以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置及びクリームはんだの管理供給方法について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムにおけるシステム全体の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムは、使用履歴情報に基づいて個々のクリームはんだを管理し、クリームはんだ印刷機100に供給する最適なクリームはんだを決定するためのシステムであり、クリームはんだ印刷機100、情報処理装置200及び携帯端末装置300を備える。クリームはんだ印刷機100、情報処理装置200及び携帯端末装置300は、例えば1つの工場内において使用される装置であり、無線又は有線の通信手段によって、お互いに情報(データ)を送受信可能となるように構成されている。
クリームはんだ印刷機100は、電子部品(以下、「部品」と記載する。)が実装される電子回路基板(以下、「基板」と記載する。)にクリームはんだを印刷し、基板上に所定の印刷パターンを形成するものである。本実施形態に係るクリームはんだ印刷機100は、後述するように、印刷に使用したクリームはんだの使用履歴情報を記憶する等の機能を有する。クリームはんだ印刷機100に供給されるクリームはんだは、ペースト状のはんだであり、クリームはんだ容器(ポット)400に収容されて冷蔵庫等の保冷庫500に保管されている。本実施形態で用いるクリームはんだは、鉛フリーのクリームはんだであり、外径が数十μmのはんだボールとフラックスとを混合させてクリーム状にしたものである。
情報処理装置200は、クリームはんだの使用履歴情報を取得及び記憶等することによりクリームはんだを管理するとともに、クリームはんだ印刷機100に供給するクリームはんだの区分を選択する等の機能を有する。さらに、本実施形態では、選択されたクリームはんだの区分に属するクリームはんだの中から、クリームはんだ印刷機100に供給するクリームはんだ(以下、「供給クリームはんだ」と記載する。)を選択する機能を有する。
携帯端末装置300は、作業者が携帯する端末機器であり、情報処理装置200によって選択されたクリームはんだの区分を表示したり、保冷庫500から出庫したクリームはんだの識別情報をクリームはんだ印刷機100に送信したりする等の機能を有する。
クリームはんだ印刷機100にクリームはんだを供給する場合、作業者は、情報処理装置200によって選択されたクリームはんだの区分を携帯端末装置300から入手して、該当する区分に属するクリームはんだの中から最適なクリームはんだを選択する。そして、そのクリームはんだが収容されたクリームはんだ容器400を保冷庫から出庫し、常温に戻す。その後、作業者は、常温に戻したクリームはんだをクリームはんだ印刷機100に投入する。所定の印刷が終了した後、クリームはんだ印刷機100にクリームはんだが残った場合、作業者は、その残ったクリームはんだを回収し、再びクリームはんだ容器400に収容し、当該クリームはんだ容器400を保冷庫500に入庫する。なお、保冷庫500には、使用済みのクリームはんだが収容されたクリームはんだ容器だけではなく、未使用である新品のクリームはんだが収容されたクリームはんだ容器も保管されている。また、本実施形態では、各クリームはんだの識別情報として、各クリームはんだ容器400には容器識別ID410が付与されている。容器識別ID410は、例えば、バーコード、ICタグ又はラベル記入等によって構成することができる。本実施形態では、図1に示すように、バーコードとしている。
次に、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムにおける、クリームはんだ印刷機100、情報処理装置200及び携帯端末装置300の各装置について、それぞれ図面を用いて詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態に係るクリームはんだ印刷機100について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムにおけるクリームはんだ印刷機100の特徴的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係るクリームはんだ印刷機100は、印刷部110、制御部120及び通信部130を備える。
印刷部110は、基板にクリームはんだを印刷するための既知の構成を備えており、例えば、所定の印刷パターンを形成するための開口を有するメタルマスク、ゴム製のスキージ、基板支持テーブル、メタルマスク支持機構、スキージ駆動機構、及び、基板を供給又は排出するためのコンベヤ等を備える。このように構成された印刷部110は、供給搬送された基板をメタルマスクに近接させ、メタルマスク上からクリームはんだを攪拌しながら塗布して、メタルマスク上でスキージをスライド駆動させることにより、メタルマスクの開口を通して基板上の所定の位置にクリームはんだを印刷する。クリームはんだ印刷の一例としては、図12A〜図12Dで示すような基板を押し上げることによって基板とメタルマスクとを近接させて印刷する方法を用いることができる。あるいは、メタルマスクをスキージによって押し下げることによって基板とメタルマスクとを近接させて印刷する方法を用いることもできる。また、本実施形態において、メタルマスクには、個々のメタルマスクを識別するためのマスク識別IDが付与されている。
制御部120は、マスク識別ID読取部121と、選択容器識別ID取得部122と、供給容器識別ID取得部123と、使用履歴情報取得部124と、照合部125とを備える。制御部120の各機能構成は、プロセッサ、又は、ROM若しくはRAM等のメモリ等、既知のハードウェアで構成されている。また、メモリには各処理を実行するための所定のコンピュータプログラムが記憶されており、各機能構成は、マイクロプロセッサがコンピュータプログラムに従って動作することにより、その機能が達成される。
マスク識別ID読取部121は、印刷部110に配置されたメタルマスクのマスク識別IDを読み取る機能を有する。読み取ったマスク識別IDは、通信部130を介して情報処理装置200に送信される。
選択容器識別ID取得部122は、情報処理装置200によって選択された供給クリームはんだについて、当該選択された供給クリームはんだが収容されたクリームはんだ容器の容器識別IDを情報処理装置200から取得する機能を有する。なお、選択された供給クリームはんだの容器識別IDは、情報処理装置200から送信され、通信部130によって受信される。また、選択容器識別ID取得部122によって取得した容器識別IDは、照合部125に送信される。
