JP2011138064A - 視線移動量測定方法および視線移動量測定治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】測定治具の遠用アイポイント基準点およびフレーム支持部材の位置決めをした後、ダミーレンズ10の外側の表面を一対のレンズ載置部の低反発性素材に押し付ける。これにより突起バー群にインクが充填され、ダミーレンズ10の表面に基準マーク31、第1の判定マーク32、および第2の判定マーク33が形成される(マーク形成工程)。次に、装用者は、マークが形成されたダミーレンズ10が装着された眼鏡100を実際に装用し、読書をしている(近方視)場合の瞳中心(視線)が、第1の判定マーク32のどの位置を通過するかを判定する(判定工程)。
【選択図】図1
Description
各個人に適した眼鏡レンズを設計するためには各個人の視線移動量を測定することが重要となる。ここで、視線移動量とは、眼鏡装用者がレンズ上で視線を移動させる距離のことをいい、眼鏡装用者が水平視した状態から近用視の状態(例えば、本を読んでいるときの状態)に視線を上下方向に移動させる際にレンズ上で視線が移動する距離を表す眼球下転量と、眼鏡装用者が水平視した状態から側方視の状態に視線を左右方向に移動させる際にレンズ上で視線が移動する距離を表す側方視量と、を含む概念である。
また、特許文献1および特許文献2のような眼球運動の測定は、お客様に対して時間的な検査負荷が大きすぎるといった問題や、検査機器が高価すぎるという問題もある。
また、特許文献3のように、遠用アイポイントと近用アイポイントの両方を検出し、相対的な位置の差分を算出する操作は複雑であり、精度が低下する原因になるとともに実用的でないという問題がある。
また、眼鏡レンズとは、装用者が実際に使用する度の入った眼鏡レンズ以外にも、度の入っていないダミーレンズをも含むものである。
また、測定は、視線移動したときの視線が眼鏡レンズの複数の線のうちのいずれかとの一致度を判定するだけでよい。したがって、装用者に負担をかけずに簡単に測定を行うことができるとともに、安価に実施することができる。
さらに、複数の線は、隣り合う線と線とが所定の間隔を有している。すなわち、線と線との間は光透過性があり、対象物を目視することができる。したがって、装用者はこの線と線との間から対象物を目視することができ、より自然な目視の状態で測定が可能となり、測定の精度が向上する。
隣り合う線の中心間距離が1.5mm未満であると、装用者が線と線との間から対象物を目視することが困難となるおそれがある。また、隣り合う線の中心間距離が2.5mmを越えると、ダミーレンズ10に形成できる線の数が少なくなるため測定の精度が低下し実用的でない。複数の線を上記範囲で配置することにより、装着者は色を判定しやすく、高い精度で測定することができる。
人の瞳孔径はおよそ2mm以上8mm以下である。この発明では、線の幅が最大でも1.5mmであるので視界が完全に遮断されず、線と線との間から対象物を目視することができる。線の幅が1.5mmを超えて瞳孔径と同じかそれ以上になった場合、視界が完全に遮断されてしまうことがあるため正確な測定ができなくなるおそれがある。また、線の幅が0.1mm未満であると、線が細すぎて視認性が低下し、色の判断が困難となるおそれがある。線の幅を上記範囲とすることにより、装用者には色の判定が容易となり、測定を簡単に行うことができる。なお、線の幅は、0.5mm以上1.2mm以下であることがより好ましい。
隣り合う線が異なる線であることから、装用者は測定時に認識した色のみを答えればよい。したがって、装用者は直感的に判定することができるため、装用者に対する負担を軽減することができる。
また、装用者が実際に装用する眼鏡フレームを用いて測定することができるので、装用者の視覚動作(眼や頭の動き)だけでなく、装用者が物を見るときの姿勢や癖にも応じた精度の高い測定を行うことができる。
この発明では、スタンプを眼鏡レンズの表面に押しつけるだけで簡単に、眼鏡レンズの表面にマークを形成することができる。また、スタンプに所定のパターンの突起を形成すれば何度でも繰り返し使用できるので、特別な装置等を用意する必要がない。さらに、スタンプに使用されるインクにより、眼鏡レンズの表面に直接インクを塗布することができるため、煩雑な前処理等を行う必要がない。以上より、スタンプを用いれば、簡単かつ安価に眼鏡レンズの表面にマークを形成することができる。
