JP2011135216A - 表示装置の評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示装置における表示特性を適切に評価することを可能とする表示装置の評価方法を提供する。
【解決手段】評価対象の表示装置1について、測定値としての色差ΔEiを取得する。その表示装置1についての色差の主観評価結果を用いて、色変化に対する視感度を考慮した、検知限界色差ΔEkを求める。これらの色差ΔEiおよび検知限色差ΔEkを用いて高色再現評価数HRを求め、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置1の表示特性(色再現特性や視野角特性、照明環境特性など)の評価を行う。従来と比べ、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価を実現することができる。
【選択図】図1
【解決手段】評価対象の表示装置1について、測定値としての色差ΔEiを取得する。その表示装置1についての色差の主観評価結果を用いて、色変化に対する視感度を考慮した、検知限界色差ΔEkを求める。これらの色差ΔEiおよび検知限色差ΔEkを用いて高色再現評価数HRを求め、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置1の表示特性(色再現特性や視野角特性、照明環境特性など)の評価を行う。従来と比べ、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価を実現することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、カラー映像等を表示する表示装置における色再現特性等の評価方法に関する。
従来、カラー映像表示が可能なCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示装置の表示特性について、様々な評価手法が提案されている。
例えば特許文献1,2には、評価の際の指標値として色差を用いることにより、表示装置の色再現特性を評価するようにした手法が提案されている。
ここで、色再現特性は表示装置における重要な表示特性の1つであるものの、現状では、色再現性の範囲(例えば、sRGB空間など)で規定しているに過ぎない。すなわち、これまでは、実際の色に対してどの程度忠実に表示装置上に表現できているのかを、数値的に示す指標(尺度)がなかった。そのため、従来は表示装置の色再現特性に関しては、各社ともばらばらに画質設計を行わざるを得なかった。
また、上記特許文献1,2の手法において指標値として用いられている色差についても、それ自体は、測定結果により得られる物理的なパラメータである。したがって、色によって人間の視感度が変化してしまうことを考慮すると、適切な評価を行うことが困難となってしまう。
このようにして、従来の評価手法では、色再現特性等の表示特性を適切に評価するのが困難であったため、改善する手法の提案が望まれていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表示装置における表示特性を適切に評価することを可能とする表示装置の評価方法を提供することにある。
本発明の表示装置の評価方法は、所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について色差の測定値を取得し、上記色基準画像とその色比較画像とを対比表示している表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色変化に対する視感度を考慮した、表示装置についての色差の検知限界値を求め、上記色差の測定値とこの色差の検知限界値とを用いて評価数を求め、この評価数を用いて表示装置の表示特性に関する評価を行うようにしたものである。
本発明の表示装置の評価方法では、評価対象の表示装置について色差の測定値が取得されると共に、その表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色変化に対する視感度を考慮した、表示装置についての色差の検知限界値が求められる。そして、色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価数が求められ、この評価数を用いて表示装置の表示特性に関する評価が行われる。すなわち、色変化に対する視感度を考慮した色差の検知限界値を用いて得られる評価数を指標として、表示特性の評価が行われる。これにより、このような色変化に対する視感度を考慮せずに評価を行っている従来と比べ、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価が実現される。
