JP2011137527A - 制振装置及びこれを搭載した車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】過電流対策を適切に施した制振装置を提供する。
【解決手段】制振すべき位置から検出される振動検出信号sgと適応フィルタ係数(Re、Im)を算出し基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)に基づき基本次数適応アルゴリズムブロック4aに、制振すべき位置に振動発生源であるエンジンgnからの振動に対し逆相となる振動を加振手段2を通じて発生させる基本次数適応アルゴリズムブロック4aで、基本次数電流上限超過信号S41が入力されている間、基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)を予め定めた範囲内で制振電流指令I41が制限される方向に修正させることとした。
【選択図】図3

Description

本発明は、過電流対策を適切に施した制振装置及びこれを搭載した車両に関するものである。
レシプロモータ等のリニアアクチュエータを電気的に駆動する際は、可動子の固定子への衝突、コントローラ電流上限値以上の電流が流れることによるコントローラの破損等が発生する可能性がある。可動子の固定子への衝突は騒音、異常振動の発生、寿命劣化につながり、コントローラの破損はデバイスの焼損につながり、何れも未然に防止しなければならない。
このような対策として、電流制御指令を不具合発生前に制限(クランプ)し、異常処理を行う手法が有効な手立てとして考えられている。
例えば、特許文献1の図20に示されるものは、エンジン回転数等を入力して、加振手段に発生させるべき振動の振幅指令値と周波数指令値とを演算により求めて出力する指令値生成部と、前記指令値生成部から出力される振幅指令値と周波数指令値とから決まる印加可能な電流値の上限が周波数毎に定義された振幅上限クランプテーブルと、印加電流生成部とを備えている。印加電流生成部は、前記振幅指令値と前記周波数指令値とを入力し、振幅上限クランプテーブルを参照して、入力した振幅指令値を適切な(可動)範囲に制限するための補正を行い、入力された周波数指令と、この補正(制限)後の振幅指令値とに基づいて、レシプロモータを用いた加振手段に対して印加すべき電流の指令値を求めて出力するものである。そして、リニアアクチュエータの可動子を常に適切な可動範囲内で駆動することで、ストッパへの衝突を避け、衝突音の発生を抑制することができるものとなっている。
また、モータ電流指令はいくつかの要素の重畳により成り立っていることが多く、この場合、その総和値が制振電流指令値となる。
例えば、特許文献1の図10に示されるものは、エンジン回転数等を入力して電流指令値を出力するまでのラインが1次(基本次数)の振動モード、2次(高次次数)の振動モードそれぞれに設けられており、これらの電流指令値の総和が重畳電流指令としてレシプロモータに入力されるようになっている。
国際公開第2007/129627号
ところが、特許文献1に示される構成において、振幅上限クランプテーブルを参照して入力した振幅指令値を適切な範囲に制限する際の補正を、単に上限を超える超過電流を即座にカット(頭切り)する一般的なクランプ制御によって行うと、クランプ時に電流指令に高調波が発生し、加振手段の異常振動を励起してしまう。
また、特許文献1に示される電流クランプを特許文献2の構成に適用しようとした場合、基本次数と高次次数からの電流指令をどのような配分で制限してよいかが明確ではない。
さらに、これらの文献を始めとして、従来の制振装置には、リニアアクチュエータに多大な外力が加わった場合や、高周波領域において電圧飽和が発生した場合の保護がなされておらず、制御破綻をきたすおそれがある。
本発明は、これらの課題を有効に解決した制振装置およびこれを搭載した車両を提供することを目的としている。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明の制振装置は、基本周波数から基準波を生成する基準波生成手段と、制振すべき位置から検出される振動検出信号と前記基準波とから基本次数適応フィルタ係数を算出し当該基本次数適応フィルタ係数に基づき基本次数制振電流指令を生成して制振すべき位置に前記振動発生源からの振動に対し逆相となる振動を加振手段を通じて発生させる基本次数適応制御手段と、前記基本次数制振電流指令のピーク電流値を算出する振幅検出手段と、基本周波数から予め定めた基本次数電流上限値を導出し前記基本次数制振電流指令のピーク電流値が前記基本次数電流上限値を超過している場合に基本次数電流上限超過信号を生成して前記基本次数適応制御手段に入力する基本次数電流超過検出手段とを具備し、前記基本次数適応制御手段は、前記基本次数電流上限超過信号が入力されている間、前記基本次数適応フィルタ係数を予め定めた範囲内で制振電流指令が制限される方向に修正することを特徴とする。
予め定めた範囲とは、制振電流指令の大幅な変動を抑える趣旨である。
このように構成すると、制振電流指令が超過している場合に、即座に制振電流指令の超過分をカットするのではなく、予め定めた範囲で制振電流指令を制限する修正を繰り返すので、高調波の発生を回避しながら、可動子の固定子への衝突やコントローラの破損等を有効に防止することができる。
この場合の基本次数に対する制御は、必ずしも高次次数に対する制御を前提としたものではない。
