JP2011138670A - 走査型電子顕微鏡 - Google Patents

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孝志 岩崎
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正司 和田
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Abstract

【課題】偏向信号に歪みが生じても、その取得された観察画像の精度を保障する走査型電子顕微鏡を提供する。
【解決手段】走査型電子顕微鏡10において、画像切出部19より、電子線13を偏向する偏向信号s4,s5の電圧値若しくは電流値を輝度として切り出した偏向画像21,23を、観察画像と同時に取得する。さらに、この偏向画像21,23の輝度情報の傾きを基に観察画像の1画素当たりの観察物上の長さlXnを補正したり、偏向信号s4,s5の電圧値若しくは電流値を基に電子線13の偏向速度vが一定になるように偏向制御信号s1を補正することで、観察画像の精度を保障する。
【選択図】図1

Description

本発明は、観察画像の取得精度の向上をはかった走査型電子顕微鏡に関する。
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)は、電子ビームを偏向信号によってラスタースキャンしながら観察物に照射し、その際に観察物から放出される電子の検出信号を基に観察物の観察画像を生成する。観察画像は、画素の集合によって構成され、各画素は、電子ビームが照射された観察物上の対象部分から放出される電子の検出信号を基に生成される。
そこで、観察画像の精度を確保するために、例えば、特許文献1には、観察画像の画素サイズよりも細かい間隔で観察物から放出される電子の検出信号をサンプリングし、このサンプリングした電子の検出信号を基に画素サイズを大きくした観察画像を生成し、観察画像の画質の向上をはかる技術が記載されている。また、特許文献2には、上述した電子ビームのスキャンを行うためのディジタル方式のスキャン回路で生成される偏向信号にグランドの電位の変化に起因したノイズが重畳するのを防止して、観察画像の解像度低下を防ぐ技術が記載されている。
ところで、観察画像の精度を確保するためには、このような技術もさることながら、その前提として、観察画像上での画素それぞれが示す観察物上の対象部分の大きさが均一であることが必要である。そして、この均一性は、一定の偏向速度で電子ビームをスキャンすることによって、電子ビームが一定時間に進む観察物上での移動距離を観察物上全てで同一とした上で、所定時間間隔で画素を取得することによって実現できる。このように、観察画像の精度は、電子ビームのスキャンする偏向信号の精度にまず依存する。そして、観察画像上での1画素に対応する観察物上の対象部分の大きさは、次のようにして求めることができる。
ここでは、観察画像上のn番目の画素として取得される観察物上の対象部分の大きさを、観察物上でのX軸方向,Y軸方向それぞれの長さl,lで表す。この場合、電子ビームのX軸方向,Y軸方向それぞれの偏向速度をv,v、観察画像上のn番目の画素に対応した観察物上の対象部分を電子ビームでスキャンした時の時間(時刻)をtXn,tYn、観察画像上のX軸方向,Y軸方向それぞれに一つ手前の画素に対応した観察物上の対象部分を電子ビームでスキャンした時のそれぞれ時間(時刻)をtX(n−1),tY(n−1)とすると、X軸方向長さl,Y軸方向長さlは、式(1),式(2)によって表すことができる。すなわち、観察画像のn番目の画素として取得される観察物上の対象部分に係り、そのX軸方向長さlは、偏向速度vを時間tXnから時間tX(n−1)を差し引いた時間に乗算した結果で、そのY軸方向長さlは、偏向速度vを時間tYnから時間tY(n−1) を差し引いた時間に乗算した結果で表すことができる。
Figure 2011138670
そのため、走査型電子顕微鏡では、偏向信号の大きさは、電子ビームの偏向速度v,vを一定にするため、時間に対する一次関数で制御している。この結果、この時間に対する一次関数からなる偏向信号が歪んだ場合には、その歪みにより電子ビームの偏向速度v,vが時間(時刻)によって増減変化することになる。具体的には、偏向信号の歪みより、偏向速度v,vがその一定値に対して大きくなると、観察画像上で1つの画素で表される観察物上の対象部分についてのX軸方向、Y軸方向の長さl、lは長くなり、観察画像上ではこの観察物上の対象部分が縮小されて取得されることになる。これに対し、偏向速度v,vが一定値に対して小さくなると、観察画像上で1つの画素で表される観察物上の対象部分についてのX軸方向、Y軸方向の長さl、lは短くなり、観察画像上ではこの観察物上の対象部分が拡大されて取得されることになる。
特開2006−139965号公報 特開平9−326340号公報
しかしながら、取得した観察画像の表示を眺めても、偏向信号の歪みによって、観察物上における観察視野内のある対象部分が別の対象部分に対して縮小され、又は拡大されている観察画像であるか否かを、視認判断することは困難である。また、特許文献2に記載の技術は、生成した偏向信号に外部ノイズが重畳するのを防止するものであって、生成した時間に対する一次関数としての偏向信号自体に歪みが生じている場合には、特許文献1に記載の技術と同様に、何ら対応することができない。
そこで、従来では、走査型電子顕微鏡により取得される観察画像の精度は、定期的に装置のメンテナンスを行うことで、電子ビームのスキャンにより取得される観察画像の精度を保障してきた。例えば、メンテナンス時に、寸法及び形状が既知の基準試料を用い、その観察結果(例えば、間隔が均等のライン・アンド・パターンの歪み、等)に基づいて、前述した偏向信号の歪みを含む不具合を確認し、その対策をはかることによって保障してきた。特に、走査型電子顕微鏡を測長で利用する際には、数百nm幅のパターン幅を測定するため、観察画像の精度は重要視される。
本発明は、上記問題点を鑑みなされたものであって、本来、一定の偏向速度からなる偏向信号に歪みが生じても、その取得された観察画像の精度を保障する走査型電子顕微鏡を提供することを目的とする。
