JP2011136306A - 活性汚泥処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、安価に且つ高効率で活性汚泥の減容化を図ることが可能な活性汚泥処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明にかかる活性汚泥処理装置の構成は、微生物を含有する活性汚泥108bを処理する活性汚泥処理装置200であって、活性汚泥または水を加圧して略水平に噴出する噴出手段210と、噴出手段から噴出される活性汚泥または水と略直交するように活性汚泥を供給する汚泥供給手段220と、噴出手段から噴出された活性汚泥または水と、供給手段から供給された活性汚泥とを混合して混合水を生成する混合室230と、一端が混合室に接続され、且つ噴出手段から噴出される活性汚泥または水が直進して通過する位置に設けられ、混合水が通過する細管240と、細管の他端に接続され、細管を通過した混合水を排出する排出手段260と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、微生物を含有する活性汚泥を処理する活性汚泥処理装置に関する。
下水等の廃水や汚水(以下、廃水と総称する)を浄化する方法の1つとして、好気性微生物を含有する汚泥、いわゆる活性汚泥を用いる活性汚泥法がある。活性汚泥法では、まず廃水および活性汚泥を曝気槽に投入する。そして、曝気槽に酸素(空気)を供給する(エアレーションとも称される)ことにより好気性微生物(以下、単に微生物と称する)の活動を活性化し、微生物によって、廃水に含まれる有機物を二酸化炭素および水に分解し、廃水を浄化する。
上述のように処理された廃水と活性汚泥の混合物は、曝気槽から沈殿槽に送出される。そして、沈殿槽において、比重差を利用して混合物中の活性汚泥を沈殿させ、混合物を上澄水と活性汚泥とに分離する。その後、上澄水は、消毒設備に送出され、消毒された後に系外に放出される。沈殿した活性汚泥は曝気槽に送出され、返送汚泥として再利用される。
ここで、上述したように廃水に含まれる有機物を微生物が分解するということは、換言すれば、廃水に含まれる有機物を餌として微生物が増殖しているということである。したがって、曝気槽から沈殿槽に送出された混合物に含まれる活性汚泥の量は、曝気槽に投入された際よりも増加する。しかし、廃水の浄化に必要とされる活性汚泥の量は変わらないため、余剰となった活性汚泥(以下、余剰汚泥と称する)は処分する必要がある。
活性汚泥をそのまま投棄すると、悪臭などの問題を生じることから、活性汚泥中の微生物を死滅させる必要がある。そこで、従来の余剰汚泥の処分の一例として、余剰汚泥を脱水、乾燥、焼却した上で、処分場に埋立てていた。しかし、これらの処分は多くの作業を要するため、コストが高くなるという問題がある。また埋立処分場の埋立可能容量は年々減少しているため、このような処分方法においては活性汚泥(余剰汚泥)の減容が課題となっていた。活性汚泥を減容するためには、活性汚泥の固形分となる微生物を減少させる必要がある。
そこで、従来からも活性汚泥の減容化技術として様々なものが提唱されており、代表的なものとしては、薬剤を用いる生物的減容化法、オゾンを用いる化学的減容化法、超音波やビーズミル等を用いる物理的減容化法などがある。例えば特許文献1には、好気性処理系から引き抜いた活性汚泥をオゾン処理する技術が開示されている。特許文献1によれば、余剰汚泥の生成を抑制することができるとしているものの、高濃度オゾンを使用するための設備には莫大な費用を要し、また設備の運転管理および保守管理が容易でないためランニングコストが高いという問題があった。
このため、例えば特許文献2には、微細化した気泡を混入した被処理体をノズルから噴出し、固体衝撃体に衝突させる技術が開示されている。特許文献2によれば、微細気泡が破裂する際の衝撃波と、被処理体が固体衝撃体に衝突した際の衝撃により被処理体中の微生物を殺傷することができるため、活性汚泥の減容化を安価に行うことができるとしている。
特開平6−206088号公報 特開2002−361239号公報
