以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<<第1実施形態>>
[本印刷システム1000を含む印刷環境10000全体のシステム構成の説明]
本実施形態では、背景技術で想定したような課題に対処すべく、POD環境等の、オフィス環境とは異なる印刷環境を想定している。故に、ここでは、本印刷システム1000を含むPOD環境の現場(図1の印刷環境10000)全体のシステム環境について説明する。このような印刷環境自体も本形態の特徴の1つである。
尚、本形態では、この本印刷システム1000が適用可能な印刷環境10000のことを、POD環境にも適しているが故に、PODシステム10000と呼ぶ。
図1のPODシステム10000は、構成要素として、本形態の印刷システム1000、サーバコンピュータ103、クライアントコンピュータ104(これを、以下PCと呼ぶ)を具備する。又、紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108、スキャナ102等も具備する。このように複数の装置がPODシステム10000に用意されている。
本印刷システム1000は、構成要素として、印刷装置本体100及びシート処理装置200を具備する。尚、印刷装置100の1例として、本形態では、コピー機能及びPCプリント機能等複数の機能を具備する複合機で説明するが、PC機能のみ或いはコピー機能のみの単一機能型の印刷装置であってもよい。尚、該複合機のことを、以下では、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ぶ。
ここでは、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108を、本印刷システム1000が具備するシート処理装置200と同様に、シート処理装置と定義する。何故なら、本印刷システム1000が具備する印刷装置100で印刷されたジョブのシート(記録用紙)に対するシート処理を実行可能なデバイスであるからである。例えば、紙折り機107は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの折処理を実行可能に構成されている。断裁機109は、複数枚のシートで構成されるシート束単位で、印刷装置100で印刷されたシートの断裁処理を、実行可能に構成されている。中綴じ製本機110は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの中綴じ製本処理を実行可能に構成されている。くるみ製本機108は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートのくるみ製本処理を実行可能に構成されている。但し、これらのシート処理装置で各種シート処理を実行させるには、印刷装置100で印刷されたジョブの印刷物を該印刷装置100の排紙部からオペレータが取出し、更に、処理対象となるシート処理装置に、その印刷物をセットする作業が必要である。
このように、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200以外のシート処理装置を利用する場合には、印刷装置100による印刷処理後にオペレータによる介入作業を要する。
換言すると、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200を利用して印刷装置100により印刷されたジョブにて要するシート処理を実行させる場合には、該装置100による印刷処理の実行後にオペレータによる介入作業は不要である。何故なら、印刷装置100からシート処理装置200に対しては、印刷装置100で印刷されたシートを、直接、供給出来るように構成されているからである。具体的には、印刷装置100内部のシート搬送路が、シート処理装置200内部のシート搬送路に、連結可能に構成している。このように、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200と印刷装置100は、互いに、物理的接続関係にあるからである。また、本印刷装置100とシート処理装置200は、互いに、CPUを具備し、データ通信可能に構成されている。このように印刷装置100とシート処理装置200は、互いに、電気的接続関係にあるからである。
尚、本形態では、本印刷システムが具備する制御部が、これら印刷装置100とシート処理装置200を統括的に制御している。この1例として、本例では、図2の印刷装置100内部のコントローラ部205が統括制御を行う。尚、本形態では、これらシート処理装置の事を、後処理装置やポストプレスとも呼ぶ。
図1のPODシステム10000における、これら複数の装置のうちの、中綴じ製本機110以外の装置は、全て、ネットワーク101に接続されており、互いに他装置とデータ通信可能に構成されている。
例えば、PC103、104等の外部装置の一例に該当する情報処理装置からネットワーク101を介して送信された印刷実行要求がなされた処理対象となるジョブの印刷データを、印刷装置100により印刷させる。
また、例えば、ネットワーク通信により他の装置とのデータの送受を実行することで、サーバPC103は、本POD環境10000にて処理すべき全てのジョブの全体を管理する。換言すると、複数の処理工程からなる一連のワークフローの工程全体を統括管理するコンピュータとして機能する。該PC103は、オペレータから受け付けたジョブの指示に基づいて、本環境10000にて仕上げ可能な後処理条件を決定する。また、エンドユーザ(この例では印刷の作成依頼をした顧客)の要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。この際に、サーバ103が、JDFなどの情報交換ツールを用いて、ポストプレス内部でのコマンドやステータスでそれぞれの後処理機器と情報交換している。
以上のような構成要素を具備するPOD環境10000における本形態の着目点の1つとして、上記各シート処理装置を、本形態では、3種類に分類して、以下のように、定義している。
[定義1] 以下に列挙の(条件1)と(条件2)の両方を満たす装置に該当するシート処理装置を、「インラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、インラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
(条件1) 印刷装置100から搬送されるシートをオペレータの介入無しに直接的に受容出来るように、紙パス(シート搬送路)が、印刷装置100と物理的に接続されている。
(条件2) 操作指示や状況確認等に要するデータ通信を他装置と出来るように、他装置と電気的に接続されている。具体的には、印刷装置100とデータ通信可能に電気的接続されている事、或いは、ネットワーク101を介して印刷装置100以外の装置(例えば、PC103、104等)とデータ通信可能に電気的接続されている事。これら少なくとも何れかの条件を満たすものを、(条件2)に合致するものとする。
即ち、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200は、「インラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、上記の如く、シート処理装置200は、印刷装置100と物理的接続関係にあり、また、印刷装置100と電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義2] 前項に掲げる(条件1)と(条件2)のうちの(条件1)は満たさないが、(条件2)を満たす装置に該当するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、ニアラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかし、操作指示や状況確認はネットワーク101等の通信手段を介して電気的に情報送受可能である。このような条件に合致するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108は、「ニアラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、これらのシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無い。しかし、少なくとも、ネットワーク101を介して、PC103やPC104等の他装置とデータ通信可能な電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義3] 前項に掲げる(条件1)と(条件2)の何れの条件も満たさない装置に該当するシート処理装置を、「オフラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、オフラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかも、操作指示や状況確認に要する通信ユニットも具備しておらず、他装置とのデータ通信も不可能である。故に、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を手作業で行う。このような条件に合致するシート処理装置を「オフラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の中綴じ製本機110は「オフラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、このシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無い。しかも、ネットワーク101にも接続不可で、他装置とデータ通信不可な、電気的接続関係ではない、シート処理装置であるからである。
以上の如く、3つの種類に分類する各種シート処理装置を具備する本POD環境10000にて、様々なシート処理を実行可能に構成している。
例えば、断裁処理、中綴じ製本処理、くるみ製本処理、シートの折処理、穴あけ処理、封入処理、帳合処理、等の様々なシート加工処理を、印刷装置100により印刷処理されたジョブの印刷媒体に対して実行可能に構成している。このように、エンドユーザ(顧客)が望む所望の製本印刷体裁でもってシート加工を実行可能に構成されている。
サーバPC103が管理するニアラインフィニッシャやオフラインフィニッシャには、他にも、ステープラ専用装置、穴あけ専用装置、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。サーバ103は、これらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで、逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況を、ネットワーク101経由で把握する。また、本環境10000にて処理すべき多数のジョブの各ジョブの実行状況(進捗状況)を管理する。
尚、本形態は、上述の複数の記録紙処理をそれぞれ別々のシート処理装置により実行可能にする構成でも、複数種類の記録紙処理を1台のシート処理装置が実行可能にする構成でも良い。又、複数のシート処理装置のうちのいずれかのシート処理装置を本システムに具備する構成でも良い。
ここで、本形態の更なる着目点について説明しておく。
図1の印刷システム1000は、印刷装置100と、該印刷装置100に着脱可能なシート処理装置200を具備している。このシート処理装置200は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、直接的に、シート搬送路を介して、受容可能な装置である。また、ユーザインタフェース部を介して印刷実行要求と共にユーザが要求したシート処理を、印刷装置100のプリンタ部203により印刷されたジョブのシートに対して実行するシート処理装置である。この点は、上記インラインタイプのシート処理装置である点からも明白である。
ここで特筆すべきは、本形態のシート処理装置200は、一連のシート処理装置群200として、定義することも可能である点である。というのも、本形態では、シート処理装置200として、互いに独立筐体で、独立使用可能な、複数台のシート処理装置を、印刷装置100に連結して利用可能に構成されているからである。この1例として、図1に示す、印刷システム1000は印刷装置100と3台のシート処理装置とを具備している構成である事を意味している。換言すると、図1の印刷システム1000は、3台のシート処理装置が印刷装置100に直列的に接続されている。本例では、このように複数台のシート処理装置を印刷装置100に接続された構成をカスケード接続と呼ぶ。これら印刷装置100にカスケード接続される、一連のシート処理装置群200に包含される、複数台のシート処理装置は、全て、インラインフィニッシャとして、本形態で取り扱っている。また、本システム1000の制御部の1例に該当する図2のコントローラ205が、印刷装置本体100及びこれら複数台のインラインタイプのシート処理装置を統括的に制御し、以下の実施形態で述べる各種制御を実行する。尚、この構成については、図3等を用いて後述する。
[本システム1000の内部構成(主にソフト構成)]
次に、本印刷システム1000の内部構成(主に、ソフト構成)について、図2のシフテムブロック図を参照して説明する。尚、本例では、本印刷システム1000が備える図2に示す各ユニットのうちのシート処理装置200(厳密にいえば、複数台のインラインタイプのシート処理装置で構成可能な一連のシート処理装置群)以外のユニットは、全て印刷装置100内部に存在する。換言すると、シート処理装置200は、本印刷装置100に対して、着脱可能なシート処理装置であり、印刷装置100のオプションとして提供可能に構成されている。これにより、POD環境にて、必要なインラインフィニッシャを、必要な台数分、提供可能にする等の効果を図っている。故に、以下のような構成となっている。
印刷装置100は、自装置内部に複数の処理対象となるジョブのデータを記憶可能なハードディスク209(以下、HDとも呼ぶ)等の不揮発性メモリを具備する。また、印刷装置100自身が具備するスキャナ部201から受付けたジョブデータを該HDを介してプリンタ部203で印刷するコピー機能を具備する。また、PC103、104等の外部装置から通信部の1例に該当する外部I/F部202ユニットを介して受付けたジョブデータを該HDを介してプリンタ部203で印刷する印刷機能等を具備する。このような複数の機能を具備したMPFタイプの印刷装置(画像形成装置とも呼ぶ)である。
尚、換言すると、本形態の印刷装置は、カラープリント可能な印刷装置でも、モノクロプリント可能な印刷装置でも、本形態で述べる各種制御を実行可能であるならば如何なる構成でも良い。
本形態の印刷装置100は、原稿画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理するスキャナ部201を具備する。又、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受する外部I/F部202を具備する。又、スキャナ部201及び外部I/F部202の何れかから受付けた複数の印刷対象となるジョブの画像データを記憶可能なハードディスク209を具備する。又、ハードィスク209に記憶された印刷対象のジョブのデータの印刷処理を印刷媒体に対して実行するプリンタ部203を具備する。又、本印刷装置100は、本印刷システム1000が具備するユーザインタフェース部の一例に該当する、表示部を有する操作部204も、具備する。本印刷システム1000にて提供しているユーザインタフェース部の別の例としては、例えば、PC103や104の外部装置の表示部及びキーボードやマウス等がこれに該当する。
本印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当するコントローラ部(制御部、或いは、CPUとも呼ぶ)205は、本印刷システム1000が具備する各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。ROM207には、後述するフローチャートの各種処理等を実行する為のプログラムを含む本形態にて要する各種の制御プログラムが記憶されている。又、ROM207には、図示しているユーザインタフェース画面(以下、UI画面と呼ぶ)を含む、操作部204の表示部に各種のUI画面を表示させる為の表示制御プログラムも記憶されている。制御部205は、ROM207のプログラムを読出実行することで、本形態にて説明する各種の動作を本印刷装置により実行させる。外部I/F202を介して外部装置(103や104等)から受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを解釈し、ラスターイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行する為のプログラム等もROM207に記憶されている。これらは、ソフトウェアによって処理される。
ROM207は読み出し専用のメモリで、ブートシーケンスやフォント情報等のプログラムや上記のプログラム等各種プログラムが予め記憶されている。RAM208は読み出し及び書き込み可能なメモリで、スキャナ部201や外部I/F202よりメモリコントローラ206を介して送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報を記憶する。
HDD(ハードディスク)209は、圧縮伸張部210によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。当該HDD209に、処理対象となるジョブのプリントデータ等複数のデータを保持可能に構成されている。制御部205は、スキャナ部201や外部I/F部202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブのデータを、該HDD209を介して、プリンタ部203でプリント可能に制御する。又、外部I/F202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このようにHDD209に格納した処理対象のジョブのデータの各種の出力処理を実行可能に制御部205により制御する。圧縮伸張部210は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等を圧縮・伸張動作を行う。
以上のような構成のもと、本印刷システムが具備する制御部の1例としての制御部205が、図1の説明の如く、インラインタイプのシート処理装置200の動作も制御する。この説明も含む、本印刷システム1000のメカ構成について、図3等でもって説明する。
[本システム1000の装置構成(主にメカ構成)]
次に、本印刷システム1000の構成(主に、メカ構成)について、図3の装置構成説明図を参照して説明する。
尚、上述したように、本印刷システム1000は、複数台のインラインタイプのシート処理装置を、印刷装置100にカスケード接続可能に構成している。又、印刷装置100に接続可能なインラインタイプのシート処理装置は、特定の制限下のもと、本形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数設置可能に構成されている。
故に、説明をより明瞭化すべく、図2や図3では、シート処理装置200は、一連のシート処理装置群として、N台接続可能であるものとしている。また、1台目のシート処理装置から順に、シート処理装置200a、200b、、、、、と示し、N台目のシート処理装置として、シート処理装置200nと示している。尚、図1〜図3では、説明上、シート処理装置200の形状が、図のような形状となっているが、しかし、本来の概観は、後述するような構成となっている。
まず、これらインラインタイプのシート処理装置200によるシート処理を実行する前の工程に該当する印刷装置100における印刷処理を実行する際の、メカ構成を説明する。主に、図2のコントローラ部(以下制御部又はCPUと呼ぶ)205が印刷装置100に実行させる、プリンタ部203の内部からシート処理装置200の内部へ印刷処理がなされたジョブのシートを供給する時点迄のペーパハンドリング動作等を説明する。
図3に示す符号301〜322のうち、301は、図2のスキャナ部201のメカ構成に該当する。302〜322が、図3のプリンタ部203のメカ構成に該当する。尚、本形態では、1DタイプのカラーMFPの構成について説明する。尚、4DタイプのカラーMFP、白黒MFPも、本形態の印刷装置の一例であるが、ここでは説明を割愛する。
図3の自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、スキャナ302によって原稿走査するために原稿台ガラス上へ搬送する。スキャナ302は、原稿台ガラス上に搬送された原稿の画像を読み取り、CCDによって画像データに変換する。回転多面鏡(ポリゴンミラー等)303は、前記画像データに応じて変調された、例えばレーザ光などの光線を入射させ、反射ミラーを介して反射走査光として感光ドラム304に照射する。感光ドラム304上に前記レーザ光によって形成された潜像はトナーによって現像され、転写ドラム305上に貼り付けられたシート材に対してトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することによりフルカラー画像が形成される。4回の画像形成プロセスの後に、フルカラー画像形成された転写ドラム305上のシート材は、分離爪306によって分離され、定着前搬送器307によって定着器308へ搬送される。
定着器308は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート材上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。排紙フラッパ309は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。排紙フラッパ309が図中時計回りの方向に揺動しているときには、シート材は真直ぐに搬送され、排紙ローラ310によって機外へ排出される。一方、シート材の両面に画像を形成する際には、排紙フラッパ309が図中反時計回りの方向に揺動し、シート材は下方向に進路を変更され両面搬送部へと送り込まれる。両面搬送部は、反転フラッパ311、反転ローラ312、反転ガイド313および両面トレイ314を具備する。
反転フラッパ311は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。制御部205は、両面印刷ジョブを処理する場合、プリンタ部203でシートの第1面にプリント済みのシートを、反転フラッパ311を図中反時計回りの方向に揺動させ、反転ローラ312を介して、反転ガイド313へと送り込むよう制御する。そして、シート材後端が反転ローラ312に狭持された状態で反転ローラ312を一旦停止させ、引き続き反転フラッパ311が図中時計回りの方向に揺動させる。また、反転ローラ312を逆方向に回転させる。これにより、該シートスイッチバックして搬送させ、シートの後端と先端が入れ替わった状態で、該シートを両面トレイ314へと導くよう制御する。
両面トレイ314ではシート材を一旦積載し、その後、再給紙ローラ315によってシート材は再びレジストローラ316へと送り込まれる。このときシート材は、1面目の転写工程とは反対の面が感光ドラムと対向する側になって送られてきている。そして、先述したプロセスと同様にして該シートの第2面に対して2面目の画像を形成させる。そして、シート材の両面に画像が形成され、定着工程を経て排紙ローラ310を介して印刷装置本体内部から機外へと該シートを排出させる。制御部205は、以上のような一連の両面印刷シーケンスを実行することで、両面印刷対象のジョブのデータのシートの第1面と第2面の各面に対する両面印刷を本印刷装置により実行可能にする。
給紙搬送部は、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとしての給紙カセット317、318(例えば、夫々500枚のシートを収容可能)、ペーパーデッキ319(例えば、5000枚のシートを収納可能)、手差しトレイ320等がある。又、これら給紙ユニットに収納されたシートを給送するユニットとして、給紙ローラ321、レジストローラ316等がある。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319には、各種のシートサイズで且つ各種のマテリアルのシートを、これらの各給紙ユニット毎に、区別して、セット可能に構成されている。
手差しトレイ320も、OHPシート等の特殊なシートを含む各種の印刷媒体をセット可能に構成されている。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319、手差しトレイ320には、それぞれに給紙ローラ321が設けられ1枚単位でシートを連続的に給送可能に構成される。例えば、ピックアップローラによって積載されたシート材が順次繰り出され、給紙ローラ321に対向して設けられる分離ローラによって重送が防止されてシート材は1枚ずつ搬送ガイドへと送り出される。ここで、分離ローラには搬送方向とは逆方向に回転させる駆動力が図示しないトルクリミッタを介して入力されている。給紙ローラとの間に形成されるニップ部にシート材が1枚だけ進入しているときには、シート材に従動して搬送方向に回転する。
一方、重送が発生している場合には搬送方向とは逆方向に回転することにより重送したシート材が戻され、最上部の1枚だけが送り出されるようになっている。送り出されたシート材は搬送ガイドの間を案内され、複数の搬送ローラによってレジストローラ316まで搬送される。このときレジストローラ316は停止しており、シート材の先端がレジストローラ316対で形成されるニップ部に突き当たり、シート材がループを形成し斜行が補正される。その後、画像形成部において感光ドラム304上に形成されるトナー像のタイミングに合わせて、レジストローラ316は回転を開始してシート材を搬送する。レジストローラ316により送られたシート材は、吸着ローラ322によって転写ドラム305表面に静電気的に吸着される。定着器308から排出されたシート材は、排出ローラ310を介して、シート処理装置200内部のシート搬送路へ導入される。
制御部205は、以上のような印刷プロセスを経て、印刷対象となるジョブを処理する。
制御部205は、UI部を介してユーザから受付た印刷実行要求に基き、データ発生源からHD209に記憶させた該ジョブの印刷データの印刷処理を、上記方法でもって、プリンタ部203により、実行させる。
尚、例えば、印刷実行要求を操作部204から受付けたジョブのデータ発生源は、スキャナ部201を意味する。又、印刷実行要求をホストコンピュータから受付けたジョブのデータ発生源は、当然ホストコンピュータである。
又、制御部205は、処理対象のジョブの印刷データを、先頭ページから順番にHD209に記憶させ、先頭ページから順番にHD209から該ジョブの印刷データを読み出して、シート上に該印刷データの画像を形成させる。このような先頭ページ処理を遂行する。更に、制御部205は、先頭ページから順番に印刷されるシートを、画像面が下向きで、シート処理装置200内部のシート搬送路へ供給させる。その為に、排紙ローラ310によりシート処理装置200内部へシートを導入する直前で、定着部308からのシートの表裏を反転させる為のスイッチバック動作をユニット309、312等を用いて実行させる。このような、先頭ページ処理に対処する為のペーパハンドリング制御も制御部205は実行する。
次に、本印刷システム1000が印刷装置100と共に具備するインラインタイプのシート処理装置200の構成について説明する。
本形態のシステム1000は、図3に示すが如く、印刷装置100にカスケード接続可能なインラインタイプのシート処理装置を合計n台としている。この台数は、例えば、可能な限り何台でも設置可能に構成しても良い。しかし、少なくとも、プリンタ部203により印刷がなされたシートをオペレータによる介入作業無しに機内のシート処理部へ供給可能な構成のシート処理装置の利用を要する。換言すると、例えば、印刷装置100が具備する排紙ローラ309を経てプリンタ部203内部から排出される印刷媒体を機内で搬送可能なシート搬送路(紙パス)を具備するシート処理装置の利用を要する。このような制約事項は遵守するように構成されている。