ただ、高次次数に対する対策が同時に必要となる場合には、高次次数に対する電流の制限を上記基本次数に対する電流の制限と有効な連携を保って行うために、基本周波数から高次基準波を生成する高次基準波生成手段と、前記振動検出手段から得られる振動検出信号と前記高次基準波とから高次適応フィルタ係数を算出し当該高次適応フィルタ係数に基づき高次制振電流指令を生成して前記基本次数制振電流指令とともに制振すべき位置に振動発生源からの振動に対し逆相となる振動を加振手段を通じて発生させる高次適応制御手段と、前記高次制振電流指令の高次ピーク電流値を算出する振幅検出手段と、基本周波数から予め定めた高次電流上限値を導出し前記高次制振電流指令のピーク電流値が前記高次電流上限値から前記基本次数ピーク電流値を減じた値を超過している場合に高次電流上限超過信号を生成して前記高次適応制御手段に入力する高次電流超過検出手段とを更に具備し、前記高次適応制御手段は、前記高次電流上限超過信号が入力されている間、前記高次適応フィルタ係数を算出する毎に当該高次適応フィルタ係数を予め定めた範囲内で高次制振電流指令が制限される方向に修正することが望ましい。
さらに、前記適応制御手段で生成される制振電流指令に更に補正を加える電流補正部を備える場合には、補正後の電流指令値が予め設定した電流上限値を超過している場合に補正後電流超過信号を生成して前記適応制御手段に入力する補正後電流超過検出手段を設けて、前記適応制御手段に、前記補正後電流超過信号が入力されている場合にも、前記適応フィルタ係数を算出する毎に当該適応フィルタ係数を予め定めた範囲内で制振電流指令が制限される方向に修正する制御を行わせることが有効となる。
また、これらにおいて、電圧異常に起因して制御が破綻することを有効に防止するためには、加振手段への制振電流指令の入力ラインに現れる電圧指令値を検出して当該電圧指令値が予め設定した加振手段に許容される電圧指令の上限しきい値を超過した場合に前記適応制御手段に電圧指令上限検出信号を入力する電圧指令上限検出手段を更に具備し、前記適応制御手段が、前記電圧指令上限検出信号が入力されている場合にも、前記適応フィルタ係数を算出する毎に当該適応フィルタ係数を予め定めた範囲内で制振電流指令を絞り込む方向に修正する制御を行うように構成しておくことが有効である。
効果的なクランプ特性を付与するためには、前記適応制御部を、前記振動検出部から入力される入力信号を積分しながら適応フィルタ係数を更新する処理を繰り返すものにして、制振電流指令を制限する際、前記積分値を小さく絞り込む処理を行うように構成しておくことが望ましい。
本発明の制振装置は、車両に搭載してエンジンから発生する振動を制振する上で特に好適に適用が可能である。
本発明は、以上説明したように、電流指令の超過を検出して適応フィルタ係数にフィードバックし、当該電流指令を適正値に向かって漸減させるようにしているので、高調波の発生を回避しながら、可動子の固定子への衝突やコントローラの破損等を有効に防止して、制振装置としての信頼性と耐久性を有効に向上させることができるという優れた効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る制振装置を車両に適用した模式的な構成図。 同制振装置を構成するリニアアクチュエータを備えた加振手段の模式的な構成図。 本発明の一実施形態における基本次数の制振制御に係る構成を示すブロック図。 同実施形態において電流クランプテーブルに設定された上限値及びこれを導出する概念を示す図。 本発明の一実施形態における高次次数の制振制御に係る構成を示すブロック図。 同実施形態における電流補正部に対応した制振制御に係る構成を示すブロック図。 同実施形態における電流補正部の一例であるダンピング制御に係る構成を示すブロック図。 同実施形態における電圧異常に対応した制振制御に係る構成を示すブロック図。 適応フィルタ係数とその係数により表現されるベクトルを示す説明図。 適応フィルタ係数とその係数により表現されるベクトルを示す説明図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
この実施形態の制振装置は、図1に示すように、自動車等の車両に搭載されるものであり、座席st等の制振すべき位置posに設けた加速度センサ等の振動検出手段1と、所定の質量を有する補助質量2aを振動させることにより相殺振動vi2を発生するリニアアクチュエータ20を用いた加振手段2と、振動発生源gnであるエンジンの点火パルスから取り出される基本周波数fから基準波ejθを生成する基準波生成手段3と、振動検出手段1からの振動検出信号sgと前記基準波ejθとを入力し加振手段2に相殺振動vi2を発生させる適応制御手段4とを有し、車体フレームfrmにマウンタgnmを介して搭載されたエンジン等の振動発生源gnで生じる振動vi1と加振手段2で発生させる相殺振動vi2とを制振すべき位置posで相殺させて制振すべき位置posにおける振動を低減するものである。
振動検出手段1は、加速度センサ等を用いてエンジンの主振動方向と同一方向の主振動を検出し、振動検出信号sg{=Asin(θ+φ)}を出力する。
リニアアクチュエータ20は、図2に示すように、永久磁石を備える固定子22を車体フレームfrmに固定し、抑制するべき振動方向と同方向の往復動(図2の紙面では上下動)を可動子23に行わせるようにしたレシプロタイプのものである。ここでは、車体フレームfrmの抑制すべき振動の方向と可動子23の往復動方向(推力方向)とが一致するように、車体フレームfrmに固定される。可動子23は補助質量21とともに軸25に取り付けられ、この軸25は可動子23及び補助質量21を推力方向に移動可能なように板バネ24を介して固定子22に支持されている。リニアアクチュエータ20と補助質量21によって、動吸振器が構成されていることになる。