しかしながら、特許文献2の技術では、被処理体すなわち活性汚泥を、圧力を加えて気液混合手段のノズル部から噴出させているので、噴出される活性汚泥の量が少なく、故に単位時間当たりに処理できる活性汚泥の量が少なかった。そのため、処理効率が低く、大量の活性汚泥の処理には適していない。
本発明は、このような課題に鑑み、安価に且つ高効率で活性汚泥の減容化を図ることが可能な活性汚泥処理装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる活性汚泥処理装置の代表的な構成は、微生物を含有する活性汚泥を処理する活性汚泥処理装置であって、活性汚泥または水を加圧して略水平に噴出する噴出手段と、噴出手段から噴出される活性汚泥または水と略直交するように活性汚泥を供給する汚泥供給手段と、噴出手段から噴出された活性汚泥または水と、汚泥供給手段から供給された活性汚泥とを混合して混合水を生成する混合室と、一端が混合室に接続され、且つ噴出手段から噴出される活性汚泥または水が直進して通過する位置に設けられ、混合水が通過する細管と、細管の他端に接続され、細管を通過した混合水を排出する排出手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、噴出手段から活性汚泥または水(以下、噴流体と称する)が噴出されると、細管の混合室に接続された側の近傍、すなわち細管の噴流体の入口となる側の近傍は負圧となる。すると、汚泥供給手段により混合室に供給された大量の活性汚泥は、かかる負圧の作用により細管内に吸い込まれる方向に流れる。これにより、汚泥供給手段からの活性汚泥と噴出手段からの噴流体は、混合室の細管接続部分近傍において混合水となり、混合水は、活性汚泥が噴流体の随伴流となった状態で細管内を通過する。このとき、噴流体は加圧されて噴出されているので流速が速いが、活性汚泥はそれに随伴しているだけなので流速は遅く、噴流体と活性汚泥とには速度差が生じる。これにより、噴流体と活性汚泥との間にはせん断力が発生し、かかるせん断力により微生物の細胞がすりつぶされるように破壊されるため微生物を殺傷することができる。したがって、本発明にかかる汚泥処理装置によれば、簡易な構成で、製造およびそのメンテナンスに要するコストを安価としつつ、単位時間当たりに大量の活性汚泥を処理することができるため高効率で減容化を図ることが可能となる。
上記の噴出手段は活性汚泥を噴出するとよい。これにより、汚泥供給手段および噴出手段のいずれからも活性汚泥が供給されるため、当該活性汚泥処理装置の処理量を増加させることができ、処理効率を更に向上させることが可能となる。
上記の噴出手段が噴出する水は、活性汚泥を用いた活性汚泥法により処理された廃水を静置することで廃水中の活性汚泥を沈殿させ、沈殿した活性汚泥を除去することにより得られる上澄水であるとよい。
上記構成のように噴出手段が噴出する水として上澄水を用いれば、新たな水を当該活性汚泥処理装置に供給する必要がない。したがって、水に要するコストの削減を図りつつ、環境保全に寄与することが可能となる。
当該活性汚泥処理装置は、細管を通過した混合水が衝突する衝突板を更に備えるとよい。かかる構成によれば、混合水が衝突板に衝突した際に、混合水中の活性汚泥に含まれる微生物に衝撃が加わる。これにより、微生物を殺傷する効果をより高めることができ、更なる減容化を図ることが可能となる。
上記の細管の内径は、噴出手段の内径の10〜30倍であるとよい。また上記の噴出手段から噴出される活性汚泥または水の流速は、50〜100m/secであるとよい。これらにより、噴出手段から噴出される噴流体による随伴流を好適に発生させることができ、微生物を殺傷するためのせん断力を最も効果的に生じさせることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる活性汚泥処理装置の他の構成は、複数組の、噴出手段と、汚泥供給手段と、混合室と、細管と、排出手段とを直列に備えることを特徴とする。かかる構成により、活性汚泥は、直列に接続された複数の活性汚泥処理装置を通過し、複数回処理されることとなる。したがって、活性汚泥中の微生物をより確実に死滅させ、更なる減容化を図れる。