この発明では、眼鏡レンズの表面にマークを形成するためにインクジェットを用いる。インクジェットを用いれば、微細なパターンを容易に形成することができるので、所望の形状のパターンを、手間をかけることなく簡単に形成することができる。また、インクジェットは、眼鏡レンズの表面に直接インクを塗布することができるため、煩雑な前処理等を行う必要がない。さらに、眼鏡レンズに塗布したインクは、簡単かつ完全に除去することができるため、装用者が実際に使用する眼鏡レンズ(レンズ設計後の眼鏡レンズ)に直接マークを形成し、訓練用として使用した後、インクを除去して日常用として用いることができるので、汎用性が高い。
これによれば、眼鏡レンズから基準マークおよび複数の線を除去する際に、テープを剥がすだけでよい。また、眼鏡レンズにインクが付着する場合は簡単に拭き取れるようなインクの種類に制限があるが、本発明では眼鏡レンズにインクが付着しないので、インクの種類に制限がない。
したがって、販売店等で特別な技術を持たない人でも簡単に基準マークおよび複数の線を眼鏡レンズの表面に形成することができ、測定を容易に行うことができる。
この発明では、基準マークに対応する突起部を移動させることにより、遠用アイポイントの水平方向(左右方向)の調整を簡単に行うことができる。眼鏡レンズ上の遠用アイポイントは装用者ごとにそれぞれ異なっているので、マークを眼鏡レンズに形成する際、眼鏡レンズの遠用アイポイントとスタンプ部の遠用アイポイントとの水平方向の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、販売店等で特別な技術がない人であっても簡単に測定を実施することができる。
この発明では、フレーム支持部材を移動させることにより、眼鏡フレーム(眼鏡)の水平方向と直交する方向(上下方向)の調整を簡単に行うことができる。眼鏡レンズ上の遠用アイポイントは装用者ごとにそれぞれ異なっているので、マークを眼鏡レンズに形成する際、眼鏡レンズの遠用アイポイントとスタンプ部の遠用アイポイントとの上下方向の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、販売店等で特別な技術がない人であっても簡単に測定を実施することができる。
第1実施形態では、装用者が実際に装用する眼鏡フレームにアクリル樹脂製のダミーレンズを装着した眼鏡を用いて視線移動量を測定する方法について説明する。
(1−1.ダミーレンズ)
図1に示すように、成形加工されたダミーレンズ10は、眼鏡フレーム20に装着されて眼鏡100となる。
眼鏡フレーム20は、ダミーレンズ10を装着して枠状に取り囲むフレーム枠21と、左右のフレーム枠21を連結するブリッジ22と、フレーム枠21からヒンジを介して回動可能に取り付けられたテンプル23と、を備えている。
図1および図2に示すように、ダミーレンズ10は、遠用アイポイントを示す基準マーク31と、近用アイポイントと予測される領域に形成される第1の判定マーク32と、遠用アイポイントを通過して水平方向に延びる水平注視野の外側端があると予測される領域に形成される第2の判定マーク33と、を有している。
基準マーク31は、遠用アイポイントの位置を示す径1mmの円状のマークである。遠用アイポイントは、装用者が眼鏡100を実際に装着した状態で水平視した場合に視線が通る位置であり、その位置は予め確定されている。
具体的には、遠用アイポイントに近い側から順に、第1のカラーバー321(黒)、第2のカラーバー322(緑)、第3のカラーバー323(赤)、第4のカラーバー324(青)の4本のカラーバーが平行に形成されている。これらのカラーバーの幅は全て1mmである。そして、各カラーバーの幅方向における中心線をそれぞれ第1の中心線321A、第2の中心線322A、第3の中心線323A、第4の中心線324Aとすると、隣り合う中心線間の距離が2mmとなるように各カラーバーが配置される(図2参照)。
カラーバーは不透明な色で形成されるため光透過性が低い。図3に示すように、装用者1(眼球90)は、後方から入射する白色光W1が不透明な第1のカラーバー321で反射する反射光Rを見ることになる。これにより、装用者1は第1のカラーバー321の色を認識することができる。なお、装用者1の正面方向から入射する白色光W2は不透明な第1のカラーバー321で遮断される。カラーバーの光透過性は、全光線透過率で50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましく、0%であることが最も好ましい。この光透過性は、一般的に用いられている測定装置で測定することができる。全光線透過率が50%を超えると反射光Rの強度が小さくなり、カラーバーの色を認識しにくくなる。
上述の基準マーク31、第1の判定マーク32、および第2の判定マーク33をダミーレンズ10に形成する視線移動量測定治具について説明する。