リニアアクチュエータ20を構成するコイル(図示せず)に交流電流(正弦波電流、矩形波電流)を流した場合、コイルに所定方向の電流が流れる状態では、磁束が、永久磁石においてS極からN極に導かれることにより、磁束ループが形成される。その結果、可動子23は、重力に逆らう方向(上方向)に移動する。一方、コイルに対して所定方向とは逆方向の電流を流すと、可動子23は、重力方向(下方向)に移動する。可動子23は、交流電流によるコイルへの電流の流れの方向が交互に変化することにより以上の動作を繰り返し、固定子22に対して軸25の軸方向に往復動することになる。これにより、軸25に接合されている補助質量21が上下方向に振動することになる。このリニアアクチュエータ20それ自体のより具体的な構造や動作説明は特許文献1等にも開示されているように公知であるため、詳細は省略する。可動子23は図示しないストッパによって動作範囲が規制されている。リニアアクチュエータ20と補助質量21とによって構成される動吸振器は、アンプ6から出力される電流制御信号ssに基づいて、補助質量21の加速度を制御して制振力を調節することにより、車体フレームfrmに発生する振動を相殺して振動を低減することができる。
基本次数の基準波生成手段3(31)は、図3に示すように、基本周波数f[Hz]から基本次数の基準波ejθである基準正弦波(sinθ)と基準余弦波(cosθ)を生成する。生成される基準正弦波(sinθ)と基準余弦波(cosθ)は何らかの同期信号に対し同期しても、させなくてもどちらでもよい。θ=ωt=2πftである。
適応制御手段4は、基本次数の振動を制御する基本次数適応制御手段たる基本適応アルゴリズムブロック4aを主体とする。この基本適応アルゴリズムブロック4aは、振動検出信号sgと前記基準波ejθ{=(sinθ、cosθ)}とから基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)=(A´cosφ´、A´sinφ´)を算出して当該基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)に基づき基本次数制振電流指令I41を生成し、これに基づき後述する電流PIブロック5やアンプ6を介してリニアアクチュエータ20に電流制御信号ssを入力することで、制振すべき位置posに前記振動発生源gnからの振動に対し逆相となる振動を加振手段2を通じて発生させる。先ず、検出してきた振動検出信号sg{=Asin(θ+φ)}の基本周波数成分の正弦波の逆信号(正逆が反対の信号)を生成する。振動検出信号Asin(θ+φ)は収束パラメータμと乗算されたのち、乗算器41a、41bにおいて基準正弦波sinθ、あるいは、基準余弦波cosθと乗算され、積分器41c、41dにおいて演算毎に前回値Z- に加算する形で積分される。その演算結果は、振動検出信号sgの基準正弦波sinθからずれた逆相正弦波ベクトルの収束方向の成分を持つ逆相正弦波のベクトルVe1すなわち適用フィルタ係数(Re、Im)=(A´cosφ´、A´sinφ´)として算出される図9(a)参照)。逆相正弦波のベクトルVe1は、図9(a)に示すように、互いに直交する複数のベクトルVe2、Ve3で表現され、基本次数適応フィルタ係数ReはベクトルVe2の大きさを示し、基本次数適応フィルタ係数ImはベクトルVe3の大きさを示すものである。そして、ベクトルVe1の大きさが振幅に対応し、ベクトルVe1の向き(角度φ’)が位相に対応している。算出した適用フィルタ係数(Re、Im)に対し、図3に示すように、乗算器41e、41fにおいてそれぞれ基準正弦波sinθ、基準余弦波cosθを乗算し、その結果を加算器41gにおいて加算することで、振動検出信号sgの逆相正弦波信号として基本次数制振電流指令I41{=A´sin(θ+φ´)}を生成する。積分を繰り返すと、A´、φ´が真値A、φに対応する値に収束するにつれて振動の相殺が進むが、基本周波数fや位相θは絶えず変化しているため、常に変化に追従する形で制御が行われる。
このような制御のなかで、過電流によりリニアアクチュエータ20を構成する可動子23が固定子22に設けた図示しないストッパ等へ衝突すると、騒音発生や寿命劣化の原因になることから、制振電流指令I41を抑える必要がある。
そこで、本実施形態はさらに、前記基本次数制振電流指令I41のピーク電流値A´を算出する振幅検出手段4bと、基本周波数fから予め定めた基本次数電流上限値αを導出し前記基本次数制振電流指令I41のピーク電流値A´が前記基本次数電流上限値αを超過している場合に基本次数電流上限超過信号S41を生成する基本次数電流超過検出手段4cとを設けている。
振幅検出手段4bは、基本次数制振電流指令I41の振幅A´を随時(リアルタイム)に算出するブロックである。生成した基本次数制振電流指令I41の波形A´sin(θ+φ´)から求めてもよいし、その波形生成前の加算データの二乗和平方根をとっても良い。また、演算量を軽くするために二乗和だけをとり、比較する電流上限値αを二乗しても良い。
基本次数電流超過検出手段4cは、基本次数電流上限値αを電流クランプテーブル41hの形で記憶している。この上限値αには、図4(a)に示すモータ上限電流Ic(最大出力値)もしくは位置上限電流Ip(衝突防止)の何れか小さい方の値が採用されている。
モータ上限電流Icは、本実施形態の演算処理機能を具現するコントローラにおいて出力できる最大電流値あるいはリニアアクチュエータ20に流すことができる(磁石が減磁しない程度の)最大電流値のうち何れか小さい方の値で、周波数によらず一定である。
