JP2011146575A - 偏光制御発光素子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型かつ低コストで、量産性に優れた、高出力の偏光制御発光素子を提供する。
【解決手段】偏光制御発光素子は、面内の方向によって熱膨張率が異なるサブマウント1と、成長主面が極性面である発光層32を含む半導体積層膜3と、半導体積層膜3をサブマウント1上に接合する、少なくとも半田層21を含む金属多層接着層2と、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】偏光制御発光素子は、面内の方向によって熱膨張率が異なるサブマウント1と、成長主面が極性面である発光層32を含む半導体積層膜3と、半導体積層膜3をサブマウント1上に接合する、少なくとも半田層21を含む金属多層接着層2と、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、発光ダイオード(LED)に代表される発光素子に関し、特に、プロジェクタなどの光源として用いることが可能な偏光制御発光素子に関する。
青色LEDの開発により、3原色のLED光源を提供することが可能となった。LEDは、その低消費電力性や低コスト性から、光通信用の光源として用いられるだけでなく、照明装置、ディスプレイ機器や交通標識などにも幅広く適用されてきている。特に、ディスプレイ機器においては、LEDは、プロジェクタの光源として期待が高まっている。
一般に、プロジェクタの光源としてUHP(超高圧水銀)ランプが使用されている。UHPランプの寿命は数千時間であり、色度域はNTSC(National Television System Committee)比で50〜60%である。UHPランプを備えるプロジェクタにおいては、UHPランプは常時点灯させる必要がある。
これに対して、LEDの寿命は5〜6万時間であり、色度域はNTSC比で110%である。プロジェクタの光源として赤色、緑色、青色の各色のLEDを用いる場合、LED毎に、出力光を制御することができるため、省電力化にも優れる。
また、UHPランプと、UHPランプからの光が照射される液晶パネルとを備える液晶プロジェクタにおいては、通常、UHPランプと液晶パネルの間に、液晶パネルに入射する光の偏光を制御するための偏光変換素子を設ける。LEDの出力光に偏光性を持たせることができれば、そのLEDで、UHPランプおよび偏光変換素子を置き換えることが可能となり、その結果、部品点数を削減することができ、装置コストを削減することができる。
LEDの出力光に偏光性を持たせる手法として、LEDを構成する素子の出射面に偏光制御層を配置する方法や、発光自体に偏光を持たせる方法が知られている。
素子の出射面に偏光制御層を配置する方法では、例えば、偏光制御層は、発振波長程度以下の間隔を有するラインアンドスペースで配置されたスリットで構成される。このようなスリットよりなる偏光制御層においては、発振波長の光が偏光に応じて反射、あるいは、吸収されることにより、P波(TM波)あるいはS波(TE波)のみを出射させる。
発振波長の光を反射する反射型の偏光制御層は金属系の材料よりなる。発振波長の光を吸収する吸収型の偏光制御層は、発振波長よりバンドギャップが狭い半導体材料等で形成される。反射型の偏光制御層を有する構造において、その偏光制御層にナノワイヤーを適用した例が、特許文献1に開示されている。
発光自体に偏光を持たせる方法としては、特許文献2、3および非特許文献1に開示された方法がある。
特許文献2には、非極性面や半極性面を成長主面とするIII族窒化物からなる発光層を用いた半導体発光素子が開示されている。この半導体発光素子では、非極性面(または半極性面)に特有の偏光性を有する光が発光層から出射される。
特許文献3には、非極性面や半極性面を成長主面とするGaN単結晶基板上に、III族窒化物からなる発光層を結晶成長により形成した発光ダイオードが開示されている。GaN単結晶基板上に結晶成長により形成された発光層も、非極性面や半極性面を成長主面とするものとなるが、GaN単結晶基板の格子定数が小さいために、その発光層は、面内圧縮応力(二軸性の面内応力)を受ける。
面内圧縮応力(二軸性の面内応力)を受けることで、発光層では、価電子帯のうち、電場に垂直な偏光を生じるエネルギー準位と、電場に平行な偏光を生じるエネルギー準位との差が大きくなる。これにより、発光層から生じた光の偏光性がより大きくなる。
非特許文献1には、成長主面が面内等方的であるGaN膜に対して、弾性負荷圧力装置により一軸性の応力を面内に加えることで、面内に偏光性を持たせる技術が開示されている。
