JP2011155083A - 車載用プリント配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンルーム内やエンジン直載等の高温の使用環境下においてもスルーホール接続信頼性を確保しつつファインパターンを形成することができ、さらに鉛フリーはんだ実装にも対応できる抵抗部品の実装信頼性も確保できる車載用プリント配線板を提供する。
【解決手段】各々の絶縁層4a〜4cは全て、板厚方向の熱膨張係数αzが55ppm/℃以下であり、各々の絶縁層4a〜4cのうち少なくとも抵抗部品10が実装された導電性回路層3aに隣接する絶縁層4aにおける板面方向の熱膨張係数αx、αyのいずれかが16.5ppm/℃以下であり、スルーホール5は、導電性金属めっき層7の厚みt2が18μm以下であり、最外層の導電性回路層3aは、絶縁層4aの表面に形成された導電性金属層6と導電性金属めっき層7とからなり、最外層の導電性回路層3aの厚みt3が30μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車載用プリント配線板に関するものである。
従来、各種の分野においてプリント配線板が用いられているが(特許文献1〜4参照)、近年では車両制御の電子化が進行し、車載用にも広く用いられている。例えば、トランスミッションやパワーステアリング等の自動車の制御システムは、従来は油圧制御(機械制御)で構成されていたが、今日ではECU(Electric Control Unit)を用いた電子制御化(バイワイア化)が検討されており、近い将来の普及とともに、その他の駆動部の電子制御化が今後も進んでいくと予想される。
一方、ECUが搭載される場所として、自動車の居住空間拡大という快適性の要求を受けてそのスペースが少なくなってきており、エンジンルームやエンジン周辺等の周囲環境温度が高い場所へ移行し始めている。
このように車載部品を取り巻く状況の変化から、今後ECUに使用される基板材料に対しても高耐熱性、高信頼性、高密度化のニーズがますます高まるものと推定されている。
現在、ECUが搭載される環境は、使用温度が80〜100℃となる車室内、125℃となるエンジンルーム内、および150℃程度となるエンジン直載の3つに大別されるが、車室空間の拡大やワイアハーネス短縮のため、上記したようにECUの搭載場所を車室内からエンジンルーム内(一部エンジン直載)へ移行する要求がある。さらに、搭載するECU基板サイズを小型化したいという要求もある。
これらの点から、車載用プリント配線板には、高温使用環境下でのスルーホール接続信頼性、抵抗部品等のはんだ接続部品の実装信頼性、回路のファインピッチ化等が要求される。
すなわち、銅の熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion:CTE)は例えば15ppm/℃であり、それよりも大きい絶縁層の板厚方向の熱膨張係数との差違により生じる応力が高温使用環境下においてスルーホールにバレルクラックを発生させる。
また、抵抗部品(抵抗チップ)の熱膨張係数は、例えば5〜9ppm/℃であり、それよりも大きい絶縁層の板面方向の熱膨張係数との差違により生じる応力が高温使用環境下においてはんだクラックを発生させる。
従来、エンジンルーム内で用いられる車載用プリント配線板の仕様としては、一例として、板厚1.6mm、銅回路層の層数4〜6で、穴径0.4mmのスルーホールに厚み25μmの銅めっき層を設け、最外層の銅回路層の厚みを43μm(銅箔18μm+銅めっき層25μm)とし、ランド径0.7mm、L/S(回路幅/回路間隔)=150/150μmとしたものが用いられている。
特開2009−007469号公報 特開2009−074036号公報 特開2008−101062号公報 特開2002−359469号公報
しかしながら、上記したファインピッチ化に対応するために、最外層の銅回路層として、例えば、L/S=100/100μm〜75/75μmとすることが要求されている。ところが、最外層の銅回路層の厚みは、銅箔の厚みにスルーホール形成に伴う銅めっき層の厚みを加算して、例えば43μm程度となり、このような厚みであると、化学エッチング等による回路形成においてファインピッチ化に限界があり、上記のようなファインパターンの形成が困難である。
一方で、ファインパターンを形成可能とするために銅めっき層の厚みを薄くすると、スルーホールにおいて絶縁層の熱膨張の抑制が困難になり、−40〜125℃におけるスルーホール接続信頼性が確保できなくなるという問題点があった。
