための補正倍率は、R・G・Bそれぞれ以下の式(3)のようになる。
このため、補正倍率γm(R)、γm(G)、γm(B)は、画像Imを構成する全画素値に対してではなく、副走査方向一画素分の画像データ(例えば、副走査方向にスタック(stack)されている画像データのうち、最も前に読み込まれた一画素分)に対してのみ、R・G・Bそれぞれ乗算する。
そして、新たに副走査方向の一画素分の画像データが読み込まれれば、新しい補正倍率γm(R)、γm(G)、γm(B)を算出する。
原稿20の搬送に従い、順次この処理を繰り返していく。
すなわち、実施の形態1に係る画像結合処理によれば、何らかの特別なハードウェアの追加、特殊な基準チャートによる原稿読取前の事前の補正を行うことなく、オーバーラップ領域を利用して各イメージセンサ13の画像データ間の全体的な明るさ(輝度)を合わせる処理Dにより、「主走査方向の明暗の縞」の発生を抑えた「原稿20により忠実な再生画像」を、原稿20から読み取った画像データから直接得ることができる。
これにより、処理Dにおいて、全画像データ中、画素値の最大値(例えば8ビット画像では255、10ビット画像では1023)を超える画素が発生することがある。
この画素については、カウンターストップし、最大値に固定するようにする。
また、処理D(明るさ補正)におけるオーバーラップ領域として、副走査方向のサイズを一画素で行うことも可能だが、ノイズ成分によりARn(R)、ARn(G)、ARn(B)、ALn+1(R)、ALn+1(G)、ALn+1(B)、すなわち補正倍率γm(R)、γm(G)、γm(B)の精度が低くなってしまう。
このため、副走査方向は複数画素を用いるのが望ましい。
前記イメージセンサ13より出力される各画像データに対し、黒補正および白補正を行う黒補正・白補正処理ステップ(処理A)と、前記黒補正・白補正処理ステップにて補正された補正後の各画像データに対して、これらが滑らかに繋ぎ合わせられるように副走査方向のずれの補正を行うずれ補正処理ステップ(処理B)と、前記ずれ補正処理ステップにおいて前記副走査方向のずれが補正された各画像データに対して、隣り合う前記イメージセンサ13から出力される画像データにおいて、オーバーラップした領域同士の画素値の平均値が一致するように、前記各イメージセンサによる画像データの全画素値に前記各イメージセンサに応じたゲインを乗算し、画像の明るさを補正する明るさ補正処理ステップ(処理D)と、前記明るさ補正処理ステップにおいて明るさが補正された各画像データを結合し画像再生する画像結合処理ステップ(処理C)とを有する。
従って、本実施の形態によれば、特別なハードウェアの追加あるいは特殊な基準チャートによる原稿読取前の事前の補正を行うことなく、「主走査方向の明暗の縞」の発生を抑えることが可能であり、原稿の画像に更に忠実な再生画像を得ることができる。
従って、本実施の形態によれば、原稿を読み取りながら、リアルタイムに原稿全体の画像画像再生(結合)処理をすることができる。
従って、明るく、かつ、更に原稿に忠実な高品質な再生画像を得ることができる。
図2は、本発明の実施の形態2を説明するためのオーバーラップ領域の図である。
前述の実施の形態1では、オーバーラップ領域の詳細について言及していなかった。
オーバーラップ領域のサイズが主走査方向にp画素、副走査方向にs画素であった場合、オーバーラップ領域Rn(図1(c)参照)における画素値の平均値ARn(R)、ARn(G)、ARn(B)は、通常は下記の式(4)に示すとおりとなる。
オーバーラップ領域Ln+1(図1(c)参照)における画素値の平均値ALn+1(R)、ALn+1(G)、ALn+1(B)についても同様である。
しかし、実際にはオーバーラップ領域Rn、Ln+1が綺麗に一画素単位で重複するわけではなく、読取光学系12やイメージセンサ13の製造誤差のため、図2に示すように、主走査方向、副走査方向のいずれにおいても一画素未満のずれが存在する。
このため、図1に示す処理B(副走査方向のずれの補正)では、隣接する画像データ間の副走査方向の位置合わせは、例えば0.1画素単位で行われる。
また、主走査方向についても、事前に基準チャートを読み込むことによって、例えば、同じく0.1画素単位でオーバーラップ領域の算出が行われる。
この誤差により、前述の背景技術での処理C(結合作業)後に得られる再生画像には、主走査方向の明暗の縞が若干残ることになる。この現象は、オーバーラップ領域のサイズpおよびsが小さい時、特に顕著に現れる。
そこで本実施の形態2では、上記誤差を解消するために、上記平均値ARn(R)、ARn(G)、ARn(B)の算式(式(4))において、下記の式(5)に示すように、各画素の画素値Eij(R)、Eij(G)、Eij(B)に補正項kijを乗算する。
つまり、kijは、(領域Ln+1に対しオーバーラップしている面積)/(一画素分の面積)である。