供給容器識別ID取得部123は、作業者が保冷庫から出庫して実際にクリームはんだ印刷機100に供給したクリームはんだ(以下、「供給済みクリームはんだ」と記載する。)について、当該供給済みクリームはんだのクリームはんだ容器の容器識別IDを携帯端末装置300から取得する機能を有する。供給済みクリームはんだの容器識別IDは、携帯端末装置300から送信され、通信部130によって受信される。また、供給容器識別ID取得部123によって取得した容器識別IDは、照合部125に送信される。
使用履歴情報取得部124は、当該クリームはんだ印刷機100に供給され、実際にクリームはんだ印刷機100によって使用されたクリームはんだ(以下、「使用済みクリームはんだ」と記載する。)の使用履歴情報を取得する機能を有する。使用履歴情報とは、具体的には、印刷部110によって基板に印刷された時間(印刷時間)、印刷部110によって基板に印刷された回数(印刷回数)、印刷中に別のクリームはんだが継ぎ足された情報(はんだ継ぎ足し情報)等である。使用履歴情報は、印刷部110から送信される。また、使用履歴情報取得部124で取得した使用済みクリームはんだの使用履歴情報は、通信部130を介して外部装置である情報処理装置200及び携帯端末装置300に送信される。なお、当該使用履歴情報は、使用履歴情報記憶部140及び表示部150にも送信される。
照合部125は、情報処理装置200によって選択された区分に属する供給クリームはんだと、実際に作業者がクリームはんだ印刷機100に供給した供給済みクリームはんだとが一致するかどうかの照合を行う機能を有する。供給クリームはんだと供給済みクリームはんだとの一致又は不一致に関する照合結果については、表示部150及び報知部160に送信される。
通信部130は、外部装置である情報処理装置200及び携帯端末装置300との通信を行うための機能を有する。通信部130によって、制御部120の各機能構成と各外部装置とのデータの送受信が行われる。通信部130は、例えば、LANアダプタ等で構成することができる。
本実施形態に係るクリームはんだ印刷機100は、さらに、使用履歴情報記憶部140、表示部150及び報知部160を有する。
使用履歴情報記憶部140は、ハードディスク等のメモリで構成されており、使用履歴情報取得部124によって取得したクリームはんだの使用履歴情報を記憶し蓄積する機能を有する。使用履歴情報記憶部140によって記憶されたクリームはんだの使用履歴情報は、通信部130を介して外部装置である情報処理装置200又は携帯端末装置300に送信される。
表示部150は、LCD等のディスプレイで構成されており、使用履歴情報取得部124によって取得したクリームはんだの使用履歴情報を表示する機能を有する。これにより、クリームはんだの作業者は、クリームはんだの使用履歴情報を随時見ることができる。また、表示部150は、照合部125の照合結果を表示する機能も有する。これにより、作業者は、照合部125から送信される一致又は不一致の照合結果を見ることができる。その他、表示部150は、クリームはんだ印刷機100の印刷状況の情報を表示するように構成されている。
報知部160は、スピーカ等で構成されており、照合部125の照合結果を音声で報知する機能を有する。これにより、作業者は、照合部125から送信される一致又は不一致の照合結果を聴覚により把握することができる。この場合、一致する場合と不一致の場合とで音声を異ならせることが好ましく、特に照合結果が不一致の場合は、アラーム等の警告音で報知することが好ましい。また、報知部160は、その他、クリームはんだ印刷機100の印刷状況を報知するように構成しても構わない。
なお、作業者が、表示部150又は報知部160によって不一致(エラー)情報を入手した場合、作業者は、クリームはんだ印刷機100に供給した供給済みクリームはんだが間違っていたことを知ることができる。従って、作業者は、正しい供給クリームはんだを保冷庫500から取り出して、正しいものに交換することができる。
また、本実施形態に係るクリームはんだ印刷機100は、上記の構成の他に、入力部170及びメモリ部180を備える。入力部170は、入力ボタン又は入力タッチパネル等で構成されており、作業者が必要な情報を入力するための機能を有する。また、メモリ部180は、RAM等で構成されており、制御部120の各機能構成が所定の制御を行うために用いられるコンピュータ上の作業領域である。
次に、本発明の実施形態に係る情報処理装置200について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムにおける情報処理装置200の特徴的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る情報処理装置200は、例えば、サーバコンピュータであり、記憶部210、制御部220及び通信部230を備える。
記憶部210は、クリームはんだ情報記憶部211と、区分テーブル記憶部212と、印刷難易度テーブル記憶部213とを有する。これらの各記憶部は、ハードディスク等のメモリで構成される。
クリームはんだ情報記憶部211は、クリームはんだに関する情報を記憶するためのクリームはんだ情報テーブル211Tを記憶する。図4は、本実施形態に係るクリームはんだ情報テーブルの一例を示す図である。図4に示すように、クリームはんだ情報テーブル211Tには、個々のクリームはんだ毎に、すなわち、クリームはんだが収容されるクリームはんだ容器の容器識別ID毎に、種々のクリームはんだに関する情報が記録されている。例えば、図4に示すように、容器識別ID毎に、クリームはんだの品番、ロット番号、クリームはんだ印刷機100に使用された使用履歴情報、保冷庫500の保管状況及び現在のクリームはんだの区分等が記録されている。使用履歴情報には、過去の使用履歴全てが蓄積されており、クリームはんだが保冷庫から出庫される毎に、また、クリームはんだ印刷機100に使用される毎に、その情報が蓄積される。
ここで、出庫時間とは、クリームはんだが保冷庫から出庫されている間の時間のことである。また、出庫時間は、クリームはんだ印刷機100に使用されている時間である使用時間(印刷時間)と、クリームはんだ印刷機100には使用はされていないが常温に曝されている時間である準使用時間との和となる。準使用時間は、クリームはんだ印刷機100による使用時間に等価換算したものであり、保冷庫から出庫されたがクリームはんだ印刷機100に使用されていない時間である非使用時間に所定の係数αを掛けて算出した時間である。係数αは、経験的に、例えば、α=2と設定することができ、これにより、非使用時間を使用時間に等価換算することができる。