A.A.Yamaguchi等、Applied Physics Letters 1997年 Vol.71、374−376頁
しかしながら、特許文献1に記載された偏光発光ダイオードでは、偏光制御層が、発光層から出た偏光性の無い光のうち、ある偏光方向の光を透過し、他の偏光方向の光を反射する。偏光制御層で反射された光は再利用されないので、その分、光損失が増大し、光出力が低下する。
特許文献2に記載された半導体発光素子および特許文献3に記載された発光ダイオードはいずれも、発光自体に偏光を持たせる構造であるため、上記のような光出力の低下を抑制することができる。しかし、非極性面や半極性面を成長主面とする発光層を用いるため、以下のような問題がある。
半導体発光素子や発光ダイオードをプロジェクタなどの光源に適用する場合、大面積の発光層を形成する必要がある。非極性面や半極性面における結晶成長の制御は、極性面における結晶成長に比較して困難であり、そのような面方位の基板を大面積で入手することは困難である。このように、特許文献2、3に記載のものでは、大面積の発光層を得ることができないため、プロジェクタなどの光源に適用した場合に、光源の高出力化や量産性、低コスト化の面で、問題が生じる。
非特許文献1に記載された偏光制御技術では、一軸性の応力を面内に加える弾性負荷圧力装置を用いるため、装置が大型のものになる。例えば、この偏光制御技術をプロジェクタに適用した場合は、プロジェクタ内に弾性負荷圧力装置を設ける必要があるため、プロジェクタが大型のものになる。
本発明の目的は、上述した課題を解決し、小型かつ低コストで、量産性に優れた、高出力の偏光制御発光素子、およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の偏光制御発光素子は、
面内の方向によって熱膨張率が異なる基体と、
成長主面が極性面である発光層を含む半導体積層膜と、
前記半導体積層膜を前記基体上に接合する、少なくとも半田層を含む金属接着層と、を有する。
面内の方向によって熱膨張率が異なる基体と、
成長主面が極性面である発光層を含む半導体積層膜と、
前記半導体積層膜を前記基体上に接合する、少なくとも半田層を含む金属接着層と、を有する。
本発明の偏光制御発光素子の製造方法は、
成長主面を極性面として結晶成長により発光層を含む半導体積層膜を形成するとともに、面内の方向によって熱膨張率が異なる基体上に、少なくとも半田を含む金属接着層を形成し、
前記半田の融点以上の温度で、前記金属接着層を介して前記半導体積層膜を前記基体上に接合する、ことを特徴とする。
成長主面を極性面として結晶成長により発光層を含む半導体積層膜を形成するとともに、面内の方向によって熱膨張率が異なる基体上に、少なくとも半田を含む金属接着層を形成し、
前記半田の融点以上の温度で、前記金属接着層を介して前記半導体積層膜を前記基体上に接合する、ことを特徴とする。
本発明によれば、偏光制御された光を高効率で得ることができるとともに、大面積の発光層を容易に形成することができる。よって、小型かつ低コストで、量産性に優れた、高出力の偏光制御発光素子を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である偏光制御発光ダイオードの断面図である。
図1は、本発明の第1の実施形態である偏光制御発光ダイオードの断面図である。
図1を参照すると、偏光制御発光ダイオードは、面内熱膨張率異方性を有する、基体であるサブマウント1と、半導体積層膜3と、サブマウント1と半導体積層膜3を接着する金属多層接着層2とを有する。
サブマウント1は、面内熱膨張率異方性を有する材料、例えばLiTaO3、LiNbO3、BaTiO3、MgF3などの材料のいずれかから構成される。これらの材料の面内熱膨張率差は、2.5〜8×10-6(K-1)程度である。
半導体積層膜3は、第1の導電型を有する半導体層31と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する半導体層33と、これら半導体層31、33に挟まれた発光層32とを有する。
第1および第2の導電型の一方がn型であり、他方がp型である。例えば、半導体層31としてp型半導体層が形成された場合は、半導体層33としてn型半導体層が形成される。n型半導体層は、例えばSiドープのAlGaN/GaN層である。p型半導体層は、例えばMgドープのGaN層である。発光層32は、例えばInGaNウエルとGaNバリアからなる量子井戸構造を有する。半導体層31、33を通じて半導体積層膜3に電流を流すと、発光層32から光が放出される。
