JP2011150249A - 帯電装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】帯電ローラの放電により発生した放電生成物を効果的に吸着除去することにより、帯電ローラの回転を円滑にし、帯電ムラのない高品位な画像を提供するための帯電装置を提供する。
【解決手段】帯電装置5は、感光体3を帯電させる帯電ローラ50と、帯電ローラ50の芯金部52を軸支する帯電ローラ軸受部54とを備え、芯金部52の外周面または帯電ローラ軸受部54の内周面の少なくとも一方に、帯電ローラ50が感光体3を帯電させるときに発生する放電生成物を吸着除去する吸着層53,56を形成した。
【選択図】図3
【解決手段】帯電装置5は、感光体3を帯電させる帯電ローラ50と、帯電ローラ50の芯金部52を軸支する帯電ローラ軸受部54とを備え、芯金部52の外周面または帯電ローラ軸受部54の内周面の少なくとも一方に、帯電ローラ50が感光体3を帯電させるときに発生する放電生成物を吸着除去する吸着層53,56を形成した。
【選択図】図3
Description
本発明は、帯電装置及び画像形成装置に関し、より詳細には、感光体などの被帯電物を帯電させる帯電装置及び該帯電装置を備えた画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置においては、帯電ローラにより感光体を帯電させる帯電装置が用いられている。この帯電装置では、窒素酸化物(NOx)などの放電生成物が生成される。具体的には、帯電装置から放出される電子の放電に伴うエネルギーによって、大気中に存在する窒素分子(N2)が窒素原子(N)に解離し、それが酸素分子(O2)と結合することで窒素酸化物(二酸化窒素:NO2)が生成される。さらに、この窒素酸化物が帯電ローラの雰囲気中のH2O(水分)と反応して硝酸HNO3を生成する。
より具体的には、窒素酸化物NOxが一酸化窒素NOの場合には、
2NO + O2→ 2NO2、
また、二酸化窒素NO2の場合は、
3NO2+ H2O → 2HNO3 + NO、(但し、NOは再び最初の反応に戻る)
といった反応が起こる。
2NO + O2→ 2NO2、
また、二酸化窒素NO2の場合は、
3NO2+ H2O → 2HNO3 + NO、(但し、NOは再び最初の反応に戻る)
といった反応が起こる。
そして、この硝酸HNO3が感光体に付着し、異常画像の原因となる。特に、感光体として有機感光体(OPC)が用いられた場合、上記のような放電生成物によって、白抜けや潜像流れなどの画像欠陥が生じやすい。
このような問題点を解決するために、特許文献1には、窒素酸化物などの放電生成物を吸着除去するゼオライトからなる吸着層が形成された生成物除去ローラを備え、この生成物除去ローラを帯電ローラに接触させ、帯電ローラの周面に付着した放電生成物を吸着除去する帯電装置が開示されている。
ここで、放電生成物が付着するのは帯電ローラの周面だけではなく、帯電ローラの芯金部にも付着する。この芯金部は一般的にステンレス(SUS)などの金属で構成されているが、放電生成物の硝酸が付着することで、芯金部を腐食させてしまい、帯電ローラの円滑な回転の妨げとなっていた。
これに対して、上記特許文献1に記載された帯電装置によれば、生成物除去ローラによって帯電ローラの周面に付着した放電生成物を除去できるが、帯電ローラの芯金部の表面に付着する放電生成物の除去までは考慮されていない。このため、芯金部の腐食に起因して帯電ローラに回転不良が生じ、この回転不良により帯電ローラの回転周期毎にピッチムラを発生させ、ローラ表面を均一に帯電させることができず、画像を劣化させてしまうという問題がある。
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、帯電ローラの放電により発生した放電生成物を効果的に吸着除去することにより、帯電ローラの回転を円滑にし、帯電ムラのない高品位な画像を提供するための帯電装置及び該帯電装置を備えた画像形成装置を提供すること、を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、被帯電物を帯電させる帯電ローラと、該帯電ローラの芯金部を軸支する帯電ローラ軸受部とを備えた帯電装置であって、前記芯金部の外周面または前記帯電ローラ軸受部の内周面の少なくとも一方に、前記帯電ローラが前記被帯電物を帯電させるときに発生する放電生成物を吸着除去する吸着層を形成したことを特徴としたものである。
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記吸着層は、ゼオライトで形成されていることを特徴としたものである。
