JP2011136285A - サイクロン集塵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ライスセンターや都市ごみ処理施設などの施設内の空気の粉塵を分離するサイクロン型の集塵装置に関し、大容量の空気中の粉塵を効率良くかつ経済的に除去でき、湿式集塵装置としても乾式集塵装置としても使用することが可能で、運転及び保守点検が容易な上記装置を提供する。
【解決手段】外筒は直円筒形で、円錐部を有していない。内筒の上端が排気口となっている。容器の外筒の上端又は天板の外周側に給気口が設けられている。粉塵を含んだ空気は、この給気口から容器1内に接線方向に流入する。外筒の下端又は底板の外周端には、容器内で分離された粉塵の排出口が設けられ、この排出口の旋回方向下流側に旋回流を遮る邪魔板が立設されている。容器の内側上部には、複数個の水噴霧ノズルが、好ましくは外筒の内面に向けて水を噴霧するように、配置されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、旋回流を生成してその旋回に伴う遠心力ないし慣性力により、空気中に浮遊する粉塵を分離するサイクロン型の集塵装置に関するもので、装置内への水の噴霧手段を備えた集塵装置に関するものである。
上部を円筒形、下部を下すぼまりの円錐形とし、上面中央と下端に開口を設けた容器内に空気を接線方向に流入させることによって当該容器内に旋回流を生じさせ、その旋回に伴う遠心力で空気中に浮遊する粉塵を分離するサイクロン型の集塵装置は公知である。また、このような集塵装置において、容器の上部に設けた水ノズルから容器内に水を噴霧し、噴霧された水滴が空気中の粉塵を捕捉すると共に、当該水滴に作用する遠心力により捕捉した粉塵の分離を速やかに行うようにして分離効率を高めた湿式のサイクロン集塵装置も公知である。
図3は、従来の湿式サイクロン集塵装置を模式的に示した図である。容器1は、上部が円筒形、下部が下すぼまりの円錐形で、中央に排気口12を有する平らな天板4を備え、円錐部の下端が粉塵の排出口となっている。粉塵を含んだ空気は、円筒部の周壁に設けた開口から容器1内に接線方向に流入して容器内を旋回しつつ上方へと流れて排気口12から流出する。この空気の旋回に伴う遠心力によって空気中に含まれる粉塵は容器の周壁内面に押し付けられ、当該内面との摩擦によって減速させられた粉塵は、当該内面に沿って降下して円錐部の下端に開口する粉塵排出口19から排出される。
湿式集塵装置では、図3(a)に示すように容器の上部に下方を向いた水噴霧ノズル17を設けるか、又は同図(b)に示すように容器の上部に内側を向いた水噴霧ノズル17を設けて、当該ノズル17、17から容器内に水を噴霧する。粉塵は、噴霧された水滴に衝突して捕捉され、水滴は、旋回流に乗って旋回させられて、その旋回に伴う遠心力により、容器の周壁内面に付着し、当該内面に沿って流下して粉塵を含んだ水が粉塵排出口19から排出されるのである。このような水噴霧ノズル17、17を備えた湿式集塵装置は、比重の軽い粉塵や粒度の小さい粉塵を捕捉して分離する作用を有するため、そのような粉塵の集塵効率を向上させることができる。
なお、このような湿式集塵装置において、容器内に容器の周壁と同心の内筒を設けた構造や排気口12から容器内へと下方に伸びる内筒を設けると共に、空気を円筒部の上端部分から容器内に流入させる構造が特許文献1、2に示されている。
実開平06−48817号公報 特開平05−253433号公報
この発明は、カントリーエレベータ、ライスセンター、都市ごみ処理施設、スクラップ工場などの施設内の空気の粉塵を分離するのに特に好適なサイクロン型の集塵装置を提供することを課題としており、大容量の空気中の粉塵を効率良くかつ経済的に除去することができ、粉塵の種類や気温の変化に応じて湿式集塵装置としても乾式集塵装置としても使用することが可能で、運転及び保守点検が容易なサイクロン型の集塵装置を提供することを課題としている。
この発明のサイクロン集塵装置は、容器1全体が長手方向に径寸法が変化しない直円筒形で、平板状の天板4と底板5とを備えており、円錐部を有していない。天板4の中心には、底板5に達しない長さで容器1内に伸びる内筒3が設けられている。内筒3の下端は容器内に開口しており、上端が排気口12となっている。容器1の周壁の上端、すなわち外筒2の上端には、粉塵を含んだ空気を容器の接線方向に流入する給気口11が設けられている。この給気口は、天板4の外周側に設けることができ、この場合は流入した空気を水平方向に案内する案内板24を給気口11の下部に設ける(図2参照)。