本発明は、上記した問題点を解決するために、電子ビームの偏向制御を行う偏向信号を、画像切出部より偏向画像として取得し、画像出力することを特徴とする。
そのために、本発明に係る走査型電子顕微鏡は、電子ビームを偏向制御する偏向制御信号、及び当該電子ビームが照射される試料上での観察画像の取得位置を示す画像切出信号を生成するスキャン制御部と、スキャン制御部から供給される偏向制御信号を基に、電子ビームの照射位置を移動させる偏向信号を生成する偏向制御部と、偏向制御部により生成される偏向信号を取得し、当該取得した偏向信号を当該偏向信号の出力の大きさに対応した輝度情報に変換し、スキャン制御部により生成される画像切出信号を基に当該輝度情報に基づく偏向画像を切り出す画像切出部とを備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る走査型電子顕微鏡では、画像切出部は、観察画像の取得と同時に、偏向画像を切り出して取得することを特徴とする。
また、本発明に係る走査型電子顕微鏡では、この切り出した偏向画像の輝度情報の傾きに基づいて、観察画像の1画素に対応する観察物上の対象部分の大きさを補正する観察画像切出部を備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る走査型電子顕微鏡では、スキャン制御部から偏向制御部に供給する偏向制御信号と、偏向制御部によって当該偏向制御信号を基に生成される偏向信号とにより、偏向制御部の偏向信号に基づく電子ビームの偏向速度が一定になるようにスキャン制御部から偏向制御部に供給する偏向制御信号を補正する補正制御部を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、偏向信号を信号出力の大きさに対応した輝度情報に変換し、この輝度情報に基づく偏向画像を切り出して取得することで、観察画像からは視覚判断することが困難な、観察画像上で偏向信号の歪みに基づいた観察物上の対象部分の拡大や縮小が生じていることを、偏向画像から容易に感得することができる。
また、本発明によれば、偏向画像の取得は、観察画像の取得と同時に行うことができ、観察画像と1対1に対応する偏向画像を取得することができるので、観察画像毎にその精度保障をダイナミックにはかることができるとともに、そのエビデンスとしても利用することができる。
また、本発明によれば、切り出した偏向画像の輝度情報の傾きに基づいて、観察画像の1画素に対応する観察物上の対象部分の大きさを補正することや、偏向制御部の偏向信号に基づく電子ビームの偏向速度が一定になるようにスキャン制御部から偏向制御部に供給する偏向制御信号を補正することにより、スキャンにより観察画像の取得を行う都度、観察画像自体の精度を向上させ、保障することができる。
本発明の一実施の形態に係る走査型電子顕微鏡の概略構成図である。 取得されたX軸方向偏向画像と、そのX軸方向偏向画像の基になった偏向器を作動するX軸方向偏向信号と、観察画像と、の関係例を示した図である。 取得されたY軸方向偏向画像と、そのY軸方向偏向画像の基になった偏向器を作動するY軸方向偏向信号と、観察画像と、の関係例を示した図である。 走査型電子顕微鏡の第1の実施例に係る要部の機能構成図である。 走査型電子顕微鏡の第2の実施例に係る要部の機能構成図である。 本発明の別の実施の形態に係る走査型電子顕微鏡の概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る走査型電子顕微鏡の概略構成図である。
図1において、走査型電子顕微鏡10は、鏡体11Aと試料室11Bとからなる本体11を備えている。鏡体11A内に設けられた電子銃12から発せられた電子線(電子ビーム)13は、同じく鏡体11A内に設けられた図示せぬ電子レンズによって収束されるとともに偏向器14によって2次元偏向され、試料室11B内に配置された試料20に照射される。偏向器14は、偏向制御部15で生成される偏向信号に応じて電子線13を2次元偏向し、試料20の表面上における電子線13の照射位置をX軸方向,Y軸方向に移動させる。偏向制御部15は、スキャン制御部16から供給される偏向制御信号s1に基づいて、試料20の表面上の電子線13の照射位置をX軸方向,Y軸方向に2次元走査(ラスタースキャン)するための偏向信号(X軸方向偏向信号,Y軸方向偏向信号)を生成する。偏向制御部15は、この生成した偏向信号(X軸方向偏向信号,Y軸方向偏向信号)を偏向器14に供給して偏向器14を作動する。スキャン制御部16は、取得する画像サイズ等に合わせ、電子線13の照射位置をX軸方向座標データ及びY軸方向座標データで指示するスキャン座標情報を生成し、この生成したスキャン座標情報に基づいた偏向制御信号s1として偏向制御部15及び画像切出部19に供給する。また、スキャン制御部16は、画像切出部19による画像の生成を制御する画像切出信号s2を生成し、画像切出部19に供給する。
一方、電子線13の照射によって、試料20の表面から発生する二次電子又は反射電子等の放出電子17は、電子検出器18によって捕獲され、図示せぬシンチレータにより光信号に変換された後、さらに、図示せぬ光電子倍増管により電気信号に変換され、検出出力信号s3として画像切出部19に供給される。
画像切出部19は、電子検出器18から供給される検出出力信号s3をA/D変換(アナログ/ディジタル)してディジタル化した上で、この検出出力信号s3を基に、試料20の観察画像を取得する。
さらに、本実施の形態では、偏向制御部15によって生成された、偏向器14を作動する偏向信号も、画像切出部19にX軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5として供給される構成になっている。そして、画像切出部19は、この偏向信号s4,s5を基に、偏向画像も取得するようになっている。偏向画像は、例えば、観察画像を取得するための、X軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5それぞれに対応したX軸方向偏向画像,Y軸方向偏向画像から構成される。X軸方向偏向画像,Y軸方向偏向画像では、X軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5それぞれのディジタル化した電圧値若しくは電流値が、画素毎の輝度情報として取得される。X軸方向偏向画像,Y軸方向偏向画像は、1ライン毎(一走査毎)のX軸方向偏向信号,Y軸方向偏向信号を、観察画像を取得するためのそれぞれ所定ライン数分(走査回数分)だけ集めて、画像化して表したものである。
