JP2011135866A - セルロースの糖化方法 - Google Patents

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和夫 土山
Kazuyoshi Iwane
和良 岩根
正樹 ▲高▼尾
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Abstract

【課題】セルロース含有物に含まれるセルロースを酵素によって加水分解する際の反応速度を向上させることができる、セルロースの糖化方法の提供。
【解決手段】セルロースを加水分解して糖化する方法であって、セルロース含有物とアルカリ水溶液とを接触させるアルカリ処理を行い、該セルロース含有物を水及び/又は酸性水溶液で洗浄した後、該セルロース含有物とセルロース分解酵素を含む水溶液とを接触させる酵素処理を行うことにより、水溶性オリゴ糖又はグルコースを含む水溶液を得ることを特徴とするセルロースの糖化方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースの糖化方法に関する。より詳しくは、セルロース含有繊維製品やそれらの製品屑等のセルロース含有物に前処理を施すことにより、セルロース分解酵素によるセルロースの加水分解反応速度を向上させたセルロースの糖化方法に関する。
化石燃料の枯渇問題や地球温暖化をはじめとした環境問題を背景に、石油代替原料を用いた燃料開発、化学品・樹脂群への転換が進められている。たとえば、米国、ブラジル等ではトウモロコシやサトウキビを原料にしたバイオエタノール製造が大規模に進められている。しかしこれらは食糧資源と競合関係にあるため、近年、その供給に関して国際的な議論の対象となった。このような背景を受け、食糧資源と競合しないセルロース系バイオマス原料(木質系・草本系等)からのバイオエタノール合成が注目を集めており、各国がその商用化を競っている。しかし、製造技術面とコスト面が障害となり未だ大規模には実用化出来ていない。一方、セルロース系バイオマス原料としては、上記の木質系・草本系以外にも、不要品として廃棄・回収された紙資源や衣料品等のセルロース含有繊維廃棄物もその対象として検討が始められている。
セルロース含有物のセルロースは、1000個以上のグルコースがβ−グリコシド結合でつながった多糖類である。セルロースを加水分解することにより、単糖であるグルコースのほか、グルコースが2〜6個つながった水溶性のオリゴ糖類(セロオリゴ糖)を得ることができる。これらの水溶性糖類の中でもグルコースは、微生物を用いた発酵法によるエタノール生産等に有用であることから、セルロースを含有する物からグルコース等の糖類を効率よく製造できる糖化技術が望まれている。
セルロースを糖化する従来の方法としては、熱分解法、硫酸等を触媒とする酸触媒法(例えばアルケノール法)、超臨界または亜臨界状態の水溶液で加水分解する加圧熱水法(特許文献1参照)、酵素反応によって加水分解する酵素反応法(特許文献2参照)等が知られている。
熱分解法は、熱エネルギーによりセルロース分子鎖を切断する方法であり、セルロースを低分子化することが出来る。しかし、熱反応であるために反応の選択性が乏しく、グルコースの収率は低い。
酸触媒法は高濃度の硫酸でセルロースを加水分解処理した後に希硫酸で後処理をしてグルコースを得るものであるが、酸による設備腐食の問題と共に硫酸含有残渣処理・硫酸回収等の工程が必要となる問題がある。
水は超臨界または亜臨界状態においてイオン積が増大し、あたかも酸性水溶液として挙動することが知られている。これを利用すれば酸触媒を添加しなくても効率よくしかも速やかにセルロースを加水分解する事ができるはずである。例えば、超臨界水または亜臨界水を用いることでセルロースからグルコースが20%以上の収率で得られるという報告がなされている(特許文献1参照)。温度・圧力条件を制御することによりグルコースの収率をある程度向上しうる。しかし、加水分解の効率を優先し過ぎると、生成したグルコースが熱分解反応して収率が低下してしまう。また、この際にエタノール発酵工程の阻害物質であるフルフラール類が生成される問題がある。
酵素反応法はセルロースを加水分解する酵素(セルラーゼ)により処理する方法であり、穏和な反応条件(室温〜70℃)で処理できることが特徴である。近年、国内外の多くのメーカーが遺伝子操作技術を駆使して新規なセルラーゼ開発に力を入れている。しかし、一般にセルラーゼ自身が高価であることに加え、原料である高分子量のセルロースをグルコースに加水分解する効率が低く、生産性に劣る。例えば、数日から1週間程度の長時間の加水分解処理を行っても、グルコースへの転換率は30%未満である。このように反応速度が小さいのは、セルロースが固体状態でありかつ結晶性であるためにセルラーゼとの反応が固液反応となっているからだと考えられる。
