JP2011143427A - 成形装置及び成形方法 - Google Patents

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清 大西
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Abstract

【課題】上型の自重による撓みや落下を防止することができる成形装置及び成形方法を提供する。
【解決手段】成形装置10は、下型14に対して被成形部材である板状部材36を介して上型18を押圧させることにより、前記板状部材36を所望の成形品に成形する成形装置において、前記成形品の成形形状が形成された下型14と、弾性体から構成され、前記下型14に形成された前記成形形状に倣って変形する上型14と、前記上型14を前記下型18に対して押圧する押圧部と、前記上型18に挿通され、所定の張力が付与されることで、前記上型18を略平面形状に保持する保持部材16と、前記下型14に対して前記上型18が離間している状態では、前記保持部材16に対して所定の張力を付与し、前記下型14に対して前記上型18が押圧される状態では、前記保持部材16に対する張力を解放側に調整する張力調整部24、26とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、上型及び下型間で板状部材を押圧成形する成形装置及び成形方法に関する。
金属板等の板状部材を所定の形状に成形する方法として、上型及び下型からなる一対の金型を用いて押圧成形するプレス成形が知られている。これらの金型を用いたプレス成形では、同一形状の成形品を短時間で大量に製造できるため、主として大量生産品の製造に用いられる。
しかしながら、成形品の形状を変更するためには、変更後の成形品に対応した金型が新たに必要であり、当該金型を作成するための時間及び費用を要する。このため、プレス成形は、少量多品種生産や一点物の作品の生産には不向きである。
上記のプレス成形の短所を解消するために、一対の金型のうち、上型を弾性体で構成した成形装置が知られている(特許文献1)。この成形装置は、成形品の形状を下型のみに加工形成しておき、弾性体からなる上型を前記下型に倣わせることにより、板状部材を成形するものである。
特開2009−262229号公報
しかしながら、前記成形装置における弾性体で構成される上型の大きさは、成形品によって定まり、成形品が大型になれば上型も大きくなる。そのため、自重により上型が撓み、場合によっては、上型が支持機構から脱落してしまうおそれがある。また、上型が撓んでいると、成形開始前に上型が板状部材の一部に接し、上型が接した部分に加圧による成形不良が生じるおそれがある。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであって、上型の自重による撓みや脱落を防止するとともに、成形不良が生じることのない成形装置及び成形方法を提供することを目的とする。
本発明に係る成形装置は、下型に対して被成形部材である板状部材を介して上型を押圧させることにより、前記板状部材を所望の成形品に成形する成形装置において、前記成形品の成形形状が形成された下型と、弾性体から構成され、前記下型に形成された前記成形形状に倣って変形する上型と、前記上型を前記下型に対して押圧する押圧部と、前記上型に挿通され、所定の張力が付与されることで、前記上型を略平面形状に保持する保持部材と、前記下型に対して前記上型が離間している状態では、前記保持部材に対して所定の張力を付与し、前記下型に対して前記上型が押圧される状態では、前記保持部材に対する張力を解放側に調整する張力調整部と、を備えることを特徴とする。
前記成形装置において、前記保持部材は、前記上型に対して格子状に配列される線状部材からなることを特徴とする。
本発明に係る成形方法は、下型に対して被成形部材である板状部材を介して上型を押圧させることにより、前記板状部材を所望の成形品に成形する成形方法において、前記下型に対して前記上型が離間している状態で、前記上型に挿通した保持部材に対して所定の張力を付与し、前記上型を略平面状態に保持するステップと、前記上型を前記略平面状態に保持した状態で前記下型に指向して移動させるステップと、前記下型に対して前記板状部材を介して前記上型が押圧されるとき、前記保持部材に対する張力を解放側に調整するステップと、前記保持部材に対する張力を解放側に調整した状態で、前記下型と前記上型との型締めを行うステップと、からなることを特徴とする。
本発明の成形装置及び成形方法では、弾性体からなる上型に保持部材を挿通し、前記保持部材の張力を張力調整部によって調整することにより、自重による上型の撓みを防止し、上型の脱落を防ぐことができる。また、成形開始前に上型が板状部材の一部に接することがないため、加圧による成形不良が生じるのを防ぐことができる。
本実施形態の成形装置の構成の説明図である。 本実施形態の成形装置における上型及び張力調整部の説明図である。 本実施形態の成形装置を構成する制御部の説明図である。 板状部材の成形手順のフローチャートである。 上型が板状部材に当接した状態を示す図である。 型締めをしている状態を示す図である。 スライドを上昇させ、保持部材に張力を付与した状態を示す図である。 本実施形態の変形例の成形装置の説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施形態の成形装置の構成の説明図、図2は本実施形態の成形装置における上型及び張力調整部の説明図、図3は本実施形態の成形装置を構成する制御部の説明図である。
