JP2011137535A - 車両の重量推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の重量を簡易に推定できるようにした車両の重量推定装置を提供する。
【解決手段】搭載されたエンジンEの出力を摩擦係合要素(油圧クラッチ)を介して変速する自動変速機を備えた車両の重量推定装置において、自動変速機に入力される入力トルクTinを算出し(S500)、自動変速機の出力回転数の変化量ΔNC推定値を算出し(S502)、変速の前後の入力トルクと出力回転数の変化量とから車両の重量を推定する(S504からS516)。より具体的には、変速の間、車両に作用する走行抵抗が変化しないとみなして変速の前後の入力トルクTin1,2と出力回転数の変化量ΔNC推定値、より具体的にはΔNC1,2とから車両の重量を推定する(S504からS516)。
【選択図】図9

Description

この発明は車両の重量推定装置に関する。
下記の特許文献1において、複数個のギヤと油圧クラッチ(摩擦係合要素)を備え、油圧クラッチに作動油を給排させて変速する自動変速機の制御装置において、変速時の油圧(作動油の圧力)の立ち上がり特性を改良する技術が提案されている。
特開2001−165290号公報
特許文献1記載の技術にあっては、予めECU(電子制御ユニット)に記憶された制御指令値に応じてリニアソレノイドを介して油圧クラッチ(摩擦係合要素)の動作を制御している。この制御指令値の算出に際しては油圧クラッチの摩擦係数、油圧クラッチやリニアソレノイドなどの個体差や劣化などの影響を考慮しなければならず、どのような状態においても所期の特性が著しく損なわれないように、設定する必要がある。
その結果、個体差や劣化などを考慮するあまり、油圧クラッチなどの潜在能力を十分に引き出すことができず、変速時に乗員が受ける変速フィーリングが必ずしも満足できるものではなかった。
また、変速時の車両加速度から摩擦係合要素の伝達トルクのばらつきなどを学習しようとするとき、車両加速度は車両の重量の影響を受けることから、車両の重量を推定するのが望ましい。その場合、重量の推定は摩擦係合要素の伝達トルクの学習値の補正に用いられることから、同種のパラメータを用いると、車両の重量を簡易に推定できて好都合である。
この発明の目的は上記した課題を解決し、車両の重量を簡易に推定できるようにした車両の重量推定装置を提供することにある。
上記した目的を解決するために、請求項1にあっては、搭載されたエンジンの出力を摩擦係合要素を介して変速する自動変速機を備えた車両の重量推定装置において、前記自動変速機に入力される入力トルクを算出する入力トルク算出手段と、前記自動変速機の出力回転数の変化量を算出する出力回転数変化量算出手段と、少なくとも変速の前後の前記入力トルクと前記出力回転数の変化量とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段を備える如く構成した。
請求項2に係る車両の重量推定装置にあっては、前記車両重量推定手段は、前記変速の間、前記車両に作用する走行抵抗が変化しないとみなして前記変速の前後の前記入力トルクと前記出力回転数の変化量とから前記車両の重量を推定する如く構成した。
請求項1に係る車両の重量推定装置にあっては、自動変速機に入力される入力トルクを算出し、自動変速機の出力回転数の変化量を算出すると共に、少なくとも変速の前後の入力トルクと出力回転数の変化量とから車両の重量を推定する如く構成したので、重量の推定に摩擦係合要素の伝達トルクの算出などと同種のパラメータを用いることとなり、車両の重量を簡易に推定することができる。
請求項2に係る車両の重量推定装置にあっては、変速の間、車両に作用する走行抵抗が変化しないとみなして変速の前後の入力トルクと出力回転数の変化量とから車両の重量を推定する如く構成したので、上記した効果に加え、走行抵抗や走行路の勾配の影響を受けることなく、車両の重量を推定することができる。
この発明の実施例に係る車両の重量推定装置を全体的に示す概略図である。 図1に示す装置の動作を示すフロー・チャートである。 図2フロー・チャートの学習値の読み出し処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図2フロー・チャートの目標クラッチトルクの算出処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図2フロー・チャートなどに記載されるG波形とΔNC推定値などを示す波形図である。 変速におけるΔNC推定値などを示す波形図である。 