JP2011151019A - 位相コントラスト結像及び位相コントラスト結像のためのtemの調整 - Google Patents

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Abstract

【課題】透過型電子顕微鏡法における位相コントラスト結像のための新しい方法を提供すること。
【解決手段】本方法は、結像電子ビーム自体を使用して、事実上の位相板として使用するための無孔薄膜を調整し、場合によっては、孔をその場以外で製作する必要をなくし、ZPPハードウェアの精度に対する要件を低減させる。ZPPハードウェアの電子光学的特性は、電子ビームを使用して孔を開けること、及び/又は1次ビームによって引き起こされる帯電によって電気光学的特性を修正することという2つの方法で主に修正される。さらに、ZPPハードウェアから下流のレンズによってサンプルに集束させる方法が開示される。対物レンズの後側焦点面を選択領域の開口面及び対物レンズの後側焦点面と共役の任意の平面へ移動させる方法も提供される。
【選択図】図7

Description

[0001]本発明は、一般に、透過型電子顕微鏡法の分野に関し、特に、位相板の製造及び位置合せを容易にするように無孔薄膜を使用する位相物体の位相コントラスト結像のための透過型電子顕微鏡(TEM)の調整に関する。
[0002]TEMでのゼルニケ位相コントラスト結像では、従来の(明視野)位相結像と比較して、位相物体のコントラストを増大させて、所望の信号対雑音比に対する電子照射量を低減させる。TEMに実際的に関連する多くのサンプルは、入射する電子量の増大とともに性質が変化するため、電子ビーム照射による損傷を受けやすく、アーティファクトを回避するように注意しなければならない[2〜4]。放射による損傷は、生物学的サンプルにとって[4]、並びに小さい金属粒子の同定にとって[5]、重大な問題である。
[0003]ゼルニケ位相コントラスト結像は、TEMの回折面(又は回折面と共役の平面)内にゼルニケ位相板(ZPP)を配置して、サンプルによって散乱される電子に対して、散乱されなかった電子とは異なる電子経路長を提供することによって実現される。これは、電子のビームを、異なる位置でZPPに当たる2つの成分に分離することによって実行され、散乱されなかったビームはZPPの中心で位相板に当たり、サンプルによって散乱された電子ビームは、中心の外側でZPPに当たる。散乱された電子と散乱されなかった電子の分離は、これらの電子がサンプルから出てくる角度に基づき、散乱されなかった電子は実質上まっすぐな経路を進み、一方サンプルによって散乱された電子は、顕微鏡の光軸に対してある角度をなして進む。散乱された電子と散乱されなかった電子のこうした分離は、散乱されなかった波がレンズによって、孔の開いたZPPの中心のとても小さい点に集束されるというレンズ作用によって行われ、一方ビームの残り部分はZPP全体に広がり、位相板を通過すると、散乱されなかった波に対して位相オフセットを得る。従来、ZPPの中心には孔又は局部的な静電界が位置し、ZPPの中心を通過する電子とZPPの中心の外側を通過するビームの間で、位相シフト差(通常、±π/2rad)が得られる。この位相シフト差は、材料(炭素など)の厚さ及び材料の平均内部電位によって、又はZPP(ベルシュ若しくはアインツェルレンズと呼ばれる)の中心付近の真空内の印加された静電界によって引き起こされる。ゼルニケ位相コントラスト結像には、ヒルベルト、チャプマン、コヒーレントフーコー結像などと呼ばれる多くの変形形態がある。これらの技法ではすべて、中心孔を有する位相板を使用しており、したがって、これらの位相板を本明細書では、ゼルニケ位相板と呼ぶ。
[0004]ZPPには、以前は別個の問題と考えられてきたいくつかの問題がある。ZPPでは、ZPPの中心で、炭素膜又はベルシュレンズ若しくはアインツェルレンズ内に高精度の孔を製作する必要があるが、これらの孔は、標準的なTEM上で精密に位置合せするのが非常に困難であり、動作の際には、「帯電」のために欠陥が生じる可能性がある。製作及び位置決め要件が厳しいため、ZPPは、製造及び設置するのが高価になる可能性もある。
[0005]現在、ZPPは、基板を微細機械加工してベルシュ若しくはアインツェルレンズを画定することによって、又は高精度の寸法の孔をもつ非晶質薄膜を使用することによって作製される。どちらの場合も、孔(薄膜ZPP)、又は孔及び複雑な電極システム(ベルシュ若しくはアインツェルレンズ)が、適切な材料で製作される。高精度の孔又は電極システムを数百ナノメートルの横方向の寸法で製作することは、一般に困難であり、通常、集束イオンビームを用いて、又は微細電子機械的な製作方法を使用して実行される。これらはどちらも、高価な機器を必要とし、通常複数の製作ステップを必要とするため、高価である。通常、後に位置合せを可能にするためには、ZPP上で高精度のマーカが必要とされる。
[0006]静電型ZPPとも呼ばれるベルシュレンズ又はアインツェルレンズ型のZPPは、適切な薄膜の形で形成された複雑な電極システムを必要とする。小さい穿孔を用いてこれらの電極を中心軸の周りに位置合せして支持しながら、使用の際に電子ビームとの干渉を最小にする構造で、十分な電気的分離及び良好な機械的支持を確保することは、困難である。これらのZPPは現在、多段階プロセスで基板を微細機械加工(たとえば、微細電気機械的システムを使用)して導体を堆積させることによって形成される。
[0007]たとえば、Jin Jianらの米国特許出願公開第2008/0035854号は、小さい孔を有する特定のZPP及びその微細製作方法について教示している。Jin Jianによれば、位相板は、X線フォトリソグラフィ及び電気メッキ又は無電解メッキを含めて、いくつかの微細製作技法の組合せを用いることによって製作される。
[0008]ZPP(薄膜型と静電型の両方)内に孔を高精度で製作するには通常、集束イオンビーム(FIB)を必要とする。しかし残念ながら、FIBは、デバイスの汚染、及びガリウムイオンによる損傷を招く可能性がある。孔の製作及びFIB計器の必要性により、多くの研究室で位相コントラスト結像を追求できなくなっている。