金属多層接着層2は、半田層21を含む金属の多層構造を有する。半田層21の材料は、例えばAu−Sn、Au−Ge、Au−Si、Al−Siなど合金から選択される。これら材料の共晶温度(融点)はそれぞれ、280℃(Sn20%)、356℃(Ge12%)、363℃(Si3%)、577℃(Si12%)である。
本実施形態の偏光制御発光ダイオードにおいては、サブマウント1は面内熱膨張率異方性を有しているため、温度が変化すると、面内方向において異方的な伸縮が生じる。このため、半導体積層膜3は、そのサブマウント1における面内方向の異方的な伸縮に応じた一軸性の面内応力を受け、その結果、面内異方的に歪む。この面内異方的な歪みが生じた発光層32に、半導体層31、33を通じて電流を流すと、面内に偏光した光が発光層32から放出される。
以下、面内異方的な歪みが生じた発光層32における偏光制御の原理を説明する。
一般に、素子の発光特性は、価電子帯頂上付近のバンド構造の影響を強く受ける。このバンド構造は、材料の結晶系、基板面方位、歪み等で大きく変わる。例えば、緑青色の発光が可能なGaN材料系は、ウルツ鉱型の結晶構造を有し、基板面方位としてC面(極性面)やm面、a面(非極性面)、半極性面等があり、それら主面にどのような歪みを加えるかによって発光特性が大きく変化する。
GaN材料系では、基板面方位として、熱膨張係数が面内で等方的であるC面((0001)面)が広く用いられる。この面方位を用いた場合、価電子帯頂上付近のバンド構造は、主に三つのバンド(A,B,C)から成り、これが発光特性に大きく寄与する。
図2Aに、価電子帯のAバンドとBバンドの間のエネルギー分離の一軸性応力依存を示し、図2Bに、異方的な応力と偏光度の関係を示す。
ここで、基板面方位として極性面を用いた場合において、偏光特性を制御するために面内に歪みを与えることを考える。C面内の等方的な歪み(二軸性応力)を与える場合、価電子帯のAバンドとBバンドの分裂を大きくすることは殆ど出来ない。一方、C面内の異方的な歪みを与える場合、図2Aおよび図2Bに示すように、AバンドとBバンドの分裂を大きくすることができ、偏光度を増大することができる。
本実施形態の偏光制御発光ダイオードでは、発光層32を含む半導体積層膜3の成長主面は極性面であり、発光層32において、サブマウント1からの一軸性応力によって面内異方的な歪みを生じる。この結果、面内に偏光した光が、発光層32から放出される。
なお、基板面方位として非極性面や半極性面を用いた場合は、面内二軸性応力下でも偏光度が制御できることが知られている(特許文献3参照)。本実施形態の偏光制御発光ダイオードにおいて、半導体積層膜3の成長主面を非極性面や半極性面とし、サブマウント1からの一軸性応力によって面内異方的な歪みを発光層32に生じさせることでも、面内に偏光した光が、発光層32から放出される。しかしながら、非極性面や半極性面上の成長はC面上よりも困難であり、また、そのような面方位の基板を大面積で入手することは困難である。
次に、室温において、発光層32に十分な大きさの面内異方的な歪みを与えることができる偏光制御発光ダイオードの製造方法について説明する。
まず、成長主面を極性面として結晶成長により発光層32を含む半導体積層膜3を形成するとともに、面内の方向によって熱膨張率が異なるサブマウント(基体)1上に、少なくとも半田を含む金属多層接着層2を形成する。そして、半田の融点以上の温度で、半導体積層膜3を金属多層接着層2を介してサブマウント1上に接合する。こうして形成した偏光制御発光ダイオードは、室温下において、発光層32に十分な大きさの面内異方的な歪みを与えることができる。
半導体積層膜3はサブマウント1に対して層厚が十分に薄いため、バイメタルのようにサブマウント1が反ることはほとんどなく、サブマウント1の歪みがほぼそのまま半導体積層膜3に反映される。このため、制御性良く、発光層32を歪ませることができる。
上記の製造方法において、より大きな歪みを発光層32に生じさせるには、より融点の高い半田を用いて温度変化量を大きくするか、面内熱膨張率異方性が大きなサブマウントを用いることが好ましい。
本実施形態の偏光制御発光ダイオードでは、発光層32で発光した光は、あらゆる方向に出射される。発光層32からの光のうち、サブマウント1側に向かう光は、金属多層接着層2により吸収、反射される。このため、発光層32からの光は半導体層33の側から主に出射されることになる。
