JP6055643B2 - 位相板 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子ビームシステムのための位相板に関する。
透過型電子顕微鏡(TEM)は、例えばマイクロエレクトロニクス、材料科学、生物学のように広範な用途において用いることができる。透過型電子顕微鏡の概要は、D.B.WilliamsおよびC.B.Carter著、Transmisstion Electron Microscopy(第2版、Springer、2009年)のChapter1に見ることができる。
例えば生物学的その他の有機材料を含む試料のような、いわゆる「弱位相物体」を十分に撮像することは、従来のTEMでは困難である。
弱位相物体においては、画像内の仮想的に全てのコントラストが、試料によって散乱した電子と散乱しなかった電子との間の干渉から生じる。したがって画像強度は、非散乱電子に対する散乱電子の位相シフトおよび試料の観察領域の空間周波数構成に依拠する。
例えば、L.RiemerおよびH.Kohl著、Transmisstion Electron Microscopy、Chapter6.2:Physics of Image Formation(第5版、Springer、2008年)に記載されているもののように、広く用いられている弱位相物体近似において、コントラストは位相コントラスト伝達関数(PCTF)によって表すことができる。PCTFは、撮像電子波長、レンズ収差、レンズ焦点ぼけ、(弱位相物体)試料の観察試料領域の空間周波数構成に依拠する。弱位相物体と焦点TEM画像については、低空間周波数における位相コントラスト(一般に約3nm以上の長さスケールを有する特性に対応する)は、ゼロに向かう傾向があり、より高い空間周波数成分において得られるコントラストの半分以下である。したがって、低空間周波数において生じる位相変化を区別することは困難である。しかし、特に生物学的試料については、重要な関心情報がこの長さスケールにおいて存在する。
コントラストは高空間周波数において良くなるが、あるレンズ配置においては、システムの撮影開口を通過することができる場合、高空間周波数におけるコントラストが反転する。原子解像度画像においては、これにより原子がその空間分離度に応じて黒点または白点として現れ、画像を解釈することがより困難になる。
これら課題に挑戦し解決するため、TEMオペレータは、異なる位相コントラスト伝達関数を有する複数の焦点外れ設定において画像を収集する。これにより、低空間周波数における位相コントラストをいくぶん向上させ、高空間周波数における反転が生じる周波数を変化させることができる。顕微鏡の詳細特性を与えられたオペレータは、複数の画像と画像処理ソフトウェアを用いて、画像コントラストをより容易に解釈できる単一の画像を構築することができる。
経験のあるTEMオペレータのなかには、画像処理ソフトウェアの補助なしに、一連の画像を解釈し、試料内の位相変化を理解できる者もいる。しかし、異なる焦点外れ設定において複数画像を収集するアプローチは、欠点がある。第1に、試料が電子線を多量に受ける。一般に電子線は、試料が破損する可能性を低減するために最小化される。第2に、焦点外れの適正値を選択することと複数画像を解釈することは、多大なスキルと知識を必要とする。第3に、焦点外れされた画像では、顕微鏡の最高解像度(フォーカスされ、コントラスト反転なし)において、試料を直接的に観察することができない。
位相板は、広い周波数範囲にわたって位相コントラストを向上させることにより、これら課題を緩和する手段として用いられる。生物学的用途において用いられる電子顕微鏡についての位相板の評価は、Kuniaki Nagayama著、”Development of phase plates for electron microscopes and their biological application”、European Biophysical Journal、P.345〜358、volume 37(2008年)が提供しており、その意図は低空間周波数位相コントラストを向上させることである。
特願S58−112718号公報
R.DanevおよびK.Nagayama著、Transmisstion Electron Microscopy with Zernike Phase Plate、Ultramicroscopy、88、243(2001年) E.Majorobits、B.Barton、K.Schultheiss等による、Optimizing phase contrast in transmission electron microscopy with an electrostatic(Boersch)phase plate、Ultramicroscopy、107、213(2007年)
よく知られている位相板の1つに、ゼルニケ位相板がある。これは、散乱電子の位相を非散乱電子に対してπ/2進め、これは顕微鏡の後焦点面の近傍および中央領域において現れる。最も単純な形態では、上記のような位相板は、後焦点面近傍に配置された連続フィルムまたは穴開フィルムから形成される。中央領域は周辺領域よりも薄く、穴開フィルムの場合はその部分には何もない。
このタイプのフィルムベース位相板において、フィルム内で不可避の散乱が生じる。したがって、このタイプの位相板を用いると、試料物体からの情報がいくらか失われる。またこのタイプの位相板は、ビームに誘起される帯電と汚染の影響を受ける。位相板はまた、エネルギー依存性を示す。さらに具体的な課題は、フィルム厚さすなわち位相シフトを正確に制御するのが困難なことである。さらには、フィルム厚さは汚染によって時間に応じて変化し得る。これら課題のうちいくつかの詳細は、非特許文献1に記載されている。
中央領域において静電アインツェルレンズ配置を用いてπ/2位相シフトを実現するゼルニケスタイルの位相板(1947年にBoerschによって最初に提案され、”ベルシュ位相板”として知られているもの)は、これら課題のいくつかを解決することができる。しかしこの位相板は、依然いくつかの課題がある。特に、中央の静電レンズのための支持構造が、特定の空間周波数成分をブロックする傾向がある。さらに、中央レンズのサイズが有限であるため、位相コントラスト伝達関数は、ある空間周波数以上(通常は約(1/6)nm−1)においてのみ向上する。さらには、位相シフトは電子エネルギーとともに変化する。これに加え、この位相板は大きな断面領域を有するので、汚染され易く(特に非散乱ビーム焦点周辺の縁部上において)帯電し易い。この位相板は、電極に対して電気的に接触する必要があるので、製造および設置がより複雑である。また、いったん設置すると、位相板電圧を特定のビームエネルギーに対して調整する必要がある。これは例えば、非特許文献2に記載されている。
その他知られている位相板のタイプは、後焦点面近傍のビーム中央においてπ/2位相シフトを提供する磁気中央リングを有するゼルニケ型位相板であり、例えば特許文献1に記載されている。この構造も、いくつかの欠点がある。静電のものと同様に、中央開口のサイズが有限であるため、位相コントラスト伝達関数は、ある空間周波数以上のみにおいて向上する。この位相板も、特に中央の非散乱ビーム周辺の縁部において汚染され易い。また、静電のものと同様に、支持構造が特定の空間周波数成分をブロックする。