さらに、車載用プリント配線板の使用環境は今後さらに厳しくなることが予測され、要求耐熱レベルも−40〜125℃、3000サイクルの現状から温度域が−40〜130℃になるとも予測されていることから、スルーホールの銅めっき層の厚みを薄くすることはより困難になる。
また、抵抗部品等の部品実装においては、車載用プリント配線板の使用環境が高温になることに加え、地球環境保護に対応して鉛フリーはんだが用いられてきており、この鉛フリーはんだは従来の鉛入り共晶はんだに比べて一般に脆く、リフロー温度も上昇することから、部品実装信頼性を確保するための対策が求められている。
従来、一般にプリント配線板におけるスルーホール接続信頼性や部品実装信頼性を確保するための手段として、無機充填材の配合等により絶縁層の熱膨張係数を低減する技術が検討されているが(特許文献1〜4参照)、板厚方向の熱膨張係数αzと板面方向の熱膨張係数αx、αyの両方に着目し、将来の車載用プリント配線板に要求される過酷な温度条件を考慮して、ファインピッチ化に加えてスルーホール接続信頼性と部品実装信頼性の総合的な改善を目指した技術は未だ提案されていない。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、エンジンルーム内やエンジン直載等の高温の使用環境下においてもスルーホール接続信頼性を確保しつつファインパターンを形成することができ、さらに鉛フリーはんだ実装にも対応できる抵抗部品の実装信頼性も確保できる車載用プリント配線板を提供することを課題としている。
本発明の車載用プリント配線板は、上記の課題を解決するために、4〜10層の導電性回路層が絶縁層を介して設けられ、基板を貫通する複数のスルーホールが設けられた板厚1.20mm〜1.60mmの基板の少なくとも一方の最外層の導電性回路層のランド部にはんだにより抵抗部品が実装され、各々の絶縁層は、無機充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物をガラス繊維基材に含浸、乾燥して得たプリプレグを硬化して形成されたものであり、各々の絶縁層は全て、板厚方向の−40〜120℃の熱膨張係数αzが55ppm/℃以下であり、各々の絶縁層のうち少なくとも抵抗部品が実装された導電性回路層に隣接する絶縁層における板面方向の−40〜120℃の熱膨張係数αx、αyの低い側が16.5ppm/℃以下であり、スルーホールは、導電性金属めっき層の厚みが18μm以下であり、最外層の導電性回路層は、絶縁層の表面に形成された導電性金属層と、スルーホールの導電性金属めっき層と同時に導電性金属層の表面に形成された導電性金属めっき層とからなり、最外層の導電性回路層の厚みが30μm以下であることを特徴としている。
本発明によれば、無機充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物をガラス繊維基材に含浸、乾燥したプリプレグから絶縁層を形成し、各々の絶縁層の熱膨張係数αzを55ppm/℃以下とすることで、スルーホールにおける銅めっき層等の導電性金属めっき層との熱膨張係数の差を小さくでき、発生応力を低減することができる。そのため、導電性金属めっき層の厚みを18μm以下と薄くしても、スルーホール接続信頼性を確保できる。
そして導電性金属めっき層の厚みを18μm以下と薄くすることで、最表面の導電性回路層に薄い銅箔等の導電性金属層を用いることで最表面の導電性回路層の厚みを25μm以下とすることができ、これにより、例えばL/S=100/100μm〜75/75μmのファインパターンを形成することが可能になる。
さらに、絶縁層のうち抵抗部品が実装された導電性回路層に隣接する絶縁層における熱膨張係数αx、αyのいずれかを16.5ppm/℃以下とすることで、スルーホール接続信頼性に加えて抵抗部品の部品実装信頼性も確保できる。
本発明の車載用プリント配線板の実施形態におけるスルーホール周辺の断面図である。 本発明の車載用プリント配線板の実施形態における基板表面に実装された抵抗部品の周辺を示し(a)は平面図、(b)は断面図を示す。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1および図2は、本発明の車載用プリント配線板の実施形態を説明する図であり、図1はスルーホール周辺の断面図を示し、図2は基板表面に実装された抵抗部品の周辺を示し(a)は平面図、(b)は断面図を示す。