なお、サブマウント1側に向かう光を発光層32の方向に反射するような分布ブラッグ反射膜(DBRミラー)を半導体層31の一部に形成してもよい。これにより、光取り出し効率を一層高めることが可能である。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態である偏光制御発光ダイオードの断面図である。
図3は、本発明の第2の実施形態である偏光制御発光ダイオードの断面図である。
図3に示すように、本実施形態の偏光制御発光ダイオードは、金属多層接着層2の一部に金属反射膜22が形成されている点で、第1の実施形態の偏光制御発光ダイオードと異なる。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
金属反射膜22は、半導体積層膜3と半田層21の間に形成される。金属反射膜22は、例えば銀(Ag)より形成する。Agよりなる金属反射膜22は、可視光領域の波長の光を高い反射率で反射することができる。
本実施形態の偏光制御発光ダイオードでは、発光層32から金属多層接着層2の方向へ放出された偏光性を有する光は、金属反射膜22にて、面内偏光方向を変えずに、出射面側の方向へ反射される。第1の実施形態のものと比較して、半田層21による吸収損失がない分、光の取り出し効率を改善することができる。
また、半導体層31、33を通じて電流を流して面内に偏光した光を発光層32から放出させる場合、電流注入により発光層32の温度が上昇する。一般に、発光層32の温度が上昇すると、発光層32から放出される光の量が減少し、その結果、光出力レベルが低下する。
本実施形態の偏光制御発光ダイオードによれば、金属反射膜22が、電流注入により半導体積層膜3に発生する熱をサブマウント1側に逃がす放熱作用を有する。この放熱作用により、発光層32の動作時の温度上昇が抑制され、その結果、光出力の低下が抑制される。
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態である偏光制御発光ダイオードの断面図である。
図4は、本発明の第3の実施形態である偏光制御発光ダイオードの断面図である。
図4に示すように、本実施形態の偏光制御発光ダイオードでは、半導体層31をp型の半導体層311とし、半導体層33をn型の半導体層331とし、p型の電極41が金属多層接着層2上に形成され、n型の電極42がn型の半導体層311上に形成されている。その他の構成は、第2の実施形態と同様である。
半導体層331は、例えばSiドープのAlGaN/GaN層である。半導体層311は、例えばMgドープのGaN層である。
半導体層311の電極42が形成された側の面が、光取り出し面である。電極42が形成された領域においては、光を取り出すことができない。したがって、電極42の面積が大きいと、光の取り出し面が小さくなってしまい、その結果、光出力レベルが低下する。
一方、電極42から半導体層331に注入されたキャリアは、速やかに面内に拡散し、発光層32に到達することが求められる。もし、電極42から注入されたキャリアが面内で拡散せずそのまま発光層32に到達すると、電極42下の領域でしか発光が生じない。この場合、大部分の光は、電極42に邪魔されて外に取り出すことが出来ない。
このようなことから、半導体層331は、キャリアの移動度が大きく、面内におけるキャリアの拡散を十分に得られるような構成とすることが好ましい。本実施形態の偏光制御発光ダイオードによれば、光取り出し側の電極42がn型とされ、光出力面における電極42の占有面積の割合を減らすことができる。このため、光取り出し効率を向上させることができ、偏光制御発光ダイオードの光出力を向上させることができる。
また、p型の電極41は、金属多層接着層2を介してp型の半導体層311と電気的に接続されている。正孔キャリアは、電極41から金属多層接着層2の中を通って面内に拡散し、その後、半導体層311へ注入され、発光層32に到達する。このように、金属多層接着層2において、正孔キャリアの面内拡散が行われることで、正孔キャリアの面内拡散が容易な構造を提供することができる。加えて、電気抵抗を低くすることができ、結果として、高光出力動作が可能となる。
(第4の実施形態)
図5は、本発明の第4の実施形態である偏光制御発光ダイオードの断面図である。
(第4の実施形態)
図5は、本発明の第4の実施形態である偏光制御発光ダイオードの断面図である。
本実施形態の偏光制御発光ダイオードでは、光取り出し構造34が、半導体層331の電極42が形成された側の面(光取り出し面)の一部分に形成されている。その他の構成は、第3の実施形態のものと同様である。