位相板のその他の形態は、ヒルベルト型位相板である。このタイプの位相板は、後焦点面(BFP)もしくはその近傍、またはBFPと共役な面において、半平面にわたってπ位相シフトを生成する。ゼルニケ型位相板と同様に、これは薄膜を用いて半平面にわたってπ位相シフトを生成することにより、実現できる。しかしこれは、帯電、汚染、情報ロス、エネルギー依存、フィルム厚さを正確に制御する困難さ、という同様の欠点を有する。さらに、得られる画像は、特定方向から照射されたように見え、影部アーチファクトが画像内に現れる。
BFPの中央にわたる磁気バーを用いるヒルベルト型位相板は、これら課題のいくつかを解決する。しかし、このタイプの位相板から最適なコントラストを得るためには、磁気バーを中央非散乱ビームのごく近傍に配置しなければならず、非散乱ビームを直接遮る場合もある。これは、汚染と帯電につながる。ヒルベルト型位相板から生成した画像は、一方から照射されたように見え、画像内に影のようなアーチファクトが現れる特性を有する。
本発明は、改善された位相板を提供しようとするものである。
本発明の第1側面によれば、スルーホールを有する支持部と、長さ方向に沿って磁化可能であり、部分的にスルーホールをまたがって延伸し、スルーホールよりも細い細長部材と、を備える、荷電粒子ビームシステムのための位相板が提供される。
本発明の第2側面によれば、スルーホールを有する支持部と、部分的にスルーホールをまたがって延伸し、スルーホールよりも細い磁性細長部材と、を備える、荷電粒子ビームシステムのための位相板が提供される。
したがって、磁束は磁性部材の端部から出るかまたは端部に入り、これによりスパイラル状の位相シフトを導入してスルーホールを通過するキャリアを帯電させることができる。磁性部材は、散乱ビームを交差する必要がなく、開口端部上の最小1点からビームに接近するのみでよい、小さな断面を有することができる。これにより、ビームに誘起される汚染を低減し、空間周波数成分をより広範に通過させることができる。また、低周波数カットオフを低減することができる。また、ヒルベルト型位相板と比較して、画像内の長距離影部アーチファクトを低減することができる。
細長部材は、1μm以下または500nm以下の幅を有する
細長部材は幅wを有し、スルーホールは幅dを有し、d≧20wまたはd≧50wである。
スルーホールは、スルーホール周辺上の第1点と第2点の間の中点を有し、細長部材は、同周辺上の第1点から中点と交差することなく第2点に向かって延伸している。ただし、細長部材は中点と交差してもよい。
スルーホールは概ね円形にすることができる。支持部は概ね板状である。支持部材の腕部は、スルーホールに向かって延伸しており、腕部は細長部材を支持している。
細長部材は、200nm以下または100nm以下の厚さを有する。細長部材は、少なくとも5nmまたは少なくとも10nmの厚さを有する。細長部材は、ニッケル、コバルト、および/または鉄を含む。細長部材は、4×10−15Wbまたは4×10−15Wbの整数倍の磁束を有し、この磁束は光軸と平行な細長部材の横断面を通過する。したがって、細長部材は4×10−15Wbまたは4×10−15Wbの整数倍の磁束を光軸に対して垂直な平面内に方向付ける。
位相板は、細長部材を覆う導電層を備え、導電層は予備的に支持部を覆う。導電層は、金の層を含むことができる。導電層は、帯電を抑えるために用いることができ、そのため導電層は薄い。例えば100nm以下または10nm以下である。しかし用途によっては、位相板を用いてビーム形成開口を提供するので、導電層はより厚い。例えば約1μm以上である。
スルーホールは、直径または最大サイズdを有し、これは最小10μm、最小20μm、最小50μm、100μm以下であってもよい。スルーホールは、直径または最大サイズdを有し、これは最小100μm、最小200μm、最小500μm、1000μm以下であってもよい。用途によっては、例えば位相板がマイクロレンズ構成において用いられる場合、dは10μm以下である。
スルーホールは直径または最大サイズdを有し、細長部材は長さLを有し、L≧dである。細長部材の長さLは、L≧2d、L≧5d、またはL≧10dであってもよい。
本発明の第3側面によれば、荷電粒子ビーム源と、対物レンズと、対物レンズの下流または上流に配置された位相板と、を備える荷電粒子ビームシステムが提供される。
位相板は、対物レンズの後焦点面またはその近傍に配置することができる。荷電粒子ビームシステムは、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、および/または走査型透過電子顕微鏡として動作することができる。
透過型電子顕微鏡の概略図である。 透過型電子顕微鏡内の位相板の位置と構造を示す。 走査型電子顕微鏡または走査型透過電子顕微鏡内の位相板の位置と構造を示す。 位相板の平面図である。 図4に示す位相板の断面図である。 図4に示す位相板の等角図である。 図4に示す位相板を通過する電子についての位相シフトを2次元グレースケールでプロットし、計算した磁力線を重ねたものである。 3次元の陰影を付した面を、図4に示す位相板を通過する電子についての位相シフトを示す等高線とともに示す。 アジマス角にともなう理想スパイラル位相からの位相シフトの変化を示す。 位相板なしでシェルツァー焦点外れ条件において動作するゼルニケ位相板とヒルベルト位相板を用いてフォーカスした状態で動作する、従来の透過型電子顕微鏡の場合における、弱位相物体についての位相コントラスト伝達関数を示す。 ヒルベルト位相板を用いフォーカスした従来の透過型電子顕微鏡の位相コントラスト伝達関数を、2次元空間周波数空間における等高線を用いて、位相反転領域をハッチングして示す。 完全なスパイラル位相板を用いフォーカスした従来の透過型電子顕微鏡の位相コントラスト伝達関数を、2次元空間周波数空間における等高線を用いて、位相反転領域をハッチングして示す。 本発明の1モデルに係る位相板を用いフォーカスした従来の透過型電子顕微鏡の位相コントラスト伝達関数を、2D空間周波数空間における等高線を用いて、位相反転領域をハッチングして示す。 画像シミュレーションのために用いた液滴の断面を示す。 図14に示す液滴を、12nm直径の視野にわたって、位相板を用いないシェルツァー焦点外し条件における従来の透過型電子顕微鏡を用いて形成したシミュレート画像(a)、ゼルニケ位相板を用いてフォーカスしたシミュレート画像(b)、ヒルベルト位相板を用いたシミュレート画像(c)、および本発明に係る位相板を用いたシミュレート画像(d)を示す。 シェルツァー焦点外し条件における従来の透過型電子顕微鏡を用いて形成した、図14に示す液滴のシミュレート画像における絶対画像強度を、等高線によって示す。 ゼルニケ位相板を用いてフォーカスした従来の透過型電子顕微鏡を用いて形成した、図14に示す液滴のシミュレート画像における絶対画像強度を、等高線によって示す。 ヒルベルト位相板を用いてフォーカスした従来の透過型電子顕微鏡を用いて形成した、図14に示す液滴のシミュレート画像における絶対画像強度を、等高線によって示す。 本発明に係る位相板を用いてフォーカスした従来の透過型電子顕微鏡を用いて形成した、図14に示す液滴のシミュレート画像における絶対画像強度を、等高線によって示す。 本発明に係る位相板の実施形態を介して形成した集束電子ビームの点広がり関数を、関連する波動関数位相の等高線とともに、強度の等高線によって示す。 図20に示す点広がり関数のアジマス角0°と90°における強度を、単一の円形開口を介して形成したビームについての比較点広がり関数とともに示す。 本発明の実施形態に係る位相板を製造するため用いられるシリコンフレーム上に支持される、シリコン窒化物薄膜の断面図を示す。 図4〜図7に示す位相板の製造方法のプロセスフロー図である。