また、使用履歴情報として、総印刷回数も蓄積されており、印刷回数全てにおける使用時間の総和である総使用時間、及び印刷回数全てにおける準使用期間の総和である総準使用期間が算出されている。総使用期間と総準使用期間との和が総出庫時間となる。
なお、その他の使用履歴情報として、別のクリームはんだ容器から継ぎ足されたクリームはんだに関するはんだ継ぎ足し情報も蓄積されている。はんだ継ぎ足し情報としては、継ぎ足したクリームはんだの容器識別IDが記載される。
さらに、クリームはんだ情報テーブル211Tには、クリームはんだの保管状況も記載されている。例えば、容器識別IDに該当するクリームはんだが、保冷庫に存在するのか(保冷)、それとも出庫されて常温戻し中なのか(常温)、あるいは、クリームはんだ印刷機100に使用されているのか(使用中)、あるいは、既に廃棄されたものであるのか(廃棄)、といった情報が記録されている。
また、クリームはんだ情報テーブル211Tには、クリームはんだ情報テーブルに登録されたクリームはんだについて、後述するように、現在のクリームはんだの区分も記載されている。このクリームはんだの区分は、総出庫時間に基づいて区分決定部224によって決定され、総出庫時間が更新される度に、このクリームはんだの区分も更新される。
次に、区分テーブル記憶部212は、クリームはんだの使用履歴情報とクリームはんだの区分とが予め対応付けられた区分テーブル212Tが記憶されている。本実施形態において、クリームはんだを区分するために用いられるクリームはんだの使用履歴情報とは、図4に示すクリームはんだ情報テーブルの総出庫時間のことであり、当該総出庫時間に基づいてクリームはんだの区分が決定される。クリームはんだの区分には、少なくとも、総出庫時間が相対的に短い場合の第1区分と総出庫時間が相対的に長い場合の第2区分とが含まれる。
図5は、本実施形態に係る情報処理装置200の区分テーブル記憶部212に記憶される区分テーブルの一例を示す図である。図5に示すように、本実施形態においては、クリームはんだの総出庫時間T(時間)に応じて、T=0の場合は、クリームはんだの区分を「区分1」とし、0<T≦12の場合は、クリームはんだの区分を「区分2」とし、12<T≦140の場合は、「区分3」とし、140<Tの場合は、「区分4」とし、4区分に分けた。なお、「区分1」は、新品のクリームはんだであり、「区分2」、「区分3」及び「区分4」は、クリームはんだ印刷機100から回収された使用済みクリームはんだ、又はクリームはんだ印刷機100には使用されてはいないが常温に曝されたクリームはんだである。なお、図5に示す区分は例示であり、本実施形態にように4区分ではなく、2区分又は3区分としても構わないし、あるいは、5区分以上に細かく区分しても構わない。
印刷難易度テーブル記憶部213は、クリームはんだが印刷される基板に実装される部品(実装部品)に関する情報と基板の印刷難易度とが予め対応付けられた印刷難易度テーブル213Tが記憶されている。基板の印刷難易度は、クリームはんだを基板に印刷する際の印刷困難性を表しており、印刷難易度が高ければ高いほど印刷困難性が高く、逆に、印刷難易度が低ければ低いほど印刷困難性は低い。基板の印刷難易度には、少なくとも、基板の印刷が相対的に難しい場合の第1印刷難易度と基板の印刷が相対的に易しい場合の第2印刷難易度とが含まれている。
図6は、本実施形態に係る情報処理装置200の印刷難易度テーブル記憶部213に記憶される印刷難易度テーブルの一例を示す図である。図6に示すように、実装部品に関する情報として、実装部品そのものの情報に加えて、マスク識別ID及びマスク開口のアスペクト比が記憶されている。図6に示すように、実装部品に対応するようにして予め所定のメタルマスクが決められており、本実施形態では、メタルマスクにはマスク識別IDが付与されている。すなわち、ある一つの実装部品に対して一つのマスク識別IDが対応付けられている。本実施形態では、実装部品毎に、すなわち、マスク識別ID毎に印刷難易度が予め設定されている。
基板の印刷難易度は、メタルマスクの開口に基づいて決定されており、本実施形態では、メタルマスクの開口のアスペクト比ARに基づいて印刷難易度が決定されている。図7は、本実施形態に係るクリームはんだ印刷機に使用されるメタルマスクの開口を示す要部拡大斜視図である。図7に示すように、メタルマスクの厚さをZ(mm)とし、実装部品の搬送方向におけるメタルマスクの開口幅であるマスク開口短軸寸法をX(mm)としたときに、厚さZに対する開口幅X(mm)の比をアスペクト比AR(Z/X)として表される。印刷難易度はこのアスペクト比ARに基づいて区分されている。本実施形態では、アスペクト比ARが、AR≧0.5の場合は、印刷難易度が最も高い「A」とし、0.200≦AR<0.500の場合は、印刷難易度が中程度の「B」とし、AR<0.200の場合は、印刷難易度が最も低い「C」とし、アスペクト比に応じて基板の印刷難易度を3ランクに分けた。
なお、アスペクト比をマスク開口の短軸寸法に基づいて決定した理由は、マスク開口の短軸方向が、印刷する際の基板搬送方向となるからであり、マスク開口の短軸長さがクリームはんだの印刷に影響を与えるからである。すなわち、マスクの厚さが同じである場合、マスク開口の短軸長さが短ければ短いほどクリームはんだはマスク開口内を通過しにくくなる。逆に、マスク開口の短軸長さが長ければ長いほどクリームはんだはマスク開口内を通過しやすくなる。クリームはんだがマスク開口を通過しにくくなると、クリームはんだの粘度が低下した場合には、基板印刷状態が劣化し、不良発生率が高くなる。
図3に戻り、制御部220は、容器識別ID取得部221と、クリームはんだ情報取得部222と、部品情報取得部223と、区分決定部224と、印刷難易度決定部225と、印刷難易度取得部226と、区分選択部227と、供給クリームはんだ選択部228とを有する。制御部220の各機能構成は、プロセッサ、又は、ROM若しくはRAM等のメモリ等、既知のハードウェアで構成されている。また、メモリには各処理を実行するための所定のコンピュータプログラムが記憶されており、各機能構成は、マイクロプロセッサがコンピュータプログラムに従って動作することにより、その機能が達成される。