一画素未満でオーバーラップしている画素(図2の領域Rnで、主走査方向qとq+p−1列目、副走査方向rとr+s−1行目の画素)では、kijは1未満になる。
一方、一画素全体がオーバーラップしている画素(領域Rnで主走査方向q+1列目からq+p列目まで、かつ副走査方向r+1行目からr+s行目までの画素)では、補正項kijは1になる。
すなわち、本実施の形態2によれば、一画素未満の精度のオーバーラップ領域サイズでもって、画素値の平均値を算出する。
従って、隣接するイメージセンサ13同士の画像データの明るさ(輝度)をより高精度に合わせることができるので、主走査方向の明暗の縞を更に抑えた「原稿に忠実で高品質な再生画像」を得ることができる。
紙原稿20に「折り目やしわ」がある場合、原稿表面が厳密には完全拡散面ではないため、「折り目やしわ」の部分は同じ箇所でも見る方向(角度)によって明るさ(輝度)が違って見える。あるいは同じ方向から見ても照明光11の当たる角度によって明るさが異なって見える。
オーバーラップ領域Rn、Ln+1に「折り目やしわ」がある場合、例えn番目とn+1番目のイメージセンサ13の原稿20上における読取位置16の照度が同じであっても、領域RnとLn+1の明るさは異なってくる。
このため、原稿20を搬送しながら順次画像データの結合処理を行っている際に、オーバーラップ領域Rn、Ln+1に「折り目やしわ」の部分が入ると、画像In+1の明るさを画像Inの明るさに合わせる倍率αn+1(R)、αn+1(G)、αn+1(B)が、「折り目やしわ」の部分が入る前までの値と比べ、突然変位することになる。
この変位は、処理C(結合作業)後に得られる再生画像に、副走査方向に明暗の細かい筋を生む。
具体的には、以下のとおりである。
例えば原稿20の端から図1の画像結合処理を開始して、現在は副走査方向t行目の処理D(明るさ補正)を行っているとする。
この時、前記実施の形態1に記載の式(1)より求められるαn+1(R)、αn+1(G)、αn+1(B)を、右肩にtを付けたαt n+1(R)、αt n+1(G)、αt n+1(B)と記述することにする。
これを用いて、新たなαn+1’(R)、αn+1’(G)、αn+1’(B)を、次の式(6)のように表す。
指数bは、当該t行目におけるαn+1’(R)、αn+1’(G)、αn+1’(B)に影響を及ぼす副走査方向の画素の範囲を表し、経験的に決められる。
指数bが大きければ、前記原稿20の「折り目やしわ」に対しαn+1’(R)、αn+1’(G)、αn+1’(B)は変位しやすく、指数bが小さければ「折り目やしわ」には鈍感でる。
しかし、例えば前記原稿20の副走査方向両端部周辺や多少丸まった原稿20を読み取る時などの、読取光学系12から原稿20までの高さ(距離)の緩やかな変化にまで鈍感になってくる。
好適には、指数bは、0.2<b<1.2である。
αn+1(R)、αn+1(G)、αn+1(B)からαn+1’(R)、αn+1’(G)、αn+1’(B)への変更に伴い、1番目のイメージセンサ13による画像I1に明るさを合わせる倍率βm(R)、βm(G)、βm(B)の算式(式(2))は、以下の式(7)のようになる。
以上のように、本実施の形態による画像読取装置の画像処理方法は、時系列方向にさかのぼったゲインを参照することにより、補正された新たなゲインを算出し、各イメージセンサから出力される画像データのうち、副走査方向は一画素分ずつ画素値に補正された新たなゲインを乗算する。
従って、原稿20の「折り目やしわ」に起因する副走査方向に現れる明暗の細かい筋の発生を抑えるので、原稿に更に忠実で高品質な再生画像を得ることができる。
前述の実施の形態1に記載したとおり、オーバーラップ領域Rn、Ln+1に原稿20の黒い箇所などの非常に暗い部分がかかっていた場合、画像を構成する画素値の絶対値が小さくなり、式(1)の倍率αn+1(R)、αn+1(G)、αn+1(B)、すなわち、補正倍率γm(R)、γm(G)、γm(B)の精度が低くなってしまう。
この精度の低下は、処理C(結合作業)後に得られる再生画像において、オーバーラップ領域Rn、Ln+1に暗い部分がかかった所とそうでない所とで、若干の明るさの差異を生み、副走査方向に明暗の縞となって現れる。
原稿20上の黒く暗い部分は画素値の絶対値が小さく、また、画素値は整数値しか取れず離散的なため、相対的にS/Nが低下した状態(すなわち、ノイズ成分が増えた状態)に等価である。
このため、オーバーラップ領域のサイズを拡大するのが効果的だが、オーバーラップ領域のサイズを拡大することは、前述の実施の形態3に記載の式(6)において指数bを小さくすることに近い。
つまり、原稿20上の黒く暗い部分の領域に合わせて、オーバーラップ領域のサイズを拡大した場合、補正倍率γm(R)、γm(G)、γm(B)が本来追従すべき「読取光学系12から原稿20までの高さ(距離)の緩やかな変化」にまで追従できなくなる可能性がある。