図1に示すように、本実施形態の車載用プリント配線板1は、複数の導電性回路層3a〜3dが、絶縁層4a〜4cを介して設けられた基板2を備えている。そして基板2を貫通するスルーホール5が設けられ、スルーホール5の内壁には銅めっき等により導電性金属めっき層7が設けられている。
基板2の最外層の導電性回路層3aは、絶縁層4aの表面に形成された銅箔等の導電性金属層6と、その表面にスルーホール5のめっきと同時に形成された導電性金属めっき層7とから構成されている。導電性回路層3dも同様である。
基板2の導電性回路層3aには、図2に示す抵抗部品10や、図示はしないが、半導体素子等のその他の電子部品等が実装されている。抵抗部品10は、導電性回路層3aのランド部11に、はんだフィレット12により接合されている。
以下、上記に一例を図示した本発明の車載用プリント配線板の詳細について説明する。
本発明の車載用プリント配線板は、ECU基板サイズの小型化の要求を満足するとともに、強度や耐熱性等の各種の特性も満足するために、導電性回路層が4〜10層とされ、板厚(図1においてt1)が1.20mm〜1.60mmとされている。
そして各々の絶縁層は、無機充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物をガラス繊維基材に含浸、乾燥したプリプレグを硬化して形成されたものであり、各々の絶縁層は全て、板厚方向の−40〜120℃の熱膨張係数αzが55ppm/℃以下、好ましくは35〜55ppm/℃とされている。
各々の絶縁層の熱膨張係数αzを55ppm/℃以下とすることで、スルーホールにおける銅めっき層等の導電性金属めっき層との熱膨張係数の差を小さくでき、最外層の導電性回路層のファインパターン化を可能とするために導電性金属めっき層の厚みを薄くしても、高温使用環境下における発生応力を十分に低減することができる。一方、熱膨張係数αzが小さ過ぎると、絶縁層が硬くなり過ぎて脆くなる場合がある。
高いスルーホール接続信頼性を確保するためには、絶縁層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)が使用環境条件の最高温度より高いことも重要である。このような点や、車載用プリント配線板に必要とされるその他の物性も考慮すると、絶縁層を構成する樹脂のガラス転移温度は、例えば、IPC−2-4-25Cによる測定値で150〜170℃が好ましい。
また、本発明の車載用プリント配線板は、各々の絶縁層のうち少なくとも抵抗部品が実装された導電性回路層に隣接する絶縁層における板面方向の−40〜120℃の熱膨張係数αx、αyのいずれかが16.5ppm/℃以下、好ましくは14.0〜16.5ppm/℃とされている。
このようにすることで、上記のようなスルーホール接続信頼性に加えて、抵抗部品の部品実装信頼性も確保できる。一方、熱膨張係数αx、αyのいずれかが小さ過ぎると、絶縁層が硬くなり過ぎて脆くなる場合がある。
絶縁層の形成に用いられるプリプレグは、熱膨張係数が上記の条件を満足するものであれば特に限定されないが、上記の熱膨張係数を達成するとともに、車載用プリント配線板に必要とされる耐熱性、絶縁性、その他の物性等も考慮し、無機充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物をガラス繊維基材に含浸、乾燥したものが用いられる。
熱硬化性樹脂組成物としては、特に限定されないが、例えば、プリント配線板用のプリプレグに一般に用いられている、耐熱性、耐薬品性等の良好な熱硬化性樹脂を主成分とするものを用いることができる。熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネート樹脂等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂組成物に配合する無機充填材としては、特に限定されず、熱膨張係数を低減し、その他、流動性、耐熱性、ドリル加工性等も考慮して各種のものを適宜の配合量で用いることができる。具体的には、例えば、球状シリカ、破砕シリカ、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、ガラス粉末、クレー、タルク等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。
無機充填材の粒子の大きさは、特に限定されないが、例えば、平均粒子径0.1〜5μmのものが用いられる。なお、ここで平均粒子径は、レーザ回折・散乱法による測定値である。