図2フロー・チャートのG波形学習処理を車両の重量推定処理も含めて示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図7フロー・チャートのG波形評価許可判断処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図7フロー・チャートの車両の重量推定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図9フロー・チャートの車両の重量推定処理を説明する説明図である。 図9フロー・チャートの車重(車両イナーシャ)推定値算出処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図7フロー・チャートの学習値書き込み処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図12フロー・チャートの学習許可判断処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図12フロー・チャートの学習Δトルク算出・書き込み処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図14フロー・チャートで算出されて書き込まれる学習Δトルクのマップ値としての特性を示す説明図である。
以下、添付図面を参照してこの発明に係る車両の重量推定装置を実施するための形態について説明する。
図1はこの発明の実施例に係る車両の重量推定装置を全体的に示す概略図である。
以下説明すると、符号Tは自動変速機(以下「トランスミッション」という)を示す。トランスミッションTは車両(図示せず)に搭載されてなると共に、前進5速および後進1速の速度段を有する平行軸式の有段型からなる。
トランスミッションTは、エンジン(内燃機関)Eのクランクシャフトに接続されるアウトプットシャフト10にロックアップ機構Lを有するトルクコンバータ12を介して接続されたメインシャフト(入力軸)MSと、このメインシャフトMSに複数のギヤ列を介して接続されたカウンタシャフト(出力軸)CSとを備える。エンジンEは複数気筒を備えると共に、ガソリンを燃料とする火花点火式のエンジンからなる。
メインシャフトMSには、メイン1速ギヤ14、メイン2速ギヤ16、メイン3速ギヤ18、メイン4速ギヤ20、メイン5速ギヤ22、およびメインリバースギヤ24が支持される。
また、カウンタシャフトCSには、メイン1速ギヤ14に噛合するカウンタ1速ギヤ28、メイン2速ギヤ16と噛合するカウンタ2速ギヤ30、メイン3速ギヤ18に噛合するカウンタ3速ギヤ32、メイン4速ギヤ20に噛合するカウンタ4速ギヤ34、メイン5速ギヤ22に噛合するカウンタ5速ギヤ36、およびメインリバースギヤ24にリバースアイドルギヤ40を介して接続されるカウンタリバースギヤ42が支持される。
上記において、メインシャフトMSに相対回転自在に支持されたメイン1速ギヤ14を1速用油圧クラッチ(摩擦係合要素。以下同様)C1でメインシャフトMSに結合すると、1速(ギヤ。速度段)が確立する。
メインシャフトMSに相対回転自在に支持されたメイン2速ギヤ16を2速用油圧クラッチC2でメインシャフトMSに結合すると、2速(ギヤ。速度段)が確立する。カウンタシャフトCSに相対回転自在に支持されたカウンタ3速ギヤ32を3速用油圧クラッチC3でカウンタシャフトCSに結合すると、3速(ギヤ。速度段)が確立する。
カウンタシャフトCSに相対回転自在に支持されたカウンタ4速ギヤ34をセレクタギヤSGでカウンタシャフトCSに結合した状態で、メインシャフトMSに相対回転自在に支持されたメイン4速ギヤ20を4速−リバース用油圧クラッチC4RでメインシャフトMSに結合すると、4速(ギヤ。速度段)が確立する。
また、カウンタシャフトCSに相対回転自在に支持されたカウンタ5速ギヤ36を5速用油圧クラッチC5でカウンタシャフトCSに結合すると、5速(ギヤ。速度段)が確立する。
さらに、カウンタシャフトCSに相対回転自在に支持されたカウンタリバースギヤ42をセレクタギヤSGでカウンタシャフトCSに結合した状態で、メインシャフトMSに相対回転自在に支持されたメインリバースギヤ24を4速−リバース用油圧クラッチC4RでメインシャフトMSに結合すると、後進速度段が確立する。
カウンタシャフトCSの回転は、ファイナルドライブギヤ46およびファイナルドリブンギヤ48を介してディファレンシャルDに伝達され、それから左右のドライブシャフト50,50を介し、エンジンEおよびトランスミッションTが搭載される車両(図示せず)の駆動輪W,Wに伝達される。
車両運転席(図示せず)のフロア付近にはシフトレバー54が設けられ、運転者の操作によって8種のレンジ、P,R,N,D5,D4,D3,2,1のいずれか選択される。
エンジンEの吸気路(図示せず)に配置されたスロットルバルブ(図示せず)はDBW(Drive By Wire)機構55に接続される。即ち、スロットルバルブはアクセルペダル(図示せず)との機械的な連結が断たれ、電動機などのアクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