[0009]作製した後、TEM内で孔を中心に位置決めし、その結果動作の際には散乱されなかったビームが孔を通過するようにZPPをTEM内に設置するのは、等しく又はより困難である。通常、ZPPは、圧電変換器及び/又は精巧な偏向機器を用いて位置決めされる。TEMの後側焦点面に位相板を配置しなければならないことは、当技術分野では知られている。しかし残念ながら、標準的なTEMでは、対物レンズの後側焦点面はポールピースギャップ内に位置しており、ポールピースギャップは広くない。場合によっては、ポールピースギャップは、数分の1センチメートルである。ポールピースギャップは、サンプルホルダ及びZPPハードウェアを収容する必要があり、ZPPハードウェアを収容するのに最大でも数ミリメートルしか残らない。このため、位置合せはいっそう困難になり、電子ビームに対して位置決めするために使用できるZPPハードウェアは制限される。
[0010]この配置に伴う複雑さ、並びに位置合せに必要な高い精度が、対物レンズの下流に後側焦点面に対する共役面を作製するように、特に位相コントラスト結像モードで使用するための1つ又は複数の転写レンズを追加することを伴う他の提案につながった。しかし残念ながら、追加の転写レンズを含むには、著しいコスト上の欠点があり、これは通常、特注設計を必要とし、TEMの寸法を増大させ、またさらに、既存のTEMで後付けによって位相コントラスト結像を使用することが実質上できなくなる。転写レンズはまた、ゼルニケ位相板結像以外の動作モードで、顕微鏡性能の妥協を招く。
[0011]組み立てて中心に位置決めした後、ZPPには、「帯電」に関して知られている問題がある。帯電は、位相コントラスト結像モードで観察される異常な位相コントラスト伝達関数である。Jin Jianは、位相板のスルーホールを導体で被覆することによって、帯電を除去できると述べている。異常な位相コントラストの伝達関数は、Nagayamaらの米国特許出願公開第2002/011,566号で報告されているように、電子ビームエッチングのための空気からの汚染物質の蒸発などのプロセスに起因すると考えられる。Nagayamaらは、位相板上の蒸発する材料の量を低減させるために、位相板全体を最初の大量の電子に露出させること、及び/又は位相板を高温で保持することについて教示している。
[0012]より低コストの製作技法で利用可能で、且つより容易に設置されるZPPが、引き続き必要とされている。ZPPは、標準的なTEM内で実施及び動作するのに適していることが好ましい。さらに、場合によっては望ましい顕微鏡の選択領域の開口面を含めて、TEM内の様々な位置で動作するように容易に位置決めされるZPPが必要とされている。
[0013]出願人らは、入射する電子ビーム自体によって適切な無孔薄膜を帯電させて適切な位相板を作製することによって、ゼルニケ状の位相コントラスト結像が実現されることを発見し、また、強い1次電子ビームを使用して無孔薄膜内にその場(in situ:インサイチュ)で貫通孔を製作し、標準的なゲルニケ位相板(ZPP)を形成できることをさらに発見した。これらの発見により、前者の場合、孔が提供されないため、そして帯電が位相板の中心付近で自然に局部化されるため、位置合せを実質上必要としない位相コントラスト結像が可能になり、また後者の場合、孔がその場で開けられ、ビームの中心は、結像条件と同一又は類似の条件で、孔開けの場合も結像の場合と同じになるため、実質上位置合せが不要になる。どちらの場合も、電子ビーム自体を使用して、結像のために無孔薄膜を調整する。これらの技法ではどちらも、高精度の位置決め機器及びZPPハードウェアの精巧な製作の必要がなくなるため、本発明により、後側焦点面(BFP)と共役のTEMの任意の平面で位相板の位置決めを簡略化して行うことが可能である。電子ビーム自体を使用して、孔開け又は帯電によって結像のために位相板を調整することで、ZPPを事前に製作するという制限がなくなる。その場で製作したZPPは、孔開け中にビーム自体によって調整されるため、ZPP結像に適した孔寸法を有する。簡略化された位相板のハードウェア(無孔薄膜)は、対物レンズのポールピースギャップ内に容易に配置することができ、たとえば、標準的なTEM内の対物開口ストリップの標準的な孔の1つの中に直接配置することができる。
[0014]出願人らはまた、下流のレンズを使用してサンプルに集束させることに利点があることを発見した。ゲルニケ位相板結像に使用される顕微鏡の光学系では、サンプルに集束させるためにいくつかのレンズから選択することができる。サンプルに集束させるために下流のレンズを使用する(薄膜の前、すなわち上流に位置する対物レンズを使用するのとは対照的)利点は、サンプル焦点が変化したときに起こる後側焦点面(又は共役面)の位置の変化に伴う問題がなくなることである。典型的なTEMレンズ効果方式では、サンプル上に集束させるために対物レンズを使用する。位相板の上流にある対物レンズを用いて集束させる結果、後側焦点面がビーム経路に沿って移動する。したがって、後側焦点面がビーム経路に沿って位相板の位置と一致しないという状況が生じる可能性があり、クロスオーバー位置の変化を吸収するように集光器レンズを調整しなければならない。したがって位相板の後のレンズを使用すると、著しく好都合である。
[0015]出願人はまた、後側焦点面に対する共役面とすることができる選択領域の開口面(SAA)に位相板を配置すると、転写レンズ[24]を用いた構成、又は対物レンズの後側焦点面内にZPPが配置される従来の構成と比べて実際的な利点があることに注目した。TEMのSAAでは通常、顕微鏡の後側焦点面より多くの空間をZPPに利用可能である。SAA面では、回折パターンを縮小若しくは拡大することができ、又は対物レンズの後側焦点面にある場合と同じ寸法とすることができる。
[0016]電子ビーム放射器及び集光器レンズ、サンプルホルダ、対物レンズアセンブリ、1つ又は複数の中間レンズ、並びに物体面を含む透過型電子顕微鏡を用いる位相コントラスト結像の方法が提供される。この方法は、対物レンズアセンブリの後側焦点面、又は後側焦点面に対して共役の平面に無孔薄膜を配置するステップと、少なくとも1つの成分が電子ビームの中心で無孔薄膜上の一点に集束された電子ビームを使用して、位相コントラスト結像のために無孔薄膜を調整するステップと、その後、散乱されなかった波が無孔薄膜全体に分散する一方、電子ビームの散乱された波を無孔薄膜上の点上に集束させて、散乱された波と散乱されなかった波の間に位相オフセットを与えることによって、サンプルホルダ内のサンプルを結像するステップとを含む。無孔薄膜を調整するステップは、荷電ビームを使用して、帯電によって位相伝達の効率を増大させるように無孔薄膜の電気光学的特性を修正するサブステップ、又は荷電ビームを使用して、薄膜内に孔を開けて、その場でゼルニケ位相板を作製するサブステップを伴うことができる。