容器識別ID取得部221は、作業者が保冷庫から出庫して実際にクリームはんだ印刷機100に供給した供給済みクリームはんだについて、当該供給済みクリームはんだのクリームはんだ容器の容器識別IDを携帯端末装置300から取得する機能を有する。また、容器識別ID取得部221は、印刷終了後、作業者が保冷庫に入庫した使用済みクリームはんだについて、当該使用済みクリームはんだのクリームはんだ容器の容器識別IDを携帯端末装置300から取得する機能も有する。なお、取得した容器識別IDは、クリームはんだ記憶部211に送信される。
クリームはんだ情報取得部222は、クリームはんだ印刷機100によって使用された使用済みクリームはんだについて、クリームはんだの識別情報である容器識別ID及び使用履歴情報等の情報をクリームはんだ印刷機100から取得する機能を有する。また、未使用のクリームはんだに関する容器識別IDの情報も取得する機能を有する。なお、取得したクリームはんだの情報は、区分決定部224に送信される。また、取得したクリームはんだの情報は、同時に取得する容器識別IDとともにクリームはんだ情報記憶部211に送信され、クリームはんだ情報テーブル211Tの情報が更新される。
部品情報取得部223は、基板に実装される実装部品に関する情報をクリームはんだ印刷機100から取得する機能を有する。上述のとおり、本実施形態では、基板に実装される実装部品とメタルマスクとは一対一に対応するので、本実施形態では、マスク識別IDを実装部品に関する情報として取得する。取得した実装部品に関する情報は、印刷難易度決定部225に送信される。
区分決定部224は、区分テーブル記憶部212に記憶された区分テーブル212Tを参照して、クリームはんだ情報取得部222によって取得した容器識別IDに対応するクリームはんだについて、クリームはんだの使用履歴情報に応じてクリームはんだの区分を決定する機能を有する。決定された区分は、クリームはんだ情報記憶部211に送信され、クリームはんだ情報テーブル211Tにおいて、対応するクリームはんだの容器識別IDの区分が更新される。
なお、総出庫時間が最も長い時間である区分に区分された場合は、クリームはんだを廃棄処分することが好ましい。本実施形態では、図5に示すように、クリームはんだを回収したときに、総出庫時間が140時間を越える区分である「区分4」に区分されたクリームはんだについては廃棄処分とし、クリームはんだ情報テーブル211Tの区分の欄を更新する。
印刷難易度決定部225は、印刷難易度テーブル記憶部213に記憶された印刷難易度テーブル213Tを参照して、クリームはんだ印刷機100によって印刷される基板について、当該基板に実装される実装部品に関する情報に対応する基板の印刷難易度を決定する機能を有する。基板の印刷難易度は、図6の印刷難易度テーブル213Tに示されるように、基板に実装される実装部品に対応するマスク識別IDと対応付けられている。部品情報取得部223によって取得した印刷対象である基板のマスク識別IDに基づいて、基板の印刷難易度が決定される。決定された基板の印刷難易度は、印刷難易度取得部226に送信される。
印刷難易度取得部226は、基板の印刷難易度を取得する機能を有する。本実施形態では、基板の印刷難易度は、印刷難易度決定部225から取得するように構成される。なお、基板の印刷難易度は、必ずしも印刷難易度決定部225によって算出して決定されるものではなく、作業者が印刷難易度テーブルに基づいて決定し、作業者が入力部240から入力して基板の印刷難易度を取得するように構成しても構わない。取得した基板の印刷難易度は、区分選択部227に送信される。
区分選択部227は、印刷難易度取得部226によって取得した基板の印刷難易度に応じて、クリームはんだ印刷機100に供給する供給クリームはんだの区分を選択する機能を有する。選択された供給クリームはんだの区分の情報は、供給クリームはんだ選択部228に送信されるとともに、通信部130を介して外部装置であるクリームはんだ印刷機100及び携帯端末装置300にも送信される。
区分選択部227における供給クリームはんだの区分の選択は、次のようにして行われる。
まず、印刷難易度取得部226によって取得した基板の印刷難易度が最も低い場合は、最も古いクリームはんだの区分を選択する。本実施形態では、基板の印刷難易度が最も低い場合は「C」であるので、基板の印刷難易度が「C」である場合は、使用可能なクリームはんだのうち最も総出庫時間が長い時間の区分である「区分3」を選択する。なお、基板の印刷難易度が「C」である場合でも「区分1」又は「区分2」を選択することは可能である。すなわち、印刷不良の発生確率を低減するという観点だけで判断すると、「区分3」ではなく、「区分2」、さらには「区分1」を選択する方が好ましいと考えられる。しかし、後述するように、「区分3」のクリームはんだは、基板の印刷難易度が「A」又は「B」の基板には適さないので、「区分3」のクリームはんだは、基板の印刷難易度が「C」の基板で消費する方が全体として廃棄するクリームはんだの量を低減することができる。
また、基板の印刷難易度が「B」である場合は、「区分2」を選択する。これは、基板の印刷難易度が「B」の場合に「区分3」のクリームはんだを選択すると、「区分2」を選択した場合に比べて、印刷不良の発生確率が高くなるからである。このように、「区分2」のクリームはんだよりも「区分3」のクリームはんだの方が印刷不良の発生確率が高くなるのは、クリームはんだは出庫時間の経過とともに粘度が高くなり印刷不良が発生する可能性が高くなるからである。また、出庫時間の経過とともにフラックスが酸化し、印刷品質が劣化するという問題もあるからである。つまり、クリームはんだは出庫時間が長くなればなるほど、印刷不良の発生確率が高くなるとともに印刷品質が劣化する。特に、メタルマスクの開口のアスペクト比ARが大きいほど、印刷不良が発生する確率が高くなる。従って、印刷不良の発生をできるだけ少なくするためには、メタルマスクの開口のアスペクト比ARが大きいほど、すなわち、印刷難易度が高いほど、出庫時間が短い方の区分を選択することが好ましい。
なお、基板の印刷難易度が「B」である場合には、「区分1」を選択することも可能であるが、上述のとおり、廃棄するクリームはんだの量を低減するためには、「区分2」を選択することが好ましい。
また、基板の印刷難易度が「A」である場合は、「区分1」を選択する。つまり、基板の印刷難易度が最も高い難易度であった場合は、未使用である新品のクリームはんだを使用することが好ましい。なお、基板の印刷難易度が「A」である場合に「区分2」又は「区分3」を選択することは、印刷不良の発生確率が高くなるので好ましくない。