一方、位置上限電流Ipは、正弦波電流を流すことにより動作する可動子23が可動可能な振幅上限を超えない電流の上限値であり、正弦波加速度をa、最大加速度をAp(=a√2)とした場合、図4(b)に示す電流指令Irefの許容振幅Lpは、Lp<┃Xmax┃=Ap/ωとされる。この電流指令Irefは電流PI演算ブロック5で演算され、電圧指令としてアンプ6に入力されて、アンプ6による駆動でリニアアクチュエータ20が加速度aで駆動されることになる。図4(c)に示すように、電流指令Irefから可動子23に加速度aが発生するまでの伝達ゲインをG(f)とすると、a(f)=Iref・G(f)…(1)なる関係がある。今、最大電流Ip(f)を与えた場合に最大化速度Ap(f)が得られるとすると、Ap(f)=G(f)・Ip(f)…(2)であるから、(1)、(2)式より、Ip(f)=ω┃Xmax┃/G(f)が得られ、このIp(f)が位置上限電流とされ、エンジンgnから取り出した基本周波数fを入力することによってその時々の位置上限電流Ip(f)が求まる。
これらの基本次数電流上限値α(IcまたはIpの何れか小さい方)および基本次数ピーク電流値A´は比較部41iに入力され、基本次数ピーク電流値A´がその周波数の基本次数電流上限値(電流クランプ値)α以上となっているかどうかを判別し、もし、超過していれば電流上限超過信号(ON信号)S41を出力する。超過していない場合、電流上限超過信号S41は出力されない(OFF信号)。この信号S41は純粋に超過の可否によってON/OFFすることでもよいし、多少のヒステリシスの特性を持たせても良い。
以上のようにして基本次数電流上限超過信号S41が生成されるが、この信号S41が出力された際に単にフィルタ等により制振電流指令I41をカット(頭切り)することで電流をクランプしたのでは、高調波が発生して、前述した不具合を引き起こす。また、制振電流指令I41を制限する際に、フィルタ係数Re、Imに対して上限を超えたものをカットするクランプ処理を独立して行うと、図9(b)に示すように、フィルタ係数Re、Imのうちのいずれか一方のみがクランプされた場合に(図示はフィルタ係数Reのみがクランプされた例を示す)、クランプ後のフィルタ係数Re、Imにより表現される逆位相正弦波のベクトルVe1の向きがベクトルVe1の向きと異なり(角度φ’→角度φ’)、ベクトルの向きは位相を表すので、電流指令I41の位相ズレを引き起こす。
そこで本実施形態は、図3に示すように、かかる基本次数電流上限超過信号S41を前記基本適応アルゴリズムブロック4aに入力して、当該基本適応アルゴリズムブロック4aに、前記基本次数電流上限超過信号S41が入力されている間、前記基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)を算出する毎に当該基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)を予め定めた範囲内で制振電流指令I41が制限される方向に修正するようにしている。
基本適応アルゴリズムブロック4aは、前述したごとく、前記振動検出手段1から入力される入力信号sgを積分しながら適応フィルタ係数(Re、Im)を更新する処理を繰り返すものであるが、制振電流指令I41を制限する際、前記積分値を小さく絞り込む位置に積分抜き処理ブロック4dを設け、積分抜き処理を行う。具体的には、電流上限超過信号S41が入力されているか否かによって内部のフラグ設定部41j、41kに0か1のフラグを立て、信号S41が入力されていないとき(フラグ1のとき)は絞り込みを行わず、信号S41が入力されているとき(フラグ0のとき)は演算タイミング毎に乗算器41m、41nにおいて減算係数設定部たる抜き係数設定部41zに設定された減算係数値たる抜き係数値kを前回値Z- に乗算することで、積分値を小さく絞り込む。抜き係数値kは一回の演算で絞り込む量を小さくするためのもので、例えばk=1020/1024(=0.9961)などと設定される。抜き係数値kを、1を大きく割り込まない値にしているのは(絞り込み量を小さく抑えているのは)、大きくしすぎると、一回の絞り込み動作で基本次数電流指令I41の値が急変し、出力に高調波が重畳されて異常振動を励起する原因になるからである。このように、抜き係数値kは、全ての適応フィルタ係数(Re、Im)で共用されており、抜き係数値kを全ての係数(Re、Im)に乗算することによって、各係数Re、Imに対する修正の割合が全て同一となり、図10に示すように、修正後の各ベクトルVe2、Ve3により表現されるベクトルVe1の向きが修正前のベクトルVe1の向きに一致して変わらず(φ’=φ’)、ベクトルVe1の大きさのみが制限される。この抜き係数値kは、基本次数電流上限値α(電流クランプ値)からの超過量が大きくなるほど小さくなるように(つまり絞り込み量を大きくするように)、比較部41iからの偏差信号に応じて抜き係数設定部41zにおいて値を可変しても良い。また、超過量の比率を算出して、電流上限値αに同期させても良い。なお、本実施形態では、2つの適応フィルタ係数(Re、Im)を用いて指令ベクトルを表現しているが、3つ以上の係数を用いて指令ベクトルを表現するものにも同様に上記の制限方法を適用できる。
すなわち、制振電流指令I41が超過している場合に、即座に制振電流指令I41の超過分をカットするのではなく、予め定めた範囲(ここでは、抜き係数値kによる積分の絞込みの範囲)で制振電流指令I41を制限する修正を繰り返すため、高調波の発生や、可動子の衝突のない振幅に向かって、制振電流指令I41が漸近することになる。絞り込み係数生成ブロック4dはあくまでも例であり、電流上限超過信号S41から絞り込み係数kの適用のオンオフないし当該絞り込み係数kを増減させるブロックであれば、内部構成はどの様な形であってもかまわない。適応フィルタ係数(Re、Im)の収束は、収束パラメータμが大きいほど早くなる。