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記吸着層の厚みは、40μm以上100μm以下であることを特徴としたものである。
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段における帯電装置を備えた画像形成装置である。
本発明によれば、帯電ローラの芯金部の外周面または帯電ローラ軸受部の内周面の少なくとも一方にゼオライト等の吸着層を設け、帯電ローラの放電により発生した放電生成物を効果的に吸着除去することにより、帯電ローラの回転を円滑に維持し、帯電ムラのない高品位な画像を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の帯電装置及び該帯電装置を備えた画像形成装置に係る好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態である画像形成装置の構成を示す図で、図中、100は画像形成装置を示す。画像形成装置100は、外部から伝達された画像データまたは原稿読み取りにより得られた画像データに基づいて、記録媒体である記録用紙に対して多色または単色の画像を形成する装置であり、装置本体110と、自動原稿処理装置120とを含んで構成されている。
装置本体110は、露光ユニット1と、4つの画像形成部Pと、中間転写ベルト61を含む中間転写ユニット6と、定着ユニット7と、内部給紙ユニット81と、手差し給紙ユニット82と、排紙ユニット91とを含む。装置本体110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。自動原稿処理装置120は、原稿載置台92上に自動で原稿を搬送する。また自動原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
画像形成装置100は、ブラック(K)、ならびにカラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色の各色相に対応した画像データを用いて、画像形成部Pにおいて画像形成を行う。4つの画像形成部Pは、中間転写ベルト61の移動方向(回転方向)に一列に配置されている。
4つの画像形成部Pは、それぞれ同様の構成であり、現像ユニット2、感光体3、クリーナユニット4、および本発明に係る帯電装置5を有している。感光体3は像担持体であり、この周囲に、現像ユニット2、クリーナユニット4および帯電装置5が配置される。また、4つの画像形成部Pの各現像ユニット2には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーが収容されている。
感光体3は、円筒状のドラム形状を呈し、図示しない駆動手段によって軸線まわりに回転駆動される。感光体3は、円筒状の導電性基体、および、導電性基体の表面に設けられる感光層を有する。
帯電装置5は、後述する帯電ローラを備え、この帯電ローラが感光体3を臨み、感光体3の軸線方向に沿って感光体3の表面に圧接可能に配置される。そして、帯電ローラにより感光体3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。
露光ユニット1は、レーザ出射部および反射ミラーなどを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。露光ユニット1は、自動原稿処理装置120または外部から伝達された画像データに応じて変調されるレーザ光を出射するレーザ出射部と、レーザ出射部から出射されるレーザ光を主走査方向に偏向させるポリゴンミラーと、ポリゴンミラーにより主走査方向に偏向されるレーザ光を感光体3の表面に結像するように収束する収束レンズと、収束レンズにより収束されるレーザ光を反射する反射ミラーとを含んで構成される。
レーザ出射部から出射されるレーザ光は、ポリゴンミラーにより偏向され、さらに収束レンズにより収束され、反射ミラーによって反射されて、所定の電位および極性に帯電する感光体3の表面に照射され、画像データに応じた静電潜像が感光体3に形成される。なお、露光ユニット1としては、レーザスキャニングユニット(LSU)の他、EL(Electro Luminescence)やLED(Light Emitting Diode)などの発光素子をアレイ状に並べた書込み装置(例えば、書込みヘッド)を使用することもできる。