とはいうものの、本形態の効果を向上させる為の1つの仕組みとして、このような制約事項を遵守した範囲内では、柔軟に本印刷システム1000を構築可能に構成している。
例えば、インラインタイプのシート処理装置を3台接続したり、5台接続したり、接続数も任意とする。勿論、オフラインタイプのシート処理装置の利用効率を向上させるが故に、インラインタイプのシート処理装置は不要と管理者が判断するようなPOD環境も想定している。例えば、インラインタイプのシート処理装置を全く利用しない(即ち、0台)場合でも、本形態の印刷装置100は当然利用可能にする。
又、例えば、複数台のインラインタイプのシート処理装置を印刷装置100にカスケード接続する場合に、それら複数台のシート処理装置の接続順番も、管理者等の特定ユーザにより、制約の範囲内で、任意に、変更、決定可能に構成している。
但し、上記のような仕組みは、ユーザ利便性を向上させるための仕組みであるが故に、必ずしも必須の構成要件としなくても良い。換言すると、例えば、本発明はこのような構成に限定解釈されない。1例として、例えば、本印刷システム1000にて利用可能なインラインタイプのシート処理装置の台数や、それらの装置の接続順序が、一律的に規定されているようなシステム構成でも良い。少なくとも、後述する各種ジョブ制御の少なくとも何れかを実行可能に構成されるならば、如何なるシステム構成でも装置構成でもあっても、本発明に包含される。
尚、本印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等は、後述する。
[本システム1000のUI部の1例に該当する操作部204の構成]
図4等を用いて、本システム1000の印刷装置100が具備する本システム1000におけるユーザインタフェース部(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する操作部204について説明する。
操作部204は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル部401を、有する。
図5に示すように、キー入力部402は、操作部電源スイッチ501を具備する。該スイッチ501のユーザ操作に応答し、制御部205は、スタンバイモードとスリープモードを選択的に切換るよう制御する。ただし、スタンバイモードは、通常動作状態であり、スリープモードは、ネットワーク印刷やファクシミリなどに備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止して、消費電力を抑えている状態である。制御部205は、該スイッチ501のユーザ操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がON状態にて、受付可能に制御する。
スタートキー503は、処理対象となるジョブのコピー動作や送信動作等、ユーザにより指示された種類のジョブ処理を印刷装置に開始させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。ストップキー502は、受付けたジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にする為のキーである。クリアキー507は、キー506を介してユーザにより設定された置数等の各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象のジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、また、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受付る為のキーである。ユーザモードキー505は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。
次に、図6は、本印刷システムが提供するユーザインタフェースユニットの一例に相当するタッチパネル部(以下、表示部とも呼ぶ)401を説明する図である。該タッチパネル部401はLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示部)とその上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有す。当該ユニット401は、操作者からの各種設定を受付ける機能と操作者に情報を提示する機能を兼ね備える。例えば、LCD上の有効表示状態の表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたのを検知すると、制御部205は、ROM207に予め記憶された表示制御プログラムに従い、該表示部401に該キー操作に応じた操作画面を表示可能に制御する。尚、図6は、本印刷装置の状態がスタンバイモード時(印刷装置により処理すべきジョブが無い状態)に表示部401に表示させる初期画面の一例である。
図6に示す表示部401上のコピータブ601がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するコピー機能の操作画面を表示部401に表示させる。送信タブ602がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するファックスやE−mail送信などデータ送信(Send)機能の操作画面を表示部401に表示させる。ボックスタブ603がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するボックス機能の操作画面を表示部401に表示させる。
尚、ボックス機能とは、HDD209に仮想的に予め設けているユーザ毎に区別して利用可能な複数個のデータ記憶ボックス(以下、ボックスと呼ぶ)を用いた機能である。当該機能にて、制御部205は、例えば、複数のボックスのうちのユーザが所望のボックスを該ユーザによりユーザインタフェースユニットを介して選択可能にし、所望の操作をユーザから受付可能に制御する。例えば、制御部205は、操作部204を介して入力されたユーザからの指示に応答し、該ユーザにより選択されたボックスに対して、本印刷装置のスキャナ201から受付けたジョブの文書データを記憶可能にHDD209を制御する。また、外部I/F部202を介し受付た外部装置(例えばホストコンピュータ103や104等)からのジョブの文章データ等も、該外部装置のUI部を介して指定された該外部装置のユーザ指示に従い、該ユーザが指定したボックスに、記憶可能にする。また、制御部205は、ボックスに記憶されたジョブのデータを、操作部204からのユーザ指示に従い、該ユーザが所望の出力形態で、例えば、プリンタ部203により印刷させたり、該ユーザの所望の外部装置に送信可能に外部I/F部202を制御する。
このよう各種のボックス操作をユーザにより実行可能にすべく、制御部205は、該ボックスタブ603のユーザ押下に応答し、表示部401にボックス機能の操作画面を表示可能に制御する。また、制御部205は、図6の表示部401の拡張タブ604がユーザにより押下された場合、スキャナ設定など拡張機能を設定するため画面を表示部401に表示させる。システムモニタキー617がユーザ押下された場合、MFPの状態や状況をユーザに通知する為の表示画面を表示部401に表示させる。
色選択設定キー605は、カラーコピー、白黒コピー、あるいは自動選択かを予めユーザにより選択可能にするための表示キーである。倍率設定キー608は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定をユーザにより実行可能にする設定画面を表示部401に表示させる為のキーである。
両面キー614がユーザにより押下された場合、制御部205は、印刷対象となるジョブのプリント処理にて片面印刷か両面印刷のどちらを実行させるかを該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。また、用紙選択キー615のユーザ押下に応答し、制御部205は、印刷対象のジョブの印刷処理に要する給紙部やシートサイズやシートタイプ(メディアタイプ)を該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。キー612のユーザ押下に応答し、制御部205は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像処理モードを該ユーザにより選択可能にする為の画面を表示部401に表示させる。又、濃度設定キー611をユーザ操作することで、印刷対象となるジョブの出力画像の濃淡を調整可能にする。
また、図6を参照し、制御部205は、表示部401のステータス表示欄606に、スタンバイ状態、ウォームアップ中、プリント中、ジャム、エラー等、本印刷装置にて現在発生中のイベントの動作状態をユーザに確認させる為の表示を実行させる。また、制御部205は、処理対象となるジョブの印刷倍率をユーザに確認させる為の情報を、表示欄607に表示させる。また、処理対象となるジョブのシートサイズや給紙モードをユーザに確認させる為の情報を、表示欄616に表示させる。また、処理対象となるジョブの印刷部数をユーザに確認させる為の情報や、プリント動作中にて何枚目を印刷中かをユーザに確認させる為の情報を、表示欄610に表示させる。このように、制御部205は、ユーザに通知すべき各種情報を表示部401に表示させる。
更に、制御部205は、割り込みキー613がユーザにより押下された場合、本印刷装置により印刷中のジョブの印刷を停止させ、該ユーザのジョブの印刷を実行可能にする。応用モードキー618が押下された場合、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行う画面を表示部401に表示させる。
ここで、本形態の更なる着目点の1例について述べておく。
制御部205は、処理対象となるジョブの為の設定として、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200が具備するシート処理部によるシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示をUI部により実行させる。この表示を該UI部に実行させる為の指示自体をユーザから受付可能にする表示も該UI部により実行させる。
この1例として、例えば、制御部205は、表示部401に図6の表示キー609を表示させる。このシート処理設定キー609がユーザ押下されたとする。この場合、制御部205は、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を用いて実行可能なシート処理の選択候補の中からユーザが所望のシート処理をユーザ自身により特定可能にする表示を、表示部401に、実行させる。尚、この図7の表示に例示する「シート処理設定キー609」のことを、図19以降で例示では、「フィニッシングキー」とも呼ぶ。即ち、同じ機能ボタンを意味する。故に、後述する説明では、「シート処理」のことを「フィニッシィング」とも呼ぶ。又、「パンチ処理」に関しても、POD環境では、様々なパンチ処理(印刷済みのシートに対する穿孔処理)を行うニーズが想定される。
そこで、図19以降の例示では、複数種類のパンチ処理に該当する、「2穴パンチ(シートの綴じ辺に該当するシート端部に2箇所穴をあける処理)「多穴パンチ(シートの端部に30穴等の多数の穴をあける処理)」を例示している。これらの処理は、上記構成に対応すべく、図8A〜図10Bに示す中綴じ製本機が具備するパンチユニットにより実行可能にするものとする。換言すると、これ以外の装置やユニットを用いて、これらのパンチ処理を実行可能に構成しても良い。但し、上記例示の如く、インラインフィニッシャの定義に該当する装置を本システム1000にて利用を許可し、これに該当しない装置は本システム1000での利用を禁ずるよう構成する。
例えば、本例では、キー609がユーザにより押下された事に応答し、表示部401に図7の表示を実行させる。制御部205は、図7の表示を介して、処理対象のジョブにて印刷されたシートに対してインラインシート処理装置200により実行すべきシート処理の実行要求を受付可能に制御する。
但し、制御部205は、図7の表示を介して選択可能なシート処理装置の候補は、本システム1000が如何なるシート処理装置を具備するのか、その装備状況に応じて、決定する。例えば、図7の表示では、プリンタ部203により印刷されたシートに対して以下に列挙する複数種類のシート処理のうちの何れかの種類のシート処理の実行要求をユーザから受付けることを許可している。
(1) ステイプル処理。
(2) パンチ処理。
(3) 折り処理。
(4) シフト排紙処理。
(5) 断裁処理。
(6) 中綴じ製本処理。
(7) 糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理。
(8) 糊付け製本処理の別例に該当する天糊製本処理。
(9) 大量積載処理。
図7のUI制御例では、制御部205は、これら9種類のシート処理を選択候補となるよう操作部204を制御している。この理由は、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を利用することで、これら9種類のシート処理を選択的に実行可能であるからである。
換言すると、本システム1000にて実行不可能な種類に該当するシート処理は、図7の表示にて選択候補の対象外となるよう、UI部を制御する。例えば、くるみ製本処理及び天糊製本処理を選択的に実行可能な1台のシート処理装置を本システム1000が具備していない場合、或いは、故障している場合等は、キー707及びキー708は選択無効状態となるよう制御する。例えば、制御部205は、グレーアウト表示な網掛け表示を実行させる。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受付けないように制御する。更に、換言すると、上記9種類の候補以外の異なるシート処理を実行可能なシート処理装置を本システム1000が具備している場合は、そのシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示キーを、図7の表示にて、有効表示状態にするよう制御する。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受付ける事を許可する。このような表示制御も、本形態にて、後述するジョブ処理制御と共に実行可能に構成することで、ユーザの誤操作を防止可能にしている。
また、このような制御を実行するうえで、制御部205は、如何なるシート処理装置が、シート処理装置200として、本システム1000が具備しているかを特定するシステム構成情報を獲得する。また、該シート処理装置200にてエラーが発生しているか否か等を特定するステータス情報等も、上記制御の際に利用する。これらの情報を、制御部205は、例えば、UI部を介してユーザがマニュアル入力する事で獲得するか、シート処理装置200が印刷装置100が接続された際に、装置自身が信号線を介して出力する信号に基いて自動獲得する。このような構成を前提とし、制御部205は、当該獲得した情報に基いた表示内容でもって、図7の表示を、表示部401に実行させる。
尚、本システム1000は、PC103、104等の外部装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求、及び、該ジョブにて要するシート処理の実行要求を受付可能に構成している。このように外部装置からジョブを投入する場合は、印刷データの送信元となる該外部装置の表示部に図7の表示と同等機能の表示を実行させるよう制御する。この1例として、本例では、後述するような、プリンタドライバの設定画面を、PC103や104のコンピュータの表示部に表示させている。但し、このように外部装置のUIに表示を実行させる場合には、該装置の制御部が上記制御を実行する。例えば、PC103やPC104の表示部に後述するプリンタドライバUI画面を表示させる場合には、制御の主体は、該PCのCPUが実行する。
[本形態にて制御対象となる本印刷システム1000の具体的システム構成例]
本印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等のシステム構成に関し、図8A、8B等を用いて説明する。
本形態は、図1〜図3に示すシステム1000として、例えば、図8A、8Bのようなシステム構成を構築可能に構成している。
図8Aのシステム構成例は、本システム1000が、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、合計3台のインラインタイプのシート処理装置を、一連のシート処理装置群200として、具備している事を意味する。尚、図8Aの構成例は、本システム1000が具備する印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機という、接続順序で、接続されている事を意味する。本システム1000が具備する制御部の1例に該当する制御部205は、図8A、8Bのようなシステム構成からなる本印刷システム1000を統括的に制御する。
本例にて、大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートを、大量枚数(例えば、5000枚)、積載可能なシート処理装置である。
また、本例の糊付け製本機は、プリンタ部203で印刷された1束分のシートを表紙をつけて製本するにあたりシートの糊付け処理を要するくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置である。また、表紙をつけずに糊付け製本するシート処理に該当する天糊製本処理も該糊付け製本機により実行可能である。該糊付け製本機は、少なくとも、くるみ製本処理を実行可能なシート処理装置であるが故に、くるみ製本機とも呼ぶ。
また、中綴じ製本機は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル処理、パンチ処理、断裁処理、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理を、選択的に実行可能なシート処理装置である。
本形態では、制御部205が、これらのシート処理装置に関わる各種のシステム構成情報を、各種制御に要する管理情報として、特定のメモリに登録させる。例えば、制御部205は、本システム1000が図8Aのようなシステム構成である場合、以下に列挙する情報を、HDD209に登録させておく。
(情報1) 本システム1000はインラインタイプのシート処理装置を具備している事を制御部205により確認可能にする為の装置有無情報。このように、本システム1000がインラインタイプのシート処理装置を具備しているか否かを制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報2) 本システム1000は、インラインタイプのシート処理装置200を3台具備している事を制御部205により確認可能にする為のインラインシート処理装置の台数情報。このように、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の台数を制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報3) 大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機を、本システム1000が具備している事を制御部205により特定可能にするインラインシート処理装置の種類情報。このように、本システム1000にて具備するインラインシート処理装置の種類を制御部により確認可能にする情報がこれに該当する。
(情報4) 上記3台のうち、1台は、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行可能な大容量スタッカである事を制御部205により確認可能にする情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートの糊付け製本処理(くるみ製本処理、及び/又は、天糊製本処理)を実行可能な糊付け製本装置ある事を制御部205により確認可能にする装置能力情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理が、選択的に実行可能な中綴じ製本装置である事を制御部205により確認可能にする情報。換言すると、本システムにて実行可能なシート処理は、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本、折り、くるみ製本、天糊製本、大量積載の、合計9種類である事を制御部205により特定可能にする為の情報。このように、本システム1000のインラインタイプのシート処理装置にて実行可能なシート処理の能力情報を制御部により確認可能にする為の情報が、これに該当する。
(情報5) 上記3台のシート処理装置は、印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、の順序で、カスケード接続されている事を制御部205により確認可能にする為の情報。このように、複数台のインラインフィニッシャが接続されている場合に、これらシート処理装置の本システムにおける接続順序情報が、これに該当する。
以上の(情報1)〜(情報5)で示すが如くの、各種情報を、制御部205が各種制御にて要するシステム構成情報として、HD209に登録する。制御部205は、この情報を、後述するジョブ制御にて要する判断材料情報として、利用する。
以上の構成を前提とし、例えば、本印刷システム1000のシステム構成状況が、図8Aのようなシステム構成であるとする。このシステム構成にて制御部205が、どのような制御を実行するか、以下に例示する。
例えば、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合、上記9種類のシート処理を本システムにて全て実行可能である。この事実は、制御部205が、上記(情報1)〜(情報5)の判断材料に基いて、認識する。また、当該認識結果に基いて、制御部205が、図7の表示に示す合計9種類のシート処理を全て選択候補にするようUI部を制御する。該制御部205は以下のようなユーザ操作に応答した制御を実行する。
例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー701のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にステイプル処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するステイプル処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー702のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にパンチ処理(シートの穴あけ処理)の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するパンチ処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー703のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー704のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー705のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に中綴じ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの中綴じ製本処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー706のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に折り処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの折り処理(例えば、Z折りと呼ばれるシート処理)を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー707のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にくるみ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートのくるみ製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー708のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に天糊製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの天糊製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー709のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に大量積載処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの大量積載処理を、図8Aのシート処理装置200aに該当する大容量スタッカにより実行させる。
以上の如く、制御部205は、本システム1000が具備するシート処理装置にて実行可能な種類のシート処理に対応する選択候補の中からユーザが所望の種類のシート処理の実行要求を、UI部を介して、印刷実行要求と共に、受付可能に制御する。また、本形態で提供するUI部を介して処理対象となるジョブの印刷実行要求をユーザから受付け事に応答し、該ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。更に、そのプリント処理がなされた該ジョブのシートに対して該ジョブにて要するシート処理を本システム1000のシート処理装置により実行させる。
尚、本形態の特徴の1例として、制御部205は、以下のような制御も本システム1000にて実行する。
例えば、システム1000が図8Aのようなシステム構成であるとする。換言すると、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→糊付け製本機→中綴じ製本機の順で接続されているとする。この場合のシステム構成内部の状況は、図8Bに示すような構成になる。
図8Bは、印刷システム1000の構成が図8Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示している。また、図8Bでは、システム1000全体の装置断面図を示している。なお、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bの装置内部構成からも明らかなように、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートは、各シート処理装置の内部へと供給可能に構成されている。具体的には、図8Bに示すが如く、各シート処理装置は、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、シートを搬送可能なシート搬送路を、夫々、具備する構成である。
また、図8Bのシート処理装置200aや200b等、各インラインタイプのシート処理装置は、自装置にて実行可能なシート処理が処理対象となるジョブにて必要でなくても、自装置よりも前に接続されている前段の装置からシートを受取る機能を具備する。且つ、該前段装置から受取ったシートを、自装置よりも後ろ接続されている後段の装置へと渡す機能を具備する。
このように、本形態の印刷システム1000は、処理対象のジョブにて要するシート処理とは異なるシート処理を実行するシート処理装置が前段の装置から後段の装置へと処理対象となるジョブのシートを搬送する機能を具備する。この構成も、本形態の特徴の1例である。
