JP2011140866A - アンカー - Google Patents

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Abstract

【課題】セメントミルクを用いて地山斜面に定着するにあたり、セメントミルクに埋没する部分の防錆性能を向上させたロックボルトやグラウンドアンカーなどのアンカーを提供する。
【解決手段】ロックボルト1は、ネジ節棒鋼からなる異形棒鋼2の外周面に、一次防錆層として溶融亜鉛メッキ皮膜3を被覆し、さらにその外側にpH値が12.5以上の強アルカリ性環境下で耐性を有するポリビニルブチラール樹脂被覆層4を二次防錆層として積層した防錆構造であって、少なくともセメントミルクに埋没される部位に対してポリビニルブチラール樹脂被覆層4を設けたものである。セメントミルクが硬化する際に、ロックボルト1が強いアルカリ性環境下に置かれたときにもポリビニルブチラール樹脂被覆層4は変質することなく、セメントミルクの硬化体に亀裂が生じた場合には浸透水を遮断し、内側を錆から保護する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軟弱な土砂斜面の安定化などを図る目的で地山斜面に打設するロックボルトあるいはグラウンドアンカー(以下、本明細書ではこれらを総称して「アンカー」という。)に関するものである。
従来、一般の鉄筋コンクリート構造物に使われている竹節棒鋼やネジ節棒鋼などの異形棒鋼をアンカー材(補強材)として利用するロックボルトは、経済性や入手の容易さ等の理由により、法面や自然斜面などの地山斜面の地盤安定化の手段として広く使われている。これらのロックボルトは、地山斜面に設けた掘削孔にほぼ大半部分を挿入した状態で周囲にセメントミルクを注入充填し、その硬化により地盤に定着される。この場合、ロックボルトはスペーサ(センタライザ)を介して掘削孔の中心に設置され、セメントミルクの硬化体(以下、「セメント硬化体」という。)による適宜の被り厚を確保することで防錆が図られている。図3は、施工途中のロックボルト10の頭部付近の状態を示したものである。この場合、ロックボルト10を掘削孔11の内部に挿入した状態でセメントミルクを掘削孔11の開口付近に到達するまで注入することになる。ところが、掘削孔11が傾斜面12に対してほぼ直角に穿孔されている関係から、掘削孔11の開口縁の最下部位置11aよりも上方空間にセメントミルクを充填することが困難であり、セメント硬化体13の上面13aの上方に空隙部14が残ることが避けられない。
そして、このような空隙部14には雨水や浸透水が浸入し、ロックボルト10の露出部分が貫通する空隙部14の内部は、水が溜まりやすい状況にある。一方、ロックボルト10の埋没部分、特にセメント硬化体13の上面13aに近い内部では、ブリージング現象や注入途中での土砂の混入などが原因でロックボルト10と周囲の硬化体13との密着性が他の部分に比べて低下し、両者の境界面に微小な隙間が生じやすい。このため、空隙部14に近い埋没部分を含むロックボルト10の頭部は、きわめて厳しい腐食環境下に置かれることになる。また、削孔作業の効率化などから、ロックボルト10の被り厚は、片側で10mm程度を確保するのが通例であるが、ロックボルト10の防錆面では非常に厳しい環境にある。このような条件下では、セメントミルクを注入充填する際にバイブレータの使用が困難であるから、セメント硬化体13の内部に空隙部分が残る虞があり、この部分で発生する結露は腐食の原因になる。さらに、セメント硬化体13には経時的なクラックの発生も多分に予想され、水の浸入を完全に遮断できない虞もあるなど、ロックボルト10にあっては、頭部側部分のみならず、セメント硬化体13中に埋没する部分においても、より一層の防錆性能の向上が望まれていた。
このような状況を踏まえ、近年ではロックボルトの防錆性能を向上させる手段として、二重防錆構造が検討されている。まず、セメント硬化体中への埋没部分に対しては、予め異形棒鋼の表面全体に溶融亜鉛メッキ処理を施すことで、このメッキ皮膜とその周囲のセメント硬化体とにより二重防錆を図っている。さらに、溶融亜鉛メッキ処理に代わる方法として、ダクロダイズド処理と称される金属亜鉛を3価クロム化合物で結合した耐食性皮膜を素地表面に形成する方法が提案されている(特許文献1)。