本発明の実施形態を、添付する図面を参照して例示的に説明する。
図1は、電子顕微鏡1を示す。電子顕微鏡1は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型透過電子顕微鏡(STEM)として動作することができる。顕微鏡1は、高真空または超高真空ポンプ装置(図示せず)に接続されたハウジング2(通常は「カラム」と呼ぶ)を備える。一端において、カラム2は電子源3を収容する。電子源3は、陰極4.引出電極5、陽極6を備える。陰極4と引出電極5の間のバイアスVは、陰極4に電子ビーム8を出射させるために用いられる。陰極4と陽極6の間のバイアスV(以下では「ビーム電圧」と呼ぶ)は、電子ビーム8を加速するために用いることができる。約10kVから約1MVの範囲にあるビーム電圧Vを用いることができ、通常は約100kVから約400kVの範囲である。
電子ビーム8は、光軸9に沿ってカラム2の反対端に向かって進み、集光レンズ10、集光レンズ開口101、着脱可能試料11、対物レンズ12、対物レンズ12の後焦点面14もしくはその近傍または共役面102などの共役面近傍に配置された位相板13、選択領域回折開口103、回折レンズ104、中間レンズ15、および投影レンズ16を経由して、検出器17に到達する。特に偏向コイルや補正コイルなどのいくつかの要素は、明瞭化のため図1には示していない。
図2と図3を参照して、位相板13は像平面18における像19の生成を補助する。像平面18において、位相シフトの強度ハイライト領域は、試料11内で変化する。位相板13は、STEMまたは走査型電子顕微鏡の構成においては、集光レンズ開口位置101で用いることもできる。
図4、図5、図6は、位相板13の詳細を示す。
位相板13は、平坦で非磁性の支持部材21を備える。支持部材21は、上面22と下面23、上面22と下面23の間に広がる円形開口24を備える。支持部材21は、上面22上において、細長磁性部材25を支持する。この場合、細長磁性部材25は、概ね矩形の横断面を有する薄くて細いストリップ形態(または「平坦バー」)を取る。磁性部材25は、他の横断面形状を有することもできる。例えば磁性部材25は、円形断面を有するロッド形態を取ることができる。
この場合において、開口24は約50μmの直径dを有し、磁性部材25は約20nmの厚さt、約200nmの幅w、約100μmの長さL(すなわちL≒2d)を有する。部材25は、より短くても長くてもよく、L>dであることが望ましい。磁性部材25は、長軸26と遠位端27を有する。磁性部材25は、顕微鏡内に存在する磁場の影響下または顕微鏡内に導入する前の外部磁場内において磁化され、その磁化28は大部分が磁性部材25に沿って揃えられている。
磁性部材25の特性は、部材25が遠位端27から出る固定磁束を有するようになっている。断面を最小化するため、磁性部材25は強磁性材料から作られることが望ましい。ただしフェリ磁性材料を用いることもできる。使用する材料の特性は、顕微鏡1内で使用している間、同材料が大部分の磁化28を磁性部材25に沿って整列して維持することができるようになっている。位相板13が外部磁界のない状態で使用され、磁性部材25が一般的な強磁性材料(例えばコバルトやパーマロイ)で形成されている場合、部材25の厚さは、磁化28が薄膜面内に確実に収まるようにするため(すなわち部材25に沿うようにするため)、1nm以上であることが望ましい。
磁性部材25の形状は、部材25の中央部が単一の磁区を形成するようになっていることが望ましい。一般的には、およそ200nm×20nm×100μm形状のコバルトまたはパーマロイのような強磁性材料により、中央領域が単一の磁区を形成し、磁化を軸26に揃えることができる。
磁性部材25は、支持部材21の狭い片持ち梁腕部29上で支持される。片持ち梁腕部29は、支持部材21の主部30から延伸している。例えば銅を含む薄いスティッキング層(図示せず)を、支持部材21と磁性部材25の間に配置することもできる。金などの薄い導電保護層(図示せず)を磁性部材25上に被せ、予備的に支持部材21を覆って、入射する荷電粒子によって誘起される帯電を低減することができる。導電保護層は、顕微鏡装置の電気的グランドまたは同グランドに関連する電気的バイアスに接続することができる。実施形態によっては、磁性部材25は支持せずに開口24まで延伸することができる。これに代えて、オプションの放射状支持部材105、106などのような1以上の非磁性部材を用いて、開口端部と磁性部材25の間のブリッジを形成し、磁性部材の遠位端27を支持することができる。
位相板13は、光軸9が交差する平面内、例えば光軸9を法線方向とする平面内に配置される。位相板13は、対物レンズ12の後焦点面14近傍、共役面102のような後焦点面14の共役面内、または電子プローブ形成システム内の開口を形成するプローブ近傍に配置することができる。
位相板13は、磁性部材25の遠位端27が光軸9近傍に位置するように配置される。TEMについては、磁性部材25は光軸9を交差またはまたがらないので、明視野像を収集することができる。ただし実施形態によっては、磁気部材25は光軸を交差してまたがり、TEM内で暗視野像を収集できるようにすることができる。STEMやSEMのようなプローブ形成用途において、磁気部材25は光軸9を交差しまたがることができる。位相板13は、磁気部材25が光軸9を交差する第1位置と交差しない第2位置の間で移動させることができる。
長軸26と光軸9は、小距離をもって分離することができる。この距離は例えば、開口直径dの約10%以内である。
図6に示すように、磁気部材25またはその一部は、平面31に向かって傾斜させることができる。平面31は、光軸9に対して垂直である。遠位端27近傍の磁気部材25の1部分を傾斜させ、光軸9に対して45°<θ1<135°の範囲で角度を形成することができる。支持部材21と磁気部材25の近位端は、光軸に対して垂直な平面に向かって傾斜した平面内に配置することができる。例えば、支持部材21と光軸9の間の傾斜角θ2は、70°<θ2<110°とすることができる。θ1とθ2が等しくない場合、図6に示すように磁気部材25には屈折部107が存在する場合がある。