前記セルラーゼの低い加水分解効率の問題を解決するために、原料であるセルロースの前処理を工夫して加水分解効率を向上させる方法が提案されている(特許文献2参照)。すなわち、セルロースを超臨界水または亜臨界水で一時的に可溶化し、反応物が溶液中に溶解している間にセルラーゼで加水分解処理を行なう方法である。
特開平5−31000号公報 特開2001−95594号公報
しかしながら、上記の超臨界水処理における反応条件は320〜500℃で圧力が20〜50MPaと極めて厳しい条件であり、特殊な装置・設備を要するとともにエネルギーコストが高くなる問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、セルロース含有物に含まれるセルロースを酵素によって加水分解する際の反応速度を向上させることができるセルロースの糖化方法を提供することを課題とする。
本発明の請求項1に記載のセルロースの糖化方法は、セルロース含有物を加水分解して糖化する方法であって、セルロース含有物とアルカリ水溶液とを接触させるアルカリ処理を行い、該セルロース含有物を水及び/又は酸性水溶液で洗浄した後、該セルロース含有物とセルロース分解酵素を含む水溶液とを接触させる酵素処理を行うことにより、水溶性オリゴ糖又はグルコースを含む水溶液を得ることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載のセルロース糖化方法は、請求項1において、前記セルロース分解酵素の至適温度から5℃差し引いた温度を準至適温度とした場合、前記酵素処理において、前記準至適温度未満の低温で酵素処理を行った後、続けて、前記準至適温度以上の高温に切り換えて酵素処理を行うことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載のセルロース糖化方法は、請求項2において、前記低温は、前記準至適温度(℃)よりも1〜20℃低い温度であることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載のセルロース糖化方法は、請求項2又は3において、前記高温は、前記準至適温度(℃)よりも0〜10℃高い温度であることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載のセルロース糖化方法は、請求項2〜4のいずれか一項において、前記高温に切り換えるタイミングは、前記酵素処理を行う全期間のうち、後半のいずれかの時点であることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載のセルロース糖化方法は、請求項2〜5のいずれか一項において、前記高温に切り換えるタイミングは、前記酵素処理の開始後、グルコース転換率の上昇が鈍くなった時点以降であることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載のセルロースの糖化方法は、請求項1〜6のいずれか一項において、前記アルカリ処理において、−10℃〜50℃の温度範囲で、0.1〜10Nの前記アルカリ水溶液に、前記セルロース含有物を、0.1〜60分の時間範囲で接触させることを特徴とする。
本発明の請求項8に記載のセルロースの糖化方法は、請求項1〜7のいずれか一項において、前記酵素処理における酵素反応をpH3〜pH10の範囲で行うことを特徴とする。
本発明の請求項9に記載のセルロースの糖化方法は、請求項1〜8のいずれか一項において、前記セルロース含有物が、綿を含有する繊維であることを特徴とする。
本発明の請求項10に記載のセルロースの糖化方法は、請求項9において、前記綿を含有する繊維の長さが1mm以上1m以下であることを特徴とする。
本発明のセルロースの糖化方法によれば、高温高圧の前処理を必要とせず、アルカリによる前処理によって、後段の酵素処理によるセルロースの加水分解速度を向上させることができる。また、該酵素処理では、穏和な条件下でセルロースの加水分解を行うことにより、糖類の過分解物を発生させず、目的の生成物である水溶性オリゴ糖又はグルコースを高純度で得ることができる。得られた高純度の水溶性オリゴ糖又はグルコースは、エタノール発酵や乳酸発酵等の原料として有用である。
各温度条件における、酵素処理の時間とグルコース転換率との関係の一例を示すグラフである。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のセルロースの糖化方法は、セルロース含有物を加水分解して糖化する方法であって、セルロース含有物とアルカリ水溶液とを接触させるアルカリ処理を行い(工程A)、該セルロース含有物を水及び/又は酸性水溶液で洗浄した後(工程B)、該セルロース含有物にセルロース分解酵素を接触させる酵素処理を行って、水溶性オリゴ糖又はグルコースを含む水溶液を得る(工程C)、という工程A〜Cを有することを特徴とする。本発明のセルロースの糖化方法は上記工程A〜Cを含むものであればよく、他の操作を行う工程を含むものであってもよい。
