JP2011152770A - 微細構造形成のための金型用離型膜およびそれを用いた金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な離型性、成形の繰り返し耐久性などの向上を実現し、良好な成形品を生産できる離型膜、ならびにそれを用いた金型を提供する。特に、ナノメートルサイズの凹凸を持った金型(反射防止構造形成用の金型など)に対し、従来の離型膜に比べて、飛躍的に良好な離型性を実現し、かつ優れた繰り返し耐久性を実現することを目的とする。
【解決手段】貴金属窒化物、すなわち、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、またはそれらの合金の窒化物を離型膜として用いる。なかでも、窒化白金(Pt−N)は、特に優れた効果を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、離型性の良好な金型を実現するための離型膜に関する。本発明は、特に、ナノメートルサイズの凹凸を持つ金型の離型性改善に有効な離型膜に関する。本発明の離型膜を有する金型は、たとえば、ナノ構造体で構成された反射防止成形品の製造、ナノピラーが形成されたバイオチップ、マイクロメートルサイズの凹凸が形成された導光板など、微細凹凸の成形において有用である。
従来より、微細な凹凸が表面に形成された金型または高い面精度が要求される金型などを用いて成形品を製造する場合、成形金型とプラスチック樹脂またはガラスなどの成形品との離型性が不十分であることに起因して、成形品に不良が発生することが問題になっている。
一般に、金型と成形品との離型性を向上させるために、金型の最表面に離型層を形成することが行われている。具体的には、母材としてタングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金、またはチタンニトリド(TiN)、クロムカーバイド(Cr32)、アルミナ(Al23)を主成分とするサーメット、またはクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ステンレス(SUS)、シリコンカーバイド(SiC)などで作製された金型の表面に、金属、炭化物、または窒化物からなる中間層を組み合わせ、最表面に、フッ素系の有機材料、あるいは白金(Pt),パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh),オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)などの無機材料(特許文献1〜3参照)で構成される離型層を設けて、金型の離型性向上を実現している。
しかしながら、金型表面に微細凹凸が形成されたような複雑な金型になると、離型性の向上は、これらの手法では十分に解決されていないのが現状である。
たとえば、ナノ構造体で実現できる反射防止構造(モスアイ型反射防止構造など)、光ディスク基板、グレーティングなどのナノメートルサイズの凹凸が付与された金型表面に、前述した離型膜を付与した場合、より良好な離型性(成形性)、離型膜の優れた繰り返し耐久性(薄膜の硬さ、薄膜の密着、クラッキング強度)など、全ての要求をすべて満足するものは得られていない。
すなわち、ナノメートルサイズの凹凸を有する金型の最表面(成形面)に有機材料からなる離型層を付与した場合には、良好な離型性を実現できる利点はある。しかしながら、有機材料からなる離型層は繰り返し耐久性が十分ではなく、成形できる回数が少ないという問題がある。一方、白金(Pt),パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh),オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)などの無機材料からなる離型層においては、繰り返し耐久性などは得られるが、良好な離形性などが実現出来ないことが課題となっている。
そのため、現在では、樹脂の離形性を改善するなどの工夫をして成形を行っている。たとえば、成形に用いる樹脂中に離形性を向上させる添加剤の充填が行われている。しかしながら、一般に金型として求められる特性として、多くの種類の樹脂で成形できることが要求されるため、これら金型自体の離形性改善が更に求められている。