本発明によれば、簡易な構成で、装置およびそのメンテナンスに要するコストを安価としつつ、単位時間当たりに大量の活性汚泥を処理可能であるため高効率で減容化を図ることができる。
活性汚泥法による廃水処理の概略構成を示す図である。 本実施形態にかかる活性汚泥処理装置の概略構成を示す図である。 活性汚泥処理装置の他の実施形態の概要を示す図である。 活性汚泥処理装置の他の実施形態の概要を示す図である。 試験器を用いて行った実験の測定項目および測定結果を示す図である。 生菌と死菌の顕微鏡画像である。 可視化試験の結果を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
以下、本実施形態にかかる活性汚泥処理装置の処理対象となる活性汚泥(特に余剰汚泥)が発生する活性汚泥法による廃水の処理について説明し、その後に本実施形態にかかる活性汚泥処理装置の詳細について説明する。
[活性汚泥法による廃水処理]
図1は、活性汚泥法による廃水処理の概略構成を示す図である。なお、以下の説明では、活性汚泥法の中でも標準活性汚泥法(連続式活性汚泥法とも称される)を例示する。また理解を容易にするために、図1では説明に不要な要素については図示を省略している。
図1に示すように、活性汚泥法による廃水処理では、下水等から排出された廃水は、スクリーンやフィルタ等(不図示)により異物を除去された後に、流量調整槽102に貯留される。そして、貯留された廃水は、流量調整槽102のポンプ102aにより計量槽104に吸い上げられ、計量される。計量された廃水は曝気槽106に投入される。またかかる曝気槽106には、沈殿槽108に沈殿している活性汚泥(返送汚泥)も投入される。これにより、曝気槽106において廃水と活性汚泥は混合物となる。
曝気槽106では、空気供給装置106aにより空気が混合物に供給される。すると、混合物中の活性汚泥に含まれる微生物(好気性微生物)の活動が活性化され、かかる微生物が混合物中の廃水に含まれる有機物を二酸化炭素および水に分解する。そして、このように処理された混合物は、曝気槽106から沈殿槽108に送出される。沈殿槽108では、比重差を利用して混合物中の活性汚泥を沈殿させ、混合物を上澄水108aと活性汚泥108bとに分離する。そして、上澄水108aは、消毒設備(図示せず)に送出され、消毒された後に系外に放出される。このようにして廃水が浄化される。
一方、沈殿槽108の下方に沈殿した活性汚泥108bは、返送汚泥として曝気槽106に送出されて再利用される。しかし、廃水を浄化する際に、微生物は廃水中の有機物を餌として増殖しているため、曝気槽106から沈殿槽108に送出された混合物に含まれる活性汚泥の量は、曝気槽106に投入された際よりも増加している。故に、返送汚泥として再利用される活性汚泥は、沈殿槽108の下方に沈殿した活性汚泥108bの一部で足り、残りの活性汚泥108bは余剰汚泥として処分する。そこで、余剰汚泥を減容化するために、次に説明する活性汚泥処理装置200によって活性汚泥108bの処理を行う。
図2は、本実施形態にかかる活性汚泥処理装置の概略構成を示す図である。なお、図2中、実線矢印は、噴出手段210から噴出される流体の進行方向を、破線矢印は、汚泥供給手段220から供給される流体の進行方向を示す。
図2に示す活性汚泥処理装置(以下、処理装置200と称する)は、噴出手段210から活性汚泥または水を噴射して噴流体とし、汚泥供給手段220から活性汚泥を供給して随伴流とし、混合室230から細管240にかけて混合水(噴流体および随伴流)を通過させるものである。そして、処理装置200において活性汚泥を減容化するための原理(微生物の細胞を破壊するための原理)は、主として噴流体と随伴流の間に生じるせん断力である。なお細かく見れば、流れの緩やかな活性汚泥に噴流体が衝突したときの衝撃や、細管240と混合水との間の摩擦抵抗によるせん断力も寄与している。なお減容化のための補助として、排出手段260に衝突板250を備える。以下に、各部の構成および作用効果について詳細に説明する。