[0017]位相コントラスト結像のために透過型電子顕微鏡を調整する方法が提供される。この方法は、後側焦点面(BFP)又はBFPに対して共役の平面に無孔薄膜を配置するステップと、次いで、薄膜上の帯電率と放散率が均衡していない初期期間にわたって、位相コントラスト結像のための透過型電子顕微鏡の電子ビームを集束させるステップとを含む。
[0018]電子ビーム源、サンプルホルダ、対物レンズ、及び投射システムを備え、後側焦点面又は後側焦点面の共役面に無孔の非晶質又は結晶質の薄膜が配置され、散乱されなかったビームが後側焦点面上に集束するように対物レンズが動作される、透過型電子顕微鏡が提供される。
[0019]透過型電子顕微鏡結像のための方法が提供される。この方法は、対物レンズの後側焦点面又は後側焦点面に対して共役の平面で透過型電子顕微鏡内に位相板を挿入するステップと、位相板が孔又は開口を有する場合、孔を透過型電子顕微鏡の電子ビームの中心と位置合せするステップと、透過型電子顕微鏡の対物レンズに電界を印加して、透過型電子顕微鏡内のサンプルからの散乱された波が位相板の中心全体を通って進み、サンプルからの散乱されなかった波が位相要素の残り部分を通過するように、電子ビームを集束させるステップと、その後、散乱されなかった波が無孔薄膜全体に分散する一方、荷電ビームの散乱された波を無孔薄膜上の点上に集束させて、散乱された波と散乱されなかった波の間に位相オフセットを与えることによって、サンプルホルダ内でサンプルを結像するステップとを含む。
[0020]本発明のさらなる特徴は、以下の詳細な説明の中で説明され、又は明らかになるであろう。
[0021]本発明をよりはっきりと理解するために、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して、次に例として詳細に説明する。
実質上非晶質のヘラジカの小線維のTEM画像であり、a)は、脱焦を加えることによって従来の位相結像を使用して、位相板なしで得られたものであり、b)、c)は、それぞれ炭素及び金から形成された無孔薄膜からなる位相板を使用して、脱焦なしで得られたものである。 (a)〜(b)はそれぞれ図1の(a)、(b)、(c)のTEM画像に対するコントラスト伝達関数である。 結晶質のPt/Ruナノ粒子で多壁カーボンナノチューブ(MWCNT)を結像する実験図であり、(a)は、脱焦を加えることによって従来の位相結像を使用して、位相板なしで得られたものであり、(b)は、FIBで事前に製作した孔をもつ炭素の薄膜位相板を使用して得られたものであり、(c)は、それぞれ図3の(a)及び(b)の画像に対するコントラスト伝達関数を示す。 (a)は薄膜型ZPPの概略断面図、(b)はその上面図である。 図3の(b)の画像に対する逆空間面での結像条件を示す図である。 孔開け実験に関する図であり、(a)は、炭素薄膜内にその場で開けた孔の画像であり、(b)は、典型的な孔開けパラメータを列挙する表である。 対物ミニレンズによって対物レンズの後側焦点面を選択領域の開口面に移動させるため、又は従来の結像のための顕微鏡の光学系を示す概略図である。
[0022]電子ビーム自体を荷電ビームの中心に集束させてTEM結像のために無孔薄膜を調整するステップを伴う位相コントラスト結像の技法が提供され、この電子ビームは、ここでは精密に位置合せする必要がない。調整は、無孔薄膜を帯電させ、又は無孔薄膜を貫通して孔を開けて、従来のZPPを作製することを伴い、従来のZPPは、サブミクロンの位置合せのために機器を必要とすることなく、その特性とは関係なくTEM内で中心に位置決めされる。
無孔薄膜の帯電
[0023]使用中の無孔薄膜が帯電を受けやすく、帯電は位相コントラスト結像に適した位相コントラスト伝達関数(CTF)をもたらすことができることを実証するいくつかの実験が実行された。入射ビームに対して散乱されたビームが受ける位相シフトの差のみが、位相コントラストを生じさせるため、孔のない均一の膜が位相コントラストを生じさせることは予期されなかった。簡単な無孔薄膜で位相コントラスト結像が提供されるということは、驚くべき、且つ直感に反した結果である。本明細書では、無孔薄膜とは、たとえばTEM内で薄膜の位置合せ又は保持を行う目的で何らかの周辺縁部に1つ又は複数の孔が存在しうる場合でも、電子ビームに対して孔を提示しない膜である。
[0024]クライオポンプ式の電子ビーム蒸発器及び超高純度の炭素源を使用して、非晶質薄膜を堆積させた。それぞれの薄膜は、約5×10−7トルのバックグラウンド圧力で、システム内の抵抗加熱した源から金及びアルミニウムを堆積させることによって形成した。すべての膜は、良好な電気的接触を確保するために、それぞれの選択領域の開口板上に直接堆積させた。これらの薄膜は常に、室温で保持した。薄膜は、膜堆積中の酸化及び汚染を小さくするために、高速(1〜10Å/秒)で堆積させた。200kVでπ/2の位相シフトに適した膜厚さは、冷陰極電界放出銃を備えたHitachi HF 3300のTEM内で、二重バイプリズムの電子ホログラフィによって較正した。
[0025]本明細書のすべての例では、ショットキー電子源、インカラム式エネルギーフィルタ、及びガタンウルトラスキャン(Gatan Ultrascan)(商標)2k×2kスロースキャンCCDカメラを備えたJEOL 2200 FS 200kVのTEM/STEMを使用した。クライオポールピースを使用して、±90°の傾斜角範囲で電子断層撮影実験を実現した。TEM内の真空はサンプル近傍で9×10−8トルであり、顕微鏡は乾式ポンプ式とした。
[0026]図1の(a)、(b)及び()は、従来のZPPを用いないで得られた実質上非晶質のヘラジカの小線維のTEM画像である。図1の(a)では、従来の位相結像(脱焦の適用)を使用して、位相画像を作製する。TEM画像は、選択領域の開口(後側焦点面と共役)に炭素(図1の(b))及び金(図1の(c))の無孔薄膜が位置決めされ、脱焦が適用されないことを除いて、同一の動作モード及び焦点の同じサンプルのものである。図1の(b)と図1の(c)はどちらも、図1の(a)より比較的高いコントラストを示すことに留意されたい。