光取り出し構造34は、例えば屈折率が周期的に変化するフォトニック結晶であって、凹部または凸部が発光層32から放出された光の進行方向と交差する方向に周期的に設けられた周期構造を有する。凹部または凸部のサブマウント1の面に垂直な方向から見た場合の形状は、アレイ形状(ラインアンドスペース構造)あるいはドット形状(ドット構造)である。
発光層32から放出された光のうち、特定の偏光方向の光の取り出し効率および指向性が向上するように、光取り出し構造34の周期が設定される。このような光取り出し構造34によれば、光取り出し面に光取り出し構造34を設けていないものに比較して、光取り出し面にて全反射されて再び発光層32側に戻る割合を減らすことができるので、発光層32から放出された面内に偏光した光を効率良く、取り出すことができる。したがって、光出力効率が向上するという利点がある。
次に、本実施形態の偏光制御発光ダイオードの製造方法を説明する。
図6A〜図6Eは、本実施形態の偏光制御発光ダイオードの製造方法を説明するための工程断面図である。
ウエハであるエピタキシャル成長用基板12を成長炉内に設置した後、図6Aに示すように、エピタキシャル成長用基板12上に、n型の半導体層331、発光層32、p型の半導体層311を順次エピタキシャル成長する。エピタキシャル成長用基板12は、例えば窒化ガリウムやサファイアやシリコンの基板である。
なお、図6Aに示す工程において、n型の半導体層331、発光層32およびp型の半導体層311を含む半導体積層膜3の形成前に、エピタキシャル成長用基板12上に、低温バッファー層や金属バッファー層等を積層してもよい。これにより、後の工程で行われる、エピタキシャル成長用基板12の除去が容易になる。
半導体積層膜3の形成後、成長炉からウエハを取り出し、半導体層331上に銀(Ag)よりなる金属反射層22を積層する。この積層工程におおいて、半導体層311と金属反射層22の間に、オーミックコンタクトがとれるように、例えばNi金属層を形成する。そして、金属反射層22上に拡散防止用のNiバリア層を積層して、第1の層構造5を得る。
次に、図6Bに示すように、サブマウント1上に半田層21を積層して第2の層構造6を得る。前述したように、サブマウント1は、面内熱膨張率異方性を有する材料、例えば、LiTaO3、LiNbO3、BaTiO3、MgF3から選ばれる。半田層21の材料は、Au−Sn、Au−Ge、Au−Si、Al−Siから選ばれる。
次に、図6Cに示すように、第1の層構造5の表面と第2の層構造6の表面を合わせた後、熱と圧力を加えて、半田層21による圧着接合を行う。圧着接合時の温度は、半田の共晶温度により異なるが、共晶温度より高い温度で圧着する。例えば、Au−Sn半田を用いた場合は、0.3MPaの圧力、320℃の温度で圧着後、室温にもどす。半田は融点以下では固化し、サブマウント1とエピタキシャル成長用基板12の熱膨張係数差により反った形状になる。
圧着後、図6Dに示すように、エピタキシャル成長用基板12を除去し、n型の半導体層331の表面を露出させる。除去方法としては、レーザリフトオフ法、ケミカルリフトオフ法等を用いる。レーザリフトオフ後は、例えば塩酸で表面に残っている液体ガリウムを除去する。
エピタキシャル成長用基板12を除去すると、圧着接合時に有していた基板の反りがなくなり、接合時の温度変化によりサブマウント1で生じた面内異方的な応力が第1の層構造5に加えられる。
基板除去後、図6Eに示すように、n型の半導体層331にn型の電極42を形成し、金属多層接着層2にp型の電極41を形成する。そして、n型の半導体層331の光取り出し面(n型の電極42が形成された側の面)に光取り出し構造34を形成する。
光取り出し構造34の形成方法として、レーザリフトオフ法を用いた場合は、既に有る程度、リフトオフ後の表面が粗くなっているので、これを光取り出し構造34として用いることもできる。
光取り出し構造34の形成方法として、レーザリフトオフ法を用いた場合でも、積極的に光取り出し構造34を形成する場合は、まず、n型の半導体層331を平坦化した後に、リソグラフィにより所望のパターンを形成する。
光取り出し構造34の形成方法として、ケミカルリフトオフ法を用いた場合は、リフトオフ後の表面は平坦化されているので、直接、リソグラフィにより所望のパターンを形成する。
以上のようにして、本実施形態の偏光制御発光ダイオードを得る。
第2および第3の実施形態の偏光制御発光ダイオードについても、図6A〜図6Eに示した製造工程を適用することで製造することができる。