屈折部107は、バーの上面を被覆する際の積層状態を下面よりも伸縮させて上向きの屈折を形成することによって実現できる。
STEMのようなプローブ形成システムのプローブ形成開口101近傍、またはTEMにおける共役面102のような後焦点面12と共役もしくは等価な平面近傍において、通常は強い磁場は存在しない。したがって、位相板13がこれら位置に配置されている場合、磁気部材25は外部印加磁場がない環境下でその磁化を維持するように構成される。
一般的なTEM対物レンズの後焦点面位置14において、磁場が存在する場合が(常にではないが)ある。対物レンズ12(図1)は通常丸いので(すなわち回転対称)、この磁場B0は、軸方向成分と動径成分をともなって、メリジオナル面内に向けられる。したがって、磁気部材25がメリジオナル面内に配置される場合、これにより磁気部材25の軸26と光軸9が交差し、磁気部材25は軸26と光軸9に沿った方向の成分を有する外部磁場にさらされる。
B0は通常、光軸に対して平行な1テスラ(T)オーダの成分B0zを有する。動径成分B0rは、円形レンズ内で第1次に対して級数展開B0r=−(1/2)B0z’(z)を用いることにより、得ることができる。B0z’(z)は通常、TEMの対物レンズ開口領域内において、100T/mのオーダである。したがって、動径成分B0rの大きさは、軸からの距離rが200μmである場合、光軸9における0Tから10mT近傍まで、線形に増加する。
OOMMF(OOMMFユーザガイド、バージョン1.0、M.J.DonahueおよびD.G.Porter、NIST、Gaithersburg、MD(1999年9月))を用いたマイクロ磁場シミュレーションによれば、厚さ20nm、幅200nm、長さ100μm、例えばパーマロイ(80Ni/20Fe)またはコバルトのような一般的な強磁性材料で構成された矩形バーは、外部印加磁界がゼロである環境において、磁化が軸26に対して直接十分に沿った単一磁区状態を維持することができる。
さらにこれらシミュレーションによれば、厚さが幅よりも小さく厚さが20nmオーダの磁性バーは、通常の強磁性材料(例えばコバルトやパーマロイ)から形成されている場合、幅と長さの次元を含む平面31bに対して垂直(すなわち厚さ方向)な外部磁界が存在する場合であっても、磁化28が同平面に向かって方向付けられる傾向がある。例えば、コバルト(飽和磁化Ms=1.4×10Am−1、交換結合A=1.4×10−11J、異方性定数K=0)で構成され上述のサイズを有するバーは、長軸に沿って磁化されてから最初に残留磁性状態となり、平面31bに対して垂直に印加される1Tの磁場(通常は先に述べたB0z)は、バー内の平均磁化を平面31bから43°程度の向きに方向付ける。したがって、磁化は平面31bから完全に出てしまうことなく、その角度は90°よりも遥かに小さい。他の強磁性材料において、同様の動作が見られる。例えばパーマロイのように飽和磁場がより小さい材料においては、平面31bに対して垂直な保持磁場はより小さく、または同様の印加磁場についての平面からの磁化方向はより大きい。例えばパーマロイの場合、1Tの面外磁場は磁化をほぼ面外方向の角度に方向付ける。しかし、0.6Tの面外磁場は、磁化を平面31bから44°程度の角度に方向付けるに過ぎない。
10mTオーダの追加磁場については、先述の後焦点面における通常の動径方向磁場B0rは、シミュレーション上ではバー25の長軸26に沿って動作し、平面31b近傍の磁化を保持することを補助する。ただし、軸26に沿った残留状態磁化成分が動径方向磁場と同方向である(すなわち反平行ではない)と仮定している。先述のように、磁性バー25またはその一部は、光軸の垂直方向から傾斜させることができ、その角度はθ1および/またはθ2であり、90°ではない。したがって、バー25がB0zに対して垂直ではないため、バー25の軸26に沿って別の磁場成分が存在し得る。この磁場が軸26に沿った残留状態磁化成分に対して揃えられている場合、平面31b近傍の磁化を保持することを補助できる。
一般にTEMの後焦点面において存在する磁場内に配置された位相板磁性バー25を用いると、θ1とθ2がともに約0°または180°となるように、または軸26に沿ったB0z成分が磁気バーを飽和させて単一磁区を形成するのに十分な角度となるように、開口を回転させることにより、磁性バーを初期単一磁区状態にしておくことができる。いったんこの状態になると、先述のように、磁性バー25の平面31に対する傾斜が減少した位置に開口を回転して戻すことができる。
OOMMFソフトウェアを用いて計算した磁化は、他のソフトウェアへエクスポートして長距離浮遊磁場を計算することができる。ここではComsol(R)4.1ソフトウェアを用いて、厚さ25nm、幅200nm、長さ100μmのサイズを有し、長さ方向に沿った均一磁化8×10Am−1を有する磁性バー25から出る浮遊磁場Bを計算する。
図7は、Comsol(R)を用いて計算した、先述のモデルのバー上における浮遊磁場32、Bを表す一般的な磁束線を示す。この磁場B、32は、遠位端27から出るように示されているが、部材25が反対方向に磁化されていれば、遠位端27に向かって方向付けられている場合もある。
この均一な磁化近似は、OOMMFから正確にエクスポートした磁場を用いて生成したモデルと比較すると、妥当であると思われる。しかし、約1〜2μmの長さを有する遠位端27近傍の端部領域において、磁化は部材25に沿って整列した状態から逸脱する場合がある。しかしこのエッジ効果は、磁性部材25から離れた領域(例えば10μm以上)に表れる遠方磁場パターンには顕著な影響を及ぼさない。
磁場Bが既知である場合、これはベクトルポテンシャルAの回転とみなすことができ、光z軸と平行に通過し磁場から得られる電子の位相シフトφは、標準位相物体近似を用いて得ることができる(例えば、“Electron interferometry and interference electron microscopy”、G.F.Missiroli、G.PozziおよびU.Valdre、Journal of Physics E:Scientific Instruments 14(6)、649(1981年)参照)。
Figure 0006055643
はベクトルポテンシャルAのz成分、rは光(z−)軸に対して垂直な位置ベクトル、lは光軸に対して平行な電子経路、eは素電荷、hはプランク定数である。通常の電子エネルギーが5keV以上であり、電子経路が軸に対して平行であると近似できれば、式(1)を用いることができる。式(1)は、平面31に対して垂直な磁場成分が、観察可能な位相シフト効果を生成しないことを示す。このことは、図7に示す磁性バーのモデルにおいて仮定した均一磁化を用いることが妥当であることの根拠となる。
これに整合して、同じ箇所から開始して同じ経路で終了する2つの経路lとlの間に現れる位相差Δφは、式(2)で表される。
Figure 0006055643