[0027]ビーム経路内に無孔薄膜を挿入した後、CTFは、約1分(金)〜約15分(炭素)の初期期間にわたって、時間とともに変化する。初期期間の後、CTFは、長期間にわたって変化しない。この期間の後、図1の(b)、(c)の画像が得られた。金の薄膜材料を使用する意味は、金膜が良好な導体であると考えられ、また表面の汚染物質層がめったに観察されないということである。それでもなお、表面の汚染物質は、観察されたCTFに対する1つの可能な説明を提供しており、またこの現象をもたらす役割を有する可能性がある。表面の汚染物質が、2次電子放出のために入射する電子ビームの結果生じる帯電の主な理由であるという可能性もある。
[0028]脱焦を使用して得られた画像と様々な無孔薄膜を用いて得られた画像とのすべての比較で繰り返されるように見受けられる脱焦の変化は、脱焦及び追加の位相シフトがq=0で適用された場合のように、顕微鏡のCTFを変化させる現象(本明細書では「帯電」と呼ぶ)が作用していることを実証している。出願人は、図1の(b)、(c)で実証されるように、又はさらに、非晶質の薄膜ZPP(孔あり)若しくは帯電を受けやすい他のZPPの補正として、帯電を生産的に使用して無孔薄膜上に位相コントラスト結像を生じさせることができると結論付ける。
[0029]図2の(a)、(b)及び(c)は、位相コントラスト伝達関数(CTF)、すなわち、それぞれ脱焦位相コントラスト(図1の(a))、無孔炭素薄膜(図1の(b))、及び無孔金薄膜の位相板(図1の(c))を用いて得られたヘラジカの小線維の画像のパワースペクトルを示す。同様に、図2の(a)は、電子ビームから位相板を後退させて、約1000nmの脱焦を適用した、TEMのCTFである。
[0030]CTF(図2)は、位相から振幅へのコントラスト伝達の変調(位相−振幅混合)を示す。CTFの中心付近の明るい帯域(矢印で示す)は、q=0付近の伝達帯域を表す。この帯域の存在は、この技法が、低い空間周波数で改善されたコントラスト伝達を提供し、その結果、画像コントラストが増強されることを実証している。コントラスト増強の量は定量化することができ、この量は、無孔薄膜を使用したとき、脱焦のみを用いて得られた画像と比較すると、約2〜3倍大きい。図2(並びに、図3の(c)(ZPPなし)及び図3の(d)(従来のZPP))内の高い空間周波数での円形の形状から(さらに、グラフの原点から)のCTFの偏りは、サンプルのずれによる可能性があり、及び/又はその帯電は、場合によっては膜の欠陥のため、若しくは後側焦点面でビーム電流が径方向に対称に分配されないため、径方向の対称性を示さない可能性がある。その影響は非点収差に類似しており、低い空間周波数ではなく高い空間周波数に影響を及ぼす。
[0031]出願人らは、厚さπ/2の炭素である単層薄膜を作製して試験し、また厚さπ/2をはるかに超える均一のアルミニウム膜及び金膜を試験した。比較的厚い金膜でも、帯電に起因すると考えられるCTF変化を示す。
ZPPの帯電
[0032]さらに、スルーホールをもつ従来技術のZPPは帯電を受けやすいことを示す。出願人らは、単層の炭素及び3層の炭素−クロム−炭素を積層した薄膜内に孔が製作されたZPPを試験した。
[0033]これらの実験のZPPは、電子ビームで蒸発させた炭素、又は各層で1/2πの位相シフトを引き起こす炭素、クロム、及び炭素からなる多層(この多層に対して合計3/2π)から作られた。クロム層は、ZPPの導電性を増大させて帯電を低減させるものである。どちらの場合も、上述の技法が堆積に使用された。一般に、薄膜ZPPは、炭素から形成することができ、孔は直径約0.1μm〜約2μmである。ZPP内に孔を事前に製作した本実験(従来の構成)では、本出願人らのZPP内の孔の直径は、100nmと約1.5μmの間であった。ZPPハードウェアの所望の寸法は、対物レンズの焦点距離f及びTEMの照明条件に依存する。
[0034]図4は、本発明の一実施形態による多層ZPPの概略図である。図4の(a)は、3層ZPPの断面を示す。3層ZPPは、複数ステップのプロセスで製作した。第1に、厚さπ/2の自己支持形の炭素膜を選択領域の開口の枠上に堆積させ、次いで、厚さπ/2のクロム膜を前記炭素膜上に堆積させ、集束イオンビームを使用して、大きい孔を開けた。次いで、クロムと炭素の2重層内の大きい孔を覆う厚さπ/2の炭素膜を、この2重層上に浮かせた。単一の炭素膜では、集束イオンビームを使用して、2重層内の大きい孔の中心に、孔を開け、また3層膜内では、炭素の単層から遠い位置に、孔を開けた。
[0035]図4の(b)は、使用中の従来のZPPの上面の概略図であり、後側焦点面の幾何条件を示す。散乱されなかったビームはZPPの中心を通過し、一方散乱されたビームは、ZPPの中心の外側を通過する。径方向の距離rは散乱ベクトルqに反比例して変動し、散乱ベクトルqは、ZPPハードウェアが、TEMの対物レンズの後側焦点面、又は後側焦点面に対して共役の平面内に配置されるため、TEMによって伝達される空間周波数に対応する。ZPP平面の径方向の距離と散乱ベクトルは、ZPPの平面で、事実上のカメラ長さに関係する。事実上のカメラ長さは、ZPPより上のレンズの焦点距離などの光学パラメータで決まる。
[0036]図3の(a)は、多壁カーボンナノチューブ(MWCNT)のTEM画像であり、結晶質のPt/Ruナノ粒子が、脱焦による位相結像によって結像されている。図3の(b)は、FIBで事前に製作された孔をもつZPP(厚さπ/2の炭素)を使用して結像した同じサンプルを示す。図3の(c)は、図3の(a)内で色の薄い正方形で示した支持膜領域からのCTFを示し、図3の(d)は、図3の(b)内で色の薄い正方形で示した支持膜領域からのCTFを示す。
