JP2011152903A - 電動式自動二輪車の制動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操縦安定性や走行性を向上させ、適正且つ円滑作動を実現する電動式自動二輪車の制動装置を提供する。
【解決手段】車体フレームに揺動可能に結合するスイングアームの後端部107aに、後輪108を支持すると共にこの後輪108を駆動する電動モータ201を搭載する。後輪108を制動するためのブレーキ装置10を電動モータ201に対して、後輪108とは反対側に搭載すると共に、電動モータ201を後輪108に隣接配置する。
【選択図】図4
【解決手段】車体フレームに揺動可能に結合するスイングアームの後端部107aに、後輪108を支持すると共にこの後輪108を駆動する電動モータ201を搭載する。後輪108を制動するためのブレーキ装置10を電動モータ201に対して、後輪108とは反対側に搭載すると共に、電動モータ201を後輪108に隣接配置する。
【選択図】図4
Description
本発明は、電動モータを駆動源とする電動式自動二輪車における制動装置に関する。
近年、環境保護等の観点からエンジンではなく、電動モータを駆動源とする自動二輪車が開発されるに至っている。電動式二輪車の場合もエンジンの場合と同様に、制動装置が必要であり、走行時の安全性が確保されている。
例えば特許文献1に記載された電動二輪車の後輪ブレーキ装置では、電動パワーユニットをリヤアーム内に組み込み、リヤアームの後面から外側方に突出する後車軸の端部に後輪を取り付けてなる電動二輪車においてドラム式リヤブレーキを採用している。この従来例を更に具体的に説明すると、後輪(26)のホイール(51)内面とリヤアーム(24)との間に形成される空間に、ドラム式リヤブレーキ(52)を配置している。
そして、このドラム式リヤブレーキ(52)のカムレバー(63)は、電動パワーユニットが組み込まれたリヤアーム(24)の後端部(24a)から径方向外側に突出して設けられている。そして、ブレーキケーブル(65)の後端がこのカムレバー(63)に連結され、ブレーキレバー(7)の操作でブレーキケーブル(65)を介して、カムレバー(63)ひいてはブレーキシュー(54)を駆動するようになっている。
なお、特許文献2には内燃機関を動力源とするが、そのエンジンユニットをスイングアーム式に搭載支持する車両において、そのブレーキ装置は、エンジンユニットに対して後輪と反対側に後輪車軸にディスクブレーキ用のディスクプレートを装着している。
ところで、車両の特に左右の重量バランスを保って良好な操縦安定性を得るためには、重量物である電動パワーユニットは、車体の左右方向中央近傍に配置するのが望ましい。また、電動パワーユニットが車体左右方向外側へ張り出すことで走行中に外部と衝突するのを防止し、あるいはバンク角を確保するためにも、上記同様な配置関係が望ましい。
しかしながら、上述したような場合を含め、従来では電動パワーユニットと後輪との間にブレーキ装置が配置されているため、電動パワーユニットを車体の左右方向中央近傍に配置するのが実質的に困難である。このように重量バランスが左右いずれかに偏倚するため、操縦安定性を向上させるのが容易でなかった。また、電動パワーユニットと後輪との間のスペースが狭いため、ブレーキカムレバーやブレーキケーブルの配置あるいは取回しが難しく、大きな制動力を得たい場合でもドラム径の小さいものを使用せざるを得なかった。
本発明は上記のような点に鑑み、操縦安定性や走行性を向上させ、適正且つ円滑作動を実現する電動式自動二輪車の制動装置を提供することを目的とする。
本発明の電動式自動二輪車の制動装置は、車体フレームに揺動可能に結合するスイングアームの後端部に、後輪を支持すると共にこの後輪を駆動する電動モータを搭載した電動式自動二輪車の制動装置であって、
前記後輪を制動するためのブレーキ装置を前記電動モータに対して、該後輪とは反対側に搭載すると共に、前記電動モータを前記後輪に隣接配置したことを特徴とする。
前記後輪を制動するためのブレーキ装置を前記電動モータに対して、該後輪とは反対側に搭載すると共に、前記電動モータを前記後輪に隣接配置したことを特徴とする。
また、本発明の電動式自動二輪車の制動装置において、前記スイングアームの後端部において車両内方側にホルダ手段を介して前記電動モータを保持し、この電動モータのモータ軸と連結する前記後輪の車軸を、前記電動モータの前記スイングアームとは反対側に延出させたことを特徴とする。
