JP2011140677A - シリコーンゴム表面への金属固定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ケイ素を含有させたシリコーンゴムの表面を、チオール基あるいはポリスルフィド基を含有するシランカップリング剤で処理した後、あるいは、シリコーンゴムの表面をシランカップリング剤で処理し、次いで、シラン化合物により処理し、その後、チオール基あるいはポリスルフィド基を含有するシランカップリング剤で処理した後、金属化合物を接触させ、この金属化合物を構成する金属が還元されて生成した金属粒子を固定するようにした。
【選択図】 なし
Description
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、シリコーンゴムの表面への無電解めっきの前工程を簡便とし、あるいは、無電解めっきを介さずに直接電解めっきによりシリコーンゴムの表面への導電性付与を可能とするためのシリコーンゴム表面への金属の固定方法を提供することを目的とする。
X3-mMemSi−R−Y … 化学構造式(1)
(m=0,1、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基、Yはチオール(メルカプト)基)
X3-mMemSi−R−Sn−R−SiMemX3-m … 化学構造式(2)
(m=0,1、n=2〜8の整数、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基)
本発明の他の態様として、前記シランカップリング剤で処理する前に、シリコーンゴムの表面をシラン化合物で処理するような構成とした。
X3-mMemSi−R−Y … 化学構造式(1)
(m=0,1、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基、Yはチオール(メルカプト)基)
X3-mMemSi−R−Sn−R−SiMemX3-m … 化学構造式(2)
(m=0,1、n=2〜8の整数、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基)
[第1の実施形態]
本発明では、シリコーンゴムにケイ素を含有させ、このシリコーンゴムの表面をシランカップリング剤で処理し、その後、金属化合物を接触させ、この金属化合物を構成する金属が還元されて生成した金属粒子を固定するものである。シランカップリング剤によるシリコーンゴムの表面処理は、例えば、シランカップリング剤への浸漬、あるいは、シランカップリング剤の塗布、噴霧等により行うことができる。また、金属化合物の接触は、金属化合物の溶液にシリコーンゴムを浸漬したり、金属化合物の溶液を塗布、噴霧することにより行うことができる。
X3-mMemSi−R−Y … 化学構造式(1)
(m=0,1、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基、Yはチオール(メルカプト)基)
X3-mMemSi−R−Sn−R−SiMemX3-m … 化学構造式(2)
(m=0,1、n=2〜8の整数、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基)
チオール(メルカプト)基、あるいは、ポリスルフィド基を含有する上記のシランカップリング剤でシリコーンゴムの表面を処理すると、通常、有機官能性基であるチオール基やポリスルフィド基とシリコーンゴムが反応し、表面に加水分解性基(メトキシ等のアルコキシ基)が出てしまい、金属粒子が結合し難い状態となる。図1はこのようなシリコーンゴムの表面状態を説明するための図であり、有機官能性基としてチオール基を有するシランカップリング剤を用いた場合を示している。しかし、本発明では、予めシリコーンゴムにケイ素を含有させることにより、図2に示されるように、このケイ素とシランカップリング剤の加水分解性基とを反応させ、有機官能性基であるチオール基(あるいは、ポリスルフィド基)を表面に露出させることができる。そして、シランカップリング剤で処理した後、金属化合物を接触させることにより、金属化合物を構成する金属が還元されて微細な金属粒子(平均粒径0.1〜1000nm程度)となり、チオール基、あるいは、ポリスルフィド基に結合して固定される。尚、金属化合物を使用せず、シランカップリング剤による処理面に金属粉末(例えば、平均粒径2〜100μm程度)を金属コロイド等の状態で接触させた場合、金属固定は著しく低下する。
本発明では、シリコーンゴムの表面をシランカップリング剤で処理し、次いで、シラン化合物により処理し、その後、下記の化学構造式(1)あるいは化学構造式(2)で示される所定のシランカップリング剤で処理した後、金属化合物を接触させて、この金属化合物を構成する金属が還元されて生成した金属粒子を固定するものである。
X3-mMemSi−R−Y … 化学構造式(1)
(m=0,1、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基、Yはチオール(メルカプト)基)
X3-mMemSi−R−Sn−R−SiMemX3-m … 化学構造式(2)
(m=0,1、n=2〜8の整数、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基)
最初のシランカップリング剤によるシリコーンゴムの表面処理に使用するシランカップリング剤としては、特に制限はなく、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(p−ビニルベンジル)−N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン・塩酸塩40%メタノール溶液、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン等を挙げることができる。また、後工程の処理に使用する上記の化学構造式(1)あるいは化学構造式(2)で示されるシランカップリング剤も使用することができる。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[実施例1]
二酸化ケイ素換算でシリコーンゴム100重量部に対して40重量部となるようにケイ素(二酸化ケイ素)を予め含有させたシリコーンゴムを準備した。
次に、シリコーンゴムを上記化学構造式(1)に該当する下記組成のシランカップリング剤(液温20℃)に5分間浸漬し、引き上げた後、熱処理(150℃、10分間)し、水洗した。
(シランカップリング剤の組成)
・3−メルカプトプロピルメトキシシラン … 0.1重量部
・アセトン … 10重量部
(金属化合物水溶液の組成)
・酢酸パラジウム(II) … 0.1重量部
・0.1規定アンモニア水 … 5重量部
・メタノール … 50重量部
また、パラジウムを固定したシリコーンゴムを超音波洗浄機に60分間浸漬した後の表面状態を上記と同様に観察した結果、パラジウム粒子の脱落はほとんど見られず、パラジウム粒子の固定が強固であることが確認された。
さらに、パラジウムを固定したシリコーンゴムの表面に、無電解銅めっき液(ムロマチテクノス社製 MK−430)を用いて無電解銅めっきを行った結果、銅めっき層が均一に形成されていることを確認した。
シリコーンゴムを下記組成のシランカップリング剤(液温20℃)に5分間浸漬し、引き上げた後、熱処理(150℃、10分間)し、水洗した。
(シランカップリング剤の組成)
・3−アミノプロピルトリメトキシシラン … 0.1重量部
・アセトン … 10重量部
(シラン化合物溶液の組成)
・テトラエトキシシラン … 0.5重量部
・アセトン … 10重量部
次いで、シリコーンゴムを、上記化学構造式(1)に該当する下記組成のシランカップリング剤(液温20℃)に5分間浸漬し、引き上げた後、熱処理(150℃、10分間)し、水洗した。
(シランカップリング剤の組成)
・3−メルカプトプロピルメトキシシラン … 0.1重量部
・アセトン … 10重量部
(金属化合物水溶液の組成)
・酢酸パラジウム(II) … 0.1重量部
・0.1規定アンモニア水 … 5重量部
・メタノール … 50重量部
また、パラジウムを固定したシリコーンゴムを超音波洗浄機に60分間浸漬した後の表面状態を上記と同様に観察した結果、パラジウム粒子の脱落はほとんど見られず、パラジウム粒子の固定が強固であることが確認された。
さらに、パラジウムを固定したシリコーンゴムの表面に、無電解銅めっき液(ムロマチテクノス社製 MK−430)を用いて無電解銅めっきを行った結果、銅めっき層が均一に形成されていることを確認した。
金属化合物水溶液として下記組成の金属化合物水溶液を使用した他は、実施例1と同様にして、ケイ素含有のシリコーンゴムの表面に金を固定した。
(金属化合物水溶液の組成)
・テトラクロロ金(III)酸四水和物 … 50重量部
・クエン酸ナトリウム … 200重量部
・水 … 50000重量部
また、金を固定したシリコーンゴムを超音波洗浄機に60分間浸漬した後の表面状態を上記と同様に観察した結果、金粒子の脱落はほとんど見られず、金粒子の固定が強固であることが確認された。
金属化合物水溶液として下記組成の金属化合物水溶液を使用した他は、実施例2と同様にして、シリコーンゴムの表面に金を固定した。
(金属化合物水溶液の組成)
・テトラクロロ金(III)酸四水和物 … 50重量部
・クエン酸ナトリウム … 200重量部
・水 … 50000重量部
また、金を固定したシリコーンゴムを超音波洗浄機に60分間浸漬した後の表面状態を上記と同様に観察した結果、金粒子の脱落はほとんど見られず、金粒子の固定が強固であることが確認された。
シリコーンゴムにケイ素(二酸化ケイ素)を含有させない他は、実施例1と同様にして、パラジウムの固定を行った。
しかし、シリコーンゴムの表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、痕跡程度のパラジウムが存在するのみであり、パラジウムの固定が行われていないことが確認された。
金属化合物水溶液に代えて、平均粒径が5μmであるパラジウム粉末のコロイド溶液を使用した他は、実施例1と同様にして、ケイ素含有のシリコーンゴムの表面へのパラジウムの固定を行った。
しかし、シリコーンゴムの表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、痕跡程度のパラジウムが存在するのみであり、パラジウムの固定が行われていないことが確認された。
Claims (5)
- シリコーンゴムにケイ素を含有させ、該シリコーンゴムの表面を下記の化学構造式(1)あるいは化学構造式(2)で示されるシランカップリング剤で処理し、その後、金属化合物を接触させて該金属化合物を構成する金属が還元されて生成した金属粒子を固定することを特徴とするシリコーンゴム表面への金属固定方法。
X3-mMemSi−R−Y … 化学構造式(1)
(m=0,1、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基、Yはチオール(メルカプト)基)
X3-mMemSi−R−Sn−R−SiMemX3-m … 化学構造式(2)
(m=0,1、n=2〜8の整数、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基) - シリコーンゴムに含有させるケイ素量は、二酸化ケイ素換算でシリコーンゴム100重量部に対して0.5〜100重量部の範囲となるようにケイ素を含有させることを特徴とする請求項1に記載のシリコーンゴム表面への金属固定方法。
- 前記シランカップリング剤で処理する前に、シリコーンゴムの表面をシラン化合物で処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコーンゴム表面への金属固定方法。
- シリコーンゴムの表面をシランカップリング剤で処理し、次いで、シラン化合物により処理し、その後、下記の化学構造式(1)あるいは化学構造式(2)で示されるシランカップリング剤で処理した後、金属化合物を接触させて該金属化合物を構成する金属が還元されて生成した金属粒子を固定することを特徴とするシリコーンゴム表面への金属固定方法。
X3-mMemSi−R−Y … 化学構造式(1)
(m=0,1、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基、Yはチオール(メルカプト)基)
X3-mMemSi−R−Sn−R−SiMemX3-m … 化学構造式(2)
(m=0,1、n=2〜8の整数、Xはアルコキシ基である加水分解性基、Meはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基) - 前記金属化合物を構成する金属は、金またはパラジウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシリコーンゴム表面への金属固定方法。
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JPH04228503A (ja) * | 1990-04-27 | 1992-08-18 | Pentel Kk | 金属被覆粉体及びその製造方法 |
JP2008156702A (ja) * | 2006-12-22 | 2008-07-10 | Fujitsu Ltd | 樹脂筐体及びその製造方法 |
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