図7に示すように、測定治具50は、眼鏡100を保持する直方体状の眼鏡保持台51と、眼鏡保持台51の上面に保持された眼鏡100の2つのダミーレンズ10と対向する位置に設けられた一対のレンズ載置部52と、眼鏡100の位置を調整するためのフレーム支持部材53と、上述の基準マーク31、第1の判定マーク32、および第2の判定マーク33を形成するためのスタンプ形成部54と、を備えている。
遠用アイポイント基準点541は、円筒形状の突起部であり、その一端は溝部523に摺動可能に係合している。
また、これらの係合部の一端と遠用アイポイント基準点541の一端とを連結する連結部(図示しない)が溝部523内に設けられている。このため、遠用アイポイント基準点541と第2の突起部543とは連動して遠用アイポイント基準線EBL上を移動する。これにより、遠用アイポイント基準点541と第2の突起部543を構成する各突起バーとの距離は一定に保持される。この距離は、上述の基準マーク31と各カラーバーとの距離と同じである。
次に、測定治具50を用いてダミーレンズ10にマークを形成し、視線移動量を測定する方法について説明する。
(1−3−1.マーク形成工程)
まず、フレーム支持部材53の位置決めを行う。眼鏡フレーム20を開き、ダミーレンズ10の外側の表面がレンズ載置部52に接する向きに眼鏡100をレンズ載置部52に載置する。このとき、眼鏡フレーム20の中心がフレーム基準線FBLに一致するように載置する。ダミーレンズ10には、予め遠用アイポイントが確定され、その位置にマークが付けられている。したがって、ダミーレンズ10の遠用アイポイントと遠用アイポイント基準線EBLとが一致するように、フレーム支持部材53をフレーム枠21に当接させた状態で眼鏡100の位置の微調整を行う。
このとき、ダミーレンズ10の遠用アイポイントと遠用アイポイント基準点541とが一致するように、遠用アイポイント基準点541を可動させて位置の微調整を行う。
以上より、図1に示すようなマークが形成されたダミーレンズ10となり、視線移動量を測定可能な状態となる。
次に、視線移動量を測定する測定工程について説明する。
装用者は、マークが形成されたダミーレンズ10が装着された眼鏡100を装用し、まず、遠方視および近方視した際の視線の位置を確認し、眼球下転量の測定を行う。
具体的には、眼鏡100を装用した状態で正面視した場合の瞳中心(視線)が基準マーク31を通過するか否かを確認する(確認工程、図8(A)参照)。次に、眼鏡100を装用した状態で、読書をしている(近方視)場合の瞳中心(視線)が、第1の判定マーク32のどの位置を通過するかを確認する(判定工程、図8(B)参照)。本実施形態では、第1の判定マーク32は、第1のカラーバー321(黒)、第2のカラーバー322(緑)、第3のカラーバー323(赤)、第4のカラーバー324(青)の4本のカラーバーで形成されているので、装用者はこれらのカラーバーのうち、自分の視線が通過する位置と最も近い色を判定する。なお、本実施形態では、各カラーバー間に新たな白いラインが見えるため、白いラインを答えてもよい。
以上の工程により近方視の視線の位置が判定されるので、選択されたカラーバーまたは白いラインと基準マーク31との距離が、該装用者に対応する眼球下転量となる。
具体的には、眼鏡100を装用した状態で、側方視した場合の瞳中心(視線)が、第2の判定マーク33のどの位置を通過するかを確認する(判定工程、図8(C)参照)。本実施形態では、第2の判定マーク33は、第5のカラーバー331(黒)および第6のカラーバー332(赤)の2本のカラーバーで形成されているので、装用者はこれらのカラーバーのうち、自分の視線が通過する位置と最も近い色を判定する。なお、本実施形態では、各カラーバー間に新たな白いラインが見えるため、白いラインを答えてもよい。
以上の工程により側方視の視線の位置が判定されるので、選択されたカラーバーまたは白いラインと基準マーク31との距離が、該装用者に対応する側方視量となる。
以上のような第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
本実施形態では、各マークが形成されたダミーレンズ10を装用者が実際に装用する眼鏡フレーム20に装着した状態で、複数のカラーバーからなる第1の判定マーク32により近用アイポイントの位置を判定することで眼球下転量を求めることができる。また、複数のカラーバーからなる第2の判定マーク33により側方視の視線の位置を判定することで側方視量を求めることができる。
このように、装用者が実際に使用する眼鏡フレーム20にダミーレンズ10を装着した眼鏡を装用した状態で測定を行うので、装用者の頭および眼球運動(視覚動作)だけでなく、装用者の姿勢にも応じた測定を行うことができる。すなわち、各個人に最適な視線移動量を精度高く測定することができる。
これによれば、遠用アイポイントは固定され、近用アイポイントのみを判定するので、絶対的な位置から眼球下転量を算出することができるので操作が簡単であり、精度の高い測定を行うことができる。