本発明の表示装置の評価方法によれば、評価対象の表示装置について色差の測定値を取得し、その表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色変化に対する視感度を考慮した色差の検知限界値を求め、色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価数を求め、この評価数を用いて表示装置の表示特性に関する評価を行うようにしたので、従来と比べ、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価を実現することができる。よって、表示装置における表示特性を適切に評価することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(高色再現評価数を用いた表示装置の色再現特性の評価方法)
2.変形例
変形例1(高色再現評価数を用いた表示装置の視野角特性の評価方法)
変形例2(高色再現評価数を用いた表示装置の照明環境特性の評価方法)
3.適用例(高色再現評価数を指標として利用した表示装置)
1.実施の形態(高色再現評価数を用いた表示装置の色再現特性の評価方法)
2.変形例
変形例1(高色再現評価数を用いた表示装置の視野角特性の評価方法)
変形例2(高色再現評価数を用いた表示装置の照明環境特性の評価方法)
3.適用例(高色再現評価数を指標として利用した表示装置)
<1.実施の形態>
[表示装置の評価方法の手順]
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置の評価方法における主要な処理手順を流れ図で表したものである。本実施の形態の表示装置の評価方法は、カラー映像等を表示する表示装置における表示特性を評価するものであり、ここでは、表示装置における色再現特性を評価するようになっている。
[表示装置の評価方法の手順]
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置の評価方法における主要な処理手順を流れ図で表したものである。本実施の形態の表示装置の評価方法は、カラー映像等を表示する表示装置における表示特性を評価するものであり、ここでは、表示装置における色再現特性を評価するようになっている。
(色差の測定値の取得:S11)
この評価方法では、まず、例えば図2(A)に示したように、例えば分光放射輝度計2を用いて、評価対象である表示装置1における色差の測定値(色差ΔEi)を取得する(図1のステップS11)。具体的には、例えば図2(B)に示したように、後述する所定の色基準画像(色票画像)31を表示部10上に表示している表示装置1から、その表示光Loutを分光放射輝度計2によって側色することにより、測定値である色差ΔEiを取得する。この際、色基準画像31のサイズとしては、例えば、縦横比(垂直(V)方向のサイズ/水平(H)方向のサイズ)=1/5程度のものを用いることができ、表示部10における背景色としては、例えば20%程度のグレイ色(灰色)を用いることができる。また、測定の際の環境としては、例えば暗室内で行うのが好ましい。
この評価方法では、まず、例えば図2(A)に示したように、例えば分光放射輝度計2を用いて、評価対象である表示装置1における色差の測定値(色差ΔEi)を取得する(図1のステップS11)。具体的には、例えば図2(B)に示したように、後述する所定の色基準画像(色票画像)31を表示部10上に表示している表示装置1から、その表示光Loutを分光放射輝度計2によって側色することにより、測定値である色差ΔEiを取得する。この際、色基準画像31のサイズとしては、例えば、縦横比(垂直(V)方向のサイズ/水平(H)方向のサイズ)=1/5程度のものを用いることができ、表示部10における背景色としては、例えば20%程度のグレイ色(灰色)を用いることができる。また、測定の際の環境としては、例えば暗室内で行うのが好ましい。
ここで、評価対象である表示装置1としては、例えば、CRTやLCD、PDP、有機ELディスプレイなどの各種の方式によるディスプレイを適用することが可能である。また、このようなディスプレイの適用例としても、TV(Television)やPC(Personal Computer)用のモニター等の種々のものが挙げられる。
また、色差としては、例えば以下の(1)〜(4)式で示したように、均等色空間を想定したCIELABによる色差を用いることが好ましい。具体的には、まず、分光放射輝度計2により得られる三刺激値X,Y,Zからなる(Xi,Yi,Zi)信号に基づいて、図示しないPCなどからなる画像処理部において、以下の(2)〜(4)式を用いて、(L*,a*,b*)を算出する。これらの値は、CIE(国際照明委員会)により1976年に勧告されたCIE1976 L*a*b*色空間(CIELAB色空間)における値である。このCIELAB色空間は、均等色空間として勧告されており、人間の知覚的な色の見えに対して均等性を考慮した空間となっている。なお、(2)〜(4)式中のXn,Yn,Znは、D65をターゲットとする完全拡散反射面の三刺激値である。そして、上記画像処理部は、これらの(L*,a*,b*)の値を用いて、以下の(1)式により、色差ΔEiに対応する色差ΔE*abを算出する。
ここで、このようにして得られる色差ΔEiは、表示装置1の画質特性に影響されるため、表示している基準色によって異なる値となる。したがって、表示装置1がTV装置である場合、このときのテレビの画質としては、できるだけ画作りされていない画質モード(例えば、カスタムモードやシネマモードなど)を用いるのが好ましい。
