JP2011145650A - トナーの定着方法及び画像形成方法並びに画像形成装置 - Google Patents

トナーの定着方法及び画像形成方法並びに画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011145650A
JP2011145650A JP2010236460A JP2010236460A JP2011145650A JP 2011145650 A JP2011145650 A JP 2011145650A JP 2010236460 A JP2010236460 A JP 2010236460A JP 2010236460 A JP2010236460 A JP 2010236460A JP 2011145650 A JP2011145650 A JP 2011145650A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
fixing
resin
foam
fixing solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010236460A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5590392B2 (ja
Inventor
Yukiko Nakajima
由紀子 中島
Yoichiro Watanabe
陽一郎 渡辺
Yasusada Shidara
泰禎 設楽
Shinya Nakayama
慎也 中山
Yoshihiro Moriya
芳洋 森屋
Ryuta Inoue
竜太 井上
Akiyoshi Sabe
顕芳 左部
Shingo Sakashita
真悟 阪下
Yasuo Katano
泰男 片野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2010236460A priority Critical patent/JP5590392B2/ja
Publication of JP2011145650A publication Critical patent/JP2011145650A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5590392B2 publication Critical patent/JP5590392B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】トナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させる定着方法で、少量の定着液で、更に高速での定着が可能な定着方法、画像形成方法及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー中の結着樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有した定着液14を媒体12上のトナーに付与して該トナーを媒体に定着させる定着方法において、トナーのBET比表面積が、2.0〜8.0
2/gであることを特徴とする定着方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着液によりトナーを軟化させて媒体に定着させるトナーの定着方法及び画像形成方法、並びに該定着方法を利用した画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、定着速度、定着画像品質等の点から、記録媒体上のトナーを加熱溶融し、加圧することで定着させる熱定着方式が広く普及している。しかしながら、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、トナーの加熱のために消費されており、環境問題の観点から低消費電力(省エネ)の定着装置が望まれている。
このような定着装置として、特許文献1には、定着液でトナーを溶解又は膨潤させ、乾燥させることでトナーを定着させる方法が提案されている。
特許文献2には、トナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有した泡状定着液を調合し、泡状定着液を均一塗布することでトナー画像を乱すことなく非加熱定着させる方法が提案されている。
この定着方式では、熱定着方式のように、トナーを溶融させるための加熱処理が不要であることから、消費電力が低く、省エネ対策として優れた定着方式である。
しかし上記定着方法は、定着液がトナー中に拡散していき、軟化剤によりトナーを軟化させて定着させる方法であるため、熱定着方式と比較してトナーの軟化速度が極めて遅い。これにより複写機の高速化への対応が困難となり、多量の定着液を使用しなければならないという問題があった。
特許文献3には、トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体にトナーを定着させる定着方式において、トナーを高速かつ少量で定着することが可能な定着方法を提供する目的で、軟化剤をトナー質量に対して3質量%で添加してDSC測定を行なった際に、トナーの吸熱ショルダーのシフト幅ΔTが30℃以上である軟化剤とトナーを用いる定着方法が記載されている。特許文献3記載のものは、前記条件を満たすトナーと軟化剤を用いることで、軟化剤が少量の場合でもトナーと軟化剤の相溶性が充分であるため、トナーを充分軟化させることが可能となり、定着速度の高速化への対応が可能としたものであり、トナーと軟化剤との相溶性を向上させるという観点から高速化を可能としたものである。
しかしながら、更なる定着速度の高速化が望まれており、このためには他の観点からのアプローチが必要である。
本発明はトナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させる定着方法で、少量の定着液で、更に高速での定着が可能な定着方法、画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意探求を重ねた結果、少量の定着液で、更に高速での定着が可能なトナーの定着方法を見出した。本発明は以下の構成を有する。
(1)結着樹脂を含有するトナー中の結着樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有した定着液を媒体上のトナーに付与して該トナーを媒体に定着させる定着方法において、
トナーのBET比表面積が、2.0〜8.0m2/gであることを特徴とする定着方法。
(2)前記トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、及び異形化剤を含むことを特徴する上記(1)に記載の定着方法。
(3)前記異形化剤が、湿式法で合成された金属酸化物、又は層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物であることを特徴とする上記(2)に記載の定着方法。
(4)前記トナーが、
少なくとも結着樹脂、着色剤、及び異形化剤を有機溶媒に溶解乃至分散させたトナー材料液を水系媒体に分散して造粒することで得られるトナーであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の定着方法。
(5)前記トナーの結着樹脂として、少なくともポリエステル樹脂を用いることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の定着方法。
(6)前記トナーの体積平均粒径が3〜9μmであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の定着方法。
(7)前記トナーの結着樹脂が、変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の定着方法。
(8)前記トナーが、トナーと、キャリアとを含む電子写真用二成分現像剤に由来するトナーであって、
前記キャリアが少なくとも芯材と、該芯材表面に微粒子を含む被覆層とを有し、
該微粒子の粒子径(D)と該被覆層を形成する樹脂膜の膜厚(h)が、1<[D/h]<10の関係を満たし、
該微粒子の総含有量が被覆層組成成分の40〜95wt%であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の定着方法。
(9)前記キャリアの被覆層が、少なくともシリコーン樹脂を含有することを特徴とする上記(8)に記載の定着方法。
(10)前記キャリアの被覆層が、少なくともシリコーン樹脂とアクリル樹脂とを含有することを特徴とする上記(8)又は(9)に記載の定着方法。
(11)前記キャリアの被覆層が含有する微粒子が、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、又はそれらに表面処理を施したもののいずれかの、単独或いは複数であることを特徴とする上記(8)〜(10)のいずれかに記載の定着方法。
(12)前記定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成工程と、
前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する膜厚調整工程と、
前記の所望の厚みに形成された泡状定着液をトナー層に付与する泡状定着液付与工程と、
を含む定着方法であって、
前記定着液が、水を含む希釈剤と、前記定着液を泡状とする起泡剤と、軟化剤としての可塑剤とを含有することを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の定着方法。
(13)前記可塑剤は常温で固体であり、かつ、前記希釈剤に可溶であって、前記希釈剤に溶解している状態で前記トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる固体可塑剤であることを特徴とする上記(12)に記載の定着方法。
(14)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
を含む画像形成方法であって、
前記定着工程が、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法。
(15)静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
潜像担持体に供給する現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、
現像剤を現像剤担持体表面に供給する現像剤供給部材と、
現像剤担持体の表面に当接するよう設けられた現像剤層規制部材と、
トナーを含む現像剤を収納する現像剤収納器とを備え前記静電潜像をトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記定着手段が、定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、
前記泡状定着液を媒体上のトナー層に付与する泡状定着液付与手段と、
前記泡状定着液付与手段の泡状定着液の膜厚を調整する膜厚調整手段と、
を有する定着手段であって、
前記トナーのBET比表面積が、2.0〜8.0m2/gであることを特徴とする画像形成装置。
トナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させる定着方法であって、少量の定着液で、更に高速での定着が可能な定着方法、画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
キャリアの体積抵抗を測定する装置の一例を示す概略図である。 定着液塗布時の定着液及びトナーの状態の一例を示す概略図である。 定着液塗布時の泡状定着液の層構成の一例を示す概略図である。 泡状定着液生成手段の構成の一例を示す概略図である。 膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。 塗布ローラ41及び膜厚調整用ブレード42を拡大した概略図である。 泡状定着液の膜厚を薄くする場合の構成の一例を示す概略図である。 泡状定着液の膜圧を厚くする場合の構成の一例を示す概略図である。 定着装置の構成の一例を示す概略構成図である。 定着装置の別の構成の一例を示す概略構成図である。 加圧手段の構成の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略断面図である。 図10中の感光体を配設する作像形成部の構成を示す概略断面図である。 画像形成装置の要部構成の一例を示す概略図である。 図12中の作像手段15の概略構成を示す図である。 図12中の定着装置18の拡大図である。 画像形成装置の定着手段としての定着装置を含む部分の概略構成図である。 実施例において使用した定着装置の構成を示す概略図である。
トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体にトナーを定着させる定着方法において、従来はトナーの軟化速度が遅いため、多量の定着液を必要とした。しかし、本発明に係るトナーの定着方法は、トナーのBET比表面積を2.0〜8.0m2/gの範囲にすることで、定着液とトナーの接触面積が広くなるため、定着液の浸透速度が向上し、少量の定着液でも高速での定着が可能となる。
BET比表面積が2.0m2/g未満であると、定着液とトナーの接触面積が十分ではなく、浸透速度が低下することにより、トナーの軟化速度が低下する。逆に、BET比表面積が8.0m2/gを超えると、使用する定着液量が増加するため、トナー中に軟化剤が残存しやすく、紙上の定着トナー層がいつまでも柔らかくなった状態を維持し、指で触ると粘着感が出たり、印刷物を重ねて放置した場合、粘着性を帯びた定着トナー層のために、印刷紙同士がくっついてしまう不具合が発生する恐れがある。特に、短期的にはトナーが定着した印刷物表面に粘着感がなくても、印刷物同士を重ねた状態で、室温よりもやや温度の高い環境や、室温で長期間にわたり放置すると、印刷物同士がくっつく可能性がある。
また、本発明においては、トナーに含まれる樹脂としてポリエステル樹脂を用いることで、ポリエステルのエステル基と紙中のセルロースの水酸基の親和性が高く、定着性が良好となる。これにより、トナーの定着速度が向上する。
更に、本発明においては、トナーの体積平均粒径を3〜9μmとすることが好ましい。体積平均粒径が3μm未満の場合、感光体との付着力が大きくなり、一次転写性が不十分になる可能性があり、逆に9μmより大きい場合には、トナー質量に対するトナー表面積が小さくなるため、定着液の吸収が速やかに行われず、定着速度の高速化への対応が困難になったり、また定着液がトナー内部にまで浸透せず、軟化が十分に進行しない可能性がある。
以下、本発明の特徴について詳細に説明する。
(トナー)
<BET比表面積>
本発明によるトナーは、主に水を溶媒とし、トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体にトナーを定着させる定着方法において、前記トナーのBET比表面積が、2.0〜8.0m2/gであることが好ましい。前記条件を満たすトナーと軟化剤を用いることで、定着液とトナーの接触面積が広くなるため、定着液の浸透速度が向上し、少量の定着液でも高速での定着が可能となる。BET比表面積が2.0m2/g未満であると、定着液とトナーの接触面積が十分ではなく、浸透速度が低下することにより、トナーの軟化速度が低下する。また、BET比表面積が8.0m2/gを超えると、使用する定着液量が増加するため、トナー中に軟化剤が残存しやすく、紙上の定着トナー層がいつまでも柔らかくなった状態を維持し、指で触ると粘着感が出たり、印刷物を重ねて放置した場合、粘着性を帯びた定着トナー層のために、印刷紙同士がくっついてしまう不具合が発生する恐れがある。特に、短期的にはトナーが定着した印刷物表面に粘着感がなくても、印刷物同士を重ねた状態で、室温よりもやや温度の高い環境や、室温で長期間にわたり放置すると、印刷物同士がくっつく可能性がある。
BET比表面積を上記の範囲にする手段として、重合法においては、(1)乳化スラリーの脱溶剤工程において、脱溶剤温度を高くし、急激に溶媒を留去する方法、(2)樹脂溶液調製時に少なくとも2種類以上の有機溶媒を使用する方法、(3)異形化剤をトナーに含有させる方法等があり、また重合法以外では、(4)粉砕法によりトナーを作製しBET比表面積を上記範囲内にする方法がある。これらの中でも重合法において異形化剤をトナーに含有させる方法が、十分なBET比表面積が得られる点で効果的である。
異形化剤としては、この目的が達成できるものであれば、目的に応じて適宜選択することができるが、層状無機鉱物が有する層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を含有するものや、湿式法(水熱合成法、ゾルーゲル法等)によって合成された線形・環形の金属酸化物のハイドロゲル分散液を疎水化処理を施した後、分散溶媒を水からアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)などの溶媒に置換して作製したものが好ましい。
<異形化剤>
本発明において異形化剤として用い得る層状無機鉱物が有する層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、スメクタイト系の基本結晶構造を持つものを有機カチオンで変性したものが望ましい。また、層状無機鉱物の2価金属の一部を3価の金属に置換することにより、金属アニオンを導入することができる。しかし、金属アニオンを導入すると親水性が高いため、金属アニオンの少なくとも一部を有機アニオンで変性した層状無機化合物が望ましい。
層状無機鉱物が有するイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の、有機物カチオン変性剤としては、有機物イオンでこのように変性し得るものであれば、特に制限はなく、第4級アルキルアンモニウム塩、フォスフォニウム塩やイミダゾリウム塩などが挙げられる。なかでも、第4級アルキルアンモニウム塩が望ましい。この第4級アルキルアンモニウムとしては、トリメチルステアリルアンモニウム、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムなどが挙げられる。
層状無機鉱物が有するイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の、有機物アニオン変性剤としては、有機物イオンで上記のように変性し得るものであれば、特に制限はないが、さらに分岐、非分岐又は環状アルキル(C1〜C44)、アルケニル(C1〜C22)、アルコキシ(C8〜C32)、ヒドロキシアルキル(C2〜C22)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を有する硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、又はリン酸塩が挙げられる。エチレンオキサイド骨格を持ったカルボン酸が望ましい。
層状無機鉱物の少なくとも一部を有機物イオンで変性することにより、適度な疎水性を持ち、トナー組成物を含む前記油相が非ニュートニアン粘性を持ち、トナーを異形化することができる。
また、一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を適宜選択することができ、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト及びこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、トナー特性に影響を与えず、容易に粘度調整ができ、添加量を少量とすることができることから、有機変性モンモリロナイト又はベントナイトが好ましい。
一部を有機カチオンで変性した層状無機鉱物の市販品としては、Bentone 3、Bentone 38、Bentone 38V(以上、レオックス社製)、チクソゲルVP(United catalyst社製)、クレイトン34、クレイトン40、クレイトンXL(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18ベントナイト;Bentone 27(レオックス社製)、チクソゲルLG(United catalyst社製)、クレイトンAF、クレイトンAPA(以上、サザンクレイ社製)等のステアラルコニウムベントナイト;クレイトンHT、クレイトンPS(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18/ベンザルコニウムベントナイトが挙げられる。好ましいのは、クレイトンAF、クレイトンAPAが挙げられる。また一部を有機アニオンで変性した層状無機鉱物としてはDHT−4A(協和化学工業社製)に下記一般式(1)で表される有機アニオンで変性させたものがよりに好ましい。下記一般式(1)で表される化合物としては例えばハイテノール330T(第一工業製薬社製)が挙げられる。
(OR)nOSO3M 一般式(1)
[一般式(1)中、Rは炭素数13を有するアルキル基、Rは炭素数2から6を有するアルキレン基を表す。nは2から10の整数を表し、Mは1価の金属元素を表す]
本発明において異形化剤として用い得る湿式法によって合成される前記金属酸化物として、例えば、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム及び炭酸カルシウムなどを挙げることができる。
この中でも二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)及び酸化アルミニウムが好ましく、特にシリカが好ましい。
また、疎水化処理の方法としては表面処理剤を用いることが多く、金属酸化物表面の親水性/疎水性のバランスを最適化する必要があり、例えば、下記の式(1)で表わされるカップリング剤が好ましく用いられる。
(Q)x−Si(P)y−(A)z 式(1)
(上記式(1)中Qはハロゲン原子、アミノ基又はアルコキシ基等の加水分解可能な基を表し、Aはアルキル基又はアリール基を表し、有機官能基Pは−BOOC(R’)C=CH2、−BNHR’’又は−BNH2を表す(R’はアルキル基、R’’はアルキル基またはアリール基)。なお、Bはアルキレン基または−O−、−NH−、−CO−を含むアルキレン基を表す。また、x及びyは1以上の整数、zは0以上の整数を表し、x+y+z=4を満たす)。