したがって、販売店等で特別な技術を持たない人でも簡単に測定を行うことができる。
特に、レンズ載置部52は低反発性素材で形成されているので、ダミーレンズ10を押し付ける際にスタンプ形成部54の突起部群がダミーレンズ10の表面に密着し、確実にインクをダミーレンズ10の表面に付着させることができる。
さらに、第2の判定マーク33は、遠用アイポイント基準点541と連動して可動するため、遠用アイポイントと第2の判定マーク33との距離を一定に保持することができる。これによれば、遠用アイポイントの位置を移動させることによって第2の判定マーク33の位置を調整する必要がないので操作性が向上する。
そして、測定治具50はインクタンク55を備え、スタンプ形成部54の突起部群に各色のインクを供給する。特に、突起部群が所定の力で押し付けられた場合にインクを充填させる構成であるので、インク充填の特別な操作が必要なく操作性に優れている。
第2実施形態では、視線移動量測定治具としてスタンプ部材を用いた以外は第1実施形態と同様の構成であるので、視線移動量測定治具について説明する。
(2−1.視線移動量測定治具の構成)
図9に示すように、スタンプ部材80は、対象物に押圧する押圧部81と、押圧部81を保持する台座部82と、台座部82の押圧部81とは反対側の面に凸状に形成された把持部83と、を備えている。
押圧部81は、凹部821に摺動可能に収納され、凹部821に完全に収納された状態と凹部821から突出して収納された状態(図9(B)参照)とに変化する。すなわち、通常は凹部821から突出した状態で保持されているが、押圧面811を対象物に押し付ける際、所定の大きさの力が押圧面811(突起部)に加わると、押圧部81は凹部821に完全に収納される。インクタンクは、押圧部81が凹部821に完全に収納されたタイミングで、インクを各突起部に充填させる。
把持部83は、台座部82の押圧部81とは反対側の面の略中央の位置に形成された凸状の部材である。この把持部83を把持することにより、スタンプ部材80を移動させることができる。
そして、これらのマークが形成されたダミーレンズ10を用いて、第1実施形態と同様に視線移動量の測定を実施する。
以上のような第2実施形態によれば、スタンプ部材80を用いることにより以下の作用効果を奏することができる。なお、各マークを形成したダミーレンズ10による作用効果は第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、スタンプ部材80の押圧面811をダミーレンズ10の表面に押し付けるだけの簡単な操作でダミーレンズ10の表面に各マークを形成することができる。これによれば、特別な装置が必要ないので安価に測定を実施することができる。
第3実施形態では、装用者が実際に装用する眼鏡フレームに累進屈折力レンズを装着した眼鏡を用いて視線移動量を測定(確認)する方法について説明する。第3実施形態は、第1実施形態で測定された視線移動量に基づいて眼鏡レンズが設計され、設計された眼鏡レンズが装用者に適合するかの確認を行う場面である。
(3−1.眼鏡レンズ)
図10に示すように、眼鏡レンズ40となる累進屈折力レンズは、上方に位置する遠用部領域41と、下方に位置する近用部領域42と、これら遠用部領域41と近用部領域42との間に位置する累進帯43と、累進帯43の両側に隣接して形成される収差部である側方領域44と、を有している。
側方領域44は、非点収差領域と呼ばれるエリアである。側方領域44を通して見ると物が二重に見えたりするため、通常、装用者は側方領域44を通して物を見ない。
眼鏡レンズ40は、このような累進屈折力レンズを成形加工することにより得られ、得られた眼鏡レンズ40は眼鏡フレーム20に装着されて眼鏡101となる(図11参照)。
図11に示すように、眼鏡レンズ40は、遠用アイポイントFPを示す基準マーク31と、近用アイポイントと予測される領域に形成される第1の判定マーク32と、遠用アイポイントを通過して眼鏡レンズ40の左右方向に延びる水平注視野の一端を構成する第2の判定マーク33と、水平注視野の他端を構成する第4の判定マーク34と、を有している。
第1の判定マーク32は、近用アイポイントNPがあると予測される領域(図10の近用部領域42)に形成され、遠用アイポイントラインFLと平行な複数の線で形成される。これらの複数の線は、互いに異なる色の線で構成される。第1実施形態と同様に、遠用アイポイントFPに近い側から順に、線32B(黒)、線32R(赤)、線32G(緑)、線32Y(黄)、線32P(紫)の5本の線で構成される。