また、上述の薄膜の他に、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、窒化タンタル(TaN)、窒化カーボン(CN)、窒化ニオブ(NbN)などが、優れた離形性を示す薄膜として知られている(特許文献4〜6参照)。しかしながら、これらも、微細な凹凸を持つ金型の離型性を向上する離型膜としては十分とは言えず、特に可視域の波長以下の間隔で構成されたナノメートルサイズの凹凸が表面に形成された反射防止機能付与用の金型に用いた場合には、離型性が不良になり、十分な低反射特性を有する成形品を得ることが出来ない。
特開平07−172849号公報 特開2005−231932号公報 特開2009−067607号公報 特開2009−061465号公報 特開2007−277019号公報 特開平10−278049号公報 特開2006−307323号公報 特開2008−143162号公報 特開2005−331868号公報
本発明は、良好な離型性と成形の繰り返し耐久性などの向上を実現し、良好な成形品を生産できる離型膜を提供するものである。特に、ナノメートルサイズの凹凸を持った金型(反射防止金型など)に対し、従来の離型膜に比べて、飛躍的に良好な離型性を実現し、かつ繰り返し耐久性を実現することを目的としている。
上記問題を解決するために、本発明では、スパッタやPVDなどの真空成膜装置で作製した貴金属の窒化物、すなわち、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ロジウム(Rh),オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)またはそれらの合金の窒化物を離型膜として用いた。なかでも、窒化白金(Pt−N)は、特に優れた効果を有するものである。
具体的には、本出願は、以下の発明を提供するものである。
(1)貴金属の窒化物を主成分として含む金型用離形膜。
(2)前記貴金属が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ロジウム(Rh),オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)およびそれらの合金からなる群から選択されることを特徴とする、(1)に記載の離形膜。
(3)前記貴金属が、白金(Pt)であることを特徴とする、(2)に記載の離形膜。
(4)前記貴金属が、パラジウム(Pd)であることを特徴とする、(2)に記載の離形膜。
(5)前記貴金属が、イリジウム(Ir)−レニウム(Re)合金であることを特徴とする、(2)に記載の離形膜。
(6)母材と、表面に凹凸が形成された超硬層と、(1)から(5)のいずれかに記載の離型膜とを有することを特徴とする金型。
(7)前記金型が、樹脂成形用またはガラス成形用の金型であることを特徴とする(6)に記載の金型。
(8)前記金型が、射出成形用、プレス成形用、キャスト成形用、トランスファー成形用またはナノインプリント成形用の金型であることを特徴とする、(7)に記載の金型。
(9)前記金型が、微細な凹凸を持つ金型であることを特徴とする、(8)に記載の金型。
(10)前記金型が、反射防止構造を形成するためのナノメートルサイズの凹凸を有する金型であることを特徴とする、(9)に記載の金型。
白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ロジウム(Rh),オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、それらの合金などの貴金属の窒化物を用いた本発明の離形膜は、微細な凹凸を持つ金型の離型性を向上させる離形膜として有用である。そのため、本発明の離型膜は、樹脂成形、ガラス成形に有用であり、射出成形用金型、プレス成形用金型、キャスト成形用金型、トランスファー成形用金型、ナノインプリント成形用金型に付与する離形膜として適用が可能である。
窒化白金または白金からなる離型膜を有する反射防止構造形成用金型を用いて得られた成形品の光透過率を示す図である。 白金離型膜と窒化白金離型膜の加熱による質量減を示す図である。
はじめに、各種金属および合金、ならびにそれらの窒化物からなる離型膜の離型性について詳述する。
第1表に各材料からなる離型膜の純水に対する接触角を示す。純水に対する接触角は、平板シリコンウエハの表面に膜厚200nmの中間層と、膜厚200nmの各種材料の離型層とを積層したサンプルを、協和界面化学社製のDM−300を用いて測定した。一般的に、接触角が大きい程、表面エネルギーが低いため密着力は弱くなる。そのため、接触角が大きいほど離型性が良い傾向を示す。