成形装置10は、図示しない基台上に固定されたボルスタ12と、前記ボルスタ12に設けられた下型14と、前記下型14と対をなす型であって、複数本の保持部材16が挿通された上型18と、前記上型18を支持する筐体20と、筐体20の上部に固定され、筐体20を上下方向に移動させるスライド22と、筐体20に設けられ、保持部材16の張力を調整する張力調整部24、26と、筐体20に設けられ、ばね部材28の弾発力により上型18を下型14に対して押圧する複数の押圧ピン30と、張力調整部24、26を制御する制御部32とを備える。
下型14は金属製であって、上面部34には、成形部材である板状部材36から成形される所望の成形品の形状に応じた曲面が形成されている。
上型18は、所定の反発力の弾性又は粘弾性を有するウレタンゴム等の樹脂材料から構成される。板状部材36は、上型18及び下型14間で押圧されることで、下型14に形成された成形品形状に倣って変形する。このとき、ばね部材28と押圧ピン30とから構成される押圧部が上型18を押圧する。
図2に示すように、上型18の各側面には、上型18の平面に沿って矢印X方向及び矢印Y方向にそれぞれ貫通する複数の貫通孔38が形成される。各貫通孔38には、ワイヤから構成される線状の保持部材16が挿通される。隣接して配列される保持部材16間の距離は、上型18を所望の平面状態とするため各保持部材16に付与する張力に従って定められる。なお、本実施形態では、保持部材16はワイヤで構成しているが、所定の張力を付与することができるものであれば、これに限定されるものではない。
矢印X方向に延在する各保持部材16は、各一端部が張力調整部24に連結され、各他端部が固定部40に固定される。張力調整部24は、モータ42a〜42dと、各モータ42a〜42dの駆動軸に連結され、各保持部材16を個別に巻き取るプーリ44a〜44dとを備える。また、矢印Y方向に延在する各保持部材16は、各一端部が張力調整部26に連結され、各他端部が固定部48に固定される。張力調整部26は、張力調整部24と同様に構成される。
制御部32は、CPU50と、張力調整部24、26を構成する各モータ42a〜42dを制御する駆動制御部52とを備える。CPU50には、スライド22の矢印Z方向に対する移動量を測定するセンサ54が接続される。CPU50は、センサ54によって測定されたスライド22の移動量と、下型14の形状を示す形状データとを対比し、その対比結果に基づき、上型18が板状部材36に当接したものと判定したとき、駆動制御部52に対して、当接した部分に配設されている各保持部材16の張力を解放する指示を行う。
本実施形態の成形装置10は、基本的には以上のように構成される。次に成形装置10による板状部材36の成形手順につき、図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図5は、上型18が板状部材36に当接した状態、図6は、型締めをしている状態、図7はスライド22を上昇させ、保持部材16に張力を付与した状態を示す図である。
まず、スライド22を矢印Z方向に上昇させた状態において、制御部32のCPU50は、駆動制御部52により張力調整部24、26を構成する各モータ42a〜42dを駆動し、各保持部材16をプーリ44a〜44dで巻き取ることにより、各保持部材16に所定の張力を付与する(ステップS1)。この結果、上型18が保持部材16によって支持され、略平面形状に維持される。なお、各保持部材16に付与する張力は、上型18の重量、撓み量を決定する物理特性に基づいて設定される。
次に、板状部材36を下型14と上型18との間に搬送する(ステップS2、図1参照)。
板状部材36が下型14と上型18との間に配置された後、スライド22を矢印Z方向に下降させる(ステップS3)。
一方、センサ54は、スライド22の移動量を測定し、測定結果をCPU50に通知する。CPU50は、センサ54によって測定されたスライド22の移動量と、下型14に形成された成形品の形状データとを比較し、上型18が板状部材36に当接したと判断したとき(ステップS4、図5参照)、駆動制御部52に対して、当接した部分に対応する保持部材16に付与している張力を解放するように指示する。
そこで、駆動制御部52は、張力調整部24、26を構成する各モータ42a〜42dによる保持部材16の巻き取り力を調整する。この結果、各保持部材16に付与されている張力が適宜解放され、上型18が変形可能な状態となる(ステップS5)。
次いで、スライド22を矢印Z方向にさらに下降させ、板状部材36を下型14と上型18とで押圧して型締めする(ステップS6、図6参照)。この場合、上型18は、ばね部材28で付勢された複数の押圧ピン30により下型14に向かって押圧されることにより、下型14の上面部34に形成された成形品の形状に倣うように変形する。
板状部材36の成形終了後、上型18が板状部材36から離間するまでスライド22を上昇させる(ステップS7)。この間、センサ54は、スライド22の移動量を測定する。
CPU50は、センサ54から通知されるスライド22の移動量と、下型14の形状データとを比較し、上型18が板状部材36から離間開始したと判定したとき(ステップS8)、駆動制御部52を制御して各モータ42a〜42dを駆動し、各保持部材16に所定の張力を適宜付与する(ステップS9)。この結果、上型18が保持部材16によって支持され、略平面形状に維持される。