以上が如くのシステム構成を前提とし、例えば、印刷システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図8A、8Bのシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図8A、8Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点及びB点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Yにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース2)の制御例に該当する。
更に、一方、例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。ただし、中綴じ製本処理によるシート処理には、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理が含まれる。
この中綴じ製本ジョブを、図8A、8Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
尚、図8Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の如く、本形態の制御部の一例に該当する制御部205は、HD209に記憶された本システム1000のシステム構成情報に基いたペーパハンドリング制御も、実行する。
尚、このシステム構成情報に該当する情報は、インラインフィニッシャを具備しているか否かの情報、インラインフィニッシャを具備している場合の、その装置の台数の情報、その装置の能力情報である。又、複数台のインラインフィニッシャを具備する場合には、それらの接続順序情報も、これに該当する。
図1〜図3、図8A、8B等で説明したように、本形態の印刷システム1000は、印刷装置100に対して、複数台のインラインタイプのシート処理装置を接続可能に構成している。且つ、図8A、8B及び後述する図9A、9Bや図10A、10Bを対比参照しても明白なように、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置は、それぞれ独立に接続したり、外したり、自由な組合せで、印刷装置100に対して、取付可能に構成される。また、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序も、物理的に接続できれば、自由に組み合わせることができる。但し、本形態では、これらのシステムに構成に関し、制約事項も設けている。
例えば、本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する装置は、以下の構成要件を具備する装置としている。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能であり、且つ、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段装置へ渡すシート搬送機能を具備するシート処理装置。例えば、本例では、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示す、大容量スタッカ及び糊付け製本機が、これに該当する。
尚且つ、本形態では、上記構成に該当しないシート処理装置も、インラインタイプのシート処理装置として本システム1000にて利用を許可している。例えば、以下の要件を満たす装置がこれに該当する。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能であるが、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段の装置へ渡すシート搬送機能を具備しない、シート処理装置。例えば、本例では、図8A、8Bや後述する図9A、9Bや図10A、10Bのシステム構成で示す、中綴じ製本機が、これに該当する。但し、このような装置に対しては制約事項を設けている。
例えば、上記の如く、後段装置へのシート搬送機能が無い構成のインラインフィニッシャ(例えば図8A、8Bの中綴じ製本機)を本印刷システム1000にて利用する場合には、この装置の利用台数を1台のみとする。但し、これ以外のタイプのインラインフィニッシャを同時に利用することは許可する。
例えば、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、大容量スタッカや糊付け製本機を、中綴じ製本機と併用して利用することは許可する。但し、このように、複数台のシート処理装置をカスケード接続して利用する場合、上記後段装置へのシート搬送機能を具備しないインラインタイプのシート処理装置は、シート搬送方向最下流に位置するように設置させる。
例えば、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、中綴じ製本機は、システム1000にて1番最後に接続するように構成する。換言すると、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成とは異なるシステム構成として、大容量スタッカと糊付け製本機との間に上記中綴じ製本機を接続するように本システムにて構成する事は禁止する。
以上のような制約事項を遵守した範囲内での運用を行うよう本システムが具備する制御部は本システム1000を統括的に制御する。
この1例として、例えば、制御部205は、上記制約に違反するような接続順序でインラインタイプのシート処理装置が接続された場合には、UI部に警告表示を実行させる。又、例えば、上述した構成が如く、複数台のシート処理装置の接続順番をUI部を介してユーザ自身により入力させる構成の場合に、制御部205は、上記制約に違反するようなユーザ設定は無効にするよう制御する。例えば、不適正な接続の設定を阻止するべくグレーアウト表示や網掛け表示を実行させる。
以上のような構成を採用することで、本形態のような構成を採用する場合にて、ユーザ誤操作や装置誤動作等の発生を未然防止できる。即ち、本形態で述べている効果が更に向上する。
このような構成を前提とし、本形態では、上記制約事項を遵守する範囲内において、本システム1000のシステム構成を柔軟に構築可能に構成する。
例えば、インラインタイプのシート処理装置の接続順序や接続台数を、上記制約事項を遵守した範囲内で、PODシステム10000のオペレータにより任意に決定変更可能に構成する。且つ、本システム1000は、当該システム構成状況に応じた制御を実行する。この一例を以下に示す。
例えば、図8Aのシステム構成における複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序を変更したシステム構成の1例として、図9Aのようなシステム構成も構築可能に本印刷システム1000を構成している。
図9Aのシステム構成は、図8Aのシステム構成と比較して、本システム1000が具備する複数台のインラインシート処理装置の接続順序が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→糊付け製本機→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順で接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図9Bに示すような構成になる。
図9Bは、印刷システム1000の構成が図9Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示す。且つ、図9Bのシステム構成は、図9Aのシステム構成の内部構成に対応している。
図9Bのシステム内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図9Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、プリンタ部203からのシートを搬送可能なシート搬送路を具備する。
しかも、図9A、9Bのシステム構成も、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を本印刷装置100にカスケード接続している。
以上の構成を前提とし、例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図9A、9Bに示すシステム構成である場合、UI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図9A、9Bのシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点及びB点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Yにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図9のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図9A、9Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Xにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
更に、一方、例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。ただし、中綴じ製本処理によるシート処理には、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理が含まれる。
この中綴じ製本ジョブを、図9A、9Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
尚、図9Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の図8A、8B、図9A、9Bに例示した如く、本印刷システム1000は、インラインシート処理装置として利用を許可する複数台のシート処理装置の接続順序を、上記制約事項の範囲内で、柔軟に、組換え変更可能に構成している。このように、本形態で上述する効果を最大限に発揮する為の仕組みを多数盛り込んでいる。
この観点で、本形態では、図8A、8Bや図9A、9Bのようなシステム構成以外の構成も、本システム1000にて、適宜、構築可能に構成している。この一例を以下に説明する。
例えば、図8A、8Bや図9A、9Bのシステム構成では、インラインタイプのシート処理装置を3台具備するシステム構成を説明した。本形態では、インラインタイプのシート処理装置の台数を上記のような制約事項を遵守した範囲内で任意にユーザが決定可能に構成している。
この1例として、図10Aのようなシステム構成も構築可能に本印刷システム1000を構成している。
図10Aのシステム構成は、図8Aや図9Aのシステム構成とはシート処理装置の接続台数が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順序で、2台接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図10Bに示すような構成になる。
図10Bは、印刷システム1000の構成が図10Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体のシステム構成断面図を示す。且つ、図10Bの装置構成は、図10Aの装置構成に対応している。
図10Bの装置内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図10Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、具備する。しかも、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を接続している。
このような構成を前提とし、例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図10A、10Bに示すシステム構成である場合、UI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図10A、10Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図10A、10Bのシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図10BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図10Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図10Bのシート搬送方向最下流の排紙先Yにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図10Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図10A、10Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。ただし、中綴じ製本処理によるシート処理には、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理が含まれる。
この中綴じ製本ジョブを、図10A、10Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図10BのA点及びB点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Yにて、保持させる。
尚、図10Bの排紙先Yは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
但し、制御部205は、図10A、10Bのシステム構成の場合は、糊付け製本機が実行可能なシート処理(exくるみ製本処理or天糊製本処理)の実行要求をユーザから受付ける事を禁止する。
例えば、本印刷システムが図10A、10Bのようなシステム構成状況である場合において、図7の表示をUI部に実行させる際には、表示キー707及び表示キー708の網掛け表示やグレーアウト表示になるよう制御する。換言すると、該キー707、708のユーザ操作を無効状態にする。
以上の如く、本システム1000が図10A、10Bのようなシステム構成である場合には、制御部205は、糊付け製本処理を本システム1000にて実行する事を禁止する。
この、本印刷システム1000が図10のシステム構成である場合にて制御部205により実行する制御が、図10Bの(禁則制御)に該当する。
以上の説明の如く、制御部205は、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の接続台数に応じた各種制御を実行する。換言すると、システム1000にて実行可能なシート処理の種類に応じた各種制御を実行する。
以上、図8A〜図10B等の説明からも明らかなように、本印刷システム1000が具備する制御部は、本システム1000のシステム構成状況(インラインシート処理装置の接続台数や接続順序)毎に対応した各種制御を本システム1000にて実行する。
尚、何故、本形態にて本印刷システム1000にてインラインシート処理装置の接続順序や台数をユーザニーズに対応するよう柔軟に構築変更可能に構成しているか、この理由の1例を述べる。これは、全てユーザメリットを考慮しているからである。
例えば、まず、なぜ、本システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置は、各々、独立筐体で且つ印刷装置に対して着脱可能に構成しているかの理由を述べる。
この理由の1例としては、例えば、本システム1000の納品先となるPOD業者として、くるみ製本処理は必要ないが大容量積載処理は行いたい等の要望をもった業者等の存在に配慮した仕組みである。
換言すると、例えば、本システムの利用環境を想定してみると、上記9種類のシート処理の全てをインラインシート処理装置で実現したい等のニーズが予想される。一方、特定のシート処理のみインラインシート処理装置で実現した等のニーズも可能性としてはある。このように、納品先となる各POD業者毎にニーズも千差万別である事に対処する仕組みを提供する為である。
また、なぜ、本システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置の接続順序を上記制約事項の範囲内で任意に変更、組替えを、可能に構成しているかの理由を述べる。この理由は、なぜ、図8A、8Bや図9A、9Bに示すが如く、各インラインシート処理装置毎に印刷物をオペレータにより取出可能な排紙先を設けているのかの理由でもある。
この理由の一例としては、本印刷システム1000にて要求される複数のシート処理の利用頻度に応じて柔軟にシステムを構築可能にする方が、本システム1000の利用者の利便性が向上すると考えるからである。
例えば、図1のPODシステム10000を保有するPOD業者では、顧客より依頼される印刷形態のニーズが、ユーザマニュアルやガイドブック等、くるみ製本処理を要する印刷ジョブが比較的多い傾向にあるとする。このような利用環境の場合、図8A、8Bのような接続順序でシステム1000を構築するよりも、図9A、9Bのような接続順序でシステム1000を構築する方が利便性がある。
換言すると、印刷装置100に対して、より近い個所に、糊付け製本機を接続した方が使い勝手が良い。これは、くるみ製本ジョブにて要するくるみ製本処理を実行する為に必要な装置内部におけるシートの搬送距離を短い方が効果的である事に起因する。
例えば、シート搬送距離がながければ長いほど、そのジョブの最終成果物である印刷物の完成に要する時間が長くなる。又、シート搬送距離が長ければ長いほど、シート搬送動作中における装置内部でのジャム発生率が、高くなる可能性が予想される。このような理由によるものである。
即ち、くるみ製本ジョブがユーザニーズとして多いようなPOD業者の場合には、図8A、8Bのシステム構成よりも図9A、9Bのシステム構成を採用する方が、くるみ製本ジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。且つ、迅速に印刷物を取出すことが出来る。
換言すると、例えば、上記業者とは別のPOD業者では、シートの大量積載を要するジョブの方が多い傾向にあるとする。この場合には、図9A、9Bのシステム構成よりも図8A、8Bのシステム構成の方が、スタッカジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。且つ、迅速に印刷物を取出すことが出来る。
このように、本形態は、如何に、効率よく、利用環境に適した柔軟なシステム形態で、本印刷システム1000にて複数のジョブの生産性を向上させるかに着目している。その上で、このような本システム1000を利用するユーザからの立場にたった利便性を追求した多数の仕組みを提供可能に構成している。
次に、図8A〜図10Bで例示した本システム1000にて具備可能な各種インラインタイプのシート処理装置の内部構成の具体例を、各シート処理装置毎に、個別に例示する。
[大容量スタッカの内部構成]
図11は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、大容量スタッカの内部構成断面図の1例を示す。
当該大容量スタッカ内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図11に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、エスケープパスである。1つは、スタックパスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
尚、図11の大容量スタッカ及び後述する図12の糊付け製本機の各装置が具備するストレートパスは、前段装置から受取ったシートを後段装置へ渡す為の機能を果たすが為に、本例ではインラインシート処理装置におけるスルーパスとも呼ぶ。
大容量スタッカ内部に具備するストレートパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為のシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
また、大容量スタッカ内部に具備するエスケープパスは、スタックせずに、出力したい場合に用いられる。例えば、後続のシート処理装置が接続されていない場合に、出力の確認作業(プルーフプリント)等を行う場合に、スタックトレイからの取出しを簡略化するべく、当該エスケープパスに印刷物を搬送して、該トレイから印刷物を取出可能にする。
尚、この大容量スタッカ内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
大容量スタッカの不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、制御部205に通知する。制御部205は、この大容量スタッカからの情報に基き、大容量スタッカ内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムのシステム構成においては、このシート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この大容量スタッカのセンサの情報を、制御部205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
また更に、大容量スタッカ内部に具備するスタックパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要するジョブのシートに対する積載処理を、該装置により実行させる為のシート搬送路である。
例えば、本システム1000が図8A〜図10Bに示した大容量スタッカを具備しているとする。このシステム構成状況において、制御部205が、例えば図7の表示のキー709のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該スタッカにて実行可能なシートの積載処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、この大容量スタッカが具備するスタックパスへシートを搬送するよう制御する。スタックパスへ搬送されたシートはスタックトレイへ排紙する。
図11のスタックトレイは、伸縮可能なステイなどの上に載置される積載ユニットである。このスタックトレイとの結合部には、ショックアブソーバ等が付けられている。制御部205は、このスタックトレイを用いて、処理対象となるジョブの印刷済みシートの積載処理を該大容量スタッカによる実行させるよう制御する。伸縮可能なステイの下は台車となっており、不図示の取っ手を付けると台車として、上に載せたスタック出力を別のオフラインフィニッシャなどに運べるようになっている。
スタッカ部の前ドアが閉まっているときは、伸縮可能なステイはスタック出力が積載されやすい上の位置に上昇し、前ドアがオペレータにより開けられる(あるいは、開ける指示がなされる)とスタックトレイは、下降する仕組みになっている。
また、スタック出力の積み方には、平積みとシフト積みがあって、平積みは、文字通り常に同じ位置に積む。シフト積みは、ある決められた部数単位、ジョブ単位などで奥手前方向にシフトして、出力に区切りを作って、出力を扱いやすいように積む方法である。
このように、本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する対象の当該大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行するにあたり、複数種類の積載方法を実行可能に構成されている。制御部205は、このような各種動作の制御を装置に対して実行する。
[糊付け製本装置の内部構成]
図12は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、糊付け製本装置の内部構成断面図の1例を示す。
当該糊付け製本装置内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図12に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、本身パスである。1つは、表紙パスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
図12の糊付け製本装置内部に具備するストレートパス(スルーパス)は、該装置が具備する糊付け製本ユニットによるシートの糊付け製本処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為の機能を果たすシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
尚、この糊付け製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
糊付け製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、制御部205に通知する。制御部205は、この糊付け製本機からの情報に基き、糊付け製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムのシステム構成では、このシート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この糊付け製本装置のセンサの情報を、制御部205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
また、図12の糊付け製本装置内部に具備する本身パスと表紙パスは、くるみ製本印刷物を作成する為のシート搬送路である。
例えば、本形態では、くるみ製本印刷処理として、本文となる印刷データの印刷処理をプリンタ部203で実行させる。且つ、この印刷されたシートをくるみ製本印刷物の1束分の出力物における本文部分として利用可能にする。このように、くるみ製本にて本文(中身)部分に該当する印刷データが印刷された本文部分のシート束を、本例では「本身」と呼ぶ。且つ、この本身を表紙用の1枚のシートでくるむ処理を、くるみ製本処理にて実行する。この表紙としてのシートを、表紙パスを介して搬送する。他方、本身となる、プリンタ部203でプリントした印刷用紙は、本身パスへ搬送するよう制御部205が各種シートの搬送制御を実行する。
このような構成のもと、例えば、制御部205が、例えば図7の表示のキー707のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該糊付け製本機にて実行可能なくるみ製本処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、以下のように当該装置を制御する。
例えば、プリンタ部203で印刷されたシートを、図12の本身パスを介して、順次スタック部に蓄える。また、処理対象となるジョブの1冊分のシートにて要する本文データが印刷されたシートを、全ページ、該スタック部に蓄えたうえで、表紙パスを介して、該ジョブにて要する表紙用のシートを、搬送させる。
尚、くるみ製本に関し、本形態の特徴の1つに関連する事項が存在する。例えば、本例にて糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理では、1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数が、当該糊付け製本処理とは異なる種類のシート処理にて1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数よりも、圧倒的に多い。例えば、くるみ製本処理にて1束分の本文用のシート束として最大200枚まで処理を許容する。一方、ステイプル処理等は、最大20枚、中綴じ製本では最大15枚まで、1束分のシート処理として印刷用紙を処理する事を許可する。このように、1束分のシート束としてシート処理を許可する印刷用紙の許容枚数は、糊付け製本処理と、その他のシート処理では、圧倒的に異なる。