熱硬化性樹脂組成物の中でも、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、耐薬品性、電気特性等に優れ、比較的安価であることから、本発明において好ましく用いられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、このエポキシ樹脂とともに用いる硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂等の多官能フェノール類、多官能アルコール類、アミン類、酸無水物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
絶縁層の板厚方向および板面方向の熱膨張係数αz、αx、αyを上記の範囲内とすることや、流動性その他の特性も考慮すると、エポキシ樹脂組成物における無機充填材の配合量は、エポキシ樹脂および硬化剤の合計量に対して例えば40〜130質量%である。
エポキシ樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物には、上記に例示した成分の他に、必要に応じて、硬化促進剤、可とう成分、顔料、染料等の他の成分を配合することができる。また、熱硬化性樹脂組成物は、芳香族炭化水素類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、エーテルアルコール類、アミド類等の溶剤で希釈しワニスとして調製することができる。
プリプレグは、熱硬化樹脂組成物のワニスをガラス繊維基材に含浸し、乾燥してBステージまで半硬化して製造することができる。例えば、ガラス繊維基材に対する熱硬化性樹脂組成物の付着量が、乾燥後のガラス繊維基材の含有率で10〜80体積%となるようにガラス繊維基材に含浸した後、例えば100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化状態のプリプレグを得ることができる。
ガラス繊維基材としては、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット等の形状を有するものを用いることができる。ガラス繊維基材の厚みは特に限定されないが、通常は0.03〜0.5mm程度のものが用いられる。中でも、シランカップリング剤等で表面処理したものや機械的に開繊処理を施したものは耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
本発明の車載用プリント配線板は、上記のプリプレグを用いて、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、絶縁層の両面に導電性回路層が形成された内層回路板を用意する。内層回路板は、例えば、熱膨張係数が上記の所定の範囲内となる絶縁層を形成可能なプリプレグを1枚または所要枚数重ね、その両面に銅箔等の金属箔を重ねて、これを加熱加圧して積層成形した後、この金属張積層板の両面の金属箔にフォトリソグラフィー技術を用いて内層用の回路を形成するとともに、酸溶液等を用いてこの回路の表面に黒化処理を施すことにより製造することができる。
そして1枚または複数枚の内層回路板を用いて、両外面と、複数枚の内層回路板を用いる場合にはこれらの間に、熱膨張係数が上記の所定の範囲内となる絶縁層を形成可能なプリプレグを1枚または所要枚数重ね、その両面に銅箔等の金属箔を重ねて、これを加熱加圧して積層成形することにより多層板を製造する。
あるいは、例えば次のようにして多層板を製造することもできる。内層回路板の両面に熱膨張係数が上記の所定の範囲内となる絶縁層を形成可能なプリプレグを1枚または所要枚数重ねて、加熱加圧成形することにより、内層回路板の両面に絶縁層を形成する。そしてビアホールを形成するための穴を穿孔し、その後、無電解めっき、エッチングレジスト、電解めっき等によるセミアディティブ法等の手段を用いて、ビアホールをめっきし、絶縁層の表面に導電性回路層を形成することができる。このような工程を、必要に応じて内層回路板の両面にて所定の回数繰り返すことにより、多層板を製造することができる。
以上のようにして製造された多層板の両面の導電性金属層は、厚みが好ましくは3〜12μmである。
そして、上記のようにして製造した多層板に、上面から下面にドリルを用いてスルーホールを穿孔する。その後、スルーホールの内壁に、導電性金属めっき層を形成する。このとき、多層板の両面の導電性金属層の上にも導電性金属めっき層が形成されるが、これらの導電性金属めっき層の厚み(図1においてt2)は、18μm以下、好ましくは15〜18μmである。