噴出手段210は、図2(a)に示すように、沈殿槽108からの活性汚泥、または水を加圧して略水平に実線矢印のように噴出する。噴出手段210は図2ではノズルを指しているが、活性汚泥または水を加圧するためのポンプ(不図示)を含む。これにより、活性汚泥または水(以下、噴流体と称する)は混合室230を経由して細管240を通過することとなる。噴出手段210から噴出された噴流体の流速が早いため、噴流体の周囲の気圧が低下する。また、細管240の入口240aの近傍は負圧となる。
上述したように噴出手段210は活性汚泥または水を噴出可能であるが、本実施形態では噴出手段210は活性汚泥を噴出する。かかる構成により、当該処理装置200には、汚泥供給手段220および噴出手段210の両方から活性汚泥が供給されることとなる。したがって、処理装置200の処理量が増加し、処理効率をより向上させることが可能となる。
なお、本実施形態とは異なり、噴出手段210から水を噴出する場合には、上水道、工業用水、若しくは上澄水を用いることができる。中でも、上澄水を用いることが好ましい。上澄水とは、上述した活性汚泥法により処理された廃水を沈殿槽108で静置し、沈殿した活性汚泥108bを除去することにより得られた上澄水108a(図1参照)である。これにより、新たな水を処理装置200に供給する必要がなくなるため、水に要するコストの削減を図り、且つ環境保全に寄与することができる。
汚泥供給手段220は、図2(b)に示すように、噴出手段210から噴出される噴流体と略直交するように、沈殿槽108からの活性汚泥を混合室230(処理装置200)に供給する。汚泥供給手段220は図2では吐出口(パイプ)を指しているが、活性汚泥を移送するポンプ(不図示)や、流量を調整するための弁やバルブ(不図示)も含んでいてもよい。最も考えやすい構成としては、噴出手段210は略水平に活性汚泥または水を噴出し、汚泥供給手段220は上方から活性汚泥を投入する。なお、いずれか一方または両方にある程度の角度を持たせてもよいし、遮蔽板などを用いて汚泥供給手段220から供給する活性汚泥の水勢を殺してもよい。ただし、汚泥供給手段220から投入する活性汚泥108bと噴出手段210から噴出する噴流体とが交差する(ぶつかる)ように配置することが好ましい。このように、流れの緩やかな活性汚泥に対して噴流体が衝突することにより、その衝撃によって微生物の細胞を破壊することができる。
混合室230は、噴出手段210、汚泥供給手段220、細管240が接続された空間(室)である。混合室230では、噴出手段210から噴出された噴流体と、汚泥供給手段220から供給された活性汚泥とを混合して混合水(詳しくは、後述するように噴流体と随伴流になる)を生成する。これにより、噴流体および活性汚泥を同時に細管240内を通過させることができる。
細管240は、一端が混合室230に接続され、他端が排出手段260に接続され、内部を混合水が通過する管状体である。かかる細管240は、噴出手段210から噴出される活性汚泥または水が直進して通過する位置に設けられる。
ここで、図2(b)に示しているように、噴流体の周囲および細管240の入口240aの近傍は負圧となり、この負圧の作用により、汚泥供給手段220から供給された活性汚泥は噴流体の随伴流となり、混合水となって破線矢印のように細管240内に引き込まれる。このとき、噴流体は加圧されて噴出されるため高速だが、活性汚泥は噴流体に随伴しているだけなので噴流体よりも速度が低い。したがって、噴流体と随伴流の速度差から、これらの間にせん断力を生じさせることが可能となる。このせん断力によって、微生物の細胞がすりつぶされるように破壊され、微生物が殺傷される。
上記の細管240の内径は、噴出手段210の内径の10〜30倍であるとよい。10倍より小さいと、混合水(噴流体および随伴流)の一部が細管240の入口240a周辺に衝突してしまい、十分に通過させることが難しくなるためである。また30倍より大きいと、細管240において負圧を維持できず、汚泥供給手段220から供給された活性汚泥108bが混合室230内に滞留してしまうためである。