ここで、偏向画像は、偏向信号s4,s5の電圧値若しくは電流値がその輝度情報として取得されるため、取得された偏向画像は、
偏向画像の輝度情報を、f(t),f(t)、
偏向画像のスキャン方向に対応した輝度の傾きをa,a
1ライン毎(一走査毎)のスキャン時間をt、
スキャン時間が0の時の輝度情報をb,b
とすると、X軸方向偏向画像,Y軸方向偏向画像それぞれの画素の輝度f(t),f(t)は、前述したように、電子線13のX軸方向偏向速度v,Y軸方向偏向速度vが本来は1ライン毎の切り出しにおいて一定であるため、式(3),式(4)に示すようにスキャン時間tに対する一次関数になる。また、式(5),式(6)は、X軸方向偏向画像,Y軸方向偏向画像それぞれの画像上の輝度f(t),f(t)の時間変化率で、式(3),式(4)の時間微分である。
Figure 2011138670
ところで、偏向制御部15によって生成される偏向信号s4,s5の時間に対する傾きの大きさは、電子線13のX軸方向,Y軸方向それぞれの偏向速度v,vが本来は1ライン毎の切り出しにおいて一定であるため、1ライン(一走査)で一定になる。しかしながら、X軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5の中の少なくともいずれかが歪んでいて偏向速度v,vが1ライン毎の切り出しにおいて一定でない場合は、その偏向信号s4,s5の時間に対する傾きの大きさ“df(t)/dt”,“df(t)/dt”は一定にはならない。そのような場合には、偏向画像の輝度情報f(t),f(t)は、式(3),式(4)に示したような一次関数にはならず、その時間微分“df(t)/dt”,“df(t)/dt”も、式(5)、式(6)に示したような一定の傾きa,aにはならない。これにより、電子線13の偏向速度v,vが時間により変動すると、X軸方向,Y軸方向の偏向画像の輝度情報f(t),f(t)の時間変化率“df(t)/dt”,“df(t)/dt”が変化することになり、対応するX軸方向,Y軸方向の偏向画像も変化することになる。
前述したように、電子線13の偏向速度v,vが1ライン毎(一走査毎)の切り出しにおいて時間により変動すると、観察画像上で1画素として取得される観察物上の対象部分のX軸方向,Y軸方向それぞれの長さl,lが、同一画像内の画素相互で異なってくる。この場合、偏向信号s4,s5の時間に対する傾き“df(t)/dt”,“df(t)/dt”が本来の取得する画像サイズ等に合わせた一定の傾きa,aに対して大きい程、観察画像上で1画素として取得される観察物上の対象部分の長さl,lは大きくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が縮小されたように取得される。反対に、偏向信号の時間に対する傾き“df(t)/dt”,“df(t)/dt”が本来の取得する画像サイズ等に合わせた一定の傾きa,aに対して小さい程、観察画像上で1画素として取得される観察物上の対象部分の長さl,lは小さくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が拡大されたように取得される。
画像切出部19では、X軸方向偏向信号s4の輝度f(t)と、Y軸方向偏向信号s5の輝度f(t)と、検出器出力信号s3の輝度とは、いずれも時間をパラメータとした1次元の連続信号として取得されるため、スキャン制御部16からの画像切出信号s2を用いて、X軸方向並びにY軸方向それぞれの1ラインの切り出しと、X軸方向及びY軸方向それぞれ切り出した各ラインから構成される観察画像,偏向画像(X軸方向偏向画像及びY軸方向偏向画像)のそれぞれ生成を行う。なお、本実施の形態では、各画像間で関連性を持たせるため、同一の画像切出信号s2で各画像を生成できるように、画像切出部19は、入力部を複数搭載している構成になっている。
次に、X軸方向の偏向信号s4と、この偏向信号s4を基に取得された偏向画像と、検出器の出力信号より取得された観察画像の精度との関連について、図2を参照して説明する。
図2は、
A;X軸方向の電子線13の偏向速度vが1ラインの切り出しにおいて時間により変動せず、偏向速度vが本来の取得する画像サイズ等に合わせた一定の傾きaになっている場合、
B;X軸方向の電子線13の偏向速度vが1ラインの切り出しにおいて時間により変動し、偏向速度vが本来の取得する画像サイズ等に合わせた一定の傾きaに対して小さくなるように歪んでいる場合、
C;X軸方向の電子線13の偏向速度vが1ラインの切り出しにおいて時間により変動し、偏向速度vが本来の取得する画像サイズ等に合わせた一定の傾きaに対して大きくなるように歪んでいる場合、
のそれぞれについて、
a;取得されたX軸方向偏向画像21、
b;取得されたX軸方向偏向画像21における、X軸方向へのある1ラインの切り出し、換言すれば、Y軸方向の同一位置の画素に関してのX軸方向の偏向で、偏向器14を作動する基になったX軸方向偏向信号s4の該当する1ラインのプロフィル、
c;X軸方向偏向信号s4の該当する1ラインのプロフィルに対応して取得された、X軸方向偏向信号s4の該当する1ライン分の観察画像22、
との関係例を示した図である。
図2において、X軸方向偏向画像21A,21B,21Cは、上述したA〜Cそれぞれのケースにおいて、画像切出部19によって取得されたX軸方向の偏向画像である。この場合、X軸方向偏向画像21Aでは、図中に破線で示した、X軸方向へのある1ラインの切出部分は、その切出部分全域にわたって画像輝度の階調変化が一様(一定)になっている。