[0037]図3の(a)では、画像に対する脱焦はZPPなしで得られたものであり、図3の(c)内の対応するCTFは約1000nmであった。画像(図3の(b))は、ZPPが挿入される前に、ガウス焦点を設定することによって得られたものであり、次いで非晶質の炭素薄膜ZPPが挿入された。対物レンズ(OL)及び対物ミニレンズの焦点は変化しておらず、またZPPがSAA面内にあり、したがってOLの後側焦点面と共役になる(図7に示す)ように注意がはらわれた。ZPPの挿入に伴う脱焦の変化は、フレネル縞(図3の(b)の挿入グラフに示すプロファイル)を引き起こした。したがって、図3の(d)内のコントラスト伝達関数(CTF)におけるコントラストの速い変動は、顕微鏡のレンズのいかなる変化でもなく、ZPPに関連することが結論付けられた。したがって、目に見える脱焦の変化は、孔をもつZPPがTEM内へ挿入されたときに明らかになる。焦点のそのような自発的な変化は、ZPPハードウェアの帯電と一致している。
[0038]図3の(c)は、脱焦を使用するTEM画像のCTFを示し、一方図3の(d)は、炭素薄膜ZPP内にFIBで事前に製作した孔をもつ顕微鏡のCTFを示す。図3の(d)に矢印で示す帯域は、脱焦、レンズの球面収差、又はZPPからのπ/2の位相シフトの存在に起因すると考えることはできない。図3の(d)に示すCTFは、脱焦z及び球面収差Cを使用する予期されるCTFに適合させることができない。特に、図3の(d)に矢印で示す伝達帯域は、理想の厚さπ/2のZPPを備える顕微鏡のCTFと、測定したCTFを区別する。これは、ZPP材料内の汚染の蓄積及び孔開け、並びにZPPの帯電に起因すると考えられる可能性がある。広範に使用した後にTEMをエネルギーフィルタにかけることによって行ったZPP膜の厚さの本出願人らによる測定では、使用済みの条件下での汚染及び孔開けを除外する。CTFの本出願人らによる観察、ZPPの明視野画像、及び電子ビーム照射下でのZPPの点投射ホログラムから、最も可能性が高い説明は、ZPPの炭素膜の帯電であると考えられる。
[0039]図5は、図3の(b)に示す画像に対する逆空間面での結像条件を示す。FIBで製作した孔を左上角に円で示し、一方MWCNTの0.34nmの格子から発生するブラッグ反射を矢印で示す。この場合(図3の(b)及び図5)、ZPPハードウェアを選択領域の開口面内に配置し、対物ミニレンズを使用して、対物レンズの後側焦点面を、対物レンズの後側焦点面と共役の選択領域の開口面へ移動させた。図5は、ZPP孔の直径が約500nmであること、及びこれらの実験で使用された入射する電子ビームの角度幅を示す。矢印で示すブラッグ点は、多壁カーボンナノチューブの0.34nmの間隔から発生し、逆空間での結像条件の精密な較正を可能にする。入射するケーラー照明の収束角は約40μradであり、ZPP孔の切り口角度は約100μradであり、これは、実空間における0.4nm−1又は24nmを超える空間周波数の位相シフトに対応する。
[0040]したがって、出願人は、以下の通り、この新しい知識を透過型電子顕微鏡法に生産的に適用することができると結論付ける。位相コントラスト結像のために透過型電子顕微鏡を調整する方法は、後側焦点面(BFP)又は後側焦点面に対して共役の平面に無孔薄膜を配置するステップと、薄膜上の帯電率と放散率が均衡していない初期期間にわたって、位相コントラスト結像のための透過型電子顕微鏡の電子ビームを集束させるステップと、次いで、帯電率及び放散率が安定した後、位相コントラスト結像を実行するステップとを伴うことができる。初期期間中、CTFの変化には、帯電に加えて、入射する電子ビームによって引き起こされる表面の汚染層厚さの変化が伴う可能性がある。電子ビーム源、サンプル領域、対物レンズ、及び投射システムを備え、後側焦点面又は後側焦点面の共役面に無孔の非晶質又は結晶質の薄膜が配置され、散乱された波及び散乱されなかった波が後側焦点面で異なる領域上に集束するように対物レンズが動作される、TEMが提供される。
[0041]上記の例では、本出願人らは、非晶質の薄膜型ZPPに注目したが、静電型ZPPに帯電するという含意を使用して、アインツェル又はベルシュレンズへの制御信号を生成し、帯電を補償することができる。帯電を受けやすい静電型ZPPの面積がより小さいこと、ZPPの構造によってZPPの径方向の対称性が壊れていること、ベルシュレンズの導電性電極の厚さが大きいこと、そしてベルシュレンズが著しく厚く、1次電子を停止させる傾向があることはすべて、膜型ZPPと比較して、デバイス内の荷電平衡を変化させる要因である。
[0042]本発明のすべての態様で以下の理論に限定されるものではないが、本出願人は、電子の2次放出によって帯電がもたらされる可能性が高いと考える。入射する(1次)電子ビームによって引き起こされる2次電子(SE)の放出は、走査型電子顕微鏡(SEM)のSE画像及び走査型TEM(STEM)のSEモードを担う十分に確立された事実である[17、18]。入射する1次電子1つ当たりの放出されるSEの数(SE収率)は、入射エネルギー、入射角、及び照射された材料とともに変動するが、決してゼロにはならない[18]。SEの放出の結果、TEM内のゲルニケ位相板(ZPP)、サンプル自体、開口、又はポールピース及びビームライナなどの照射された物体上に正の電荷が蓄積される[19、20]。正の電荷は、接地電極から流れる誘導電流によって補償され、SE放出のために発生する正の電位によって駆動される。最終的に、定常状態が発生し、放出されたSEは、接地電極からの誘導電流によって完全に補償される。定常状態になるのに費やす期間、並びに定常状態自体は、起こりうる表面の汚染物質層の影響を受ける可能性がある。ビームによって引き起こされた表面汚染の蓄積により、帯電に加えて位相シフトがもたらされる。定常状態では、静電位の勾配により、接地電極から、入射する1次ビームによってSEが生成される領域へ電流を連続して流す必要があることに留意されることが重要である[19、20]。定常状態は、良好な導体内の静電界のわずかな勾配とともに急速に発生する可能性があり、帯電した領域の占有面積は、より欠乏している導体内で1次ビームが除去された後、かなりの期間にわたって残る可能性がある[21、22]。
[0043]上記のSE放出によって引き起こされる静電位の存在により、表面の汚染物質を含むZPP膜の平均内部電位(MIP)によって引き起こされる位相シフト[23]、又は静電型ZPP内の静電位相シフトに加えて、1次電子の静電位相シフト(EPS)が生じる。静電位、したがってEPSは、SE放出の結果、電荷密度が穏やかになった場合でも、大きくなる可能性がある[20]。