また、図1に示す振動発生源gnで生じる振動には、基本次数のほかに高次次数が重畳しているため、高次次数が過電流となってもリニアアクチュエータ20を構成する可動子23が固定子22へ衝突するなどして騒音発生や寿命劣化の原因となる。
そこで、高次次数に対しても、上記と同様の絞り込み制御を行う。すなわち、図5に示すように、基本周波数fから高次基準波ejnθ=(sin nθ、cos nθ)を生成する基準波生成手段3(32)と、前記振動検出手段1から得られる振動検出信号sgと前記高次基準波ejnθとから高次適応フィルタ係数(Re、Im)=(A´cos nφ´、A´sin nφ´)を算出し当該高次適応フィルタ係数(Re、Im)に基づき高次制振電流指令I42を生成して前記基本次数制振電流指令I41とともに制振すべき位置posに前記振動発生源gnからの振動に対し逆相となる振動を加振手段2を通じて発生させる高次適応制御手段たる高次適応アルゴリズムブロック4eと、前記高次制振電流指令I42の高次ピーク電流値A´を算出する振幅検出手段4fと、基本周波数fから予めクランプテーブル42hで定めた高次電流上限値αを導出し前記高次制振電流指令I42のピーク電流値A´が後述する所定の値を超過している場合に高次電流上限超過信号S42(ON信号)を生成して前記高次適応アルゴリズムブロック4eに入力する高次電流超過検出手段4gとを更に具備している。超過していない場合には信号は出力されない(OF信号)。
高次適応アルゴリズムブロック4eの機能は基本適応アルゴリズムブロック4aの機能とほぼ同様であって、乗算器42a、42b、42e、42fはそれぞれ乗算器41a、41b、41e、41fに対応し、積分器42c、42dはそれぞれ積分器41c、41dに対応し、加算器42gは加算器41gに対応している。また、振幅検出手段4f、高次次数電流超過検出手段4g及び積分抜き処理ブロック4hの機能も基本的に振幅検出手段4b、基本次数電流超過検出手段4c及び積分抜き処理ブロック4dの機能と同様である。電流クランプテーブル42hも前記電流クランプテーブル41hに対応し、フラグ設定部42j、42kや抜き係数設定部42z、乗算器42m、42nもそれぞれ前記フラグ設定部41j、41kや抜き係数設定部41z、乗算器41m、41nに対応している。
そして、高次適応アルゴリズムブロック4eは、前記高次電流上限超過信号S42が入力されている間、前記高次適応フィルタ係数(Re、Im)=(A´cos nφ´、A´sin nφ´)を算出する毎に当該高次適応フィルタ係数(Re、Im)を予め定めた範囲内で高次制振電流指令が制限される方向に修正する制御を行う。積分抜き処理ブロック4hの動作も基本次数における積分抜き処理ブロック4dとほとんど変わらない。
但し、この高次において言うクランプ値である所定の値は、高次電流上限値αそのものではなく、高次電流上限値αから前記基本次数ピーク電流値A´を減じた値としている点が上記基本次数の場合と異なる。基本次数制振電流指令I41、高次制振電流指令I42の各々が上限値α、αを超過していない場合にも、図6に示すように重畳させた結果、トータルの制振電流指令値(振幅)Ifが上限値を超過すると、リニアアクチュエータ20における可動子23の固定子22への衝突やコントローラの破損が起こり得るからであり、基本次数制振電流指令I41を優先的に採用する趣旨である。すなわち、基本次数制振電流指令I41を流してなお余裕がある範囲で高次制振電流指令I42を流す。
更に、電流指令が制限されるケースとして、電流指令I41+I42に図6に示すような補正を加える電流補正部6aが存する場合がある。このような場合には、補正後の制振電流指令値I61が予め所定の基準に基づき設定した電流上限値αを超過している場合に補正後電流超過信号S61を生成して前記適応アルゴリズムブロック4a、4eに入力する補正後電流超過検出手段6bを更に備えておくとよい。この場合、各適応アルゴリズムブロック4a、4eは、超過信号S41、S42の入力ラインと補正後電流超過信号S61の入力ラインとをOR回路で接続し、たとえ超過信号S41、S42が入力されていない場合にも、前記補正後電流超過信号S61が入力されることをもって、適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を算出する毎に当該適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を予め定めた範囲内で制振電流指令I41、I42が制限される方向に修正する制御を行う。この補正後電流超過検出手段6bで超過が認められた場合、適応制御が実効を奏するまでに過大な電流指令がそのままリニアアクチュエータ20に突入するおそれがあるため、この補正後電流超過検出手段6bで超過が認められた場合に限っては、従来と同様の電流クランプ(頭切り)を行い、システムを破損等から保護する構成も有効である。
また、電流の絞り込みに対する制限の手法は、電流補正部6aから過大な補正値が出力されることを抑制する上でも有効である。
例えば、レシプロモータである図4(b)のリニアアクチュエータ20の共振を緩和させるために、図7に示すように、ダンピング制御ブロック81がモータ誘起電圧から減衰電流指令としてダンピング電流出力信号S81を生成するように構成する場合がある。このようなダンピング制御の考え方自体は、既に特許文献1に一部開示されているものである。モータ誘起電圧は、モータであるリニアアクチュエータ20のフィードバック電流検出値I20と電流PI演算ブロック5の電圧指令値Vとから求めることができるものであり、ダンピング制御手段81はこのモータ誘起電圧に応じた値のダンピング電流出力信号S81を出力する。しかし、このダンピング電流出力信号S81がそのまま図6に示す制振電流指令値I61の中に入り込むと、制御系の不安定要因になる場合がある。