また、本発明の電動式自動二輪車の制動装置において、前記電動モータのモータ軸を前記後輪とは反対側に突出させ、この突出部位に前記ブレーキ装置のドラムを結合支持することを特徴とする。
また、本発明の電動式自動二輪車の制動装置において、前記ドラムは、前記スイングアームの後端部の車両内方側に配置され、ブレーキ操作手段の操作により前記ドラムを介して、前記電動モータのモータ軸に対して直接制動力を付与することを特徴とする。
本発明によれば、重量物であるパワーユニットを車両左右方向の中心近傍に配置することで、車両全体として特に左右重量バランスが向上し、良好な操縦安定性を得ることができる。また、同時にパワーユニットが左右方向外側へ張り出すのを抑制し、車両外部との接触あるいは衝突等を防止し、更には深いバンク角を確保することができ、これらにより安全性や走行性を向上することができる。
また、パワーユニットの後輪とは反対側のスペースに、ブレーキ装置の構成部材もしくは部品をコンパクトに配置することができる。
また、パワーユニットの後輪とは反対側のスペースに、ブレーキ装置の構成部材もしくは部品をコンパクトに配置することができる。
更に、パワーユニットの電動モータのモータ軸に対して直接制動力を付与することで、制動トルクを実質的に小さく抑えることができ、ブレーキ装置全体としてもその小型化を図ることができる。ブレーキ装置の適正作動を保証しながら、有効に装置のコンパクト化を実現することが可能である。
以下、添付図面を参照して、本発明による電動式自動二輪車の制動装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るスクータ型の電動式自動二輪車100の左側面を示す。ここで先ず、電動式自動二輪車100の全体構成について概略説明する。なお、以下の説明において必要に応じて、車両の前方を矢印Frにより、車両の後方を矢印Rrによりそれぞれ示し、また、車両の側方右側を矢印Rにより、車両の側方左側を矢印Lによりそれぞれ示す。
図1は、本実施形態に係るスクータ型の電動式自動二輪車100の左側面を示す。ここで先ず、電動式自動二輪車100の全体構成について概略説明する。なお、以下の説明において必要に応じて、車両の前方を矢印Frにより、車両の後方を矢印Rrによりそれぞれ示し、また、車両の側方右側を矢印Rにより、車両の側方左側を矢印Lによりそれぞれ示す。
電動式自動二輪車の車体フレーム101は、不図示のヘッドパイプと、このヘッドパイプから下方に延び、途中から後方に向かって略水平に延設されるダウンチューブ101Aと、ダウンチューブ101Aの後端部から後上方に延設される左右のリヤフレーム101Bとを含んで構成される。また、ダウンチューブ101Aの下部から左右の補助フレームが水平あるいはやや後上がりに延設され、それぞれリヤフレーム101Bに繋がっている(なお、これについては図示を省略する)。
車体フレーム101のヘッドパイプによって左右2本のフロントフォーク102が左右に回動可能に支持される。フロントフォーク102の下部には前輪103が回転自在に支持されており、ハンドルバー104により前輪103が左右に操舵される。
左右のリヤフレーム101Bの下部にそれぞれ設けたブラケット105Aには、ピボット軸105を介してスイングアーム106の前端部が軸支され、スイングアーム106は上下に揺動可能(矢印A)となる。スイングアーム106は、車両の左側でのみアーム部107が後方に延伸し、アーム部107の後端部に後輪108が片持ち式に支持される。また、アーム部107(の後端)とリヤフレーム101Bとの間にリヤサスペンション109が装架される。リヤサスペンション109もまた、車両の左側にのみ配置される。また、スイングアーム106の途中には左右の支持用ブラケット110が設けられ、この支持用ブラケット110にスタンド111が回動可能に装着される。
ここで、本発明では後輪108と同軸に、これを駆動するパワーユニット200が搭載される。パワーユニット200は電動モータを含み、スイングアーム106のアーム部107後端部に支持されるが、これについては後述するものとする。
車体フレーム101は樹脂製の車体カバーにより覆われ、この車体カバーによって車両の外観が構成される。車体カバーとしてフロントレッグシールド112、リヤレッグシールド113、ロアカバー114及びリヤフレームカバー115等を含み、これらを所定の形態、配置関係で組み合わせ、あるいは結合することにより、外観ばかりでなく諸機能を備えたものとして構成される。