なお、噴出手段210から噴出される噴流体の流速は、50〜100m/secであるとよい。これにより、活性汚泥による随伴流を好適に発生させることができ、且つ微生物を殺傷するためのせん断力を最も効果的に生じさせることが可能となる。
衝突板250は、細管240を通過した混合水が衝突する板である。かかる構成によれば、細管240を通過した混合水が衝突板250に衝突することにより、混合水中の活性汚泥に含まれる微生物に衝撃が加わる。衝突板250は必ずしも必要ではないが、微生物を殺傷する効果をより高めることができ、減容化を更に促進することが可能となる。なお、本実施形態では衝突板250は排出手段260と一体に設けられているが、これに限定するものではなく、衝突板250を排出手段260と別に設けてもよい。
排出手段260は、細管240の他端に接続された空間(室)であり、細管240を通過した混合水を処理装置200から排出する。排出手段260の上部には空気穴が設けられている。排出手段260の下部には排出管260aが設けられており、図2(c)に示すように、細管240を通過して衝突板250に衝突した混合水は、排出手段260内を落下し排出管260aを通過して、返送汚泥として曝気槽106に供給される。
曝気槽106に供給された返送汚泥(活性汚泥)には、生存している微生物、および処理装置200により細胞が破壊された微生物(微生物の死骸)が含まれている。そして、生存している微生物は、曝気槽106において、廃水中の有機物のみならず微生物の死骸をも二酸化炭素と水とに分解する。これにより、活性汚泥法による廃水処理時に増加する活性汚泥、ひいては余剰汚泥の減容化を図ることができる。したがって、本実施形態にかかる処理装置によれば、簡易な構成で、製造およびそのメンテナンスに要するコストを安価としつつ、単位時間当たりに大量の活性汚泥を処理し、活性汚泥の減容化を高効率で行うことが可能となる。なお、本実施形態においては排出手段260の上部に空気穴を設けたが、これに限定するものではなく、空気穴を設けない構成としてもよい。
[他の実施形態]
図3および図4は、活性汚泥処理装置の他の実施形態の概要を示す図である。なお、以下の説明では、上述した処理装置200と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略し、差分のみを詳述する。
上記の活性汚泥処理装置においては、1つの処理装置200を備える構成として説明した。これに対し図3に示す処理装置300は、複数組の、噴出手段210と、汚泥供給手段220と、混合室230と、細管240と、排出手段260とを直列に備える。すなわち処理装置300は、直列に接続された複数の処理装置300a、300b、300cを備え、連続的に複数回の処理を行う構成である。
複数の処理装置のうち、処理装置300aは図2に示した処理装置200と同様の構成である。処理装置300bは、貯留槽302から混合室230へと、負圧によって活性汚泥を供給する構成例である。処理装置300cは、貯留槽302から混合室230へと、汚泥供給ポンプ306によって活性汚泥を供給する構成例である。
連結管260bは、かかる連結管260bが設けられた処理装置の排出手段260と、その処理装置に接続された次の処理装置の噴出手段210および汚泥供給手段220とを、貯留槽302を介して連結している。詳細には、処理装置300aに設けられた連結管260bは、処理装置300aの排出手段260と、処理装置300bの噴出手段210および汚泥供給手段220とを連結している。同様に、処理装置300bに設けられた連結管260bは、処理装置300bの排出手段と、処理装置300cの噴出手段210および汚泥供給手段220とを連結している。
貯留槽302は、その上流側に設けられた処理装置の連結管260bと、その下流側に設けられた処理装置の噴出手段210と汚泥供給手段220とが接続されている。これにより、上流側の処理装置、例えば処理装置300aにおいて処理された活性汚泥が連結管260bを通じて貯留槽302に供給され、かかる活性汚泥を貯留槽302に一時的に貯留しておくことが可能となる。