DBW機構55のアクチュエータの付近にはスロットル開度センサ56が設けられ、アクチュエータの回転量を通じてスロットル開度THを示す信号を出力する。またファイナルドリブンギヤ48の付近には車速センサ58が設けられ、ファイナルドリブンギヤ48が1回転するごとに車速Vを示す信号を出力する。
更に、カムシャフト(図示せず)の付近にはクランク角センサ60が設けられ、特定気筒の所定クランク角度でCYL信号を、各気筒の所定クランク角度でTDC信号を、所定クランク角度を細分したクランク角度(例えば15度)ごとにCRK信号を出力する。また、エンジンEの吸気路のスロットルバルブ配置位置の下流には絶対圧センサ62が設けられ、吸気管内絶対圧(エンジン負荷)PBAを示す信号を出力する。
また、メインシャフトMSの付近には第1の回転数センサ64が設けられ、メインシャフトMSの回転数(トランスミッションTの入力回転数)NMを示す信号を出力すると共に、カウンタシャフトCSの付近には第2の回転数センサ66が設けられ、カウンタシャフトCSの回転数(トランスミッションTの出力回転数)NCを示す信号を出力する。
さらに、車両運転席付近に装着されたシフトレバー54の付近にはシフトレバーポジションセンサ68が設けられ、前記した8種のポジション(レンジ)の中、運転者によって選択されたポジションを示す信号を出力する。
さらに、トランスミッションTの油圧回路Oのリザーバの付近には温度センサ70が設けられて油温(作動油Automatic Transmission Fluidの温度)TATFに比例した信号を出力すると共に、各クラッチに接続される油路には油圧スイッチ72がそれぞれ設けられ、各クラッチに供給される油圧が所定値に達したとき、ON信号を出力する。
また車両運転席のブレーキペダル(図示せず)の付近にはブレーキスイッチ74が設けられ、運転者のブレーキペダル操作に応じてON信号を出力すると共に、アクセルペダル(図示せず)の付近にはアクセル開度センサ76が設けられ、運転者のアクセル開度(アクセルペダル踏み込み量)APに応じた出力を生じる。
これらセンサ56などの出力は、ECU(電子制御ユニット)80に送られる。
ECU80は、CPU82,ROM84,RAM86、入力回路88、および出力回路90からなるマイクロコンピュータから構成される。マイクロコンピュータはA/D変換器92を備える。
前記したセンサ56などの出力は、入力回路88を介してECU80内に入力され、アナログ出力はA/D変換器92を介してデジタル値に変換されると共に、デジタル出力は波形整形回路などの処理回路(図示せず)を経て処理され、前記RAM86に格納される。
前記した車速センサ58の出力およびクランク角センサ60のCRK信号出力はカウンタ(図示せず)で時間間隔が計測され、車速Vおよびエンジン回転数NEが検出される。第1の回転数センサ64および第2の回転数センサ66の出力もカウントされ、トランスミッションの入力軸回転数NMおよび出力軸回転数NCが検出される。
ECU80においてCPU82は行先段あるいは目標段(変速比)を決定し、出力回路90および電圧供給回路(図示せず)を介して油圧回路Oに配置されたシフトソレノイドSL1からSL5を励磁・非励磁してクラッチ油路の切替え制御を行うと共に、リニアソレノイドSL6からSL8を励磁・非励磁して変速に関係する油圧クラッチCnとトルクコンバータ12のロックアップ機構Lへの供給油圧を制御する。
さらに、CPU82はエンジンEの燃料噴射量と点火時期を決定し、インジェクタ(図示せず)を介して決定された噴射量の燃料を供給すると共に、点火装置(図示せず)を介して決定された点火時期に従って噴射された燃料と吸気の混合気を点火する。
次いで、この発明に係る車両の重量推定装置の動作を説明する。
図2はその処理を示すフロー・チャートである。図示のプログラムはCPU82によって所定時間ごとに実行される。
以下説明すると、S10においてΔNC推定値を算出する。
ΔNC推定値は、今回の(プログラムループ時の)NC(第2の回転数センサ66で検出されるカウンタシャフトCSの回転数(トランスミッションTの出力回転数、換言すれば車速V))と前回の(プログラムループ時の)NCを減算して得られた差を意味し、[rad/s]で表わされる。尚、ΔNC推定値の算出は、回転数センサ66の出力をローパスフィルタでフィルタリングして高周波ノイズを除去した波形に対して行われる。
次いでS12に進み、UP(アップ)シフト、即ち、1速から2速、2速から3速などのアップシフトにあるか否か判断する。この実施例はアップシフト変速を評価するように構成されることから、例えばダウンシフト、アップシフトであったが終了している場合、そもそも変速状態にない場合などは否定される。