フロントレッグシールド112は車体前部を覆うように配置され、前輪103の上部を覆うフロントフェンダとしても機能する。リヤレッグシールド113はフロントレッグシールド112の裏側を覆うように配置され、収納用のポケット部113aが形成されている。ロアカバー114はフロントレッグシールド112に連設され、左右の補助フレームから運転シート116の最下方を覆うように配置される。ロアカバー114には、ライダーが足を載せるステップフロアが設けられており、ステップフロアに形成された凹部に、パワーユニット200の電動モータを制御するコントローラユニットが収納される。リヤフレームカバー115は、運転シート116の下方でリヤフレーム101Bを覆うように配置される。更に、後輪108の上方にはリヤフェンダ117が配置される。
なお、ハンドルバー104の中央部にはスピードメータ等を含むメータユニット118が配置される。車両前部には大型のバスケット119が取り付けられると共に、車両後部のリヤフェンダ117上方にはキャリヤ120を有する。
次に、図2〜図4等を参照して、本発明の主要構成及びこれに関連する構成について説明する。スイングアーム106は図2に示されるように、ブラケット104(左右一対有している)に設定されたピボット軸105を介してその前端部で軸支される。このピボット軸105が設定されるスイングアーム106の前部側は、概して中空箱状の立体構造を有し、所定の剛性強度が確保されている。図3にも示されるようにこの前部側から車両左側でアーム部107が後方へ延出する。スイングアーム106の全体的形態は概して、上面視で「L」字状を呈し、L字の縦長辺部にアーム部107が対応すると共に、L字の底辺部にピボット軸105が対応する。アーム部107の後部側において図4に示されるように、その右側に凹状スペースSを形成して、そのスペースS内にドラム式ブレーキ10及びパワーユニット200(の一部)を収容保持するためのホルダ部107aを有する。
本発明において特にドラム式ブレーキ10及びパワーユニット200相互の配置関係につき、後述するように後輪108を制動するためのブレーキ装置を電動モータ201に対して、後輪108とは反対側に搭載すると共に、電動モータ201を後輪108に隣接配置する。
ホルダ部107aはまた、パワーユニット200のホルダ202と共働して電動モータ201を固定支持する。ホルダ部107a及びホルダ202はボルト等の締結手段により相互に強固に結合すると共に、電動モータ201本体を左右両側から挟むようにそれらの内側に収容保持する。電動モータ201は、所謂インホイールモータとして構成されてよく、概略高さの低い円柱状あるいは薄い太鼓状を呈し、後述するように後輪108と同軸に搭載される。
ここで、図4においては、電動モータ201の詳細な構造は示されていないが、コイルが内側にあり固定子として機能すると共に、外側に配置されたマグネットが回転子として機能する所謂、アウターロータタイプ、あるいは逆にコイルが外側にあり、マグネットが内側にあるインナーロータタイプのいずれであってもよい。ケーシング内で中心に横架されたモータ軸203が軸受204を介して回転自在に支持され、この例では一端側(後輪108のホイール108a側)で減速機205と噛合する。なお、減速機205を介さずに電動モータ201の出力を直接、後輪108の車軸121へ伝達する所謂、ダイレクトドライブ式であってもよい。
車軸121はモータ軸203と同心に、軸受122を介して回転自在に支持され、後輪108側への突出端側でホイール108aと結合する。なお、図4に示されるようにホイール108aは電動モータ201に対向する側が凹状に形成されており、両者を隣接配置し易くしている。この場合、該突出端側には図2に示されるように例えばセレーション121a等の係合手段を有し、この係合手段を介してホイール108aの中心に軸着するボス123と係合する。ボス123、従ってホイール108aは、ナット124によって車軸121に締着固定される。電動モータ201が作動しモータ軸203が回転することで、減速機205を介して車軸121、従って後輪108が回転する。このように本発明では電動モータ201は、後輪108に隣接配置される。
さて、本発明の制動装置において、前述したように後輪108を制動するためのブレーキ装置は電動モータ201に対して、後輪108とは反対側に搭載される。この例では図4に示されるようにスペースSにおいて、電動モータ201本体の左側に概略円盤状のベース11が固定され、ベース11に対向するようにこれよりも一回り小径の内周面12aを有するドラム12が配置される(図6をも参照のこと)。この場合、電動モータ201のモータ軸203を後輪108と反対側、即ちベース11を越えて更に左側へ突出させ、この突出部位203aに形成した例えばセレーション等の係合手段を介して、ドラム12の中心に軸着するボス34と係合する。ドラム12はモータ軸203と一体的に結合し、これらは一体回転する。