上述した処理装置300では、処理装置300aにおいて処理された活性汚泥が、連結管260bを通じて処理装置300b上流側の貯留槽302に送出される。そして、貯留槽302に貯留された活性汚泥は、高圧ポンプ304により処理装置300bの噴出手段210に供給され、噴出手段210から噴出される。すると、噴出された活性汚泥(実線矢印)近傍に負圧が生じる。このとき、処理装置300bの混合室230が負圧を維持できるように密封されているため、かかる負圧により貯留槽302の活性汚泥が汚泥供給手段220を通じて混合室230に吸い込まれる。
噴出手段210から噴出された活性汚泥、および混合室230に吸い込まれた活性汚泥は、処理装置300bにおいて処理され、連結管260bを通じて処理装置300c上流側の貯留槽302に送出される。そして、貯留槽302に貯留された活性汚泥は、高圧ポンプ304により処理装置300cの噴出手段210に、汚泥供給ポンプ306により処理装置300cの汚泥供給手段220に供給され、混合室内に流入し、処理装置300cにおいて処理される。
したがって、図3に示す構成によれば、活性汚泥は処理装置300a、300b、300cによって3回(複数回)処理されることとなるため、活性汚泥中の微生物をより確実に死滅させ、更なる減容化を図れる。なお、本実施形態においては、処理装置を直列に3つ接続したが、これに限定するものではない。したがって、処理装置は2つ接続されていてもよいし、4つ以上接続されていてもよい。また処理装置300bおよび300cの汚泥供給手段220は混合室230の上方に配置されているが、これ以外に限定されず、汚泥供給手段220は混合室230の下方に配置されていてもよい。上方または下方のいずれの場合であっても、混合室230内に生じる負圧もしくは汚泥供給ポンプ306によるポンプ圧力によって活性汚泥を十分に供給できるためである。
更に、上述したように本実施形態では、処理装置300bの汚泥供給手段220は負圧の作用を利用し、処理装置300cの汚泥供給手段220は汚泥供給ポンプ306を利用して混合室230に活性汚泥を供給する構成としたが、これに限定するものではない。したがって、処理装置300bの汚泥供給手段220が汚泥供給ポンプ306を利用し、処理装置300cの汚泥供給手段220が負圧の作用を利用する構成としてもよく、処理装置300bの汚泥供給手段220および処理装置300cの汚泥供給手段220ともに、負圧の作用または汚泥供給ポンプ306を利用する構成とすることも可能である。なお、負圧を利用する場合には混合室230は密閉しておくべきであるが、汚泥供給ポンプ306を利用する場合等、負圧を利用しない場合には、必ずしも混合室230を密閉する必要はない。したがって、例えば処理装置300cの混合室230は密閉しない構成としてもよい。
図4に示す処理装置200は、1つの処理装置200によって同じ活性汚泥に対して複数回の処理(バッチ処理)を行う構成である。沈殿槽108と曝気槽106の間にはバッファタンク280が備えられており、処理装置200はバッファタンク280に対して循環するように接続されている。そして、バッファタンク内の活性汚泥108bを噴出手段210および汚泥供給手段220に供給している。本実施形態においても、混合室230は密封されているため負圧の維持が容易であり、噴出手段210による活性汚泥噴出時に生じる負圧を利用して汚泥供給手段220から混合室230に活性汚泥を供給することができる。しかし、かかる構成に限定するものではなく、混合室230を密閉せずに汚泥供給ポンプ306を設けてもよい。
なお、処理装置200には、沈殿槽108からバッファタンクへの活性汚泥の流れを制御するための弁を設けることが好ましい。なお活性汚泥を処理する回数は、処理装置200の単位時間あたりの処理能力(流量)でバッファタンクの貯留量を除して、時間で管理することができる。
図4に示す構成によっても、活性汚泥108b(図1参照)は200によって任意の回数の処理を行うことが可能となる。これにより活性汚泥中の微生物を任意の程度まで死滅させ、適切に減容化を図ることができる。