上記式(1)で表わされるカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン[γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン]、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン[γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン]、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン[γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン]、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン[γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン]、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン[γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン]、n−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン[γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン]、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩[N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩]、オクタデシルジメチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
また、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイルを疎水化処理剤として使用したものでも効果が得られる。
さらに、剛体同士が一次粒子の状態で結合していることが望ましく、また、有機溶媒中における分散性の点から溶媒中で安定に分散しているゾル体であることが望ましく、この条件に当てはまる代表的なものとしてオルガノシリカゾルを挙げることができる。市販のオルガノシリカゾルとしては、MEK−ST−UP(日産化学工業製)等がある。
トナーのBET比表面積は、自動比表面積/細孔分布測定装置Tri Star 3000(島津製作所製)を用いて測定した。トナー1gを専用セルに入れ、Tri Star用脱ガス専用ユニット、バキュプレップ061(島津製作所製)を用いて、前記専用セル内の脱気処理を行った。脱気処理は室温下で行い、少なくとも100m torr以下の減圧条件下で20時間行った。脱気処理を行った専用セルは、Tri Star 3000を用いて自動でBET比表面積を得ることが出来る。なお、吸着ガスとしては窒素ガスを用いて行った。
<体積平均粒径>
本発明のトナーの体積平均粒径は3〜9μmであることが好ましい。体積平均粒径が3μm未満の場合、感光体との付着力が大きくなり、一次転写性が不十分になる可能性があり、逆に9μmより大きい場合には、トナー質量に対するトナー表面積が小さくなるため、定着液の吸収が速やかに行われず、定着速度の高速化への対応が困難になったり、また定着液がトナー内部にまで浸透せず、軟化が十分に進行しない可能性がある。
トナーの体積平均粒経は、コールターマルチサイザーを用いて測定した。即ち、測定装置としてはコールターマルチサイザーIII(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機株式会社製)及びパーソナルコンピューターを接続し、電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製した。測定法としては、この電解液としての水溶液100〜150mL中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5mL加え、更に測定試料を2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分の分散処理を行った。更に、別のビーカーに電解水溶液100〜200mLを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターマルチサイザーIIIによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子の平均を測定することにより行った。
<結着樹脂>
結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもポリエステルのエステル基と紙中のセルロースの水酸基の親和性が高く、定着性が良好となることからポリエステル系重合体を使用することが好ましい。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマー。
本発明に係るトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類として、例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.03〜5質量部用いることがより好ましい。これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
本発明のビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2’,4’−ジメチル−4’−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂等のビニル重合体のときの酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
ポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
前記3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などがあげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
本発明に係るトナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれか中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gを有する樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の式で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W
−活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル(プレポリマー)−
更に、本発明で用いる結着樹脂Aとしては、活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル(以下ポリエステルプレポリマーと称することがある)を含有してもよい。活性水素基含有化合物は、トナー製造過程において、前記活性水素基含有化合物と反応可能なポリエステルが伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。該ポリエステルプレポリマーが伸張反応して高分子量化することにより、トナーの耐熱保存性や、定着後の画像のべたつきを効果的に低減させることができる。この場合のポリエステルプレポリマーとしては、活性水素基含有化合物と反応可能であれば特に制限は無いが、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、等を有する変性ポリエステルが挙げられ、その中でも特にイソシアネート基を含有した変性ポリエステルが好適である。
活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルがイソシアネート基含有変性ポリエステルである場合には、該イソシアネート基含有変性ポリエステルと伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、アミン類が好適である。
前記アミン類としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。また、これらのアミノ基をケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)でブロックした、ケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、等が挙げられる。
−界面活性剤−
トナーの調製には、構成成分の乳化/分散を目的として、界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は、1種単独又は2種以上の界面活性剤を併用してもよい。
アニオン界面活性剤としては、カルボン酸又はその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩及びリン酸エステル塩等が用いられる。カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型界面活性剤及びアミン塩型界面活性剤等が使用できる。両性界面活性剤としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤及びリン酸エステル塩型両性界面活性剤などが使用できる。
非イオン界面活性剤としては、AO付加型非イオン界面活性剤及び多価アルコール型非イオン界面活性剤などが使用できる。
<その他成分>
本発明によるトナーは、必要に応じて帯電制御剤、着色剤、離型剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料を含有していても良い。
−帯電制御剤−
本発明によるトナーは、トナーの帯電性を制御することを目的として、帯電制御剤をトナー中に含有させることができる。帯電制御剤としては、特に制限はなく、下記の各材料が挙げられる。
例えば、ニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料(特公昭42−1627号公報)、塩基性染料、例えばC.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.BasicBlue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.BasicBlue 7(C.I.42595)、C.I.BasicBlue 9(C.I.52015)、C.I.BasicBlue 24(C.I.52030)、C.I.BasicBlue 25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)など及びこれらの塩基性染料のレーキ顔料、C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド等の4級アンモニウム塩、ジブチル若しくはジオクチルなどのジアルキルスズ化合物、ジアルキルスズボレート化合物、グアニジン誘導体、アミノ基を含有するビニル系ポリマー、アミノ基を含有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂、特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩、又はカリックスアレン系化合物等が挙げられる。ブラック以外のカラートナーは、当然目的の色を損なう帯電制御剤の使用は避けるべきであり、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好適に使用される。
帯電制御剤の含有量は、前記結着樹脂(樹脂粒子(B)中の樹脂分)の100質量部に対して、0.01質量部〜2質量部が好ましく、0.02質量部〜1質量部がより好ましい。含有量が、0.01質量部以上であると、帯電制御性が得られ、2質量部以下であると、トナーの帯電性が大きくなりすぎることがなく、主帯電制御剤の効果を減退させることもなく、現像ローラとの静電的吸引力が増大してトナーの流動性低下や画像濃度の低下を招くということもない。
−着色剤−
本発明において、着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トナーの着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができるが、カラートナーであるのが好ましい。
黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35、などが挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36、などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36、などが挙げられる。
トナー中における着色剤の含有量は、トナー質量に対して、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のもののなかから適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
マスターバッチは、高せん断力をかけて、樹脂と着色剤とを混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂との相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水及び有機溶媒を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100000が好ましく、顔料分散性の観点から、3000〜100000がより好ましい。特に、5000〜50000が好ましく、5000〜30000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、200質量部を超えると帯電性が低下することがある。
−離型剤−
離型剤としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等を用いてもよいが、離型剤を用いない方が好ましい。従来の加熱加圧定着方式で用いられるトナーには、定着時のホットオフセット等を防止することを目的に、トナー材料として、離型剤とよばれる、熱ローラー定着を行なう際に溶融し、ローラーと被定着材上のトナーとの付着を防止する効果を有する物質(低分子量ポリオレフィン・ワックス等)が用いられてきた。しかしながらこれら離型剤はトナーのバインダー樹脂中への均一分散は困難であり、離型剤がトナー表面などに多く存在する場合には、耐ブロッキング性の低下、感光体、キャリア等へのフィルミング、スペント化、経時での部材汚染等の問題を生ずる原因ともなりうる。
トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体にトナーを定着させる方法に用いられるトナーは、非加熱の定着方法に用いられるものであるから、熱ローラー定着を行なう際に溶融し、ローラーと被定着材上のトナーとの付着を防止する効果を有する物質を有する必要がなく、離型剤を用いなくてもよい。
―無機微粒子―
本発明によるトナーは、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として無機微粒子を有してもよい。
無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のもののなかから適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。無機微粒子のトナーにおける含有量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。この範囲であると、トナーの流動性、現像性、帯電性が向上する。
−流動性向上剤−
流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。なかでも、シリカ及び酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが好ましい。
−クリーニング性向上剤−
クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。このポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
−磁性材料−
磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のもののなかから適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、等が挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
<コア粒子の製造方法>
前記トナーを構成するコア粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法、特定の重合性単量体を含有する単量体組成物を水相中で直接的に重合する重合法(懸濁重合法、乳化重合法)、水系媒体中に特定の結着樹脂溶解液を乳化乃至分散させる方法、溶剤で溶解し脱溶剤して粉砕する方法、溶融スプレー法などが挙げられる。
−粉砕法−
前記粉砕法は、例えば、トナー材料を溶融乃至混練し、粉砕、分級等することにより、前記トナーの母体粒子を得る方法である。なお、該粉砕法の場合、前記トナーの平均円形度を高くする目的で、得られたトナーの母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、前記機械的衝撃力は、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いて前記トナーの母体粒子に付与することができる。
上記記載のトナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸の連続混練機、二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、株式会社神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、有限会社ケイシーケイ製二軸押出機、株式会社池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、バインダー樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターとの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナーを製造する。
−懸濁重合法−
前記懸濁重合法は、油溶性重合開始剤、重合性単量体中に着色剤、離型剤などを分散し、界面活性剤、その他固体分散剤などが含まれる水系媒体中で、後述する乳化法によって乳化分散する。その後重合反応を行い粒子化した後に、本発明におけるトナー粒子表面に無機微粒子を付着させる湿式処理を行えばよい。その際、余剰にある界面活性剤等を洗浄除去したトナー粒子に処理を施すことが好ましい。
前記重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基を有すアクリレート、メタクリレートなどを一部用いることによってトナー粒子表面に官能基を導入できる。
また、使用する分散剤として酸基や塩基性基を有するものを選ぶことよって粒子表面に分散剤を吸着残存させ、官能基を導入することができる。
−乳化重合法−
前記乳化重合法としては、水溶性重合開始剤、重合性単量体を水中で界面活性剤を用いて乳化し、通常の乳化重合の手法によりラテックスを合成する。別途着色剤、離型剤等を水系媒体中分散した分散体を用意し、混合の後にトナーサイズまで凝集させ、加熱融着させることによりトナーを得る。その後、後述する無機微粒子の湿式処理を行えばよい。ラテックスとして懸濁重合法に使用される単量体と同様なものを用いればトナー粒子表面に官能基を導入できる。
−水系媒体中に特定の結着樹脂溶解液を乳化乃至分散させる方法−
前記水系媒体中に特定の結着樹脂溶解液を乳化乃至分散させる方法としては、少なくとも結着樹脂Aを有するトナー材料の溶解液乃至分散液を水系媒体中に乳化乃至分散させ、乳化液乃至分散液を調製した後、トナーを造粒(水系造粒)する方式である。この方式としては例えば以下の工程〔1〕〜〔4〕から成る。
工程〔1〕:トナー材料の溶解液乃至分散液の調製
前記トナー材料の溶解液乃至分散液は、着色材、結着樹脂などのトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させることにより調製される。なお、前記有機溶剤は、トナーの造粒時乃至造粒後に除去される。
工程〔2〕:水系媒体の調製
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能なアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、など溶剤、これらの混合物などが挙げられるが、これらの中でも、水が特に好ましい。
前記水系媒体の調製は、例えば、樹脂微粒子のような分散安定化剤を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。樹脂微粒子の水系媒体中への添加量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成し得る樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましい。
また、前記水系媒体においては、必要に応じて、後述の乳化乃至分散時における、前記溶解液乃至分散液の油滴を安定化させ、所望の形状を得つつ粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
工程〔3〕:乳化乃至分散
前記トナー材料を含む溶解液乃至分散液を前記水系媒体中で乳化乃至分散させる際、トナー材料を含む溶解液乃至分散液を前記水系媒体中で攪拌しながら分散させるのが好ましい。分散の方法としては、特に限定されるものではないが、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(在原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。中でも、粒径の均一化の観点から、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーを用いることが好ましい。