このように、本形態では、制御部205により制御対象となるインラインタイプのシート処理装置により、くるみ製本処理という糊付け製本処理を実行可能に構成している。且つ、オフィス環境では要求すらされなかったインラインタイプのシート処理装置により実行可能なフィニッシィングとして全く新規のフィニッシィングを提供可能に構成している。換言すると、POD環境を想定した仕組みの1つであり、且、後述する制御に関連する構成である。
尚、くるみ製本にて、表紙用のシートとして、図12に示すが如く、糊付け製本装置自身が具備するインサータのインサータトレイから搬送対象となる、表紙用のデータが予め印刷済みのプレプリントシートを利用可能に構成している。又、印刷装置100自身により表紙用の画像を印刷させたシートも利用可能に構成している。これら何れかのシートを表紙用のシートとして、表紙パスへ搬送させる。そして、スタック部の下方部分にて、当該表紙用のシートの搬送を一時停止させる。
この動作に並行して、スタック部に積載済みの本文全ページが印刷済みの複数枚のシートで構成される本身に対して、糊付け処理を実行する。例えば、糊付け部は、所定量の糊を本身の下部に塗布して、十分に糊が行き渡ったところで、本身の糊付けされた部分を表紙の中央部にあてがい、包み込むように結合させる。結合に当たっては、本身を下方に押し込むように送り出すため、表紙にくるまれた本身は、ガイドに添って、回転台の上に滑り落ちる。その後、ガイドは、表紙にくるまれた本身を回転台の上に倒すように移動する。
回転台の上に寝た表紙にくるまれた本身を、幅寄せ部で位置合わせを行って、まず、小口となる部分をカッターで断裁する。次に、回転台を90度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、天となる部分を断裁する。更に、180度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、地となる部分を断裁する。
断裁後は、再度幅寄せ部で奥まで押しやって、出来上がった表紙にくるまれた本身をバスケット部に入れる。
バスケット部で十分に糊を乾かした後、出来上がったくるみ製本の束を取り出すことができる。
このように、糊付け製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に糊付け製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する糊付け製本処理を実行する糊付けユニットを具備している。
また、上述したように、本形態にて、インラインタイプのシート処理装置により実行可能に構成した糊付け製本処理は、上記構成に示すが如く、他の種類のシート処理と比較して、処理工程が多く準備すべき前構成も多い。換言すると、ステイプルや中綴じ製本のようなオフィス環境にて頻繁に利用されうるシート処理とは全く構成も異なり、要求されたシート処理を完結されるのに要する処理時間も、他のフィニッシィングに比べ、長くなる事が予想される。本形態では、このような点についても着目している。
上記の糊付け製本機能の例のように、本形態では、例えば、オフィス環境のみ留まらず、POD環境等の全く新しい印刷環境でも充分に通用する、利便性や生産性を追求した、印刷システム、製品の、実用化を目指す為の仕組みを採用している。換言すると、例えば、くるみ製本機能や大量積載機能等、オフィス環境では全く未対処であった新機能をPOD環境でも活用可能に構成要件として具備している。また、図8A〜図10Bに例示するが如く、印刷装置に対して、インラインタイプのシート処理装置を複数台接続可能にしたシステム構成自体についても、上記目的を果たすが為の仕組みである。
ここで、特筆すべきは、例えば、本形態は、単に、上記のような新規の機能やシステム構成を具備する事のみに留まらず、当該機能構成を採用する事で想定されうるユースケースやユーザニーズ等、対処すべき課題を事前に発見検討している点である。また、その課題に対する解決手法となる構成要件をも具備する点が特徴の1つに該当する。このように、本形態では、事務機メーカが新規市場の開拓参入するうえで、新規に搭載する機能やシステム構成に対する市場要望等を、課題として、事前に、発見検討し、その課題に対する解決手法をも念頭に入れた仕組みを構成として採用している。このような点も本形態の特徴的要件の1つに該当する。この具体的に構成要件の1例として、制御部205により本形態にて各種制御を実行している。
[中綴じ製本装置の内部構成]
図13は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、中綴じ製本機の内部構成断面図の1例を示す。
当該中綴じ製本装置内部には、印刷装置100からのシートに対してステイプル処理や断裁処理やパンチ処理や折り処理がシフト排紙処理等を選択的に実行可能にするための各種ユニットを具備している。但し、当該中綴じ製本機は、上記制約事項で述べたように、後段装置へのシート搬送機能の役目を果たすスルーパスを具備しない。
尚、この中綴じ製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
中綴じ製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、制御部205に通知する。制御部205は、この中綴じ製本機からの情報に基き、中綴じ製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムのシステム構成では、このシート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この中綴じ製本装置のセンサの情報を、制御部205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
また、例えば、図13に示すが如く、サンプルトレイ、スタックトレイ及び、ブックレットトレイが設けられており、制御部205は、ジョブの種類や排出される記録紙の枚数に応じて利用するユニットを切り替えるよう制御する。
例えば、制御部205が、図7の表示のキー701のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該中綴じ製本機にて実行可能なステイプル処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、プリンタ部203からのシートを、スタックトレイ側へ搬送するよう制御する。尚、この際、記録紙がスタックトレイに排出される前に、記録紙をジョブ毎に中綴じ製本部の内部の処理トレイに順次蓄えておき、該処理トレイ上にてステープラにてバインドして、その上で、スタックトレイへ、該記録紙束を束排出する。このような方法でプリンタ部203にて印刷されたシートに対するステイプル処理を当該装置により実行させる。
その他、紙をZ字状に折るためのZ折り機、ファイル用の2つ(または3つ)の穴開けを行うパンチャがあり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してZ折り処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してZ折り機により折り処理を実行させる。更に、その上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。或いは、例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してパンチ処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してパンチャによるパンチ処理を実行させる。更に、その上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。
また、サドルステッチャ部は、記録紙の中央部分を2ヶ所バインドした後に、記録紙の中央部分をローラに噛ませることにより記録紙を半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する中綴じ製本処理を行う。
サドルステッチャ部で製本された記録紙は、ブックレットトレイに排出される。当該サドルステッチによる製本処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
また、インサータはインサートトレイにセットされた記録紙をプリンタへ通さずにスタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによって中綴じ製本部に送り込まれる記録紙(プリンタ部で印刷された記録紙)と記録紙の間にインサータにセットされた記録紙をインサート(中差し)することができる。インサータのインサートトレイにはユーザによりフェイスアップの状態でセットされるものとし、ピックアップローラにより最上部の記録紙から順に給送する。故に、インサータからの記録紙はそのままスタックトレイまたはサンプルトレイへ搬送することによりフェイスダウン状態で排出される。サドルステッチャへ送るときには、一度パンチャ側へ送り込んだ後スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。
尚、当該インサータによる記録紙挿入処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
又、本形態では、1例として、中綴じ製本装置内部に断裁部(トリマ部)も具備する。この説明を以下の行う。
中綴じ製本部においてブックレット(中綴じの小冊子)となった出力は、このトリマに入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部にて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部に格納される。尚、当該トリマによる断裁処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
このように、中綴じ製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に中綴じ製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する中綴じ製本処理を実行する中綴じ製本ユニットを具備している。
尚、例えば、図7の表示のキー705によりユーザから中綴じ製本が選択された場合、制御部205は、UI部に図14の表示を実行させる。当該図14の表示を介して、制御部205は、中綴じ製本の詳細設定をユーザから受付可能に制御する。例えば、ステイプル針を用いて実際にシート中央付近に対する中綴じ処理を実行するか否かを決定可能にする。又、分割製本、中綴じ位置の変更、断裁の有無、あるいは、断裁幅の変更などの設定もユーザから受付け可能にする。
例えば、制御部205がUI部に実行させた図14の表示を介してユーザにより「中綴じ製本する」と「断裁する」が設定されたとする。この場合、制御部205は、中綴じ製本印刷結果として処理対象のジョブが図15のような印刷体裁になるよう本システム100の動作制御を行う。図15の中綴じ製本印刷結果に示すが如く、サドルステッチが打たれて、小口側の断裁がなされる。また、サドルステッチの位置や断裁面の位置を予め設定しておけば、所望の位置に変更することができる。
また、例えば、図7の表示のキー707によりユーザからくるみ製本処理の実行要求がなされた場合、制御部205は、くるみ製本印刷結果として、処理対象のジョブが図16のような印刷体裁になるよう本システム1000を制御する。図16の1例に示すが如く、くるみ製本の場合の印刷物は、断裁面A、B及び、Cに関して、それぞれ断裁幅を設定することができる。
また、本印刷システム1000は、外部装置の一例に該当する情報処理装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求及びシート処理の実行要求を受付け可能に構成されている。以下、ホストコンピュータから本印刷システム1000を利用する場合の一例をもって説明する。
例えば、本実施形態の各種の処理や制御を実行する為のプログラムデータをWEB等のデータ供給源あるいは特定の記憶媒体からダウンロードしたホストコンピュータ(図1のPC103や104等)にて操作する場合、以下のように制御する。但し、制御の主体はPCの制御部である。
例えば、ユーザからのマウス或いはキーボード操作に応答し、本システム1000の印刷装置100を操作する為のプリンタドライバの起動指示がなされたとする。これを受け、該ホストコンピュータのCPUは、当該ホストコンピュータの表示部に、図17Aに示す印刷設定画面を表示させる。図17A、17Bは、本実施形態にて制御対象となる、ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
ここで、例えば、当該図17A、17Bの操作画面上の仕上げキー1701がユーザのマウス操作により押下されたとする。すると、該ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を、図17Bのような印刷設定画面に切り換えるよう表示部を制御する。
そして、該CPUは、図17A、17Bの印刷設定画面上のシート処理設定項目1701を介して、本システム1000が備えるインラインタイプのシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類をユーザにより選択可能に制御する。
尚、ここでは、省略するが、該ホストコンピュータを含む外部装置においては、図17A、17B以外の画面として、本実施形態で詳述した各種の表示画面を介して入力可能な指示と同等の指示を入力可能にするための表示画面を表示させるように構成している。換言すると、本形態で述べる各種の処理や制御と同等の処理や制御を外部装置側にて実行可能に構成されている。
そして、ユーザにより、設定項目1701を介して所望のシート処理が選択され、図17A、17Bの画面に戻って、OKキーが押下されるとする。
これを受け、ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を介してユーザにより設定された各種印刷条件を示すコマンドと、プリント部203によりプリントさせるべき一連のプリントデータとを、一つのジョブとして関連付ける。そして、当該ジョブを、本システム1000に対して、ネットワーク101を介して送信するように制御する。
そして、該コンピュータからのジョブを、外部I/F部202が受信すると、これに応じて、本システムの制御部205は、当該ジョブを、該ホストコンピュータにてユーザにより設定された処理要件に基づいて、処理するよう本システム1000を制御する。
以上のように構成することで、外部装置等からのジョブでも、本形態で述べる各種の効果を得ることが出来、本システム1000の利用効率を更に向上させる事ができる。
本形態の印刷システム1000が具備する制御部は、以上で説明したような各種構成要件を前提として、後述する各種制御を実行する。
尚、図1〜図17Bを用いた説明した構成は、本実施形態にて述べる全ての実施形態にて共通する構成要件に該当する。換言すると、例えば、本形態にて述べる各種制御は、当該構成を前提とした構成要件に該当する。
図1〜図17Bを用いた上述の如く、本形態の印刷システム1000は、オフィス環境に留まらず、POD環境にも適した印刷環境を構築可能に構成している。
例えば、その1例として、オフィス環境では全く想定されえないPOD環境にて想定されうるユースケースやユーザニーズに対処可能な仕組みを採用している。
この1例として、例えば、POD環境では顧客から様々な印刷形態をPOD業者が受注可能に構成している。
具体例を挙げるならば、例えば、上記の如く、糊付け製本処理や大量積載処理等、オフィス環境ではユーザニーズとして要求されえないフィニッシィングをインラインシート処理装置により実現可能に構成している。換言すると、本形態は、ステイプル等のオフィス環境にて要求されうるニーズ以外のユーザニーズにもPOD環境を考慮して対処出来るように構成している。また、例えば、本印刷システム1000の納入対象となるPOD環境で商売をなすPOD業者におけるビジネス形態に柔軟に対応可能に構成している。
この1例として、例えば、上記の如く、複数台のインラインシート処理装置を印刷装置1000に対して接続可能にし、且つ、各インラインシート処理装置毎に、独立筐体で且つ独立動作が可能に構成している。且つ、接続するシート処理装置も任意台数とし、本印刷システム1000にて柔軟にインラインシート処理装置の増設や変更等を可能にシステムを構成している。
尚、本形態では本印刷システム1000の利用者の操作性にも充分配慮した設計となっている。この1例として、例えば、本形態では、本印刷システム1000のシステム構成を、オペレータ自らが手動でHD209に登録できる構成を説明した。故に、これを用いて例示する。
例えば、本印刷システム1000のシステム構成として、図8A、8Bに示すシステム構成をPOD業者にて構築したいと望んだとする。この場合、まず、該POD業者のオペレータにより、印刷装置100と共に購入した図8A、8Bの3台のシート処理装置を、図8A、8Bに示す接続順序で、印刷装置に接続してもらう。そのうえで、操作部204のユーザモードキー505を押下してもらう。この場合に、制御部205は、当該キー操作に応答し、表示部401に、図18Aの表示を実行させる。
図18Aの表示は、本印刷システム1000のシステム構成情報を、オペレータ自身によりマニュアル入力可能にする為の表示である。制御部205は、当該図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続すべきインラインタイプのシート処理装置の種類をオペレータにより決定可能にする。且つ、制御部205は、当該図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続する複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序をオペレータにより決定可能にする。
また、制御部205は、図18Aの表示の各設定項目毎に設けた「詳細設定」キーがオペレータにより押下されたら、不図示の画面を表示させる。この画面で、1台ずつ、本印刷システムにて利用するシート処理装置を特定可能にする。しかも、本形態は、上述したように制約事項を遵守してもらっている故、この情報もガイダンス情報としてオペレータに通知する。例えば、制御部205は、図18Aに示すが如く、「印刷装置に接続する、シート処理装置の種類と接続順序を登録して下さい。最大5台まで接続できます。但し、中綴じ製本機は接続する装置の1番最後に接続して下さい。」等のガイダンスを通知する。尚、ここでは、インラインシート処理装置の接続台数を最大5台までとしているが、特にこれに限定しなくても良い。
尚、制御部205は、図18Aの設定項目の上から順番に、利用するシート処理装置を1台ずつ決定可能に表示部401を制御するが、この設定項目の上から順番に設定する設定順序自体が、実際の装置の接続順序として判断する。
上記構成のもと、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図8A、8Bに示すシステム構成にする場合、図18Bの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Bの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒糊付け製本機⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図8A、8Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
一方、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図9A、9Bに示すシステム構成にする場合、図18Cの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Cの表示のように、設定項目の上から順番に「糊付け製本機⇒大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図9A、9Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
更に一方、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図10A、10Bに示すシステム構成にする場合、図18Dの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Dの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図10A、10Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
また、図19に例示する本形態の印刷システム1000のシステム構成では、図13に例示した大容量スタッカを2台と中綴じ製本機の1台の計3台のインラインフィニッシャを接続したシステム構成例である。このシステム構成は、同一タイプのインラインフィニッシャとして、大容量スタッカを2台接続したシステム構成である。このように、本形態の印刷システムは、同じ種類のインラインフィニッシャを複数台接続可能に構成している。尚、図19に例示が如く、同じ種類のインラインフィニッシャを連続してカスケード接続する構成を、本形態では、タンデム接続とも呼ぶ。また、図19に例示のシステム構成は、本システムの納品先の印刷業者が大量積載を頻繁に行うような状況を想定している。このように、本形態では、大容量スタッカを複数台タンデム接続可能に構成している。
このように、実際の現場のユースケースを想定した利便性を向上させるUI制御自体も本形態の特徴の1つに該当する。
上述のように、本システム1000は、オフィス環境とはユースケースやユーザニーズも異なるPOD環境等をも見据えた、様々なユースケースやユーザニーズにも柔軟に対処可能な、製品の実用化に向けての様々な仕組みを具備する。
しかも、単に、上記のような新規な機能及び新規な構成を具備するに留まらず、本印刷システム1000の効果を最大限に発揮すべく、以下のような各種制御を、本システム1000にて実行可能に構成している。
[制御部205の制御]
この1例として、例えば、本印刷システムが具備する制御部は、以下のような制御を本印刷システム1000にて実行するよう制御している。
尚、以下の具体的制御を説明する前に、本印刷システム1000の構成について補足しておく。本形態の大容量スタッカ等の各種インラインフィニッシャは、夫々、各装置毎に、用紙ジャムを除去したり、プリンタ部203で印刷がなされたジョブの印刷物(印刷媒体とも呼ぶ)を取出す為に、装置筐体前面に開閉動作が可能なドア(前ドア)を具備している。また、本形態の大容量スタッカは、例えば、図13の内部構成で例示した如く、大容量の印刷物を積載可能な装置内部に配設されたスタックトレイと、装置外部(機外上方部)に配設されたエスケープトレイを具備する。ただし、スタックトレイはスタッカ部とも呼ばれ、エスケープトレイはサンプルトレイとも呼ばれる。
制御部205は、本形態の大容量スタッカの機内に配設される上記スタックトレイ、及び、機外に配設される上記エスケープトレイの、それぞれに対して、本形態に例示が如くの各種判断条件に基き、処理対象のジョブの印刷物を、選択的に供給可能に制御する。また、大容量スタッカ等、中綴じ製本機以外の、本形態のインラインフィニッシャは、自装置の前段に位置する装置から受取った印刷物を、自装置内部のスルーパスを介して、自装置の後段に位置するインラインフィニッシャの装置内部へ搬送する機能も具備する。また、本形態の大容量スタッカは、装置内部のスタックトレイに積載された印刷物のシート積載量に応じて、該トレイが自動的に下降可能に構成されている。また、印刷物の整合処理も可能に構成されている。
上述の構成は図13で説明したとおりだが、図20の装置概観例に示すが如く、大容量スタッカの前面にはオペレータによる開閉動作が可能な前ドア2002を具備する。また、当該ドア2002をオープンさせる為の指示をオペレータが入力する為のスイッチ2001を装置筐体上部に具備している。この大容量スタッカにおける各種動作の制御は、当該大容量スタッカ自身が具備する制御部(不図示)が、主体となって行う。この制御部は、スイッチ2001からのオペレータによる手動入力命令に従い、このドア2002をオープンさせる。具体的には、当該ドア2002は閉じている状態の時に不図示の鍵により施錠状態としており、この鍵を開錠させて、ドア2002をオープンさせる。これにより、大容量スタッカのスタックトレイに積載済みの印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。また、スイッチ2001からの操作だけでなく、印刷装置100の制御部205からの指示により、当該ドア2001を自動的にオープン可能に制御される。この際は、図2に示す装置内部の信号線を介して、当該ドアオープン信号を、制御部205から大容量スタッカの制御部に送信する。また、大容量スタッカのスタックトレイに積載された印刷物をオペレータにより取出作業を行う際に、ドア2002を開けて、オペレータによる取出作業が行われる。勿論、これらの主体制御も、印刷装置100が具備する制御部205が実行しても良い。
本形態では、印刷処理がなされたジョブの印刷物を大容量スタッカからオペレータが取出す際には、当該ジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブのシートが排紙されないように、制御部205が、本印刷システム1000を制御する。換言すると、印刷システム1000は、シート処理装置におけるオペレータによる印刷処理がなされたジョブの印刷物の取出作業中には、当該シート処理装置内部のシート処理部に対して、当該ジョブに後続するジョブのシートが排紙されないよう制御する。
ただし、制御部205は、例えば、大容量スタッカが具備するスタックトレイにおける印刷物のオペレータによる取出作業中であっても、例えば以下に例示する動作は実行可能に制御する。例えば、制御部205は、スタッカトレイに積載済の印刷物のオペレータによる取出作業中等、大容量スタッカの前ドア2001開閉状態中に、その大容量スタッカのエスケープトレイに対して、後続ジョブの印刷物を排紙可能に、システム1000を制御する。また、制御部205は、既述の如く大容量スタッカの前ドア2001がオープンされたままの状態期間中に、所定のジョブに該当する後続ジョブの印刷物を、その大容量スタッカ内部のスルーパスを介して搬送できるように、システム1000を制御する。ただし、このような後続ジョブは、例えば、大容量スタッカによる積載処理が不要なジョブに該当し、且つ、その大容量スタッカの後段に接続されているインラインフィニッシャによるフィニッシングを要するジョブに該当するものが含まれる。
このように、制御部205は、ドア2002がオープンされている状態のままでも、上記例示が如くのシステム1000における動作の実行を許可する。
以上の各種動作を実行する為に、制御部205は、シート処理装置からのオペレータによるシートの取出対象となるジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブの印刷動作の開始を禁止したり、許可したりする。換言すると、制御部205は、当該後続ジョブの印刷動作の実行可否や印刷タイミングを、制御する。このような構成も、印刷装置に対して物理的接続関係にあり且つ電気的接続関係にあるインラインフィニッシャ固有の構成である。
以上のような構成を前提とし、本印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当する制御部205は、以下に例示の制御を実行する。