容器の外筒2の下端又は容器の底板5の外周端には、容器内で分離された粉塵の排出口13が設けられ、この排出口の部分を通過した旋回流を遮るように、当該粉塵排出口13の旋回流の旋回方向下流側に邪魔板22が立設されている。
一方、容器の内側上部には、複数個の水噴霧ノズル17が配置されている。この発明の好ましい構造においては、これらの水噴霧ノズル17は、外筒2の内面に向けて水を噴霧するように設けられる。
粉塵を含んだ空気は、外筒2の上端又は天板4の外周側に設けた給気口11から容器1内に接線方向に流入する。流入した空気は、外筒2と内筒3の間の空間に旋回流を生成しつつ下方へと流れる。そして、容器内の下方部から内筒3へと流入し、排気口12に接続した排気筒(図示されていない)を通って排気される。
旋回に伴う遠心力によって、外筒2の内面に押し付けられた粉塵は、旋回流に引きずられて外筒2の内面に沿って旋回流と同方向に旋回しつつ降下する。外筒2の下端に達したとき、その旋回移動が邪魔板22によって阻止されて、粉塵排出口13から容器外へと排出される。このとき、質量の小さい空気は、邪魔板22を越えて流れ、内筒3を通って排出される。
上記の作用で集塵(乾式集塵)を行う際に、水噴霧ノズル17から水を噴霧する(湿式集塵とする)と、噴霧された水は、その噴霧方向ないし旋回流の遠心力によって外筒2の上部において、その内面に付着して、当該内面に沿って流下する。遠心力によって外筒2の内面に押し付けられた粉塵は、当該内面に沿って旋回流と同方向にこれより遅い速度で旋回しつつ流下する水膜に捕捉され、外筒2の下端に達したときに、粉塵排出口13から流出する。
この湿式集塵においては、遠心力によって分離された粉塵が外筒2の内面に沿って流れる水膜に捕捉されるので、外筒2の内面に衝突した粉塵が再び空気中に混入するのを防止することができ、集塵効率を高めることができる。水噴霧ノズル17を外筒2の内面に向けて配置した構造によれば、空気中への水滴の混入が殆ど生じないので、排気から水滴を除去するミストセパレータを設ける必要がなくなる。
通常の運転においては、水噴霧ノズル17から水を噴霧しつつ集塵する湿式集塵とするのがよいが、比重や粒度の大きい粉塵を集塵するときや噴霧した水が凍結するおそれのある寒冷時に使用するときは、水を噴霧しないで乾式集塵装置として用いるのがよい。
粉塵排出口13に密閉された粉塵収容箱を連結するか水封構造にしておけば、粉塵排出口からの空気の出入りは皆無となる。粉塵排出口13を大気開放する場合や湿式集塵において粉塵を含んだ水を固液分離装置に連続式に流して水を回収する場合などは、粉塵排出口13部分における容器1の内圧を大気圧又は固液分離装置の内圧とバランスさせて粉塵排出口からの空気の出入りが生じないようにする。必要があれば、容器1への給気側と排気側とに送風機を設けて、粉塵排出口13部分での容器の内圧をバランスさせるようにする。
上記の手段を備えたこの発明のサイクロン集塵装置は、
(1)通常は集塵効率の良い湿式集塵装置として使用できる。水噴霧ノズル17への給水を止めれば単純な遠心分離による乾式集塵装置となる。冬季の凍結対策になる、
(2)外筒が直管で円錐部を備えていないので、従来のサイクロン集塵装置より圧力損失が小さく、送風用のフアンの動力が軽減できる、
(3)湿式で使用する場合、ミスト(水滴)は遠心力で分離できるので、ミストセパレーターが不要である、
(4)底板での粉塵の堆積がない、
という効果がある。
第1実施例の斜視図 第2実施例の斜視図 従来の湿式サイクロン集塵装置の斜視図
図1は、この発明のサイクロン集塵装置の第1実施例を示した図である。この第1実施例は、容器1の外筒2の上端に給気口11を設け、底板5の外周端に粉塵排出口13を設けた例である。容器1は、直円筒形、すなわち軸方向に直径が変化しない円筒形の外筒2と、天板4及び底板5を備えている。天板4の中央には、円形の開口14が設けられ、この開口に直円筒形の内筒3が容器内に差し込まれた状態で固着されている。内筒3の下端は容器1内に開口している。外筒2及び内筒3は、帯板をスパイラル状に巻いたスパイラルダクトと呼ばれる材料を所定長さに切断して使用することにより、容器1を安価に製造することができる。
外筒2の上端一箇所に外筒2を切り欠いた開口15が設けられ、この開口に外筒2の接線方向に案内ダクト16が固着され、この案内ダクトの先端に給気口11が開口している。また、内筒3の上端は、天板4から若干突出しており、その上端が排気筒に接続される排気口12となっている。