[0044]帯電の原因が何であっても、静電荷がコントラスト伝達関数上の後側焦点面内の物体(ZPPなど)に与える影響のモデルを使用することができる。これらのモデルは精密ではない可能性があり、所与の寸法の孔の有無にかかわらず、実験的及び/又は半実験的手順を選択して、静電型ZPPの所望の電界強度を算出し、或いはTEM内の所望の動作条件に適した非晶質の薄膜ZPPに対する所望の厚さを算出し、又は逆に、所与の厚さの非晶質の薄膜ZPPに対する動作条件を選択することができる。特に集光器設定は、顕微鏡の画像平面に位置するデジタルカメラ上で直接観察されるコントラストを実験的に最適化するように制御することができる。
[0045]ビーム経路内の様々な物体の帯電は、TEMの電子光学系に重大な影響を与える可能性がある。1次電子の入射時にSEを放出する物体はすべて、静電位をもたらすある程度の電荷の再分配を受けやすい。TEMのサンプル平面でビーム照明が広い場合、SE放出のための静電位(バイアス)の影響で、照明された領域全体にわたって、観察可能な影響を生じない一定の位相シフトが加えられる(これは、画像を形成する振幅の2乗であり、したがって一定の位相シフトは観察されない)。大部分の生物学的サンプルの場合、散乱は非常に弱く、拡散して(結晶で観察される強いブラッグ反射とは対照的)、ZPPが配置される後側焦点面で平滑な(すなわち、ステップ関数ではない)電流密度プロファイルをもたらす。バイアス内に時間依存成分が存在する場合、蜂の巣効果[28]が観察される可能性がある。
[0046]レンズの後側焦点面の場合など、バイアスが均一でないとき(バイアスが逆空間で作用するときはなおさらである)、帯電は、その結果生じる画像に強い影響を及ぼすことがあり、これは、無孔ZPP上の実証された位相コントラスト結像について説明するはずである。特に、帯電ZPP内で見られる空間周波数依存位相シフトは、TEM内のコントラスト形成機構を完全に左右する可能性がある。
[0047]TEMの後側焦点面内の電流密度の高い領域に位置する物体であるゼルニケ位相板の場合、帯電は、位相板の電気光学的特性の著しい交代をもたらす電位を生成するのに十分なものとなる可能性があると考えられる。本出願人らの特定の例では、q=0付近の計算された電荷によって引き起こされる位相シフトは、π/2をほぼ1桁分超える。本出願人は、図2の(b)及び(c)並びに図3の(d)内のCTFのプロファイルから、薄膜ZPPを使用すると、帯電のための位相シフトが、TEM内のゼルニケコントラストに望ましいπ/2のシフトを完全にかき消す可能性があると結論付ける[23]。
[0048]TEM及びSEMでは、非導電性のサンプルの帯電を低減させるために、炭素又は他の材料の薄膜でサンプルを被覆するのが一般的な慣行である。STEM及びSEM内の炭素で被覆されたサンプルからSE画像を得る能力によって容易に証明されるように、炭素又は類似の被覆は帯電を低減させるだけで、SE及び帯電をなくすものではないことが強調されるべきである。
[0049]帯電は、顕微鏡の光学系が点投射ホログラフィに対して設定されたとき、容易に観察することができ、サンプルより上の短い距離のところに、クロスオーバーが形成され、サンプルの脱焦した画像が、スクリーン上に投射される。均一(長距離)で且つ時間に依存しない電荷によって引き起こされる位相シフトは、オフアクシスホログラフィ及びBFTEMの場合と同様に、点投射設定で検出するのが困難であるが、点投射ホログラフィ設定では、サンプルが小さく跳ねるため(不安定性が大きい場合)、帯電の不安定性を容易に観察することができる。SE放出のための画像平面の物体(サンプル)の帯電は、粒子寸法の低減に伴ってナノ粒子の平均内部電位が見掛け上増大する原因となる可能性がある[32]。
[0050]少ない照射量で物体を結像するには、最も低い空間周波数、すなわちq=0付近の空間周波数を正確に伝達することが最も重要である[16]。直接ビーム(q=0付近)の位相シフトを、(弾性的に)散乱されたビームに対する位相シフトπ/2+nπ(nは整数)に調整すると、コントラストを増大させ、したがって最終の画像内で所望の信号対雑音比に必要な照射量を低減させるはずである。SE放出及び帯電、並びにその結果生じる位相シフトは、後側焦点面内のビームの電流密度J(r)に比例するため、画像内のコントラストを観察しながら集光器設定を調整することによって、原則的に最適化することができる。
[0051]本発明の一実施形態によれば、TEM結像のための方法が提供される。この方法は、対物レンズの後側焦点面又は後側焦点面に対して共役の平面でTEM内にZPP(任意の型)を挿入するステップと、対物レンズの電界を印加して、散乱されなかった波がZPPの局部化した領域(ZPPの中心と呼ぶ)を通って進み、散乱された波がZPPの中心の周囲の領域を通過するように、電子ビームを集束させるステップと、画像内のコントラストを最適化するようにTEMの集光器設定を調整するステップとを伴う。たとえば、電子ビームに対して垂直の方向にほぼ任意の位置でビーム経路内に挿入された標準的な対物開口板の1つの中に、適切な薄い(炭素)膜を配置することができ、次いでコントラスト及びCTFを改善するように集光器レンズを調整することによって、電流密度を調整することができる。コントラスト及びCTFはそれぞれ、画像の強度プロファイルとして、また同時に画像の実際の高速フーリエ変換(FFT)として、観察することができる。これは、TEM内に薄膜を位置合せ及び位置決めするという点から、重要な利点である。
その場の孔開け(in situ drilling)
[0052]TEM内でその場で位相コントラスト結像のために無孔薄膜を調整できる別の方法は、サンプルがビーム内に配置されていない間に電子ビームを薄膜上に集束させ、薄膜内に孔を開けるように高いビーム電流で動作して、標準的なZPPを事実上形成することである。強い電子ビームは、TEMの中心を自然に画定し、したがって、作製される孔の位置は、動作中に電子ビームと位置合せされる。さらに、適切な条件下では、孔の寸法は、入射ビームの角度幅にうまく整合させることができ、また孔の位置は、逆(q)空間内の入射ビームの位置で決まる。実際には、適切な孔の寸法(切り口空間周波数q)からビームの収束角及び位置決めなどの光学条件の忠実度の整合は、薄膜ZPPを作製する集束イオンビーム技法の製作上の制限を超えることができる。これは、TEM内で薄膜を位置合せ及び位置決めするという点で、重要な利点である。孔をその場で製作することができると、ZPPのGaイオン汚染を引き起こすことが知られている製作ステップである集束イオンビームによる孔開けの必要がなくなる。入射ビームに対してZPPデバイスを位置決めするのに、高精度のハードウェアは必要とされない。