尚、以下に例示の制御を説明する前に前提的な構成要件について更に補足しておく。前提として、本システム1000は、複数のジョブのデータを記憶可能なHD209のデータの印刷処理を実行可能なプリンタ部203を具備する印刷装置100を具備する。また、該システム1000は、印刷装置100に対して接続可能な、プリンタ部203で印刷がなされたジョブのシートに対するシート処理を実行可能な複数台のシート処理装置200a〜nを具備する。ただし、シートは、印刷物或いは印刷媒体とも呼び、シート処理は、フィニッシング又は後処理とも呼ぶ。これらのシート処理装置は、各装置毎に、自装置でシート処理を施した印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。また、本システム1000は、該印刷装置100のプリンタ部203から、これら複数のシート処理装置に対して、プリンタ部203により印刷がなされたジョブのシートを、選択的に、供給可能に構成している。
本形態の制御部の一例に相当する制御部205は、以上のような、POD市場を見据えたシステム構成となっている印刷システム1000にて、以下に例示が如くの制御を実行する。
図21は図2におけるROM207内に格納され、本印刷システム1000内のコントローラ部205により読み出され実行される各種プログラムおよび該プログラム等によって使用されるデータを例示したものである。図示するように、ROM207には印刷システム1000が提供することの出来る各種機能を実現するためのプログラムが格納されている。
ブートローダ3101は本印刷システム1000の電源投入直後に実行されるプログラムであり、システムの起動に必要となる各種起動シーケンスを実行するためのプログラムである。オペレーティングシステム3102は本印刷システム1000の機能を実現する各種プログラムの実行環境を提供することを目的とし、主に本印刷システム1000のメモリの資源管理、および同図に示された各種装置の基本的な入出力制御等の機能を提供する。ただし、本印刷システム1000のメモリには、例えば、図2におけるROM207やRAM208,ハードディスク209等が含まれる。
データ送受信プログラム3103は、図2における外部I/F202を経由してデータの入出力要求が発生した際に行われる送受信処理を行うための制御プログラムである。具体的にはTCP/IP等のプロトコルスタックを内包し、図1に示す印刷環境10000内においてネットワーク101経由で接続される外部機器等との間で交わされる各種データの通信を執り行うための制御プログラムである。ここで行われる通信処理は本印刷システム1000とネットワーク101の間を入出力されるデータパケットの送受信レベルやHTTPサーバ等通信処理に特化した処理を担当し、この後述べる受信されたデータの内容に関する解析処理は含まれない。データの解析処理は後述するコントローラ部205によって別プログラムの記述内容に基づいて実行される。
機器管理機能プログラム3104は、本印刷システム1000が管理し複合機としての機能を実現するための各種デバイスの接続状態、ステータス、能力等の統合的な管理を行うためのプログラムである。ただし、各種デバイスには、例えば、プリンタ部203、スキャナ部201、シート処理装置200等、脱着可能なデバイス若しくは脱着不可能なデバイス等が含まれる。機器管理機能プログラム3104は、コントローラ部205によりシステム起動時および接続されたデバイスの状態変化発生時にコントローラ部205に通知された際に実行される。
コピー機能プログラム3105は、操作部204経由でユーザがコピーファンクションの実行を指示した際に、前記操作部204からの指示によりコントローラ部205によって実行されるコピー機能を実行するためのプログラムである。ただし、コピー機能は、本印刷システムの起動処理が完了し、複合機としての機能提供が可能となった状態において実行することができる。コントローラ部205は、コピー機能を実現するために、本印刷システム1000内のデバイス資源に対し、本プログラムに記述された処理順序、処理条件に基づき、適切な順序で動作を順次指示することにより最終的にコピー処理が実行されるように制御する。なお、コピー機能を実現するためのデバイス資源には、例えば、スキャナ部201やプリンタ部203、シート処理装置200、ハードディスク200、圧縮伸張部210、RAM208等が含まれる。
スキャン機能プログラム3106は、操作部204経由でユーザがスキャンファンクションの実行を指示した際に、操作部204からの指示によりコントローラ部205により実行されるスキャン機能を実行するためのプログラムである。ただし、当該スキャン機能も本印刷システムの起動処理が完了し、複合機としての機能提供が可能となった状態において、実行することができる。コントローラ部205は、スキャン機能を実現するために、本印刷システム1000内のデバイス資源に対して、本プログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいて適切な順序で動作を順次指示して、最終的にスキャン処理が実行されるように制御する。なお、スキャン機能を実現するためのデバイス資源には、例えば、スキャナ部201、ハードディスク200、圧縮伸張部210、RAM208等が含まれる。
PDLプリント機能プログラム3107は、PDLプリントジョブデータが外部I/F202経由で受信された場合に、外部I/F204の指示によりコントローラ部205によって実行されるPDLプリント機能を実行するためのプログラムである。ただし、PDLプリント機能も、本印刷システムの起動処理が完了し、複合機としての機能提供が可能となった状態において、実行することが可能である。コントローラ部205は、本印刷システム1000内のデバイス資源に対して、本プログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいて適切な順序で動作を順次指示することにより最終的にPDLプリント処理が実行されるように制御する。ただし、PDLプリント処理を実行するためのデバイス資源には、例えば、シート処理装置200、プリンタ部203、ハードディスク200、圧縮伸張部210、RAM208等が含まれる。
JDFプリント機能プログラム3108は、JDFジョブチケットを含むジョブデータが外部I/F202経由で受信された場合に、外部I/F204の指示によりコントローラ部205によって実行されるJDFプリント機能を実行するプログラムである。ただし、JDFプリント機能も、本印刷システムの起動処理が完了し、複合機としての機能提供が可能となった状態において、実行可能である。コントローラ部205は、本印刷システム1000内のデバイス資源に対し、本プログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいて適切な順序で動作を順次指示することにより最終的にJDFプリント処理が実行されるように制御する。ただし、JDFプリント機能を実行するためのデバイス資源には、例えば、シート処理装置200、プリンタ部203、ハードディスク200、圧縮伸張部210、RAM208等が含まれる。
BOX機能プログラム3109は、操作部204経由で本印刷システム1000のユーザがBOXファンクションの実行を指示した際に、操作部204からの指示によりコントローラ部205によって実行されるBOX機能を実行するためのプログラムである。ただし、BOX機能も、本印刷システムの起動処理が完了し、複合機としての機能提供が可能となった状態において、実行可能である。コントローラ部205は、本印刷システム1000内のデバイス資源に対して、本プログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいて適切な順序で動作を順次指示することにより最終的にBOX処理が実行されるように制御する。ただし、デバイス資源には、スキャナ部201やプリンタ部203、シート処理装置200、ハードディスク200、圧縮伸張部210、RAM208等が含まれる。
UI制御プログラム3110は、本印刷システムの起動処理が完了し、複合機としての機能提供が可能となった状態において、図4、図5、および図6において示した操作部のタッチパネル部401およびキー入力部402の制御用プログラムである。UI制御プログラム3110は、本印刷システム1000のユーザによる操作部204の入力された内容を識別し適切な画面遷移及びコントローラ部205に対する処理依頼指示を行う。
その他の制御プログラム3111は、上述したプログラムのいずれにも該当しない機能を実現するためのプログラムのことであり、種々の動作がこれに含まれるが本実施形態の効果を説明する限りに置いてはその詳細は重要ではないため、説明を省略する。
装着オプション能力テーブル3112は、本印刷システム1000に脱着可能な装置の能力情報を静的に保持しておくテーブル情報である。前記能力情報は本印刷システム1000内のコントローラ部205が各種ジョブ実行および機器そのものの管理を実行する際に装着オプションの能力に応じて処理内容を変更する等の処理をする際に参照されることを目的としてROM207内に格納される。なお、テーブル名称は装着オプション能力テーブルであるが、装着オプションとは例えば図8Aにおいて示した大容量スタッカ200a、糊付け製本機200b、中綴じ製本機200cのように機器に脱着可能なことを目的として設計されている装置に限られない。例えば、印刷装置本体100および該印刷装置本体100が備えるスキャナも装着オプションの特殊な形態として同一のテーブル内に管理されても構わない。本実施形態においては、印刷装置本体100に関する情報も脱着可能な装置と同等に同一のテーブル内で管理する場合の形態として実施した場合に基づいて説明を行う。
図22は、図2におけるハードディスク209内に格納され、本印刷システム1000内のコントローラ部205により読み出されあるいは書き込まれる各種データの格納状況の一例を示したものである。ハードディスク209内に格納される情報は図21において示したROM207内の状態とは異なり、機器の利用状況および機器構成、ジョブの進捗に応じて動的に変化する。このため、図22において示した状態は本印刷システム1000の稼動時のある一時点における状態を示したものであり、常に同図と同じ状態であることを必ずしも意味するものではないことをここで言及しておく。たとえば、大容量の印刷ジョブを複数受け付けた状態では同図に示す空き領域が枯渇し存在しない状態などが前述したケースに該当する。
機器管理情報3301は、本印刷システム1000に脱着可能なシート処理装置200の接続状況および本印刷システム1000のオプション構成により存在する場合としない場合のあるデバイス等の接続状況やステータス能力等の情報が格納されている。機器管理情報3301は図21において示した機器管理プログラム3104により管理されるものである。機器管理テーブル内に格納および管理される情報については後述する。コントローラ部205により同テーブル内の情報がいかなるタイミングで如何様に利用されるかに関しても後述する。
処理ルールテーブル3302は、本印刷システム1000がJDFプリントジョブを処理する際に、機器構成および機器の能力等により、ジョブの設定により実行することが物理的に不可能である場合の機器の振る舞いに関する動作仕様を記述したものである。同テーブル内に格納される情報についても後述する。コントローラ部205により同テーブル内の情報がいかなるタイミングで如何様に利用されるかに関しても後述する。処理ルールテーブルに基づくジョブの実行制御についてはJDFプリントジョブに限定する必要はない。例えば、他のジョブ種に関する処理ルールテーブルを定義し、他のジョブ種の実行時においても前述したJDFプリントジョブの場合と同様に処理するよう実施することも可能である。本実施形態では、説明の便宜上、JDFプリントジョブの場合に絞り説明を行う。
保存文書データ3303は、図21においてしめしたBOX機能プログラムにより実現されるBOX機能により本印刷システム内に保持された文書データに相当する。続く保存文書データ管理テーブル3304は保存文書データ3303の管理情報を格納する。
スプール領域3305は、本印刷システム1000に送信された印刷対象データを該ジョブの実行が完了するまで一時的に保持しておくための領域である。このような印刷対象データには、図21に示したPDLプリント機能プログラムにより実現されるPDLプリント機能により送信されたもの、もしくはJDFプリント機能プログラムにより実現されるJDFプリント機能により送信されたものが含まれる。該印刷ジョブの実行が完了したら該当する印刷ジョブデータはスプール領域3305から削除され後続の印刷ジョブのために領域が開放される。前述したスプール領域3305に対するデータの格納およびジョブ完了後の領域開放の制御はコントローラ部205によりPDLプリント機能およびJDFプリント機能の実行の過程で制御される。
空き領域3306は、上述したすべての領域以外のハードディスク209内の領域に相当し、該領域の容量は本印刷システム1000の処理の進捗状況に応じて刻々と変化する。ハードディスク209の利用負荷によっては空き領域3306が枯渇し消滅する場合もありうる。
図23は、図21において示したJDFプリント機能プログラム3108により実現されるJDFプリント機能が処理対象とするジョブデータの構成の一例を示すためのものである。JDFプリントジョブにおいては、以下のものがMIMEフォーマットにより単一のパッケージに組み入れられ、該MIMEフォーマットによりエンコードされたデータを受理することを想定している。
・印刷処理対象となる画像情報に相当するコンテンツデータ。
・ジョブの設定情報のみを保持するジョブチケット領域。
・PODワークフロー間で交わされる通信およびステータス管理を行うための管理領域。
本実施形態によるJDFプリント機能においてもMIMEフォーマットによるジョブデータの処理を想定している。JDFの仕様としてはMIMEパッケージ以外のジョブデータの扱いに関しても言及されているが、本実施形態の効果を説明する上ではデータのパッケージングの仕様に関しては本質的ではないために、前述したMIMEフォーマットのケースについて説明する。しかしながら、MIMEフォーマット以外のフォーマットによりJDFジョブ投入がなされてもよいことは言うまでもない。
MIMEヘッダ3501は、MIMEフォーマットにより複数のパートを単一のパッケージに組み入れる際に必ず必要となるヘッダ領域であり、ここにはMIMEパッケージ全体のデータサイズ等MIMEの管理情報が格納される。
JMFパート3502は、上述したPODワークフロー間で交わされる通信およびステータス管理を行うための管理情報を格納する領域である。
第1の領域としてのJDFパート3503は、上述したジョブの設定情報を保持する領域である。JDFによるジョブチケット内でいかなるフォーマットによりいかなる設定情報を保持されるかに関してはJDFの仕様としてCIP4が発行するJDF仕様書に記載されている。本印刷システム1000におけるJDFプリント機能を実現するに際しても該仕様書の記載事項に基づき処理されることを想定しているため詳細説明は省略する。ただし、本実施形態による効果を説明する上で最低限の具体例を例示するために、後の図においてジョブチケットの一具体例を示し概略の説明を行うものとする。
続く第2の領域としての、PDLファイル1(3504)、PDLファイル2(3505)、PDLファイル3(3506)は、印刷対象となるコンテンツデータそのものである。同図においては、3つのコンテンツデータがMIMEパッケージに内包されている場合の例が示されている。PDLコンテンツパートの数については仕様上の制限は存在せず、同図におけるコンテンツ数3以外のケースにおいても同様に処理される。また、JDFの仕様により、PDLコンテンツがMIMEパッケージ内に内包される代わりに外部のファイルシステム等に保持され、該外部のファイルシステム等に保持されたファイルのURLのみがJDF内に記載される。また、該URLに基づき該外部のファイルシステム等に保持されたファイルをPULLすることによりコンテンツデータを処理する仕様も存在し、本印刷システム1000におけるJDFプリント機能においても該機能を処理することが可能である。しかし、基本的な動作は同様であるため、本実施形態の説明においてはコンテンツファイルのPULL時の動作の詳細説明は省略する。なお、MIMEフォーマット自体の仕様に関してはRFCにおいて定義されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
図24は、図23におけるMIMEパッケージ内に内包されるJDFパート3503のJDF記述内容の一具体例を示したものである。いうまでもないことであるが、同図において示したJDFはJDF仕様に基づくJDF記述の一具体例に過ぎず、これに限られないことは明らかである。換言すれば同図において示したJDFの一具体例は後述する機能の説明を効率よく行うために最低限の内容を含んだものを選択したに過ぎない。
図24において示すJDFパートは大きく分けて次の4つの部分から構成される。
・JDFの管理情報が格納されるJDFノード3701。
・ジョブ履歴を格納するオーディットプール3702。
・JDFが定義するリソースとプロセスの関係を記述するリソースリンクプール3703。
・JDFが定義するプロセスにおける設定情報を格納するリソースプール3704。
各パートの具体的な仕様および記述された内容、スキーマ等はJDFの仕様に準拠したものであれば構わない。JDFの仕様についてはJDF仕様書に記載されているため、本発明の実施形態の説明に置いては詳細について言及しない。
図25は、図21において示した装着オプション能力テーブル3112内に格納および管理されている情報の詳細を説明するためのものである。装着オプション能力テーブル3112は4つのフィールドから構成されており、この4つのフィールドの情報が接続されたデバイス毎に管理・格納される。
デバイス種フィールド3901は、本印刷システム1000に装着可能なシート処理装置200や、図3において示したペーパーデック319などの脱着可能なデバイスの種別を識別するためのフィールドである。なお、本実施形態においては印刷装置本体100は厳密には装着オプションには該当しないが、単一のテーブルで管理されることによる管理運用上の理由から特殊な装着オプションとみなし同一のテーブル内に管理することとする。装着オプションと印刷装置本体100を厳密に識別して管理する必要があれば図25に示すテーブルを2つに分割して管理するだけでかまわないが、本実施形態の説明においては後者の場合に関する例示は行わない。以後、図25の説明において前記脱着可能なデバイスおよび印刷装置本体100をあわせてデバイスと呼称する。
カテゴリフィールド3902は、デバイス種フィールド3901に格納されているデバイスが属するカテゴリを格納する。格納されるカテゴリとしては、例えば、次のものを定義することができ、いずれかのカテゴリがカテゴリフィールド3902に格納されるように構成することができる。
・紙面に印刷処理を行うことの可能な印刷装置。
・印刷対象となるメディアをストックすることのみを目的としたデッキ。
・出力された印刷済みメディアを大量に保持することが可能なスタッカ。
・折りや綴じ、パンチ等各種出力用紙に対する加工処理を施すことが可能なフィニッシャ。
なお、印刷装置自体に給紙口を備えデッキを装着せずとも単独で給紙可能な装置も存在する。実際、本実施形態に係る本印刷システム1000は、図3に示すとおり給紙カセット317および給紙カセット318を備えている。このようなデバイスにおいてもテーブルの管理的な観点からはカテゴリとしてデッキとは分類することなく印刷装置として分類するものとして実施した例を示している。言い換えれば、各デバイスが前述した4種類のカテゴリのいずれかに必ず該当するように、装着オプション能力テーブル3112は管理される。
機能フィールド3903は、デバイスが備える各種機能の種別を格納するフィールドである。当然のことながらデバイスの属するカテゴリ種に応じてサポートする機能は異なるため、同図におけるテーブルの内部もそのようになっている。換言すれば同一のカテゴリに属するデバイスは同一種のセットの機能フィールドを有するように、装着オプション能力テーブル3112は管理される。
サポート状況3904は、各デバイスのそれぞれの機能フィールド3903に記載された機能を実現することができるかどうかを示すフラグ情報を保持するためのフィールドである。とりうる値としては該機能をデバイスがサポートしている場合にはOKという意味の値が格納され、該機能をデバイスがサポートしていない場合にはNGという意味の値が格納される。実際に図21において示しROM207内に格納される装着オプション能力テーブル3112内のデータは特定の2進数表現による数値が格納されるため、同図において示したOKあるいはNGという文字列そのものが格納されるわけではない。ここでは説明の簡略化のために前記2進数表現による数値と等価な値として便宜上これらOKあるいはNGという文字列が格納されているかのような表現を採択している。これはあくまでも本実施形態の説明のためのものであることを断っておく。本実施形態における以後の説明においてテーブルに格納される値に関する記述がなされた場合においても、同様の記述方法を用いて説明を行う。
図25において示した装着オプション能力テーブル3112には5種類のデバイスに関する情報が格納されている。5種類のデバイスとは、すなわち複合機本体、大容量ペーパーデッキ、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機の5種類である。これらのうち糊付け製本機、中綴じ製本機はフィニッシャという同一カテゴリに属するデバイスであることを同図は示している。
図26は、機器構成管理テーブルの内容を説明する図である。機器構成管理テーブルは、図21において示した機器管理機能プログラム3104によって管理され、図21の機器管理機能プログラム3104の説明においてなされた方法および条件に従いRAM208内に保持される。機器構成管理テーブルは、本印刷システム1000に装着される脱着可能なシート処理装置200や図3において示したペーパーデッキ319、あるいは印刷機本体100を構成するサブデバイス等の接続状態を管理する。同テーブルは3つのフィールドから構成される。以下、それら3つのフィールドの説明を行う。
デバイス名フィールド4101は、本印刷システム1000に脱着可能な全デバイスが列挙されている。同一種のデバイスが複数装着可能である場合にはデバイス名の末尾に数字を付加し識別可能となるように管理される。本印刷システム1000は複雑なオプションの組み合わせをユーザニーズに合わせて選択可能となるように構成されている。ただし、組み合わせるべきデバイスの種類によっては必ずしもすべての組み合わせが可能なわけではなく、物理的あるいは機器の構成的な都合により不可能な組み合わせが存在することは既に述べた。しかしながら、同図が示す装着オプション能力テーブル3112のデバイス名フィールド4101にはそれら組み合わせの有効性については管理対象としておらず、機器に装着される可能性のあるすべてのデバイスを列挙する。実際に装着されているか否かは後述する同テーブル内の別フィールドの値によって識別される。
デバイス種フィールド4102はデバイス名フィールド4101に格納されたデバイスのカテゴリを格納するフィールドであり、図25において示した装着オプション能力テーブルのカテゴリフィールド3902の内容と等価な値が格納される。
接続状況フィールド4103は、前記デバイス名フィールド4101に記載されたデバイスが本印刷装置に接続されているか否かを格納するためのフィールドである。とりうる値としては該機能をデバイスがサポートしている前記デバイス名フィールド4101に記載されたデバイスが本印刷装置に接続されている場合にはOKという意味の値が格納される。一方、前記デバイス名フィールド4101に記載されたデバイスが本印刷装置に接続されていない場合にはNGという意味の値が格納される。図26のテーブルの例では、本印刷システム1000は、スキャナと大容量スタッカが1台接続されている状態にあることが示されている。
図27は図22において既に説明したハードディスク209内に格納される処理ルールテーブル3302に格納される情報の詳細内容を説明するためのものである。図示するように同テーブルは3つのフィールドから構成される。以後それら3つのフィールドの説明を行う。
機能フィールド4301は、JDFジョブチケットにより設定可能なジョブ実行時に必要となる機能に対する設定属性の種別を格納するフィールドである。同図において16種の異なる設定項目が登録されている。実際のJDFプリントジョブが処理することのできる設定項目種の数は同図において示したものよりも多いが、本実施形態の効果を説明をするにあたっては説明の効率化の観点から限定的な種別の設定属性のみを例示し、それに基づいて説明を行う。
非サポート時の動作仕様フィールド4302は、指示された機能を本印刷システム1000が実行することができない場合に、機器に投入されたJDFプリントジョブの実行をコントローラ部205が行う際に採択すべき処理内容が記載されるフィールドである。非サポート時の動作仕様フィールド4302には、印刷機能毎に、指定された印刷条件を満たすために必要な印刷機能を前記印刷装置が提供できない場合に行う動作を指定する動作指定情報に対応する値が格納される。同フィールドの取りうる値は以下の3種類がある。
・「デフォルト値で動作」:第一の値は対象となる機能が実行できない場合には該機能に関してジョブチケットによる設定値の代わりに機器のデフォルト値により置換してジョブの実行処理を継続することを示す。
・「無視」:第二の値は対象となる機能が実行できない場合には該機能に関してジョブチケットによる設定が元からなされなかったものとみなしてジョブの実行処理を継続することを示す。
・「キャンセル」:第三の値は対象となる機能が実行できない場合には該機能に関する設定がなされたジョブチケットによるジョブの実行そのものを無効にすることを示す。
機能フィールド4301に記載された各機能に対応する非サポート時の動作仕様フィールドの値については本実施形態においてはシステムにあらかじめ設定されているものとする。しかしながら、該フィールドの値をユーザにより変更可能とするような実装形態を採択してもかまわない。
デフォルト値フィールド4303は、同図における非サポート時の動作仕様フィールド4302の値が「デフォルト値で動作」であった場合に選択されるデフォルト値を格納するフィールドである。従って、非サポート時の動作仕様フィールド4302の値が「デフォルト値で動作」以外であった場合には該フィールドの値は空となる。
図28は、図23において例示したようなジョブチケットによるJDFプリントジョブが投入された際に、図23において示したジョブチケット中のJDFパート3503部の解析完了後に生成されるJDF解析結果テーブルの詳細を説明するためのものである。ただし、JDFプリントジョブの投入は、例えば、図2におけるコントローラ部205において実行されるハードディスク内209内に格納されたJDFプリント機能プログラム3108に基づいて、機器に外部I/F202経由でなされる。図28のように同テーブルは3つのフィールドから構成される。以下、それら3つのフィールドの説明を行う。
機能フィールド4501は、JDFジョブチケットを解析した結果判明する各機能毎の設定属性の種別を格納するフィールドである。解析結果フィールド4502は、JDFジョブチケットを解析した結果を前記機能フィールド4501の種別に応じて格納するためのフィールドである。
実行可否フィールド4503は、コントローラ部205が機能毎の解析結果と、処理ルールテーブルの該当機能のフィールドを照合し、JDFプリントジョブの実行を継続すべきか否かを各設定項目ごとに判別した結果を格納するためのものである。ただし、実行可否フィールド4503への値の格納はJDFパートの解析処理完了後になされ、機能毎の解析結果は、例えば、解析結果フィールド4502に格納されており、処理ルールテーブルは図27に例示されている。実行可否フィールド4503がとりうる値は以下の3種類である。
・OK:ある機能におけるJDFパートの解析結果および図27に示す処理ルールテーブル内の同機能の非サポート時の動作仕様フィールドとの照合の結果、ジョブを継続処理可能であることを示す。
・NG:ある機能におけるJDFパートの解析結果および図27に示す処理ルールテーブル内の同機能の非サポート時の動作仕様フィールドとの照合の結果、ジョブを継続処理不可能であり該ジョブをキャンセルする必要があることを示す。
・N/A:機能の設定がそもそもなされていない、あるいは本印刷システム1000がもとよりサポートしていない場合等ジョブの継続可否の判断にそもそも関係ないことを示す。