一方、X軸方向偏向画像21Bでは、図中に破線で示した、X軸方向へのある1ラインの切出部分は、その切出部分全域にわたって画像輝度の階調変化が一様になっておらず、切出方向(X軸方向)の前側部分よりも、切出方向の後側部分の方が画像輝度の階調変化が大きくなっている。そのため、偏向画像21の表示画面上では、X軸方向偏向画像21Aに比して、X軸方向偏向画像21Bは、濃淡階調の濃い部分が多く現れる。同様に、X軸方向偏向画像21Cでは、図中に破線で示した、X軸方向へのある1ラインの切出部分も、その切出部分全域にわたって画像輝度の階調変化が一様になっておらず、切出方向(X軸方向)の後側部分よりも、切出方向の前側部分の方が画像輝度の階調変化が大きくなっている。そのため、偏向画像21の表示画面上では、X軸方向偏向画像21Aに比して、X軸方向偏向画像21Cは、濃淡階調の濃い部分が少なく現れる。
また、図2において、X軸方向偏向信号s4A,s4B,s4Cは、偏向画像21A,21B,21Cそれぞれにおいて破線で示した、X軸方向へのある1ラインについてのX軸方向偏向信号s4の1ラインプロファイルを示したものである。
この場合、X軸方向偏向画像21Aにおいて破線で示した、X軸方向へのある1ラインについてのX軸方向偏向信号s4Aの1ラインプロファイルでは、式(3)の時間微分式で示したX軸方向偏向信号s4Aの時間tに対する傾き“df(t)/dt”が、その切出部分全域にわたって、式(5)で示すように一定の傾きaになっている。
一方、X軸方向偏向画像21Bにおいて破線で示した、X軸方向へのある1ラインについてのX軸方向偏向信号s4Bの1ラインプロファイルでは、式(3)の時間微分式で示したX軸方向偏向信号s4Bの時間tに対する傾き“df(t)/dt”が、その切出部分全域にわたって、式(5)で示すように一定の傾きaになっておらず、X軸方向偏向信号s4Aに比して、X軸方向偏向信号s4Bは、その途中部分の偏向信号fの大きさが小さくなり、X軸方向偏向信号s4Aの下方側に弓なりに突出湾曲した出力となって歪んでいる。同様に、X軸方向偏向画像21Cにおいて破線で示した、X軸方向へのある1ラインについてのX軸方向偏向信号s4Cの1ラインプロファイルでは、式(3)の時間微分式で示したX軸方向偏向信号s4Cの時間tに対する傾き“df(t)/dt”が、その切出部分全域にわたって、式(5)で示すように一定の傾きaになっておらず、X軸方向偏向信号s4Aに比して、X軸方向偏向信号s4Cは、その途中部分の偏向信号fの大きさが大きくなり、X軸方向偏向信号s4Aの上方側に弓なりに突出湾曲した出力となって歪んでいる。
さらに、図2において、観察画像22A,22B,22Cは、偏向画像21A,21B,21Cそれぞれにおいて破線で示した、X軸方向へのある1ラインプロファイルにより取得される観察画像の状況を示したものである。
この場合、X軸方向偏向画像21Aにおいて破線で示した、X軸方向へのある1ラインプロファイルにより取得される観察画像22Aでは、そのX軸方向偏向信号s4Aの1ラインプロファイルの時間tに対する傾き“df(t)/dt”がその切出部分全域にわたって一定の傾きaになっているので、各画素に対応する観察物上の対象部分の長さlが均一になっている。そのため、観察視野範囲内の観察物上の対象部分は、その形状が観察画像22Aで歪むこと無く、精度の良い観察画像を取得することができる。
一方、X軸方向偏向画像21Bにおいて破線で示した、X軸方向へのある1ラインプロファイルにより取得される観察画像22Bでは、そのX軸方向偏向信号s4の1ラインプロファイルの時間tに対する傾き“df(t)/dt”がその切出部分全域にわたって一定の傾きaになっておらず、X軸方向偏向信号s4Aに比して、X軸方向偏向信号s4Bは、その途中部分の偏向信号fの大きさが小さくなり、X軸方向偏向信号s4Aの下方側に弓なりに突出湾曲した出力となって歪んでいる。そのため、観察視野範囲内の観察物上の対象部分は、X軸方向偏向画像21Bの画像輝度の階調変化が小さな切出方向の前側部分の画素部分では、その1画素として取得される観察物上の対象部分の長さlが小さくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が拡大されたように取得されるのに対し、X軸方向偏向画像21Bの画像輝度の階調変化が大きな切出方向の後側部分の画素部分では、その1画素として取得される観察物上の対象部分の長さlが大きくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が縮小されたように取得される。同様に、X軸方向偏向画像21Cにおいて破線で示した、X軸方向へのある1ラインプロファイルにより取得される観察画像22Cでは、そのX軸方向偏向信号s4の1ラインプロファイルの時間tに対する傾き“df(t)/dt”がその切出部分全域にわたって一定の傾きaになっておらず、X軸方向偏向信号s4Aに比して、X軸方向偏向信号s4Cは、その途中部分の偏向信号fの大きさが大きくなり、X軸方向偏向信号s4Aの上方側に弓なりに突出湾曲した出力となって歪んでいる。そのため、観察視野範囲内の観察物上の対象部分は、X軸方向偏向画像21Cの画像輝度の階調変化が大きな切出方向の前側部分の画素部分では、その1画素として取得される観察物上の対象部分の長さlが大きくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が縮小されたように取得されるのに対し、X軸方向偏向画像21Cの画像輝度の階調変化が小さな切出方向の後側部分の画素部分では、その1画素として取得される観察物上の対象部分の長さlが小さくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が拡大されたように取得される。
したがって、実施の形態に係る走査型電子顕微鏡10によれば、図2に示したX軸方向偏向信号s4を基準としてのX軸方向偏向信号s4Aと比較すれば、又は、X軸方向偏向信号s4のディジタル化した電圧値若しくは電流値が画素毎の輝度情報として取得されるX軸方向偏向画像21を基準としてのX軸方向偏向画像21Aと比較すれば、観察画像からは視覚判断することが困難な、観察画像上で偏向信号の歪みに基づいた観察物上の対象部分の拡大や縮小が生じていることを、容易に感得することができる。