以上説明した本発明の偏光制御発光素子によれば、半導体積層膜3が面内熱膨張率異方性を有するサブマウント(基体)1上に金属多層接着層2を介して形成されているため、発光層32に面内異方的な歪みが生じ、その結果、面内に偏光した光を放出させることができ、偏光制御された光を高効率で得られる。また、半導体積層膜3の成長主面は極性面であるので、大面積の発光層32を容易に作成することができる。よって、偏光制御された光を高効率で得られる、小型かつ低コストで、量産性に優れた、高出力の偏光制御発光素子を提供することができる。
本発明の偏光制御発光素子は、プロジェクタ等の投射型表示装置の光源として用いることができる。
図7は、本発明の偏光制御発光素子を備える投射型表示装置の主要な構成を示す模式図である。
図7を参照すると、投射型表示装置は、赤色LED400、緑色LED401、青色LED402、表示素子403〜405、クロスダイクロイックミラー406および投射光学系407を有する。
赤色LED400、緑色LED401および青色LED402はいずれも、本発明の偏光制御発光素子よりなる。表示素子403〜405は、例えば液晶表示デバイスである。図7中、赤色LED400、緑色LED401および青色LED402の各光源からの光を表示素子403〜405上に均一に照射するための照明光学系等は省略されている。
赤色LED400から出射された赤色の光は、表示素子403に照射される。表示素子403は、不図示の駆動回路によって駆動され、外部から供給された映像信号に基づく赤色用の画像を形成する。
緑色LED401から出射された緑色の光は、表示素子404に照射される。表示素子404は、不図示の駆動回路によって駆動され、外部から供給された映像信号に基づく緑色用の画像を形成する。
青色LED402から出射された青色の光は、表示素子405に照射される。表示素子405は、不図示の駆動回路によって駆動され、外部から供給された映像信号に基づく青色用の画像を形成する。
表示素子403〜405によって形成された各色の画像光は、クロスダイクロイックミラー406を介して投射光学系407に入射する。投射光学系407は、表示素子403〜405によって形成された各色の画像を不図示のスクリーン(またはスクリーンに代わる部材)上に投射する。
上述した投射型表示装置において、赤色LED400、緑色LED401および青色LED402の代わりに、赤色、緑色および青色の波長帯域を含む光を出力する1つの偏光制御発光素子(本発明の構造を有する)を用いてもよい。この場合、表示素子403〜405の代わりに、外部からの映像信号に基づく赤色、緑色および青色の画像を時分割で表示する1つの表示素子を用いる。この表示素子に形成された各色の画像が投射光学系によって投射される。
1 サブマウント
2 金属多層接着層
21 半田層
3 半導体積層膜
31、33 半導体層
32 発光層
2 金属多層接着層
21 半田層
3 半導体積層膜
31、33 半導体層
32 発光層
Claims (7)
- 面内の方向によって熱膨張率が異なる基体と、
成長主面が極性面である発光層を含む半導体積層膜と、
前記半導体積層膜を前記基体上に接合する、少なくとも半田層を含む金属接着層と、を有する、偏光制御発光素子。 - 前記金属接着層は、前記発光層からの光を前記発光層の方向へ反射する反射層を有する、請求項1に記載の偏光制御発光素子。
- 前記半導体積層膜は、導電型がp型である第1の半導体層と、導電型がn型である第2の半導体層と、を有し、
前記発光層は、前記第1および第2の半導体層に挟まれており、
前記半導体積層膜の前記第1の半導体層側の面が、前記金属接着層を介して前記基体に接合され、
前記金属接着層に設けられた導電型がp型である第1の電極と、
前記第2の半導体層に設けられた導電型がn型である第2の電極と、をさらに有する、請求項1または2に記載の偏光制御発光素子。 - 前記第2の半導体の、前記第2の電極が形成された側の面に形成された、該面内の方向において屈折率が周期的に変化する周期構造を有する光取り出し部を、さらに有する、請求項3に記載の偏光制御発光素子。
- 前記基体は、LiTaO3、LiNbO3、BaTiO3、MgF3のいずれか一つからなる、請求項1から4のいずれか1項に記載の偏光制御発光素子。
- 前記半田層は、Au−Sn、Au−Ge、Au−Si、Al−Siのいずれか1つからなる、請求項1から5のいずれか1項に記載の偏光制御発光素子。
- 成長主面を極性面として結晶成長により発光層を含む半導体積層膜を形成するとともに、面内の方向によって熱膨張率が異なる基体上に、少なくとも半田を含む金属接着層を形成し、
前記半田の融点以上の温度で、前記金属接着層を介して前記半導体積層膜を前記基体上に接合する、偏光制御発光素子の製造方法。
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