前記工程Aにおいて、前記セルロース含有物と前記アルカリ水溶液とを接触させる方法は特に制限されない。例えば、前記セルロース含有物を前記アルカリ水溶液に浸漬して接触させる方法を採用しても良いし、前記セルロース含有物を静置したところに、前記アルカリ水溶液を通液させて接触させても良い。より具体的な例として、アルカリ耐性のカゴに前記セルロース含有物を入れて、そのカゴを前記アルカリ水溶液中に浸漬して揺り動かすことにより前記アルカリ処理を行うこと方法が挙げられる。
本発明におけるセルロース含有物としては、本発明の効果が十分に得られることから、セルロース含有繊維が好ましく、綿を含有する繊維がより好ましい。
前記セルロース含有繊維としては、セルロースを含有する繊維状の物であれば特に限定されず、例えば、衣料品等の繊維として用いられている綿、麻(苧麻、亜麻、マニラ麻、ザイザル麻、ケナフ麻等)、テンセル、レーヨン、キュブラ等や、コピー紙や包装紙、段ボール等の紙製品等が好適なものとして挙げられる。また、前記衣料品等の繊維として、ポリエステル等の合成繊維やシルク等のセルロースを含有していない繊維と混紡された繊維であってもよい。
前記セルロース含有繊維の形態は特に制限されず、綿状、糸状、綱状、布状、平面・立体状等に加工されたものを用いることができる。
また、前記セルロース含有繊維の長さは、1mm以上1m以下が好ましく、5mm以上50cm以下がより好ましく、1cm以上30cm以下がさらに好ましい。
この範囲の長さであると、セルロース含有繊維の取り扱いが容易となる。特に、本発明の各工程においてセルロース含有繊維を脱水する場合に、セルロース含有繊維が通過し難い篩(ふるい)を用いて行う際の取り扱い性に優れる。
セルロースから糖類への転換率を高める観点から、該セルロース含有物には糖化反応を阻害するような不純物はなるべく含まれていない方が好ましい。すなわち、本発明において用いられるセルロース含有物のセルロース含有率は高いほど好ましい。
前記工程Aにおいて、本発明のアルカリ処理におけるアルカリ水溶液としては、前記セルロース含有物の吸水量を高めて膨潤させることができるものであれば特に制限されず、水酸化ナトリウム、アンモニア水等が挙げられる。
これらのなかでも、水酸化ナトリウムが好ましい。水酸化ナトリウムを用いることにより、当該セルロース含有物中のセルロース(セルロース結晶)の吸水量を高めて膨潤することができ、さらに、後段の工程Bの水及び/又は酸性水溶液による洗浄後に該セルロースをNaイオンが吸着したセルロースNa塩とすることができる。その結果、後段の工程Cの酵素処理における反応系に酢酸を所定の量で添加すると、セルロースに吸着したNaイオン及び酢酸がpH緩衝剤として機能して、該反応系を酵素反応に好ましいpHで安定化することができる。
また、綿繊維等のセルロース含有繊維を、水酸化ナトリウム等でアルカリ処理することによって、該セルロース含有繊維が膨潤してセルロースの非晶領域が3倍以上増加しうる。さらに、X線回折によって測定される該セルロースの結晶格子の大きさも変化することから、セルロースの分子間相互作用が当該アルカリ処理によって変化させられると考えられる。その要因として、例えば、Naイオンの吸着によってセルロースの水酸基間の水素結合が切れて分子間の結合力が低下することが考えられる。
このように、アルカリ処理によって膨潤して吸水量が増加した綿繊維等のセルロース含有物は、後段の工程Cの酵素処理において、セルロース分解酵素が前記セルロース含有物のセルロースにアタックし易くなっているため、酵素反応の効率を著しく向上させることができる。
前記工程Aにおいて、アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である場合には、その濃度(規定度)は、0.1〜10Nが好ましく、1〜5Nがより好ましい。
上記範囲の下限値以上及び上限値以下であると、前記セルロース含有物におけるセルロース(セルロース結晶)の膨潤及び吸水量を高めて、後段の酵素反応をより効率良く行うことができる。
一方、上記範囲の下限値未満及び上限値超であると、前記セルロース含有物におけるセルロースの膨潤及び吸水量が低下してしまう傾向がある。
前記工程Aにおいて、前記セルロース含有物と前記アルカリ水溶液とを接触させる際の温度は、−10〜50℃が好ましく、−5〜30℃がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上及び上限値以下であると、前記セルロース含有物におけるセルロースの膨潤及び吸水量を高めて、後段の酵素反応をより効率良く行うことができる。
一方、上記範囲の下限値未満及び上限値超であると、前記セルロース含有物におけるセルロースの膨潤及び吸水量が低下してしまう傾向がある。