そして、多層板の導電性金属めっき層の上に回路に対応するレジストパターンを形成し、金属のエッチング、レジストパターンの除去等の工程により最外層の導電性回路層を形成する。
この最外層の導電性回路層の厚みは、絶縁層の表面に形成された導電性金属層と、その上の導電性金属めっき層との合計厚み(図1においてt3)として25μm以下である。これにより、L/S=100/100μm〜75/75μmのファインパターンを形成することが可能となる。
なお、スルーホールの穴径は、例えば0.15〜0.25mm、ランド径は例えば0.4〜0.5mmとすることができる。
また、導電性回路層の金属箔には銅箔、ニッケル箔、アルミ箔等を用いることができるが、通常は銅箔が用いられる。
その後、抵抗部品や、半導体素子等のその他の電子部品等を基板表面に実装し、本発明の車載用プリント配線板が製造される。
抵抗部品は、例えば、図2に示すように、絶縁層4a上のランド部11(導電性回路層3a)にはんだぺーストを印刷やディスペンス等により供給し、次に抵抗部品10を載せ、その後、リフロー炉で加熱処理してはんだ付けを行うことにより、抵抗部品10の長手方向周縁部にはんだフィレット12を形成して実装することができる。
はんだぺーストは、はんだ粉とフラックスを混練したものであり、フラックスには、ロジン、活性剤、増粘剤、チクソ剤、溶剤等の様々な成分を含むが、本発明でははんだとして鉛フリーはんだを用いることができる。
抵抗部品としては、例えば、2125型、3216型等の抵抗チップを用いることができる。図2に示すようなランド部11間の距離a、はんだフィレット12の端部間の距離b、はんだフィレット12の幅cは、2125型の抵抗チップを用いた場合には、例えばa=1.0〜1.4mm、b=3.2〜3.8mm、c=0.9〜1.4mmであり、チップ高さは例えば0.55mmである。3216型の抵抗チップを用いた場合には、例えばa=2.0〜2.4mm、b=4.4mm、c=1.2〜1.8mmであり、チップ高さは例えば0.60mmである。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
1.プリプレグの製造
[プリプレグ1の製造]
熱硬化性樹脂(ダウ・ケミカル社製「DER593」)を65質量部、硬化剤(DIC(株)製「PHENOLITE VH4170」)を35質量部、硬化促進剤(日鉱マテリアル(株)製「IM1000」)を0.32質量部、無機充填材((株)アドマテックス製「SO−25R」)を30質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、および溶剤のMEKを65質量部配合し、熱硬化性樹脂組成物をワニスとして調製した。
このワニスをガラスクロス((株)日東紡マテリアル製「1078」)に含浸させた後、これを乾燥機で150〜160℃の範囲で3〜5分程度加熱して乾燥させることにより、半硬化のBステージ状態にして、厚み0.06mm、ガラスクロスの割合12体積%のプリプレグ1を製造した。
[プリプレグ2の製造]
ガラスクロスを(株)日東紡マテリアル製「7628」に変更し、それ以外はプリプレグ1と同様にして、厚み0.20mm、ガラスクロスの割合20体積%のプリプレグ2を製造した。
[プリプレグ3の製造]
ガラスクロスを(株)日東紡マテリアル製「1501」に変更し、それ以外はプリプレグ1と同様にして、厚み0.15mm、ガラスクロスの割合17体積%のプリプレグ3を製造した。
2.内層回路板の製造
上記において作製したプリプレグ2(340mm×510mm)を2枚、これを2枚の銅箔(厚み18μm、古河サーキットフォイル(株)製)の粗化面の間に挟んで180℃、30kgf/cm2で70分間積層成形して銅張積層板を得た。この銅張積層板の両面の銅箔に回路を形成し、厚み0.40mmの内層回路板を製造した。
3.車載用プリント配線板の製造
上記において製造した2枚の内層回路板の内側にプリプレグ3を2枚挟み、2枚の内層回路板の各々の外側に、プリプレグ1を各2枚、および銅箔(厚み9μm、古河サーキットフォイル(株)製)を順に重ね、180℃、30kgf/cm2で70分間積層成形して多層板を得た。