また、上記した色基準画像(色票画像)としては、例えば、標準的な色票であるマクベスチャートを用いることができる。なお、以下の例では、このマクベスチャートにおける基準色のうち、R(赤)(#15),G(緑)(#14),B(青)(#13)の基本3原色と、肌色(#2),空色(#3),木の葉色(#4)の3つの記憶色と、グレイスケールの階調128(#22),階調64(#23)との合計8色を用いている。
このようにして、例えば図3(A),(B)に示したような色差ΔEiが得られる。具体的には、図3(A)は、表示装置1の一例(TV装置)としての表示装置A〜Hにおける、基準色(上記した#2〜#4,#13〜#15,#22,#23の8色)ごとの色差ΔEiと、これら8色での色差ΔEiの平均値(平均色差)ΔEav8とを表に表したものである。また、図3(B)は、図3(A)に示した各色差ΔEiの値をグラフに表したものである。これらの図3(A),(B)により、ここでは上記した画作りがされていない画質モードを用いているにも関わらず、基準色によっては、各表示装置A〜Hにおける色差ΔEiの値が大きく異なっていることが分かる。また、ここでは、得られた色差ΔEiの範囲は、0.7〜25.6であった。また、8色の平均色差ΔEav8で比較すると、値が最も小さいのは表示装置E(ΔEav8=3.7)、値が最も大きいのは表示装置A,H(ΔEav=10.6)であった。
(検知限色差(色差限界値)の取得:S12)
次に、以下説明する所定の主観評価実験の結果(主観評価結果)に基づいて、上記画像処理部は、表示装置1についての色差の検知限界値である検知限色差ΔEkを求める(ステップS12)。この検知限色差ΔEkは、差があることを知覚することができる最小の色差値に対応するものであり、後述するように、色変化に対する人間の視感度を考慮した色差値となっている。
次に、以下説明する所定の主観評価実験の結果(主観評価結果)に基づいて、上記画像処理部は、表示装置1についての色差の検知限界値である検知限色差ΔEkを求める(ステップS12)。この検知限色差ΔEkは、差があることを知覚することができる最小の色差値に対応するものであり、後述するように、色変化に対する人間の視感度を考慮した色差値となっている。
ここで、上記した主観評価実験は例えば以下のようにして行う。具体的には、まず例えば図4に示したように、表示装置1の表示部10上に、前述した色基準画像(色票画像)32と、その色比較画像(色変換画像)33とを対比表示させる。色比較画像33としては、例えば前述した基準色の8色を用いて、輝度(L軸)、彩度(C軸)および色相(H軸)をそれぞれ、所定間隔で色差ΔEを+(プラス)方向および−(マイナス)方向に変化させることによって作成することができる。なお、グレイ色(#22,H23)については、色相は変化しないことから、L軸およびC軸のみを変化させることになる。
そして、このようにして得られる複数の色比較画像33を、表示部10上に順次表示させたうえで、実験者は、色基準画像32と色比較画像33との色差ΔEを知覚することができるか否かを随時判断するようにする。具体的には、色基準画像32と色比較画像33とが同じ色である(色差ΔEを知覚することができない)と判断した場合には、手元にあるコントロールスイッチにおいて、“Yes”のボタンを押すようにする。一方、色基準画像32と色比較画像33とが異なる色である(色差ΔEを知覚することができる)と判断した場合には、そのコントロールスイッチにおいて、“No”のボタンを押すようにする。なお、このような複数の色変換画像33の順次表示制御や、実験者による回答結果の集計には、例えば図示しないPCを用いて行うようにする。
このような主観評価実験としては、例えば、極限法や恒常法、二重上下法などを用いることができる。これらのうち、ここではばらつき精度を考慮して、二重上下法を用いている。この二重上下法は、上記した色比較画像33を順次表示させる際に、色差ΔEを+→−の順で大きい方向から順に変化させて表示していく方法である。基準点に対して軸上の逆の画像が表示されることから、順番の予測が不可能となるため、得られる結果の信頼性が高い主観評価実験の一つして用いられている。
以上のような主観評価実験により、例えば図5に示したような結果(主観評価結果)が得られる。この図5において、横軸は、色比較画像33における色差ΔE(L軸,C軸,H軸に沿った色差)を示している。また、縦軸は、実験者により、色基準画像32と色比較画像33とが同じ色である(色差ΔEを知覚することができない)と判断された確率(同じ色に見える確率)を示しており、全く差が分からない場合を100%、完全に差が分かる場合を0%としている。そして、ここでは図中に示したように、この同じに見える確率が50%となるときの色差ΔEの値を、検知限色差ΔEkとして定義している。なお、図中に示した不感帯ΔE0は、この同じに見える確率が100%となるときの色差ΔEの範囲を表している。