一方、特許文献2には、周囲にセメント硬化体が存在しない異形棒鋼の頭部に関して、頭部側の先端からセメント硬化体中に埋没させる部分(200mm程度)を含めた所定の長さ部分に対してグリースを塗布し、さらにこのグリース層を熱収縮チューブで被覆する技術が開示されている。ただし、このロックボルトは、セメント硬化体中に埋没する部分に防錆層が存在しないので、完全な二重防錆構造とはならない。また、異形棒鋼の表面全体に溶融亜鉛メッキ処理を施すとともに、腐食を最も受けやすい前記空隙部付近を中心とする上下の領域、すなわち地表側端部からセメント硬化体の所定深さまでの50cm程度の部分を対象として飽和ポリエステル樹脂を重ねて被覆する二重防錆技術も提案されている(特許文献3)。なお、特許文献3には外側防錆層としての飽和ポリエステル樹脂を異形棒鋼の全長に被覆することも提案されている。この場合には、埋没部分が亜鉛メッキ、飽和ポリエステル樹脂およびセメント硬化体による三重防錆構造となる。
特開平7−166547号公報 特許第4173511号公報 特許第4211946号公報
ところで、ロックボルトの定着に使用される注入充填材としては、普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントに水を加えて懸濁液状としたセメントミルクが一般的である。本発明者らは、ロックボルトの防錆性能を向上させるために幾多の実験を重ねたところ、その過程において、新たな事実を確認するに至った。すなわち、セメントミルクのpH値は一般に12.5程度以下とされているが、硬化中のセメントミルクではその値を超えるきわめて強いアルカリ性(pH12.5〜13.0)になるという現象である。しかるに、これまでのロックボルトで防錆手段として使用されている溶融亜鉛メッキは、pH6.0〜12.5の範囲内では化学的に安定であることと、セメントミルクのpH値が12.5程度以下であることを前提条件としているのである。
したがって、斯かる状況下に亜鉛メッキ処理を施したロックボルトを設置した場合には、亜鉛メッキ皮膜がセメントミルクによって溶解され、さらに硬化後においては雨水等に含まれる塩素イオンや温度変化などによっても亜鉛メッキ皮膜の溶解が促進され、その防錆機能が失われることが判明した。なお、特許文献1に記載のダクロダイズド処理による耐食性皮膜も基本的には金属亜鉛を主体とするものであることから、程度の差はあるが上記溶融亜鉛メッキ皮膜と同様な現象を示し、耐アルカリ性の点で十分とは言い難いものであった。すなわち、ロックボルトの定着にセメントミルクを使用する場合では、金属亜鉛を基本としたいずれの表面処理手段も埋没部分における防錆層としての機能に問題が残されているのである。
一方、特許文献3に記載の亜鉛メッキ層と飽和ポリエステル樹脂層からなる積層皮膜による防錆であるが、実験によるとpH値が12.5を超えた条件下では、飽和ポリエステル樹脂皮膜にアルカリ成分による劣化、浸食が見られた。斯かる防錆構造は、上記特許文献1等の亜鉛皮膜だけの防錆構造に比べると、耐食性の向上は見られるものの、強アルカリ成分に対する耐性が十分とは言い難く、セメント硬化体中に埋没する部位への適用には懸念があった。さらに、ロックボルトの最外周面の飽和ポリエステル樹脂皮膜と、これを包囲するセメント硬化体との密着性がかなり悪いことも判明した。このような接触状態では、セメント硬化体に亀裂が生じると、浸透水等が両者の境界面に沿って移動しやすくなると同時に、二重の防錆皮膜がいずれも劣化状態にあることから、ロックボルトの腐食が広範囲に及びやすく、信頼性に欠けるという問題点があった。