第1表によると、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、イリジウム−レニウム合金(Ir−Re)については、金属または合金よりも窒化物の接触角が大きくなり、窒化による離型性の向上が得られることがわかる。そのため、従来技術の白金(Pt),パラジウム(Pd)、金(Au)、ロジウム(Rh),オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)などの貴金属をそのまま離型膜として用いた場合(特許文献1〜3参照)と比較して、これらの金属は窒化することで離型性を改善できる事が分かる。また、これらの材料を主成分とする合金および混合材料でも同様の効果が期待できる。
一方、従来技術の離型膜に用いられているタングステン(W)の金属(特許文献1〜3参照)、ならびにチタン(Ti)、タンタル(Ta)およびニオブ(Nb)の窒化物(特許文献4〜7参照)について、第1表の金属および窒化物の接触角を比較した場合、窒化により必ずしも接触角が大きくなるとは限らず、むしろ減少するものも多い。このことから、これらの金属においては、窒化により離型性が向上する結果が必ずしも得られないことが分かる。
従って、貴金属の離型膜において、窒化により接触角が向上し、離型性の向上を図ることができることは、予想しがたい格別のことといえる。
表1の結果から、本発明の貴金属窒化物を含む離型膜のうち、窒化白金(Pt−N)または窒化パラジウム(Pd−N)を主成分として含む離型膜、あるいは、窒化白金または窒化パラジウムを混合材料として含む離型膜は、上述の従来技術の離型膜にくらべ、特に良好な離型性が得られる事が分かる。また、金(Au)、ロジウム(Rh),オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)の窒化物を主成分として含む離型膜、あるいは、それら金属の窒化物を混合材料として含む離型膜でも同様の効果が確認できた。
加えて、前述の離型膜の繰り返し耐久性について、直径30mmの平板金型の表面に中間層を介して、膜厚50nmの離型膜を形成したサンプルの金型を用いて反復して成形を行い、成形回数(10,000回)による金型表面の樹脂汚染、ならびに成形不良によって発生する成形品の意匠面の点欠陥の発生から評価を行った。ここで、成形樹脂としてポリカーボネート、ゼオネックス(登録商標、シクロオレフィンポリマー樹脂)、アクリルなどを用いて評価を繰り返した。これら成形樹脂の評価を総合して、繰り返し耐久性の評価とした。
Figure 2011152770
本発明の貴金属の窒化物を主成分として含む離型膜は、離型膜の質量を基準として、
50%以上、好ましくは85%以上の貴金属の窒化物を含む。また、離型膜中に含まれる貴金属の窒化物は、質量比で10%以上、好ましくは30%以上の窒化物成分(N)を含むことが好ましい。本発明の離型膜は、その性能に悪影響を与えないことを条件として、微量の不純物を含んでもよい。
本発明の貴金属の窒化物からなる離型膜は、スパッタ法(反応性スパッタ法を含む)、PVD法などの真空成膜技術を用いて形成することができる。あるいはまた、ゾルゲル法などの他の技術を用いて貴金属の窒化物からなる離型膜を形成することができる。貴金属の窒化物の緻密な膜を形成できるという観点から、真空成膜技術を用いて離型膜を形成することが好ましい。
本発明の離型膜は5nm〜200nmの膜厚を有することが望ましい。5nm未満の膜厚を有する離型膜は、離型性の向上には有効であるが、繰り返し耐久性の低下が発生する恐れがある。また、200nmを超える膜厚の離型膜においては、膜応力の影響による繰り返し耐久性の低下が発生する恐れがある。
本発明の離型膜を適用するための金型は、従来技術の方法で製造することができる(特許文献8および9参照)。
次に、窒化白金膜を金型の離型膜として用いるための最良の実施形態について、可視域の波長間隔以下に制御された凹凸が表面に形成された反射防止構造作製用の金型を例に用いて、以下に詳述する。