また、ベース11の上部付近には図4に示されるように、ドラム12側へ突出するブレーキカム13(ブレーキカム軸)が回転可能に支持される。このブレーキカム13は例えばDカット等によって対向2面が形成されてなるカム面13aを有し、このカム面13aがドラム12の内周面12aの至近位置に配置される。また、モータ軸203(突出部位203a)を挟んでブレーキカム13とは直径方向反対側には、即ちベース11の下部付近には同様にドラム12側へ突出するアンカピン14が植設される。
このアンカピン14は、一対の概略半月型円弧状のブレーキシュー15の基端部(下端部)をそれぞれ支持し、ブレーキカム13の両側のカム面13aに当接する該ブレーキシュー15の先端部相互間が広狭変位し得るようにする。なお、ブレーキシュー15相互間に引張りスプリング(図示せず)等の弾機手段を装架し、その先端部がカム面13aに当接するように付勢され、常態(非制動時)ではブレーキシュー15がドラム12の内周面12aに当たらないようにする。
更に、ブレーキカム13を回転駆動するためのブレーキカムレバー16を有する。このブレーキカムレバー16は図4に示されるように、その基端がブレーキカム13の軸部に結合すると共に、該基端から上方に延出しつつ右方、即ち電動モータ201側へ湾曲する。図2等からも分かるようにブレーキカムレバー16の先端は、電動モータ201の上部から適度に上方に張り出し、即ち電動モータ201の外周縁よりも外側まで延出し(図6をも参照のこと)、後輪108の車軸121よりも高い位置に配置される。ブレーキカムレバー16が前後に回動することで、ブレーキカム13が回転し、これによりブレーキシュー15の先端部相互間の間隔を拡縮変化させる。そして、拡開した際にはブレーキシュー15(の外周面)を、ドラム12の内周面12aに圧接させるようになっている。なお、ブレーキカムレバー16は、ハンドル104に配設されたブレーキ操作レバー17(図1)によって操作されるようになっている。
次に、ブレーキ操作レバー17の操作力をブレーキカムレバー16に伝達する操作力伝達手段を備えている。この操作力伝達手段は、ブレーキ操作レバー17からスイングアーム106のピボット軸105付近を経由して延設されるブレーキケーブル18(図1参照)と、このブレーキケーブル18を、その上方に位置するブレーキカムレバー16と接続する第2の操作力伝達手段とにより構成される。
ブレーキケーブル18は図1に示されるように、ダウンチューブ101Aに沿うように車体の前上部から下方へ延び、更にスイングアーム106の方向に延出する。そして、更に図5に示すようにスイングアーム106の前部側においてその前端部から後方へと貫通するように、スイングアーム106内部に配索される。なお、スイングアーム106内には図5のようにガイドパイプ19を設け、このガイドパイプ19内にブレーキケーブル18を挿通させるとよい。
ブレーキケーブル18は図1に示されるように、ダウンチューブ101Aに沿うように車体の前上部から下方へ延び、更にスイングアーム106の方向に延出する。そして、更に図5に示すようにスイングアーム106の前部側においてその前端部から後方へと貫通するように、スイングアーム106内部に配索される。なお、スイングアーム106内には図5のようにガイドパイプ19を設け、このガイドパイプ19内にブレーキケーブル18を挿通させるとよい。
ブレーキケーブル18は図5のように、ガイドパイプ19の後端から更に延出し、第2の操作力伝達手段と連結する。ガイドパイプ19の後端部にはケーブルストッパ20が配設されると共に、後斜め下方へ延出するブラケット21が結合される。このブラケット21はその下端部にて、スイングアーム106の内側に左右方向に植設された支軸22へ締着固定されるが、この支軸22を利用して第2の操作力伝達手段を構成するリンク機構が支持される。このリンク機構を収容配設するためにその対応部位に、スイングアーム106の車幅方向内側面には凹部106aが凹設されている。