そこで、このダンピング電流出力信号S81を抑えるために、図7に示すダンピング電流絞り込み係数生成ブロック82を追加する。このダンピング電流絞り込み係数生成ブロック82は、ダンピング絞り込み信号S82が入力されているか否かによって1か0のフラグを立てるフラグ設定部82aを有し、信号S82が入力されているとき(フラグ1のとき)は演算タイミング毎に減算係数設定部である抜き係数設定部82bに予め設定したダンピング抜き係数zzを前回値Z- から減算し、信号S82が入力されていないとき(フラグ0のとき)は演算タイミング毎にダンピング抜き係数部82bに設定されたダンピング抜き係数zを前回値Z- に加算する形で、ダンピング絞り込み係数Inを例えば0から1までの間で変化させる。そして、このダンピング絞り込み係数Inを乗算値83において前記ダンピング制御ブロック81からのダンピング電流出力信号S81の値に乗算して、ダンピング電流指令Ixとして用いる。ダンピング絞り込み信号S82は、前述した補正後電流超過信号S61が発生したときや、後述する電圧指令上限検出信号S71が発生した場合等に入力される。
すなわち、外部より、ダンピング絞り込み信号S82が印加(ON)されると、演算回数毎にダンピング抜き係数zzの分だけダンピング絞り込み係数Inが減少していき、最小では絞り込み係数Inは0.0となる。ダンピング絞り込み信号S82がOFFすると、絞り込み係数Inは演算回数毎にダンピング抜き係数zzの分だけ増加していき、最大で絞り込み係数は1.0となる。このように、ダンピング電流指令Ixを徐々に変化させるので、電流指令値I61の中のダンピング電流指令Ixの値が急激に変化で制御系が不安定となことを回避しつつ、モータであるリニアアクチュエータ20における共振を効果的に緩和することができる。かかる絞り込み係数生成ブロック82はあくまでも一例であり、絞り込み信号S82から絞り込み係数Inを増減させるブロックであれば、内部構成はどのような形であっても構わない。
以上の電流クランプに加え、この種の制振装置においては、周波数fが大きくなるか、あるいは、外部から大きな衝撃が印加され、図8に示すリニアアクチュエータ20に多大な誘起電圧が励起された場合には、印加電圧指令Vfが大きくなり、最悪は電圧飽和状態(それ以上電圧印加ができなくなり、電流制御破綻をきたす)が発生する。これを防止するため、本実施形態ではさらに、電流PI演算ブロック5から出力される電圧指令値Vfを常時監視し、電圧飽和が起きる直前に電流指令を絞り込むようにしている。
具体的には、リニアアクチュエータ20への制振電流指令Ifの入力ラインに現れる電圧指令値Vfを検出して電圧指令上限検出信号S71を出力する電圧指令検出手段たる電圧指令上限検出ブロック7を追加する。
電圧指令値Vfは正負の値であるため、先ず電圧指令上限検出ブロック7において、ABS処理部7aで絶対値処理を行い、すべて正の値とする。ここで演算を軽くするため、絶対値処理を行わず、後段の比較部で正負の値で上限検出を行っても良い。
リニアアクチュエータ20に許容される電圧指令の最大値は事前に分かっているため、その値を最大値記憶部7bに記憶するとともに、電圧上限比設定部7cにおいて電圧上限比値を設定し、これらから取り出される電圧指令最大値に電圧上限比値を乗算した値を電圧上限しきい値βとする。電圧上限比値は固定値でもよいし、周波数など、他のパラメータに従って変動させても良い。また、ヒステリシス特性を持たせても良い。そして、算出した電圧上限しきい値βと絶対値処理された電圧指令値┃Vf┃を比較部7dにおいて比較し、上限を超えている場合は電圧指令上限検出信号S71を出力(ON)する。この電圧指令上限検出信号S71は、基本適応アルゴリズムブロック4aおよび高次次数適応アルゴリズムブロック4eに前記超過信号S41、S42や前記補正後電流超過信号S61とともにOR回路を介して入力され、前記適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を算出する毎に当該適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を、上記と同様にして制振電流指令Ifが絞り込まれる方向に修正する。これにより、制振電流指令Ifが超過している場合のみならず、リニアアクチュエータ20へ入力される電圧指令値Vfが超過している場合にも制振電流指令制振電流指令Ifが制限されることになる。
以上のように、本実施形態の制振装置は、基本周波数fから基準波ejθを生成する基準波生成手段3(31)と、制振すべき位置から検出される振動検出信号sgと前記基準波ejθとから基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)を算出し当該基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)に基づき基本次数制振電流指令I41を生成して制振すべき位置に振動発生源であるエンジンgnからの振動に対し逆相となる振動を加振手段2を通じて発生させる基本次数適応アルゴリズムブロック4aと、前記基本次数制振電流指令I41のピーク電流値A´を算出する振幅検出手段4bと、基本周波数から予め定めた基本次数電流上限値αを導出し前記基本次数制振電流指令I41のピーク電流値A´が前記基本次数電流上限値αを超過している場合に基本次数電流上限超過信号S41を生成して前記基本次数適応アルゴリズムブロック4aに入力する基本次数電流超過検出手段4cとを具備し、前記基本次数適応アルゴリズムブロック4aは、前記基本次数電流上限超過信号I41が入力されている間、前記基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)を予め定めた範囲内で制振電流指令I41が制限される方向に修正するようにしたものである。