図3は、
A;Y軸方向の電子線13の偏向速度vが1ラインの切り出しにおいて時間により変動せず、偏向速度vが本来の取得する画像サイズ等に合わせた一定の傾きaになっている場合、
B;Y軸方向の電子線13の偏向速度vが1ラインの切り出しにおいて時間により変動し、偏向速度vが本来の取得する画像サイズ等に合わせた一定の傾きaに対して小さくなるように歪んでいる場合、
C;Y軸方向の電子線13の偏向速度vが1ラインの切り出しにおいて時間により変動し、偏向速度vが本来の取得する画像サイズ等に合わせた一定の傾きaに対して大きくなるように歪んでいる場合、
のそれぞれについて、
a;取得されたY軸方向偏向画像23、
b;取得されたY軸方向偏向画像23における、Y軸方向へのある1ラインの切り出し、換言すれば、X軸方向のある1ライン分の画素に関してのY軸方向の偏向で、偏向器14を作動する基になったY軸方向偏向信号s5の該当する1ラインのプロフィル、
c;Y軸方向偏向信号s5の該当する1ラインのプロフィルに対応して取得された、Y軸方向偏向信号s5の該当する1ライン分の観察画像24、
との関係例を示した図である。
図3において、Y軸方向偏向画像23A,23B,23Cは、上述したA〜Cそれぞれのケースにおいて、画像切出部19によって取得されたY軸方向の偏向画像である。この場合、Y軸方向偏向画像23Aでは、図中に破線で示した、Y軸方向へのある1ラインの切出部分は、その切出部分全域にわたって画像輝度の階調変化が一様(一定)になっている。
一方、Y軸方向偏向画像23Bでは、図中に破線で示した、Y軸方向へのある1ラインの切出部分は、その切出部分全域にわたって画像輝度の階調変化が一様になっておらず、切出方向(Y軸方向)の前側部分よりも、切出方向の後側部分の方が画像輝度の階調変化が大きくなっている。そのため、偏向画像23の表示画面上では、Y軸方向偏向画像23Aに比して、Y軸方向偏向画像23Bは、濃淡階調の濃い部分が多く現れる。同様に、Y軸方向偏向画像23Cでは、図中に破線で示した、Y軸方向へのある1ラインの切出部分も、その切出部分全域にわたって画像輝度の階調変化が一様になっておらず、切出方向(Y軸方向)の後側部分よりも、切出方向の前側部分の方が画像輝度の階調変化が大きくなっている。そのため、偏向画像23の表示画面上では、Y軸方向偏向画像23Aに比して、Y軸方向偏向画像23Cは、濃淡階調の濃い部分が少なく現れる。
また、図3において、Y軸方向偏向信号s5A,s5B,s5Cは、偏向画像23A,23B,23Cそれぞれにおいて破線で示した、Y軸方向へのある1ラインについてのY軸方向偏向信号s5の1ラインプロファイルを示したものである。
この場合、Y軸方向偏向画像23Aにおいて破線で示した、Y軸方向へのある1ラインについてのY軸方向偏向信号s5Aの1ラインプロファイルでは、式(4)の時間微分式で示したY軸方向偏向信号s5Aの時間tに対する傾き“df(t)/dt”が、その切出部分全域にわたって、式(6)で示すように一定の傾きaになっている。
一方、Y軸方向偏向画像23Bにおいて破線で示した、Y軸方向へのある1ラインについてのY軸方向偏向信号s5Bの1ラインプロファイルでは、式(4)の時間微分式で示したY軸方向偏向信号s5Bの時間tに対する傾き“df(t)/dt”が、その切出部分全域にわたって、式(6)で示すように一定の傾きaになっておらず、Y軸方向偏向信号s5Aに比して、Y軸方向偏向信号s5Bは、その途中部分の偏向信号fの大きさが小さくなり、Y軸方向偏向信号s5Aの下方側に弓なりに突出湾曲した出力となって歪んでいる。同様に、Y軸方向偏向画像23Cにおいて破線で示した、Y軸方向へのある1ラインについてのY軸方向偏向信号s5Cの1ラインプロファイルでは、式(4)の時間微分式で示したY軸方向偏向信号s5Cの時間tに対する傾き“df(t)/dt”が、その切出部分全域にわたって、式(6)で示すように一定の傾きaになっておらず、Y軸方向偏向信号s5Aに比して、Y軸方向偏向信号s5Cは、その途中部分の偏向信号fの大きさが大きくなり、Y軸方向偏向信号s5Aの上方側に弓なりに突出湾曲した出力となって歪んでいる。
さらに、図3において、観察画像24A,24B,24Cは、偏向画像23A,23B,23Cそれぞれにおいて破線で示した、Y軸方向へのある1ラインプロファイルにより取得される観察画像の状況を示したものである。
この場合、Y軸方向偏向画像23Aにおいて破線で示した、Y軸方向へのある1ラインプロファイルにより取得される観察画像24Aでは、そのY軸方向偏向信号s5Aの1ラインプロファイルの時間tに対する傾き“df(t)/dt”がその切出部分全域にわたって一定の傾きaになっているので、各画素に対応する観察物上の対象部分の長さlが均一になっている。そのため、観察視野範囲内の観察物上の対象部分は、その形状が観察画像24Aで歪むこと無く、精度の良い観察画像を取得することができる。
一方、Y軸方向偏向画像23Bにおいて破線で示した、Y軸方向へのある1ラインプロファイルにより取得される観察画像24Bでは、そのY軸方向偏向信号s5の1ラインプロファイルの時間tに対する傾き“df(t)/dt”がその切出部分全域にわたって一定の傾きaになっておらず、Y軸方向偏向信号s5Aに比して、Y軸方向偏向信号s5Bは、その途中部分の偏向信号fの大きさが小さくなり、Y軸方向偏向信号s5Aの下方側に弓なりに突出湾曲した出力となって歪んでいる。そのため、観察視野範囲内の観察物上の対象部分は、Y軸方向偏向画像23Bの画像輝度の階調変化が小さな切出方向の前側部分の画素部分では、その1画素として取得される観察物上の対象部分の長さlが小さくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が拡大されたように取得されるのに対し、Y軸方向偏向画像23Bの画像輝度の階調変化が大きな切出方向の後側部分の画素部分では、その1画素として取得される観察物上の対象部分の長さlが大きくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が縮小されたように取得される。