なお、前記溶解液乃至分散液に含まれる結着樹脂として活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル(プレポリマー)を含む場合においては、乳化乃至分散時に反応が進行する。反応条件としては特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができるが、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
工程〔4〕:溶剤の除去
次に、前記乳化乃至分散により得られた乳化スラリーから有機溶剤を除去する。有機溶剤の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶剤を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法等が挙げられる。
(現像剤)
本発明による現像剤は、上述の本発明によるトナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。本発明による現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で二成分現像剤が好ましい。トナーとキャリアの混合割合は、キャリア100質量部に対しトナー1.0質量部〜10.0質量部が好ましい。
<キャリア>
本発明のキャリアは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材表面に、結着樹脂による被覆層を有するものが好ましい。また、被覆層に微粒子を含有していてもよい。更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
−芯材−
前記芯材としては、特に制限はなく、電子写真用二成分キャリアとして公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、が好適に挙げられる。また、近年著しく進む環境面への配慮をし、フェライトであれば、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、例えば、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライト、銅−亜鉛フェライト、リチウム系フェライト等を用いることが好適である。
なお、芯材抵抗を制御する目的及び製造安定性を高める目的などから、その他の芯材の組成成分として、例えばLi、Na、K、Ca、Ba、Y、Ti、Zr、V、Ag、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Sb、Bi等の組成成分元素1種以上配合させてもよい。これらの配合量としては、総金属元素量の5原子%以下であることが好ましく、3原子%以下であることがより好ましい。
前記芯材は、静電潜像担持体へのキャリア付着(飛散)防止の点から、体積平均粒径が20μm以上の大きさのものが好ましく、キャリアスジ等の発生防止等画質低下防止の点から100μm以下のものが好ましく、特に、近年の高画質化に対しては、体積平均粒径が20μm〜50μmがより好ましい。
ここで、前記芯材の体積平均粒径は、例えば、「マイクロトラック粒度分析計SRA」、日機装株式会社製を使用し、0.7μm〜125μmのレンジ設定で測定することができる。
−被覆層−
前記被覆層は、少なくとも微粒子を含む結着樹脂(以下、「被覆樹脂」という。)からなり、必要に応じて帯電調整材料や抵抗制御材料など、その他の成分を含んで成る。
(被覆樹脂)
前記被覆樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)又はその変性品、スチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルカルバゾール、ビニルエーテル等を含む架橋性共重合物;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等による変性品);ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;エポキシ樹脂;アイオノマー樹脂;ポリイミド樹脂、又はこれらの誘導体などが挙げられる。また、これらはモノマー類、マクロモノマー類、反応基を有するポリマーとして芯材表面に付着した後、加熱、又は架橋剤、重合開始剤等によってラジカル重合及び縮重合反応を引き起こし、被覆層として所望の特性を有する被覆樹脂を形成する、被覆樹脂前駆体であってもよい。
これらの中でも、被覆樹脂として少なくともシリコーン樹脂が好適であり、キャリア表面の表面エネルギー自体を低くすることができ、トナーがキャリアと長時間にわたって混合攪拌される際の、トナー成分のキャリア表面への融着(トナースペント)の発生を抑制することができるため、キャリア特性をより長期に亘って維持することができる。
前記シリコーン部位の構成単位としては、メチルトリシロキサン単位、ジメチルジシロキサン単位、及びトリメチルシロキサン単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。該シリコーン部位は、他の被覆層の樹脂と化学的に結合していてもよく、ブレンド状態であってもよく、又は多層状になっていてもよい。
前記ブレンドや多層状の構成とする場合には、シリコーン樹脂及びその変性体の少なくともいずれかを使用することが好ましい。少なくとも下記式(2)で表される構成単位を有することにより、シリコーン樹脂又は他の樹脂の特異的な摩滅、磨耗、脱離といった不具合を抑制することができる。
−(SiRO)a−(SiRO)b−・・・式(2)
ただし、前記式(2)中、R〜Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭化水素基及びその誘導体の少なくともいずれを表し、Xは縮合反応基を表し、a及びbは整数を表す。
前記縮合反応基としてのXは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、メチルエチルケトオキシム基等が挙げられ、大気中の水分や加熱によって該部位にて縮合反応が起こり、三次元網目構造をとりうる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えばKR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業株式会社製);SR2400、SR2405、SR2406(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、などが挙げられる。
また、前記被覆樹脂として、シリコーン樹脂以外の樹脂を一種類以上含有しても良い。なかでもアクリル樹脂は芯材及び被覆層に含有される微粒子との密着性が強く脆性が低いので、被覆層の剥離に対して非常に優れた性質を持ち、被覆層の削れ及び剥がれといった劣化が発生し難いので、被覆層を安定的に維持することが可能であると共に、強い接着性により芯材と被覆層を強固に密着することができ、更に導電性粒子など被覆層中に含有する粒子を強固に保持することができる。特に、被覆層厚みよりも大きな粒径を有する粒子の保持には強力な効果を発揮することができるので好ましい。
前記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、20℃〜100℃が好ましく、25℃〜80℃がより好ましい。前記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)をこの範囲とすることによって、該アクリル樹脂は適度な弾性を持ち、現像剤の摩擦帯電時にキャリアが受ける衝撃を軽減させると考えられ、被覆層の破損が抑止される。
前記被覆樹脂を、アミノ樹脂と該アミノ樹脂と架橋可能なアクリル樹脂との架橋物とすることにより、適度な弾性を維持したまま、アクリル樹脂単独使用の場合に発生しがちな樹脂同士の融着、いわゆるブロッキングを防止することができるため、より一層好ましい。
前記アミノ樹脂としては、従来知られているアミノ樹脂を用いることができるが、中でも、グアナミン、メラミンを用いることで、キャリアの帯電付与能力をも向上させることができるため、より好ましく用いられる。
また、適度にキャリアの帯電付与能力を制御する必要がある場合には、グアナミン及びメラミンの少なくともいずれかと、他のアミノ樹脂とを併用しても差し支えない。
前記アミノ樹脂と架橋可能なアクリル樹脂としては、水酸基又はカルボン酸基を有するアクリル樹脂(被覆樹脂前駆体)を用いることができ、芯材及び微粒子への密着性を向上させ、微粒子の分散性を向上させることができる。
前記アクリル樹脂と前記シリコーン樹脂とは互いに化学結合した形態の樹脂を被覆層に含有されていてもよい。例えば、前記式(2)で表されるシリコーン骨格の片末端にメタクリル基を有する化合物をマクロモノマーとして前記アクリル樹脂を構成するモノマーと共重合させる方法、メルカプト基を有するシリコーンとアクリルモノマーを共重合させる方法、アルコキシシリル基を有するアクリル樹脂を、該アルコキシシリル基と前記シリコーン樹脂の縮合反応基で反応させて得る方法、などが挙げられる。
このようなアクリル樹脂とシリコーン樹脂が共重合された被覆樹脂としては、例えば東レダウコーニング社製のKR−5208、信越化学工業株式会社製のX−22−8004、X22−8212、X22−8195X、X−24−798A等のシリコーングラフトアクリル樹脂などが挙げられる。
(微粒子)
前記微粒子は、被覆層を形成する樹脂膜の厚み(以下、被覆樹脂膜厚とも記す)に対して、適切な含有量、粒子径を選択することにより、被覆層の強度を著しく向上させることができるため、被覆層に微粒子を含有させることが好ましい。
前記微粒子としては、特に制限はなく、従来公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができるが、金属酸化物の微粒子が好ましく、例えばアルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化スズ、酸化インジウムなどが挙げられる。これらの中でも、トナーを負極性に帯電させる点、被覆層の抵抗値を所望の範囲で制御しやすい点から、酸化チタンの微粒子、アルミナの微粒子が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記微粒子は、さらに導電性処理されていても良い。このような導電性処理の方法としては、金属又はその合金、金属酸化物、金属又はその金属酸化物を該微粒子の表面に蒸着させたもの、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、ステンレス、銀、又はこれらの合金、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどを固溶体や融着の形態として該微粒子の表面を被覆してもよい。これらの中でも、酸化スズ、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズを用いて導電性処理をすることが特に好ましい。
前記キャリアの被覆層においては、前記微粒子の粒子径(D)と該被覆樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10、となることが好ましい。これは、1<[D/h]<10であることで、被覆膜に比べ粒子の方が凸となるので、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌により、トナーとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、被覆樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができる。
本発明の定着方式は、軟化剤によりトナーを軟化させて定着させる方法であるため、軟化したトナーがキャリア表面へ融着する可能性があるが、前記微粒子の粒子径(D)と該被覆樹脂膜厚(h)を上記範囲内にすることで、キャリアへのトナーのスペントを防止することが可能となるとともに、帯電発生箇所である被覆樹脂の膜削れも抑制することが可能となる。
前記[D/h]が1以下の場合、粒子は被覆樹脂中に埋もれてしまうため、効果が著しく低下し好ましくない。一方[D/h]が10以上の場合、粒子と被覆樹脂との接触面積が少ないため充分な拘束力が得られず、該粒子が容易に脱離してしまうため好ましくない。
更に、前記キャリア被覆膜中粒子の総含有量が、被覆層組成成分の40〜95wt%の範囲であることで、その効果は顕著である。この総含有率が40wt%よりも少ない場合には、キャリア粒子表面での被覆樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が少ないため、被覆樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られず好ましくない。一方、95wt%よりも多い場合には、キャリア表面での被覆樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が過多となるため、帯電発生箇所である被覆樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できない。それに加え、被覆樹脂量に比べ粒子量が多過ぎるので、被覆樹脂による粒子の保持能力が不十分となり、粒子が脱離し易くなるので、十分な耐久性が得られず好ましくない。
前記被覆樹脂膜厚hは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、1.0μm以下が好ましく、0.02μm〜0.8μmがより好ましい。また、前記微粒子の粒子径Dは被覆樹脂膜厚hに応じて適宜選択されるが、0.1μm〜1.5μmが好ましい。ここで、被覆樹脂膜厚h、及び微粒子の粒子径Dは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察して測定することができる。
(その他の成分)
なお、前記被覆層には、前述の粒子以外にも電気抵抗調整の目的で、導電性ZnO、Al等の金属粉;各種の方法で作製されたSnO2又は種々の元素をドープしたSnO2;ホウ化物(例えば、TlB2、ZnB2、MoB2);炭化ケイ素、導電性高分子(例えば、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)、ポリピロール、パリレン等)、カーボンブラック等の微粒子を含有させることができる。
さらに、本発明においては前記キャリアがトナーに対して、長期に渡って安定して帯電を付与するために、被覆層中にアミノシランカップリング剤を含有させることが可能である。ここで、アミノシランカップリング剤としては、下記構造式で表されるものが好適である。
Figure 2011145650
前記被覆層における含有量は、0.001質量%〜30質量%が好ましく、0.001質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が0.001質量%未満であると、帯電性が環境の影響を受け易く、また製品収率が低下しやすくなることがあり、30質量%を超えると、被覆層が脆くなりやすく、被覆層の耐摩耗性が低下することがある。
−被覆層の形成方法−
前記被覆層の形成法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が使用でき、芯材表面に前記被覆層液を噴霧法又は浸漬法等の手段で塗布する方法が挙げられる。
このようにして被覆層が形成されたキャリアを加熱することによって、被覆層の重合反応を促進させることが好ましい。
前記加熱は、被覆層形成後、引き続き、被覆層形成装置内で行ってもよく、或いは、被覆層形成後、通常の電気炉、焼成キルン等の別の加熱手段によって行ってもよい。
また、加熱温度としては、使用する被覆層用樹脂によって異なるため、一概に決められるものではないが、120℃〜350℃が好ましく、被覆用樹脂の分解温度以下の温度が好ましく、220℃程度までの上限温度がより好ましく、加熱時間としては、5分間〜120分間が好ましい。
−キャリアの物性−
前記キャリアの体積抵抗は、10(log Ω・cm)以上16(log Ω・cm)以下が好ましく、10(log Ω・cm)以上14(log Ω・cm)以下がより好ましい。
前記体積抵抗が10(log Ω・cm)未満であると、非画像部でのキャリア付着が生じることがあり、16(log Ω・cm)を超えると、現像時、エッジ部における画像濃度が強調されるいわゆるエッジ効果が顕著になる。前記体積抵抗は、被覆層の厚み、含有される前記導電性微粒子の含有量を調製することで、前記体積抵抗の範囲内で必要に応じて調整可能である。
ここで、前記体積抵抗の測定方法としては、図1に示すように、電極間距離0.2cm、表面積2.5cm×4cmの電極1、電極2を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル3に、キャリア4を充填し、落下高さ:1cm、タッピングスピード:30回/min、タッピング回数:10回のタッピングを行う。次に、両電極間に1000Vの直流電圧を印加し、30秒間後の抵抗値を、ハイレジスタンスメーター4329A(横川ヒューレットパッカード株式会社製、High Resistance Meter)により測定し、得られた抵抗値rを、下記数式1により計算して体積抵抗R〔Log(Ω・cm)〕を算出することができる。
<数式1>
R=Log[r×(2.5cm×4cm)÷0.2cm]
前記キャリアの体積平均粒径は、20μm〜65μmが好ましく、20μm〜50μmがより好ましい。前記体積平均粒径が、20μm未満であると、前記芯材の均一性が低下することに起因するキャリア付着が発生することがあり、65μmを超えると、画像細部の再現性が悪く、精細な画像が得られないことがある。
ここで、前記体積平均粒径の測定方法としては、粒度分布を測定できる機器であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばマイクロトラック粒度分布計(モデルHRA9320−X100)を用いて測定することができる。
(液状定着液)
トナー定着液としての液状定着液は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分と水系分散媒と、非水系分散媒からなり、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分を水系分散媒に分散させて調製した水系の分散媒を非水系分散媒に分散して形成され、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させてトナーを記録媒体に定着させる。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分としての軟化剤は特に限定されないが、具体例としては脂肪族エステルを使用する。この脂肪族エステルは飽和脂肪族エステルを含む。脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルを含む場合にはトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。
−脂肪族エステル−
前記の脂肪族エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、飽和脂肪族エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル及び脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであってもよい。
−−飽和脂肪族エステル−−
前記の脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルである場合には、液体可塑剤の保存安定性(酸化、加水分解等に対する耐性)を向上させることができる。また、前記の飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内等の短時間で溶解乃至膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解乃至膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
−−脂肪族モノカルボン酸エステル−−
前記飽和脂肪族エステルは、下記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。
COOR 一般式(2)
[一般式(2)中、Rは炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rは炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型のアルキル基である。]
この化合物を含む場合にはトナーに含まれる樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
前記の脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えばラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族モノカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−脂肪族ジカルボン酸エステル−−
脂肪族エステルは脂肪族ジカルボン酸エステルを含むことが好ましい。脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができる。
脂肪族ジカルボン酸エステルは下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
(COOR2 一般式(3)
[一般式(3)中、Rは炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が2以上5以下の直鎖型又は分岐型のアルキル基である。]
脂肪族ジカルボン酸エステルとして上記化合物を含む場合には、トナーに含まれる樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