また、PC鋼より線をアンカー材(引張材)とする引張型のグラウンドアンカーにおいては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂などの合成樹脂で被覆されたPC鋼より線が使用されている。この種の被覆PC鋼より線は、削孔の奥側に位置する定着長部の周囲に注入充填されたセメントミルクによって地盤に定着されるとともに、当該部位よりも地表側の部位が自由長部として緊張力が負荷される。このうちエポキシ樹脂で被覆したPC鋼より線の場合には、定着長部で接触するセメントミルクの強アルカリ成分に対する耐性が十分とは言い難い。また、ポリエチレン樹脂で被覆したPC鋼より線の場合では、耐アルカリ性には優れるものの、その低摩擦係数により周囲に注入充填されたセメント硬化体との付着性が必ずしも十分ではないという問題点があった。
本発明者らは、以上のような従来技術の状況に鑑み、新たな知見に基づきながら鋭意検討を重ねた結果、本発明に想到したのである。すなわち本発明では、pH値が12.5以上の強アルカリ性の環境下でも耐性を有する被覆層を異形棒鋼やPC鋼より線などの鋼製アンカー材の表面に設けることにより、特にセメント硬化体に埋没する部分での防錆機能を向上させたアンカーの提供を目的とするものである。
すなわち、本発明では上記課題を解決するため、セメントミルクを介して削孔内に定着する異形棒鋼などの鋼製アンカー材からなるアンカーにおいて、前記鋼製アンカー材のセメントミルク層内に埋没する部分の表面に、pH12.5以上の強アルカリ性環境下で耐性を有する防錆被覆層を設けるという技術手段を採用した点に大きな特徴がある。この場合の防錆被覆層は、少なくともセメントミルクと接触する可能性のある先端から、セメントミルクと接触する可能性がない頭部下方の一定長さ部分を残して被覆するのが基本であるが、異形棒鋼やPC鋼より線などの鋼製アンカー材の全長に渡って設けてもよい。また、ロックボルトを対象とする異形棒鋼として亜鉛メッキ処理したものを用い、この亜鉛メッキ層の外周面に防錆被覆層を設けることができる。なお、防錆被覆層に使用する素材としては、各種合成樹脂の中ではポリビニルアセタール樹脂が好適であり、その中でもポリビニルブチラール樹脂が特に好ましい。
本発明に係るアンカーでは、上記のような構成を採用したことにより、次の効果が得られる。
(1)異形棒鋼やPC鋼より線などの鋼製アンカー材の表面に存在するpH12.5以上の強アルカリ性環境下で耐性を有する防錆被覆層は、硬化中のセメントミルクと接触したときにその強アルカリ性に対して変質、劣化することなく維持されるので、定着後にセメント硬化体に亀裂が生じた場合でも、その亀裂からセメント硬化体内に浸入した浸透水と異形棒鋼との接触を確実に遮断し、鋼製アンカー材の埋没部分を長期に渡って腐食から保護することができる。
(2)異形棒鋼などの鋼製アンカー材の頭部側まで防錆被覆層を延長して設けた場合には、掘削孔の開口付近に必然的に形成される空隙部内に雨水等が浸入した場合でも、セメント硬化体に代わりその接触を阻止し、アンカー頭部の腐食を阻止することができる。この場合、空隙部内に突出した部分とその下方に続くセメント硬化体内に埋没している部分とが、連続した防錆被覆層により包囲されているので、酸素と水の共存により腐食を最も受けやすいアンカー頭部での防錆性能の向上につながる。
(3)ロックボルト用として、予め亜鉛メッキ処理を施した異形棒鋼の表面に防錆被覆層を設けた場合には、セメント硬化体に亀裂が生じたときでも二重の防錆構造が確実に維持され信頼性の向上につながるとともに、特に合成樹脂からなる防錆被覆層においては、異形棒鋼の表面に直接被覆する場合に比べて防錆被覆層の密着性が高まる。
(4)防錆被覆層にポリビニルアセタール樹脂を使用すれば、異形棒鋼やPC鋼より線などの鋼製アンカー材の表面や亜鉛メッキ皮膜との密着性が良好であり、しかも粉体塗装などの方法で簡単に被覆できるという利点がある。その中でもポリビニルブチラール樹脂は、密着性や作業性などの点でバランスが良く、この種の用途において特に好適である。
(5)防錆被覆層としてポリビニルアセタール樹脂を使用した場合には、周囲のセメント硬化体との密着性がきわめて良好であることから、その大きな付着力によってセメント硬化体との境界面付近での微小亀裂の発生を抑制し、浸入水との接触をより低減することができる。