[0053]放射線分解、電子刺激脱離、及び電子ビームスパッタリング又はカラム内の残留水蒸気による電子ビームによって引き起こされる膜エッチングなど、強い電子ビーム下での孔開けに寄与することができるいくつかの物理的機構が存在する[2]。入射電子からサンプル(又は薄膜)原子への運動量の伝達を伴う電子ビームスパッタリングは、電子ビームスパッタリングを受けやすいZPP膜が適切に選択されるという条件で、実際的理由に最も適していると考えられる[27]。電子ビームスパッタリングを受けやすい適切な材料は、入射電子エネルギー(本出願人らの場合、200keV)より低いスパッタリング閾値、及び妥当な時間内で膜厚さ全体を貫通して孔を開けるのに十分なほど高いスパッタリング断面を有していなければならない。原子番号が約20より小さい大部分の光要素は、300kVより低いスパッタリング閾値を有し、したがって、標準的なTEM内でZPPをその場で製作するのに適した材料である。たとえば、非晶質炭素は、200keVの入射電子エネルギーで、約100kVのスパッタリング閾値及びσ=8×10−23cm程度の電子スパッタリング断面を有する[27]。ZPP膜からの材料の除去率は、等式R=σdJ/eに従って計算することができる[27]。上式で、Rは1秒当たりの単分子層内の膜材料の除去率であり、Jは入射電流密度(孔開け領域全体にわたって一定)であり、eはクーロン単位の電子の電荷である。入射電流I=1nA、所望の孔直径d=500nmと、そこから導かれる対物レンズの後側焦点面でJ=5×10A/cm、及び膜厚さt=22nm(200kVで約π/2)という、孔の製作に適している典型的な条件では、孔開け時間は約30〜60秒である。材料の除去率は、孔開け率を高める水蒸気の存在、又は孔開け率を低減させる汚染物質の存在の影響をさらに受ける。典型的な低量の結像に使用される電流は、前述の値(通常、0.1nA未満)より著しく低いため、すべての入射電流が孔寸法をさらに拡大していた場合、その場で開けた孔を少なくとも5分〜10分間使用することができる。しかし、結像中(薄膜を貫通して孔を開けた後)、ビーム電流の大部分(典型的なTEMサンプルの場合は90%超)は、ZPP膜をさらにスパッタリングするのではなく、ZPP膜内の孔を通過する。この点を考慮すると、その場で孔を開けたZPPデバイスは、著しい変化なく数時間使用することができる。
[0054]孔開けの可能性を実証するために、いくつかの実験を実行した。図6の(a)は、200keVのLaB計器(JEOL 2010)によって開けた約500nmの孔を有する薄い炭素膜内のその場で開けた孔の画像を示す。この実験では、炭素膜をサンプル平面に配置した。JEOL2200 FSのステッパモータ駆動式の選択領域開口機構又はより旧式の顕微鏡の手動で位置決めされる開口アセンブリなど、標準的な位置決め機構(通常、選択領域の開口又は対物開口で使用される)は、ZPP孔の典型的な寸法(200nm〜数マイクロメートル)をもつZPPの長期間(数時間)の動作に対して十分なずれ安定性を提供する。
[0055]図6の(b)は、炭素薄膜のサンプル平面での孔開けの典型的な値を示すグラフ及び表である。
[0056]上記の方法に従うと、孔直径(すなわち、切り口角度)は、入射照明の角度幅に整合する。孔開けステップ中、サンプルがビーム経路内に存在しないため、孔は、入射照明の形状を逆(q)空間で精密に表すはずである。ビーム内にサンプルが挿入されると、入射ビームの角度幅の外側に散乱された電子は、その場で孔を開けたZPPデバイスによって位相シフトされる。
[0057]その場で孔を開けた非晶質薄膜を使用する位相コントラスト結像のための典型的なシーケンスは、次の通りである。顕微鏡を位置合せして顕微鏡倍率を設定し、集光器レンズをケーラー照明などの所望の結像条件及び所望の電流密度に設定し、サンプル内で孔を見つけて、サンプル内の孔を通過しながら、サンプル内の孔を電子ビームと位置合せし、後側焦点面又は後側焦点面の共役面にZPP膜を挿入し、入射ビームがZPP膜内に孔を開けるのを待ち、サンプルを孔から当該領域へ動かして、サンプルの結像を開始する。
無孔薄膜又はZPPの位置決め
[0058]上述のように、本出願人は、対物レンズの後に、対物ミニレンズによって引き起こされるクロスオーバーによってもたらされる後側焦点面に対する共役面にZPP又は無孔薄膜を配置する利点を見出した。従来技術によれば、ZPPは通常、対物レンズの後側焦点面(BFP)内に配置され、又は顕微鏡カラム内に特殊な転写レンズを組み込んで、ZPPを収容する。図7は、SAAでZPP又は無孔薄膜を有するTEMに対する光線経路図を示す。図7の(a)では、対物ミニレンズ(OM)は、位相コントラスト結像のためにオンになっており、図7の(b)では、対物ミニレンズは、標準的な位相コントラスト又は回折コントラスト結像モードを実現するためにオフになっている。
[0059]図7の(a)に示すように、対物ミニレンズを備えるTEMにより、選択領域開口(SAA)面にZPP又は無孔薄膜を配置することが可能になり、したがってBFPは、対物ミニレンズの適切な励起によってSAA面へ移動される[23]。これは、ZPP又は無孔薄膜を設置するのに好都合である。青色のクロスオーバーは回折パターンに対応し、赤色のクロスオーバーは画像平面に対応する。次いで、対物レンズ及び対物ミニレンズ並びに集光器レンズシステムが変化しないままでいる間に、中間レンズ(ZPPレンズの後)を使用してサンプルに集束させる。
[0060]SAA面で利用可能な物理的空間は、OLの後側焦点面で利用可能な空間より著しく大きく、SAA面の空間は、ビーム経路に沿って、並びに電子ビームに対して垂直の平面内で、10mmとすることが容易である。したがって、対物ミニレンズ(OM)を使用すると、ZPPハードウェアが対物レンズのBFPに対して精密に共役の平面内に確実に位置するようにするための追加の自由度が得られる。後側焦点面内に直接配置されたZPPの場合、サンプル高さ及びOLの焦点距離しか変動させることができない。OMを使用すると、追加の変数、すなわちOMの焦点距離を使用して、電気光学的条件を最適化することができる。