このように構成すると、制振電流指令I41が超過している場合に、即座に制振電流指令I41の超過分をカットするのではなく、予め定めた範囲で制振電流指令I41を制限する修正を繰り返すので、高調波の発生を回避しながら、可動子23の固定子22への衝突やコントローラの破損等を有効に防止することができ、本制振装置の信頼性や耐久性を有効に向上させることが可能となる。
また、この制振装置は、基本周波数fから高次基準波ejnθを生成する高次基準波生成手段3(32)と、前記振動検出手段1から得られる振動検出信号sgと前記高次基準波ejnθとから高次適応フィルタ係数(Re、Im)を算出し当該高次適応フィルタ係数(Re、Im)に基づき高次制振電流指令I42を生成して前記基本次数制振電流指令I41とともに制振すべき位置に前記振動発生源1からの振動に対し逆相となる振動を加振手段2を通じて発生させる高次適応アルゴリズムブロック4eと、前記高次制振電流指令I42の高次ピーク電流値を算出する振幅検出手段4fと、基本周波数fから予め定めた高次電流上限値αを導出し前記高次制振電流指令I42のピーク電流値A´が前記高次電流上限値αから前記基本次数ピーク電流値A´を減じた値を超過している場合に高次電流上限超過信号S42を生成して前記高次適応アルゴリズムブロック4eに入力する高次電流超過検出手段4gとを更に具備し、前記高次適応アルゴリズムブロック4eが、前記高次電流上限超過信号が入力されている間、前記高次適応フィルタ係数(Re、Im)を算出する毎に当該高次適応フィルタ係数(Re、Im)を予め定めた範囲内で高次制振電流指令I42が制限される方向に修正するようにしている。
このように構成すると、上記基本次数の場合と同様、高次制振電流指令I42が超過している場合に、即座に高次制振電流指令I42の超過分をカットするのではなく、予め定めた範囲で高次制振電流指令I42を制限する修正を繰り返すので、高調波の発生を回避しながら、可動子23の固定子22への衝突やコントローラの破損等を有効に防止することができる。但し、基本次数制振電流指令I41、高次制振電流指令I42の各々が上限値を超過していない場合にも、重畳させた結果、制振電流指令値(振幅)I41+I42が上限値を超過すると、可動子23の固定子22への衝突やコントローラの破損が発生することになるが、本実施形態では、高次制振電流指令値I42の上限値αから基本次数電流ピーク値A´を差し引いた値をしきい値として超過か否かを判断するようにしており、電流指令を高次よりも基本次数に優先して配分し、余裕分だけ高次制振電流指令I42として出力するようにしているので、重畳したときに振幅値が過大になって結果的に超過電流となり、制御の信頼性や耐久性が損なわれることを有効に回避することができる。
さらに、前記適応アルゴリズムブロック4a、4eで生成される制振電流指令I41、I42に更に補正を加える電流補正部6aを備えるシステムにおいて、補正後の電流指令値I61が予め所定の基準に基づき設定した電流上限値αを超過している場合に補正後電流超過信号S61を生成して前記適応アルゴリズムブロック4a、4eに入力する補正後電流超過検出手段6bを設け、前記適応アルゴリズムブロック4a、4eに、前記補正後電流超過信号S61が入力されている場合においても、前記適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を算出する毎に当該適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を予め定めた範囲内で制振電流指令が制限される方向に修正する制御を実行し、補正を加味して電流上限値の超過の有無を判断するようにしているので、補正による制振電流指令値I61の変動に起因した可動子23の固定子22への衝突やコントローラの破損も有効に回避することができる。
さらにまた、加振手段2への制振電流指令Ifの入力ラインに現れる電圧指令値Vfを検出して当該電圧指令値Vfが予め設定した加振手段2に許容される電圧指令の上限しきい値βを超過した場合に前記適応アルゴリズムブロック4a、4eに電圧指令上限検出信号S71を入力する電圧指令上限検出手段7を設け、前記適応アルゴリズムブロック4a、4eが、前記電圧指令上限検出信号S71が入力されている場合にも、前記適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を算出する毎に当該適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を予め定めた範囲内で制振電流指令Ifを絞り込む方向に修正する制御を行うようにしている。
このように、電流指令値Ifが超過している場合のみならず、加振手段2へ入力される電圧指令値Vfが超過している場合にも制振電流指令Ifが制限されるので、リニアアクチュエータ20に多大な外力が加わった場合や、高周波領域において電圧飽和が発生することを未然に防止して、システムの信頼性や耐久性を一層有効に高めることができる。
そして、前記適応アルゴリズムブロック4a、4eは、前記振動検出部1から入力される入力信号sgを積分しながら適応フィルタ係数(Re、Im)、(Re、Im)を更新する処理を繰り返すものであり、制振電流指令Ifを制限する際、前記積分値を小さく絞り込む処理を行う構造であるため、絞り込み係数kの設定次第で、効果的なクランプ特性を有効に付与することが可能となる。