S12で肯定されるときはS14に進み、学習値を読み出す。
図3はその処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートであり、S100において学習Δトルクマップを検索して学習Δトルク(学習値。変速先の速度段用の油圧クラッチCnの学習による伝達トルクの増減補正分)を読み出す。
この実施例においては速度段ごとに学習Δトルクが算出され、RAM86にマップ値として格納される。即ち、後述する学習値書き込み処理において学習値として学習Δトルクが算出され、RAM86に速度段ごとに格納されたマップに伝達トルクと車速から検索自在に格納される。
S100ではその中から速度段に相当するマップを選択し、伝達トルクと車速から学習Δトルクを読み出す(検索する)。伝達トルクは、エンジンEのエンジン回転数NEと負荷(例えば吸気管内絶対圧PBA)とトルクコンバータ12のスリップ率ETRから算出する。
図2フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS16に進み、目標クラッチトルクを算出する。
図4はその処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートであり、S200において目標クラッチトルクを目標I(イナーシャ)相クラッチトルクとして算出する。
目標I相クラッチトルクは、前記した変速先の速度段用の油圧クラッチCnの伝達トルクにS14で読み出された学習Δトルクを加算することで算出する。S200で算出された値がS16で目標クラッチトルクとされる。
図2フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS18に進み、変速先の速度段用の油圧クラッチCnのI相のトルクが算出された目標クラッチトルクとなるように、リニアソレノイドSL6からSL8を励磁・消磁して供給油圧を制御する。
他方、S12で否定されるときはS20に進み、G波形を学習する。尚、この明細書でGとは車両加速度、より正確には車両の前後加速度を意味し、G波形とは車両加速度の波形を意味する。
図5はG波形と前記したΔNC推定値などを示す波形図、図6も変速におけるΔNC推定値などを示す波形図である。
図5から明らかな如く、車両加速度Gの波形とΔNC推定値と等価なので、この実施例においてはΔNC推定値が車両加速度Gを示すものとみなし、図6に示す如く、ΔNC推定値から変速時の車両加速度を推定・評価し、それから摩擦係合要素の伝達トルクのばらつきなどを学習するようにした。
尚、図5と図6においてGRATIOはトランスミッションTの入力回転数NMと出力回転数NCの比、即ち、NC/NMを示し、トランスミッションTの変速の進行状態を示す。
図7は、図2フロー・チャートのG波形学習処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
以下説明すると、S300においてG波形評価許可判断を行う。
図8はその処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
先ずS400においてUPシフトか否か判断する。この実施例はアップシフト変速を評価するように構成されることから、例えばダウンシフトの場合、そもそも変速していない場合などは否定されてS402に進み、UPシフト後の定常状態にあるか否か判断する。
これは、UPシフト後の車両の走行状態が過渡状態にあるときはG波形を適正に評価し難いからである。従ってS402で否定されるときはS404に進み、許可フラグのビットを0にリセットする。
一方、S400あるいはS402で肯定されるときはS406に進み、UPシフト後初回、即ち、アップシフトが終了して初めてのプログラムループか否か判断する。
S406で肯定されるときはS408に進み、アクセル開度APの値をラッチ(保存)する一方、S406で否定されるときはS410に進み、許可フラグが0にリセットされているか否か判断し、肯定されるときはS404に進む。
他方、S410で否定されるときはS412に進み、アクセル開度APの変動判断を実行する。これは検出されたアクセル開度センサ76から検出されたアクセル開度APを適宜なしきい値と比較し、そのしきい値を超えるか否か判定することで行う。
次いでS414に進み、S412で検出値がしきい値を超えると判定されたか否か判断し、肯定されるときはアクセル開度APが変動したと判断してS404に進む一方、否定されるときはS416に進み、許可フラグのビットを1にセットする。
このように、UPシフトにあるかあるいはUPシフト後の車両の走行状態が定常状態にあり、かつアクセル開度APが変動しない走行状態を選択してG波形(より正確にはΔNC推定値)からアップシフト変速を評価する。