図28において示した例は、図26において示した機器構成管理テーブル内が同図において示した状態である際に、図24において例示したJDFジョブチケットを解析した際に生成されるJDF解析結果テーブルである。図24のジョブチケットではサドルステッチによる中折り製本処理の実行が指示されているが、図26において示した機器構成管理テーブルによれば、中折り製本処理の実行が可能となるフィニッシャが装着されていない。その場合、図27において示した処理ルールテーブルの中綴じ製本機能の非サポート時の動作仕様フィールドを参照するとその値はジョブキャンセルとなっているため、図28における中綴じ製本機能の実行可否フィールドの値はNGになっている。つまり、図24において例示したJDFジョブチケットを含むJDFプリントジョブは本印刷システム1000の構成および状態が図26において示したものであった場合にはジョブは実行されることなくキャンセルされる。
(基本処理)
次に、コントローラ部205の制御に基づく本印刷システム1000の動作について、図29を参照して説明する。図29は、図2におけるコントローラ部205によってシステム起動時以後の複合機としての機器全体の制御に関する処理フローを説明するためのものである。
まず、電源が投入されると最初にブート処理を行う(ステップS4701)。具体的には図21において示したブートローダ3101をコントローラ部205がROM207から読み出し、該読み出されたプログラムを実行することに相当する。同ステップで行う処理には、本印刷システムに接続されている各種デバイス、資源等の初期化コマンドの発行、機器が起動直後に行うクリーニング等の初期化処理に該当するすべての初期化処理の実行が含まれる。また、ブートローダ3101が行う処理には、図2において示したコントローラ部205がHDD207から図21において示したオペレーティングシステム3102を読み出し該オペレーティングシステムのサービスが開始されるまでのプロセスも含まれる。
ブート処理が完了すると、コントローラ部205次にROM207内に格納されている機器管理機能プログラム3104を読み出し、実行する(ステップS4702)。同ステップにおいて実行される前記機器管理機能プログラム3104により、コントローラ部205がデバイスの接続状態を調査し、図26において示した機器構成管理テーブルをRAM208内に作成する。このステップにおける動作の詳細については後述する。
次に、ステップS4703に進み、コントローラ部205が上述した以外のプログラムをROM207から読み出し、実行する。該ステップにおいては、ロード対象となるプログラムは図21において示したROM内に格納されている各種プログラムのうち、上述のステップにおいて既に読み込まれているものを除いたすべてが含まれるが、ここでは詳細は省略する。
ステップS4703までの段階で本印刷システム1000の複合機として機能するための準備は完了し、ステップS4704のイベント待ち状態に移行する。ここで言うイベントとは、例えば以下のものが含まれる。
・ユーザによる操作部204経由でのジョブ実行指示あるいは設定変更。
・外部I/F202経由で本印刷システム1000外の機器から本印刷システム1000に対して投入されるプリントジョブ。
・JDFプリントジョブの受信および該受信ジョブの実行依頼。
・本印刷システム1000外の機器から本印刷システム1000に対するジョブ投入以外の処理要求、例えば機器のステータス取得や機器内に格納されている各種設定情報や管理情報の変更等。
・本印刷システムの内部において発生する各種イベント、具体的には用紙切れが発生した場合やデバイスのステータス変化等、本印刷システムがアイドル状態から遷移するためのきっかけとなるすべての事象。
換言すれば、イベントが発生しない限り本印刷システムの全体の制御を司るコントローラ部205は、ステップS4704から遷移することはない。
ステップS4704において本印刷システム1000において何らかの事象が発生し該事象がコントローラ部205に対して通知された場合には、ステップS4705以降のステップに進み、発生した事象の識別及び該発生した事象に対応した動作の実行を行う。そのために、まずはステップS4705において、ステップS4704にて発生した事象の種別をコントローラ部205が判別する。
コントローラ部205においてイベント発生時になされるステップS4705の判別結果、発生した事象がJDFジョブ実行開始依頼であるかどうかの判別を行う。前記JDFジョブ実行開始依頼は図2におけるI/F202部が外部機器からのJDFジョブデータを受信したと判別された段階でコントローラ部205に対して発行されるイベントである。ステップS4706における判別の結果、発生したイベントがJDFジョブ実行開始依頼であると判別された場合(ステップS4706でYES)にはステップS4710に進む。一方でステップS4706における判別の結果、発生したイベントがJDFジョブ実行開始依頼でないと判別された場合(ステップS4706でNO)には、ステップS4707に進む。
ステップS4710においては、外部I/F202経由で本印刷システム1000外の機器から本印刷システム1000に対して投入されたJDFプリントジョブの印刷処理を、コントローラ部205が実行する。ステップS4710における動作の詳細に関しては後述する。
ステップS4706の判別の結果、コントローラ部205においてイベント発生時になされるステップS4705の判別結果、発生した事象がJDFジョブ実行開始依頼でないと判別された場合(ステップS4706でNO)に、ステップS4707に進む。ステップS4707では、発生したイベントが機器構成変更によるものであるかどうかをコントローラ部205が判別する。同ステップにおける判別の結果、発生したイベントが機器構成変更ものであった場合(ステップS4707でYES)にはステップS4709に進み、機器構成変更処理を実行する。機器構成変更処理の詳細に関しては後述する。
ステップS4707の判別の結果、コントローラ部205においてステップS4705において判別された事象がJDFジョブ実行開始依頼でも機器構成変更処理でもないと判別された場合(ステップS4707でNO)には、ステップS4708に進む。ステップS4708では、前記JDFジョブ実行もしくは機器構成変更処理以外の、発生したイベント種に応じた処理を実行する。同ステップにおいて実行される処理の内容としては、様々なものがあてはまるが、それら個々の動作の種別及び動作の内容に関しては本実施形態を説明する上で重要ではないため簡略化のため単一のステップにまとめて表記してある。ただし、同ステップにおいては上述したように複数の処理の実行が含まれていることを明記しておく。
コントローラ部205において、ステップS4708、ステップS4709、ステップS4710の各処理が完了したらステップS4704に移動し、コントローラ部205は再び次のイベント処理の待ち状態に移行する。
(機器構成管理)
図30は、コントローラ部205において実行される図29に記載したステップS4702の機器構成管理プログラムの詳細動作を説明するためのフロー図である。まず最初に、機器構成管理テーブルのエントリをRAM208上に作成する。機器構成管理テーブルに関しては図26において既に詳細な説明を行っているためここでの説明は省略する。ステップS4901において作成された機器構成管理テーブルは、デバイス名フィールド4101およびデバイス種フィールド4102のみ情報が格納され、接続状況フィールド4103は空の状態になっている。ステップS4902以降の処理が前記接続状況フィールド4103に適切な値を格納するための処理に相当する。そのための最初のステップとしてステップS4902において、機器構成管理テーブルに存在するデバイス名フィールド4101に登録されているデバイスのすべてについて調査が完了したかどうかを判別する。当然のことながら、ステップS4901の直後にこのステップに到達した段階では同ステップにおける判別結果は必ず偽となる。
ステップS4902の判別の結果、まだ走査すべきデバイスが残っている場合(ステップS4902でNO)にはステップS4903に進み問い合わせ対象デバイスを選定する。この時に選定されるデバイスはステップS4901において作成された機器構成管理テーブルのデバイス名フィールド4101の順に実行される。
ステップS4903の処理を実行すると、次に、ステップS4904においてステップS4903で選定されたデバイスが本印刷システム1000に接続されているかどうかを判別する。この時に実行される判別のプロセスは各デバイス間を電気的に接続する接続手段を介して特定のプロトコルに従い接続状況の確認を行うが、詳細な説明は省略する。同ステップでは、例えば、問い合わせ対象デバイスが存在すればその旨ステータスがコントローラ部205に返却されることにより接続が確認される。一方、問い合わせ要求を出力しても一定期間内に返答がなくタイムアウトした場合には問い合わせ対象デバイスは非接続状態にあると見なす。
次に、ステップS4905においてステップS4904の問い合わせ結果を判別する。問い合わせ対象デバイスが接続されていると判別された場合(ステップS4905でYES)にはステップS4906に進み、機器構成管理テーブルの該当デバイスの接続状況フィールド4103のステータスを「OK」に更新する。一方で、判別の結果、問い合わせ対象デバイスが接続されていないと判別された場合(ステップS4905でNO)にはステップS4907に進み、機器構成管理テーブルの該当デバイスの接続状況フィールド4103のステータスを「NG」に更新する。
ステップS4906もしくはステップS4907の処理が完了した後に、再びステップS4902に戻り、次のデバイスの走査を実行する。ステップS4902からステップ4906およびステップS4907はループを形成しており、機器構成管理テーブルに格納されているデバイス名フィールド4101に記載の全デバイスの走査が完了するまで上述のステップを繰り返し実行する。
一方、ステップS4902の判別の結果、全てのデバイスの接続状況の調査が完了したと判断された場合(ステップS4902でYES)には、同図のフローは終了する。
(JDFプリントジョブの印刷処理)
図31は、図29において示したステップS4710、即ち、本印刷システム1000に対して投入されたJDFプリントジョブの印刷処理をコントローラ部205が実行する際の詳細フローを説明するフローチャートである。
まず、最初に、JDFプリントジョブを構成するデータのMIMEフォーマットの解析を行う。具体的には受信されたMIMEデータ中に含まれるコンテンツをMIMEヘッダの情報を元に切り出し、切り出されたコンテンツデータをハードディスク209内に格納する。同ステップにおいてMIMEデータから切り出されるコンテンツはJMF、JDF、および印刷対象となるPDLコンテンツの3種類であり、PDLコンテンツについては1つ以上存在することを許している。
次に、ステップS5102に進み、ステップS5101においてMIMEデータから切り出され、ハードディスク209内に格納されているJMFパートの解析処理を行う。JMF自体はJDFワークフローシステムを制御する上で主に通信、ステータス等を担当する重要な働きを為すが、本実施形態の効果を説明する限りにおいては重要ではないため、詳細な説明は省略することとする。
ステップS5102におけるJMFパートの解析処理が完了した後、ステップS5103に進み、ステップS5101においてMIMEデータから切り出され、ハードディスク209内に格納されているJDFパートの解析処理を行う。同ステップにおける詳細な処理は後述する。ステップS5103におけるJDFの解析処理により、ジョブチケットに格納されている設定情報と、デバイスの能力およびステータスにより、受信されたジョブを実行することができるかの判断もあわせて行う。
次に、ステップS5104では、ステップS5103において判別されたジョブチケットに格納されている設定情報と、デバイスの能力およびステータスにより、受信されたジョブを実行することができるかの判断を行い、後続の処理を決定する。すなわち、ステップS5104において、受信されたジョブを実行することが可能であると判断された場合(ステップS5104でYES)にはステップS5105に進む。一方でステップS5104において、受信されたジョブを実行することが不可能であると判断された場合(ステップS5104でNO)にはステップS5107に進む。
ステップS5105においては、ステップS5101においてMIMEデータから切り出され印刷対象となるPDLコンテンツの解析処理を行う。具体的にはPDLコマンドの解析とイメージデータへの変換処理をステップS5103において解析されたJDFに記載された設定情報に従い実行し、最終的に印刷可能なラスタイメージに変換し、ハードディスク209内に変換後イメージデータを格納する。PDLデータ解析処理の詳細に関しては本実施形態の効果を説明する上で重要ではないため詳細説明は省略する。
次に、ステップS5106において、ステップS5105で展開されハードディスク209内に格納された印刷対象イメージデータを、ステップS5103において解析されたJDFに記載された設定情報に従い、印刷処理を実行する。即ち、図28に例示するような、JDF解析結果テーブルに基づいて印刷処理を行う。従って、解析の結果、JDFに指定された印刷条件を満たすために必要な印刷機能のうち、本印刷システムが指定された通りに提供可能なものは、当該機能を実行することになる。また、指定された通りに提供できないものは、非サポート時の動作仕様4302に基づく動作を実行することになる。このため、本実施形態に係る構成によれば、本印刷システムが提供可能な機能の範囲で適切な印刷処理を実行することができる。ステップS5106の処理が終了したら図29におけるステップS4704に戻る。
一方、ステップS5107では、ステップS5104の判別の結果、受信されたジョブを実行することが不可能であると判断された場合に当該ジョブの実行をキャンセルする。ステップS5107の処理が終了したら図29におけるステップS4704に戻る。
(JDFパート解析処理)
図32は、図31におけるステップ5103すなわちJDFパート解析処理における動作の詳細を説明するためのフロー図である。まず、最初にXMLの構文解析処理を行い、JDFに記載されている要素、属性情報を内部データ構造に取り込む(ステップS5301)。
次に、ステップS5302以降のステップで、ステップS5301で解析した結果得られる情報に基づき意味解析処理を実行する。ステップS5302においてはJDFのうちのルートノードであるJDFノード部分の意味解析処理を実行する。JDFノードにはジョブ管理に必要となる情報のほか、当該JDFが処理対象とするプロセスの定義等に関する情報が格納されている。
次に、ステップS5303においてJDFのうちジョブ実行時の設定パラメータの格納場所であるリソースプール内の情報に関する意味解析処理を実行する。リソースプール内に実際のPDL展開処理、面付け等のイメージ加工処理、そして印刷処理、フィニッシング処理等において反映すべき各種設定情報が格納されている。
次に、ステップS5304においては、JDFのプロセスとリソースのリンク情報が適切に表現されており矛盾したリンク設定がなされていないかどうかに関する調査を実行する。上記の、ステップS5301からステップS5304までがJDFパートにおける構文解析および意味解析処理に該当する。
ステップS5304の処理を終了すると、次にステップS5305において、上述したステップS5301からステップS5304までの処理において、解析エラーが発生していたかどうかの判別を行う。解析エラーが発生していると判別された場合(ステップS5305でYES)にはジョブを実行することができないため、ステップS5307に進み、ジョブ実行フラグにNGをセットする。ただし、ジョブ実行フラグとはコントローラ部205が当該フローに記載された処理を行うプログラムを実行するにあたり、RAM208上に取られる特定の領域のことを指す。
ステップS5305において、上述したステップS5301からステップS5304までの処理において、解析エラーが発生していなかったと判定された場合(ステップS5305でNO)には、ステップS5306に進みJDF解析結果テーブルを作成する。同ステップにおいて作成されるJDF解析結果テーブルの詳細に関しては図28の説明において為されているため省略する。ステップS5306における処理が完了したらステップS5308に進む。
ステップS5308においては、ステップS5306において作成された解析結果テーブルと図25において示した装着オプション能力テーブルの情報を照合する。そして、解析結果テーブルにおいて格納されるジョブの設定に関して、装着オプション能力テーブル内に記載の機能のうち、現時点における本印刷システム1000の構成においては実行することの出来ない機能の抽出を行う。
次に、ステップS5309において、ステップS5308において抽出された現時点における本印刷システム1000の構成においては実行することの出来ない機能のそれぞれについて、図27において示した処理ルールテーブルの該当機能の欄と照合する。これにより、実行不可の設定項目毎の動作仕様を調査する。ステップS5310では、ステップS5309での調査結果のうち、ステップS5308で抽出された機能に対応する処理ルールテーブルの非サポート時の動作仕様フィールド4302の値がジョブキャンセルとなっているものが存在するか否かを判別する。
機器構成或いは能力により実行できないジョブ設定が存在し、かつ、その機能が設定された場合はジョブをキャンセルよう定められた機能が一つでも存在すると判別された場合(ステップS5310でYES)には、ステップS5307へ進む。ステップS5307では、このジョブをキャンセルする。
一方、ステップS5310の判別の結果が偽である場合は、機器構成あるいは能力により実行することのできないジョブ設定が存在したとしても、その設定によりジョブキャンセルするまでもない場合である。即ち、処理ルールテーブル記載の内容に従いデフォルト値を選択するか、設定そのものを無視することによりジョブの実行を継続可能な場合に該当する。ゆえに、その場合(ステップS5310でNO)にはステップS5311に進み、図27において示した処理ルールテーブル記載の内容に従いJDF解析結果テーブルの内容を補正し、ステップS5312に進みジョブ実行フラグにOKをセットする。
(機器構成変更処理)
図33は、図29におけるステップS4709、即ち、本印刷システム1000起動後に機器構成が変更された場合の機器構成管理テーブル補正処理の詳細を示すためのフロー図である。
ステップS5501の判別の結果、まだ走査すべきデバイスが残っている場合(ステップS5501でNO)にはステップS5502に進み問い合わせ対象デバイスを選定する。この時に選定されるデバイスは機器構成管理テーブル内に格納されているデバイス名フィールド4101の順に実行される。
次に、ステップS5503においてステップS5502で選定されたデバイスが本印刷システム1000に接続されているかどうかを判別する。この時に実行される判別のプロセスにおいては、各デバイス間を電気的に接続する接続手段を介して特定のプロトコルに従い接続状況の確認を行うが、詳細な説明は省略する。同ステップにより、問い合わせ対象デバイスが存在すればその旨ステータスがコントローラ部205に返却されることにより接続が確認される。一方、問い合わせ要求を出力しても一定期間内に返答がなくタイムアウトした場合には問い合わせ対象デバイスは非接続状態にあると見なすことができる。
ステップS5504において、ステップS5503の問い合わせ結果を判別する。問い合わせ対象デバイスが接続されていると判別された場合(ステップS5504でYES)にはステップS5505に進み、機器構成管理テーブルの該当デバイスの接続状況フィールド4103のステータスを「OK」に更新する。一方で、ステップS5504の判別の結果、問い合わせ対象デバイスが接続されていないと判別された場合(ステップS5504でNO)にはステップS5506に進む。ステップS5506では、機器構成管理テーブルの該当デバイスの接続状況フィールド4103のステータスを「NG」に更新する。
ステップS5505もしくはステップS5506の処理が完了した後に、再びステップS5501に戻り、次のデバイスの走査を実行する。ステップS5501からステップS5505およびステップS5506はループを形成しており、機器構成管理テーブルに格納されているデバイス名フィールド4101に記載の全デバイスの走査が完了するまで上述のステップが繰り返し実行される。
ステップS5501の判別の結果、全てのデバイスの接続状況の調査が完了したと判断された場合(ステップS5501でYES)には同図のフローは終了する。
本実施形態に係る構成によれば、例えば、オフィス環境に留まらずPOD環境にも適応可能な使い勝手の良い便利な印刷環境が構築可能となる。また、例えば、極力、高い生産性でもってシステムを動作させたいといったニーズや、極力、オペレータの作業負荷を軽減したいといったニーズ等、POD等の印刷環境における実際の作業現場のニーズにも対処可能となる。特に、以下のような効果を奏する。
すなわち、近年POD市場向けの印刷装置として、対応が進みつつあるJDFジョブチケットを含む印刷データにより、印刷工程全般に関わる指示がなされた場合を考える。この場合、最終成果物としての印刷物に関わる入稿工程から配送工程といった、1つの機器に留まらず、複数デバイスが連携する、一連の作業工程に関わる指示が記述されたケースにおいても対応可能である。即ち、複数の機器を用いた複数の工程からなる一連のワークフローを、一つの指示書で管理していくことが可能となる。この結果、印刷工程全般に関わる複数の機器同士の連携や、各種機器の自動化といった観点でのメリットがもたらされる。
特に、1デバイスに依存しない共通フォーマットで、極力、様々な機器にてジョブを処理出来るようにする事を目的とした印刷システムを構築する場合を考える。例えば、デジタル複合機においてJDFをサポートした場合に、従来のプリンタドライバとは異なり、デバイス仕様や構成情報を知らずに作成されたJDFジョブチケットを受理して印刷処理等を実行するシステムを考える。
従来のシステムでは、例えば、実行環境(デバイスの能力や装着アクセサリ等)によりジョブチケットで指示された動作を印刷装置(印刷システム)にて完全に実行できないケースが発生しうるという点が問題となっていた。具体的には、利用者からの観点から、ジョブチケットを用いて印刷を指示する場合に、一方では指示通りの印刷物が印刷装置(印刷システム)にて作成できない場合には、そのジョブの処理自体をキャンセルすることを望むケースが存在しうる。同時に、他方においては設定が部分的に反映されなくても印刷装置(印刷システム)にて印刷物を出力されることを望むケース双方が同時に存在しうる。ところが、JDF形式のデータは、汎用性や機器の自動化や機器の連携や機器の管理等の観点で期待がもてる反面、1つの機器或いは特定タイプの装置の為にだけに用意されているデータではない。このため、従来のシステムでは、上述したようなユーザの意図する出力結果が機器単独で判別できないという問題が存在した。
これに対して、上記のように、本実施形態に係る構成においては、入力された印刷ジョブに含まれるJDF形式のデータを解析し、これにより示される印刷条件を満たす印刷処理を実行可能か否か判定する。そして、実行可能と判定された場合は、入力された印刷ジョブに基づいて印刷処理を行い、実行不可能と判定された場合は、該印刷ジョブに基づく印刷処理をキャンセルする。このため、本実施形態に係る構成によれば、本印刷システムが、入力された印刷ジョブに含まれるJDF形式データに基づいて印刷処理できるか否かに関わらず、適切に処理を制御することができる。従って、本実施形態に係る構成によれば、汎用的なフォーマットで印刷条件が記述された印刷ジョブに基づいて動作する印刷システムにおいて、ユーザに手間を要することなく適切な印刷処理を行うことを可能にする技術が提供される。
上記のような様々なユーザニーズに柔軟に対処できるようにした印刷のシステムに関する技術を提供することが本発明により可能となる。このように、従来で想定したようなPOD環境で想定されうるユースケースやニーズに対処可能な便利で且つ柔軟な印刷環境が構築可能となり、製品実用化に向けての様々な仕組みが提供可能となる。
なお、上記の構成では、印刷ジョブに含まれるJDFにより示される印刷条件を満たすために必要な印刷機能であって、サポートしていない印刷機能の全てについて「ジョブキャンセル」が指定されていない場合は、代替機能で処理を実行する。ここで、代替機能で処理を実行する場合は、その印刷処理の結果を示すログ情報(ログファイル)を所定の記憶装置(HD、RAM等)に記録制御し、ユーザからの指示に応じて、記録されたログ情報を表示手段に表示させるようにすることができる。このような構成によれば、ユーザは、印刷ジョブの設定とは異なる印刷機能を用いて印刷処理を行った場合に、実際にどのような印刷処理がなされたかを知ることができる。
ジョブ実行可否の判定において、実行不可能と判定された場合、実行できない印刷条件を表示手段に表示制御し、ユーザからの指示に応じて前記印刷条件を変更して、印刷処理を行うように構成してもよい。このような構成によれば、ユーザは、印刷システムが提供可能な機能に合わせて適切に印刷条件を調整し、所望とする印刷処理を実行することが可能となる。
また、印刷処理が実行不可能と判定され、ジョブキャンセル処理が実行される場合、この印刷ジョブをHD等の記憶装置(ジョブ記憶手段)に記憶するように構成してもよい。このような構成によれば、後に記憶装置から印刷ジョブを読み出して再度印刷処理を行うことができる。
また、記憶装置に記憶された、キャンセルされた印刷ジョブの印刷条件を表示手段に表示制御し、ユーザからの指示に応じて、この印刷条件を変更し、記憶された印刷ジョブに基づいて、印刷処理を行うようにしてもよい。このような構成によれば、ユーザの指示に応じて、記憶された印刷ジョブを読み出し、適宜印刷条件を更新して適切な印刷処理を実行することが可能となる。
<<第2実施形態>>
本実施形態では、処理ルールテーブルの内容をユーザが変更可能な構成について説明する。本実施形態に係る構成は、第1実施形態に係る構成とほぼ共通しているため、同等の構成は同一の符号で参照し、相違点を中心に説明する。
図34は、図5に示すユーザモードキー505が本印刷システム1000のユーザによって押下された直後にコントローラ部205の制御によりタッチパネル部401上に表示されるシステム設定画面の一例を示したものである。図示するように、各種システム設定機能に対応したボタンがLCD上に表示されている。
同図において表示される複数のシステム設定機能ボタンのうち、JDF設定ボタン6101の役割について説明する。JDF設定ボタンは本印刷システム1000が提供するJDFプリントジョブの動作に関する設定を行う操作画面を表示させるためのものである。前記JDF設定ボタン6101が押下された直後にJCD上に表示する操作画面を図35に示す。
本印刷システム1000における本実施形態によるJDF設定画面は、図示するようにJDFジョブチケットに記載された設定項目が本印刷システム1000の機器構成、能力等により実行できない場合の動作をユーザに選択させる機能を提供するものである。同画面においてユーザが選択することのできる動作は以下の2種類である。
・キャンセルボタン6301に対応づけられている、JDFジョブチケットに記載された設定項目が本印刷システム1000の機器構成、能力等により実行できない場合には当該ジョブをキャンセルするモード。
・無視ボタン6302に対応づけられている、JDFジョブチケットに記載された設定項目が本印刷システム1000の機器構成、能力等により実行できない場合には該当する設定項目の内容を無視してジョブ実行を継続するモード。
図35においてはLCD上のボタンは、無視ボタン6302が選択状態にあるが、キャンセルボタン6301が押下されることにより、キャンセルボタン6301を選択状態に変更する。これらは本印刷システム1000が具備するコントローラ部205の制御により行われる。
図36は、図35において示したJDF設定画面において無視ボタン6302が選択された後に、コントローラ部205の制御により修正された図27において示した処理ルールテーブルに格納される情報を示したものである。図36のように機能フィールド4301に記載された機能が本印刷システム1000の機器構成、能力等により実行できない場合の振る舞いとして、非サポート時の動作仕様フィールド4302の値が無視になっている。処理ルールテーブルの情報が同図のように示される場合に、JDFプリントジョブが投入され、かつ該ジョブのJDFジョブチケット部に実行不可能な機能に関する指定がなされた場合には、図のように該当する設定は無視してジョブの実行を継続する。これは、先の実施形態において示したように、処理ルールテーブル記載の内容に従いジョブの継続・キャンセルの処理が行われるためである。