本発明に係るアンカーの一実施形態であるロックボルトの一部を切り欠いた正面図である。 図1に示したロックボルトの頭部側から見た側面図である。 図1に示したロックボルトの一部を拡大した断面図である。 施工途中のロックボルトの頭部付近の状態を示した断面図である。 本発明に係るアンカーの異なる実施形態であるグラウンドアンカーの断面図である。 図5で使用する被覆PC鋼より線の断面図である。
本発明に係るアンカーは、ロックボルトまたはグラウンドアンカーが対象である。ロックボルトの場合には、竹節棒鋼やネジ節棒鋼などの各種の異形棒鋼を使用することができる。また、グラウンドアンカーの場合には、PC鋼より線が使用される。これら異形棒鋼やPC鋼より線などの鋼製アンカー材の表面には、溶融亜鉛メッキ、電気亜鉛メッキなどによる一次防錆被覆を予め施しておいてもよい。また、防錆被覆層としては、合成樹脂やセラミックスなどのpH値が12.5以上の強アルカリ性環境下で耐性を有する素材から選択することができるが、被覆作業等を考慮すると合成樹脂が好ましい。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、(ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、)ポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。この中でもポリビニルアセタール樹脂が異形棒鋼などの鋼製アンカー材やセメント硬化体に対する皮膜の密着性に優れるとともに、粉体塗装に適していることなどからして特に好適である。粉体塗装の方法としては、流動浸漬法、静電塗装法、溶射法等が挙げられる。その塗布範囲は、少なくとも定着作業において掘削孔内でセメントミルクと接触する可能性がある部位、すなわち、一般的には頭部側の先端から30cm程度までの部分を除いたすべての表面が対象である。なお、異形棒鋼やPC鋼より線などの鋼製アンカー材の全長に渡って被覆することはもちろん可能である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールとアルデヒドを酸性条件下でアセタール化したもので、ビニルアセタール単位とビニルアルコール単位とビニルエステル単位から構成される三元重合体である。この場合、粉体塗装に適したそれぞれの含有率は、ビニルアセタール単位40〜85モル%、ビニルアルコール単位10〜50モル%、ビニルエステル単位0.1〜30モル%である。さらに好ましくは、ビニルアセタール単位50〜85モル%、ビニルアルコール単位20〜40モル%、ビニルエステル単位0.5〜20モル%である。また、重合度は200〜1700、好適には300〜1300、最適には400〜1000である。なお、ポリビニルアセタールの重合度は、ポリビニルアセタールの原料であるポリビニルアルコールの重合度と同じである。
なお、本発明で使用するポリビニルアセタール樹脂は、炭素数2〜6のアルデヒドでアセタール化されたものが好ましい。斯かるアルデヒドとしては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒドなどが挙げられる。これらは単独で使用する他に、二種以上を併用してもよい。これらの中でも炭素数4〜6のアルデヒド、特にn−ブチルアルデヒドが好適であり、このアルデヒドを使用するポリビニルブチラール樹脂が最適である。以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明するが、もちろんこれらの実施形態に限定されるものではなく、異形棒鋼の形状、防錆被覆層の材質の変更など、本発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
図1ないし図3は、それぞれ本発明に係るアンカーの一実施形態であるロックボルトの正面図、側面図および拡大断面図である。図示のロックボルト1は、図1等に示したように、異形棒鋼2の外周面に一次防錆層としての溶融亜鉛メッキ皮膜3を被覆し、さらにその外側にpH値が12.5以上の強アルカリ性環境下で耐性を有するポリビニルブチラール樹脂被覆層4を二次防錆層として積層した構成である。