これは、経路lとlによって表される経路にわたる閉曲線積分であり、dsは当該経路に沿った基本ベクトルである。ストークスの定理によれば、これはAの回転の積分と等価であり、lとlによって境界される閉曲面にわたる磁束密度Bと同等である。したがって、磁性バー25を用いる場合、磁性バー断面の両側面間を横断する電子間で発生し得る最大位相差Δφmaxは、式(3)で表される。
Figure 0006055643
Φは、電子経路の主方向に対して平行な平面において磁性バーの横断面を通過する磁束である。この方向は、本例においては、式(1)において用いられる光軸に対して平行なz方向である。したがって、約2πの最大位相差を実現するため、磁性バーはh/e=約4.136×10−15Wbの磁束Φを含む。ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびこれらの合金(例えばパーマロイ)のような一般的な強磁性材料については、近似範囲0.6〜2.1Tの飽和磁化を有する場合、この磁束値は、約2×10−15〜7×10−15の断面領域を有する磁性部材25において実現することができる。矩形断面を有し厚さ約20nmであるストリップまたはバーについては、これは約100〜350nmの幅に相当する。先述のように磁性バーを後焦点面における磁場内で用いることを意図している場合、磁化成分が面外方向に向かうこと、およびこれにともなって平面31に対して垂直な平面内で断面を通過する磁束が減少することを許容する必要がある。
磁場Bを表す図7に示す通常モデル結果に基づいて、磁性部材25は4×10−15Wbの磁束を含む。したがって、式(3)を用いて約2πの最大位相シフトを生成する。このモデルにおいて、遠位端27は、明視野TEM像を得るため開口の中心から100nmオフセットされている。Comsol(R)モデルからベクトルポテンシャルAを抽出し、Matlab(R)の数値積分を介して式(1)を適用することにより、電子その他のバーを通過する荷電粒子の位相シフトを計算することができる。この位相シフトは、図7においてグレースケール33で示されるとともに、図8において斜視図34内の影平面として等高線35とともに示されている。
図8に示すように、特に等高線35を見ると、磁性部材25の自由端27(図4)によって生成される位相シフト33は渦巻状であり、その中心は部材25の端部27近傍の点にある。しかし、磁性部材25は完全な渦位相を生成しない。
図9は、様々な動径座標、r=5μm、10μm、15μm、20μm、25μmについて、位相シフトからアジマス角を差し引いたもの(Φ−Φ)をアジマス角Φに対してプロットしたもの(36)である。理想的な渦位相は、Φ全体にわたって(Φ−Φ)=0である。しかし、この場合においては、最大0.5ラジアン程度の逸脱が観られる。
磁性部材25を後焦点面14またはその近傍に配置すると、TEMにおける試料画像のフーリエ変換において位相シフトが生成される。位相板13は後焦点面14において配置することができるが、必ずしもその必要はない。例えば、共役面102(図1)のような共役面に配置することもできる。
先述のように、TEMにおいて弱位相物体を撮影するためのコントラストは、通常は位相コントラスト伝達関数(PCTF)を用いて表される。PCTFは、画像内におけるコントラストと(弱位相)物体の空間周波数成分の関係を表す。これは例えば、J.C.H.Spence著:High Resolution Electron Microscopy(第3版、Oxford University Press、2003年)Chapter6、L.RiemerおよびH.Kohl著、Transmission Electron Microscopy:Physics of Image Formation(第5版、Springer、2008年)に記載されている。
図10を参照して、前述のSpence著書およびRiemerとKohl著書のChapter6.4に記載されている方法を用いて計算したPCTFを、正規化空間周波数νnormに対してプロットしたものが示されている。νnorm=λ(C/λ)1/4νであり、λは電子波長、Cは球面収差係数、νは空間周波数である。特性については、シェルツァー焦点外し条件における従来のTEM(CTEM)を用いたプロット41、ゼルニケ位相板を用いてフォーカスしたプロット42と43、ヒルベルト位相板を用いてフォーカスした43と44、を前提とした。カットオフ周波数42以上においては、ヒルベルト位相板とゼルニケ位相板は同様の特性を示した。シェルツァー焦点外し設定は、対物レンズが試料上で僅かに焦点を外されているものであり、その焦点外しの値はΔz=1.21(Cλ)1/2である。これは、コントラスト反転のない最広の空間周波数通過バンドおよび通過バンド全体にわたって良好な強度を得るため、一般に用いられている。
これら特性41、42、43、44は、通常のTEMにおける減衰包絡線の効果(例えば前述のSpence著書のChapter3参照)を含む。これは、高周波数においてコントラストを低下させ、照射範囲が有限であることにともなう、システムにおけるレンズ不安定性と色収差による「輪郭ぼけ」の原因となる。減衰包絡線の形状は、式(4)で表される。
Figure 0006055643
θは考慮している後焦点面地点において形成される角度であり、Δはフォーカス値の分散の標準偏差であり、λは電子波長であり、J(x)は1次ベッセル関数であり、qは式(5)で表される。
Figure 0006055643
θは照射半角であり、Kは後焦点面における散乱ベクトルであり(|K|=sinθ/λ)、Cは球面収差係数であり、Δzは焦点外しの増分である。モデルについての減衰包絡線を形成する際に、C=0.7mm、Δ=4nm、θ=1.5mrad、100kVのビーム電圧を想定する。したがって、特性41、42、43、44を「正規化」座標νnormに対してプロットしたものは、汎用的なものではない。比較のため、この減衰包絡線を適用していない汎用的な特性を、同じフォーカス条件の下で、従来のTEMおよびゼルニケ位相板を用いて、プロット46として示した。
シェルツァー焦点外し設定で動作するCTEMについてのPCTF41から、低正規化空間周波数(例えばνnorm<0.2)におけるコントラストが低く、約0.3未満またはピークコントラストの20%未満であることは明らかである。フォーカス条件で動作するゼルニケ位相板にフィットしたTEMのPCTF42、43は、例えばνnorm=0.2のときのコントラストが約2.0であるように、低空間周波数におけるコントラストが改善している。ただしカットオフ周波数42以下ではコントラストの改善は見られない。これは、ゼルニケ位相板が有限サイズの中央領域を使用する必要があり、これが周辺領域よりも小さい位相遅延π/2を招くことによって生じる。中央領域の直径は、開口直径の約4%であるものと想定する。通常の50μm開口であれば2μmである。また、ゼルニケ位相板を用いるTEMにおいてコントラスト反転が生じる周波数は、シェルツァー焦点外し条件で動作するCTEMよりも小さい。しかし、ゼルニケ位相板を用いる場合、R.Danev、K.Nagayama、Transmission Electron Microscopy with Zernike Phase Plate、Ultramicroscopy、88、243(2001年)に記載されている、Δz=0.73(Cλ)1/2のような焦点外し設定を用いる場合、第1通過バンド幅は増加するがそれでもCTEMにおいて得られるものよりは小さいことに留意されたい。