具体的に例を挙げる。例えば、本印刷システム1000にシート処理装置200が装着されていない状態において中綴じ製本やくるみ製本等の設定を含むJDFによるジョブチケットを受信した場合を考える。この場合、それら実行することの出来ないシート処理に関する設定は無視し、該設定は反映されない形態の出力物を結果的に生成する。例えば、図1に示したように、本印刷システム1000を導入するユーザのワークフローにおいてオフラインフィニッシャ110、ニアラインフィニッシャ107等が存在する場合を考える。この場合、オペレータを介在することで本印刷システムの出力物を前記オフラインフィニッシャ110、ニアラインフィニッシャ107に設置し処理させることができる。これにより、最終出力物として中綴じ製本やくるみ製本加工された出力物を得ようとするユーザの目的を達成することが可能となる。
図37は、図35において示したJDF設定画面においてキャンセルボタン6301が選択された後に、コントローラ部205の制御により修正された図27において示した処理ルールテーブルに格納される情報を示したものである。図のように機能フィールド4301に記載された機能が本印刷システム1000の機器構成、能力等により実行できない場合の振る舞いとして、非サポート時の動作仕様フィールド4302の値がジョブキャンセルになっている。例えば、処理ルールテーブルに格納された情報が同図に示す状態にあるときに、JDFプリントジョブが本印刷システム1000に投入され、かつ該JDFプリントジョブのJDFジョブチケット部に実行不可能な機能に関する指定がなされた場合を考える。この場合、先の実施形態において示したように、処理ルールテーブル記載の内容に従いジョブの継続・キャンセルの処理が行われるため、同図に記載されるように、該当する設定が存在する場合にはジョブの実行がキャンセルされる。
具体的に例を挙げるとするならば、本印刷システム1000にシート処理装置200が装着されていない状態において、中綴じ製本やくるみ製本等の設定を含むJDFによるジョブチケットを受信した場合を考える。この場合、それら実行することの出来ないシート処理に関する設定が存在する場合には出力物を生成しないようジョブをキャンセルする。より具体的には、例えば、本印刷システム1000を導入するユーザのワークフローにおいてオフラインフィニッシャ110、ニアラインフィニッシャ107等が存在せず、かつ本印刷システム1000にもシート処理装置200を備えていないケースを考える。この場合、最終出力物として中綴じ製本やくるみ製本加工を指示するジョブを受け取ったときに、それら設定を無視してジョブの実行を継続した場合には、ユーザにとって結果的にミス出力物を生成したことになってしまう。このため、ジョブをキャンセルすることで、そのような出力を抑制するという、ユーザの目的を達成することが可能となる。
(基本処理)
図38は本実施形態における本印刷システム1000の、図2におけるコントローラ部205によってシステム起動時以後の複合機としての機器全体の制御に関する処理フローを説明するためのものである。同図のフローチャートは第一の実施形態において示した図29のフローチャートに対応するものである。共通部分が多いため、本実施形態においては図29のフローとの差分のみの説明を行う。
本実施形態では、ステップS4707の判別の結果が偽であった場合(ステップS4707でNO)に、ステップS4711に進む。ステップS4711では、ステップS4704において発生した処理要求の内容が処理ルールテーブル記載内容変更依頼であるかどうかを判別する。処理ルールテーブル記載内容変更依頼は、本実施形態においては図35において示した操作画面により機能フィールド4301に記載された機能が本印刷システム1000の機器構成、能力等により実行できない場合の振る舞いをユーザが選択する動作に相当する。
ステップS4711の判別結果が真であった場合(ステップS4711でYES)には、ステップS4712に進む。ステップS4712では、前記処理ルールテーブル記載内容変更処理を実行し、処理が完了したらステップS4704のイベント待ち状態に遷移する。ステップS4712の詳細に関しては後述する。ステップS4712の処理を実行すると、ステップS4704へ戻る。
ステップS4711の判別結果が偽であった場合(ステップS4711でNO)には、ステップS4708に進み前記JDFジョブ実行、処理ルールテーブル変更もしくは機器構成変更処理以外の、発生したイベント種に応じた処理を実行する。同ステップにおいて実行される処理の内容としては、様々なものがあてはまるが、それら個々の動作の種別及び動作の内容に関しては本実施形態を説明する上で重要ではないため簡略化のため単一のステップにまとめて表記してある。ただし、同ステップにおいては上述したように複数の処理の実行が含まれていることを明記しておく。ステップS4708の処理が完了した段階でステップS4704のイベント待ち状態に遷移する。
(処理ルールテーブル変更処理)
図39は、図37におけるステップS4712の処理ルールテーブル変更処理の詳細を説明するためのフロー図である。
まず、ステップS7101において、ハードディスク209内に格納されている処理ルールテーブルをRAM208上に読み込む。次に、図35において示した操作画面によりユーザが選択した処理ポリシーの値、すなわちキャンセルもしくは無視の値をステップS7102にて読み込む。ステップS7102において読み込まれる値は図35の操作画面による操作時に、コントローラ部205の制御によってRAM208上に格納されており、その値を同ステップにおいて読み込む。
次に、ステップS7103において、処理ルールテーブル内にまだ走査すべきエントリが残存しているかどうかの判別を行う。未処理のエントリが残存している場合(ステップS7103でNO)にはステップS7104に進み、処理ルールテーブル内の次に処理すべきエントリを選択する。ステップS7104の処理を終了すると、ステップS7105へ進む。
ステップS7105においては、ステップS7104において選択したエントリの非サポート時の動作仕様フィールド4302にステップS7102においてRAM208から読みとった値を書き込む。
次に、ステップS7106において、処理ルールテーブルのデフォルト値フィールド4303に対する値の書き込みを行う。ただし、本実施形態においては、非サポート時の動作仕様フィールドに書き込まれる可能性のある値は無視およびジョブキャンセルのみであるため、デフォルト値に関しては明示的な設定をする必要がない。従って、本実施形態における同ステップの動作は該フィールドの値を初期値もしくは値が格納されていないという意味を表現する値を書き込むことを意味する。
ステップS7106の処理が完了したらステップS7103に戻る。ステップS7103からステップS7106までのステップはループを形成しており、処理ルールテーブル内の全エントリに対して処理が完了するまで、ステップS7103からステップS7106までの各処理を繰り返す。
一方、ステップS7103の判別の結果、すべてのエントリについて処理が完了したと判別された場合(ステップS7103でYES)には、RAM208上に格納されている修正後の処理ルールテーブルをハードディスク209に書き戻し、処理を終了する。
上記のように、本実施形態に係る構成においては、処理ルールテーブルのユーザによる変更を受け付ける。このため、ユーザは、用途や目的に応じて適切な印刷処理の設定を行うことができる。
尚、ここで、上述の本実施形態の全ての構成において共通する構成を確認の意味を含めて補足説明する。
本実施形態の印刷システム1000が具備する印刷装置100は、印刷装置100による印刷処理を要するジョブとして少なくとも大きく分けて2種類のジョブを受付け可能に構成している。
例えば、既述の如く、制御部205は、「プリンタ部203による印刷時の印刷条件や後処理条件条件を含む一連の処理条件データがJDF形式のデータで表現された、ジョブ」を、印刷装置100により受付可能に、システム1000を制御する。このように、印刷システム1000に対する各種指示や動作命令がJDF形式のデータで指定されているジョブを、本実施形態の印刷システム1000により受付可能に構成している。尚、本実施形態にて、これに該当するジョブを、例えば、「JDFジョブ」と定義し、「第1タイプのジョブ」と称している。
尚、JDFとは、「Job Definition Format」の略である。このJDFは、CIP4の提唱する印刷に関する工程を指示するためのデータフォーマットであり、且つ、XML言語によって記述されるものである。このCIP4とは、「 The International Cooperation for Integration of Processes in Prepress, Press and Post press」の略であり、このCIP4とは、製版・印刷・印刷後加工における工程の統合のための国際的な協同組合である。
本システム1000は、印刷装置100による印刷処理に係る指示やインラインフィニッシャ200による後処理に係る指示を含む、本システム1000に対する指示も、このJDF形式のデータを用いて指定可能に構成している。これは、換言すると、本システム1000による各種処理の実行要求が、このJDF形式のデータの中に、コマンドとして含まれている事を意味する。尚且つ、本実施形態では、本システム1000にて実行可能な処理には該当しない処理の実行要求も、このJDF形式のデータの中に、コマンドとして含まれているジョブを、システム1000により受付可能に構成している。即ち、処理対象の1つのジョブの一連の処理条件データとして、システム1000に対するコマンドとシステム1000には依らないコマンドの両方のコマンドが含まれているJDF形式のデータを、システム1000により受付可能に構成している。
本実施形態では、このように、システム1000により受付対象のジョブに該当する、JDF形式のデータでもって各種コマンドが表現されているジョブを、既述の如く、「JDFジョブ」と定義している。
以上の構成を前提に、システム1000の印刷装置100による印刷実行要求が本実施形態のUI部を介してオペレータによりなされた処理対象のジョブが、JDFジョブであるとする。このように、JDFジョブをシステム1000にて受付けた事を条件に、制御部205は、上述した本実施形態に既述の制御を実行し、上述で例示の各種処理を、当該JDFジョブに対して実行可能に、システム1000を制御する。
なぜ、本実施形態にて、このようなJDFジョブを処理可能にシステム1000を構成せしめているのか、その理由及びその作用効果の1例について、以下に例示する。
例えば、まず、本実施形態では、JDFジョブの処理を印刷装置100を含むシステム1000により処理可能にする事で以下に例示の効果を図っている。例えば、図1のPOD環境10000では、PC104による印刷編集処理といった、「印刷装置100による印刷処理に先立って処理対象のジョブにて実行を要する処理に該当する、印刷前処理(プリプレス)」を行う。この処理の後に、この処理対象のジョブの為に、印刷装置100による印刷処理(プレス)を行う。且つ、この処理の後に、このジョブの為に、図1を用いて冒頭で定義した本実施形態のインラインフィニッシャ200又はニアラインフィニッシャ等により後処理(ポストプレス)を行う。このポストプレスは、「印刷装置100による印刷処理の後に処理対象のジョブにて実行を要する処理に該当する、印刷後処理」に該当する。
既述の如く図1のPOD環境10000は、複数の独立した機器毎に実行を要する、複数の処理からなる一連の処理(プリプレス→プレス→ポストプレスという一連の処理)を、処理対象のジョブの印刷物作成完遂に要する一連のワークフロー(ジョブフローとも呼ぶ)として、実行可能に構成している。換言すると、本実施形態では、このような「プリプレス」から「後処理(ポストプレス)間での一連のワークフローを実行するのに要する複数台の生産機器(例えば、PC104と、印刷装置100と、非オフラインフィニッシャ(インラインフィニッシャ200及びニアラインフィニッシャ108又は109等)を、POD環境10000にて具備している。且つ、これらの各機器を管理する生産管理コンピュータ(例えば、サーバコンピュータPC103)とを、ネットワーク101を介して接続可能に構成し、且つ、該コンピュータ103により各機器を管理可能に構成している。
このように、本実施形態のPOD環境10000は、印刷装置100とコンピュータ104とのネットワーク101を介してのデータ通信を可能に構成している。且つ、該POD環境10000は、印刷装置100と非オフラインフィニッシャ(インラインフィニッシャ200及びニアラインフィニッシャ108又は109等)とのネットワーク101を介してのデータ通信も可能に構成している。且つ、該POD環境10000は、コンピュータ104と非オフラインフィニッシャ(インラインフィニッシャ200及びニアラインフィニッシャ108又は109等)とのネットワーク101を介してのデータ通信も可能に構成している。このように、印刷物の作成完遂に必要な、互いに異なる処理を実行する、複数の機器とのデータ通信をするうえで、汎用性の高いデジタルデータ(XML)を利用可能に構成せしめる。
その為に必要な具体的構成として、既述の如く、本実施形態では、XMLデータを利用する印刷ジョブとしてJDFジョブを、本印刷装置100により処理可能に、制御部205により制御している。
この本実施形態の構成により、例えば、印刷システムがJDFをサポートしていないが為に未対処或いは対処が困難なニーズの1例として本実施形態が着目している、POD環境が如くの印刷環境にて要求されうる、以下に例示が如くの、各種ニーズに対処可能となる。
(1)「個々の機械や作業のレベルでの効率化が限界に達しているため、上流から下流までをトータルで管理して、生産性を上げたい」といったニーズ。
(2)「生産情報の伝達のムダやミスを防止したい」といったニーズ。
(3)「印刷すべきデータ自体は顧客のPCで作成された電子データであるにも拘らず、営業担当者が受注伝票を紙で手書き入力し、これを基に生産管理が生産計画を立て、CTPや印刷が行うといった、業務フロー」の問題。即ち、「ある作業は紙で行っていたり、ある別の作業はコンピュータを使っていたりと、紙と電子が入り混じれている、不統一な業務フロー」の効率化が図るといったニーズ。
このようなPOD環境が如くの印刷環境にて要求されうるニーズに対処可能に構成すべく、既述の如く、JDFジョブを印刷装置100により受付可能に構成せしめ、該JDFジョブの処理を、上述の実施例が如く、本印刷システム1000により、実行可能に制御部205により制御している。
このように、JDFのフォーマットに対応できるよう印刷システム1000を構成せしめることで、既述の各種ニーズに対処可能になる等の効果を図っている。
特に例えば、本実施形態がJDFのメリットの1例として想定着目している、「印刷会社の内部で使用している、受注伝票・作業指示書・完了報告書・日報などを全て電子化できる」といった、JDF特有のメリットを、本システム1000により、可能な限り、向上させる事ができる。
且つ、例えば、本実施形態がJDFのメリットの1例として想定着目している「営業担当者がCTPや印刷機、製本機が今、何の仕事を生産中で、どの仕事が終了したのかをつぶさに把握することができる」といった、JDF特有のメリットを、本システム1000により、可能な限り、向上させる事ができる。且つ、また、本実施形態がJDFのメリットの1例として想定着目している、「JDFはXMLを利用しているが故に、社内ポータルやブラウザ、PDFでの確認し指示する事もできる」といったメリットや、これによる作業効率の向上に、貢献できる。
以上の点に着目して、既述が如くに構成せしめている事自体も、本実施形態の印刷システム1000の大きな特徴点の1例でもあるが、本実施形態の印刷システム1000は、更に以下の構成も具備している点も大きな特徴点の1例でもある。
既述の如くの、本実施形態では、第1タイプのジョブに該当する「JDFジョブ」を印刷装置100による印刷対象のジョブとして、受付可能に構成している。この構成を前提に、本実施形態では、この第1タイプのジョブに該当する「JDFジョブ」とは異なるタイプのジョブも、印刷装置100による印刷対象のジョブとして、受付可能に構成している。
例えば、印刷装置100が具備する機能とインラインフィニッシャ200が具備する機能の両機能を最大限に活用可能に構成せしめた、他の機器に依存しない、本印刷システム1000独自のプリンタドライバを介して印刷実行要求がユーザから受付可能に構成する。
例えば、この1例として、印刷装置100のメーカが製造する印刷装置100専用のプリンタドライバを、図1のPC103やPC104等の外部装置にインストール可能に構成せしめる。且つ、この外部装置のマウスやキーボードを用いたオペレータ操作に応答し、該外部装置のCPUは、該外部装置にて該印刷装置100専用のプリンタドライバを起動させ、当該プリンタドライバの設定画面(例えば、図17Aや図17Bの印刷装置100の為の印刷設定画面)を、当該外部装置の表示部に、表示させる。且つ、該外部装置の表示部に表示させた該プリンタドライバの設定画面を介して処理対象のジョブの印刷処理条件及び印刷実行要求をユーザ操作により受付けた事を契機に、該外部装置のCPUは、該ジョブのデータを、印刷装置100へ、ネットワーク101を介して送信させる。この際、該外部装置のCPUは、当該印刷装置100により印刷処理を実行させる当該ジョブのデータを、例えば、JDF形式のデータフォーマットには該当しない、例えば、その印刷装置100のメーカ独自の非JDF対応のデータ(例えばPDL形式のデータ等)で、送信させる。且つ、このこの非JDF対応のデータを、印刷対象のジョブとして、印刷装置100により、システム1000を構成せしめている。
このように、本実施例にて印刷システム1000は、既述の第1タイプのジョブに該当するJDFジョブのみならず、JDF形式のデータではない非JDF対応のデータも、処理対象のジョブとして、受付可能に構成している。
本実施形態では、この「非JDF形式のデータ」のジョブの事を、「非JDFジョブ」と定義し、第2タイプのジョブとも称している。本実施形態では、この「非JDFジョブ」とは、「XML言語以外の言語によって、システム1000に対する各種実行要求が記述されている、システム1000により受付許可対象のジョブ」である事を意味し、定義している。
例えば、この「非JDFジョブ」の1例に該当する「PDL形式のジョブ」も、システム1000の外部I/F部202を介して受付可能に構成している。このPDLとは、Page Description Languageの略である。本実施形態にて、制御部205は、システム1000が受付けた当該PDL形式のジョブにて要する処理をシステム1000により実行させる。換言すると、制御部205は、「プリンタ部203による印刷時の印刷条件や後処理条件条件を含む一連の処理条件データが、JDF形式のデータ以外のデータフォーマットで表現された、ジョブ」を、印刷装置100により受付可能に、システム1000を制御する。
このように、印刷システム1000に対する各種指示や動作命令がJDF形式のデータでは指定されていないジョブを、本実施形態の印刷システム1000により受付可能に構成している。尚、本実施形態では既述の如く、これに該当するジョブを、例えば、「非JDFジョブ」と定義し、「第2タイプのジョブ」とも称す。
以上の構成を前提に、システム1000の印刷装置100による印刷実行要求が本実施形態のUI部を介してオペレータによりなされた処理対象のジョブが、非JDFジョブであるとする。
このように、印刷処理を要する非JDFジョブを、例えば外部I/F部202等を介してシステム1000により受付たとする。すると、これを条件に、制御部205は、先の実施形態にて既述のJDFジョブを処理する為の制御とは区別している、非JDFジョブをシステム1000にて処理する為のコンピュータ読取可能な制御プログラムをHD209から読出実行する。且つ、そのプログラムに従った制御を実行することで、制御部205は、この非JDFジョブの為にシステム1000にて実行すべき処理を、システム1000により実行させる。
既述の如く、JDFジョブ用の処理をシステム1000により実行可能にするのみならず、非JDFジョブ用の処理も、該JDFジョブ用の処理とは区別且つ独立して実行可能に、制御部205は、システム1000を制御する。且つ、これにより以下のように本システム1000を構成せしめる。
例えば、印刷実行要求がなされた処理対象のジョブが、JDFジョブであるとする。この場合、制御部205は、そのJDFジョブのデータをHD209に記憶させた際に、そのJDFジョブのXMLデータで如何なる印刷処理条件が設定されているか否かを特定する。且つ、制御部205は、システム1000のシステム構成情報もHD209から読出し確認する。これにより、制御部205は、そのJFDジョブにて印刷完遂に必要な全ての処理をシステム1000にて全て処理できるか否かを確認し、以下に例示のような判断を行う。
例えば、上記受付たJDFジョブは、「そのJDFジョブで指示されている複数の処理のうちの一部の処理はシステム1000にて実行不可だが、残りの処理については、システム1000にて実行可能なジョブ」である。或いは、上記JDFジョブは、「そのJDFジョブで指示されている複数の処理のうちのどの処理もシステム1000にて実行不可なジョブ」である。これら少なくとも何れかのケースに該当する判断を制御部205が下したとする。尚、ここでは、この少なくとも何れかに該当するケースのJDFジョブの事を、「非完全一致型のJDFジョブ」と定義する。
このように、処理対象のジョブが「非完全一致型のJDFジョブ」である事を条件に、制御部205は、印刷装置のHD209に予め保持している「JDFジョブを処理する為の制御ルール情報(先の実施例では、既述の如く、管理テーブル形式でこれに該当する情報を管理している)を読出参照する。
その結果、「非完全一致型のJDFジョブに該当するジョブは、印刷開始自体を禁止し、且つ、そのジョブの処理自体を終了する為の、ジョブキャンセル処理を実行する」設定が、システム1000にて予め指示されているとする。この場合、制御部205は、該外部I/F202を介し受付けた「非完全一致型のJDFジョブ」の印刷データをプリンタ部203により印刷開始させる事自体を禁止する。且つ、制御部205は、そのジョブの処理を、オペレータによる処理中止要求が入力される事無しに、自動的に、終了させる。且つ、制御部205は、HD209に保持させていた印刷データを含むそのジョブのデータ自体をHD209から消去するよう制御する。
このような「非完全一致型のJDFジョブ」のキャンセル処理を、システム1000にて予め設定された該JDFジョブの為のルール情報に従い、自動的に実行可能に、制御部205はシステム1000を制御する。
一方、上記JDFジョブ用の制御ルール情報を確認した結果、「非完全一致型のJDFジョブに該当するジョブに関して、システム1000にて可能な処理についてはシステム1000にて遂行し、システム1000にて実行不可の処理については無視する(行わない)。これにより、印刷開始自体は禁止せず、プリンタ部203により印刷処理の実行自体は許可する」設定が、システム1000にて予め指示されているとする。この場合、制御部205は、該外部I/F202を介し受付けた「非完全一致型のJDFジョブ」の印刷データをプリンタ部203により印刷開始させる事自体は禁止せず、HD209から該印刷データを読出して印刷させる。且つ、且つ、制御部205は、そのJDFジョブで指示されている複数の処理のうちのシステム1000にて実行不可の処理については、実行する事無く、或いは、システム1000にて実行可能なデフォルト設定の処理に変更して変更後の処理を実行させるようシステム1000を制御する。且つ、制御部205は、そのJDFジョブで指示されている複数の処理のうちのシステム1000にて実行可の処理については、その指示どおりの処理を、システム1000にて実行させる。
このような「非完全一致型のJDFジョブ」のキャンセル処理を禁止した印刷処理を、システム1000にて予め設定された該JDFジョブの為のルール情報に従い自動的に実行可能に、制御部205はシステム1000を制御する。本実施形態では、このように「非完全一致型のJDFジョブ」の処理をキャンセルせずに、システム1000にて可能な処理は実行して、印刷処理自体はシステム1000にて完遂させる事を、「非完全一致型のJDFジョブの縮退処理」とも称す。
更に、上記受付たJDFジョブは、「そのJDFジョブにて指示されている複数の処理の全ての処理をシステム1000にて実行可能なジョブ」である。これに該当する判断を制御部205が下したJDFジョブの事を、ここでは、「処理条件が完全一致型のJDFジョブ」と定義する。この場合、制御部205は、上記ルール情報を参照する事無く、その外部I/F202を介し受付た「完全一致型のJDFジョブ」の印刷データの印刷開始を禁止せず、HD209から該印刷データを読出して印刷させる。且つ、制御部205は、そのジョブにて要する全ての処理をシステム1000にて全て実行させる。
以上の構成を前提に例えば、JDFジョブの印刷処理をプリンタ部203により実行中に、外部I/Fを介して非JDFジョブを受付けたとする。すると、これを契機に、制御部205は、この非JDFジョブを、印刷待ち状態のジョブとして、HD209にて、先行のJDFジョブの処理が終了する迄、この非JDFジョブの印刷開始を待機させる。且つ、先行のJDFジョブの処理がシステム1000にて終了した事をシステム1000のステータス情報を基に確認した事を条件に、制御部205は、当該後続の非JDFジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる。ただし、この非JDFジョブを受付けた際に、制御部205は、先のJDFジョブ用の制御ルール情報とは区別してHD209にて予め管理している非JDFジョブ用の制御ルール情報を参照する。この非JDFジョブ用の制御ルール情報に基づいて当該非JDFジョブの処理を制御する。このように、JDFジョブの処理とは区別した制御及び処理を、非JDFジョブに対して実行するようシステム1000を制御する。
例えば、システム1000にて受付けた、この非JDFジョブは、「その非JDFジョブで指示されている複数の処理のうちの一部の処理はシステム1000にて実行不可だが、残りの処理については、システム1000にて実行可能なジョブ」である。或いは、その非JDFジョブは、「その非JDFジョブで指示されている複数の処理のうちのどの処理もシステム1000にて実行不可なジョブ」である。これら少なくとも何れかのケースに該当する判断を制御部205が下したとする。尚、ここでは、この少なくとも何れかに該当するケースの非JDFジョブの事を、「非完全一致型の非JDFジョブ」と定義する。
このように、処理対象のジョブが「非完全一致型の非JDFジョブ」である事を条件に、制御部205は、印刷装置のHD209に予め保持している「非JDFジョブを処理する為の制御ルール情報」を読出参照する。
その結果、「非完全一致型の非JDFジョブに該当するジョブは、印刷開始自体を禁止し、そのジョブの処理自体を終了する、ジョブキャンセル処理を実行する」設定が、システム1000にて予め指示されているとする。この場合、制御部205は、該外部I/F202を介し受付けた「非完全一致型の非JDFジョブ」の印刷データをプリンタ部203により印刷開始させる事自体を禁止する。且つ、制御部205は、その非JDFジョブの処理を、オペレータによる処理中止要求が入力される事無しに、自動的に、終了させる。且つ、制御部205は、HD209に保持させていた印刷データを含むその非JDFジョブのデータ自体をHD209から消去するよう制御する。
上述の如く、制御部205は、この「非完全一致型の非JDFジョブ」の為のキャンセル処理を、システム1000にて予め設定された非JDFジョブの為の非JDFジョブ用のルール情報に従い、自動的に実行可能にシステム1000を、制御する。