上記異形棒鋼2はネジ節棒鋼からなり、ネジ節2aが軸心と平行で軸心に対して対向位置にある2箇所の平坦面2bにより分断され、図2から明らかなように、略小判形状の横断面に形成されたものである。実施形態では、異形棒鋼2の先端側端面が軸心に対して直交する平坦面となっているが、掘削孔への挿入性を考慮して約45度の傾斜面とし、あるいは先端部分にコーン状のキャップを被せるなどしてもよい。この場合、溶融亜鉛メッキ皮膜3は異形棒鋼2の全面(外周面と端面)に渡って設けられているが、亜鉛メッキ処理を施していない異形棒鋼に対してポリビニルブチラール樹脂被覆層4を設けてもよい。
また、ポリビニルブチラール樹脂被覆層4は、図1から明らかなように、異形棒鋼2の頭部側(図では右側)の端面から所定長Lの区間2cの外周面を除いくすべての表面(図では左側に位置する先端側の端面を含む。)に対して連続的に設けられている。すなわち、ポリビニルブチラール樹脂被覆層4で囲まれた部分は、図3に一部を拡大して示したように、定着時にセメントミルクと接触する可能性があるセメント硬化体中への埋没部分にほぼ相当し、上記溶融亜鉛メッキ皮膜3と一体になって、ロックボルト自体で二重防錆構造を形成している。この場合、所定長Lはセメントミルクの硬化等に起因する沈下、あるいは設置条件などを考慮して決定すればよく、一般的には30cm程度である。本実施形態のロックボルト1において、ポリビニルブチラール樹脂被覆層4が存在しない頭部側に近い区間2cは、図4に示した設置状態で空隙部14内に位置するように予め設定されている。すなわち、ロックボルト1の頭部側に近い区間2cは、セメントミルクと接触することがないので、溶融亜鉛メッキ皮膜3のみの一重防錆構造で十分である。なお、ポリビニルブチラール樹脂被覆層4についても溶融亜鉛メッキ皮膜3と同様にその全長に渡って設けることは可能である。
次に、全長に渡り溶融亜鉛メッキ皮膜の外側にポリビニルブチラール樹脂被覆層を設けた二重防錆構造のボルト(以下、「実施例」という。)と、最外周の被覆層を飽和ポリエステル樹脂に代えたもの(以下、「比較例」という。)を対象とし、それぞれ以下の条件で耐アルカリ性試験および付着性試験を行った。
<耐アルカリ性試験>
直径150mm、高さ300mmのモールド缶に上記構成の被覆ボルト(全長350mm)を固定した状態でセメントミルク(普通ポルトランドセメント、W/C50%)を流し込み、2週間の養生を行って十分に硬化させたものを試験体とした。ボルトの固定は、モールド缶の底面から50mm浮かせた位置とした。なお、セメントミルクの硬化中でのpHを測定したところ、12.6であった。そして、所定の養生期間が経過した後、モールド缶から試験体を脱型し、セメント硬化体を割ってボルト表面の腐食状況を観察した。それぞれセメント硬化体の内部に埋没した部分の樹脂被覆層の状態を目視で観察したところ、実施例のボルトではセメント硬化体の接触面付近から剥離したものが被覆層表面全体に付着しているものの、それらを注意深く除去した後の樹脂被覆層には劣化が認められなかった。これに対して、比較例のボルトでは樹脂被覆層の表面に多数の貫通孔が形成され、セメントミルクの強アルカリ成分による浸食が確認された。したがって、両者の間には、防食性に大きな差があった。
<付着性試験>
直径150mm、高さ300mmのモールド缶に上記構成の被覆ボルト(全長350mm)を固定した状態でセメントミルク(普通ポルトランドセメント、W/C50%)を流し込み、2週間の養生を行って十分に硬化させたものを試験体とした。ボルトの固定は、モールド缶の上面から100mm沈めた位置とした。そして、所定の養生期間が経過した後、モールド缶から試験体を脱型し、セメント硬化体を固定した状態でボルトの露出部分を把持して引張試験機により引き抜き、引抜中の状況と引き抜いた後のボルト表面の状態を観察した。その結果、実施例のボルトの引抜力は比較例よりも大幅に高く、引抜後の埋没部分の被覆層表面の状態は、異形棒鋼表面(亜鉛メッキ皮膜)からの剥離個所が全く認められないばかりか、上記のとおりセメント硬化体からの剥離物が被覆層の全面に付着していた。これに対して、比較例ではセメント硬化体が被覆層表面に全く付着することなく抜けた。これらの結果から、実施例で使用したポリビニルブチラール樹脂被覆層が異形棒鋼とセメント硬化体の両方に対して優れた密着性を有することが確認された。