前記脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。前記化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは非水系分散媒に溶解するが、水系分散媒には溶解しない。したがって脂肪族ジカルボン酸エステルの多くについては、水系分散媒に分散させてトナー定着液を得ることができる。
−−脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル−−
さらに、トナー定着液を形成する脂肪族エステルは脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含んでも良い。脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
(COOR−O−R2 一般式(4)
[一般式(4)中Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上4以下のアルキル基である。]
トナー定着液がこの化合物を含む場合には、トナーに含まれる樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
前記化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。前記化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの多くは水に若干溶解する(若干水性である)。したがって前記化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの多くについては、直接、粒子として非水系媒体に分散させることによってトナー定着液を得ることができる。
更に、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの類似構造として、一般式(5)で表される化合物は、エーテル基の分子内での割合が高くなるため、希釈剤である水に対する溶解性が非常に高くなり、高濃度の液体可塑剤を含有した定着液とすることができる。
(COO−(R−O)n−R102 一般式(5)
[一般式(5)中のnは1以上3以下であり、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上3以下のアルキレン基であり、R10は炭素数が1以上4以下のアルキル基構ある。]
前記一般式(5)で表される化合物としては、例えば、コハク酸ジエトキシエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエトキシエチル、コハク酸ジメトキシエトキシエチル、コハク酸ジメトキシメトキシプロピル等が挙げられる。
(分散媒)
水系分散媒は単価又は多価のアルコール類、例えばエタノール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン等を含んでいても構わない。水系分散媒がエタノールを含む場合は、エタノールは人体に対して極めて安全な材料であり、揮発性有機物の中で唯一、オフィス環境でも使用が可能となる材料である。しかも各種の多孔質部材に対して優れた浸透性を示す材料であり、分散媒として記録媒体への優れた浸透性が得られ、定着応答性の向上が図れる。
非水系分散媒はn−アルカンを含むことが好ましい。n−アルカンを含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを顕著に濡らすことができる。すなわち、パラフィン系溶剤であるn−アルカンは25mN/m以下の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。その結果、トナー定着液を記録媒体に載せた撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを低減することができる。例えば、n−アルカンのうちデカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカンは低い揮発性を有し、これらのn−アルカンのいずれかを用いることが好ましい。
また、非水系分散媒はジメチルシリコーンを含んでいてもよい。非水系分散媒がジメチルシリコーンを含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを、顕著に濡らすことができる。すなわち、シリコーン系溶剤であるジメチルシリコーンは20mN/m程度の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。その結果、トナー定着液を記録媒体に載せた撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを低減することができる。例えば、3mPa・秒以上の粘度を有するジメチルシリコーンは低い揮発性を有し好ましい。
(泡状定着液)
泡状定着液は、前記液状定着液を泡状にして使用するものである。泡状定着液は、定着液を泡状とする起泡剤と、トナー等の樹脂微粒子を軟化させる軟化剤としての可塑剤、を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなるものである。本発明の定着方法においては、この泡状定着液を用いることが好ましい。
<固体可塑剤>
固体可塑剤は、常温で固体であり、かつ、後述の希釈剤に可溶であって、この希釈剤に溶解している状態でトナーなどの樹脂微粒子を軟化させる得る限り、特に制限はない。ここで、「常温」とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度のことをいい、例えば、JIS Z8703にて定義されている、5℃〜35℃であることが好ましい。この常温の範囲内であると、固体可塑剤は固体状態となる。すなわち、泡状態の定着液においては水を含むために固体可塑剤は溶融している状態にあるが、未定着のトナーに付与され、該トナーに浸透し、さらにトナーに浸透した定着液の水分が気化などにより量が低下した場合には、前記固体可塑剤は固体の状態に変化する。固体可塑剤を含む定着液を用いた場合には、このように、固体可塑剤が固体の状態に変化する点に注目し、この特性を利用することで定着液付与後のトナー固さを高めることができる。また、常温における適当な条件下で固体可塑剤が樹脂微粒子に対する可塑能力を発揮するとともに、可塑能力を失い固体の状態となると、それ自体が硬化し、タックの防止に寄与することとなる点で、好ましい。
固体可塑剤としては、例えば、被定着物である樹脂微粒子と一定の相溶性を有するなどの親和性を有する官能基を有することが好ましい。ここでいう親和性を有する官能基とは、好ましくは、樹脂微粒子を構成する分子に含まれる官能基と、固体可塑剤に含まれる官能基とが同一である場合に加え、これらの官能基間で一定の相互作用をし得る官能基を有することを意味する。固体可塑剤に含まれる官能基が樹脂微粒子を構成する分子と一定の相互作用をし得る官能基を有すると、これらの官能基の相互作用により樹脂微粒子を構成する分子間に固体可塑剤が進入するきっかけとなり、結果として、固体可塑剤と樹脂微粒子との間でいわゆるポリマーブレンドの状態を形成し、固体可塑剤がトナーなどの樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる際に効果的であるためである。
具体的な例を挙げると、固体可塑剤がポリエチレングリコールであって、該ポリエチレングリコールにエチレンオキサイド基が含まれる。そして、対応する樹脂微粒子には、樹脂分子中にエチレンオキサイド基を含む組合せがそれに相当する。このような場合、固体可塑剤と樹脂微粒子の両者にエチレンオキサイド基が含まれ、これにより親和性を高めることで、両者の相溶性を高める効果が奏するものである。一方、この考え方は、固体可塑剤と樹脂微粒子の両者に親和性を有する官能基を有することで成り立つため、前記エチレンオキサイド基に限定されることはなく、他の例としては、プロピレンオキサイド基を利用してもよく、さらには、公知のトナーに含まれる官能基を固体可塑剤内に含ませる場合も有効に作用する。
固体可塑剤としては、上記の要件のほか、一定の条件下で可塑能力を発揮するものが挙げられ、例えば、下記のものが挙げられる。
(1)後述の希釈剤に溶解することで可塑能力が発揮されるもの:
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が1,000〜2,000のもの
(2)希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが後述の液体可塑剤が少量存在すると可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が2,000〜10,000のもの
(3)希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが若干の加温(例えば、50℃〜100℃程度)により可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が2,000〜10,000
ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類:ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノセチルエーテルなど
上記(1)で例示したポリエチレングリコールの分子量が、1,000未満であると、周囲環境によって定着画像が溶融する場合があり、2,000を超えると、前記常温状態で固体状態ではなくなるため、固体可塑剤のみを利用し、任意成分である後述の液体可塑剤を共有しない定着液の系内においては十分な可塑能力が発揮できない場合がある。このような技術的な意義のもと、前記分子量は、1000〜2000であることが好ましい。
上記(2)で例示したポリエチレングリコールの分子量が、10,000を超えると、常温状態で明らかに固体状態ではなくなるため、被定着物である樹脂微粒子間に粒界が生じてしまう場合がある。このような観点から、固体可塑剤のみを利用し、液体可塑剤を共有しない定着液の系内においては、分子量が10000以上である場合は使用が困難であることを明らかにすると共に、定着液に水を含む態様にて使用される場合には、分子量を1000から10000が使用可能な分子量であることを見出した。
上記(3)に例示の固体可塑剤の加温の温度としては、可塑能力が発揮できる範囲であれば、特に制限はないが、50℃〜100℃が好ましい。上記加温の温度が、50℃未満であると、定着が不十分である場合があり、100℃を超えると、エネルギー消費の点で、不経済である。
固体可塑剤の含有量としては、特に制限はないが、定着液の質量に対して、5質量%〜30質量%であることが好ましい。含有量が、5質量%未満であると、定着が困難となるためであり、30質量%を超えると、定着液及び泡状定着液としての粘度が高くなり、加えて泡立ちの悪さや、泡としての安定性に欠け、品質上問題が生じる。
<液体可塑剤>
定着液は、液体可塑剤を有してもよい。希釈剤に可溶であって、一定の条件下で可塑能力を発揮するものであれば、特に制限はなく、例えば、単独で可塑能力を発揮してトナーを構成する樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解乃至膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させるものであってもよいが、上記の固体可塑剤と組み合わせることで可塑能力を発揮するものであってもよい。液体可塑剤の例としては、一定の条件下で溶解性乃至膨潤性に優れている点で、エステル化合物が挙げられる。このエステル化合物のなかでも、樹脂の軟化能力が優れている点、又は後述する希釈剤による起泡性の阻害の程度が低い点で、脂肪族エステル又は炭酸エステルが、より好ましい。当該脂肪族エステルとしては、前記液状定着液の軟化剤として例示した脂肪族エステル(例えば、飽和脂肪族エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル及び脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル)を目的に応じて適宜選択して好ましく用いることができる。
液体可塑剤は、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きいことが好ましく、5g/kg以上であることがより好ましい。液体可塑剤として、前記の脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高いものであることから、特に好ましい。
また、記録媒体に対する樹脂微粒子としてのトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、液体可塑剤は、トナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。この点で、液体可塑剤は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。前記の脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し刺激臭を持たない点で、より好ましい。
−炭酸エステル−
液体可塑剤の一例である炭酸エステルとしては、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)などの環状エステル類、グリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
また、前記以外のエステル化合物としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート等のグリコールをエステル化した化合物;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のグリセリンをエステル化した化合物等が挙げられる。
液体可塑剤の含有量は、定着液の質量に対して、0.5質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%であることがより好ましい。含有量が、0.5質量%未満であると、トナーに含まれる樹脂微粒子を溶解乃至膨潤させる効果が不十分になることがあり、50質量%を超えると、長時間に亘りトナーに含まれる樹脂の流動性を低下させることができず、定着トナー層が粘着性を有する可能性がある。
<溶解助剤>
定着液は、定着液中の液体可塑剤を溶解する目的で、溶解助剤を含有してもよい。溶解助剤としては、液体可塑剤を溶解させ得るものであれば、特に制限はなく、多価のアルコール類が挙げられる。この多価のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが挙げられる。なかでも、液体可塑剤が高濃度でも溶解可能であり且つ起泡剤の起泡性を劣化させない点で、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールであることが好ましい。前記多価のアルコール類の含有量は、定着液の質量に対して、1質量%〜30質量%の範囲が好ましい。含有量が、30質量%を超えると、起泡性がむしろ劣化するため適さず、1質量%未満では、定着液中の液体可塑剤濃度が高くなると希釈溶液である水に液体可塑剤が溶解しにくくなる場合がある。
<増泡剤>
定着液は、泡状化されて、後述の泡状定着液として、樹脂微粒子の定着に用いられるところ、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで、本発明による定着液は、このような現象を抑え泡沫安定性を向上させる目的で、増泡剤をさらに有してもよい。増泡剤としては、特に制限はないが、脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましく、泡沫安定性の点で、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型であることがより好ましい。増泡剤の含有量としては、定着液の質量に対して、0.01質量%〜3質量%であることが好ましい。
<起泡剤>
本発明による定着液に含まれる起泡剤としては、定着液の泡状化するものであれば、特に制限はなく、優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができる。起泡剤としては、飽和若しくは不飽和の脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩若しくはアルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、又はモノアルキルリン酸塩等のリン酸塩等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
−脂肪酸塩−
起泡剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。
脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩又は脂肪酸アミン塩であることが好ましく、脂肪酸アミン塩であることがより好ましい。これらの脂肪酸塩の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで製造してもよい。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩とを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
起泡剤として用い得る不飽和脂肪酸塩としては、特に制限はないが、炭素数18で2重結合数が1〜3の不飽和脂肪酸塩が好ましい。具体的には、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩が挙げられる。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を一種単独又は二種以上を混合して起泡剤として用いてもよい。また、上記の飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩とを混合して起泡剤として用いてもよい。
液体可塑剤は、消泡作用が強く、定着液中で液体可塑剤の濃度上昇と共に、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、なかなか起泡しなくなり、泡が直ぐに破泡するため、泡密度の低い泡状定着液を得ることができなくなることがある。
そこで、定着液中の液体可塑剤濃度を高めたときの起泡性が劣化してしまうことを解消するため、起泡剤としてアニオン系界面活性剤のうちで炭素数12〜18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12〜18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、液体可塑剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性を維持できる。
ここで、定着液に含まれる起泡剤において、脂肪酸塩の炭素数としては、単に水を起泡する場合と比較して起泡性に優れている点で、12〜18であることが好ましい。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、ペンタデシル酸(炭素数15)、パルミチン酸塩(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸塩(炭素数18)が挙げられる。
起泡剤として用いられる脂肪酸塩と共に用いられる脂肪酸と、液体可塑剤との作用について説明する。液体可塑剤としてエステル化合物を用いた場合、エステル化合物はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、液体可塑剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基とが定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させると考えられる。
起泡剤として用い得る炭素数12〜18の脂肪酸塩において、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。そこで、この脂肪酸塩としては、単独の脂肪酸塩を用いてもよいが、炭素数12〜18の脂肪酸塩であって異なる炭素数を有する複数の脂肪酸塩を混合する方がより好ましい。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが好ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の質量比で、0:6:3:1、0:4:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1等が適する。
起泡剤の含有量は、定着液の質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。含有量が、0.1質量%未満であると、起泡性が不十分になることがあり、20質量%を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで、液体可塑剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。液体可塑剤の濃度が、10質量%未満であると、脂肪酸を含有しなくても起泡性に問題はない。しかし、液体可塑剤の濃度が10質量%以上、特に液体可塑剤の濃度が30質量%以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる場合がある。起泡性が悪くなった場合であっても、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