現像ユニット2は、感光体3に対向しかつ圧接するように設けられ、感光体3の表面に形成される静電潜像に現像剤であるトナーを供給して、静電潜像を顕像化させるものである。クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体3の表面に残留したトナーを、除去・回収する。中間転写ユニット6は、感光体3の上方に配置され、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、一次転写ローラ64、および中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。
中間転写ベルト61は、中間転写ベルト駆動ローラ62と中間転写ベルト従動ローラ63との間に張架されてループ状の移動経路を形成している無端状のベルト部材であり、その厚みは100μm〜150μm程度である。この中間転写ベルト61を挟んで感光体3に対向する位置に、一次転写ローラ64が配置されている。中間転写ベルト61が感光体3に対向する位置が一次転写位置である。
一次転写ローラ64には、感光体3の表面に担持されたトナー像を中間転写ベルト61上に転写するために、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体3に形成された各色相のトナー像は中間転写ベルト61の外周面に順次重ねて転写され、中間転写ベルト61の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。但し、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの色相の一部のみの画像データが入力された場合には、4つの画像形成部Pの各感光体3のうち、入力された画像データの色相に対応する一部のみにおいて静電潜像およびトナー像の形成が行われる。
例えば、モノクロ画像形成時には、ブラックの色相に対応した感光体3のみにおいて静電潜像の形成およびトナー像の形成が行われ、中間転写ベルト61の外周面にはブラックのトナー像のみが転写される。一次転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えば、ステンレス)を素材とする軸の表面を導電性の弾性材(例えば、EPDM:エチレンプロピレン共重合ゴム、発泡ウレタンなど)により被覆して構成されており、導電性の弾性材によって中間転写ベルト61に均一に高電圧を印加する。
一次転写ローラ64によって中間転写ベルト61の外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト61の回転によって、二次転写ローラ10との対向位置である二次転写位置に搬送される。
二次転写ローラ10は、画像形成時において、内周面が中間転写ベルト駆動ローラ62の周面に接触する中間転写ベルト61の外周面に所定のニップ圧で圧接されている。内部給紙ユニット81または手差し給紙ユニット82から給紙された記録用紙が二次転写ローラ10と中間転写ベルト61との間を通過する際に、二次転写ローラ10にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト61の外周面から記録用紙の表面にトナー像が転写される。
感光体3の一部または全部から中間転写ベルト61に付着したトナーのうち記録用紙上に転写されずに中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程での混色を防止するために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に当接してトナーを除去するクリーニングブレードが備えられている。
定着ユニット7は、ヒートローラ71および加圧ローラ72を有する。トナー像が転写された記録用紙は、定着ユニット7へ導かれ、ヒートローラ71と加圧ローラ72との間を通過することで加熱および加圧される。これによって、トナー像が、記録用紙の表面に堅牢に定着する。なお、定着ユニット7においてヒートローラ71には、外部からヒートローラ71を加熱する外部定着ベルト73が接触して設けられ、図示しない温度検出器によって検出される温度データに基づいて、ヒートローラ71が所定の定着温度となるように制御される。トナー像が定着した記録用紙は、搬送ローラ12bによって排紙ユニット91上へ排出される。
画像形成装置100には、内部給紙ユニット81および手差し給紙ユニット82に収容されている記録用紙を二次転写ローラ10と中間転写ベルト61との間および定着ユニット7を経由して排紙ユニット91へ送るための略垂直方向に延びる用紙搬送路Sが設けられている。用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d、レジストローラ13が配置されている。