なお、前記膨潤及び吸水量をさらに向上させる温度としては、4〜20℃が良く、4〜15℃がさらに良く、4〜10℃が最も良い。しかし、アルカリ処理における温度を室温付近に設定することにより、冷却のためのエネルギーコストを不要とすることができる。
前記工程Aにおいて、前記セルロース含有物と前記アルカリ水溶液とを接触させる際の処理時間の範囲は、通常48時間以下で行うことができ、0.1分〜60分が好ましく、1分〜30分がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上及び上限値以下であると、前記セルロース含有物におけるセルロースの膨潤及び吸水量を高めて、後段の酵素反応をより効率良く行うことができる。
一方、上記範囲の下限値未満であると、前記セルロース含有物におけるセルロースの膨潤及び吸水量が低下してしまう傾向がある。また、48時間を超えてアルカリ処理を行った場合には、アルカリ濃度にもよるが、概して変化の程度が少なくなり、膨潤及び吸水量は頭打ちとなる傾向がある。
前記工程Bにおいて、前記アルカリ処理を行った前記セルロース含有物を水及び/又は酸性水溶液で洗浄する方法としては、該セルロース含有物からアルカリを水及び/又は酸性水溶液で洗い流すことができるものであれば特に制限されない。例えば、該セルロース含有物を脱イオン水及び/又は酸性水溶液に浸漬して洗浄する方法を採用しても良いし、該セルロース含有物を静置したところに、脱イオン水及び/又は酸性水溶液を通液させて洗浄しても良い。より具体的な例として、アルカリ耐性のカゴに前記セルロース含有物を入れて、そのカゴを脱イオン水及び/又は酸性水溶液中に浸漬して揺り動かし、適宜、該脱イオン水及び/又は酸性水溶液を交換することにより前記アルカリを該セルロース含有物から除去する方法が挙げられる。
前記酸性水溶液は、後段の工程Cにおける酵素反応を阻害しないものであれば特に制限されず、例えば酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等が好適に用いられる。
前記酸性水溶液のpHの範囲は、後段の工程Cにおける酵素反応を阻害しない範囲であればよく、pH2.0〜6.9が好ましく、pH3.0〜pH6.9がより好ましく、pH4.0〜pH6.0がさらに好ましい。
この範囲のpHであると、洗浄したセルロース含有物に含まれる水溶液のpHを、後段の工程Cにおける酵素反応の至適pH(一般にpH4〜6)に合わせることができるので好ましい。
なお、前記酸性水溶液の濃度は、前記アルカリ処理におけるアルカリの濃度によって適宜調整される。
前記水及び/又は酸性水溶液で洗浄した後の前記セルロース含有物に残存するアルカリは、該セルロース含有物に含まれる水又は酸性水溶液のpHが酸性〜中性付近となるように、できる限り少ない量であることが望ましい。しかし、後段の工程Cにおける酵素反応を阻害しない程度であれば、該アルカリが残存していてもよい。また、塩酸等の酸を用いて残存したアルカリを中和してもよい。
より具体的な前記工程A、並びに前記工程Bにおける酢酸による洗浄及びアルカリ中和の方法として、次の操作が例示できる。
まず、アルカリ耐性の容器(チーズ染色機)内において、木綿1kgに水を含ませてから脱水し、4N(15.8質量%)の水酸化ナトリウム水溶液9Lを投入して、前記アルカリ処理を所定時間行った後、該水酸化ナトリウム水溶液を排水する。該容器中に残ったアルカリを含む木綿に対して、4質量%の酢酸6Lを投入し、これを排水した後、再度4質量%の酢酸6Lを投入して排水する。このとき、1回目の排水はpH13以上であるが、2回目の排水はpH4〜5となっていることから、2度の酢酸投入後の木綿に含まれる水溶液は、酢酸と酢酸ナトリウムで構成されるpH4〜5の酢酸緩衝液に調製されていることがわかる。なお、このアルカリの中和反応は、CHCOOH+NaOH→CHCOONa+HOの反応式で表される。このようにpH調整された木綿は脱水しなくても、後段の工程Cに使用することができる。
前記工程Cにおいて、前記水及び/又は酸性水溶液で洗浄したセルロース含有物とセルロース分解酵素を含む水溶液とを接触させる方法は特に制限されない。例えば、前記セルロース含有物をセルロース分解酵素を含む水溶液に浸漬して接触させる方法を採用しても良いし、前記セルロース含有物を静置したところに、前記セルロース分解酵素を含む水溶液を通液させて接触させても良い。より具体的な例として、カゴに前記セルロース含有物を入れて、そのカゴを前記セルロース分解酵素を含む水溶液中に浸漬して揺り動かすことにより前記酵素処理を行う方法が挙げられる。
前記工程Cにおけるセルロース分解酵素としては、セルロースを加水分解して水溶性オリゴ糖又はグルコースを生成できるものであれば特に制限されず、公知のセルロース分解酵素(セルラーゼ)を所定の量で用いればよい。ここで、該水溶性オリゴ糖は、2〜6分子程度のグルコースが縮合してつながった分子構造を有する水溶性のセロオリゴ糖をいう。