容器1内の天板4の直下の部分に複数個の水噴霧ノズル17が、その噴霧方向を外筒内面に向けて配置されている。各噴霧ノズル17には、天板4を貫通した給水管18から水が供給されるようになっている。
底板5の外周一箇所には、矩形の粉塵排出口13が開口しており、この粉塵排出口には、容器外の下方に延びる粉塵排出筒19が固着されている。給気口11から流入した空気は、容器1内に図1の矢印方向の旋回流21を生じさせる。粉塵排出口のこの旋回流21の旋回方向下流側には、下辺を粉塵排出口13の一辺に固着して邪魔板22が立設されている。粉塵排出口の外筒側の辺は、外筒2の内面と一致しており、邪魔板22の外筒側の辺は、外筒2の内面に溶着されている。
集塵試験の一例を次に示す。外筒径が1,200mm、内筒径が800mm、外筒高さが1,800mm、内筒高さ(容器内に差し込まれている部分の長さ)が1,300mmの上記構造のサイクロン集塵装置について、処理風量150m3/min(給気口での風速15m/sec)で除塵性能を試験した結果、噴霧水量150リットル/minの湿式集塵で、5ミクロンの粉塵の除塵効率が約90%、水を噴霧しない乾式集塵で1,000ミクロンの粉塵の集塵効率が約90%であった。なお、このときの集塵装置での圧力損失は、200Paであった。
図2は、この発明のサイクロン集塵装置の第2実施例を示した図である。この第2実施例は、給気口11を容器の天板に設け、粉塵排出口13を容器の外筒2の下端に設けた例である。
容器1は、第1実施例と同様に直円筒形の外筒2と平板状の天板4及び底板5と、天板4の中央から外筒2と平行に容器1内に差し込まれた直円筒形の内筒3を備えている。また、第1実施例と同様に、容器1内の天板4の直下の部分に複数の水噴霧ノズル17が、その噴霧方向を外筒2の内面に向けて配置され、各噴霧ノズル17には、天板4を貫通する給水管18から水が供給される構造を備えている。
第2実施例のサイクロン集塵装置における給気口11は、天板4に複数箇所設けられている。各給気口11は、外側辺が外筒2の内面と一致する矩形ないし扇形である。各給気口11の円周方向同方向の半径方向の辺23に基辺を接続して、各給気口11の直下に斜めに固着されて給気口11から流入した粉塵を含んだ空気を外筒2の接線方向で、かつ水平に近い角度に案内する案内板24が設けられている。案内板24の外側辺は、外筒2の内面に固着されている。粉塵を含んだ空気は、各給気口に接続した給気管又は容器1の天板を覆うように形成した給気空間から容器1内へと流入する。流入した粉塵を含んだ空気は、案内板24に案内されて容器1内へ水平に近い角度で外筒2の接線方向に流入して、外筒2と内筒3の間の空間に旋回流21を生成する。
外筒2の下端一箇所に矩形の粉塵排出口13が開口している。この粉塵排出口には、下面が開口した粉塵排出筒19が固着されている。粉塵排出口13の旋回流21の旋回方向下流側には、旋回流21の旋回を妨げるように邪魔板22が立設されている。邪魔板22の下辺は、底板5に固着されており、外側辺25は、粉塵排出口13の一方の縦辺の位置で外筒2に固着されている。
上記のように構成されたサイクロン集塵装置の動作は、給気口11から流入した粉塵を含んだ空気が案内板24に案内されて容器1内に流入することによって容器1内に旋回流21を生成させる。
その他の点は第1実施例のものと同様である。
1 容器
2 外筒
3 内筒
4 天板
5 底板
11 給気口
12 排気口
13 粉塵の排出口
17 水噴霧ノズル
22 邪魔板

Claims (3)

  1. 直円筒形の外筒と天板と底板とで形成された容器と、この容器内に外筒と同心に設けられて下端が容器内に開口し上端が容器外に開口する直円筒形の内筒と、容器上部において外筒と内筒の間に含塵ガスを当該筒の接線方向に流入して容器内に旋回流を生じさせる給気口と、外筒上部の内側に外筒に向けて配置した複数個の水噴霧ノズルと、底板の周辺部ないし外筒の下端部に開口する粉塵排出口と、この粉塵排出口の前記旋回流の下流側に空気流を阻止するように立設された邪魔板とを備えている、集塵装置。
  2. 前記容器の天板に開口する前記給気口と、この給気口の直下に設けられて当該給気口から容器内に流入する含塵ガスを容器の円筒の接線方向に案内する案内板とを備えている、請求項1記載の集塵装置。
  3. 前記粉塵排出口と邪魔板が外筒の最下端に設けられている、請求項1又は2記載の集塵装置。
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