以上のとおり、クリームはんだの区分として、出庫時間が相対的に短い場合の第1区分と出庫時間が相対的に長い場合の第2区分とを含むとともに、基板の印刷難易度として、印刷が相対的に難しい場合の第1印刷難易度と印刷が相対的に易しい場合の第2印刷難易度とを含む場合において、印刷難易度決定部225が基板の印刷難易度として第2印刷難易度を決定した場合、区分選択部227は第2区分を選択するように構成されている。これにより、基板の印刷品質を維持しつつ、クリームはんだの廃棄量を低減することができる。
このように、区分選択部227によって選択された区分は、供給クリームはんだ選択部228に送信され、当該区分に従って、供給クリームはんだ選択部228によって所定の供給クリームはんだが選択される。なお、クリームはんだの選択は、選択されたクリームはんだの区分に従って、作業者が当該区分に属するクリームはんだを保冷庫から選択するようにしても構わない。この場合、区分選択部227によって選択された区分は、通信部230を介して携帯端末装置300に送信される。
供給クリームはんだ選択部228は、区分選択部227によって選択されたクリームはんだの区分を取得し、クリームはんだ情報テーブル211Tを参照して、当該区分に属する区分済みのクリームはんだの中から、クリームはんだ印刷機100に供給するための最適な供給クリームはんだを選択し決定する機能を有する。具体的には、クリームはんだ情報テーブル211Tの中から、当該区分に属するクリームはんだの容器識別IDを抽出する。この場合、選択された区分に属するクリームはんだのうち、総出庫時間が最も長いものから選択することが好ましい。選択された供給クリームはんだの情報(容器識別ID)は、通信部130を介してクリームはんだ印刷機100又は携帯端末装置300に送信される。
以上、供給クリームはんだを選択する方法について、図8を用いて説明する。図8は、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムにおける供給クリームはんだの選択方法の概略を示す図である。
図8に示すように、基板の印刷難易度が「A」の場合は、新品のクリームはんだが収納されたクリームはんだ容器401を保管庫から出庫し、クリームはんだ印刷機100に供給する。そして、クリームはんだ印刷機100にX時間使用された後、残ったクリームはんだについては回収されて再びクリームはんだ容器401に収容される。このクリームはんだ容器401は保冷庫に入庫して保冷される。X時間使用したクリームはんだは、例えばX時間が12時間以内であれば、「区分2」に再区分される。
「区分2」に再区分されたX時間使用したクリームはんだは、この後、基板の印刷難易度が「B」と決定された基板に対して使用するための供給クリームはんだとして選択される。その後、さらに、クリームはんだ印刷機100にY時間使用された後、残ったクリームはんだについては再びクリームはんだ容器401に回収され、保冷庫に入庫して保冷される。(X+Y)時間使用したクリームはんだは、例えば、(X+Y)時間が12時間超140時間以内であれば、「区分3」に再区分される。
「区分3」に再区分された(X+Y)時間使用したクリームはんだは、この後、基板の印刷難易度が「C」と決定された基板に対して使用するための供給クリームはんだとして選択される。そして、さらに、Z時間使用された後、一定時間経過していた場合は廃棄する。また、一定時間経過内であれば、再び基板の印刷難易度が「C」の場合に使用することもできる。
廃棄の基準となる上記一定時間は、本実施形態では140時間とした。このように総出庫時間が140時間を越える「区分4」のクリームはんだについては原則廃棄する。なお、基板の印刷難易度が「C」である基板については、総出庫時間が24時間を越えても140時間内のクリームはんだであれば、印刷不良がほとんど発生しないことを確認した。一方、総出庫時間が140時間を越えるクリームはんだについては、印刷難易度が「C」の基板であっても印刷不良が発生する確率が高くなった。従って、印刷難易度が「C」の基板の印刷を開始するときに、印刷終了時刻において総出庫時間が140時間を越えるような印刷である場合は、当該印刷には「区分3」のクリームはんだであっても使用しないことが好ましい。なお、以降、クリームはんだ容器402、403、404についても同様である。
再び図3に戻り、通信部130は、外部装置であるクリームはんだ印刷機100及び携帯端末装置300との通信を行うための機能を有する。通信部130によって、制御部220の各機能構成と外部装置とのデータの送受信が行われる。通信部130は、例えば、LANアダプタ等で構成することができる。
また、本実施形態に係る情報処理装置200は、上記の構成の他に、入力部240、メモリ部250及び表示部260を備える。入力部240は、キーボード又はマウス等で構成されており、作業者が必要な情報を入力する機能を有する。例えば、基板の印刷難易度を作業者が決定する場合は、基板の印刷難易度を入力部240によって入力することができる。また、メモリ部250は、RAM等で構成されており、制御部220の各機能構成が所定の制御を行うために用いられるコンピュータ上の作業領域である。また、表示部260は、LCD等のディスプレイで構成されており、制御部220で決定又は選択された出力内容を表示する機能を有する。
次に、本発明の実施形態に係る携帯端末装置300について、図9を用いて説明する。図9は、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムにおける携帯端末装置300の特徴的な構成を示すブロック図である。
図9に示すように、本実施形態に係る携帯端末装置300は、例えば、携帯型のコンピュータであり、制御部310、表示部320及び通信部330を備える。
制御部310は、選択区分取得部311と、容器識別ID取得部312と、容器識別ID読取部313と、作業者識別ID読取部314とを有する。制御部310の各機能構成は、プロセッサ、又は、ROM若しくはRAM等のメモリ等、既知のハードウェアで構成されている。また、メモリには各処理を実行するための所定のコンピュータプログラムが記憶されており、各機能構成は、マイクロプロセッサがコンピュータプログラムに従って動作することにより、その機能が達成される。
選択区分取得部311は、情報処理装置200によって選択されたクリームはんだの区分を情報処理装置200から取得する機能を有する。取得したクリームはんだの区分は、表示部320に送信され、表示される。作業者は、表示されたクリームはんだの区分に従って、当該区分に属するクリームはんだを保冷庫から出庫する。