画像形成装置100において、内部給紙ユニット81および手差し給紙ユニット82から搬送される記録用紙は、用紙搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、レジストローラ13によって所定のタイミングで二次転写ローラ10に搬送されて、二次転写ローラ10と中間転写ベルト61との間を通過したときにトナー像が転写される。トナー像が転写された記録用紙は、定着ユニット7を通過することによってトナー像が熱で溶融・固着され、搬送ローラ12bを経て排紙ユニット91上に排出される。
また、画像形成装置100において、記録用紙の両面に画像を形成する両面印字の場合には、片面印字が終了し定着ユニット7を通過した記録用紙は、その後端が搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによって記録用紙を搬送ローラ12c,12dに導く。搬送ローラ12c、12dに導かれた記録用紙は、レジストローラ13、二次転写ローラ10および定着ユニット7を通過し、裏面の印字が行われて、排紙ユニット91に排出される。
図2は、帯電装置5が備える帯電ローラを感光体3と共に示した概観図である。前述したように、帯電装置5は、被帯電物である感光体3を帯電させる帯電ローラ50と、帯電ローラ50の芯金部52を軸支する帯電ローラ軸受部(後述の図3,4に示す)とを備える。そして、この帯電ローラ50が感光体3の軸線方向に沿って感光体3の表面に圧接可能に配置される。帯電ローラ50は、芯金部52の外周面に同心状に固定された円筒状の弾性部材51と、円柱状の導体からなる芯金部52とを有する。芯金部52を構成する材質は、例えば、ステンレス(SUS)などの金属が用いられ、弾性部材51を構成する材質は、例えば、ゴムなどが用いられる。
画像形成動作の開始に伴い、感光体3は回転駆動されるが、このとき感光体3の表面には、図示しない除電ランプからの光が照射され、その除電作用により表面電位が初期化される。帯電ローラ50は、感光体3の表面に圧接されているため、感光体3に従動して回転する。一方、帯電ローラ50の芯金部52には、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧が印加され、このとき生じる放電により、上記により初期化された感光体表面が所定の電位に一様に帯電される。
図3は、本発明による帯電装置5の要部構成例を示す図である。図4は、図3のX方向から見たときの帯電装置5の要部構成例を示す図である。図中、53,56は吸着層、54は帯電ローラ軸受部、55は固定用ビスを示す。帯電ローラ軸受部54は、軸受上部541と、軸受下部542とで分割可能に構成されており、これら軸受上部541、軸受下部542は固定用ビス55で一体的に固定されている。
本発明の主たる特徴部分は、帯電ローラの回転を円滑にし、帯電ムラのない高品位な画像を提供することにある。このための構成として、帯電装置5は、帯電ローラ50の芯金部52の外周面または帯電ローラ軸受部54の内周面の少なくとも一方に、帯電ローラ50が感光体3を帯電させるときに発生する放電生成物を吸着除去する吸着層を形成している。なお、図3,4の例では、帯電ローラ50の芯金部52の外周面及び帯電ローラ軸受部54の内周面の両方に吸着層53,56を形成しているが、吸着層をいずれか一方の面に形成するようにしてもよい。
上記の吸着層としては、例えば、ゼオライト、シリカアルミナ系吸着剤、シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナなどを挙げることができるが、特に吸着性能に優れたゼオライトを用いることが望ましい。このゼオライトは、TO4四面体(T=Si,Al)が頂点の酸素(O)原子を共有した三次元ネットワークの構造を持ち、構造を壊さずに脱着が可能なゼオライト水と交換可能な陽イオンとを含むアルミノケイ酸塩質の結晶材料であり、結晶中に微細な細孔を有する。
上記のようにして、帯電ローラ50の芯金部52の外周面または帯電ローラ軸受部54の内周面の少なくとも一方にゼオライト等の吸着層を設けることにより、帯電ローラ50の放電により発生し、感光体近傍の空気中に浮遊する窒素酸化物(NOx)を効果的に吸着除去することができる。また、窒素酸化物(NOx)が除去されることで、硝酸の生成を抑えることができるため、感光体3の表面、芯金部52の外周面、及び帯電ローラ軸受部54の内周面への硝酸の付着を減少させることができる。これにより、芯金部52の外周面と帯電ローラ軸受部54の内周面との摺動性を良好に維持し、帯電ローラ50の回転ムラの発生を防止することができる。