第3の判定マーク34は、眼鏡レンズ40における水平注視野の内側の一端に形成された複数の線である。これらの複数の線は、遠用アイポイントラインFLと直交する方向に直線状に延び、眼鏡レンズ40の中心側から順に、線34B(黒)、線34R(赤)、線34G(緑)、線34Y(黄)、線34P(紫)の5本の線で構成される。
眼鏡レンズ40の表面に上述の基準マーク31、第1の判定マーク32、第2の判定マーク33および第3の判定マーク34を形成する方法について説明する。
まず、図11および図12に示すように、装用者が実際に装用する眼鏡101を載置台60にセットする。
載置台60は、眼鏡101を載置したときに眼鏡レンズ40と対向する載置面611を上面として有する直方体状に形成されたベース61と、このベース61の載置面611に沿って一方向に移動自在に設けられ、眼鏡101を適切な位置で支持するフレーム支持部材62と、を備えている。
また、第1側面部612の上部、すなわち載置面611の近傍には、載置面611と平行に、凹状の切欠部614が直線状に形成されている。
次に、インクジェット法により、上述の基準マーク31、第1の判定マーク32、第2の判定マーク33および第3の判定マーク34を形成する。図12に示すように、インクジェットヘッド70のノズル71からインクを噴出し、上述の基準マーク31、第1の判定マーク32、第2の判定マーク33および第3の判定マーク34を眼鏡レンズ40に直接印刷する(マーク形成工程)。
本実施形態では、視線移動量として、眼球下転量と、水平注視野で示される眼球内転量および眼球外転量(側方視量)と、を測定する。
まず、眼球下転量を測定する方法について説明する。
装用者は、基準マーク31、第1の判定マーク32、第2の判定マーク33および第3の判定マーク34が形成された眼鏡101を装着し、まず、水平視したときの視線が遠用アイポイントFPと一致するか否かを確認する。一致しない場合は、再度遠用アイポイントの位置を調整する。
次に、装用者は、近方視したとき(例えば、読書をしている状態)の視線が通る位置(近用アイポイントNP)に最も近い線を、第1の判定マーク32の複数の線の中から判定する(判定工程)。複数の線にはそれぞれ色がつけられているので、色の名前を答えればよい。最も近用アイポイントNPに近い線が緑色である場合は、基準マーク31である遠用アイポイントラインFLから線32Gまでの距離が眼球下転量の長さLとなる。
装用者は、水平視した状態で、眼鏡レンズ40に設けられた第2の判定マーク33である複数の線のうちどの線まで見えるかを判定する。遠用アイポイントからこの線までの距離が眼球外転量(側方視量)である。また、眼鏡レンズ40に設けられた第3の判定マーク34である複数の線のうちどの線まで見えるかを判定する。遠用アイポイントからこの線までの距離が眼球内転量である。そして、判定された線と線との距離が水平注視野となる。具体的には、第2の判定マーク33のうち赤色の線33Rまで見えたと判定され、第3の判定マーク34のうち黄色の線34Rまで見えたと判定された場合は、線33Rと線34Rとの距離が水平注視野の距離となる。
以上のような第3実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
第3実施形態では、眼鏡レンズ40に基準マーク31および第1の判定マーク32を形成し、該眼鏡レンズ40を装用者が実際に装着する眼鏡フレーム20に取り付けて、視線移動量の測定を行う。
したがって、装用者が実際に使用する眼鏡フレームを装用した状態で測定を行うことができるので、装用者の頭および眼球運動(視覚動作)だけでなく、装用者の姿勢にも応じた測定を行うことができる。すなわち、各個人に最適な視線移動量を精度高く測定することができる。
したがって、装用者が実際に使用する眼鏡フレームを装用した状態で測定を行うことができるので、装用者の物を見るときの視覚運動および姿勢に応じた測定結果を得ることができる。すなわち、各個人に最適な水平注視野(視線移動量)を精度高く測定することができる。
同様に、第2の判定マーク33および第3の判定マーク34は、それぞれ互いに異なる色の複数の線で形成されている。したがって、候補が複数あることにより、水平注視野の端部を正確に判定することができる。
また、第1の判定マーク32、第2の判定マーク33および第3の判定マーク34は、互いに異なる色の複数の線で形成されているので、装用者は、測定時に実際に認識できた色を判定するだけでよい。したがって、装用者に負担をかけることなく簡単に測定を行うことができるため、販売店等で特別な技術を持たない人でも簡単に測定を行うことができ、有用性が高い。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
累進屈折力レンズの累進帯では物を見るのに適しないため、装用者は累進帯で物を見ないようにする訓練が必要である。これによれば、装用者は、ブラインド35により累進帯という領域の場所を容易に認識することができる。また、累進帯(ブラインド35)では物を見ないようにする訓練を容易に行うことができる。