図7フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS302に進み、許可フラグのビットからG波形評価が許可されたか否か判断し、肯定されるときはS303に進み、重量推定、即ち、車両の重量推定を実行する。
図9はその処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
以下説明すると、S500においてエンジンEからトランスミッションTに入力される入力トルクTinを算出する。
これは前記したS200で算出される油圧クラッチCnの伝達トルクと同様、エンジンEのエンジン回転数NEと負荷とトルクコンバータ12のスリップ率ETRから算出する。尚、入力トルクTinの算出は所定時間の移動平均を求めて行う。
次いでS502に進み、ΔNC推定値を算出する。これはS10と同様の処理で算出する。尚、ΔNC推定値の算出も所定時間の移動平均を求めて行う。
図9フロー・チャートの説明を続ける前に、図10を参照してこの実施例における車両の重量の推定手法を説明する。
同図(a)に示す如く、車両が変速(例えばシフトアップ)するとき、車両のトルク伝達式は同図(b)に示すように表わすことができる。変速前の値に1、変速後の値に2からなる添え字を付す。図10で「ΔNC推定値」は「ΔNC1」などと示す。
ここで、変速区間において走行路の勾配の変化がなく、車速変化が小さいと仮定すると、換言すれば走行抵抗が一定とみなすことができ、同図(b)の末尾に示す如く、出力トルクの変化量とΔNC(ΔNC推定値)変化量とから車重(車両の重量)を推定することができる。
また、変速前の入力トルクTin1と変速後の入力トルクTin2が等しい場合でも、出力トルクにおいて変速段のレシオ(変速比)分の差(公比)が発生するため、車両のイナーシャIvを求めることができ、それから車重を求めることができる。
図9フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS504に進み、運転者の要求に応じたシフト信号の変化などから変速か否か判断し、肯定されるときはS506に進み、変速前入力トルク(Tin1)の値をラッチ(保存)し、S508に進み、変速前ΔNC推定値(ΔNC1)をラッチ(保存)する。
他方、S504で否定されるときはS510に進み、前記したGRATIOの値から変速が終了したか判断し、否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS512に進み、変速後入力トルク(Tin2)の値をラッチ(保存)し、S514に進み、変速後ΔNC推定値(ΔNC2)をラッチ(保存)する。
次いでS516に進み、車重(車両イナーシャ)推定値を算出(車両の重量を推定)する。
図11はその処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
以下説明すると、S600において図示の式に従って車両イナーシャ推定値を算出する。図示の式は図10(b)の末尾に示す式を変形したものである。尚、車両イナーシャ推定値はカウンタシャフトCS上の換算値として算出される。
次いでS602に進み、車両イナーシャ推定値を駆動輪(タイヤ)Wの動半径の二乗で除算し、よって得た商をファイナルレシオ(最終減速比)に相当する減速比で除算して車重推定値を算出(車両の重量を推定)する。
図7フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS304に進み、UPシフトか否か判断する。
S304で肯定されるときはS306に進み、T(トルク)相の引き込み点を検出する。これは、図6に示すようなΔNC推定値の最小値を検出することで行う。
次いでS308に進み、ΔNC推定値の最小値の検出時点の後の、T相に続くI相の初期平均GをΔNC推定値から算出する。ここでI相の「初期」とは、GRATIOから検索される区間であり、変速前の速度段用の油圧クラッチCnとの係合を外れ、変速先の速度段用の油圧クラッチCnと係合を始めた後所定の状態まで係合が進行している区間を意味する。
S308のI相初期平均Gは、ΔNC推定値が車両加速度Gを示すとみなすと共に、図6に丸Aで示すΔNC推定値をI相初期平均Gとして求めることで算出する。I相初期平均Gは具体的には、上記の区間のΔNC推定値の積分値を積算回数で除算して平均値を求めることで算出する。
他方、S304で否定されるときはS310に進み、車両の走行状態が定常状態にあるか否か判断し、肯定されるときはS312に進み、変速後平均G、より正確にはS304で肯定されたときの新たなUPシフトが終了した後の平均G(図6に丸Bで示す)を算出する。