CTEM41、45とゼルニケ位相板を用いたCTEMのPCTF42、43、46は回転対称であり、したがって図10において適切に表される。しかし、ヒルベルト位相板を用いるCTEMのPCTF44、43は、回転対称ではない。図11を参照して、ヒルベルト位相板を用いるCTEMのPCTF振幅は、2次元正規化空間周波数座標空間上に等高線47として示され、ハッチング領域48はPCTFがπシフトしている(すなわち反転している)領域を示す。したがって、プロット44は、ヒルベルトPCTFの振幅を示しているが、その位相は無視している。
J.D.Schmidt、Numerical Simulation of Optical Wave Propagation、SPIE(2010年)、Chapter4に記載されているように、これらPCTFを計算するために用いられる手法を、Matlab(R)などの高速フーリエ変換技術と組み合わせて適用することにより、完全なスパイラル位相板および本発明に係る位相板についてのPCTFを判定することができる。
再び図9を参照して、完全なスパイラル位相板は、全てのrについて特性Φ−Φ=0を示す。完全なスパイラル位相変化(図12)を有する位相板を、上述のように適用されるTEM減衰包絡線とともに用いるCTEMにおけるPCTF49は、ヒルベルト位相板を用いるCTEMのPCTF47、48と同様の態様により、等高線50とPCTF内のπ位相シフトを示すハッチング領域51によって表されている。等高線50とハッチングしたπ位相シフト領域51の形状は、スパイラル状であることが見て取れる。
再び図12を参照して、PCTF49は空間周波数平面において、角度θνとともに変化しているように見える。特にθν=90°のとき、空間周波数が0に接近するとともにPCTFは2に向かい、正規化空間周波数が1に向かうとともにPCTF振幅は位相が反転する前に0に接近していることが見て取れる。したがって、θν=90°の方向において、動作はヒルベルト位相板特性43、44と類似している。θν=0°の方向において、空間周波数が0に接近するとともに、PCTF49は0に接近しており、正規化空間周波数が1に向かうとともにピーク値まで増加している。したがって、θν=0°の方向において、動作はCTEM PCTF特性41と類似している。
図8と図9に示す位相変化を有し、位相板13を表すものとして先述した位相板についてのPCTFは、図13のPCTF52と同様の手法によって計算される。この計算において、図5に示すように、TEMの明視野像を得るため、磁性バーは光軸9から100nmオフセットされている。等高線53と位相反転を示すハッチング領域54は、完全スパイラル位相板49から得られるPCTFと同様のスパイラル形状を有する。しかし、θν=90°の方向に沿って、完全スパイラルと比較してコントラストが減少していることが見て取れる。これは主に、磁性バー25が後焦点面において散乱電子と交差し、空間周波数成分をブロックしていることに起因する。ゼルニケ位相板の特性42、43、46とヒルベルト位相板の特性44、43、46、47、48は、その物理構造を実現するため必要な支持構造によって空間周波数成分をブロックすることを考慮する必要はない。
先述の位相板と組み合わせてTEM内で実現される画像は、既知のPCTFおよびMatlab(R)などのフーリエ変換手法を適用することにより、シミュレートすることができる。ただし、例えばJ.C.H.Spence著:High Resolution Electron Microscopy(第3版、Oxford University Press、2003年)、Chapter3に記載されているように、標準弱位相物体近似の制約に留意されたい。画像シミュレーションを、対物レンズ開口半角(これは、画像内の高周波数成分についてのカットオフを決定する)に関する別制約の下で提示する。この制約条件において、対物レンズ開口半角は、全てのシミュレーションにおいて、従来のTEMにおけるシェルツァー焦点外し設定の下でコントラスト反転なしの最大幅通過バンドを実現するため必要な半角に等しい。さらに、100kV TEMにおいて一般的なパラメータとともに、先述の式(4)と式(5)に示す減衰包絡線を適用する。したがって、得られる画像は100kV周辺においてTEM画像を最もよく表している。
回転対称の「液滴」試料物体からの画像を考慮する。試料は図14のような断面を有しており、0.1ラジアンの位相遅延をもたらす均一な支持薄膜55と、直径4nmおよび0.05ラジアンのピーク位相遅延を有する楕円キャップ中央凸部56を備える。楕円キャップの中央は、ベース部下方における0.424ラジアンの位相遅延と等価な点にある。炭素でできた物体を100keVで撮影する場合、これは近似最大高さ0.7nm、1.4nm背面支持薄膜上の直径4nm、表面から5.9nm下方の楕円キャップ中心を有する物体に対応する。これは例えば、生物学的試料内の細胞膜上の球状タンパクを近似的に表す。
図15を参照して、グレースケール画像57、58、59、60は、同レベルのコントラストと明度を提示するように調整されているが、絶対画像強度は表していない。
図16、図17、図18、図19を参照して、等高線61、62、63、64は、それぞれシミュレート画像57、58、59、60の絶対強度Iを示す。これら図面において、画像強度は|Ψ|に比例し、Ψは像平面における撮影粒子波動関数である。
画像コントラストは、式(6)を用いて計算される。
Figure 0006055643
maxは画像内の最大強度であり、Iminは画像内の最小強度である。
図16、図17、図18、図19に示すように、本発明の実施形態に係る位相板をCTEMフォーカス条件で用いると、シェルツァー焦点外し条件において位相板なしで動作するCTEMおよびゼルニケ位相板を用いてフォーカス条件で動作するCTEMよりも強いコントラストを生成する。
本発明の位相板は、理想的なヒルベルト位相板を用いるCTEMより強いコントラストを生成しないが、図18に示すように、長距離部分のアーチファクトが概ね弱く、および/または少なくなっている。
ヒルベルト位相板のアーチファクトは、アーチファクト65、66を含む長距離で浮き出た影部を表している(図14cおよび図18)。
図18を参照して、「明るい」陰影アーチファクト65は、等高線の強度が1.0318と1.0218であり、それぞれ約4nmの距離および画像中心から6nm以上の距離まで延伸している。比較として、本発明の実施形態に係る図19において、強度1.0318と1.0218の等高線は、ともに画像中心から2.5nm未満の距離まで延伸している。「暗い」陰影アーチファクト66も同様である。ヒルベルト位相板(図18)については、0.9881と0.9981の等高線は、それぞれ4nmと6nm超まで延伸している。一方で本発明の位相板において、これら等高線は、画像中心から約2.5nm以下の距離まで延伸している。