[0061]ZPPデバイスより下のあらゆるレンズは、ZPPデバイスの後側焦点面の位置に影響を与えないため、ZPP又は無孔薄膜より下のレンズを用いて集束させることによって、重要な利点を得ることができる。従来の動作では、対物レンズの共役面の位置は、対物レンズ(又は対物ミニレンズ)がサンプル上で集束するにつれて、光軸に沿って移動する。光軸に沿って回折面が移動する結果、BFPの共役に対するZPP又は無孔薄膜の位置合せが変化する可能性がある。集光器レンズを使用してZPPデバイス上に後側焦点面を集束させる結果、照明条件の制御が制限される。
[0062]本出願人らは、TEM内でその場で位相コントラスト結像のために無孔薄膜を調整できることを実証した。事前に製作した孔をもつ位相板、その場で製作した孔をもつ位相板、及びいかなる孔ももたない位相板は、位相コントラスト結像に活用できるコントラスト伝達関数を提供する帯電を受けやすい。さらに、従来技術での製作及び位置合せに関連する困難もなく、無孔薄膜にその場で孔を開けて、標準的な薄膜型ZPPを作製することができる。
[0063]この構造に固有の他の利点は、当業者には明らかである。実施形態について、本明細書では例示的に記載しており、請求される本発明の範囲を限定するものではない。上記の実施形態の変形形態は当業者には明らかであり、本発明者は、これらの変形形態が以下の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
[0064]参考文献
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Claims (11)

  1. 電子ビーム放射器及び集光器レンズと、サンプルホルダと、対物レンズアセンブリと、少なくとも1つの中間レンズと、物体面とを含む透過型電子顕微鏡(TEM)を用いる位相コントラスト結像の方法であって、
    前記対物レンズアセンブリの後側焦点面に、又は前記後側焦点面に対する共役の平面に無孔薄膜を配置するステップと、
    電子ビームを使用して位相コントラスト結像のために前記無孔薄膜を調整するステップであり、前記電子ビームは、その少なくとも1つの成分が該電子ビームの中心にて前記無孔薄膜上の小さい領域に集束される、ステップと、
    その後、散乱された波が前記無孔薄膜全体に分散する一方、前記電子ビームの散乱されなかった波を前記無孔薄膜上の小さい領域上に集束させて、前記散乱された波と前記散乱されなかった波との間に位相オフセットを与えることによって、前記サンプルホルダ内のサンプルを結像するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記無孔薄膜を調整するステップが、前記電子ビームを使用して、帯電によって前記TEMによる位相伝達の効率を増大させるように、前記無孔薄膜の電気光学的特性を修正するサブステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記無孔薄膜を調整するステップが、前記電子ビームを使用して、該無孔薄膜に孔を開けて、その場でゼルニケ位相板を作製するサブステップを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記電子ビーム放射器及び前記集光器が、100eV〜1MeVの入射電子エネルギーを放出し、前記無孔薄膜が、π/2+nπの位相遅延を加えるように選択された厚さを有し、上式でnが整数である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記無孔薄膜を調整するステップが、前記電子ビームを使用して、帯電によって前記TEMによる位相伝達の効率を増大させるように、前記ゼルニケ位相板の電気光学的特性を修正するサブステップを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記透過型電子顕微鏡が、前記電子ビームが最大約1mradの収束角を有するケーラー照明である透過型電子顕微鏡である、請求項1に記載の方法。
  7. 位相コントラスト結像のために透過型電子顕微鏡を調整する方法であって、
    後側焦点面(BFP)又は前記BFPに対して共役の平面に無孔薄膜を配置するステップと、
    次いで、前記無孔薄膜上の帯電率と放散率が均衡していない初期期間にわたって、位相コントラスト結像のための前記透過型電子顕微鏡の電子ビームを集束させるステップと
    を含む、方法。
  8. 電子ビーム源と、サンプルホルダと、対物レンズと、投射システムとを備える透過型電子顕微鏡であって、
    後側焦点面に、又は前記後側焦点面の共役面に非晶質又は結晶質の無孔薄膜が配置され、散乱されなかったビームが前記後側焦点面上に集束するように前記対物レンズが動作される、透過型電子顕微鏡。
  9. 透過型電子顕微鏡の結像のための方法であって、
    対物レンズの後側焦点面に、又は前記後側焦点面に対する共役の平面に、前記透過型電子顕微鏡内に位相板を挿入するステップと、
    前記位相板が孔又は開口を有する場合、前記孔を前記透過型電子顕微鏡の電子ビームの中心と位置合せするステップと、
    前記透過型電子顕微鏡の対物レンズに電界を印加して、前記透過型電子顕微鏡内のサンプルからの散乱された波が前記位相板の中心全体を通って進み、前記サンプルからの散乱されなかった波が前記位相板の残り部分を通過するように、前記電子ビームを集束させるステップと、
    画像内のコントラストを改善するように、前記透過型電子顕微鏡の集光器設定を調整するステップと
    を含む、方法。
  10. 前記位相板が、静電レンズ型ZPP、薄膜型ZPP、その場で開けた孔をもつ薄膜型ZPP又は無孔薄膜である、請求項9に記載の方法。
  11. ZPPから下流のレンズを使用して前記サンプルに集束させるステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
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