変速後平均Gも、トランスミッションTの入力回転数NMと出力回転数NCの比を示すGRATIOから変速の終了を判定すると共に、ΔNC推定値が車両加速度Gを示すとみなし、変速後GをΔNC推定値から算出し、算出値を複数回(例えば10回)求めてその平均値を求めることで算出する。
次いでS314に進み、I相初期Gを算出する。これは、図6に丸Aで示す、S308で算出されたI相初期平均G(出力回転数の変化量の平均値)から丸Bで示す、S312で算出された変速後平均G(車両加速度の平均値)を減算して差、即ち、(丸Aの平均値−丸Bの平均値)を求めることで算出する。
次いでS316に進み、学習値を書き込む。尚、S302で否定されるときはS318に進み、S306などの算出値を初期化(リセット)する。
図12は学習値書き込み処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
以下説明すると、S700で学習許可判断、即ち、車両の状態が学習の許可される状態にあるか否か判断する。
図13はその処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
以下説明すると、S800において算出された車重推定値がしきい値を超えるか否か判断し、肯定されるときはS802に進み、学習を禁止する一方、否定されるときはS804に進み、学習を許可する。
図12フロー・チャートに戻ると、次いでS702に進み、S700の判断から学習が許可されたか否か判断し、肯定されるときはS704に進み、学習Δトルク(変速先の速度段用の油圧クラッチCnの学習による伝達トルクの補正分)を算出して書き込む。
図14はその処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
以下説明すると、S900において図示の式に従って学習Δトルクを算出する。即ち、前回学習Δトルクに、S314で算出されたI相初期GとS602で算出された車重推定値と収束係数とを乗じて得た積を加算して学習Δトルク(今回の)を算出する。換言すれば、推定された車両の重量で学習値を補正する。
上記した収束係数は、出力や評価のばらつきが減少して学習が安定に収束すると共に、学習による変速フィーリングの急激な変化を防止し、運転者が収束過程で違和感を受けないように、積分制御を用いて適宜設定される。
尚、前記した通り、算出された学習Δトルクは、図15に示す如く、RAM86に変速先の速度段ごとに格納された学習Δトルクマップに油圧クラッチCnの伝達トルクと車速から検索自在に書き込まれる(格納される)。
図12フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS706に進み、Δトルクリミット処理を行う。具体的には、S704で算出された値がトルク上下限値を下回らないようにリミット処理を行い、S708に進み、学習カウントUP(アップ)を実行する。
即ち、S704で学習Δトルクが算出された回数をカウントすると共に、カウントされた回数をRAM86に格納されたマップに同様に変速先の速度段用の油圧クラッチCnの伝達トルクと車速からRAM86に検索自在に書き込む(格納する)。
尚、説明が逆となったが、図9フロー・チャートの処理で算出された学習値が図2フロー・チャートのS14で読み出され、その値からS16で目標クラッチトルクが算出され、S18で算出された目標クラッチトルクとなるようにリニアソレノイドSLnの動作が制御される。
上記した如く、この実施例にあっては、搭載されたエンジンEの出力を摩擦係合要素(油圧クラッチCn)を介して変速する自動変速機(トランスミッション)Tを備えた車両の重量推定装置(ECU80)において、前記自動変速機に入力される入力トルクTinを算出する入力トルク算出手段(S500)と、前記自動変速機の出力回転数の変化量ΔNC推定値を算出する出力回転数変化量算出手段(S502)と、少なくとも変速の前後の前記入力トルクと前記出力回転数の変化量とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段(S504からS516,S600,S602)備える如く構成したので、車両の重量の推定に油圧クラッチ(摩擦係合要素)Cnの伝達トルクの算出などと同種のパラメータを用いることとなり、車両の重量を簡易に推定することができる。
また、前記車両重量推定手段は、前記変速の間、前記車両に作用する走行抵抗が変化しないとみなして前記変速の前後の前記入力トルクTin1,2と前記出力回転数の変化量ΔNC推定値、より具体的にはΔNC1,2とから前記車両の重量を推定する(S504からS516,S600,S602。図10)如く構成したので、上記した効果に加え、走行抵抗や走行路の勾配の影響を受けることなく、車両の重量を推定することができる。