これら試料画像を考慮すると、本発明によって得られる、ヒルベルト位相板と比較して減少した画像アーチファクトにより、TEMオペレータは、視野(FOV)内のより大きな部分において、コントラストの方向を識別することができる。例えばヒルベルト位相板の円形FOVにおいて、画像は、FOV外の形状から生じるコントラストとともに、6nm幅以上の外部環帯を有し得る。しかし、本発明に係る位相板については、図19における最大空間延伸部分の等高線を考慮すると、環帯の幅は5nm以下である。
再び図4と図5を参照して、位相板13は非散乱電子ビーム8と直接交差またはまたがる必要はない(図1および図2)。磁性部材25の端部27は、中心軸9からオフセットすることができる。完全に整列されたヒルベルト位相板とゼルニケ位相板のうちいくつかの形態は、非散乱電子ビームと直接交差する。非散乱ビームは弱位相物体において高い強度を有する場合があるので、ヒルベルト位相板とゼルニケ位相板のうちいくつかの形態は、電子ビーム起因の汚染や帯電のような電子ビームに起因するダメージを受け易い。
図3を参照して、走査型電子顕微鏡(SEM)または走査型透過電子顕微鏡(STEM)のような走査型プローブシステムにおいて、位相板13はビーム形成(対物)開口位置101に配置される。この配置において、点電子源はTEMアプリケーションにおいて考慮していた物体を置き換える。
先述のTEM画像強度をモデル化する手法と同じものを用いて、本発明に係る位相板のモデルを搭載したシステムにおいて、この点物体の画像強度を、図20において等高線67として示した。同手法は、集束ビーム点広がり関数(PSF)として知られている。像平面内の空間座標rはα/λによって正規化されており、αは像平面における開口半角、λは電子波長である。画像強度も正規化され、像平面におけるビームに対して垂直な(r,θ)座標系は中央最小強度を中心とする。
図21を参照して、θ=0°方向とθ=90°方向におけるPSF強度(それぞれ68と69)は、中央最小値を有する。比較のため、正規化座標軸原点は、最小強度を中心としておらず、標準円形開口から得られるPSF70の最大強度を中心としている。
これら図面から、PSFは環形状を有するが、θ=90°方向69に沿って非対称になっていることが分かる。ピーク強度は約θ=90°方向に沿って生じ、等高線67から、ピーク108は三日月形状を有する(0.205と0.216における等高線を参照)。
再び図20を参照して、生成したPSF波動関数は、破線の等高線71とともに矢印で示す位相を有する。同位相は、環状PSFの正接方向の周りで−π〜+πへ変化する。したがってビームは、マイクロ加工された回折格子によって生成されたビームにおいて存在するものと同様の渦度を有する。これについては、例えばJ.C.IdroboおよびS.J.Pennycook著、Journal of Electron Microscopy、60、195(2011年)を参照されたい。正接方向周りのビーム位相変化または渦度は、磁性部材25の磁化方向によっては左巻きの場合もあるし右巻きの場合もある。
図20と図21は、本発明に係る位相板と、式(3)に基づくh/e=約4.1×10−15Wbの磁束を含むように磁化されて最大位相シフト2πを提供する磁性部材とから得られるPSFを示しているが、磁性部材は最大位相シフトが約2πではない磁束を含むこともできる。この場合、ビームPSFが最大「純」渦度を有するためには、バーが含む磁束が2πの整数倍近傍において最大位相シフトを生じさせる必要がある。「純」渦度とは、サイドローブが最小、108のような三日月形ピークが最小、またはその他の環状でない形状が最小である、最も環状な強度分散を有するビームPSFを意味する。
図20と図21に示す例において、Φe/hに最も近い非ゼロ整数は1であり、強度が強い領域における環状PSF周辺の波動関数の位相は、Δp=2πを介して変化する。一般に、Φe/hが整数から離れている場合、PSFは少なくとも2つの、Φe/h超およびΦe/h未満の整数nに対応する支配的なモードを含む。これらモードは、Δp=2πnによって特徴付けられる。n=0モードは、磁性部材のない標準円形開口によって生じる、名目上均一なビームPSF波動関数位相に対応する。
本発明の構成は、例えばマイクロ加工格子を含むその他の構成よりも容易に、顕微鏡へ組み込んでビーム位相渦度を導入することができる。
図22と図23を参照して、位相板13を製造する方法を説明する。
位相板13は、シリコン支持部38上に支持されたシリコン窒化物薄膜21’を含む基板72上に形成することができる(ステップS1)。薄膜21は、約200μm×200μm四方および厚さ100nmのサイズを有することができる。
レジストの第1パターン層(図示せず)が形成される(ステップS2)。このステージは、アンダーカットレジストプロファイルを提供してその後のリフトオフを補助することができる2層の電子ビームレジストを用いるステップを含む場合がある。例えば、電子ビームレジストの第1層は、Allresist Gmbhが提供するAR−P617(共重合体 PMMA/MA 1−メトキシ−2−プロパノール33%)を含むことができる。このレジストは、5000rpmで塗布することができ、170℃で固化する。電子ビームレジストの第2層は、950k PMMA(アニソール2%)を含むことができる。このレジストは、5000rpmで塗布することができ、150℃で固化する。高解像度電子ビームを用いてレジストを露出させ、例えばIPA:HO(3:1)を10℃で3分間用いて加工する。
1以上の層をスパッタ積層またはUHV蒸発器により積層する(ステップS3)。この層は例えば、10nmの銅(Cu)などの接着促進層、20nmのコバルト(Co)などの強磁性層、5nmの金(Au)などの保護層を含むことができる。
所望しない金属化領域をアセトン内でリフトオフする(ステップS4)。
レジストの第2パターン層(図示せず)が形成される(ステップS5)。電子ビームレジスト層は、950k PMMA(アニソール8%)を含むことができる。このレジストは、5000rpmで塗布することができ、120℃で固化する。高解像度電子ビームを用いてレジストを露出させ、例えばIPA:HO(3:1)を10℃で7分間用いて加工する。短時間の酸素プラズマディスカム(酸素プラズマバレルエッチャー内で30秒150W)を用いて表面を確実に露出させることもできる。
開口をエッチングする(ステップS6)。このステージは、シリコン窒化物層を介してCF/Oを用いた反応イオンエッチングを含むことができる。一般的な条件は、40sccm CFと4sccm Oを用いて、45秒300W、20mTorrである。
第2マスクが除去される(ステップS7)。このステージは、低パワー酸素プラズマバレルエッチャーを例えば15分間150Wで用いるステップを含むことができる。
最後に、構造物を両面から約75nmの金(Au)でスパッタ被覆することができる(ステップS8)。