第2の操作力伝達手段は図3及び図5等に示されるように、下端部がスイングアーム106に前後に揺動可能に軸支されるリンクレバー23と、このリンクレバー23とブレーキカムレバー16とを連結するリンクロッド24とを含んでいる。このうちリンクレバー23は、その下端部が支軸22のまわりに回動可能に支持される。リンクレバー23の長手方向中間部にはブレーキケーブル18との連結部25が設けられており、この連結部25において、ブレーキケーブル18と結着するロッド部材26がアジャストナット27を介してピン28と係合するようになっている。なお、ケーブルストッパ20とピン28の間にはコイルスプリング(圧縮)29が装着されており、リンクレバー23は常に、後方(図3あるいは図5において左旋方向)へ付勢されている。また、アジャストナット27によってブレーキケーブル18のテンションを調整可能となっている。
リンクレバー23の上部23aは略連結部25付近から左側へ湾曲偏倚し、その上端部で連結金具30を介してリンクロッド24と連結する。リンクロッド24の後端部は図3に示されるように、アジャストナット31を介してピン32と係合し、リンクロッド24の後半部に装着されたコイルスプリング(圧縮)33がブレーキカムレバー16を常に、後方(図3において左旋方向)へ付勢している。
本発明の制動装置において、ブレーキ操作レバー17を引く(握る)とその操作力は操作力伝達手段を介して、後輪108に配置されたドラム式ブレーキ10へ伝達され、これにより後輪108従って自動二輪車100を制動することができる。より具体的には図3等を参照して、ブレーキ操作レバー17の操作でブレーキケーブル18が点線矢印のように前方へ引かれると、これによりリンクレバー23が支軸22のまわりに前方へ回動する。リンクレバー23の回動によりリンクロッド24が点線矢印のように前方へ引かれると共に、ブレーキカムレバー16が前方へ回動する。
そして、ブレーキカムレバー16が前方へ回動することで、図4を参照してブレーキカム13が回転し、これによりブレーキシュー15の先端部相互間の間隔が拡開する。そして、ブレーキシュー15の外周面がドラム12の内周面12aに圧接し、ドラム12そしてモータ軸203に対して制動力が作用する。なお、ブレーキ操作レバー17を放す(解除する)と、コイルスプリング29(及びコイルスプリング33)の弾力によってリンクレバー23が後方へ回動付勢され、ブレーキカムレバー16も後方へ回動復帰する。これによりドラム12に対する制動が解除される。このように自動二輪車100のライダは、ブレーキ操作レバー17の操作により、必要に応じて適宜円滑且つ的確にブレーキをかけ、車両の安全を確保することができる。
本発明の制動装置では特に、ドラム式ブレーキ10を含むブレーキ装置を電動モータ201に対して、後輪108とは反対側に搭載すると共に、電動モータ201が後輪108に隣接配置される。具体的には電動モータ201のモータ軸203と同心に連結する後輪108の車軸121を、スイングアーム107(アーム部107a)と反対側に延出させて後輪108を支持する。
このように先ず、重量物であるパワーユニット200を車両左右方向の中心近傍に配置することで、車両全体として特に左右重量バランスが向上し、良好な操縦安定性を得ることができる。また、嵩張る電動モータ201等が車両左右方向の中心側へ配置することで、パワーユニット200が左右方向外側へ張り出すのを極力抑制する。これにより車両外部との接触あるいは衝突等を防止し、更には深いバンク角を確保することができ、これらにより安全性や走行性を向上することができる。
また、パワーユニット200の後輪108とは反対側においてスペース的な余裕があるため、ブレーキ装置の構成部材もしくは部品であるブレーキカムレバー16やブレーキケーブル18等の配置あるいは取回しが容易になる。これらの部材を無理なく余裕をもって配置構成することができ、その円滑且つ適正作動を保証することができる。
更に、電動モータ201のモータ軸203を後輪108とは反対側に突出させ、この突出部位203aにブレーキ装置のドラム12を結合支持する。そして、制動時、ブレーキ操作レバー17の操作によりドラム12を介して、電動モータ201のモータ軸203に対して直接制動力を付与する。
このようにモータ軸203に対して直接制動力を付与することで、制動トルクを実質的に小さく抑えることができ、ブレーキ装置全体としてもその小型化を図ることができる。ちなみに、モータ軸の回転を一旦減速し、減速後の状態で制動する場合には減速した分だけ制動トルクは大きくなり、ブレーキ装置が大型化する。本発明ではブレーキ装置の適正作動を保証しながら、有効に装置のコンパクト化を実現することが可能である。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