ここで、図6は、このようにして得られる主観評価結果の一例(緑(#14)についてL軸上で色差ΔEを変化させた場合)を表したものである。なお、図中に示した「多項式(14L)」は、得られた結果を多項式(6次の多項式)で近似した曲線(シグモイド曲線)を表している。この例では、上記した同じに見える確率(図中の縦軸に示した累積出現数)が50%となるときの色差ΔE、すなわち検知限色差ΔEkの値は、1.5であることが分かる。
また、図7は、前述した基準色(#2〜#4,#13〜#15,#22,#23の8色)ごとの、L軸,C軸,H軸の各軸に沿った検知限色差ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H)と、これら8色での検知限色差の平均値とを表に表したものである。ここで、平均値の求め方としては様々な手法が挙げられ、例えば、相加平均や相乗平均、調和平均などを用いることができる。ただし、本実施の形態では一例として均等色空間を前提としているため、検知限色差の形状は楕円体になると予想し、その半径はユークリッド距離になると思われる。そこで、ここでは、検知限色差の平均値として、以下の(5)式で示したように、各検知限色差ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H)についての2乗和ルートの平均値で求めた値(検知限色差ΔEk(√))を用いている。この図7により、色ごとおよび軸ごとによって、検知限色差ΔEkの値がそれぞれ異なっていることが分かる。なお、以下の説明では、検知限色差ΔEkとして、上記した検知限色差ΔEk(√)を用いるものとする。ただし、使用する色空間によっては、平均値を求める手法はこれには限られない。
(高色再現評価数HRの算出:S13)
次に、ステップS11において得られた測定値としての色差ΔEiと、ステップS12において得られた検知限色差ΔEkとを用いて、上記画像処理部は、以下説明する評価数(高色再現評価数HR)を求める(ステップS13)。
次に、ステップS11において得られた測定値としての色差ΔEiと、ステップS12において得られた検知限色差ΔEkとを用いて、上記画像処理部は、以下説明する評価数(高色再現評価数HR)を求める(ステップS13)。
この高色再現評価数HRは、人間の持つ色の変化に対する感度を考慮した評価数であり、上記した測定値としての色差ΔEiが、検知限色差ΔEkの何倍に相当するのかを尺度として定義したものである。具体的には、高色再現評価数HRは以下の(6)式により規定されている。すなわち、この高色再現評価数HRにおいて予め規定されている最高値(100点)から、色差ΔEiと検知限色差ΔEkとの比(色差ΔEi/検知限色差ΔEk)である色差比と、所定の補正係数(調整係数)である色再現係数aとの乗算値を減算することにより、高色再現評価数HRが求められるようになっている。ここで、色再現係数aは、高色再現評価数HRの値を調整するための補正係数であり、例えば、高色再現評価数HRの平均値(平均点)が80点となるように決定されるようになっている。このようにして求められる高色再現評価数HRは、上記したように、最高値(満点)としての100点を基準として、色差Eiの値が大きくなるのに応じて(また、検知限色差ΔEkの値が小さくなるのに応じて)、その値(点数)が減少していくようになっている。
これにより、例えば図8(A),(B)および図9(A)〜(D)に示したような、高色再現評価数HRが得られる。具体的には、図8(A)は、前述した表示装置A〜Hにおける、基準色(#2〜#4,#13〜#15,#22,#23の8色)ごとの高色再現評価数HRと、これら8色での高色再現評価数HRの平均値HRav8とを表に表したものである。また、図8(B)は、図8(A)に示した各高色再現評価数HRをグラフに表したものであり、図9(A)〜(D)は、図8(B)に示したグラフを、表示装置A〜Hごとおよび色別に詳細にグラフ化して表したものである。なお、ここでは、上記した色再現係数a=10として高色再現評価数HRを求めている。これらの図8および図9により、表示装置A〜Hごとおよび色ごとによって、高色再現評価数HRの値がそれぞれ異なっていることが分かる。
(表示特性の評価:S14)
次に、このようにして得られた高色再現評価数HRを指標値として、例えば上記画像処理部において、表示装置1における表示特性(ここでは、色再現特性)の評価を行う(ステップS14)。具体的には、ここでは高色再現評価数HRの大きさを指標として、表示装置1における色再現特性の評価を行う。すなわち、この高色再現評価数HRの値が大きいほど(100点に近い点数であるほど)、その表示装置1における色再現特性が良いと評価することができる。一方、逆にこの高色再現評価数HRの値が小さいほど(0点に近い点数であるほど)、その表示装置1における色再現特性が悪いと評価することができる。
次に、このようにして得られた高色再現評価数HRを指標値として、例えば上記画像処理部において、表示装置1における表示特性(ここでは、色再現特性)の評価を行う(ステップS14)。具体的には、ここでは高色再現評価数HRの大きさを指標として、表示装置1における色再現特性の評価を行う。すなわち、この高色再現評価数HRの値が大きいほど(100点に近い点数であるほど)、その表示装置1における色再現特性が良いと評価することができる。一方、逆にこの高色再現評価数HRの値が小さいほど(0点に近い点数であるほど)、その表示装置1における色再現特性が悪いと評価することができる。