なお、図4に示す処理装置200には設けられていないが、沈殿槽108からバッファタンク280に活性汚泥108bを供給する配管280aを分岐させ、バッファタンク280を経由せずに噴出手段210や汚泥供給手段220に活性汚泥108bを直接供給する配管を設けてもよい。またバッファタンク280から曝気槽106に活性汚泥108bを供給する配管280bを分岐させ、バッファタンク280を経由せずに排出手段260から活性汚泥108bを直接供給する配管を設けてもよい。これらの配管を設けることにより、バッファタンク280を使用せずに当該処理装置200を運転することもでき、状況に応じて運転方式を適宜選択することが可能となる。
[評価試験]
以下に、本発明の効果について詳述する。図5は試験器を用いて行った実験の測定項目および測定結果を示す図であり、図5(a)は積算二酸化炭素料の測定結果を示す図であり、図5(b)は生菌率の測定結果を示す図であり、図5(c)はDOCの測定結果を示す図である。図6は生菌と死菌の顕微鏡画像である。実験条件として、1回につき40Lの活性汚泥に対し、40Lの水を噴出手段210からジェット噴射し、これを3回繰り返して処理した。なお、図1で説明した処理装置200では対象となる活性汚泥を1回しか処理できないが、図3で説明した処理装置300であれば3回の処理を行うことができ、図4で説明した処理装置200であれば多数回の継続的な処理を行うことができる。
積算炭素重量とは、活性汚泥を曝気することにより生じた二酸化炭素を吸着し、かかる二酸化炭素の重量を積算して炭素の重量に換算した値である。処理装置による汚泥処理を行うと、活性汚泥中の微生物の細胞が損傷を受け、細胞内包物が溶出する。溶出した細胞内包物は、活性汚泥中に残存する微生物により分解されて二酸化炭素となる。すなわち無機化される。したがって、積算炭素重量が増大しているほど、二酸化炭素、ひいてはその元となる細胞内包物の量が多いということであり、より多くの微生物が殺傷されているということである。そして、図5(a)を参照すると、159時間の積算後の積算炭素重量は、初期値(処理0回、すなわち未処理の活性汚泥)に対して、処理を1回および3回行った値の方が大きくなっている。このことから、本実施形態にかかる処理装置による汚泥処理後の活性汚泥には、細胞内包物が多く含まれていることがわかる。したがって、かかる処理装置により活性汚泥中の微生物を好適に殺傷可能であることが理解できる。
生菌率とは、サンプル中に含まれる微生物のうち、生きている微生物が占める割合である。生菌率の算出では、活性汚泥の上澄水をサンプルとし、Live−Dead法により微生物の生細胞(生菌)と死細胞(死菌)とを判別可能に染色する。すると図6に示すように、生菌と死菌の画像を得ることができる。図6からは、図6(a)、(b)、(c)の順に、すなわち処理回数が増加するほどに死菌が増えていることがわかる。そして、得られた画像を解析し、「[生菌(面積)/{生菌(面積)+死菌(面積)}]*100」の式から生菌率を算出する。図5(b)に示すように、生菌率は、初期値に対して処理回数が増すほど低下している。このことから、処理回数を増加させるほどに、上澄水中の微生物が殺傷されることがわかる。
DOC(Dissolved Organic Carbon)とは、溶存有機炭素の量、すなわち水中に溶存する有機化合物中の炭素量を示す値である。活性汚泥中の微生物が殺傷された場合、傷付いた細胞壁から内容物(有機物)が漏出し、漏出した内容物が活性汚泥中の水分に溶解する。したがって、DOCが高いほど、活性汚泥中の微生物が殺傷されていると判断することができる。そして、図5(c)を参照すると、DOCの値は、初期値に対して処理回数が増加するほどおおむね上昇している。このことから、処理回数が増すにつれて、活性汚泥中の微生物が殺傷されていることが理解できる。
上記結果から、本発明にかかる処理装置を用いて活性汚泥を処理することにより、かかる活性汚泥に含まれる微生物を好適に殺傷可能であると判断できる。したがって、処理装置により処理された活性汚泥を返送汚泥として曝気槽に供給し、曝気槽において、生存している微生物に殺傷された微生物を分解させることにより、活性汚泥、ひいては余剰汚泥の減容化を図ることが可能となる。