同様に、Y軸方向偏向画像23Cにおいて破線で示した、Y軸方向へのある1ラインプロファイルにより取得される観察画像24Cでは、そのY軸方向偏向信号s5の1ラインプロファイルの時間tに対する傾き“df(t)/dt”がその切出部分全域にわたって一定の傾きaになっておらず、Y軸方向偏向信号s5Aに比して、Y軸方向偏向信号s5Cは、その途中部分の偏向信号fの大きさが大きくなり、Y軸方向偏向信号s5Aの上方側に弓なりに突出湾曲した出力となって歪んでいる。そのため、観察視野範囲内の観察物上の対象部分は、Y軸方向偏向画像23Cの画像輝度の階調変化が大きな切出方向の前側部分の画素部分では、その1画素として取得される観察物上の対象部分の長さlが大きくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が縮小されたように取得されるのに対し、Y軸方向偏向画像23Cの画像輝度の階調変化が小さな切出方向の後側部分の画素部分では、その1画素として取得される観察物上の対象部分の長さl,が小さくなり、取得した観察画像上ではその該当する観察物上の対象部分が拡大されたように取得される。
したがって、本実施の形態に係る走査型電子顕微鏡によれば、図3に示したY軸方向偏向信号s5を基準としてのY軸方向偏向信号s5Aと比較すれば、又は、Y軸方向偏向信号s5のディジタル化した電圧値若しくは電流値が画素毎の輝度情報として取得されるY軸方向偏向画像23を基準としてのY軸方向偏向画像23Aと比較すれば、観察画像からは視覚判断することが困難な画像上の歪みを感得することができる。
なお、本実施の形態では、観察画像のX軸方向又はY軸方向に関しての画像上の歪みを個別に容易に判別できるように、X軸方向偏向画像21及びY軸方向偏向画像23それぞれを取得するようにしたが、X軸方向偏向画像21及びY軸方向偏向画像23を1つの偏向画像で表すことも可能である。
そして、上述した偏向画像の取得は、観察画像の取得と同時に行うことができ、観察画像と1対1に対応する偏向画像を取得することができるので、観察画像と一緒にユーザインターフェース画面上に表示出力することや、観察画像と対応づけて偏向画像の保存をはかることで、観察画像毎にその精度保障をダイナミックにはかることができるとともに、そのエビデンスとしても利用することができる。
さらに、本実施の形態の走査型電子顕微鏡10では、偏向制御部15によって生成された偏向器14を作動する偏向信号(X軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5)や、この偏向信号s4,s5を基に取得した偏向画像(X軸方向偏向画像21,Y軸方向偏向画像23)を基に、偏向信号(X軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5)に歪みが生じても、観察視野範囲内の各画素に対応する観察物上の対象部分の長さl,lが均一な、精度の良い観察画像を取得できる構成を備えている。次に、その実施例について説明する。
<実施例1>
本実施例では、偏向画像上のX軸方向の輝度f(t)の傾き“df(t)/dt”,Y軸方向の輝度f(t)の傾き“df(t)/dt”が一定にならない場合、この偏向画像上の輝度f(t),f(t)の傾き“df(t)/dt”,“df(t)/dt”を用いて、観察画像において1画素で表される観察物上の対象部分のX軸方向長さl,Y軸方向長さlを補正することによって、観察画像の各画素に対応する観察物上の対象部分の長さl,lが均一になるように補正する。
そのために、本実施例では、図1で示したように、画像切出部19には、スキャン制御部16から偏向制御部15に出力される偏向制御信号s1が供給されるとともに、偏向制御部15からは偏向器14を作動する偏向信号s4,s5が供給される構成になっている。そして、画像切出部19は、偏向制御信号s1の傾きと、偏向画像の輝度f(t),f(t)の傾き“df(t)/dt”,“df(t)/dt”を基に、観察画像の1画素当たりに対応する観察物上の対象部分の長さl,lを補正する。この場合、観察画像の1画素当たりに対応する観察物上のX軸方向長さlを補正する場合も、観察画像の1画素当たりに対応する観察物上のY軸方向長さlを補正する場合も、その補正方法は同様であるので、ここでは、観察画像の1画素当たりに対応する観察物上のX軸方向長さlを補正する場合についてのみ説明する。
ここで、偏向制御信号s1は、スキャン座標情報に基づいて電子線13の偏向制御を行う偏向信号s4,s5の期待値であるため、その時間(時刻)に対する傾きは一定である。そこで、この偏向制御信号s1の時間(時刻)に対するX軸方向傾きをgとする。また、輝度f(t)の傾きが一定では無いX軸方向偏向画像21の、n番目の画素を取得した時の輝度f(t)の傾きをaXnとし、この時に取得された観察画像の1画素に対する観察物上の対象部分のX軸方向長さをlXnとする。
スキャン制御部16から偏向制御信号s1の供給を受けた偏向制御部15が、偏向制御信号s1のX軸方向傾きgのように傾きが一定の偏向信号s4で電子線13の偏向制御を行えば、X軸方向の偏向速度vは一定となるため、観察画像の1画素当たりが取得する観察物のX軸方向長さlXnは、式(1)の長さlになる。
これに対し、傾きaXnで偏向制御を行った時のX軸方向の偏向速度vXnとすると、観察画像の1画素当たりが取得する観察物のX軸方向長さlXnは、式(7)になる。
Figure 2011138670
ここで、式(1)に示した観察画像の1画素当たりが取得する観察物のX軸方向長さlは、偏向速度vは一定で観察物に対する1画素当たりの長さをそのまま取得しているので、観察画像の1画素当たりが取得する本来の観察物のX軸方向長さである。これに対し、式(7)に示した観察画像の1画素当たりが取得する観察物のX軸方向長さlXnは、この観察画像の1画素当たりが取得する本来の観察物のX軸方向長さlを拡大し若しくは縮小して取得していることになる。そして、これら両者lXn,lの比を取って、両者lXn,lの関係を表すと、式(8)となる。
Figure 2011138670
したがって、本実施例では、偏向画像の輝度f(t)のX軸方向傾き“df(t)/dt”が偏向制御信号s1のX軸方向傾きgのように一定にならない場合でも、観察画像の1画素毎に式(8)の補正を加えて表示することで、観察物に対する1画素当たりの長さを均一化することができる。