ただし、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる場合がある。このような場合、起泡性が優れている点で、脂肪酸塩のモル数は、脂肪酸のモル数以上のモル数としてもよく、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5〜1:9の範囲としてもよい。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩との組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンであり脂肪酸がステアリン酸である組合せや、脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムであり脂肪酸がステアリン酸である組み合わせのように、炭素数が12〜18の範囲で脂肪酸塩と脂肪酸との炭素数が異なる組合せであってもよい。炭素数12〜18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の液体可塑剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、起泡性が悪化するのを防止し得る点で、他のアニオン系界面活性剤(例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES))を起泡剤とし、炭素数12〜18の脂肪酸をさらに含有してもよい。
<希釈剤>
本発明による定着液に含まれる希釈剤としては、水を含む限り特に制限はなく、例えば、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、等が好ましい。水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
希釈剤として水性溶媒を用いる場合には、界面活性剤を添加してもよく、なかでも、定着液の表面張力を20mN/m〜30mN/mとすることが好ましい。前記アルコール類としては、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする点で、例えばセタノール等の単価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
希釈剤は、浸透性改善や紙等媒体のカール防止と目的として、油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成であることも好ましい。この油性成分としては、公知の種々の材料を用いることができる。油性成分を含有する希釈剤の場合、分散剤を用いてエマルジョンを形成してもよく、このエマルジョンの形成に用いる分散剤としては、公知の種々の材料を用いることができるが、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレート等のソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖エステル等が好ましい。
分散剤を用いて定着液をエマルジョンの形態に分散させる方法として、特に制限はなく、公知の種々の方法を用いればよい。例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。なかでも、定着液中の軟化剤に強いせん断応力を加える方法であることが好ましい。
(定着装置)
−泡状定着液を用いた場合の定着方法、定着装置−
[定着方法及び定着装置]
泡状定着液を用いた場合の定着方法は、泡状定着液生成工程と、膜厚調整工程と、泡状定着液付与工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
泡状定着液を用いた場合の定着装置は、泡状定着液生成手段と、泡状定着液付与手段と、膜厚調整手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
<泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段>
泡状定着液生成工程は、定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する工程であり、泡状定着液生成手段により実施される。
図2に示すように、泡状定着液生成手段によって定着液を泡で構成された泡状定着液14とすることで、定着液のかさ密度を低くできると共に塗布ローラ11上の定着液層を厚くすることができ、更には定着液の表面張力による影響が抑えられるため、塗布ローラ11への樹脂微粒子のオフセットを防止しながら記録媒体12上の樹脂微粒子層(トナー層)に均一に泡状定着液14を塗付することができる。
図3は塗布時の泡状定着液の層構成例を示す概略図である。同図に示す液体21は軟化剤を含有し、液体中に気泡22を含有した泡状の構成である。このように、気泡22を大量に含有することで、定着液20のかさ密度は極めて低くすることができる。この構成とすることで、定着液塗布時は、体積が多い状態で塗布しても、かさ密度が低く、塗布重量は小さいため、その後気泡22が破泡してしまえば、実質的な塗布量は極めて少なくすることができる。なお、本発明における泡状とは、液体中に気泡が分散し、液体が圧縮性を帯びた状態を示す。
泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段としては、上記の本発明による定着液を泡状化して泡状定着液を生成し得るものであれば、特に制限はない。その一態様について、図4を参照して、説明する。
図4は、本発明による定着装置における泡状定着液生成手段の構成を示す概略図である。図4に示す泡状定着液生成手段30は、上記の本発明による定着液等の液状定着液32を貯留する定着液容器31と、液状定着液32を液搬送する液搬送パイプ34と、液搬送するための駆動を得る搬送ポンプ33と、気体と液体とを混合する気体・液体混合部35と、液状定着液32を泡状化して所望の泡状定着液を得る泡生成部38とを有する。
定着液容器31に貯留された液状定着液32は、搬送ポンプ33の駆動力によって液搬送パイプ34を液搬送され、気体・液体混合部35へと送られる。搬送ポンプとしては、液状定着液を液搬送し得るものであれば、特に制限はなく、ギヤポンプ、ベローズポンプ等があるが、チューブポンプが好ましい。ギヤポンプ等の振動機構や回転機構があると、ポンプ内で定着液が起泡し、定着液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記の機構部品等が定着液を汚染したり、逆に機構部品を劣化させる恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、定着液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。
気体・液体混合部35には、空気口36が設けられ、液の流れとともに、空気口36に負圧が発生し、空気口36から気体が気体・液体混合部35に導入され、液体と気体が混合される。更に、微小孔シート37を通過することで、泡径の揃った大きな泡を生成させることができる。孔径は、30μm〜100μmが好ましい。図4の微小孔シート37に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30μm〜100μmを有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液と空気口からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成も好ましい。
次に、空気と混合された液状定着液32は、所望の泡状定着液を得る泡生成部38に送液される。泡生成部38において、空気と混合された液状定着液32には、せん断力が加えられ、大きな泡を分割して2つ以上に分泡化される。泡生成部38の構成としては、このように行われ得るものであれば、特に制限はないが、閉じた二重円筒で、内側円筒が回転可能な構成とし、外部円筒の一部より、大きな泡状定着液を供給し、内部の回転する円筒と外部円筒との隙間(ここが流路となる)を通過しながら、回転円筒によりせん断力を受けるような構成であってもよい。このせん断力により、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒に設けられた泡の出口より、所望の微小な泡径を有する泡状定着液を得ることができる。また、内側円筒にらせん状の溝を設けて、円筒内での液搬送能力を高くしてもよい。
定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂微粒子層への塗布時に泡状となっていればよく、定着液容器内で泡状である必要はない。定着液容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂微粒子層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が好ましい。これは、定着液容器では液体であり容器から液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
定着液は、泡状化され、泡状化された定着液からなる泡状定着液層の厚みは、定着される樹脂微粒子層の厚みに応じて、記録媒体面全体に対し後述するように泡状定着液付与手段の面において、調整される。例えば樹脂微粒子がトナーを構成し、記録媒体上にカラー画像や白黒文字が混在する場合、記録媒体面全体を同じ厚みの泡状定着液層で付与すると、カラー写真画像のような厚いトナー層では、定着不良や画像抜けが生じたり、白黒文字部に粘着感が生じて印刷物同士がくっついたりする部分不具合が生じる場合がある。以下に、その不具合の原因について詳細に説明する。
一般的に0.5mm〜1mm程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1秒もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、且つすばやく得ることができる点に着目し、大きな泡から素早く5μm〜50μm程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上記のような液状態から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な泡が生成できることを見出した。この点、上記のような泡状定着液生成手段30の構成は、これを実現するために好ましい態様である。
このように、液状定着液を大きな泡径を有する液へと変化させる大きな泡生成部と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を生成する微小な泡生成部とを組み合わせることで、液状定着液を極めて短時間に5μm〜50μmの微小な泡径を有する泡状定着液を生成させることができる。
特に、樹脂微粒子の平均粒径が5μm〜10μm程度の場合、記録媒体12上の樹脂微粒子層13を乱すことなく泡状定着液14を樹脂微粒子層13に付与するには、泡状定着液14の泡径範囲が、5μm〜50μmであることが好ましい。なお、図3に示すように、気泡22で構成された泡状定着液20は、気泡22のそれぞれを区切る液体21から構成される。
<膜厚調整工程及び膜厚調整手段>
本発明による定着方法における膜厚調整工程は、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する工程であり、膜厚調整手段により実施される。
膜厚調整手段としては、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成し得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば膜厚調整用ブレード、ブレードと塗布ローラとの組み合わせが挙げられる。なお、膜厚調整工程及び膜厚調整手段の態様については、後述する。
<泡状定着液付与工程及び泡状定着液付与手段>
本発明による定着方法における泡状定着液付与工程は、所望の厚みに形成された泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に付与する工程であり、泡状定着液付与手段により実施される。
図5A及び図5Bは、本発明による定着装置における膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。図5Aに示す本発明の定着装置40は、上述した泡状定着液生成手段30によって生成された所望の微小な泡の泡状定着液を、トナー等を構成する樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層(トナー粒子層)へ付与するための塗布ローラ41と、塗布ローラ面に所望の微小な泡の泡状定着液の膜厚を、記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて調整し、泡状定着液の最適な膜厚の調整を行う膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42と、塗布ローラ41と対峙する位置に加圧ローラ43とを有する。
未定着トナー(樹脂微粒子からなるもの)を表面上に有する記録媒体は、塗布ローラ41と加圧ローラ43とからなるニップ部を通過する。一方、泡状定着液生成手段30で生成された泡状定着液は、膜厚調整用ブレード42によって膜厚調整され、所望の厚みの泡状定着液層として塗布ローラ41に配置される。このように塗布ローラ41上に形成された泡状定着液層は、未定着トナーを有する記録媒体のニップ部の通過に同期して、未定着トナー上に付与される。
また、図5Bは、塗布ローラ41及び膜厚調整用ブレード42を拡大した概略図であって、泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラ41上には、泡状定着液の層が記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42を通じて形成される。この膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42によって泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間に対して最適化した定着液層の膜厚となる。所望の微小な泡の泡状定着液は、上記のように、大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている泡状定着液生成手段30で生成され、液供給口より塗布ローラ41と膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42との間に滴下される。
泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚調整は、図6A及び図6Bに示すように、塗布ローラ41とギャップを設けた膜厚調整用ブレード42を用い、図6Aに示すように膜厚を薄くするときはギャップを狭くし、図6Bに示すように膜厚を厚くするときはギャップを広くするように行ってもよい。ギャップの調整は、膜厚調整用ブレード42の端部に、駆動可能な回転軸を用い、トナー層の厚さや環境温度等、更には泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間を調整するための最適な膜厚を調整してもよい。
泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラの形状、構造、大きさ及び材質としては、泡状定着液を付与し得る限り、特に制限はないが、曲面部を少なくともその表面の一部に有するものであることが好ましい。
膜厚調整用ブレードとしては、図6A及び図6Bの膜厚調整用ブレードのほかに、ワイヤーバーであってもよい。ワイヤーバーによって、塗布ローラ上の泡状定着液の厚みを調整し、泡状定着液は、上記のごとく、大きな泡を生成する大きな泡生成部とその大きな泡をせん断力で分泡する微小な泡生成部とを有する泡状定着液生成手段によって生成され、液供給口より、膜調整ワイヤーバーと塗布ローラとの間に滴下する。ワイヤーバーを膜厚調整手段として用いることで、ブレードに比べ、塗布ローラ面の軸方向の泡状定着液膜均一性が向上する。
泡状定着液のかさ密度としては、0.01g/cm3〜0.1g/cm3程度の範囲が好ましい。更に、定着液付与時に媒体面に残液感を生じないようにするためには、0.01g/cm3〜0.02g/cm3が好ましく、0.02g/cm3以下がより好ましい。なぜならば、図5A及び図5Bの塗布ローラ41のように、接触付与手段面の定着液の泡膜は、記録媒体上の微粒子層の厚み以上であることが必須条件で(微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは、50μm〜80μmが好ましい。一方、記録媒体面への定着液付着における残液感(ぬれたような感触)を生じさせないためには、定着液付着量として、記録媒体の単位面積当たり、0.1mg/cm2以下が好ましい。このことから、泡のかさ密度としては、0.0125g/cm3〜0.02g/cm3の範囲が好ましく、0.02g/cm3以下の泡の密度がより好ましい。
図7は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の構成を示す概略構成図である。図7に示す実施の形態の定着装置40において、加圧ローラ43は、弾性層として弾性多孔質体(以下、スポンジ素材とも称する。)を用いて構成してもよい。泡状定着液がトナー等の樹脂微粒子層を浸透して紙等の媒体まで到達した後に塗布ローラと樹脂微粒子層とが剥離するようにニップ時間のタイミングを取る必要がある。この点、スポンジ素材からなる加圧ローラ43は、ニップ時間として50ミリ秒〜300ミリ秒の範囲を確保し、且つ弱い加圧力で大きく変形可能であることから、好ましい。
なお、ニップ時間は、ニップ時間=ニップ幅/紙の搬送速度により算出される。紙の搬送速度は、紙搬送駆動機構の設計データにより求めることができる。ニップ幅は、塗布ローラ全面に乾燥しない着色塗料を薄くつけて、記録媒体を塗布ローラ41及び対峙する加圧ローラ43に挟んで加圧(各ローラは回転させない状態で)し、記録媒体に着色塗料を付着させ、着色部(通常長方形の形に着色)における紙搬送方向の長さをニップ幅として測定することで求めることができる。
記録媒体の搬送速度に応じてニップ幅を調整することで、ニップ時間を泡状定着液のトナー層浸透時間と同じかそれ以上にする必要がある。図7に示す例では、加圧ローラ43を弾性層としてスポンジ素材とすることで、記録媒体の搬送速度に応じて、塗布ローラ41と加圧ローラ43との軸間距離を変更しニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムを加圧ローラ43の素材として用いてもよいが、スポンジは弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、塗布ローラ41の加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することができる。
なお、定着液中には可塑剤が含有されており、スポンジ素材で形成された加圧ローラに定着液が万が一付着した場合、スポンジ素材が軟化等の不具合が発生する恐れがある。そのため、スポンジ素材の樹脂材は、液体可塑剤に対し軟化や膨潤を示さない素材が好ましい。また、スポンジ素材を用いた加圧ローラは、可撓性フィルムで覆った構成であってもよい。スポンジ素材が液体可塑剤で劣化する素材であっても、液体可塑剤により軟化や膨潤を示さない可撓性フィルムで覆うことでスポンジローラの劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の樹脂の多孔質体が挙げられる。また、スポンジを覆う可撓性フィルムとしては、可撓性を有する限り、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が挙げられる。
図7において、塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とが常時接触している構成の場合、記録媒体が搬送されていない時に塗布ローラ41上の泡状定着液が加圧ローラ43に付着し汚す恐れがある。これを防止するため、塗布ローラ41からみて記録媒体の搬送方向の上流に紙先端検知手段(不図示)を設け、先端検知信号に応じて、記録媒体の先端から後方にのみ泡状定着液が塗布されるようなタイミングで塗布ローラ41に泡状定着液を形成することが好ましい。
図7に記載の定着装置40は、待機時は塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とはそれぞれ離れており、図示していない駆動機構により、塗布時のみ、記録媒体の先端検知手段に応じて塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とを接触させる構成であることも好ましい。また、図7に記載の定着装置40は、記録媒体の後端検知も行い、記録媒体の後端検知信号に応じて塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とを離すように構成することも好ましい。
図8は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の別の構成を示す概略構成図である。図8に示す実施の形態の定着装置40は、図7の加圧ローラ43の代わりに加圧ベルト44を用いたものである。大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている泡状定着液生成手段30で生成され液供給口より所望の泡径を有する泡状定着液を、膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42の供給口へチューブ等を用いて供給する。そして、膜厚調整手段の膜厚調整用ブレード42と塗布ローラ41とのギャップを調整して塗布ローラ41上の泡状定着液の層膜厚を調整し、泡状定着液の最適膜厚の調整を行う。加圧ベルト44の材料としては、例えばシームレスニッケルベルト、シームレスPETファイル等の基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いてもよい。
このように、ベルトを用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。したがって、ベルトを用いる構成としては、図8に限らず、塗布ローラをベルトとし、加圧手段をベルトではなくローラとする構成も好ましい。また、塗布側又は加圧側の少なくとも一方をベルトとする構成とすることで容易にニップ幅を広くすることが可能となり、紙にしわが発生するような無理な力をかけることがない。また、ニップ時間と紙の搬送速度とが同様であると、紙の搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