最初に、ニッケル(Ni)、ステンレス(SUS)、タングステンカーバイド(WC)などの母材の表面に、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)などを用いて密着層を形成し、引き続いて超硬層を形成した。ここで、超硬層は、窒化シリコン、窒化チタン、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化炭素などを用いて形成することが望ましい。続いて、超硬層の表面に、成形品に転写を行うためのナノメートルサイズの凹凸を形成する。反射防止構造の場合には、たとえば、300nm以下の間隔で制御された凹凸間隔で、高さ160nmの凹凸を形成する。これら超硬層へのナノメートルサイズの凹凸形成方法は、金、銀、白金、またはパラジウムのいずれかの金属、金、銀、白金、またはパラジウムのいずれかの金属を主成分とする合金、若しくは金、銀、白金、またはパラジウムのいずれかの金属酸化物を用いて加熱形成した金属ナノ粒子をマスク材料として用いて、ドライエッチング工程により超硬層をエッチングすることで、ナノメータサイズの凹凸を超硬層に作製した。ここで、非金属であるシリカコロイド、あるいは有機物の粒子などをマスク材料であるナノ粒子として用いることもできる。別法として、ナノ粒子でなく、他のリソグラフィー法で形成されるマスクを用いて超硬層のナノメートルサイズの凹凸を形成してもよい。さらなる別法として、超硬層の凹凸の形成のためのマスク材料として、アルミナのホールなどの自己組織化膜を用いることもできる。
超硬層表面にナノメートルサイズの凹凸を作製した後に、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)などからなる中間層を形成し、続いて窒化白金からなる離型膜を成膜することによって、ナノメートルサイズの凹凸を有し、その成形面に離型膜が形成された本発明の金型を得ることができる。同様にして、他の金属窒化物を主成分として含む離型膜を有する金型を得ることができる。
本発明において、「ナノメートルサイズの凹凸」とは、1マイクロメートル未満の凹凸間隔および凹凸高さを有する凹凸を意味する。好ましくは、「ナノメートルサイズの凹凸」とは、700ナノメートル以下の凹凸間隔および凹凸高さを有する凹凸を意味する。より好ましくは、「ナノメートルサイズの凹凸」とは、可視域の光の波長以下である300ナノメートル以下の凹凸間隔および凹凸高さを有する凹凸を意味する。
以上のように形成されたナノメートルサイズの凹凸を有し、その成形面に離型膜が形成された金型は、樹脂またはガラスの成形に用いることができる。上記の金型は、射出成形、プレス成形、キャスト成形、トランスファー成形、ナノインプリント成形などの技術において使用することができる。
本実施例は、可視域の波長間隔以下に制御された凹凸が表面に形成された反射防止構造作製用の金型に関する。最初に、ニッケル母材表面にクロム(Cr)を用いて密着層を形成し、続いて窒化シリコンを用いて超硬層を形成した。続いて、金のナノ粒子をマスク材料とするドライエッチングによって、超硬層の表面に、100nmの凹凸間隔および160nmの凹凸高さを有する、ナノメートルサイズの凹凸を形成した。
超硬層表面にナノメートルサイズの凹凸を作製した後に、クロム(Cr)からなる膜厚5nmの中間層を形成し、続いて窒化白金からなる膜厚10nmの離型膜を成膜して、ナノメートルサイズの凹凸を有し、その成形面に離型膜が形成された金型を得た。ここで、反応性スパッタリング装置を用いて、中間層および窒化白金離型層を形成した。具体的には、クロムからなるターゲットを用いて、被成膜基板である超硬層にバイアス電圧を印加しながら、アルゴン雰囲気中でプラズマを発生させることにより、より緻密でピンホール(薄膜抜け)のないクロム(Cr)からなる中間層を形成した。この時の成膜圧力を0.5Paとし、成膜速度を0.3Å/秒とした。また、成膜時のRF電力は100Wであり、また基板へのバイアス電圧は25Wの条件で成膜を行った。続いて、白金ターゲットを用いて、被成膜基板である超硬層にバイアス電圧を印加しながら、窒素とアルゴン雰囲気中でプラズマを発生させ、窒素と白金とを反応させることによって、より緻密でピンホール(薄膜抜け)のない窒化白金からなる離型膜を形成した。この時の成膜圧力を0.5Paとし、成膜速度を2.9Å/秒とした。また、成膜時のRF電力は100Wであり、また基板へのバイアス電圧は25Wの条件で成膜を行った。同様の手法を用いて、第1表に示した金属または金属窒化物からなる離型膜を有する金型を製造した。ただし、金属からなる離型膜を形成する場合には、窒素を含まないアルゴン雰囲気中でスパッタ工程を行うことにより、離型膜を得た。