なお、ゼオライトからなる吸着層53を、帯電ローラ50の芯金部52の外周面に形成する方法としては、例えば、トリエチレングリコール(TEG)中にゼオライト粒子が分散されたペースト状の分散液を用いて塗布により形成する方法が知られている(例えば、「古島 健,清水 康嗣,伊東 章、Journal of Japan Petroleum Institute Vol.47,Vol.6 2004 ゼオライト混入トリエチレングリコール液体膜の除湿性能」を参照)。
ここで、帯電ローラ50の芯金部52には、一般的にステンレス(SUS)が用いられる。本発明では、芯金部52の外周面(SUS)に、酸化アルミ微粒子(アルミナ:Al2O3)層をスパッタリングにより形成した後に、この多孔質基材となるAl2O3層上に、ゼオライトからなる吸着層53を形成する。このゼオライト層の形成に関しては、例えば、ゼオライト種結晶分散液(スラリー)をAl2O3(多孔質基材)層上にコーティング(塗布)し、水熱合成などで成長させることで行うことができる。
より具体的には、例えば、ZSM−5型のゼオライト粉末を水等の分散媒に分散して得られた種結晶スラリーを、ゼオライト膜を成膜しようとする多孔質基材の表面に塗布する。塗布の方法は特に限定するものではないが、例えば、種結晶スラリー中に多孔質基材を浸漬するディップコート法などを好適に用いることができる。
また、ゼオライトの水熱合成は、具体的には、種結晶を付着させた多孔質基材を、少なくとも構造規定剤、水、及び珪素源を含有するゼオライト合成用原料溶液中に浸漬した状態で加熱処理することにより行う。
種結晶を水熱合成により成長させ成膜されてなるゼオライト膜は、通常、酸素含有雰囲気下で熱処理が施されてから各種用途に使用される。この熱処理によって、合成されたゼオライト膜中に残存する構造規定剤を焼失させることができる。熱処理の条件は、構造規定剤の種類等により異なるが、例えば、構造規定剤が1-アダマンタンアミンである場合、すなわち、合成すべきゼオライトがDDR型ゼオライトである場合、大気雰囲気下、650〜900℃の温度で、1〜10時間、加熱することによって、合成されたゼオライト中に残存する1-アダマンタンアミンを焼失させることができる。
以上では、帯電ローラ50の芯金部52の外周面に、ゼオライトからなる吸着層53を形成する例について説明したが、帯電ローラ軸受部54の内周面についても同様の方法で、ゼオライトからなる吸着層56を形成することができる。なお、帯電ローラ軸受部54は、軸受上部541と軸受下部542との分割構造にしているが、これにより軸受上部541,軸受下部542の各内周面に吸着層56を形成し易くしている。勿論このような分割構造に限定されるものではない。
また、帯電ローラ軸受部54の軸受下部542は、画像形成装置100の本体に固定されているが、例えば、帯電ローラ、感光体、現像装置を一体的に構成したプロセスユニットの筐体に固定されていてもよい。
ここで、ゼオライトからなる吸着層53,56の厚みは、40μm以上100μm以下とすることが望ましい。これについて、以下の図5に示す評価結果に基づいて説明する。
<白抜け画像欠陥の評価>
本実施例では、吸着層の膜厚が異なる9種類(7つの実施例と2つの比較例)の帯電装置5を作製し、各帯電装置5を画像形成装置100に搭載した。帯電装置5の構成は、図3,4に示した通りであり、ゼオライトからなる吸着層(ゼオライト層)を、帯電ローラ50の芯金部52の外周面及び帯電ローラ軸受部54の内周面に形成した。このような画像形成装置100における記録用紙に対する画像形成動作を、温度25℃、湿度5%の環境条件下で、1ヶ月間で3000枚行った。
本実施例では、吸着層の膜厚が異なる9種類(7つの実施例と2つの比較例)の帯電装置5を作製し、各帯電装置5を画像形成装置100に搭載した。帯電装置5の構成は、図3,4に示した通りであり、ゼオライトからなる吸着層(ゼオライト層)を、帯電ローラ50の芯金部52の外周面及び帯電ローラ軸受部54の内周面に形成した。このような画像形成装置100における記録用紙に対する画像形成動作を、温度25℃、湿度5%の環境条件下で、1ヶ月間で3000枚行った。
そして、さらに50枚の記録用紙に対する画像形成動作を実行して1時間放置した後に、次に画像形成動作を実行させた後に得られる記録用紙を用いて、中間調画像における感光体周長ピッチの白抜け画像欠陥の発生状態を目視評価した。図5の評価結果における◎、○、×の意味は次の通りである。
◎:白抜け画像欠陥の発生なし。
○:スジ状の白抜け画像欠陥が発生するものの、その幅が10mm以下である。
×:スジ状の白抜け画像欠陥が発生し、その幅が20mmを超えるものである。
◎:白抜け画像欠陥の発生なし。