また、トナーの定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、少なくともその一部が軟化乃至膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、軟化乃至膨潤した上記のトナーを加圧することによって、軟化乃至膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ軟化乃至膨潤したこのトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
<その他の工程及びその他の手段>
<<加温工程及び加温手段>>
本発明による定着方法及び定着装置は、泡状定着液が付与された樹脂微粒子層を加温する加温工程及び加温手段をさらに有してもよい。加温工程及び加温手段における加温の温度としては、十分な定着特性の得られる範囲であれば、特に制限はないが、例えば、50℃〜100℃が好ましい。上記加温の温度が、50℃未満であると、定着が不十分である場合があり、100℃を超えると、エネルギー消費の点で、不経済である。
加温手段の形態としては、上記の態様を実施できるものであれば、ローラーなど、適宜選択すればよい。加温手段をローラーで構成する場合、例えば図9に示すように、加圧ローラ46と加圧ローラ48とで構成し、被定着物と接する側のローラーに赤外線ヒータ47などの加温媒体を設けたものであってもよい。
本発明の画像形成方法は前記本発明の定着方法を用いており、本発明の画像形成装置は本発明の定着方法を具現化した定着装置を用いている。
本発明の画像形成方法は、潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電工程と、帯電した潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光工程と、現像剤担持体上に現像剤層規制部材により所定層厚の現像剤層を形成し、現像剤層を介して潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像し、可視像化する現像工程と、潜像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写工程と、被転写体上の可視像を定着させる定着工程と、を有し、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。そして、定着工程は、本発明の定着方法により行われる。
本発明の画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体と、潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した該潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段と、潜像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し可視像化する現像手段と、潜像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写手段と、被転写体上の可視像を定着させる定着手段と、を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなり、前記トナーはBET比表面積が2.0〜8.0m2/gである。
前記静電潜像の形成は、例えば前記潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させた後、露光手段により像様に露光することにより行うことができる。
前記現像による可視像の形成は、現像剤担持体としての現像ローラ上にトナー層を形成し、現像ローラ上のトナー層を潜像担持体である感光体ドラムと接触させるように搬送することにより、感光体ドラム上の静電潜像を現像することでなされる。トナーは、撹拌手段により攪拌され、機械的に現像剤供給部材へ供給される。現像剤供給部材から供給され、現像剤担持体に堆積したトナーは現像剤担持体の表面に当接するよう設けられた現像剤層規制部材を通過することで均一な薄層に形成されるとともに、さらに帯電される。潜像担持体上に形成された静電潜像は、現像領域において、前記現像手段により帯電したトナーを付着させることで現像され、トナー像となる。
前記可視像の転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。
転写された可視像の定着は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いてなされ、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
次に本発明の実施形態に係る画像形成装置(プリンター)の基本的な構成について図10及び11を参照してさらに説明する。
図10は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。ここでは、電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。画像形成装置は、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
まず、複数の潜像担持体を備え、該複数の潜像担持体を表面移動部材の移動方向に並列させる画像形成装置(「タンデム型画像形成装置」)の基本的な構成について説明する。
この画像形成装置は、潜像担持体として4つの感光体1Y、1C、1M、1Kを備えている。なお、ここではドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ表面移動部材である中間転写ベルト10に接触しながら、図10中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図10中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、更にその感光層の上に保護層を形成したものであり、また、感光層と保護層との間に中間層を設けてもよい。
図11は、感光体を配設する作像形成部2の構成を示す概略図である。なお、画像形成部2Y、2C、2M、2Kにおける各感光体1Y、1C、1M、1K周りの構成はすべて同じであるため、1つの作像形成部2についてのみ図示し、色分け用の符号Y、C、M、Kについては省略してある。感光体1の周りには、その表面移動方向に沿って、帯電手段としての帯電装置3、現像手段としての現像装置5、感光体1上のトナー像を記録媒体又は中間転写体10に転写する転写手段としての転写装置6、感光体1上の未転写トナーを除去するクリーニング装置7の順に配置されている。帯電装置3と現像装置5との間には、帯電した感光体1の表面の画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段としての露光装置4から発せられる光が感光体1まで通過できるようにスペースが確保されている。
帯電装置3は、感光体1の表面を負極性に帯電する。本実施形態における帯電装置3は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラを備えている。即ち、この帯電装置3は、帯電ローラを感光体1の表面に接触又は近接させ、その帯電ローラに負極性バイアスを印加することで、感光体1の表面を帯電する。感光体1の表面電位が−500Vとなるような直流の帯電バイアスを帯電ローラに印加している。
なお、帯電バイアスとして、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。また、帯電装置3には、帯電ローラの表面をクリーニングするクリーニングブラシが設けてもよい。なお、帯電装置3として、帯電ローラの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体1の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラの表面と感光体1の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラの表面と感光体1の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体1の表面が帯電される。
このようにして帯電した感光体1の表面には、露光装置4によって露光されて各色に対応した静電潜像が形成される。この露光装置4は、各色に対応した画像情報に基づき、感光体1に対して各色に対応した静電潜像を書き込む。なお、本実施形態の露光装置4は、レーザ方式であるが、LEDアレイと結像手段とからなる他の方式を採用することもできる。
トナーボトル31Y、31C、31M、31Kから現像装置5内に補給されたトナーは、供給ローラ5bによって搬送され、現像ローラ5a上に担持されることになる。この現像ローラ5aは、感光体1と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ5aは、感光体1と対向する領域(以下、「現像領域」と記す。)において感光体1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上のトナーが、感光体1の表面を摺擦しながら、トナーを感光体1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から−300Vの現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
転写装置6における中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ11、12、13に張架されており、図10中矢印の方向に無端移動する構成となっている。この中間転写ベルト10上には、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。静電転写方式には、転写チャージャを用いた構成もあるが、ここでは転写チリの発生が少ない転写ローラ14を用いた構成を採用している。具体的には、各感光体1Y、1C、1M、1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ転写装置6としての一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kを配置している。ここでは、各一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kにより押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体1Y、1C、1M、1Kとによって、一次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像を中間転写ベルト10上に転写する際には、各一次転写ローラ14に正極性のバイアスが印加される。これにより、各一次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像は、中間転写ベルト10上に静電的に付着し、転写される。
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置15が設けられている。このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。
また、支持ローラ13に張架された中間転写ベルト10の部分には、二次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と二次転写ローラ16との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録部材としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が転写紙上に転写される。
二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、図示していない露光装置からの画像情報に基づいてフォーム状の定着液の膜厚を制御する定着装置によって定着される。すなわち、記録部材に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいてフォーム状の定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給されるフォーム状の定着液が付与され、フォーム状の定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる軟化剤によって、未定着のトナー像を、記録部材に定着させる。これにより、転写紙上に載っていたトナー像が転写紙に定着される。そして、定着後の転写紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
−噴霧方式による定着方法、定着装置−
[定着方法及び定着装置]
図12には、複写機、プリンター、ファクシミリ、またはそれらの複合機などの画像形成装置の要部構成を示す。図示のものは、電子写真方式のタンデム型カラー画像形成装置であって、中間転写体を用いずに、像担持体上のトナー像を記録材である用紙に直接画像転写する直接転写方式のものである。
図12中符号10は、無端ベルト状の搬送ベルトである。搬送ベルト10は、図示例では駆動ローラ12と従動ローラ13間に掛けまわして図中反時計まわりに回転走行可能に設ける。もちろん、搬送ベルト10を掛けまわすローラは、2つに限らず、別途搬送ベルト10の片寄りを調整するローラや、テンションローラなどを設けて、3つ以上のローラに掛けまわすようにしてもよい。
搬送ベルト10のまわりには、駆動ローラ12と従動ローラ13間の水平張り渡し部分上に、搬送ベルト10の走行方向に沿って順に、ブラック・マゼンタ・シアン・イエローの4つの作像手段15K・15M・15C・15Yを横に並べて設置し、タンデム作像装置16を構成する。タンデム作像装置16の上には、図示省略するが、さらに露光装置などを設けてなる。
搬送ベルト10とタンデム作像装置16間には、搬送ベルト10の反時計まわりの走行とともに図12中右から左へと、記録媒体である用紙17を搬送する用紙搬送路を形成する。用紙搬送路に沿って、上流には図示しないレジストローラを配置し、下流には定着装置18を設置する。
図13には、図12に示す画像形成装置に備える1つの作像手段15の概略構成を示す。4つの作像手段15K・15M・15C・15Yは、それぞれ図13に示すような同一構成とする。
図13中符号20は、ドラム状の像担持体である感光体である。感光体20のまわりには、左上方に配置する帯電装置21から図中矢示する回転方向に順に、現像装置22、転写装置23、クリーニング装置24、除電装置25などを配置する。
ここで、帯電装置21は、図示例では帯電チャージャを用いて均一なマイナス帯電を与える非接触帯電方式を採用したが、もちろん帯電ローラを用いる接触帯電方式を採用してもよい。現像装置22は、この例では、プラス帯電キャリア26とマイナス帯電トナー27とからなる二成分現像剤を使用し、それを現像スリーブ28で担持して感光体20にトナー27のみを付着し、感光体20上の静電潜像を可視像化する。
また、転写装置23は、図示例では非接触のプラス転写コロナチャージャ方式を採用し、搬送ベルト10を挟んで感光体20に対向するように配置するが、非接触のコロナチャージャ方式の他に導電性ブラシや転写ローラなどを用いることもできる。また、クリーニング装置24には、クリーニング部材として、クリーニングブラシ30と、クリーニングブレード31を設ける。これにより、クリーニングブラシ30やクリーニングブレード31で掻き落としたトナーは、不図示の回収スクリュやトナーリサイクル装置で現像装置22に回収して再利用することができる。また、除電装置25としては、例えば除電ランプを用いる。
そして、感光体20の時計まわりの回転とともに、感光体20の表面を帯電装置21で一様に帯電し、不図示の露光装置で書込み光L(図12ではLk・Lm・Lc・Ly)を照射してそれぞれ感光体20上に静電潜像を形成して後、現像装置22で各色トナーを付着してその静電潜像を可視像化し、各感光体20上に各色の単色トナー像を形成する。
記録材(用紙)17は、用紙搬送路を通して搬送し、感光体20上に形成した各色トナー像にタイミングを合わせてレジストローラで搬送ベルト10上に送り込む。そして、搬送ベルト10の走行とともにさらに記録材(用紙)17を搬送してその搬送する用紙17にそれぞれ転写装置23で、各感光体20上の単色トナー像を順次転写し、その用紙17上に各色の単色トナー像を重ね合わせて合成カラー画像を形成する。トナー像転写後の感光体20は、表面をクリーニング装置24で清掃して後、除電装置25で除電して初期化し、再び帯電装置21からはじまる再度の画像形成に備える。
合成カラー画像を形成する用紙17上のマイナス帯電トナー27は、この時点では電気的に用紙17に付いているだけであり、強い衝撃を受けたり擦ったりすると、用紙17上から離れてしまうことから、合成カラー画像を形成した用紙17は、搬送ベルト10で搬送して定着装置18へと導き、その定着装置18で転写画像を定着して後、不図示の排紙スタック部へと排出する。
定着装置18には、図12に示すように、トナー定着液が定着液滴として噴霧される噴霧手段33と、その噴霧手段33で噴霧された定着液滴に未定着トナーと同極性のマイナスの電荷を付与させる液滴帯電手段34と、その液滴帯電手段34で電荷を付与させた定着液滴の雰囲気中を通して、未定着トナーが載っている用紙17を搬送する媒体搬送手段35と、その媒体搬送手段35で搬送する用紙17を未定着トナーおよび定着液滴とは逆極性のプラスに帯電させる記録材帯電手段36とが備えられている。
図14には、図12に示す定着装置18を拡大して示す。
図14から判るとおり、噴霧手段33は、筐体37で区画された噴霧室38内に向けて設置されており、不図示の定着液貯留部に貯留されるトナー定着液が、最頻値の滴径が15μm以下の定着液滴として噴霧されて、噴霧室38が定着液滴で満たされる。
液滴帯電手段34としては、イオナイザなどを用い、噴霧室38内に空気イオンを噴霧して、噴霧手段33で噴霧された定着液滴に混ぜ合わせ、定着液滴を未定着トナーと同極性のマイナスに帯電させる。図示例とは異なり、未定着トナーがプラスに帯電しているときは、定着液滴もプラスに帯電させる。
媒体搬送手段35は、複数のローラ40と、それらのローラ40に掛けまわされて静電吸着して用紙17を搬送する搬送ベルト41とで構成されている。そして、転写装置23で転写されて図示するように残留電荷がマイナスの未定着トナー42が乗っている用紙17が、搬送ベルト10により搬送されて定着装置18に送り込まれ、定着装置18の媒体搬送手段35の搬送ベルト41で引き続いて図14中右から左に、液滴帯電手段34で電荷を付与させた定着液滴の雰囲気中を通して搬送される。
記録材帯電手段36は、ローラ40に掛けまわされている搬送ベルト41の内側に配置される電極44と、その電極44に接続される電源45とで構成されている。そして、電源45により搬送ベルト41の内側に配置される電極44に電圧が印加されて、搬送ベルト41で搬送される用紙17を未定着トナー42および定着液滴とは逆極性のプラスに帯電させる。このとき、もちろん搬送ベルト41は、用紙17の帯電を妨げない材料で形成される。これにより、クーロン力で用紙17の裏側から吸引することで、用紙17に付着された定着液滴がさらに用紙17の裏側まで浸透するようにし、用紙17の表裏でなお一層液濃度を均等にして用紙17のカールを少なくすることができる。
なお、図14中符号46は、定着装置18から出た用紙17に接触して除電する除電部材としての除電ローラであり、もちろんローラに限らずブラシなどでもよい。
以上のとおり、図12〜14の図示例によれば、噴霧手段33で噴霧された定着液滴に、液滴帯電手段34で用紙17上の未定着トナー42と同極性の電荷を付与させる一方、電荷を付与させた定着液滴の雰囲気中を通して、媒体搬送手段35で、未定着トナー42が載っている用紙17が搬送され、その搬送される用紙17を記録材帯電手段36で未定着トナー42および定着液滴とは逆極性に帯電させ、クーロン力で強制的に吸引されて記録材(用紙)17に未定着トナー42および定着液滴53が吸着され、記録材(用紙)17に定着される。
噴霧手段33でトナー定着液が、最頻値の滴径が15μm以下の定着液滴53として噴霧されると、噴霧された定着液滴53がドライミストとして空間に均一に浮遊して、用紙17に無駄なくムラなく付着されるので、定着液滴53を用紙17に無駄なく付着して定着液の有効使用を図るとともに定着ムラを解消することができる。
−接触手段方式による定着方法、定着装置−
[定着方法及び定着装置]
図15に示すものは、電子写真方式のタンデム型カラー画像形成装置であって、中間転写体を用いて、像担持体上のトナー像をいったん中間転写体に一次転写した後、その中間転写体上のトナー像を記録材に二次転写する中間接転写方式のものである。
図15は、本実施形態に係る画像形成装置の定着手段としての定着装置を含む部分の概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、中間転写ベルト10の表面移動方向において2次転写部の上流側に定着装置90が配置されている。この定着装置90は、中間転写ベルト10の表面と微小間隔を開けて対向するように配置される定着液供給手段としての供給ローラ91を備えている。定着装置90は、供給ローラ91が中間転写ベルト10の表面に対して近接したり離間したりできるように、図示しない駆動機構によって移動可能な構成となっている。また、定着装置90の定着液タンク93の内部には定着液92が収容されており、この定着液92に供給ローラ91が浸った状態で配置されている。供給ローラ91は、トナーに定着液92を付与する際には図中矢印の方向に回転駆動する。これにより、供給ローラ91の表面に定着液92が汲み上げられる。このようにして汲み上げられた定着液92は、メータリングブレード94によって規制され、供給ローラ91の表面に付着する定着液が適量に調整される。そして、供給ローラ91上の定着液は、供給ローラ91の回転に伴って中間転写ベルト10の表面との対向位置まで搬送され、中間転写ベルト10の表面に定着液を供給する。
また、中間転写ベルト10上のトナーに定着液を供給する定着液供給手段として供給ローラ91を用いた場合、中間転写ベルト10上に担持されたトナー像を乱してしまうおそれがある。そのため、本実施形態では、導電性材料で構成した基体を絶縁層又は高抵抗層で覆った供給ローラ91を用い、その供給ローラ91に電界形成手段としての電源95を接続している。具体的には、例えば、ステンレス製の芯金に導電性のゴム層を形成し、その表面を絶縁性のPFAチューブで覆ったものを用いることができる。このような構成により、供給ローラ91と中間転写ベルト10との間には、トナーを中間転写ベルト側に押し付ける方向の電界が形成される。このような電界を形成することで、液供給位置における中間転写ベルト10上のトナーの中間転写ベルト10側への拘束力を高めることができる。これにより、中間転写ベルト10上に担持されたトナー像を乱すことなく、そのトナーに対して定着液92を供給することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[製造例1]ポリエステル樹脂の合成