続いて、上記のように得られた金型を用いた樹脂材料の成形を詳述する。成形には、全電動射出成形機(住友重機械工業株式会社製)を用いて、後で記述する成形条件で成形を行った。また、樹脂は、アクリペット(登録商標)VH(三菱レイヨン株式会社、アクリル樹脂)を用いた。成形には、金型温度100℃、樹脂温度280℃、保圧60mPaの条件を用いた。金型と樹脂材料との離型性が良好なほど、ナノメートルサイズの凹凸を忠実に成形することができるため、より良好な反射防止効果を実現することができる。また、反射防止効果とともに透過率も向上することから、良好な離型性を有する金型は、高透過性を示す光学レンズなどの製造に有用である。図1に、ナノメートルサイズの凹凸が表面に形成された反射防止構造作製用の金型を用い、離型膜として本発明の窒化白金膜を用いた場合、および従来技術の白金膜を用いた場合、離型膜を用いなかった場合の、成形品の光透過率を測定した結果を示した。図1において、従来の白金の離型膜を用いた結果と、本発明の窒化白金の離型膜を用いた結果を比較すると、窒化白金を離型層に用いることにより、より高透過率の成形品が得られていることが分かる。これは、金型と樹脂材料との離型性が向上した結果、良好な透過光学特性が得られたためである。また、成形を行った後の金型の表面の観察によって、ナノメートルサイズの凹凸に対する樹脂の離型性を評価した。この時のナノメートルサイズの凹凸に対する樹脂の離型性の判定基準は、意匠面の外観欠陥の発生が無く良好で、反射防止ナノ構造の金型を用いて成形した時の成形品の反射率特性が0.5%以下の場合を◎とし、意匠面の外観欠陥の発生が無く良好であるが、成形品の反射率特性が0.5%〜1%の離型膜を○、意匠面の外観欠陥の発生が無く良好であるが、成形品の反射率特性が1%〜2%の離型膜、若しくは、成形品の反射率特性が1%以下の特性を示すが、意匠面の外観欠陥の発生がある離型膜を△、意匠面の外観欠陥の発生があり、成形品の反射率特性が1%以上の離型膜を×と評価し結果を第1表に示した。
図2に、本発明の窒化白金膜および従来例の白金膜を加熱した際の重量減を測定した結果を示す。図2に示すように、従来技術の白金を用いた場合には、耐熱性の限界は600℃程度であるのに対し、本発明の窒化白金からなる離型膜は、750℃程度までの耐熱性を有することが分かる。したがって、窒化白金からなる離型膜を用いることによって、ガラスなどのプレス成形に要求されるより高い温度での成形が可能となる。すなわち、貴金属の窒化物からなる本発明の離型膜は、離型性の向上に加えて、耐熱性の向上を達成できることが分かる。
これらの結果により、窒化白金は離形膜として有用であり、金型の離型性を向上できることが分かる。特に、凹凸が微細かつ高アスペクト比(凹凸高さ/凹凸間隔が1以上)になると、一般に金型の離型性は著しく悪化するため、本発明の離型膜は、ナノメートルサイズの凹凸の転写を行うための離型膜として特に有用である。
また、第1表に示すように、ナノメートルサイズの凹凸が形成された金型の離型膜として、図2に示した窒化白金離型膜以外にも、窒化パラジウムもまた、ナノメートルサイズの凹凸の転写を行うための離型膜として有用である。

Claims (10)

  1. 貴金属の窒化物を主成分として含むことを特徴とする金型用離形膜。
  2. 前記貴金属が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ロジウム(Rh),オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)およびそれらの合金からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の離形膜。
  3. 前記貴金属が、白金(Pt)であることを特徴とする、請求項2に記載の離形膜。
  4. 前記貴金属が、パラジウム(Pd)であることを特徴とする、請求項2に記載の離形膜。
  5. 前記貴金属が、イリジウム(Ir)−レニウム(Re)合金であることを特徴とする、請求項2に記載の離形膜。
  6. 母材と、表面に凹凸が形成された超硬層と、請求項1から5のいずれかに記載の離型膜とを有することを特徴とする金型。
  7. 前記金型が、樹脂成形用またはガラス成形用の金型であることを特徴とする、請求項6に記載の金型。
  8. 前記金型が、射出成形用、プレス成形用、キャスト成形用、トランスファー成形用またはナノインプリント成形用の金型であることを特徴とする、請求項7に記載の金型。
  9. 前記金型が、微細な凹凸を持つ金型であることを特徴とする、請求項8に記載の金型。
  10. 前記金型が、反射防止構造を形成するためのナノメートルサイズの凹凸を有する金型であることを特徴とする、請求項9に記載の金型。
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