したがって、このような制振装置を車両に搭載することにより、当該車両の制振機能に係る信頼性や耐久性を有効に向上させて、優れた走行機能を実現することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)を算出する毎に当該基本次数適応フィルタ係数(Re、Im)を予め定めた範囲内で修正したが、本発明には、複数回の算出値に基づいて修正を加える態様や、1回の算出値に基づき複数回に分けて修正を加える態様等も含まれる。
また、リニアアクチュエータを有する加振手段から制振を要する位置までに減衰や伝達遅れがある場合には、その減衰や伝達遅れを考慮して適応フィルタ係数を算出し、しかるべき振幅や位相をもった制振電流指令として出力するように構成することができる。
その他、本発明を振動発生が問題となる車両以外の移動装置や機器類に適用するなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…振動検出手段
2…加振手段
3(31)…基準波生成手段
3(32)…高次基準波生成手段
4a…基本次数適応制御手段(基本次数適応アルゴリズムブロック)
4b…振幅検出手段
4c…基本次数電流超過検出手段
4e…高次次数適応制御手段(高次次数適応アルゴリズムブロック)
4f…振幅検出手段
4g…基本次数電流超過検出手段
6a…電流補正部
6b…補正後電流超過検出手段
7…電圧指令上限検出手段
sg…振動検出信号
´…基本次数ピーク電流値
´…高次次数ピーク電流値
jθ…基準波
jnθ…高次基準波
f…基本周波数
If…制振電流指令
41…基本次数制振電流指令
42…高次次数制振電流指令
(Re、Im)…基本次数適応フィルタ係数
(Re、Im)…高次次数適応フィルタ係数
41…基本次数電流上限超過信号
42…基本次数電流上限超過信号
61…補正後電流超過信号
71…電圧指令上限検出信号
Vf…電圧指令値
α…基本次数電流上限値
α…基本次数電流上限値
α…電流上限値
β…電圧指令の上限しきい値

Claims (6)

  1. 基本周波数から基準波を生成する基準波生成手段と、制振すべき位置から検出される振動検出信号と前記基準波とから基本次数適応フィルタ係数を算出し当該基本次数適応フィルタ係数に基づき基本次数制振電流指令を生成して制振すべき位置に振動発生源からの振動に対し逆相となる振動を加振手段を通じて発生させる基本次数適応制御手段と、前記基本次数制振電流指令のピーク電流値を算出する振幅検出手段と、基本周波数から予め定めた基本次数電流上限値を導出し前記基本次数制振電流指令のピーク電流値が前記基本次数電流上限値を超過している場合に基本次数電流上限超過信号を生成して前記基本次数適応制御手段に入力する基本次数電流超過検出手段とを具備し、前記基本次数適応制御手段は、前記基本次数電流上限超過信号が入力されている間、前記基本次数適応フィルタ係数を予め定めた範囲内で制振電流指令が制限される方向に修正することを特徴とする制振装置。
  2. 基本周波数から高次基準波を生成する高次基準波生成手段と、前記振動検出手段から得られる振動検出信号と前記高次基準波とから高次適応フィルタ係数を算出し当該高次適応フィルタ係数に基づき高次制振電流指令を生成して前記基本次数制振電流指令とともに制振すべき位置に前記振動発生源からの振動に対し逆相となる振動を加振手段を通じて発生させる高次適応制御手段と、前記高次制振電流指令の高次ピーク電流値を算出する振幅検出手段と、基本周波数から予め定めた高次電流上限値を導出し前記高次制振電流指令のピーク電流値が前記高次電流上限値から前記基本次数ピーク電流値を減じた値を超過している場合に高次電流上限超過信号を生成して前記高次適応制御手段に入力する高次電流超過検出手段とを更に具備し、前記高次適応制御手段は、前記高次電流上限超過信号が入力されている間、前記高次適応フィルタ係数を算出する毎に当該高次適応フィルタ係数を予め定めた範囲内で高次制振電流指令が制限される方向に修正する請求項1記載の制振装置。
  3. 前記適応制御手段で生成される制振電流指令に更に補正を加える電流補正部と、補正後の電流指令値が予め設定した電流上限値を超過している場合に補正後電流超過信号を生成して前記適応制御手段に入力する補正後電流超過検出手段とを更に具備し、前記適応制御手段は、前記補正後電流超過信号が入力されている場合にも、前記適応フィルタ係数を算出する毎に当該適応フィルタ係数を予め定めた範囲内で制振電流指令が制限される方向に修正する請求項1又は2何れかに記載の制振装置。
  4. 加振手段への制振電流指令の入力ラインに現れる電圧指令値を検出して当該電圧指令値が予め設定した加振手段に許容される電圧指令の上限しきい値を超過した場合に前記適応制御手段に電圧指令上限検出信号を入力する電圧指令上限検出手段を更に具備し、前記適応制御手段は、前記電圧指令上限検出信号が入力されている場合にも、前記適応フィルタ係数を算出する毎に当該適応フィルタ係数を予め定めた範囲内で制振電流指令を絞り込む方向に修正する請求項1〜3何れかに記載の制振装置。
  5. 前記適応制御部は、前記振動検出部から入力される入力信号を積分しながら前記適応フィルタ係数を更新する処理を繰り返すものであり、前記制振電流指令を制限する際、前記積分値を小さく絞り込む処理を行う請求項1〜4何れかに記載の制振装置。
  6. 請求項1〜5何れかに記載の制振装置を搭載したことを特徴とする車両。
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