容器識別ID取得部312は、クリームはんだ印刷機100に供給するために選択された供給クリームはんだの容器識別IDを、情報処理装置200から取得する機能を有する。取得した容器識別IDは表示部320に送信される。作業者は、選択された供給クリームはんだの容器識別IDに従って、当該容器識別IDのクリームはんだを保冷庫から出庫する。
なお、選択区分取得部311と容器識別ID取得部312は少なくともどちらか一つ備えていればよい。情報処理装置200において供給クリームはんだの区分のみを選択する場合は、選択区分取得部311のみを有するように構成すればよく、また、情報処理装置200において特定の供給クリームはんだまでも選択する場合は、容器識別ID取得部312のみを有するように構成すればよい。
容器識別ID読取部313は、作業者がクリームはんだ印刷機100にクリームはんだを供給する際に、当該クリームはんだの容器識別IDを読み取るための機能を有する。読み取った容器識別IDは通信部330を介してクリームはんだ印刷機100及び情報処理装置200に送信されるとともに、表示部320にも送信される。
作業者識別ID読取部314は、作業者が印刷作業を開始する際に、作業者が保持するIDカード等から作業者識別IDを読み取るための機能を有する。読み取った作業者識別IDは、クリームはんだ印刷機100及び情報処理装置200に送信されるとともに、表示部320にも送信される。
表示部320は、LCD等のディスプレイで構成されており、選択区分取得部311、容器識別ID取得部312、容器識別ID読取部313又は作業者識別ID読取部314によって取得又は読み取った情報を表示する機能を有する。これにより、作業者は、取得又は読み取った情報を視覚的に確認することができる。
通信部330は、外部装置であるクリームはんだ印刷機100又は情報処理装置200との通信を行うための機能を有する。通信部330によって、制御部310の各機能構成と外部装置とのデータの送受信が行われる。通信部330は、例えば、LANアダプタ等で構成することができる。
また、本実施形態に係る携帯端末装置300は、上記の構成の他に、入力部340及びメモリ部350を備える。入力部340は、点キー等で構成されており、作業者が必要な情報を入力する機能を有する。また、メモリ部350は、RAM等で構成されており、制御部310の各機能構成が所定の制御を行うために用いられるコンピュータ上の作業領域である。
次に、以上のように構成された本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムを用いた、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給方法について説明する。図10は、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムの処理動作を示すフローチャートである。
本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給方法は、クリームはんだ印刷機100に供給するための供給クリームはんだの区分を選択することに関し、クリームはんだ情報取得ステップと区分決定ステップとを含む管理ステップと、印刷難易度決定ステップと区分選択ステップとを含む供給ステップとを含む。
まず、図10に示すように、クリームはんだ情報取得ステップでは、クリームはんだ印刷機100によって使用された使用済みクリームはんだの容器識別IDと使用履歴情報とをクリームはんだ印刷機100から取得する(S201)。取得した情報は、図4に示すようなクリームはんだ情報テーブル211Tに記録される。
次に、区分決定ステップでは、図5に示すような区分テーブル212Tを参照して、クリームはんだ印刷機100に使用された使用済みクリームはんだの使用履歴情報に応じて、当該使用済みクリームはんだの容器識別IDに対応する使用済みクリームはんだの区分を決定する(S202)。決定されたクリームはんだの区分は、図4に示すようなクリームはんだ情報テーブル211Tに記録される。
次に、基板にクリームはんだを印刷する際、印刷難易度決定ステップでは、図6に示すような印刷難易度テーブル213Tを参照して、クリームはんだが印刷される基板について、当該基板に実装される実装部品に関する情報に対応する前記基板の印刷難易度を決定する(S204)。
次に、決定された基板の印刷難易度に応じて、クリームはんだ印刷機に供給するクリームはんだの区分を選択する。さらに、選択されたクリームはんだの区分に応じて、区分済みのクリームはんだの中から、クリームはんだ印刷機100に供給するための供給クリームはんだを選択する(S205)。
本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給方法は、これにより、印刷品質を維持しつつ、廃棄はんだ量を最小限に抑えることができる。
次に、本発明の実施形態に係るクリームはんだの管理供給システムの処理動作について、図2〜9を参照しながら図10を用いてさらに詳しく説明する。
図10に示すように、印刷を開始する前において、使用済みクリームはんだは情報処理装置200によって管理されており、情報処理装置200は、使用済みのクリームはんだの過去の使用履歴情報を取得し(S201)、使用済みクリームはんだの区分を決定している(S202)。使用済みクリームはんだの区分は、図5に示すような区分テーブル212Tを参照して、使用済みクリームはんだの使用履歴情報に応じて決定される。当該クリームはんだの区分は、図4に示すようなクリームはんだ情報テーブル211Tの項目の一つであり、情報処理装置200のクリームはんだ情報記憶部211に記憶されている。なお、クリームはんだは、クリームはんだ容器に収容されており、クリームはんだの区分は、クリームはんだの容器識別IDと対応させて管理されている。
次に、基板にクリームはんだを印刷する場合について説明する。なお、印刷作業を開始する前に、作業者は、必要に応じて機種切り替えを行う。これにより、クリームはんだ印刷機100に使用されるメタルマスクが決定され、印刷部110の所定の位置にメタルマスクがセットされる。
印刷を開始する際、まず、作業者は、携行するIDカードを用いて作業者の識別IDを携帯端末装置300に読み取らせる(S301)。これは、以降行う印刷作業の作業者を特定するためであり、作業者の識別IDとクリームはんだ容器の容器識別IDとを連動させることにより、クリームはんだの管理体制を構築することができる。