本発明に係るロックボルト1は、図4に示すような使用条件において、ポリビニルブチラール樹脂被覆層4の頭部側の端部が、少なくとも空隙部14の内部に露出するように区間Lを設定すればよい。これにより、セメントミルクの硬化中に内側の亜鉛メッキ皮膜3が浸食されることがなくなり、さらにその硬化後のセメント硬化体13中への埋没部分に亀裂が発生した場合でも、ポリビニルブチラール樹脂被覆層4によって浸透水等と異形棒鋼2との接触を効果的に遮断し、防錆性能が大幅に向上する。さらに、ポリビニルブチラール樹脂被覆層4の良好な密着性は、セメント硬化体13の表面を拘束し、微小亀裂の発生を抑止する効果も期待できる。
図5は、本発明に係るアンカーの別の実施形態であって、引張型のグラウンドアンカーに適用した場合の断面図である。図示のグラウンドアンカー20では、引張材として、pH値が12.5以上の強アルカリ性環境下で耐性を有するポリビニルブチラール樹脂を外周面の全長に渡って被覆したPC鋼より線21が使用されている。被覆PC鋼より線21は、掘削孔Hの奥側部分が、周囲に注入充填されたセメント硬化体22により地盤Gに定着され、定着長部23となっている。一方、定着長部23よりも地表側の部位は、被覆PC鋼より線21の外側に適度な隙間を確保して被せたシース管24により周囲のセメント硬化体22との付着が阻止され、自由長部25となっている。そして、被覆PC鋼より線21は、自由長部25の他端側において、緊張状態でアンカーヘッド26に固定され、緊張力が負荷される。なお、シース管24の定着長部23の端部には、定着長部23に跨るようにして熱収縮チューブ27が被せられ、シース管24の内部への水の浸入を防止している。
図6は、上記実施形態で使用する鋼製アンカー材としての被覆PC鋼より線21の断面図である。被覆PC鋼より線21は、7本のPC鋼線21aを撚り合わせ、その撚りを開かずに各素線21a間の内部空隙と外面全体にポリビニルブチラール樹脂を21bを被覆した構成である。斯かる被覆PC鋼より線21は、上記異形棒鋼の場合と同様にセメントミルク中の強アルカリ成分に浸食されることなく、また定着長部では周囲のセメント硬化体との付着性にも優れる。
以上説明したように、本発明に係るアンカーによれば、ロックボルトやグラウンドアンカーに適用した場合において、鋼製アンカー材の防錆性能の向上により、耐久性を高めることができる。
1,10…ロックボルト、2…異形棒鋼、3…亜鉛メッキ皮膜、4…防錆被覆層、11…掘削孔、12…傾斜面、13…セメント硬化体、14…空隙部、20…グラウンドアンカー、21:被覆PC鋼より線、21a…PC鋼線、21b:防錆被覆層、22:セメント硬化体、23:定着長部、25:自由長部、G:地盤、H:掘削孔

Claims (5)

  1. セメントミルクを介して削孔内に定着する異形棒鋼などの鋼製アンカー材からなるアンカーにおいて、前記鋼製アンカー材のセメントミルク層内に埋没する部分の表面に、pH12.5以上の強アルカリ性環境下で耐性を有する防錆被覆層を設けたことを特徴とするアンカー。
  2. 前記防錆被覆層が、鋼製アンカー材の全長に渡って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー。
  3. 前記防錆被覆層が、亜鉛メッキされた鋼製アンカー材の表面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のアンカー。
  4. 前記防錆被覆層が、ポリビニルアセタール樹脂からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のアンカー。
  5. 前記防錆被覆層が、ポリビニルブチラール樹脂からなることを特徴とする請求項4に記載のアンカー。
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