実施形態によっては、支持部材21は、入射する荷電粒子に対して不透明であるのに十分な厚さの材料層(または1以上の材料層)を備えることができる。この例においては、厚さ約75nmの金コーティングを支持部材21と磁性部材25の両面に適用する。これは約5keVのエネルギーを有する電子に対して不透明である。これにより、図3に示すような、開口角が十分に制御され、プローブにおいて支持部材21と磁性部材25を介して散乱する電子の影響を低減した、5keV電子走査プローブを形成することができる。
支持部材21と磁性部材25は、衝突する荷電粒子に対して完全に不透明でなくともよい。例えば、TEMの位相板13が後焦点面またはその共役面において用いられる場合、支持部材は、試料の高空間周波数成分を表す電子と最も多く交差する。したがって、これら電子が支持部材21を通過して散乱する場合、これら高周波数成分に関する情報のみが失われ、得られる画像は一般に一貫性のない背景画像を提示する。さらに、このような高周波数成分から生じるコントラストは、一般に式(4)が表しているように減衰することに留意されたい。
磁性部材25を介して生じる散乱も、得られる画像内において一貫性のない背景画像を提示し得るが、これにより生成された一貫性のない背景画像の強度は、磁性部材の幅を最小化することによって減少する。
磁性部材25を分離して形成し、開口上に配置することもできる。
位相板13は、ピエゾ駆動ユニットのようなマイクロ位置決め装置を用いて配置し、磁性部材25を離れた対物レンズ開口(図示せず)の中心近傍および/または顕微鏡カラムの光学中心に揃えて、磁性部材をTEM後焦点面内の非散乱電子の中心位置近傍に位置決めすることができる。
位相板の特定の実施形態は、TEMおよび他のモードの荷電顕微鏡の利点を、特に走査型TEM(STEM)その他の後方散乱した荷電粒子を収集する走査型顕微鏡技術に提供することができる。例えばSTEMにおいて、集束電子プローブは試料全体にわたって走査され、散乱電子は検出および記録され、これにより電子散乱変化の画像を試料位置と比較することができる。
位相板をプローブ形成光学構成において配置することにより、渦度または軌道角運動量を有する荷電粒子ビームを生成することができる。このようなビームは、現在ではマイクロ加工格子をビーム経路に配置して軸外回折ビームを選択し、別の光学部品を通過させて集束プローブを形成することにより、生成することができる。例えばJ.C.IdroboおよびS.J.Pennycook、Journal of Electron Microscopy、60、195(2011年)を参照されたい。このようなビームを用いて、材料の磁性特性を測定することができる。
本発明に係る位相板により、上記のようなビームを、単純な軸上構成によって生成することができる。この場合、位相板は従来のビーム制約開口位置に配置することができる。さらに、この軸上構成を用いて得られる渦状ビームは、非使用オーダにおいてビーム強度が失われる回折格子を用いて生成されたものよりも明るい。
先述の実施形態に対して多くの偏向を加え得ることを理解されたい。
顕微鏡は、走査型Heイオンシステムであってもよい。
コイル(図示せず)をバーの近位端上に配置してバー25内の磁束を調整することもできる。

Claims (14)

  1. 荷電粒子ビームシステム(1)において用いる位相板であって、
    スルーホール(24)を有する支持部(21)と、
    長さに沿った方向(26)において磁化可能であり、部分的に前記スルーホールをまたがって延伸し、前記スルーホールよりも細い細長部材(25)と、
    を備え
    前記スルーホール(24)は、前記スルーホール周辺上の第1点と第2点の間の中点を有し、前記細長部材は、前記周辺上の前記第1点から前記中点と交差することなく前記第2点に向かって延伸している
    ことを特徴とする位相板。
  2. 前記細長部材(25)は、1μm以下の幅を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の位相板。
  3. 前記細長部材(25)は幅wを有し、前記スルーホール(26)は幅dを有し、d≧20wまたは少なくともd≧50wである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の位相板。
  4. 前記スルーホール(24)は直径または最大サイズdを有し、前記細長部材(25)は長さLを有し、L≧dである
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の位相板。
  5. 前記スルーホール(24)は概ね円形である
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の位相板。
  6. 前記支持(21)の腕部は、前記スルーホールに向かって延伸しており、前記腕部(29)は、前記細長部材(25)を支持している
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の位相板。
  7. 前記細長部材(25)は、200nm以下の厚さを有する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の位相板。
  8. 前記細長部材(25)は、少なくとも5nmの厚さを有する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の位相板。
  9. 前記細長部材は、ニッケル、コバルト、および/または鉄を含む
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の位相板。
  10. 前記細長部材は、4×10−15Wbまたは4×10−15Wbの整数倍の磁束を有する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の位相板。
  11. 前記位相板は、前記細長部材(25)を覆う導電層を備え、前記導電層前記支持部(21)を覆う
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の位相板。
  12. 荷電粒子ビーム源(3)と、
    対物レンズ(12)と、
    前記対物レンズの下流または上流に配置された請求項1から11のいずれか1項記載の位相板(13)と、
    を備えることを特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  13. 前記位相板は、前記対物レンズの後焦点面またはその近傍に配置されている
    ことを特徴とする請求項12記載の荷電粒子ビームシステム。
  14. 透過型電子顕微鏡および/または走査型電子顕微鏡または走査型透過電子顕微鏡として動作することができる
    ことを特徴とする請求項12または13記載の荷電粒子ビームシステム。
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