したがって、販売店等で装用者に対して累進屈折力レンズの説明を行う際、説明および指導を簡単に行うことができる。
さらに、上述の変形例を組み合わせた形状にしてもよい。このような眼鏡レンズは、累進屈折力レンズの使用方法の装用者への指導を容易にすることができる。
これによれば、ダミーレンズ10または眼鏡レンズ40からマークを除去する際、テープを剥がすだけでよいので、後処理が簡単である。また、レンズに直接インクを塗布しないので、除去するために拭き取りやすいインクを選定するなど、使用するインクに制限がない。したがって、安価なインクを用いることができ、コスト削減を図ることができる。
Claims (12)
- 装用者が実際に装用する眼鏡フレームに装着される眼鏡レンズの表面に遠用アイポイントを示す基準マークを形成し、前記眼鏡レンズの表面の視線移動があると予測される領域に不透明かつ隣り合う線と線とが所定の間隔を有する複数の線を形成するマーク形成工程と、
前記眼鏡フレームを装用した装用者が、前記マーク形成工程で形成された前記複数の線のうち前記視線が通る位置に最も近い線を判定する判定工程と、を備える
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 請求項1に記載の視線移動量測定方法において、
前記複数の線は、隣り合う線の中心間距離が1.5mm以上2.5mm以下である
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 請求項1または請求項2に記載の視線移動量測定方法において、
前記線の幅は、0.1mm以上1.5mm以下である
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の視線移動量測定方法において、
前記複数の線は、少なくとも隣り合う線が異なる色で形成される
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の視線移動量測定方法において、
前記複数の線を、前記眼鏡レンズの表面の近用アイポイントがあると予測される領域に前記遠用アイポイントを通過して水平方向に延びる水平注視野と平行に形成する
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の視線移動量測定方法において、
前記複数の線を、前記遠用アイポイントを通過して水平方向に延びる水平注視野の一端を構成すると予測される領域に前記水平注視野と直交する方向に形成する
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の視線移動量測定方法において、
前記マーク形成工程は、スタンプを用いてインクを眼鏡レンズに直接形成する
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の視線移動量測定方法において、
前記マーク形成工程は、インクジェットを用いてインクを眼鏡レンズに直接形成する
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の視線移動量測定方法において、
前記マーク形成工程は、眼鏡レンズの表面に接着可能なテープの表面に前記基準マークおよび前記複数の線を形成し、装用者が実際に装用する眼鏡フレームに装着される眼鏡レンズの表面に、前記眼鏡レンズの遠用アイポイントと前記テープに形成された前記基準マークとを一致させて前記テープを貼り付ける
ことを特徴とする視線移動量測定方法。 - 眼鏡レンズが眼鏡フレームに取り付けられた眼鏡を保持する眼鏡保持台を備え、
前記眼鏡保持台の上面には、
前記眼鏡レンズに対応する位置に設けられた低反発性素材からなるレンズ載置部と、
遠用アイポイントを示す基準マーク、および前記眼鏡レンズの表面の視線移動があると予測される領域に不透明かつ隣り合う線と線とが所定の間隔を有する複数の線に対応する位置に凸状の突起部が形成されたスタンプ形成部と、を有する
ことを特徴とする視線移動量測定治具。 - 請求項10に記載の視線移動量測定治具において、
前記基準マークに対応する突起部は、前記眼鏡レンズの水平方向に移動自在に設けられている
ことを特徴とする視線移動量測定治具。 - 請求項10または請求項11に記載の視線移動量測定治具において、
前記眼鏡レンズの水平方向と直交する方向に移動自在に取り付けられ、前記眼鏡フレームを支持するフレーム支持部材をさらに備えた
ことを特徴とする視線移動量測定治具。
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