この多層板に、ドリルにより穿孔して穴径0.40mmのスルーホール接続信頼性評価用の貫通穴を30mm×150mmの領域に200個設け、銅めっきを施して厚み15μmの銅めっき層を形成した。その後、レジストを用いたエッチング加工により最外層に銅回路層を形成した。最外層の銅回路層は、銅箔とその上の銅めっき層とからなり、その合計厚みが24μmである。また、L/S=75/75μmとした。
その後、鉛フリーはんだを銅回路層のランド部に供給し、そこに2125型の抵抗チップを載せ、260℃の温度条件にてリフロー炉で加熱処理してはんだ付けを行うことにより、図2に示すように、抵抗チップの長手方向周縁部にはんだフィレットを形成して実装した。このようにして板厚1.40mmの試験用プリント配線板を得た。
<比較例1>
[プリプレグ4の製造]
無機充填材をSO−25Rのみにし、その配合量を15質量とし、それ以外はプリプレグ1と同様にしてプリプレグ4を製造した。
[プリプレグ5の製造]
無機充填材をSO−25Rのみにし、その配合量を15質量部とし、それ以外はプリプレグ3と同様にしてプリプレグ5を製造した。
プリプレグ1をプリプレグ4に変更し、プリプレグ3をプリプレグ5に変更し、それ以外は実施例1と同様にして試験用プリント配線板を得た。
<比較例2>
[プリプレグ6の製造]
無機充填材をSO−25Rのみにし、その配合量を45質量部に変更し、それ以外はプリプレグ1と同様にしてプリプレグ6を製造した。
プリプレグ1をプリプレグ6に変更し、それ以外は実施例1と同様にして試験用プリント配線板を得た。
実施例および比較例の試験用プリント配線板について次の評価を行った。
[熱膨張係数αz、αx、αy]
上記において作製したプリプレグ1〜6を絶縁層の厚みが1.6mmになるように数枚重ね、内層回路板の作製条件と同様にして成形した。次に、得られた試験サンプルについて、TMAにより熱膨脹係数を測定した(ひずみ取り(30→260℃(10℃/min)を行った後、同様にして測定を繰り返し、2回目の評価結果により熱膨脹係数を算出した)。
[スルーホール接続信頼性]
上記において作製した試験用プリント配線板について、−40℃⇔+125℃(各30分)、3000サイクルの条件で温度サイクル試験を行い、試験用プリント配線板の回路の抵抗変化値10%以上をNGと判定した。
[抵抗部品の実装信頼性]
サイズが2125型の抵抗チップを試験用プリント配線板の基材の横方向に10個配置したものについて、−40℃⇔+120℃(各30分)、3000サイクルの条件で温度サイクル試験を行った。そして試験用プリント配線板の回路の抵抗変化値10%以上をNGと判定した。また、2125型の抵抗チップを3216型の抵抗チップに変更して同様の試験を行った。
評価結果を表1に示す。
Figure 2011155083
表1より、実施例1ではスルーホール接続信頼性と抵抗部品の実装信頼性の両方を満足した。これに対して板厚方向の熱膨張係数αzの大きいプリプレグに変更した比較例1ではスルーホール接続信頼性が低下し、且つ抵抗部品の実装信頼性も低下した。また、板面方向の熱膨張係数αx、αyの大きいプリプレグに変更した比較例2では抵抗部品の実装信頼性が低下した。
3a〜3d 導電性回路層
4a〜4c 絶縁層
5 スルーホール
6 導電性金属層
7 導電性金属めっき層
2 導電性金属めっき層の厚み
3 導電性回路層の厚み
10 抵抗部品
11 ランド部

Claims (1)

  1. 4〜10層の導電性回路層が絶縁層を介して設けられ、基板を貫通する複数のスルーホールが設けられた板厚1.20mm〜1.60mmの基板の少なくとも一方の最外層の導電性回路層のランド部にはんだにより抵抗部品が実装され、各々の絶縁層は、無機充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物をガラス繊維基材に含浸、乾燥して得たプリプレグを硬化して形成されたものであり、各々の絶縁層は全て、板厚方向の−40〜120℃の熱膨張係数αzが55ppm/℃以下であり、各々の絶縁層のうち少なくとも抵抗部品が実装された導電性回路層に隣接する絶縁層における板面方向の−40〜120℃の熱膨張係数αx、αyのいずれかが16.5ppm/℃以下であり、スルーホールは、導電性金属めっき層の厚みが18μm以下であり、最外層の導電性回路層は、絶縁層の表面に形成された導電性金属層と、スルーホールの導電性金属めっき層と同時に導電性金属層の表面に形成された導電性金属めっき層とからなり、最外層の導電性回路層の厚みが30μm以下であることを特徴とする車載用プリント配線板。
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