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いたオートクレーブ反応槽中に、以下に示される原料、及びジブチルスズオキシド2質量部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧下で5時間反応した後、反応槽中に無水トリメリット酸44質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[樹脂A]を得た。
ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物 229質量部
ビスフェノールAのプロピレンオキシド3モル付加物 529質量部
テレフタル酸 208質量部
アジピン酸 46質量部
[製造例2]スチレンアクリル樹脂の合成
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いたオートクレーブ反応槽中に、以下に示される原料を投入し、常圧下、90℃で12時間反応させ、スチレンアクリル樹脂[樹脂B]を合成した。
スチレン 500質量部
メタクリル酸n−ブチル 200質量部
ジビニルベンゼン 5質量部
過酸化ベンゾイル 20質量部
イオン交換水 1500質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10質量部
[製造例3]ポリエステルプレポリマーの合成
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器内に、下記成分を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で7時間反応させ、中間体ポリエステル樹脂を合成した。
ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物 720質量部
ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物 90質量部
テレフタル酸 290質量部
無水トリメリット酸 25質量部
ジブチルスズオキシド 2質量部
得られた中間体ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が2,500、重量平均分子量(Mw)が10,700、ピーク分子量が3,400、ガラス転移点(Tg)が57℃、酸価が0.4mgKOH/g、水酸基価49mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器内に、下記成分を入れ、100℃で8時間反応させ、[ポリエステルプレポリマー]を合成した。
中間体ポリエステル樹脂 400質量部
イソホロンジイソシアネート 95質量部
酢酸エチル 580質量部
得られたポリエステルプレポリマーは、遊離イソシアネートの含有量が1.42質量%であった。
[製造例4]ケチミンの合成
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器内に、イソホロンジアミン30質量部、及びメチルエチルケトン70質量部を仕込み、50℃で5時間反応させ、[ケチミン化合物]を合成した。得られたケチミン化合物は、アミン価が423mgKOH/gであった。
[製造例5]マスターバッチの調製
下記成分を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。
水 1,000質量部
カーボンブラック(Printex35、デグサ社製) 530質量部
(DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)
樹脂(ポリエステル樹脂またはスチレンアクリル樹脂) 1,200質量部
得られた混合物を、二本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、[マスターバッチ]を作製した。
[製造例6]微粒子分散液の調製
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、下記成分を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。
水 683質量部
メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩 11質量部
(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)
スチレン 83質量部
メタクリル酸 83質量部
アクリル酸ブチル 110質量部
過硫酸アンモニウム 1質量部
この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部加え、75℃で5時間熟成して、[微粒子分散液]を得た。
[製造例7]水系媒体の調製
表1に示す部数でそれぞれイオン交換水、樹脂粒子分散液、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)、酢酸エチルを混合撹拌し、[水系媒体(1)〜(9)、(11)〜(13)]を得た。
Figure 2011145650
[製造例8]樹脂溶液の調製
反応容器内に表2に示す部数で製造例1〜2でそれぞれ得た[樹脂(A)]又は[樹脂(B)]、[ポリエステルプレポリマー]、及び酢酸エチル80質量部を加えて攪拌して、[樹脂溶液(1)〜(9)、(11)〜(13)]を調製した。ただし、樹脂溶液(8)は酢酸エチル80質量部を加える代わりに、酢酸エチル48質量部、酢酸ブチル32質量部を加えた。
Figure 2011145650
[製造例9]油相の調製
次に、製造例8でそれぞれ得た樹脂溶液(1)〜(9)、(11)〜(13)400質量部に、マスターバッチ5質量部を仕込み、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒で、粒径が0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした。
次に表3に示す部数で、少なくとも一部をベンジル基を有する第4級アンモニウム塩で変性した層状無機鉱物モンモリロナイト(クレイトンAPA Southern Clay Products社製)またはオルガノシリカゾル(MEK−ST−UP、固形分濃度20%、平均一次粒径15nm、日産化学工業製)を添加し、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)を用いて、30分間攪拌し、油相(1)〜(9)、(11)〜(13)を得た。ただし、油相(4)は更にケチミン化合物2.5質量部を加えて溶解させ油相を得た。また、油相(8)、(9)、(13)は異形化剤を添加していないこと以外は同様にして作製した。なお、[油相(1)〜(9)、(11)〜(13)]は、[樹脂溶液(1)〜(9)、(11)〜(13)]から得たものにそれぞれ対応する。
Figure 2011145650
<トナー母体(1)〜(9)、(11)〜(13)の作製(重合トナー)>
[製造例10]トナー母体の調製
次に、別の容器内に、製造例7で得た[水系媒体(1)〜(9)、(11)〜(13)]各150質量部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmで攪拌しながら、製造例9で得た[油相(1)〜(9)、(11)〜(13)]100質量部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを得た。更に、攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら、30℃で10時間脱溶剤し、分散スラリーを得た。ただし、[水系媒体相(9)]と[油相(9)]から得た乳化スラリーは攪拌周速20m/分で攪拌しながら、45℃で5時間脱溶剤した。なお、使用した[水系媒体(1)〜(9)、(11)〜(13)]と油相(1)〜(9)、(11)〜(13)]はそれぞれ対応する。
次に、分散スラリー100質量部を減圧濾過し、得られた濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%の水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、フッ素系第四級アンモニウム塩化合物フタージェントF−310(ネオス社製)を、フッ素系四級アンモニウム塩がトナーの固形分100質量部に対して0.1質量部相当になるよう5%メタノール溶液で添加し、10分間攪拌した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。循風乾燥機を用いて、得られた濾過ケーキを40℃で36時間乾燥し、目開きが75μmのメッシュで篩い、[トナー母体(1)〜(9)、(11)〜(13)]を作製した。
<トナー母体(10)の作製(粉砕トナー)>
[製造例11]トナー母体の調製
製造例1で得た[樹脂A]222質量部、製造例5で得たマスターバッチ5質量部をへンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で100〜130℃の温度で溶融混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ハンマーミルにて粒径200〜400μmに粗粉砕した。次に、超音速ジェット粉砕機(ラボジェット、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で分級し、[トナー母体(10)]を作製した。
[製造例12]トナーの作製
得られた[トナー母体(1)〜(13)]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(1)〜(13)を作製した。
表4に実施例1〜10、比較例1〜3で使用したトナーの樹脂種、異形化剤種、BET比表面積、体積平均粒径を示す。なお、BET比表面積及び体積平均粒径の測定方法は以下に示した通りである。
−BET比表面積測定方法−
トナーのBET比表面積は、自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar 3000(島津製作所製)を用いて測定した。トナー1gを専用セルに入れ、TriStar用脱ガス専用ユニット、バキュプレップ061(島津製作所製)を用いて、前記専用セル内の脱気処理を行った。脱気処理は室温下で行い、少なくとも100m torr以下の減圧条件下で20時間行った。脱気処理を行った専用セルは、TriStar 3000を用いて自動でBET比表面積を得ることが出来る。なお、吸着ガスとしては窒素ガスを用いて行った。
−体積平均粒径測定方法−
トナーの体積平均粒経は、コールターマルチサイザーを用いて測定した。即ち、測定装置としてはコールターマルチサイザーIII(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機株式会社製)及びパーソナルコンピューターを接続し、電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製した。測定法としては、この電解液としての水溶液100〜150mL中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5mL加え、更に測定試料を2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分の分散処理を行った。更に、別のビーカーに電解水溶液100〜200mLを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターマルチサイザーIIIによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子の平均を測定することにより行った。
Figure 2011145650
[製造例13]キャリア(1)の作製
下記成分を固形分濃度が15%となるようにトルエンで希釈し、次いでホモミキサーで10分間分散させて、樹脂被覆層液を調製した。
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100質量部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5質量部
カーボンブラック 10質量部
次に、芯材として球状マグネタイト1,000質量部を用い、前記樹脂被覆層液を転動流動式コーティング装置を用いて塗布し、乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて、120℃で30分間放置して焼成し、冷却後マグネタイト粉バルクを目開き90μmの篩を用いて解砕し、[キャリア(1)]を得た。
[製造例14]キャリア(2)の作製
下記成分を固形分濃度が15%となるようにトルエンで希釈し、次いでホモミキサーで10分間分散して、樹脂被覆層液を調製した。
アクリル樹脂溶液 30質量部
(日立化成工業株式会社製、ヒタロイド3018、固形分50質量%)
グアナミン溶液 10質量部
(三井サイテック株式会社製、マイコート106、固形分77質量%)
シリコーン樹脂溶液 60質量部
(東レ・ダウコーニング株式会社製、SR2405、固形分50質量%)
アミノシランカップリング剤 1質量部
(東レ・ダウコーニング株式会社製、SH6020、固形分100質量%)
粒子径0.4μm球径アルミナ微粒子 40質量部
次に、芯材としてフェライト粉(1kガウスでの飽和磁気モーメント65emu/g)3,000質量部を用い、前記樹脂被覆層液を転動流動式コーティング装置を用いて塗布し、乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて、120℃で30分間放置して焼成し、冷却後フェライト粉バルクを目開き90μmの篩を用いて解砕し、[キャリア(2)]を得た。
[製造例15]キャリア(3)の作製
下記成分を固形分濃度が15%となるようにトルエンで希釈し、次いでホモミキサーで10分間分散して、樹脂被覆層液を調製した。
アクリル樹脂溶液 60質量部
(日立化成工業株式会社製、ヒタロイド3018固形分50質量%)
グアナミン溶液 20質量部
(三井サイテック株式会社製、マイコート106、固形分77質量%)
シリコーン樹脂溶液 120質量部
(東レ・ダウコーニング株式会社製、SR2405、固形分50質量%)
アミノシランカップリング剤 1.5質量部
(東レ・ダウコーニング株式会社製、SH6020、固形分100質量%)
粒子径0.4μm球径アルミナ微粒子 50質量部
次に、芯材としてフェライト粉(1kガウスでの飽和磁気モーメント65emu/g)3,000質量部を用い、前記樹脂被覆層液を転動流動式コーティング装置を用いて塗布し、乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて、120℃で60分間放置して焼成し、冷却後フェライト粉バルクを目開き90μmの篩を用いて解砕し、[キャリア(3)]を得た。
表5に得られたキャリアの粒度分布、体積抵抗率、被覆樹脂膜厚(h)と微粒子の粒子径(D)を示す。なお、粒径分布はマイクロトラック粒度分布計(モデルHRA9320−X100)、体積抵抗率はハイレジスタンスメーター4329A(横川ヒューレットパッカード株式会社製、High Resistance Meter)により測定した。また、キャリアの被覆樹脂膜厚(h)と微粒子の粒子径(D)は、被覆粒子をFIB(集束イオンビーム)で切断し、被覆粒子断面を作製後、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて、50点以上の被覆粒子断面を観察して求めた平均値として算出した。
Figure 2011145650
[製造例16]現像剤の作製
[トナー(1)〜(13)]のそれぞれを5質量部と、前記[キャリア(1)〜(3)]95質量部を表6のように示す組み合わせで混合して、実施例1〜10及び比較例1〜3の[各現像剤(1)〜(13)]を作製した。
Figure 2011145650
[製造例14]定着液の作製
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V)
1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199)
1wt%
なお、分散剤は、軟化剤の希釈溶媒への溶解性を助長するために用いた。脂肪酸アミンは、脂肪酸とトリエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
上記成分比にて、先ずは、液温120℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次に、軟化剤を混合し、超音波ホモジナイザーを用いて軟化剤が溶解した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
<塗布装置>
◇大きな泡生成部
図16に表す塗布装置を基に作製した。
上記の液状定着液保存容器:PET樹脂からなるボトル
液搬送ポンプ:チューブポンプ(チューブ内径2mm、チューブ材質:シリコーンゴム)
搬送流路:内径2mmのシリコーンゴムチューブ
大きな泡を作るための微小孔シート:#400のステンレス製メッシュシート(開口部約40μm)
◇微小な泡生成部
図16に表す塗布装置を基に作製した。
2重円筒の内側円筒は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モーターにより回転する。2重円筒の材質は、PET樹脂とした。外側円筒内径:10mm・長さ120mm、内側円筒外形:8mm・長さ100mmとした。回転数は、1000rpmから2000rpmの範囲で可変とした。
◇定着液付与手段
図16に表す塗布装置を基に作製した。上記の微小な泡を生成する微小な泡生成部を用い、泡状の定着液を作製し液膜厚制御用ブレードに供給する構成とした。液膜厚制御用ブレードと塗布ローラとのギャップは25μmと40μmの2通り実施した。
加圧ローラ:アルミ合金製ローラ(φ10mm)を芯金とし、外径φ50mmのポリウレタンフォーム材(イノアック社商品名「カラーフォームEMO」)を形成した。
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)
膜厚制御用ブレード:アルミ合金製支持板に厚み1mmの並板ガラスを接着。ガラス面を塗布ローラ側に向け、10μm〜100μmの範囲で塗布ローラとガラス面の隙間を制御できるようにした。
紙搬送速度:150mm/s
次に、得られた各現像剤を用いて、以下のようにして、定着液の浸透速度、定着性を評価した。結果を表7に示す。
<評価結果>
<<定着性評価>>
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 Ipsio Color CX8800)を用い、未定着トナーの画像(トナー付着量0.45mg/cm2のベタ画像)が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)を定着装置に挿入するタイミングで、液搬送ポンプを駆動し、定着液容器から液状定着液をくみ上げ、液流路を通過させながら、大きな泡を生成する大きな泡生成部と泡を微小にする微小な泡生成部に定着液を通過させ、液排出口から1秒後に泡径5μm〜30μmの微小な泡を有する泡状定着液を塗布ローラに供給した。泡状定着液のかさ密度はおおよそ0.05g/cm3であった。未定着トナーに泡状定着液を塗布してから、3秒後、15秒後、24時間後の画像の表面をでウエスで擦り、ウエスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。以下基準をもって、定着性の評価を行った。
A:画像残存率90%以上
B:画像残存率80%以上90%未満
C:画像残存率60%以上80%未満
D:画像残存率60%未満
<<トナースペント性評価>>
定着装置を除去した電子写真方式のプリンタ(リコー社製 Ipsio Color CX8800)に各現像剤を入れて、20%画像面積の画像チャートをPPC用紙に画像濃度1.4±0.2となるようにトナー濃度を制御しながら、15万枚ランニング出力した後の現像剤を抜き取り、現像剤を目開き32μmのメッシュが張られたゲージ内に適量入れ、エアブローを行い、トナーとキャリアを分離した。得られたキャリア1.0gを50mlガラス瓶に入れ、クロロホルム10mlを加えて、50回手振りして、10分間静置させた。その後、上澄みのクロロホルム溶液をガラスセルに入れ、濁度計を用いてクロロホルム溶液の透過率を測定し、以下基準により評価した。
A:透過率が95%以上
B:透過率が90%以上94%以下
C:透過率が80%以上89%以下
D:透過率が70%以上79%以下
E:透過率が69%以下
<<総合評価>>
以上の評価結果から、総合的に判断して、下記基準により評価した。
A:非常に良好
B:良好
C:不良
D:極度に不良
なお、総合評価基準は、A、Bは合格であり、C、Dは不合格である。
Figure 2011145650
以下、結果について説明する。
実施例1、2及び4のトナーはBET比表面積、体積平均粒径、使用した樹脂が適切であったため、定着液との接触面積が広く、少量の定着液でも十分な浸透速度を示し、かつ紙との強固な接着性を示した。
実施例3のトナーはBET比表面積、体積平均粒径が適切であったため、定着液との接触面積が広く、少量の定着液でも十分な浸透速度を示したが、樹脂としてスチレンアクリルを使用したため、許容範囲ではあるが実施例1よりも紙との接着性がやや低下した。
実施例5のトナーは体積平均粒径が10.3μmとやや大きいため、BET比表面積が小さくなり許容範囲ではあるが実施例1よりも浸透速度がやや低下した。また、体積平均粒径が大きいことにより、定着液が表面付近にしか浸透せず、十分軟化しなかったため許容範囲ではあるが実施例1と比較して紙との接着性がやや低下した。また、BET比表面積が小さいため、キャリアとの強い衝撃を伴う接触を緩和することができず、許容範囲ではあるがトナースペント性がやや低下した。