前記工程Cにおけるセルロース分解酵素を含む水溶液には、pHを安定させるためのpH緩衝剤を含ませることが好ましい。該水溶液のpHとしては、該セルロース分解酵素の至適pH(酵素活性が高くなるpH)付近であることが望ましい。一般に、該至適pHは酸性〜中性であることが多いので、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等が好適に用いられる。
前述したように、水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルカリ処理を行ったセルロース含有物の水酸基のプロトンの一部はNaカチオンに変換されている可能性があるので、前記セルロース分解酵素を含む水溶液に酢酸、クエン酸、リン酸等の酸を所定の量加えて該セルロース含有物に接触させることにより水酸基に戻すと共に、セルロース分解酵素によるセルロースの加水分解に適した酸性〜中性付近のpHに調整することにより、当該酵素処理を効率よく行うことができる。
前記セルロース分解酵素の至適pHは、通常、幅のあるpH帯で表される。例えば、セルラーゼSS(ナガセケムテック株式会社製;活性1600CUN/g以上)の至適pHは5〜6である。この至適pHにおいて、酵素活性が最も高くなる温度が、至適温度とされる。
なお、セルラーゼSSの酵素活性は、0.625%のCMC−Na(pH4.5)4mlに酵素液1mlを加え、40℃で30分間作用させた時、1分間に1μモルのグルコースに相当する還元力を生成する活性を1CUNと定義されている。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、前記至適温度(℃)から5℃差し引いた温度を「準至適温度(℃)」と定義する。また、「グルコース転換率(質量%)」は、生成したグルコースの質量/セルロース含有物中のセルロースの質量、と定義する。
本発明者らは、酵素処理は準至適温度未満に設定して開始することが好ましいことを見出した。すなわち、本発明の酵素処理において、準至適温度未満の低温で酵素処理を行った後、続けて、準至適温度以上の高温に切り換えて酵素処理を行うことが好ましい。
準至適温度に設定して酵素処理を開始した場合、酵素反応の初速は少し遅くなる傾向があるが、一定期間の後(例えば10日後)に、酵素活性が失活してグルコース転換率が頭打ちになってしまう傾向を抑制できる。若しくは、酵素活性が失活してしまう時期を遅らせることができる。
前記低温で酵素処理した後、前記高温に切り換えて酵素処理を行うことによって、酵素活性を復活させる又は酵素活性の減衰を抑制できる。
つまり、前記低温の酵素処理を一定期間行った後で、一旦減衰しつつあった酵素活性を、前記高温に切り換えることによって、該酵素活性を再び高められる。若しくは、該酵素活性がさらに減衰してしまうことを抑制できる。
このメカニズムは未だ完全には解明していないが、前記低温の酵素処理で失活せずに保たれた酵素が反応溶液中に残っていることが要因と考えられる。すなわち、残った酵素が、前記高温に切り換えられた反応溶液中で、前記低温時よりも酵素活性が上昇するため、既に失活してしまった酵素の働き分を補うことができるのだと考えられる。
前記低温は、前記準至適温度よりも1〜20℃低い温度であることが好ましく、1〜10℃低い温度であることがより好ましく、1〜5℃低い温度であることがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、酵素処理中に、酵素活性が失活してしまう傾向を充分に抑制できる。上記範囲の上限値以下であると、酵素活性を極端に遅くすること無く、現実的な処理時間内で、酵素反応を進めることができる。
前記高温は、前記準至適温度よりも0〜10℃高い温度であることが好ましく、0〜8℃高い温度であることがより好ましく、0〜5℃高い温度であることがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、当該高温に切り換える効果を充分に発揮できる。上記範囲の上限値以下であると、酵素活性が熱によって失活してしまうことを防げる。
前記高温に切り換えるタイミング(切り換える時点)は、前記酵素処理を行う全期間のうち、後半のいずれかの時点であることが好ましい。
前記全期間のうち、後半に切り換えることによって、前半において減衰しつつあった反応溶液の酵素活性を賦活化し、反応溶液の全体としての酵素活性を、酵素処理の全期間を通して維持することができる。この結果、グルコース転換率を向上させられる。
また、前記高温に切り換えるタイミング(切り換える時点)は、前記酵素処理の開始後、グルコース転換率の上昇が鈍くなった時点以降であることが好ましい。
グルコース転換率の上昇が鈍くなることは、反応溶液中の酵素活性が減衰すること、或いは酵素反応速度が遅くなることを意味する。