上記実施形態においてドラム式ブレーキの場合について説明したが、その他例えばディスク式ブレーキであってもよい。また、ケーブルを用いる機械式の他に、油圧式であってもよい。
上記実施形態においてドラム式ブレーキの場合について説明したが、その他例えばディスク式ブレーキであってもよい。また、ケーブルを用いる機械式の他に、油圧式であってもよい。
また、電動モータ201のモータ軸203を減速機205を介して、後輪108の車軸121に連結する例を説明したが、減速機205を使用せずに、その場合モータ軸203を後輪108側へ延出させて後輪108の車軸として機能させてもよい。更に、電動モータ201のモータ軸203と後輪108の車軸121とは必ずしも同軸に配置しなくともよい。
また、上記実施形態においてスイングアーム106のアーム部107やパワーユニット200等を車両の左側に配置構成する例を説明したが、左右反対にすることも可能である。
更には、3輪以上の車両であって、典型的には独立駆動される各車輪において本発明に係る制動装置を適用することも可能であり、上記いずれの場合も上記実施形態と同様な作用を得ることができる。
更には、3輪以上の車両であって、典型的には独立駆動される各車輪において本発明に係る制動装置を適用することも可能であり、上記いずれの場合も上記実施形態と同様な作用を得ることができる。
10 ドラム式ブレーキ、11 ベース、12 ドラム、13 ブレーキカム、14 アンカピン、15 ブレーキシュー、16 ブレーキカムレバー、17 ブレーキ操作レバー、18 ブレーキケーブル、19 ガイドパイプ、20 ケーブルストッパ、21 ブラケット、22 支軸、23 リンクレバー、24 リンクロッド、26 ロッド部材、27 アジャストナット、29 コイルスプリング、30 連結金具、31 アジャストナット、32 ピン、100 電動式自動二輪車、101 車体フレーム、102 フロントフォーク、103 前輪、104 ハンドルバー、106 スイングアーム、106a 凹部、107 アーム部、108 後輪、109 リヤサスペンション、111 支持用ブラケット、 112 フロントレッグシールド、113 リヤレッグシールド、115 リヤフレームカバー、116 運転シート、117 リヤフェンダ、200 パワーユニット、201 電動モータ、202 ホルダ、203 モータ軸、204 軸受、205 減速機。
Claims (4)
- 車体フレームに揺動可能に結合するスイングアームの後端部に、後輪を支持すると共にこの後輪を駆動する電動モータを搭載した電動式自動二輪車の制動装置であって、
前記後輪を制動するためのブレーキ装置を前記電動モータに対して、該後輪とは反対側に搭載すると共に、前記電動モータを前記後輪に隣接配置したことを特徴とする電動式自動二輪車の制動装置。 - 前記スイングアームの後端部において車両内方側にホルダ手段を介して前記電動モータを保持し、この電動モータのモータ軸と連結する前記後輪の車軸を、前記電動モータの前記スイングアームとは反対側に延出させたことを特徴とする請求項1に記載の電動式自動二輪車の制動装置。
- 前記電動モータのモータ軸を前記後輪とは反対側に突出させ、この突出部位に前記ブレーキ装置のドラムを結合支持することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動式自動二輪車の制動装置。
- 前記ドラムは、前記スイングアームの後端部の車両内方側に配置され、ブレーキ操作手段の操作により前記ドラムを介して、前記電動モータのモータ軸に対して直接制動力を付与することを特徴とする請求項3に記載の電動式自動二輪車の制動装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016151427A1 (en) * | 2015-03-23 | 2016-09-29 | Freni Brembo S.P.A. | Electric motor assembly for a motor vehicle and brake |
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2010
- 2010-01-28 JP JP2010017229A patent/JP2011152903A/ja active Pending
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