次に、作業者は、印刷作業の開始指示を携帯端末装置300に与える。これにより、携帯端末装置300は、作業開始指示情報をクリームはんだ印刷機100に送信する(S302)。なお、作業開始指示情報は、作業者がクリームはんだ印刷機100に直接入力するようにしても構わない。また、作業開始指示情報は、情報処理装置200にも送信するようにしても構わない。
作業開始指示情報を受信したクリームはんだ印刷機100は、印刷部110にセットされたメタルマスクのマスク識別IDを読み取る(S101)。クリームはんだ印刷機100は、読み取ったマスク識別IDを情報処理装置200に送信する(S102)。このマスク識別IDの読み取りと送信は、基板の印刷難易度を決定するためのものである。このように、本実施形態では、基板の印刷難易度を決定する際の実装部品に関する情報として、マスク識別IDを利用している。
クリームはんだ印刷機100が送信したマスク識別IDは情報処理装置200によって受信され、これにより、情報処理装置200はマスク識別IDを取得する(S203)。マスク識別IDは、情報処理装置200の部品情報取得部223によって取得される。
次に、マスク識別IDを取得した情報処理装置200は、図6に示す印刷難易度テーブル213Tを参照して、取得したマスク識別IDに応じて、印刷する基板についての基板の印刷難易度を決定する(S204)。なお、印刷難易度の決定方法については上述したとおりであるので、ここではその説明は省略する。
次に、情報処理装置200は、決定された印刷難易度に応じて、クリームはんだ印刷機100に供給する供給クリームはんだの区分を選択する。さらに、選択されたクリームはんだの区分に基づいて、クリームはんだ情報テーブル211Tを参照し、区分済みのクリームはんだの中から、供給クリームはんだを選択する(S205)。供給クリームはんだは、容器識別IDによって特定される。なお、クリームはんだの選択方法については、上述したとおりであるので、ここではその説明は省略する。
選択された供給クリームはんだの容器識別IDは、情報処理装置200によってクリームはんだ印刷機100及び携帯端末装置300に送信される(S206)。選択された供給クリームはんだの容器識別IDを受信したクリームはんだ印刷機100は、選択容器識別ID取得部122によって、選択された供給クリームはんだの容器識別IDを取得する(S103)。また、携帯端末装置300は、容器識別ID取得部312によって、選択された供給クリームはんだの容器識別IDを取得する(S303)。なお、本実施形態では、携帯端末装置300は、容器識別IDを取得して特定のクリームはんだの識別情報を取得するようにしたが、供給クリームはんだの区分を取得して、当該区分に属するクリームはんだの中から作業者が供給クリームはんだを選択するようにしても構わない。
携帯端末装置300は、選択された供給クリームはんだの容器識別IDを取得すると(S303)、当該容器識別IDが携帯端末装置300の表示部320に表示される。作業者は、表示された容器識別IDのクリームはんだをクリームはんだ印刷機100に供給するために、表示された容器識別IDを確認し、当該容器識別IDに対応するクリームはんだの容器を保冷庫500から出庫し、クリームはんだを常温に戻す。
その後、作業者は、出庫して常温に戻したクリームはんだをクリームはんだ印刷機100に供給する。このとき、作業者は、クリームはんだ印刷機100に供給した供給済みクリームはんだの容器識別IDを携帯端末装置300によって読み取る(S304)。携帯端末装置300は、読み取った容器識別IDをクリームはんだ印刷機100に送信する(S304)。クリームはんだ印刷機100は、供給済みクリームはんだの容器識別IDを受信し、供給容器識別ID取得部123によって供給済みクリームはんだの容器識別IDを取得する(S104)。
なお、このとき、供給済みクリームはんだが保冷庫500に存在しないという情報を情報処理装置200が入手するために、携帯端末装置300によって読み取った供給済みクリームはんだの容器識別IDの情報を、情報処理装置200にも送信する(S304)。このように、供給済みクリームはんだの容器識別IDは、情報処理装置200によっても取得され(S207)、クリームはんだ情報テーブル211Tの保管状況の項目に「印刷使用中」として記録される。
次に、クリームはんだ印刷機100は、情報処理装置200によって選択された供給クリームはんだと、作業者が保冷庫から出庫して実際にクリームはんだ印刷機100に供給した供給済みクリームはんだとが一致するかどうかの照合を行う(S105)。この照合は、クリームはんだ印刷機100の照合部125によって行われる。照合の結果、一致すると判断した場合は、所定の印刷が開始される(S106)。一方、照合の結果、一致しないと判断した場合は、作業者に一致しないことを知らせるために、クリームはんだ印刷機100の表示部150によって不一致の照合結果を表示するとともに、報知部160によってアラーム音等の警告音を発信する。作業者が、不一致(エラー)情報を入手した場合、作業者は、クリームはんだ印刷機100に供給したクリームはんだが間違っていたことを知ることができるので、正しいクリームはんだを保冷庫から取り出して交換することができる。
印刷中、クリームはんだ印刷機100は、クリームはんだの使用履歴情報を使用履歴情報取得部124によって随時取得し、使用履歴情報記憶部140に蓄積する(S107)。また、印刷中、作業者は、クリームはんだの使用状況を表示部150によって随時確認することができる。
印刷終了後、使用した使用済みクリームはんだの残りを回収し、供給したときと同じ容器識別IDのクリームはんだ容器に収容する。クリームはんだの回収は、作業者がヘラ等の回収用具を用いることによって行うことができる。作業者は、回収した使用済みクリームはんだが収容されたクリームはんだ容器を保冷庫に入庫する。入庫の際、作業者は、入庫した使用済みクリームはんだの容器識別IDを携帯端末装置300によって読み取って、情報処理装置200に送信する(S305)。これにより、情報処理装置200は、入庫した使用済みクリームはんだの容器識別IDを取得する(S208)。
また、印刷終了後、クリームはんだ印刷機100は、使用済みクリームはんだの容器識別IDに対する使用履歴情報を情報処理装置200に送信する(S108)。これにより、情報処理装置200は、使用済みクリームはんだの容器識別IDに対する使用履歴情報を取得する(S209)。
情報処理装置200は、取得した使用済みクリームはんだの入庫情報と使用履歴情報とを容器識別IDに対応させて、クリームはんだ情報記憶部211に記憶し、クリームはんだ情報テーブル211Tの記録内容を更新する(S210)。