○:スジ状の白抜け画像欠陥が発生するものの、その幅が10mm以下である。
×:スジ状の白抜け画像欠陥が発生し、その幅が20mmを超えるものである。
<潜像流れ画像欠陥の評価>
本実施例についても、上記と同様であるが、吸着層の膜厚が異なる9種類(7つの実施例と2つの比較例)の帯電装置5を作製し、各帯電装置5を画像形成装置100に搭載した。帯電装置5の構成は、図3,4に示した通りであり、ゼオライトからなる吸着層(ゼオライト層)を、帯電ローラ50の芯金部52の外周面及び帯電ローラ軸受部54の内周面に形成した。このような画像形成装置における記録用紙に対する画像形成動作を、温度35℃、湿度85%の環境条件下で、1ヶ月間で3000枚行った。
本実施例についても、上記と同様であるが、吸着層の膜厚が異なる9種類(7つの実施例と2つの比較例)の帯電装置5を作製し、各帯電装置5を画像形成装置100に搭載した。帯電装置5の構成は、図3,4に示した通りであり、ゼオライトからなる吸着層(ゼオライト層)を、帯電ローラ50の芯金部52の外周面及び帯電ローラ軸受部54の内周面に形成した。このような画像形成装置における記録用紙に対する画像形成動作を、温度35℃、湿度85%の環境条件下で、1ヶ月間で3000枚行った。
そして、さらに50枚の記録用紙に対する画像形成動作を実行して1時間放置し、次に画像形成動作を実行させた後に得られる記録用紙を用いて、文字画像における文字にじみの発生状態を目視評価し、潜像流れ画像欠陥の評価とした。図5の評価結果における◎、○、△の意味は次の通りである。
◎:文字画像における文字にじみの発生なし。
○:文字画像における文字にじみがわずかに発生。
△:文字画像における文字にじみが顕著に発生するが、文字認識は充分可能である。
◎:文字画像における文字にじみの発生なし。
○:文字画像における文字にじみがわずかに発生。
△:文字画像における文字にじみが顕著に発生するが、文字認識は充分可能である。
図5において、比較例1(30μm)のようにゼオライト層の厚さが40μm未満であると、窒素酸化物(NOx)の吸着効果はある程度あるものの、帯電ローラ50の回転に伴って、ゼオライト層が研磨され、1ヶ月以上の長期に渡って吸着効果を維持することはできないものと考えられる。また、比較例2(150μm)のようにゼオライト層の厚みが100μmを超えると、長期に渡って吸着効果を持続させることができると考えられるが、ゼオライトの使用量が増大するため、コストアップとなり、好ましくない。
これらの評価結果から、大きなコストをかけることなく、1ヶ月以上の長期に渡って吸着効果を持続可能とするためには、ゼオライト層の厚みを、40μm以上100μm以下とすることが望ましく、より望ましい範囲は、50μm以上100μm以下であると言える。
1…露光ユニット、2…現像ユニット、3…感光体、4…クリーナユニット、5…帯電装置、6…中間転写ユニット、7…定着ユニット、10…二次転写ローラ、11…ピックアップローラ、12…搬送ローラ、13…レジストローラ、50…帯電ローラ、51…弾性部材、52…芯金部、53,56…吸着層、54…帯電ローラ軸受部、55…固定用ビス、61…中間転写ベルト、62…中間転写ベルト駆動ローラ、63…中間転写ベルト従動ローラ、64…一次転写ローラ、65…中間転写ベルトクリーニングユニット、71…ヒートローラ、72…加圧ローラ、73…外部定着ベルト、81…内部給紙ユニット、82…手差し給紙ユニット、91…排紙ユニット、92…原稿載置台、100…画像形成装置、110…装置本体、120…自動原稿処理装置。
Claims (4)
- 被帯電物を帯電させる帯電ローラと、該帯電ローラの芯金部を軸支する帯電ローラ軸受部とを備えた帯電装置であって、
前記芯金部の外周面または前記帯電ローラ軸受部の内周面の少なくとも一方に、前記帯電ローラが前記被帯電物を帯電させるときに発生する放電生成物を吸着除去する吸着層を形成したことを特徴とする帯電装置。 - 前記吸着層は、ゼオライトで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
- 前記吸着層の厚みは、40μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の帯電装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電装置を備えた画像形成装置。
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2010
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