Ai Rn(R)、Ai Rn(G)、Ai Rn(B)、Ai Ln+1(R)、Ai Ln+1(G)、Ai Ln+1(B)は、副走査方向i行目で現在処理Dが行われているとした場合の、「オーバーラップ領域Rn、Ln+1の画素値の平均値ARn(R)、ARn(G)、ARn(B)、ALn+1(R)、ALn+1(G)、ALn+1(B)」(前記実施の形態2に記載の式(5))である。
つまり、式(8)を構成する1行目からt行目までの項(αi n+1(R)、αi n+1(G)、αi n+1(B))のうち、黒く暗い部分(S/Nの低い項)の重みは小さく、白く明るい部分(S/Nの高い項)の重みは大きくしている。
原稿20を搬送しながら順次画像データの結合処理を行っている際に、オーバーラップ領域Rn、Ln+1に黒く暗い部分が入ると、t−1行目、t−2行目・・・と副走査方向にさかのぼって、白く明るい部分の倍率(αi n+1(R)、αi n+1(G)、αi n+1(B))が優先的に用いられ、S/N低下の影響が小さく抑えられる。
つまり、隣接するイメージセンサ同士の画像データの明るさを合わせる倍率を副走査方向にさかのぼって参照すると同時に、画像データ自体の明るさも加味する。
従って、本実施の形態によれば、原稿上の黒く暗い部分における副走査方向の明暗の縞の発生を抑え、原稿に更に忠実で高品質な再生画像を得ることができる。
13 イメージセンサ 14 基板 15 白基準板
16 読取位置 20 原稿
Claims (6)
- 多数の受光素子を直線状に並べてなる長尺形状のイメージセンサを複数個千鳥状に配置し、かつ、隣り合う前記イメージセンサ同士を長手方向に一部オーバーラップさせて配置して、搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置の画像処理方法であって、
前記イメージセンサより出力される各画像データに対し、黒補正および白補正を行う黒補正・白補正処理ステップと、
前記黒補正・白補正処理ステップにて補正された補正後の各画像データに対して、これらが滑らかに繋ぎ合わせられるように副走査方向のずれの補正を行うずれ補正処理ステップと、
前記ずれ補正処理ステップにおいて前記副走査方向のずれが補正された各画像データに対して、隣り合う前記イメージセンサから出力される画像データにおいて、オーバーラップした領域同士の画素値の平均値が一致するように、前記各イメージセンサによる画像データの全画素値に前記各イメージセンサに応じたゲインを乗算し、画像の明るさを補正する明るさ補正処理ステップと、
前記明るさ補正処理ステップにおいて明るさが補正された各画像データを結合し画像再生する画像結合処理ステップとを有することを特徴とする画像読取装置の画像処理方法。 - 前記画像データの副走査方向のオーバーラップした領域のサイズは十画素程度であり、
前記各イメージセンサから出力される画像データのうち、
副走査方向の画像データには一画素分ずつ画素値に前記ゲインを乗算し、
前記原稿の搬送に伴い、前記原稿を副走査方向に一画素分ずつ読み取りながら、順次時系列に、前記オーバーラップした領域の画素値の平均値によるゲインの算出と、前記画像データの画素値に対する前記ゲインの乗算とを繰り返すことにより、前記原稿の全体の再生画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置の画像処理方法。 - 時系列方向にさかのぼった前記ゲインを、前記時系列方向にさかのぼった距離に応じて指数関数的な重みを付して、参照することにより、前記ゲインを補正した新たなゲインを算出し、
前記各イメージセンサから出力される画像データのうち、副走査方向は一画素分ずつ画素値に前記補正した新たなゲインを乗算することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置の画像処理方法。 - 隣り合う前記イメージセンサから出力される画像データの前記オーバーラップした領域の画素値の平均値を乗算して、前記ゲインを補正した新たなゲインを算出することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置の画像処理方法。
- 前記各イメージセンサから出力される画像データのうち、最も明るい画像データの明るさが基準となるように、前記各イメージセンサから出力される画像データの画素値にゲインを乗算することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置の画像処理方法。
- 前記オーバーラップした領域のサイズを一画素未満の精度でもって求め、前記一画素未満の精度の領域サイズで前記画素値の平均値を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像読取装置の画像処理方法。
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