なお、詳細な説明は省略するが、偏向画像の輝度f(t)のY軸方向傾き“df(t)/dt”が偏向制御信号s1のY軸方向傾きgのように一定にならない場合でも、式(9)に示す関係式を、同様にして取得することができる。
Figure 2011138670
図4は、図1に示した走査型電子顕微鏡の本実施例に係る要部の機能構成図である。
本実施例の場合、画像切出部19には、偏向信号切出部19-1と検出器出力信号切出部19-2とが備えられている。
偏向信号切出部19-1には、スキャン制御部16から、偏向制御部15に出力される偏向制御信号s1及び画像の切り出しを指示する画像切出信号s2が供給されるとともに、偏向制御部15からは偏向器14を作動するX軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5が供給される構成になっている。
偏向信号切出部19-1は、画像切出信号s2の指示に基づいて、X軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5から、前述したようにして、X軸方向偏向画像21,Y軸方向偏向画像23の生成を行い、それぞれを画像出力する。
さらに、偏向信号切出部19-1は、式(8),式(9)に示した、観察画像の1画素当たりが取得する本来の観察物のX軸方向長さl,Y軸方向長さlと、X軸方向偏向画像21,Y軸方向偏向画像23それぞれのn番目の画素に対する観察物上の対象部分のX軸方向長さlXn,Y軸方向長さlYnとの関係式から、観察画像での画素それぞれが示す観察物上の対象部分の大きさを均一にするための画素補正値を生成し、これをX軸方向画素補正信号s6及びY軸方向画素補正信号s7として検出器出力信号切出部19-2に出力する構成になっている。
一方、検出器出力信号切出部19-2には、電子検出器18から検出出力信号s3が供給されるとともに、スキャン制御部16から画像の切り出しを指示する画像切出信号s2、偏向信号切出部19-1でX軸方向偏向画像21,Y軸方向偏向画像23を基に生成されたX軸方向画素補正信号s6及びY軸方向画素補正信号s7が供給される構成になっている。
検出器出力信号切出部19-2は、スキャン制御部16からの画像切出信号s2を基に、電子検出器18から供給される検出出力信号s3をA/D変換してディジタル化した上で時間をパラメータとした1次元の連続信号として取得し、この時間をパラメータとした1次元の連続信号を、偏向信号切出部19-1から供給されるX軸方向画素補正信号s6及びY軸方向画素補正信号s7に基づいて補正を施しながら、1画素として取得される観察物上の対象部分のX軸方向,Y軸方向それぞれの長さl,lの均一化、すなわち1画素当たりの観察物上の対象部分の大きさの均一化をはかった画素毎の輝度情報を生成して、観察画像を取得する。これにより、検出器出力信号切出部19-2は、画素それぞれが示す観察物上の対象部分の大きさが均一な、歪みが無く精度の確保をはかった観察画像を画像出力できる。
本実施例は、以上、説明したとおりであるが、その具体的構成については、種々の変形例が可能である。
例えば、測長での利用の際には、測定の対象となるパターン幅を含む画素のみを図示せぬ入出力部の操作により任意に指定し、測定対象の画素のみに補正を加えて表示することで、パターン幅測定の精度向上も可能である。
<実施例2>
本実施例では、偏向画像上のX軸方向の輝度f(t)の傾き“df(t)/dt”,Y軸方向の輝度f(t)の傾き“df(t)/dt”が一定にならない場合、この偏向画像上の輝度f(t),f(t)の傾き“df(t)/dt”,“df(t)/dt”を用いて、スキャン制御部16が偏向制御部15に供給する偏向制御信号s1自体を補正することによって、観察画像の各画素に対応する観察物上の対象部分の長さl,lが均一になるように補正する。
そのために、本実施例では、スキャン制御部16から偏向制御部15に供給される偏向制御信号s1と、この偏向制御信号s1を基に偏向制御部15により生成されるX軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5とを用いて、スキャン制御部16から画像切出部19に供給する偏向制御信号s1のフィードバック制御を行う。そのために、本実施例の場合は、図1に図示した走査型電子顕微鏡10の概略構成において、偏向制御部15とスキャン制御部16との間に、破線で示す補正制御部31が設けられている。
図5は、走査型電子顕微鏡の本実施例に係る要部の機能構成図である。
補正制御部31には、偏向制御部15により生成されたX軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5が供給されるとともに、スキャン制御部16で生成されたスキャン座標情報に基づいた偏向制御信号s1が供給される構成になっている。
そして、偏向制御信号s1は、前述したとおり、スキャン座標情報に基づいて電子線13の偏向制御を行う偏向信号s4,s5の期待値であるため、その時間(時刻)に対する傾きは一定である。そこで、補正制御部31は、この偏向制御信号s1の時間(時刻)に対するX軸方向傾きg,Y軸方向傾きgを有するX軸方向期待値偏向信号,Y軸方向期待値偏向信号を生成する。その上で、補正制御部31は、このX軸方向期待値偏向信号,Y軸方向期待値偏向信号と、同じ偏向制御信号s1又はこの偏向制御信号s1を後述するように補正して生成した補正済偏向制御信号s6に基づき偏向制御部15により生成されたX軸方向偏向信号s4,Y軸方向偏向信号s5との間で、出力の大きさの差、例えば電圧値の差(+/−の差電圧値からなる)を取り、これをテーブル指定信号s7としてテーブル用RAM32に供給する。