また、摩擦係合要素(油圧クラッチCn)を介して車両に搭載されたエンジンEの出力を変速する自動変速機(トランスミッション)Tの制御装置(ECU80)において、前記自動変速機の入力回転数NMを検出する入力回転数検出手段(回転数センサ64,ECU80)と、前記自動変速機の出力回転数NCを検出する出力回転数検出手段(回転数センサ66,ECU80)と、前記出力回転数の変化量を算出する出力回転数変化量算出手段(S10)と、変速のイナーシャ相初期の所定期間における前記出力回転数の変化量の平均値(I相初期平均G)を算出するイナーシャ相出力回転数変化量平均値算出手段(S20,S308)と、前記変速が終了した後の前記出力回転数の変化量の平均値(変速後平均G)を算出する変速後出力回転数変化量平均値算出手段(S20,S312)と、前記イナーシャ相初期の出力回転数の変化量の平均値と前記変速が終了した後の出力回転数の変化量の平均値の差(I相初期G)を算出する平均値差算出手段(S20,S314)と、前記算出された差が所定の範囲に入るように前記摩擦係合要素の係合状態を学習値を用いて制御する学習制御手段(S20,S316,S14からS18)とを備えると共に、前記学習制御手段は、上記した車両の重量推定装置によって推定された車両の重量で前記学習値を補正する(S316,S700からS708,S900)如く構成したので、変速時の車両加速度を推定・評価し、それから油圧クラッチ(摩擦係合要素)Cnの伝達トルクのばらつきなどを学習することとなり、油圧クラッチの潜在能力を十分に引き出すことができ、よって変速時に乗員が受ける変速フィーリングを改良することができる。
即ち、S900で使用されるG波形評価値あるいは収束係数を適宜設定することで、図6に示す如く、算出された差(I相初期G)が所定の範囲に入るように油圧クラッチCnの伝達トルク(クラッチトルク指令値)を増減補正し、増減補正された伝達トルクとなるように油圧クラッチCnへの供給油圧を制御することができ、図5に矢印で示す如く、変速時のイナーシャ(I)相の車両加速度G(とΔNC推定値)を低下させることができる。
換言すれば、変速時の車両加速度GをΔNC推定値から推定・評価し、それから油圧クラッチCnの伝達トルクのばらつきなどを学習することとなって油圧クラッチCnなどの潜在能力を十分に引き出すことができ、よって変速時に乗員が受ける変速フィーリングを改良することができる。
また、上記した車両の重量推定装置によって推定された車両の重量で学習値を補正する(S316,S700からS708,S900)如く構成したので、車両加速度が車両の重量の影響を受けて学習値が誤った値となるのを防止して学習値を安定に収束させることができる。
また、前記学習制御手段は、前記推定された車両の重量がしきい値を超えるとき、学習を禁止する(S316,S700、S800からS804)如く構成したので、上記した効果に加え、車両の重量の影響が大きすぎるような場合には学習を禁止することができ、誤学習となるのを防止することができる。
尚、上記において、この発明を平行軸式の自動変速機を例にとって説明したが、この発明はプラネタリ型の自動変速機にも妥当する。
T 自動変速機(トランスミッション)、E エンジン(内燃機関)、O 油圧回路、12 トルクコンバータ、L ロックアップ機構、14,16,18,20,22,24,28,30,32,34,36,42 ギヤ、Cn 油圧クラッチ(摩擦係合要素)、55 DBW機構、58 車速センサ、60 クランク角センサ、62 絶対圧センサ、64,66 回転数センサ、76 アクセル開度センサ、80 電子制御ユニット(ECU)

Claims (2)

  1. 搭載されたエンジンの出力を摩擦係合要素を介して変速する自動変速機を備えた車両の重量推定装置において、前記自動変速機に入力される入力トルクを算出する入力トルク算出手段と、前記自動変速機の出力回転数の変化量を算出する出力回転数変化量算出手段と、少なくとも変速の前後の前記入力トルクと前記出力回転数の変化量とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段を備えたことを特徴とする車両の重量推定装置。
  2. 前記車両重量推定手段は、前記変速の間、前記車両に作用する走行抵抗が変化しないとみなして前記変速の前後の前記入力トルクと前記出力回転数の変化量とから前記車両の重量を推定することを特徴とする請求項1記載の車両の重量推定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015137563A (ja) * 2014-01-21 2015-07-30 株式会社デンソー 燃料噴射制御装置
CN106812931A (zh) * 2015-12-01 2017-06-09 通用汽车环球科技运作有限责任公司 加速度补偿阀门控制式变速器

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