図7は、可視化試験の結果を示す図である。図7(a)は実施例の処理状態を示す図であり、図7(b)は比較例の処理状態を示す図である。可視化試験では、処理装置のアクリル模型を用い、活性汚泥処理時の処理装置内部の状態を可視化した。なお、理解を容易にするために、実施例および比較例のいずれにおいても水を使用している。
実施例では、本実施形態の処理装置のように、噴出手段および汚泥供給手段の両方から水を供給(噴出)した。すると、図7(a)に示すように、噴出手段からの噴流水と汚泥供給手段からの供給水とが混合室(図面左側)で合流し、細管内(図中右側)において極めて乱れた流れ(白色部分)を形成している。一方、比較例では、噴出手段のみから水を噴出し、汚泥供給手段は用いなかった。すると、図7(b)に示すように、細管内(図中右側)における流れの乱れ(白色部分)が少ない。したがって、比較例に比べ実施例のほうが処理量を増大させることができ、処理効率の向上が見込まれる。故に、本実施形態のように噴出手段だけでなく汚泥供給手段も用いることにより、大量の活性汚泥を高効率で処理することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、微生物を含有する活性汚泥を処理する活性汚泥処理装置として利用することができる。
102…流量調整槽、102a…ポンプ、104…計量槽、106…曝気槽、108…沈殿槽、108a…上澄水、108b…活性汚泥、200…処理装置、210…噴出手段、220…汚泥供給手段、230…混合室、240…細管、240a…入口、250…衝突板、260…排出手段、260a…排出管、260b…連結管、280…バッファタンク、300・300a・300b・300c…処理装置

Claims (7)

  1. 微生物を含有する活性汚泥を処理する活性汚泥処理装置であって、
    前記活性汚泥または水を加圧して略水平に噴出する噴出手段と、
    前記噴出手段から噴出される活性汚泥または水と略直交するように前記活性汚泥を供給する汚泥供給手段と、
    前記噴出手段から噴出された活性汚泥または水と、前記汚泥供給手段から供給された活性汚泥とを混合して混合水を生成する混合室と、
    一端が前記混合室に接続され、且つ前記噴出手段から噴出される活性汚泥または水が直進して通過する位置に設けられ、前記混合水が通過する細管と、
    前記細管の他端に接続され、該細管を通過した混合水を排出する排出手段と、
    を備えることを特徴とする活性汚泥処理装置。
  2. 前記噴出手段は前記活性汚泥を噴出することを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理装置。
  3. 前記噴出手段が噴出する水は、前記活性汚泥を用いた活性汚泥法により処理された廃水を静置することで該廃水中の活性汚泥を沈殿させ、該沈殿した活性汚泥を除去することにより得られる上澄水であることを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理装置。
  4. 当該活性汚泥処理装置は、前記細管を通過した混合水が衝突する衝突板を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理装置。
  5. 前記細管の内径は、前記噴出手段の内径の10〜30倍であることを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理装置。
  6. 前記噴出手段から噴出される活性汚泥または水の流速は、50〜100m/secであることを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理装置。
  7. 複数組の、前記噴出手段と、前記汚泥供給手段と、前記混合室と、前記細管と、前記排出手段とを直列に備えることを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理装置。
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