テーブル用RAM32は、偏向制御信号s1の補正部としてスキャン制御部16に一体的に設けられ、偏向制御信号s1とこのテーブル指定信号s7とを基にして偏向制御信号s1に補正を加えて補正済偏向制御信号s6を生成し、この補正済偏向制御信号s6を偏向制御部15に供給する構成になっている。そのために、このテーブル用RAM32には、例えば、スキャン座標情報に基づく偏向制御信号s1毎に、テーブル指定信号s7が示す差電圧毎に応じた補正済偏向制御信号s6が格納されている。これにより、テーブル用RAM32からは、偏向制御信号s1が生成される毎に、その際に補正制御部31から供給されているテーブル指定信号s7に基づいた補正済偏向制御信号s6が読み出され、偏向制御部15に供給される。
この結果、nライン目をスキャンした時の偏向制御信号s1に基づくX軸方向若しくはY軸方向期待値偏向信号と、偏向制御部15により生成されたX軸方向若しくはY軸方向偏向信号s4,s5との間で、期待値偏向信号よりも偏向信号s4,s5の値が大きくなっている場合は、(n+1)ライン目をスキャンする時の偏向制御信号s1は、(n+1)ライン目をスキャンする時の偏向制御信号s1に基づいて偏向制御部15がそのまま偏向信号s4,s5を生成した場合よりも小さく、電子線13の偏向速度v,vが一定になるような偏向信号s4,s5を偏向制御部15に生成させる補正済偏向制御信号s6が、テーブル指定信号s7によって偏向制御部15に供給されることになる。また、nライン目をスキャンした時の偏向制御信号s1に基づくX軸方向若しくはY軸方向期待値偏向信号と、偏向制御部15により生成されたX軸方向若しくはY軸方向偏向信号s4,s5との間で、期待値偏向信号よりも偏向信号s4,s5の値が小さくなっている場合は、(n+1)ライン目をスキャンする時の偏向制御信号s1は、(n+1)ライン目をスキャンする時の偏向制御信号s1に基づいて偏向制御部15がそのまま偏向信号s4,s5を生成した場合よりも大きく、電子線13の偏向速度v,vが一定になるような偏向信号s4,s5を偏向制御部15に生成させる補正済偏向制御信号s6に補正されて、偏向制御部15に供給されることになる。
本実施例によれば、それぞれ傾きが一定のX軸方向若しくはY軸方向偏向信号s4,s5によって電子線13の偏向速度v,vを一定にして、観察画像の1ライン毎(一走査毎)の切り出しが行えるので、観察画像の1画素当たりが取得する観察物上の対象部分のX軸方向,Y軸方向それぞれの長さlXn,lYnは、式(1)に示した関係になり、観察物に対する1画素当たりの長さを均一化することができる。これにより、画像切出部19は、画素それぞれが示す観察物上の対象部分の大きさが均一な、歪みが無く精度の確保をはかった観察画像を画像出力できる。
図6は、本発明の別の実施の形態に係る走査型電子顕微鏡の概略構成図である。
図6に示した走査型電子顕微鏡110は、図1に示した走査型電子顕微鏡10が同一の画像切出部19でX軸方向偏向画像21,Y軸方向偏向画像23,観察画像をそれぞれ生成できるように入力部を複数搭載している構成になっていたのに対し、X軸方向偏向画像21,Y軸方向偏向画像23,観察画像それぞれ専用に1入力の画像切出部119(119-1〜119-3)を複数持つ構成になっている。図1に示した走査型電子顕微鏡10と同様な構成については、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
10,110 走査型電子顕微鏡
11 本体
12 電子銃
13 電子線
14 偏向器
15 偏向制御部
16 スキャン制御部
17 放出電子
18 電子検出器
19,119 画像切出部
19-1 偏向信号切出部
19-2 検出器出力信号切出部
20 試料
s1 偏向制御信号
s2 画像切出信号
s3 検出出力信号
s4 X軸方向偏向信号
s5 Y軸方向偏向信号
s6 補正済偏向制御信号
s7 テーブル指定信号
21 X軸方向偏向画像
22 X軸方向の1ライン分の観察画像
23 Y軸方向偏向画像
24 Y軸方向の1ライン分の観察画像
31 補正制御部
32 テーブル用RAM

Claims (5)

  1. 電子ビームを偏向制御する偏向制御信号、及び当該電子ビームが照射される試料上での観察画像の取得位置を示す画像切出信号を生成するスキャン制御部と、
    該スキャン制御部から供給される偏向制御信号を基に、電子ビームの照射位置を移動させる偏向信号を生成する偏向制御部と、
    該偏向制御部により生成される偏向信号を取得し、当該取得した偏向信号を当該偏向信号の出力の大きさに対応した輝度情報に変換し、前記スキャン制御部により生成される画像切出信号を基に当該輝度情報に基づく偏向画像を切り出す画像切出部と
    を備えていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  2. 前記偏向制御部が生成する偏向信号は、電圧若しくは電流の大きさに対応させて電子ビームの照射位置をX軸方向,Y軸方向に移動させるX軸方向偏向信号,Y軸方向偏向信号であり、
    前記画像切出部は、当該X軸方向偏向信号の出力の大きさに対応した輝度情報に基づくX軸方向偏向画像、又は当該Y軸方向偏向信号の出力の大きさに対応した輝度情報に基づくY軸方向偏向画像を切り出す
    ことを特徴とする請求項1記載の走査型電子顕微鏡。
  3. 前記画像切出部は、観察画像の取得と同時に、偏向画像を切り出して取得する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の走査型電子顕微鏡。
  4. 当該切り出した偏向画像の輝度情報の傾きに基づいて、観察画像の1画素に対応する観察物上の対象部分の大きさを補正する観察画像切出部
    を備えていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の走査型電子顕微鏡。
  5. 前記スキャン制御部から前記偏向制御部に供給する偏向制御信号と、前記偏向制御部によって当該偏向制御信号を基に生成される偏向信号とにより、前記偏向制御部の偏向信号に基づく電子ビームの偏向速度が一定になるように前記スキャン制御部から前記偏向制御部に供給する偏向制御信号を補正する補正制御部
    を備えていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の走査型電子顕微鏡。
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