さらに、情報処理装置200は、使用済みクリームはんだの更新された使用履歴情報に基づいて、区分テーブル212Tを参照して、使用済みクリームはんだの区分を再決定し、更新する(S210)。再決定し更新された区分によって、クリームはんだ情報テーブル211Tのクリームはんだの区分の項目が書き換えられる。
なお、印刷中にクリームはんだが不足した場合は、使用中のマスク識別IDに基づいて決定された印刷難易度に応じて、再び、クリームはんだ印刷機100に供給するクリームはんだの区分が選択され、区分済みのクリームはんだの中から、供給クリームはんだが選択される(S205)。そして、選択された供給クリームはんだが継ぎ足される。この場合、供給前の古いクリームはんだは使い切ったものとして、その情報がクリームはんだ情報記憶部211に記憶され、該当する容器識別IDに対応させて、クリームはんだ情報テーブル211Tの保管状況の項目には「使い切り」と記録される。また、継ぎ足した方のクリームはんだについては、該当する容器識別IDに対応させて、クリームはんだ情報テーブル211Tのはんだ継ぎ足し情報の項目には、継ぎ足された方(使い切った方)の容器識別IDの情報が記録される。なお、供給クリームはんだが選択された後の処理動作は、上述した処理動作を同様の処理動作であるので、その説明は省略する。
以上、本発明に係るクリームはんだの管理供給方法については、コンピュータによって実行させるコンピュータプログラムによっても構成することもできる。また、当該クリームはんだの管理供給方法のコンピュータプログラムについては、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等があり、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD、DVD、BD(Blu−ray Disc)がある。
以上のとおり、本発明に係るクリームはんだの管理供給システム及びクリームはんだの管理供給方法は、クリームはんだの使用履歴情報に基づいてクリームはんだを予め区分しておくことにより、クリームはんだ印刷機に最適な供給を行うためのクリームはんだの管理を実現することができる。そして、このような管理をすることにより、基板にクリームはんだを印刷する際、基板の印刷難易度に応じて、クリームはんだ印刷機に供給する最適なクリームはんだの区分を選択することができる。さらに、選択された区分に従って、最適な供給クリームはんだを選択することができる。本発明によれば、基板の印刷難易度が低いものには、古いクリームはんだから順次使いまわし、基板の印刷難易度が高いものには、新しいクリームはんだを使用して古いクリームはんだは使用しないということができるので、印刷品質を維持しつつ、廃棄はんだ量を最小限に抑えることができる。
また、従来のクリームはんだの管理方法では、24時間経過したクリームはんだは一律に廃棄していたが、基板の印刷難易度が低い場合には140時間まで使えることが確認できた。従って、基板の印刷難易度が低いものには、140時間経過するまでのクリームはんだを使用することができる。これにより、廃棄はんだ量を大幅に低減することができる。
また、本発明に係るクリームはんだの管理供給システムを用いることにより、作業者の作業ミスを解消することもできる。本実施形態では、各処理動作において、クリームはんだを容器識別IDで管理しているので、仮に、作業者のシフト等によって、はんだ容器を保冷庫から取り出す人、クリームはんだ印刷機にクリームはんだを供給する人、又は、クリームはんだ印刷機からクリームはんだを回収する人がそれぞれ異なっていたとしても、はんだ容器の取り違い等の人的作業ミスを解消することができる。
以上、本発明に係るクリームはんだの管理供給システム及びクリームはんだの管理供給方法について実施形態に基づいて説明したが、本発明に係るクリームはんだの管理供給システム及びクリームはんだの管理供給方法は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態では、クリームはんだ印刷機は1台の場合で説明したが、複数のライン等で複数のクリームはんだ印刷機がある場合でも同様の処理動作によって、本発明を実現することができる。複数のラインの場合はより作業ミスが発生しやすいが、本発明に係るクリームはんだの管理供給システムを用いることにより、複数のラインの場合であっても作業ミスを解消することができる。
また、本実施形態では、情報処理装置200によってクリームはんだの管理及び供給を実現したが、上記の情報処理装置200の機能構成をクリームはんだ印刷機100又は携帯端末装置300に搭載し、クリームはんだ印刷機100又は携帯端末装置300によって本発明に係るクリームはんだの管理及び供給を実現しても構わない。
また、本実施形態では、クリームはんだを常温に戻す時間も管理対象として考慮したが、クリームはんだ印刷機100に印刷される印刷時間のみでクリームはんだを管理するようにしても構わない。但し、本実施形態のように、クリームはんだを常温に戻す時間も準使用時間として管理対象とすることにより、印刷品質に対してより正確な管理を行うことができる。
また、上記実施形態では特に触れなかったが、クリームはんだ印刷機100に供給する供給クリームはんだは、印刷終了時刻を考慮した使用時間によってクリームはんだの区分を選択し、当該区分に属する供給クリームはんだを選択する方が好ましい。これは、印刷時間が長い場合は、印刷中にクリームはんだが劣化し、印刷品質に影響を与えるからである。
また、図1に示すように保冷庫500は1つしか設置しなかったが、クリームはんだの区分毎に保冷庫を設置することが好ましい。例えば、本実施形態では、区分1〜区分4の4つに区分したので、4つの保冷庫を設置することが好ましい。同じ区分に属するクリームはんだであれば、基板の印刷難易度に対する印刷品質の影響はほとんどないので、区分のみで供給クリームはんだを管理する場合は、作業者は単に該当区分の保冷庫から適当なクリームはんだを選択するだけでよい。また、保冷庫を区分毎に分けることにより、供給クリームはんだを識別容器IDによって管理する場合でも作業者の作業ミスを軽減することができる。
また、保冷庫に容器識別IDに対応するアドレスを設けることが好ましい。これにより、作業者は、当該アドレスに基づいて供給クリームはんだの容器識別IDを保冷庫から出庫することができ、供給クリームはんだを探す時間を短縮することができる。
その他、各実施形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。