グルコース転換率の上昇が鈍くなった後で、前記高温に切り換えることによって、反応速度が遅くなった反応溶液の酵素活性を賦活化し、反応溶液の全体としての酵素活性を、酵素処理の全期間を通して維持することができる。この結果、グルコース転換率を向上させられる。
また、前記高温に切り換えるタイミング(切り換える時点)は、グルコース転換率が50%以上に達した時点以降95%に達する前までが好ましく、60%以上に達した時点以降95%に達する前までがより好ましく、70%以上に達した時点以降95%に達する前までがさらに好ましい。なお、グルコース転換率の上限値は100%である。
通常、グルコース転換率が50〜70%以上に達する頃に、反応液中の酵素活性が減衰している可能性が高い。酵素活性が減衰する頃に、前記高温に切り換えることが好ましい。一方、95%に達した時点以降に前記高温に切り換えたとしても、グルコースに転換されるべき基質であるセルロースは殆ど残っていない状況なので、前記高温に切り換えるためのエネルギー投資が非効率となる可能性が高い。
本発明において、前記高温に切り換える方法としては、ヒーター等の加熱手段によって、反応溶液を温める周知の方法で行える。この場合、前述の「高温に切り換えるタイミング(切り換える時点)」とは、加熱手段の温度設定を高温に切り換えて、加熱を開始する時点を意味する。よって、実際に反応溶液が設定した前記高温に達するまでには、ある程度の時間を要する。つまり、前記高温に切り換える時点と、実際に反応溶液がその温度に達する時点との間には時間差がある。この時間差は、短いほど好ましい。例えば、酵素反応を日単位で行う場合には、温度の切り換え開始から設定した温度に到達するまでの時間差は、通常1〜2時間以内である。この時間差を短くするためには、反応溶液を攪拌しながら加熱する方法が有効である。
前記工程Cにおける酵素処理において、前記セルロース含有物と前記セルロース分解酵素を含む水溶液とを接触させる際の温度は、該セルロース分解酵素の至適温度(酵素活性が高くなる温度)付近であることが望ましい。一般には、該至適温度は10〜80℃の範囲であり、40〜70℃がより好ましく、50〜65℃がさらに好ましい。
前記工程Cにおける酵素処理において、前記セルロース含有物と前記セルロース分解酵素を含む水溶液とを接触させる際の処理時間の範囲は、適切な酵素濃度、pH、温度であれば、14日以下で行うことができる。多くの場合、反応開始後1日間が最も反応速度が高く、その後2〜6日間で反応速度が徐々に低下し、反応開始10日後以降では反応がほぼ停止してセルロース含有物に含まれるセルロースのグルコースへの転換率が頭打ちになる傾向がある。
ここで、前記転換率とは、セルロース含有物に含まれるセルロースの質量に対する、糖化反応により得られた糖類の質量の割合をいう。該糖類とは、前記水溶性オリゴ糖又はグルコースをいう。
前記工程Cでは、セルロースの加水分解を酵素を用いて比較的穏やかな条件で行うため、生成した前記糖類の過分解がほとんど起こらず、純度の高い糖類を得ることができる。生成した前記糖類は前記セルロース分解酵素を含む水溶液中に溶解している。該糖類を該水溶液から回収して得る方法は特に制限されず、クロマトグラフィー等の公知の方法で行えばよい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
アルカリ耐性の容器(チーズ染色機)内において、木綿1kgに水を含ませてから脱水し、20℃で、4N(15.8質量%)の水酸化ナトリウム水溶液9Lを投入して、前記アルカリ処理を5分間行った後、該水酸化ナトリウム水溶液を排水した。該容器中に残ったアルカリを含む木綿に対して、4質量%の酢酸水溶液6Lを投入し、これを排水した後、再度4質量%の酢酸水溶液6Lを投入して排水した。このとき、1回目の排水はpH13以上であるが、2回目の排水はpH5.0となっていたことから、2度の酢酸投入後の木綿に含まれる水溶液は、酢酸と酢酸ナトリウムで構成されるpH5.0の酢酸緩衝液に調製されていることが確認された。
つづいて、このpH調整処理済み湿潤木綿を乾燥重量換算で0.5gとり、セルロース分解酵素であるセルラーゼSS(ナガセケムテック株式会社製;活性1600CUN/g以上)0.125mlをポリプロピレン試験管中に添加して前記pH調整処理済み湿潤木綿と接触させ、シェーカーにより、振とうを200rpm、50℃で行った。この酵素処理の開始後、所定日数経過後における反応液に含まれるグルコース量をHPLCにより測定し、「グルコース転換率(質量%)=生成したグルコースの質量/綿繊維の質量(0.5g)」の計算を行った。
その結果、グルコース転換率は1日後=70%、3日後=90%、5日後=100%となった。
[実施例2]
セルロース含有物である綿糸5gと、4Nの水酸化ナトリウム水溶液200gとをガラス製ビーカー(300mL)で混合して、5℃で30分間、接触させた(工程A)。
つぎに、ビーカーから前記水酸化ナトリウム水溶液を除去して、脱イオン水を加え、アルカリ処理した前記セルロース含有物を水洗し8時間放置した(工程B)。その後、水洗した綿糸のうち乾燥重量換算で0.5gに相当する量を取り分けて、これに酢酸Na緩衝液(pH5.0)を加えて、試料A(pH5.0)とした。
つづいて、セルロース分解酵素であるセルラーゼSS(ナガセケムテック株式会社製;活性1600CUN/g以上)0.2mlを試料Aに添加して綿糸と酵素とを接触させ、シェーカーによる振とうは行わずに静置して、40℃で維持した(工程C)。
その結果、実施例1と同様の方法で測定したグルコース転換率は1日後=35%、3日後=68%、5日後=70%となった。
[実施例3]
セルロース含有物である綿糸5gと、2.5Nの水酸化ナトリウム水溶液200gとをガラス製ビーカー(300mL)で混合して、20℃で60分間、接触させた(工程A)。
つぎに、ビーカーから前記水酸化ナトリウム水溶液を除去して、脱イオン水を加え、アルカリ処理した前記セルロース含有物を水洗し8時間放置した(工程B)。その後、水洗した綿糸のうち乾燥重量換算で0.5gに相当する量を取り分けて、これに酢酸Na緩衝液(pH6.0)を加えて、試料B(pH6.0)とした。
つづいて、セルロース分解酵素であるセルラーゼSS(ナガセケムテック株式会社製;活性1600CUN/g以上)0.2mlを試料Bに添加して綿糸と酵素とを接触させ、シェーカーによる振とうは行わずに静置して、40℃で維持した(工程C)。
その結果、実施例1と同様の方法で測定したグルコース転換率は1日後=10%、3日後=20%、5日後=30%となった。
[実施例4]
セルロース含有物である綿糸5gと、10Nの水酸化ナトリウム水溶液200gとをガラス製ビーカー(300mL)で混合して、20℃で24時間、接触させた(工程A)。
つぎに、ビーカーから前記水酸化ナトリウム水溶液を除去して、脱イオン水を加えアルカリ処理した前記セルロース含有物を水洗し8時間放置した(工程B)。その後、水洗した綿糸のうち乾燥重量換算で0.5gに相当する量を取り分けて、これに酢酸Na緩衝液(pH4.0)を加えて、試料C(pH4.0)とした。
つづいて、セルロース分解酵素であるセルラーゼSS(ナガセケムテック株式会社製;活性1600CUN/g以上)0.2mlを試料Cに添加して綿糸と酵素とを接触させ、シェーカーによる振とうは行わずに静置して、40℃で維持した(工程C)。
その結果、実施例1と同様の方法で測定したグルコース転換率は1日後=30%、3日後=45%、5日後=55%となった。
[実施例5]
アルカリ耐性の容器(チーズ染色機)内において、木綿1kgに水を含ませてから脱水し、20℃で、4N(15.8質量%)の水酸化ナトリウム水溶液9Lを投入して、前記アルカリ処理を6時間行った後、該水酸化ナトリウム水溶液を排水した。該容器中に残ったアルカリを含む木綿に対して、水洗を1回実施後、4質量%の酢酸水溶液6Lを投入し、これを排水した。このとき、排水はpH5.0となっていたことから、木綿に含まれる水溶液は、酢酸と酢酸ナトリウムで構成されるpH5.0の酢酸緩衝液に調製されていることが確認された。
つづいて、このpH調整処理済み湿潤木綿を乾燥重量換算で0.5gとり、セルロース分解酵素であるセルラーゼSS(ナガセケムテック株式会社製;活性1600CUN/g以上)0.2mlをポリプロピレン試験管中に添加して前記pH調整処理済み湿潤木綿と接触させ、シェーカーによる振とうは行わずに静置して、40℃で維持した(工程C)。
その結果、実施例1と同様の方法で測定したグルコース転換率は1日後=35%、3日後=45%、5日後=55%となった。
[実施例6]
酵素処理の温度(糖化温度)を55℃、酵素量を0.125mlにした以外は、実施例2と同様に19日後まで実験を行った。
その結果、実施例1と同様の方法で測定したグルコース転換率は1日後=約28%、3日後=45%、5日後=約48%、19日後=65.1%となった。この結果を図1のグラフにおいて、「△」のプロットで示す。
なお、使用したセルラーゼSSの酵素活性が最も高くなるpH(至適pH)は、pH5〜6である。また、pH5.0で30分間の酵素処理において、最も酵素活性が高くなる温度(至適温度)は59℃である。よって、準至適温度は54℃である。
図1から明らかなように、10日後以降はほとんどグルコース転換率が上昇せずに頭打ちになっている。この理由は、酵素処理の開始時点から、準至適温度以上に設定したために、セルロース分解酵素が比較的早めに失活したためだと考えられる。
[実施例7]
酵素処理の温度(糖化温度)を開始から10日後まで50℃で維持し、11日目以降は55℃に切り換えて19日後まで酵素処理した以外は実施例6と同様の実験を行った。
その結果、実施例1と同様の方法で測定したグルコース転換率は1日後=約25%、3日後=43%、5日後=約59%、19日後=93%となった。この結果を図1のグラフにおいて、「●」のプロットで示す。
図1から明らかなように、9日後まではグルコース転換率が上昇しているが、9日後〜10日後では、ほとんどグルコース転換率が上昇せずに頭打ちになっている。しかし、11日目に処理温度を55℃に切り換えた後は、再びグルコース転換率が上昇している。
この結果から、酵素処理の全期間19日間のうち、後半のいずれかの時点、例えば11日目に処理温度を準至適温度以上に切り換えることによって、再びグルコース転換率を高められることが理解される。すなわち、酵素処理の開始後、グルコース転換率が上昇せずに頭打ちになった場合に、処理温度を準至適温度以上に切り換えることによって、再びグルコース転換率を高められることが理解される。
[実施例8]
酵素処理の11日目以降においても50℃の糖化温度に維持した以外は、実施例7と同様に実験した。つまり、酵素処理の開始から19日後まで一貫して50℃で酵素反応を行った。
その結果、実施例1と同様の方法で測定したグルコース転換率は、酵素処理の開始から10日後までは実施例7の結果と同じであり、19日後=76.1%であった。この結果を図1のグラフにおいて「□」のプロットで示す。
[比較例1]
セルロース含有物である綿糸5gと、脱イオン水とをガラス製ビーカー(300mL)で混合して、5℃で30分間、接触させた(工程A)。
つぎに、ビーカーから前記脱イオン水を除去して、別の脱イオン水を加え、前記セルロース含有物を水洗し8時間放置した(工程B)。その後、水洗した綿糸のうち乾燥重量換算で0.5gに相当する量を取り分けて、これに酢酸Na緩衝液(pH5.0)を加えて、試料D(5.0)とした。
つづいて、セルロース分解酵素であるセルラーゼSS(ナガセケムテック株式会社製;活性1600CUN/g以上)0.2mlを試料Dに添加して綿糸と酵素とを接触させ、シェーカーによる振とうは行わずに静置して、40℃で維持した(工程C)。
その結果、実施例1と同様の方法で測定したグルコース転換率は1日後=0%、3日後=8%、5日後=18%となった。
以上の結果から、本発明に係る実施例1〜5は、比較例1よりも、グルコース転換率が顕著に高いことが確認された。
本発明のセルロースの糖化方法は、セルロース含有物から糖類を製造するために広く利用することが可能である。

Claims (10)

  1. セルロースを加水分解して糖化する方法であって、
    セルロース含有物とアルカリ水溶液とを接触させるアルカリ処理を行い、該セルロース含有物を水及び/又は酸性水溶液で洗浄した後、該セルロース含有物とセルロース分解酵素を含む水溶液とを接触させる酵素処理を行うことにより、水溶性オリゴ糖又はグルコースを含む水溶液を得ることを特徴とするセルロースの糖化方法。
  2. 前記セルロース分解酵素の至適温度から5℃差し引いた温度を準至適温度とした場合、
    前記酵素処理において、前記準至適温度未満の低温で酵素処理を行った後、続けて、前記準至適温度以上の高温に切り換えて酵素処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のセルロース糖化方法。
  3. 前記低温は、前記準至適温度(℃)よりも1〜20℃低い温度であることを特徴とする請求項2に記載のセルロース糖化方法。
  4. 前記高温は、前記準至適温度(℃)よりも0〜10℃高い温度であることを特徴とする請求項2又は3に記載のセルロース糖化方法。
  5. 前記高温に切り換えるタイミングは、前記酵素処理を行う全期間のうち、後半のいずれかの時点であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のセルロース糖化方法。
  6. 前記高温に切り換えるタイミングは、前記酵素処理の開始後、グルコース転換率の上昇が鈍くなった時点以降であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のセルロース糖化方法。
  7. 前記アルカリ処理において、−10℃〜50℃の温度範囲で、0.1〜10Nの前記アルカリ水溶液に、前記セルロース含有物を、0.1〜60分の時間範囲で接触させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロースの糖化方法。
  8. 前記酵素処理における酵素反応をpH3〜pH10の範囲で行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルロースの糖化方法。
  9. 前記セルロース含有物が、綿を含有する繊維であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のセルロースの糖化方法。
  10. 前記綿を含有する繊維の長さが1mm以上1m以下であることを特徴とする請求項9に記載のセルロースの糖化方法。
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