スライド22は、平面形状とされた上型18を保持した状態でさらに上昇し、型開きされた後、成形品が取り出される(ステップS10、図7)。
以上のように、成形装置10では、板状部材36を保持部材16により略平面状に保持することにより、上型18の筐体20からの脱落を防止することができる。また、上型18が板状部材36の一部を成形開始前に押圧する事態を回避し、上型18が接した部分に上型18の自重による成形不良が生じるのを防ぐことができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。図8は、本実施形態の変形例に係る成形装置60である。なお、上述した本実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この変形例は、ばね部材28により付勢される押圧ピン30を、油圧シリンダ62により進退駆動されるピストンピン64に代えたものである。なお、油圧シリンダ62とピストンピン64とは、押圧部を構成する。各油圧シリンダ62は、制御部32からの指示に従い、電空圧変換器66により駆動制御されることで、ピストンピン64の矢印Z方向に対する移動量を制御し、上型18を下型14の形状に応じて押圧する。この結果、上型18の形状が下型14の形状に倣い、所望の成形品が形成されることになる。保持部材16に対する張力の調整処理については、成形装置10と同様にして行われる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
例えば、上型18は、側面に貫通孔38を形成し、当該貫通孔38に保持部材16を挿通して形成するものとしているが、上型18の型内に予め保持部材16を配設し、その中に溶融した樹脂を注入して固化させ、上型18を形成するようにしてもよい。
また、上型18を構成する材料は、所定の弾性を有すればウレタンゴム等の樹脂材料に限定されるものではない。例えば、ニトリルゴムやシリコーンゴムやプラスチック等の高分子材料で構成されてもよく、また、内部に空洞を有するいわゆる発砲体、多孔質体であってもよい。
また、上型18には、X方向及びY方向に保持部材16が挿通されているが、上型18に所定の張力を付与することができるのであれば、保持部材16の挿通の方向、本数は、限定されるものではない。例えば、X方向のみに保持部材16を挿通する構成であってもよい。
さらに、上型18の板状部材36への当接状態及び離間状態は、センサ54を用いてスライド22の移動量の測定結果に基づいて判断するようにしているが、スライド22の移動量の測定に基づく場合に限定されるものではない。例えば、保持部材16の張力を測定することにより上型18の板状部材36への当接状態及び離間状態を判断してもよい。上型18が板状部材36へ当接する場合には、それまで一定だった保持部材16の張力が大きくなることから判断することができる。また、上型18が板状部材36から離間する場合については、板状部材36の成形後、上型18が板状部材36から離間する際に、上型18の自重によって保持部材16の張力が大きくなることを検出し、上型18の板状部材36からの離間を判断することができる。
10、60…成形装置
12…ボルスタ
14…下型
16…保持部材
18…上型
20…筐体
22…スライド
24、26…張力調整部
28…ばね部材
30…押圧ピン
32…制御部
34…上面部
36…板状部材
38…貫通孔
40、48…固定部
42a〜42d…モータ
44a〜44d…プーリ
50…CPU
52…駆動制御部
54…センサ
62…油圧シリンダ
64…ピストンピン
66…電空圧変換器

Claims (3)

  1. 下型に対して被成形部材である板状部材を介して上型を押圧させることにより、前記板状部材を所望の成形品に成形する成形装置において、
    前記成形品の成形形状が形成された下型と、
    弾性体から構成され、前記下型に形成された前記成形形状に倣って変形する上型と、
    前記上型を前記下型に対して押圧する押圧部と、
    前記上型に挿通され、所定の張力が付与されることで、前記上型を略平面形状に保持する保持部材と、
    前記下型に対して前記上型が離間している状態では、前記保持部材に対して所定の張力を付与し、前記下型に対して前記上型が押圧される状態では、前記保持部材に対する張力を解放側に調整する張力調整部と、
    を備えることを特徴とする成形装置。
  2. 請求項1記載の成形装置において、
    前記保持部材は、前記上型に対して格子状に配列される線状部材からなることを特徴とする成形装置。
  3. 下型に対して被成形部材である板状部材を介して上型を押圧させることにより、前記板状部材を所望の成形品に成形する成形方法において、
    前記下型に対して前記上型が離間している状態で、前記上型に挿通した保持部材に対して所定の張力を付与し、前記上型を略平面状態に保持するステップと、
    前記上型を前記略平面状態に保持した状態で前記下型に指向して移動させるステップと、
    前記下型に対して前記板状部材を介して前記上型が押圧されるとき、前記保持部材に対する張力を解放側に調整するステップと、
    前記保持部材に対する張力を解放側に調整した状態で、前記下型と前記上型との型締めを行うステップと、
    からなることを特徴とする成形方法。
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