一方、「非JDFジョブを処理する為の制御ルール情報」を読出参照した結果、「非完全一致型の非JDFジョブに該当するジョブに関して、システム1000にて可能な処理についてはシステム1000にて遂行し、システム1000にて実行不可の処理については無視する(行わない)。これにより、印刷開始自体は禁止せず、プリンタ部203により印刷処理の実行自体は許可する」設定が、システム1000にて予め指示されているとする。この場合、制御部205は、該外部I/F202を介し受付けた「非完全一致型の非JDFジョブ」の印刷データをプリンタ部203により印刷開始させる事自体は禁止せず、HD209から該印刷データを読出して印刷させる。且つ、且つ、制御部205は、その非JDFジョブで指示されている複数の処理のうちのシステム1000にて実行不可の処理については、実行する事無く、或いは、システム1000にて実行可能なデフォルト設定の処理に変更して変更後の処理を実行させるようシステム1000を制御する。且つ、制御部205は、その非JDFジョブで指示されている複数の処理のうちのシステム1000にて実行可の処理については、その指示どおりの処理を、システム1000にて実行させる。
このような「非完全一致型の非JDFジョブ」のキャンセル処理を禁止した印刷処理を、システム1000にて予め設定された非JDFジョブ用のルール情報に従い自動的に実行可能に、制御部205はシステム1000を制御する。尚、本実施形態では、このように「非完全一致型の非JDFジョブ」の処理をキャンセルせずに、システム1000にて可能な処理は実行して、印刷処理自体はシステム1000にて完遂させる事を、「非完全一致型の非JDFジョブの縮退処理」とも称す。
更に、上記受付た非JDFジョブは、「その非JDFジョブにて指示されている複数の処理の全ての処理をシステム1000にて実行可能なジョブ」である。これに該当する判断を制御部205が下した非JDFジョブの事を、ここでは、「処理条件が完全一致型の非JDFジョブ」と定義する。この場合、制御部205は、上記非JDFジョブ用のルール情報を参照する事無く、その外部I/F202を介し受付た「完全一致型の非JDFジョブ」の印刷データの印刷開始を禁止せず、HD209から該印刷データを読出して印刷させる。且つ、制御部205は、そのジョブにて要する全ての処理をシステム1000にて全て実行させる。
しかも、本実施形態では、この非JDFジョブ用の制御を、上述のJDFジョブ用の制御とは、独立且つ区別して、システム1000にて実行可能に構成している。例えば、第1の制御例として、既述の如く、「非完全一致型の非JDFジョブのキャンセル処理を、システム1000にて予め設定された該非JDFジョブの為の非JDFジョブ用のルール情報に従い、自動的に実行可能に、制御部205がシステム1000を制御しているとする。
本実施形態では、この非JDF用のジョブのキャンセル制御を、「非完全一致型のJDFジョブのキャンセル処理を、システム1000にて予め設定された該JDFジョブの為のルール情報に従い、自動的に実行可能にシステム1000を制御している場合」においても、制御部205により、実行する。
この状況は、「非完全一致型の非JDFジョブ」のキャンセル処理を実行するようシステム1000を制御している期間中においても、JDFジョブをシシステム1000により受付可能にする。且つ、該期間中に、当該JDFジョブを受付けた事を条件に、制御部205は、JDFジョブ用のルール情報に従った処理をシステム1000に実行させる。例えば、このJDFジョブが「非完全一致型のJDFジョブ」である事を条件に、制御部205が、このJDFジョブのキャンセル処理をシステム1000にて実行させる。
また、この第1の制御例とは別の、第2の制御例として、例えば既述の如く、「非完全一致型の非JDFジョブのキャンセル処理を、システム1000にて予め設定された該非JDFジョブの為の非JDFジョブ用のルール情報に従い、自動的に実行可能に、制御部205がシステム1000を制御しているとする。
本実施形態では、この非JDF用のジョブのキャンセル制御を、「非完全一致型のJDFジョブの縮退処理を、システム1000にて予め設定された該JDFジョブの為のルール情報に従い、自動的に実行可能にシステム1000を制御している場合」においても、制御部205により、実行する。
この状況は、「非完全一致型の非JDFジョブ」のキャンセル処理を実行するようシステム1000を制御している期間中においても、JDFジョブをシシステム1000により受付可能にする。且つ、該期間中に、当該JDFジョブを受付けた事を条件に、制御部205は、JDFジョブ用のルール情報に従った処理をシステム1000に実行させる。例えば、このJDFジョブが「非完全一致型のJDFジョブ」である事を条件に、制御部205が、このJDFジョブの縮退処理をシステム1000にて実行させる。
また、更に、この第2の制御例とは別の、第3の制御例として、例えば既述の如く、「非完全一致型の非JDFジョブの縮退処理を、システム1000にて予め設定された該非JDFジョブの為の非JDFジョブ用のルール情報に従い、自動的に実行可能に、制御部205がシステム1000を制御しているとする。
本実施形態では、この非JDF用のジョブの縮退制御を、「非完全一致型のJDFジョブの縮退処理を、システム1000にて予め設定された該JDFジョブの為のルール情報に従い、自動的に実行可能にシステム1000を制御している場合」においても、制御部205により、実行する。
この状況は、「非完全一致型の非JDFジョブ」の縮退処理を実行するようシステム1000を制御している期間中においても、JDFジョブをシシステム1000により受付可能にする。且つ、該期間中に、当該JDFジョブを受付けた事を条件に、制御部205は、JDFジョブ用のルール情報に従った処理をシステム1000に実行させる。例えば、このJDFジョブが「非完全一致型のJDFジョブ」である事を条件に、制御部205が、このJDFジョブの縮退処理をシステム1000にて実行させる。
又、更に、この第3の制御例とは別の、第4の制御例として、例えば既述の如く、「非完全一致型の非JDFジョブの縮退処理を、システム1000にて予め設定された該非JDFジョブの為の非JDFジョブ用のルール情報に従い、自動的に実行可能に、制御部205がシステム1000を制御しているとする。
本実施形態では、この非JDF用のジョブの縮退制御を、「非完全一致型のJDFジョブのキャンセル処理を、システム1000にて予め設定された該JDFジョブの為のルール情報に従い、自動的に実行可能にシステム1000を制御している場合」においても、制御部205により、実行する。
この状況は、「非完全一致型の非JDFジョブ」の縮退処理を実行するようシステム1000を制御している期間中においても、JDFジョブをシシステム1000により受付可能にする。且つ、該期間中に、当該JDFジョブを受付けた事を条件に、制御部205は、JDFジョブ用のルール情報に従った処理をシステム1000に実行させる。例えば、このJDFジョブが「非完全一致型のJDFジョブ」である事を条件に、制御部205が、このJDFジョブのキャンセル処理をシステム1000にて実行させる。
以上のように、本実施形態では、JDFジョブに該当する第1タイプのジョブ、及び、非JDFジョブに該当する第2タイプのジョブを、含む複数種類のジョブをシステム1000により受付可能に構成している。
この構成を前提に、受付けた処理対象のジョブがJDFジョブである事を確認した事を条件に、制御部205は、当該JDFジョブが非完全一致型のJDFジョブか否かを確認する。その結果、該JDFジョブが非完全一致型のJDFジョブである事を確認した事を条件に、制御部205は、該JDFジョブに対する処理を既述の如く実行するようシステム1000を制御する。
且つ、既述の構成を前提に、受付けた処理対象のジョブが非JDFジョブである事を確認した事を条件に、制御部205は、当該非JDFジョブが非完全一致型の非JDFジョブか否かを確認する。その結果、該非JDFジョブが非完全一致型の非JDFジョブである事を確認した事を条件に、制御部205は、該非JDFジョブに対する処理を既述の如く実行するようシステム1000を制御する。
このように、JDFジョブ用の制御と、非JDFジョブ用の制御とを、独立且つ区別して、システム1000にて実行可能に構成している。
且つ、この構成を前提に、JDFジョブにて要する印刷処理を既述の如くシステム1000にて実行させている最中に、制御部205は、非JDFジョブの処理要求を受付可能にする。且つ、このJDFジョブの印刷実行中に受付けた非JDFジョブは、印刷待ち状態のジョブとして、HD209により、待機させるよう制御部205はシステム1000を制御する。且つ、このJDFジョブの印刷処理がシステム1000にて完了した事を条件に、制御部205は、この非JDFジョブの印刷処理をシステム1000により実行可能にする。
且つ、この構成を前提に、非JDFジョブにて要する印刷処理を既述の如くシステム1000にて実行させている最中に、制御部205は、JDFジョブの処理要求を受付可能にする。且つ、制御部205は、この非JDFジョブの印刷実行中に受付けたJDFジョブを、印刷待ち状態のジョブとして、HD209により、待機させる。且つ、この非JDFジョブの印刷処理がシステム1000にて完了した事を条件に、制御部205は、このJDFジョブの印刷処理をシステム1000により実行可能にする。
以上のような構成も具備している点も本実施形態の印刷システム1000の主なる特徴点の1例でもある。
このように本実施形態の印刷システム1000は、少なくとも、JDF対応の印刷装置100を具備している。このように、POD市場向けのシステムにて今後期待される、印刷工程全般に関わる共通的なデジタルフォーマット(指示書或いはジョブチケットとも呼ぶ)を利用可能に構成している。
これにより、既述が如くのJDFのメリットを本システム1000でも可能な限り享受可能に構成している。そのメリットとして本実施形態では既述の如く、例えば以下の点に着目している。
例えば、JDFは、そのフォーマットに,Webの基本的なフォーマットでもあるXMLを使用する。この特性を利用し、Webサイト上で生産管理,印刷機,製本機等各機器の稼働状況等を確認するといった、印刷工程全般に関わる管理面でのメリットがJDFによりある点を着目している。本実施形態では、このメリットが印刷システム1000を用いても享受可能となるという効果が図れる点も特徴点の1例でもある。
又、最終成果物としての印刷物に関わる入稿工程から配送工程といった、1つの機器に留まらず、複数デバイスが連携する、一連の作業工程に関わる指示をJDF形式の指示書には、記述可能である。この特定を利用し、複数の機器を用いた複数の工程からなる一連のワークフローを、一つの指示書で管理していくこともJDFを利用する事で実現可能となる。このような印刷工程全般に関わる複数の機器同士の連携や各種機器の自動化といった観点でのメリットがJDFにはある。本実施形態では、このメリットが印刷システム1000を用いても享受可能となるという効果が図れる点も特徴点の1例でもある。
しかも、本実施形態では、これらに加え、特に、従前ではまだまだ検討の余地が残されている以下に例示が如くの課題をも対処可能となるという効果が得られるように構成している点も、大きな特徴点の1例でもある。
(課題1)単に、JDFジョブに対応した程度の構成の印刷装置や印刷システム等では、JDFにて指示されている通りの印刷物が印刷装置やシステムにて作成できないならば、そのJDFジョブの印刷処理自体を印刷装置や印刷システムにより実行させたくないというユーザニーズに対処が困難であるという課題。
例えば、JDFの設定は、印刷装置固有に準備されたプリンタドライバとは異なり、当該印刷装置の仕様や構成情報を知らなくても作成することが可能である。これは、1デバイスに依存しない共通フォーマットで、極力、様々な機器にてジョブを処理出来るようにする事を目的としたJDF特有のメリットを活用した構成ともいえる。
しかし、この状況は、換言すると、例えば、実行環境(印刷装置やシステムの能力や装備状況等)により、該JDFジョブで指示された動作を印刷装置や印刷システムにて完全に実行できないケースが発生しうる事を意味すると考える。
又、利用者からの観点から検討してみると、例えば、JDFを用いて印刷を指示する場合に、指示通りの印刷物が印刷装置(印刷システム)にて作成できない場合には、そのジョブの処理自体をキャンセルすることを望むケースが、ユーザニーズとして、想定されうる。
特に、本実施形態にて代表例として着目しているPOD環境が如くの印刷環境では、顧客に納品する商品としての印刷物をシステム1000にて作成するケースが想定されうる。
このようにPOD環境が如くの印刷環境にて、商品としての印刷物をシステム1000にて作成するのに、顧客が望まない印刷物を作成するようでは、何の意味もないばかりか、失敗コストが無駄に増えるだけとなる可能性が予想されうる。
本実施形態によれば、このような以上のような(課題1)をも解決可能となり、既述が如くのPOD環境が如くの印刷環境にて想定されうるPOD環境が如くの印刷環境特有の上述のようなユーザニーズにも対処可能となる。
(課題2)単に、JDFジョブに対応した程度の構成の印刷装置や印刷システム等では、JDFにて指示されている通りの印刷物が印刷装置又はシステムにて作成できない場合でも、あえて、JDFジョブを処理したいというユーザニーズに対処が困難であるという課題。
例えば、システム1000のインラインフィニッシャ200では実行不可のフィニッシングがJDFジョブで指定されているとする。この場合、システム1000にて、その処理は実行不可である。しかし、例えば、図1のPOD環境10000が如く、このシステム1000が設定されている印刷作業現場には、本実施形態の冒頭で既述のオフラインフィニッシャやインラインフィニッシャといった、非インラインタイプのフィニッシャが用意されている作業現場であるとする。この場合、システム1000のインラインフィニッシャでは処理ができないフィニッシングでも、非インラインタイプのインラインフィニッシャを利用すれば、商品として印刷物は問題なく作成可能なケースが予想される。
このような場合、例えば、「JDFにて指示されている通りの印刷物をシステム1000のみでは完成させる事自体はできないが、非インラインタイプのフィニッシャを利用することで、問題なく、印刷物は完成できる。故に、印刷システム1000にて商品として印刷物の完成は自体はできない場合でも、JDFジョブに関し、印刷処理等、システム1000にて可能な処理については、あえて、システム1000により実行させたい。その方が、より多くの顧客からの大量の印刷ジョブを処理するうえで、効率的である。」。
このような複数のジョブの全体の生産性を考慮するが如くのユーザニーズが、当該POD環境が如くの印刷環境におけるシステム1000の作業現場のシステム1000のオペレータから要求されうる。
このように本実施形態では、JDFにて指示されている通りの印刷物が印刷装置やシステム自体では作成できない場合でも、あえて、上述のような、JDFジョブを処理したいというユーザニーズが、POD環境が如くの印刷環境にて今後要求されうる事に、着目している。
しかし、単に、JDFジョブに対応した程度の構成の印刷装置や印刷システム等では、このニーズにも対処困難である。
本実施形態によれば、このような以上のような(課題2)をも解決可能となり、既述が如くのPOD環境が如くの印刷環境にて想定されうるPOD環境が如くの印刷環境特有の上述のようなユーザニーズにも対処可能となる。
以上に例示が如く、JDF形式のデータは、汎用性や機器の自動化や機器の連携や機器の管理等の観点で期待がもてる反面、1つの機器或いは特定タイプの装置の為にだけに用意されているデータではない。故に、これに起因して、上記のようなケースが発生しうる。その結果、上記のような様々なユーザニーズに柔軟に対処できるようにした印刷システム、印刷装置を提供可能にするには、まだまだ検討の余地が残されている。このような現状を可能な限り改善できるようにする為の仕組みを、本システム1000にて提供可能に構成している点も、大きな特徴点の1例でもある。
その為にも、図1〜図39で例示が如くの各種構成要件を本システム1000が具備し、且つ、制御部205により、上述した各種制御を本システム1000の為に実行可能に構成している。
尚、上述の各構成に関し、全ての構成を具備していなくても良い。換言すると、本実施形態に記載のJDFに係る作用効果の少なくとも1つを得られるように構成しているならば、如何なる構成でも、良い。しかし、少なくとも、以下の構成要素は具備するように構成する事が望ましい。
印刷処理を要するジョブとして、複数種類のジョブを印刷装置100により処理可能にシステム1000を構成する。この複数種類のジョブとして、少なくとも、XML言語を用いて複数の処理条件が指定されているJDFジョブと、XML言語以外の言語で複数の処理条件が指定されている非JDFジョブ(例えばPDLジョブ)とを、受付可能に制御部205によりシステム1000を制御する。
この構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御を実行する。例えば、処理対象のジョブが、「前記非JDFジョブではなく、前記JDFジョブ」である。これを条件Aとする。且つ、当該JDFジョブが、「前記システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいないJDFジョブではなく、システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいるJDFジョブ」である。これを条件Bとする。これら条件Aと条件Bの2条件を満足した場合に、制御部205は、当該JDFジョブの印刷処理をキャンセル可能にシステム1000を制御する。
又、上記構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御も実行する。例えば、処理対象のジョブが、「前記非JDFジョブではなく、前記JDFジョブ」である。且つ、当該JDFジョブが、「前記システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいないJDFジョブではなく、システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいるJDFジョブ」である。即ち、既述の如く、条件Aと条件Bの2条件を満足した場合に、制御部205は、当該JDFジョブの印刷処理はキャンセルせずに、当該JDFジョブにて要する複数の処理のうちの前記システム1000にて実行可能な処理はシステムにより実行可能にシステム1000を制御する。
又、上記構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御も実行する。例えば、処理対象のジョブが、「前記非JDFジョブではなく、前記JDFジョブ」である。且つ、当該JDFジョブが、「前記システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいないJDFジョブではなく、システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいるJDFジョブ」である。即ち、既述の如く、条件Aと条件Bの2条件を満足した場合に、制御部205は、当該JDFジョブの印刷処理を前記システム1000にてキャンセルさせる第1処理、及び、当該JDFジョブの印刷処理はキャンセルせずに、当該JDFジョブにて要する複数の処理のうちの前記システム1000にて実行可能な処理はシステムにより実行させる、第2処理、を、システム1000にて、選択的に、実行可能にする。
又、上記構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御も実行する。例えば、処理対象のジョブが、「前記非JDFジョブではなく、前記JDFジョブ」である。即ち、条件Aは満足する。但し、当該JDFジョブは、「システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいるJDFジョブではなく、前記システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいないJDFジョブ」である。これは、条件Cとする。この条件Aと条件Cの2条件を満足した場合に、制御部205は、当該JDFジョブの印刷処理を前記システム1000により実行させる。
又、上記構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御も実行する。該制御部205は、HD209に記憶されたJDFジョブに係るJDFジョブ用のルール情報に基づいて、前記システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいるJDFジョブに対する処置を決定する。これにより上述の条件Aと条件Bの2条件を満足するJDFジョブに対して実行すべき処理を決定する。
又、上記構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御も実行する。前記JDFジョブの印刷処理を印刷装置100により実行期間中に、前記非JDFジョブを受付可能にする。且つ、制御部205は、前記JDFジョブの印刷処理を印刷装置100により実行期間中に、前記非JDFジョブを受付けた場合に、このJDFジョブの印刷処理の完了後に、該非JDFジョブの印刷処理をシステム1000にて実行可能にする。
又、上記構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御も実行する。該制御部205は、上述のJDFジョブに対する制御とは独立した制御を、上記非JDFジョブの為に実行する。
この構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御も実行する。該制御部205は、HD209に記憶された非JDFジョブに係る非JDFジョブ用のルール情報に基づいて、システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいる非JDFジョブに対する処置を決定する。これにより、既述の如く、制御部205は、不完全一致型の非JDFジョブのキャンセル処理及び、不完全一致型の非JDFジョブの縮退処理の何れかを、当該非JDFジョブ用のルールに基づいてシステム1000により実行可能にする。
以上の構成を前提に、制御部205は、以下に例示の制御も実行する。該制御部205は、システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいるJDFジョブに対する処置を決定するJDFジョブ用のルール情報を、HD209に、予め記憶させておく。且つ、制御部205は、このルール情報とは、区別可能な状態で、システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいる非JDFジョブに対する処置を決定するルール情報も、HD209に、予め記憶させておく。これらのルール情報の内容は、本実施形態のユーザインタフェース部(例えば、操作部204)を介してオペレータによりシステム1000の機器設定として登録された設定情報に基づいた内容となるように制御部205によりHD209を制御する。且つ、このHD209に、前記JDFジョブの印刷データと前記非JDFジョブの印刷データを記憶可能に制御部205により制御する。且つ、印刷装置100により印刷を行う際には、JDFジョブの印刷データも、非JDFジョブの印刷データも、当該HD209から読出し、プリンタ部203により印刷可能に制御部205により印刷装置100を制御する。
既述の構成は、換言すると、少なくとも、以下に例示の構成を具備している事を意味する。例えば、該制御部205は、本実施形態の既述が如くのユーザインタフェース部を介して、システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいるJDFジョブに対する処置を決定するのに要するユーザ設定を受付可能にする。且つ、制御部205は、この受付けたJDFジョブに対する処置を決定するのに要するユーザ設定に基づいて、システム1000にて実行不可の処理条件を含んでいるJDFジョブの印刷処理をキャンセルするか縮退処理するかを決定する。
以上のような各種構成要件の少なくとも何れかの構成は具備するように構成するものは、本実施形態に包含される。
以上のように構成することで、本実施形態に記載が如くのJDFジョブに係る効果の少なくとも1つでも得られるようになり、従前の検討では対処困難なJDFジョブに関する課題が解決可能となる。特に、印刷装置又はシステムをJDFに対応出来るように構成した場合に想定されうるPOD環境が如くの印刷環境にて今後要望されうるユーザニーズに対処可能にした製品の実用化に貢献できる。
<<その他の実施形態>>
以上、本発明の実施形態例について詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様を取ることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
上記の処理は、以上参照した図に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータ(例えば、PC103やPC104)により遂行されていてもよい。尚、この場合に、各操作画面を含む本実施形態で述べた操作画面と同様の操作画面を表示させる為のデータを外部からインストールし、該ホストコンピュータの表示部に上記各種のユーザインターフェース画面を提供可能に構成する。この一例として、本例では、図17のUI画面による構成でもって、これを説明している。このような構成の場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の技術的範囲に含まれる。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含む。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、次のものが含まれる。即ち、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)等が含まれる。
その他、プログラムの供給形態としては、次のようなものも考えられる。即ち、クライアント装置のブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明に係るコンピュータプログラム、或いは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをHD等の記録媒体にダウンロードする形態も考えられる。また、本発明に係るプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、次のような供給形態も考えられる。即ち、まず、本発明に係るプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布する。そして、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報の使用により暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて本発明に係る構成を実現する。このような供給形態も可能である。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、次のような実現形態も想定される。即ち、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づいても前述した実施形態の機能が実現される。即ち、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、本実施形態では、印刷装置100内部の制御部205が上記各種制御の主体となっていたが、印刷装置100と別筐体の外付けコントローラ等によって、上記各種制御の1部又は全部を実行可能に構成しても良い。
同様に、既述の如く個別に記載の複数の実施形態の構成の全てを具備した構成のものでも、少なくとも1つの実施形態の構成のみを具備する構成のものでも、その構成自体は矛盾のない限り特に問わず、全て本願発明に包含される。
以上、本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内に例示した説明に限定されるのではない。