実施例6のトナーはBET比表面積、体積平均粒径、使用した樹脂が適切であったため、定着液との接触面積が広く、少量の定着液でも十分な浸透速度を示し、かつ紙との強固な接着性を示した。また、キャリアのD/h、微粒子含有率が適切な範囲内であり、被覆膜に比べ微粒子の方が凸となるので、トナーとキャリアの強い衝撃を伴う接触を緩和することができ、トナースペント性が良好となった。
実施例7のトナーはBET比表面積、体積平均粒径、使用した樹脂が適切であったため、定着液との接触面積が広く、少量の定着液でも十分な浸透速度を示し、かつ紙との強固な接着性を示した。
実施例8、9、10のトナーは異形化剤を用いていないため、トナーを十分異形化することができず、BET比表面積が小さくなり許容範囲ではあるが実施例1よりも浸透速度がやや低下したが、紙との強固な接着性を示した。また、BET比表面積が小さいため、キャリアとの強い衝撃を伴う接触を緩和することができず、許容範囲ではあるがトナースペント性がやや低下した。
比較例1のトナーはBET比表面積が大きいため、定着液との接触面積が広く、少量の定着液でも十分な浸透速度を示すが、使用する定着液量が増加するため、トナー中に軟化剤が残存し、時間が経過しても紙との強固な接着性が得られなかった。
比較例2のトナーはBET比表面積が小さすぎるため、定着液との接触面積が狭く、十分な浸透速度が得られなかった。また、体積平均粒径が大きいことにより、定着液が表面付近にしか浸透せず、十分軟化しなかったため紙との接着性が低下した。また、BET比表面積が小さいため、キャリアとの強い衝撃を伴う接触を緩和することができず、トナースペント性が低下した。
比較例3のトナーはBET比表面積が小さすぎるため、定着液との接触面積が狭く、十分な浸透速度が得られなかったため、十分な紙との接着性を示すのに長時間を要した。また、BET比表面積が小さいため、キャリアとの強い衝撃を伴う接触を緩和することができず、トナースペント性が低下した。
以上より、本発明のトナーを用いることで、トナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させる定着方式であっても、少量の定着液で紙と強固に接着し、さらに高速での定着が可能となることから、プリント速度の高速化に対しても対応することができる。
(図1)
1 電極
2 電極
3 セル
4 キャリア
(図2〜9、16)
11 塗布ローラ
12 記録媒体
13 樹脂微粒子層
14 泡状定着液
20 泡状定着液
21 液体
22 気泡
30 泡状定着液生成手段
31 定着液容器
32 液状定着液
33 搬送ポンプ
34 液搬送パイプ
35 気体・液体混合部
36 空気口
37 微小孔シート
38 泡生成部
40 定着装置
41 塗布ローラ
42 膜厚調整用ブレード
43 加圧ローラ
44 加圧ベルト
45 加温手段
46 加圧ローラ
47 赤外線ヒータ
48 加圧ローラ
50 画像形成装置
51 中間転写ベルト
52 支持ローラ
53 支持ローラ
54 支持ローラ
55 画像形成ユニット
56 画像形成ユニット
57 画像形成ユニット
58 画像形成ユニット
59 二次転写装置
(図10、11)
1 感光体
2 作像形成部
3 帯電装置(帯電ローラ)
4 露光装置
5 現像装置
5a 現像ローラ
5b 現像剤供給ローラ
5c 規制ブレード
6 転写装置
7 クリーニング装置
10 中間転写ベルト
11、12、13 支持ローラ
14 一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
T トナー(現像剤)
(図12〜図14)
15K、15M、15C、15Y 作像手段
17 用紙(記録材)
18 定着装置
23 転写手段
33 噴霧手段
34 液滴帯電手段
35 媒体搬送手段
36 記録材帯電手段
38 噴霧室
40 ローラ
41 搬送ベルト
42 未定着トナー
44 電極
45 電源
50 印加手段
53 定着液滴
64 中間転写体
67 二次転写手段
69 一次転写手段
(図15)
10 中間転写ベルト
90 定着装置
91 供給ローラ
92 定着液
93 定着液タンク
94 メータリングブレード
95 電源
特開2006−133306号公報 特開2009−008967号公報 特開2008−139504号公報

Claims (15)

  1. 結着樹脂を含有するトナー中の結着樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有した定着液を媒体上のトナーに付与して該トナーを媒体に定着させる定着方法において、
    トナーのBET比表面積が、2.0〜8.0m2/gであることを特徴とする定着方法。
  2. 前記トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、及び異形化剤を含むことを特徴する請求項1に記載の定着方法。
  3. 前記異形化剤が、湿式法で合成された金属酸化物、又は層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物であることを特徴とする請求項2に記載の定着方法。
  4. 前記トナーが、
    少なくとも結着樹脂、着色剤、及び異形化剤を有機溶媒に溶解乃至分散させたトナー材料液を水系媒体に分散して造粒することで得られるトナーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の定着方法。
  5. 前記トナーの結着樹脂として、少なくともポリエステル樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の定着方法。
  6. 前記トナーの体積平均粒径が3〜9μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の定着方法。
  7. 前記トナーの結着樹脂が、変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の定着方法。
  8. 前記トナーが、トナーと、キャリアとを含む電子写真用二成分現像剤に由来するトナーであって、
    前記キャリアが少なくとも芯材と、該芯材表面に微粒子を含む被覆層とを有し、
    該微粒子の粒子径(D)と該被覆層を形成する樹脂膜の膜厚(h)が、1<[D/h]<10の関係を満たし、
    該微粒子の総含有量が被覆層組成成分の40〜95wt%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の定着方法。
  9. 前記キャリアの被覆層が、少なくともシリコーン樹脂を含有することを特徴とする請求項8に記載の定着方法。
  10. 前記キャリアの被覆層が、少なくともシリコーン樹脂とアクリル樹脂とを含有することを特徴とする請求項8又は9に記載の定着方法。
  11. 前記キャリアの被覆層が含有する微粒子が、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、又はそれらに表面処理を施したもののいずれかの、単独或いは複数であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の定着方法。
  12. 前記定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成工程と、
    前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する膜厚調整工程と、
    前記の所望の厚みに形成された泡状定着液を媒体上に形成されたトナー層に付与する泡状定着液付与工程と、
    を含む定着方法であって、
    前記定着液が、水を含む希釈剤と、前記定着液を泡状とする起泡剤と、軟化剤としての可塑剤とを含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の定着方法。
  13. 前記可塑剤は常温で固体であり、かつ、前記希釈剤に可溶であって、前記希釈剤に溶解している状態で前記トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる固体可塑剤であることを特徴とする請求項12に記載の定着方法。
  14. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
    前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
    を含む画像形成方法であって、
    前記定着工程が、請求項1〜13のいずれかに記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法。
  15. 静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    潜像担持体に供給する現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、
    現像剤を現像剤担持体表面に供給する現像剤供給部材と、
    現像剤担持体の表面に当接するよう設けられた現像剤層規制部材と、
    トナーを含む現像剤を収納する現像剤収納器とを備え、前記静電潜像をトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
    を有する画像形成装置であって、
    前記定着手段が、定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、
    前記泡状定着液を媒体上のトナー層に付与する泡状定着液付与手段と、
    前記泡状定着液付与手段の泡状定着液の膜厚を調整する膜厚調整手段と、
    を有する定着手段であって、
    前記トナーのBET比表面積が、2.0〜8.0m2/gであることを特徴とする画像形成装置。
JP2010236460A 2009-12-14 2010-10-21 トナーの定着方法及び画像形成方法並びに画像形成装置 Expired - Fee Related JP5590392B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010236460A JP5590392B2 (ja) 2009-12-14 2010-10-21 トナーの定着方法及び画像形成方法並びに画像形成装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009282551 2009-12-14
JP2009282551 2009-12-14
JP2010236460A JP5590392B2 (ja) 2009-12-14 2010-10-21 トナーの定着方法及び画像形成方法並びに画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011145650A true JP2011145650A (ja) 2011-07-28
JP5590392B2 JP5590392B2 (ja) 2014-09-17

Family

ID=44460512

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010236460A Expired - Fee Related JP5590392B2 (ja) 2009-12-14 2010-10-21 トナーの定着方法及び画像形成方法並びに画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5590392B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014137387A (ja) * 2013-01-15 2014-07-28 Konica Minolta Inc 定着液及び電子写真画像形成方法
JP2017125892A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 株式会社リコー トナー、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4465754A (en) * 1981-10-27 1984-08-14 Kuin Nicolaas P J Water-fixable electrostatic toner powder containing hydrolyzed polyvinyl ester
JP2006058811A (ja) * 2004-08-24 2006-03-02 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用現像剤及び画像形成装置
JP2006078573A (ja) * 2004-09-07 2006-03-23 Sharp Corp トナー定着液、トナー定着方法、トナー定着装置および画像形成装置
JP2006184891A (ja) * 2004-11-30 2006-07-13 Ricoh Co Ltd 電子写真用キャリア及びそれを用いた現像剤、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ
JP2006221151A (ja) * 2005-01-11 2006-08-24 Ricoh Co Ltd トナー、現像剤、現像装置及び画像形成装置
JP2008102300A (ja) * 2006-10-19 2008-05-01 Ricoh Co Ltd 定着方法、定着装置、定着液、樹脂含有微粒子、画像形成方法及び画像形成装置
JP2008139504A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Ricoh Co Ltd 定着方法、定着液、トナー、定着装置及び画像形成装置
JP2008233253A (ja) * 2007-03-16 2008-10-02 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2009008967A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Ricoh Co Ltd 定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置
JP2009086640A (ja) * 2007-09-10 2009-04-23 Ricoh Co Ltd 画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2009288794A (ja) * 2009-07-10 2009-12-10 Ricoh Co Ltd 定着液
US20100159384A1 (en) * 2008-12-23 2010-06-24 Regan Michael T Enhanced fusing for electrophotographic toners

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4465754A (en) * 1981-10-27 1984-08-14 Kuin Nicolaas P J Water-fixable electrostatic toner powder containing hydrolyzed polyvinyl ester
JP2006058811A (ja) * 2004-08-24 2006-03-02 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用現像剤及び画像形成装置
JP2006078573A (ja) * 2004-09-07 2006-03-23 Sharp Corp トナー定着液、トナー定着方法、トナー定着装置および画像形成装置
JP2006184891A (ja) * 2004-11-30 2006-07-13 Ricoh Co Ltd 電子写真用キャリア及びそれを用いた現像剤、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ
JP2006221151A (ja) * 2005-01-11 2006-08-24 Ricoh Co Ltd トナー、現像剤、現像装置及び画像形成装置
JP2008102300A (ja) * 2006-10-19 2008-05-01 Ricoh Co Ltd 定着方法、定着装置、定着液、樹脂含有微粒子、画像形成方法及び画像形成装置
JP2008139504A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Ricoh Co Ltd 定着方法、定着液、トナー、定着装置及び画像形成装置
JP2008233253A (ja) * 2007-03-16 2008-10-02 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2009008967A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Ricoh Co Ltd 定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置
JP2009086640A (ja) * 2007-09-10 2009-04-23 Ricoh Co Ltd 画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
US20100159384A1 (en) * 2008-12-23 2010-06-24 Regan Michael T Enhanced fusing for electrophotographic toners
JP2009288794A (ja) * 2009-07-10 2009-12-10 Ricoh Co Ltd 定着液

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014137387A (ja) * 2013-01-15 2014-07-28 Konica Minolta Inc 定着液及び電子写真画像形成方法
JP2017125892A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 株式会社リコー トナー、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5590392B2 (ja) 2014-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5476978B2 (ja) トナーを用いた定着方法
JP4755553B2 (ja) 非磁性トナー、並びに画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2010020024A (ja) 画像形成方法と画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2011150285A (ja) トナー、並びに定着方法、画像形成方法及び画像形成装置
JP2007233169A (ja) トナー、及びそれを用いた画像形成方法
US8699892B2 (en) Method of evaluating electrophotographic overcoatability of composition, electrophotographic overcoat composition, electrophotographic method, and electrophotographic apparatus
KR20120085179A (ko) 정전하상 현상용 토너, 정전하상 현상용 현상제, 토너 카트리지, 프로세스 카트리지, 화상 형성 장치, 및, 화상 형성 방법
JP5919839B2 (ja) 画像形成方法
JP2014021383A (ja) カラー画像形成方法及びカラー画像形成装置
US9052618B2 (en) Overcoat composition for electrophotography, electrophotographic image forming method and electrophotographic image forming apparatus
JPH11344829A (ja) 静電荷像現像用トナ―及び画像形成方法
JP5594032B2 (ja) 電子写真用オーバーコート組成物、電子写真形成方法、及び電子写真形成装置
JP2012189881A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP4974539B2 (ja) 非磁性一成分現像方式及び現像装置
JP5590392B2 (ja) トナーの定着方法及び画像形成方法並びに画像形成装置
JP6798247B2 (ja) 静電荷像現像用白色トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2012128385A (ja) 定着方法及び該定着方法を用いた画像形成方法、並びに画像形成装置
JP2011150300A (ja) 定着方法、画像形成方法、及び画像形成装置
JP2012103565A (ja) 電子写真用オーバーコート組成物、電子写真形成方法、及び電子写真形成装置
JP5789881B2 (ja) 電子写真用オーバーコート組成物、電子写真形成方法、及び電子写真形成装置
JP5655546B2 (ja) トナー、及び現像剤、並びに定着方法、画像形成方法及び画像形成装置
JP2012181314A (ja) 電子写真用オーバーコート組成物、電子写真形成方法、及び電子写真形成装置
JP6011176B2 (ja) 画像製造方法および該画像製造方法により得られる画像
JP2012203124A (ja) トナー、並びに定着方法、画像形成方法、及び画像形成装置
JP2012181315A (ja) 電子写真用オーバーコート組成物、電子写真形成方法、及び電子写真形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130813

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140703

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140716

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5590392

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees