JP2011140241A - アクチュエータユニット及びインクジェット式記録ヘッド - Google Patents

アクチュエータユニット及びインクジェット式記録ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】端子列の数の増加を極力抑えながらノズル開口列の数を増加させることができるインクジェット式記録ヘッドを提供する。
【解決手段】複数のノズル開口に連通する複数の圧力室6が少なくとも3列に形成された圧力室形成基板7と、複数の圧力室6の上面開口を封止するように圧力室形成基板7上に形成された弾性膜と、複数の圧力室6に対応して弾性膜上に形成された複数のアクチュエータ60と、複数のアクチュエータ60に接続される複数の端子20、21から成る複数の端子列22と、を備える。複数のアクチュエータ60は、弾性膜上に形成された下部電極膜と、下部電極膜上に形成された複数の圧電体膜と、複数の圧電体膜上に形成された複数の上部電極膜と、を有する。複数の端子列22のうちの少なくとも1列には、複数列のアクチュエータ60のうちの少なくとも2列が接続されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、アクチュエータユニット及び同ユニットを備えたインクジェット式記録ヘッドに係わり、特に、圧力室の一部を構成する弾性膜を圧電体膜の変位により振動させ、これにより圧力室内のインクの圧力を変化させてノズル開口からインク滴を吐出させるアクチュエータユニット及びインクジェット式記録ヘッドに関する。
一般に、圧力発生手段によって圧力室内のインクを加圧してノズルプレートのノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドとして、軸方向に伸縮する縦振動モードの圧電振動子を圧力発生手段として利用するものと、たわみ振動モードの圧電振動子を圧力発生手段として利用するものとがある。
前者は、圧電振動子の端面を弾性板に当接させて圧電振動子の伸縮動作により圧力室の容積を変化させるものであり、高密度印刷に適した記録ヘッドの製作が可能である反面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電振動子を圧力室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で弾性膜に圧電振動子(圧電体膜)を作りつけることができる。
図13及び図14は、たわみ振動モードの圧電振動子(圧電体膜)を備えた従来のインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの平面図及び透視図である。このアクチュエータユニットは、互いに対向する一対の縁部に、複数の端子100、101から成る一対の端子列102を備えている。端子100は互いに分離されたセグメント端子であり、端子101はコモン端子である。また、このアクチュエータユニットは、後述する連通孔形成基板105(図15(a))を備えており、この連通孔形成基板105は、複数のノズル開口に連通するノズル連通孔103を列状に配置して成るノズル連通孔列104を2列備えている。
図15及び図16は、図13及び図14に示したアクチュエータユニットの各層を示した図である。図15(a)は連通孔形成基板105を示し、図15(b)は圧力室形成基板106を示している。連通孔形成基板105には複数のノズル開口に連通する複数のノズル連通孔103が2列形成されており、また、リザーバに連通する複数のリザーバ連通孔108が2列形成されている。
圧力室形成基板106には、ノズル連通孔103及びリザーバ連通孔108に連通する複数の圧力室109がノズル連通孔103及びリザーバ連通孔108の各列に対応して2列形成されている。図15(c)に示したように圧力室形成基板106の上面には弾性膜110が形成されており、この弾性膜110によって複数の圧力室109の上面開口が封止されている。弾性膜110の上面には、図15(d)に示したように圧力室形成基板106の対向する両縁部に端子形成用の台座部111が形成されている。
さらに、図16(a)に示したように弾性膜110の上面及び台座部111の上面には、複数の圧力室109の上方を通るようにして所定のパターンにて一対の下部電極膜112が、白金等の導電材料を用いた印刷工程によって形成されている。なお、図16(a)において符号113は次述する複数の圧電体膜114の一部を支持する台座部である。
図16(b)に示したように、下部電極膜112の上面には、複数の圧力室109に対応して複数の圧電体膜114が印刷工程にて形成されている。複数の圧電体膜114の上面には、図16(c)に示したように複数の上部電極膜115が形成されている。
図16(d)に示したように、各上部電極膜115に接続するようにして各セグメント端子100が台座部111上に形成されている。また、台座部111上には下部電極膜112に接続されたコモン端子101も形成されており、圧力室109の各列の両端に位置するコモン端子101同士の間は端子延長部116によって連結されている。なお、コモン端子101に対応する位置にある上部電極膜115は端子延長部116で覆われており、この位置にある圧力室109は使用されない。
上述したように従来の記録ヘッドにおいては、1つのアクチュエータユニットあたりに複数の圧力室109を2列配置して、2列のノズル開口列からインク滴を吐出するように構成されている。
ところが、上述した従来の記録ヘッドでは3列以上のノズル開口列を形成することが困難であった。つまり、図13乃至図16に示したアクチュエータユニットの構成を単純に2つ組み合わせてノズル開口列を4列にすると、それと同時に端子列102も4列になってしまうために、記録ヘッドの実装工程の際の端子列102への配線が困難となってしまう。
本発明は、上述した事情を考慮して成されたものであって、その目的とするところは、端子列の数の増加を極力抑えながらノズル開口列の数を増加させることができるインクジェット式記録ヘッドを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によるインクジェット式記録ヘッドは、複数のノズル開口に連通する複数の圧力室が少なくとも3列に形成された圧力室形成基板と、前記複数の圧力室の上面開口を封止するようにして前記圧力室形成基板上に形成された弾性膜と、前記複数の圧力室に対応して前記弾性膜上に形成された複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータに接続される複数の端子から成る複数の端子列と、を備え、前記複数のアクチュエータは、前記複数の圧力室の上方を通るようにして前記弾性膜上に形成された下部電極膜と、前記複数の圧力室に対応して前記下部電極膜上に形成された複数の圧電体膜と、前記複数の圧電体膜上に形成された複数の上部電極膜と、を有し、前記複数の端子列のうちの少なくとも1列には、複数列の前記アクチュエータのうちの少なくとも2列が接続されていることを特徴とする。
また、好ましくは、前記複数の端子列は前記圧力室形成基板の互いに対向する一対の縁部に形成されている。
また、好ましくは、少なくとも1列の前記端子列に接続された複数列の前記アクチュエータのうち、接続先の前記端子列から遠い側の列に属する前記アクチュエータは、接続先の前記端子列と前記上部電極とを接続するための連絡導線をさらに有し、前記連絡導線は、前記下部電極膜と同一平面上に形成されると共に、接続先の前記端子列に近い側の列に属する前記アクチュエータ同士の間を通って延設されている。
また、好ましくは、前記連絡導線は、前記下部電極膜を形成する際に同時に形成されたものである。
また、好ましくは、前記連絡導線の線幅は、前記圧力室間の隔壁の幅よりも狭い。
また、好ましくは、少なくとも1列の前記端子列に接続された複数列の前記アクチュエータは、接続先の前記端子列に近い側の列と遠い側の列に属する前記アクチュエータのそれぞれが互い違いになるように配置されている。
また、好ましくは、少なくとも1列の前記端子列に接続された複数列の前記アクチュエータのうち、接続先の前記端子列に近い側の列に属する前記アクチュエータから延びる前記下部電極膜の一部は、前記少なくとも1列の端子列から遠い側の列に属する前記アクチュエータ同士の間を通って延設されている。
また、好ましくは、前記下部電極膜の一部の線幅は、前記圧力室間の隔壁の幅よりも狭い。
また、好ましくは、前記複数の端子列のうちの少なくとも1列は、前記アクチュエータの列同士の間に配置されると共にその両側に位置する一対の前記アクチュエータの列の両方が接続されている。
また、好ましくは、前記複数の端子列のすべてが、前記アクチュエータの列同士の間に配置されると共にその両側に位置する一対の前記アクチュエータの列の両方に接続されている。
また、好ましくは、前記複数の端子列は、前記圧力室形成基板の互いに対向する一対の縁部に形成された一対の端子列と、前記一対の端子列の間に配置された中央の端子列とから成り、前記中央の端子列の両側に位置する一対の前記アクチュエータの列の両方が前記中央の端子列に接続されている。
また、好ましくは、共通の前記端子列に接続された一対の前記アクチュエータの列に属する複数の前記アクチュエータは、共通の前記端子列の一方の側の列に属する前記アクチュエータと他方の側の列に属する前記アクチュエータとが互い違いになるように配置されている。
また、好ましくは、前記下部電極膜は、隣接する前記アクチュエータの列同士の間で連続的に形成されている。
また、好ましくは、前記複数の圧力室が4列に形成されている。
本発明によるインクジェット式記録ヘッドは、上述したいずれかのアクチュエータユニットと、前記複数のノズル開口が形成されたノズルプレートと、を備えたことを特徴とする。
本発明の第1実施形態によるインクジェット式記録ヘッドにおける1つのアクチュエータ及びその周辺を拡大して示した縦断面図。 本発明の第1実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの平面図。 本発明の第1実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの透視図。 本発明の第1実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのノズル開口の配列を示した平面図。 本発明の第1実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの各層を示した平面図。 本発明の第1実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの各層を示した平面図。 本発明の第2実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの平面図。 本発明の第2実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの透視図。 本発明の第2実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの各層を示した平面図。 本発明の第2実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの各層を示した平面図。 本発明の第3実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの平面図。 本発明の第3実施形態によるインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの透視図。 従来のインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの平面図。 従来のインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの透視図。 従来のインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの各層を示した平面図。 従来のインクジェット式記録ヘッドのアクチュエータユニットの各層を示した平面図。
以下、本発明の第1実施形態によるインクジェット式記録ヘッドについて図1乃至図6を参照して説明する。
図1は本実施形態による記録ヘッドにおける1つのアクチュエータ及びその周辺を拡大して示した縦断面図であり、図1に示したようにこの記録ヘッドは、ノズル開口1を有するノズルプレート2と、このノズルプレート2に積層された流路形成基板3と、この流路形成基板3に積層された供給口形成基板17と、この供給口形成基板17に積層されたアクチュエータユニット5とを備えている。
アクチュエータユニット5は、圧力室6が形成された圧力室形成基板7を有し、この圧力室形成基板7の上面には弾性膜8が形成されている。弾性膜8の上面には下部電極膜9及び連絡導線10が所定のパターンにて形成されており、下部電極膜9の上面には圧電体膜11が形成されている。圧電体膜11の上面には複数の上部電極膜12が各圧力室6に対応して形成されており、この上部電極膜12は連絡導線10の一端に接続されている。1つの圧電体膜11、1つの上部電極膜12及びそれに対応する部分の下部電極膜9によって1つのアクチュエータ60が構成される。アクチュエータユニット5の一部を構成する連通孔形成基板4には、複数のノズル連通孔13及び複数のリザーバ連通孔14が形成されている。
供給口形成基板17には、ノズル連通孔13に連通する第2のノズル連通孔18と、リザーバ連通孔14に連通するインク供給口19とが形成されている。流路形成基板3には、ノズル開口1及び第2のノズル連通孔18に連通する接続孔15と、インク供給口19に連通するリザーバ16が形成されている。リザーバ16には、複数の圧力室6に供給されるインクが貯留されている。なお、圧力室6からノズル開口1に連通するノズル連通孔13と、リザーバ16に連通するリザーバ連通孔14とは、2つある孔のうちどちらかがそれぞれの役目を果たせば良い。
図2及び図3は、本実施形態による記録ヘッドのアクチュエータユニット5の平面図及び透視図である。このアクチュエータユニット5は、互いに対向する一対の縁部に、複数の端子20、21から成る一対の端子列22を備えている。端子20は互いに分離されたセグメント端子であり、端子21はコモン端子である。
また、この連通孔形成基板4には、複数のノズル開口1に連通する複数のノズル連通孔13が合計4列形成されている。つまり、本実施形態による記録ヘッドは、図4に示したように複数のノズル開口1から成るノズル開口列23を、1つのアクチュエータユニット5あたり4列備えている。
図2乃至図4から分かるように、端子列22に近い側の列に属するアクチュエータ60と、端子列22から遠い側の列に属するアクチュエータ60のそれぞれが互い違いに配置されている。
図5及び図6は、アクチュエータユニット5の各層を示した図である。図5(a)は連通孔形成基板4を示し、図5(b)は連通孔形成基板4に積層される圧力室形成基板7を示している。連通孔形成基板4には、4列のノズル開口1に対応して4列のノズル連通孔13が形成されており、ノズル連通孔13に対応して4列のリザーバ連通孔14が形成されている。
一方、圧力室形成基板7には、ノズル連通孔13及びリザーバ連通孔14に連通する複数の圧力室6が、ノズル連通孔13及びリザーバ連通孔14の各列に対応して4列形成されている。図5(c)に示したように圧力室形成基板7の上面には弾性膜(振動板)8が形成されており、この弾性膜8によって複数の圧力室6の上面開口が封止されている。弾性膜8の上面には、図5(d)に示したようにアクチュエータユニット5の両縁部に端子形成用の台座部24が形成されている。
さらに、図6(a)に示したように弾性膜8の上面及び台座部24の上面には、複数の圧力室6の上方を通るようにして所定のパターンにて一対の下部電極膜9が、白金等の導電材料を用いた印刷工程にて形成されている。なお、図6(a)において符号25は複数の圧電体膜11の一部を支持する台座部である。
また、弾性膜8の上面には、下部電極膜9に加えて連絡導線10も形成されており、連絡導線10及び下部電極膜9は白金等の導電材料を用いた同時印刷にて形成される。連絡導線10は、外側の列に属するアクチュエータ60の合間をぬって延設されており、その一端は台座部24に接続され、他端は内側の列に属するアクチュエータ60の近傍に位置している。連絡導線10の線幅は、圧力室6間の隔壁の幅よりも狭くなっている。連絡導線10及び下部電極膜9を同時印刷で形成することにより、2度に分けて印刷する場合に生じるマスクの位置合わせの問題を回避することができる。
図6(b)に示したように、下部電極膜9の上面には、複数の圧力室6に対応して複数の圧電体膜11が印刷工程にて形成されている。複数の圧電体膜11の上面には、図6(c)に示したように複数の上部電極膜12が形成されている。
ここで、圧電体膜11及び上部電極膜12を形成する前に連絡導線10が形成されているので、圧電体膜11同士の合間をぬって連絡導線10を形成するというような困難な作業を回避することができる。
図6(d)に示したように、台座部24上には複数のセグメント端子20が形成されており、外側の列に属するアクチュエータ60の上部電極膜12に対してはセグメント端子20が直接接続されている。一方、内側の列に属するアクチュエータ60の上部電極膜12に対しては連絡導線10にセグメント端子20が接続されており、これによりセグメント端子20と上部電極膜12とが電気的に接続されている。
また、台座部24上には下部電極膜9に接続されたコモン端子21が両端に形成されており、コモン端子21同士の間は端子延長部26によって連結されている。なお、コモン端子21に対応する位置にある上部電極膜12は端子延長部26で覆われており、この位置にある圧力室6は使用されない。
図6(d)から分かるように、1列の端子列22に対して2列のアクチュエータ列が接続されており、このため、アクチュエータ60を4列備えるにもかかわらず、端子列22を2列とすることができる。
以上述べたように本実施形態によるインクジェット式記録ヘッドによれば、1列の端子列22に対して2列のアクチュエータ60を接続するようにしたので、4列のアクチュエータ60に対して2列の端子列22で対応することが可能であり、このため、従来は1つのアクチュエータユニットあたり2列であったノズル開口列を4列にしたにもかかわらず、記録ヘッドの実装工程の際の端子列22への配線が困難となることがない。
また、本実施形態によれば、各端子列22がアクチュエータユニット5の縁部に配置されているので、端子列22へのテープキャリアパッケージ(TCP)等の接続が容易である。
次に、本発明の第2実施形態によるインクジェット式記録ヘッドについて図7乃至図10を参照して説明する。
図7及び図8は、本実施形態による記録ヘッドのアクチュエータユニット35の平面図及び透視図である。このアクチュエータユニット35は、互いに対向する一対の縁部に、複数の端子50、51から成る一対の端子列52を備えると共に、内側2列のアクチュエータ70同士の間に中央の端子列52を1列備えている。端子50は互いに分離されたセグメント端子であり、端子51はコモン端子である。
図9(a)は連通孔形成基板34を示し、この連通孔形成基板34には、複数のノズル開口に連通する複数のノズル連通孔43が合計4列形成されている。つまり、本実施形態による記録ヘッドは、上述した第1実施形態と同様に複数のノズル開口から成るノズル開口列を合計4列備えている。
図7及び図8から分かるように、外側の列に属するアクチュエータ70とそれに隣接する内側の列に属するアクチュエータ70とは互いに整合する位置に配置されており、一方、内側2列に属するアクチュエータ70は互い違いに配置されている。
図9及び図10は、アクチュエータユニット35の各層を示した図である。図9(a)は連通孔形成基板34を示し、図9(b)は連通孔形成基板34に積層される圧力室形成基板37を示している。連通孔形成基板34には、4列のノズル開口に対応して4列のノズル連通孔43が形成されており、ノズル連通孔43に対応して4列のリザーバ連通孔44が形成されている。
圧力室形成基板37には、ノズル連通孔43及びリザーバ連通孔44に連通する複数の圧力室36が、ノズル連通孔43及びリザーバ連通孔44の各列に対応して4列形成されている。図9(c)に示したように圧力室形成基板37の上面には弾性膜(振動板)38が形成されており、この弾性膜38によって複数の圧力室36の上面開口が封止されている。弾性膜38の上面には、図9(d)に示したようにアクチュエータユニット35の両縁部及び中央部に端子形成用の台座部54が形成されている。
さらに、図10(a)に示したように弾性膜38の上面及び台座部54の上面には、複数の圧力室36の上方を通るようにして所定のパターンにて一対の下部電極膜39が、白金等の導電材料を用いた印刷工程にて形成されている。各下部電極膜39は、隣接する一対のアクチュエータ列同士の間で共用されている。なお、図10(a)において符号55は複数の圧電体膜51の一部を支持する台座部である。
図10(b)に示したように、下部電極膜39の上面には、複数の圧力室36に対応して複数の圧電体膜41が印刷工程にて形成されている。複数の圧電体膜41の上面には、図10(c)に示したように複数の上部電極膜42が形成されている。
図10(d)に示したように、3列の台座部54上には複数のセグメント端子50が形成されており、中央に位置する複数のセグメント端子50は1列状を成している。また、台座部54上には下部電極膜39に接続されたコモン端子51が両端に形成されており、外側の列とそれに隣接する内側の列に属するアクチュエータ70の4つのコモン端子51は、略H状の端子延長部56によって連結されている。なお、コモン端子51に対応する位置にある上部電極膜42は端子延長部56で覆われており、この位置にある圧力室36は使用されない。
図10(d)から分かるように、中央の1列の端子列52に対して2列のアクチュエータ70が接続されており、このため、アクチュエータ70を4列備えるにもかかわらず、端子列52を合計3列とすることができる。
以上述べたように本実施形態によるインクジェット式記録ヘッドによれば、中央の1列の端子列52に対して2列のアクチュエータ70を接続するようにしたので、4列のアクチュエータ70に対して合計3列の端子列52で対応することが可能であり、このため、従来は1つのアクチュエータユニットあたり2列であったノズル開口列を4列にしたにもかかわらず、記録ヘッドを組み立てる際の端子列52への配線が困難となることを極力抑えることができる。
次に、本発明の第3実施形態によるインクジェット式記録ヘッドについて図11及び図12を参照して説明する。なお、本実施形態による記録ヘッドも、上述した第1及び第2実施形態と同様に複数のノズル開口から成るノズル開口列を合計4列備えている。
図11及び図12は、本実施形態による記録ヘッドのアクチュエータユニット75の平面図及び透視図である。このアクチュエータユニット75は、複数の端子80、81から成る一対の一対の端子列82を備えており、各端子列82は、外側の各列のアクチュエータ90と内側の各列のアクチュエータ90との間にそれぞれ配置されている。隣り合う列に属するアクチュエータ90同士は互い違いに配設されている。
端子80は互いに分離されたセグメント端子であり、端子81はコモン端子である。コモン端子81同士は、端子延長部86によって互いに連結されている。
図12において符号83はノズル連通孔を示し、符号84はリザーバ連通孔を示し、符号76は圧力室を示している。図11及び図12から分かるように、本実施形態においては、圧力室76間の隔壁の上の部分、つまり共通の列に属するアクチュエータ90同士の間の部分には配線がなされていない。
以上述べたように本実施形態によるインクジェット式記録ヘッドによれば、一対の端子列82のそれぞれに対して各2列のアクチュエータ90を接続するようにしたので、4列のアクチュエータ90に対して合計2列の端子列82で対応することが可能であり、このため、従来は1つのアクチュエータユニットあたり2列であったノズル開口列を4列にしたにもかかわらず、記録ヘッドを組み立てる際の端子列82への配線が困難となることを極力抑えることができる。
また、本実施形態によれば、共通の列に属するアクチュエータ90同士の間には配線がなされていないので、配線のはみ出しによるアクチュエータ90間のショートやアクチュエータ90の変形阻害の可能性が排除され、配線作業の容易化を図ることができる。
(発明の効果)
以上述べたように本発明によれば、1列の端子列に対して複数列のアクチュエータを接続するようにしたので、従来2列のノズル開口列を3列以上にした場合でも、端子列の数の増加を抑えることが可能であり、このため、記録ヘッドの実装工程の際の端子列への配線が困難となることがない。
1…ノズル開口、2…ノズルプレート、3…流路形成基板、4,34…連通孔形成基板、5,35,75…アクチュエータユニット、6,36,76…圧力室、7,37…圧力室形成基板、8,38…弾性膜、9,39…下部電極膜、10…連絡導線、11,41…圧電体膜、12,42…上部電極膜、13,43…ノズル連通孔、14,44,84…リザーバ連通孔、15…接続孔、16…リザーバ、17…供給口形成基板、18…第2のノズル連通孔、19…インク供給口、20,50…端子(セグメント端子)、21,51…端子(コモン端子)、22,52…端子列、23…ノズル開口列、26,56,86…端子延長部、60,70,90…アクチュエータ。

Claims (15)

  1. 複数のノズル開口に連通する複数の圧力室が少なくとも3列に形成された圧力室形成基板と、
    前記複数の圧力室の上面開口を封止するようにして前記圧力室形成基板上に形成された弾性膜と、
    前記複数の圧力室に対応して前記弾性膜上に形成された複数のアクチュエータと、
    前記複数のアクチュエータに接続される複数の端子から成る複数の端子列と、を備え、
    前記複数のアクチュエータは、前記複数の圧力室の上方を通るようにして前記弾性膜上に形成された下部電極膜と、前記複数の圧力室に対応して前記下部電極膜上に形成された複数の圧電体膜と、前記複数の圧電体膜上に形成された複数の上部電極膜と、を有し、
    前記複数の端子列のうちの少なくとも1列には、複数列の前記アクチュエータのうちの少なくとも2列が接続されていることを特徴とするアクチュエータユニット。
  2. 前記複数の端子列は前記圧力室形成基板の互いに対向する一対の縁部に形成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット式記録ヘッド。
  3. 少なくとも1列の前記端子列に接続された複数列の前記アクチュエータのうち、接続先の前記端子列から遠い側の列に属する前記アクチュエータは、接続先の前記端子列と前記上部電極とを接続するための連絡導線をさらに有し、前記連絡導線は、前記下部電極膜と同一平面上に形成されると共に、接続先の前記端子列に近い側の列に属する前記アクチュエータ同士の間を通って延設されていることを特徴とする請求項2記載のアクチュエータユニット。
  4. 前記連絡導線は、前記下部電極膜を形成する際に同時に形成されたものであることを特徴とする請求項3記載のアクチュエータユニット。
  5. 前記連絡導線の線幅は、前記圧力室間の隔壁の幅よりも狭いことを特徴とする請求項3又は4に記載のアクチュエータユニット。
  6. 少なくとも1列の前記端子列に接続された複数列の前記アクチュエータは、接続先の前記端子列に近い側の列と遠い側の列に属する前記アクチュエータのそれぞれが互い違いになるように配置されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載のアクチュエータユニット。
  7. 少なくとも1列の前記端子列に接続された複数列の前記アクチュエータのうち、接続先の前記端子列に近い側の列に属する前記アクチュエータから延びる前記下部電極膜の一部は、前記少なくとも1列の端子列から遠い側の列に属する前記アクチュエータ同士の間を通って延設されていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のアクチュエータユニット。
  8. 前記下部電極膜の一部の線幅は、前記圧力室間の隔壁の幅よりも狭いことを特徴とする請求項7記載のアクチュエータユニット。
  9. 前記複数の端子列のうちの少なくとも1列は、前記アクチュエータの列同士の間に配置されると共にその両側に位置する一対の前記アクチュエータの列の両方が接続されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータユニット。
  10. 前記複数の端子列のすべてが、前記アクチュエータの列同士の間に配置されると共にその両側に位置する一対の前記アクチュエータの列の両方に接続されていることを特徴とする請求項9記載のアクチュエータユニット。
  11. 前記複数の端子列は、前記圧力室形成基板の互いに対向する一対の縁部に形成された一対の端子列と、前記一対の端子列の間に配置された中央の端子列とから成り、前記中央の端子列の両側に位置する一対の前記アクチュエータの列の両方が前記中央の端子列に接続されていることを特徴とする請求項9記載のアクチュエータユニット。
  12. 共通の前記端子列に接続された一対の前記アクチュエータの列に属する複数の前記アクチュエータは、共通の前記端子列の一方の側の列に属する前記アクチュエータと他方の側の列に属する前記アクチュエータとが互い違いになるように配置されていることを特徴とする請求項10又は11に記載のアクチュエータユニット。
  13. 前記下部電極膜は、隣接する前記アクチュエータの列同士の間で連続的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のアクチュエータユニット。
  14. 前記複数の圧力室が4列に形成されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のアクチュエータユニット。
  15. 請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のアクチュエータユニットと、
    前記複数のノズル開口が形成されたノズルプレートと、を備えたことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
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