例えば、上記した図8および図9の例では、8色での平均値HRav8が80点近くの高い値を示す表示装置がある一方、50点程度の低い値を示す表示装置もあることが分かる。また、例えば表示装置Cでは、基本3原色(赤(#15),緑(#14),青(#13))、記憶色3色(肌色(#2),空色(#3),木の葉色(#4))およびグレイ色2色(#22,#23)のそれぞれについて、高色再現評価数HRが平均して高い値を示しており、特に色再現特性が良い表示装置であると言える。
このようにして本実施の形態では、評価対象の表示装置1について、測定値としての色差ΔEiが取得される。また、その表示装置1についての色差の主観評価結果を用いて、色変化に対する視感度を考慮した、表示装置1についての色差の検知限界値(検知限色差ΔEk)が求められる。そして、これらの色差ΔEiおよび検知限色差ΔEkを用いて評価数(高色再現評価数HR)が求められ、この高色再現評価数HRを用いて表示装置1の表示特性(ここでは色再現特性)の評価が行われる。すなわち、色変化に対する視感度を考慮した検知限界色差ΔEkを用いて得られる高色再現評価数HRを指標として、表示特性の評価を行っているため、このような色変化に対する視感度を考慮せずに評価を行っている従来と比べ、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価が実現される。
以上のように本実施の形態では、評価対象の表示装置1について測定値としての色差ΔEiを取得し、その表示装置1についての色差の主観評価結果を用いて、色変化に対する視感度を考慮した検知限界色差ΔEkを求め、これらの色差ΔEiおよび検知限色差ΔEkを用いて高色再現評価数HRを求め、この高色再現評価数HRを用いて表示装置1の表示特性(色再現特性)の評価を行うようにしたので、従来と比べ、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価を実現することができる。よって、表示装置1における表示特性を適切に評価することが可能となる。
また、このように得られた高色再現評価数HRを用いて、例えばTV装置ごとの正確な色再現特性を比較することにより、どの色の再現性を改善すべきかなどを設計の段階で知ることができ、色作り設計にフィードバックすることが可能となる。一方、表示装置のユーザにとっても、この高色再現評価数HRの大小により、例えばどのTV装置の色再現特性が優れているかなどを知ることができるという利点がある。すなわち、色再現特性等の表示特性の尺度を共通化することができるため、設計者および消費者がそれぞれ、共通の物差し(指標)を用いて表示装置の表示特性を比較検討することが可能となる。
更に、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価が実現されるため、開発や設計段階での品質評価に用いることにより、開発や設計の効率化を図ることが可能となる。
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
(変形例1)
変形例1に係る表示装置の評価方法は、上記実施の形態で説明した高色再現評価数HRを用いて、表示装置の視野角特性(視認角特性)を評価するようにしたものである。すなわち、上記実施の形態では、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置の表示特性の一例としての色再現特性を評価しているが、本変形例では、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置の表示特性の他の例としての視野角特性を評価するようになっている。
変形例1に係る表示装置の評価方法は、上記実施の形態で説明した高色再現評価数HRを用いて、表示装置の視野角特性(視認角特性)を評価するようにしたものである。すなわち、上記実施の形態では、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置の表示特性の一例としての色再現特性を評価しているが、本変形例では、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置の表示特性の他の例としての視野角特性を評価するようになっている。
本変形例では、具体的にはまず、例えば図10中の矢印P1,P2で示したように、評価対象である表示装置1と分光放射輝度計2との間の測定角度(視認角に対応)を変化させつつ、上記実施の形態と同様に、表示光Loutから測定値としての色差ΔEiを取得する。また、検知限色差ΔEkを取得する際にも、主観評価実験において表示装置1と実験者との間の視認角を変化させることにより、上記実施の形態と同様に、この主観評価実験の結果から検知限色差ΔEkを求める。なお、このようにして得られた色差ΔEiおよび検知限色差ΔEkを用いて高色再現評価数HRを求める手法は、上記実施の形態と同様である。
そして、本変形例では、例えば図11に示したように、表示装置1に対する上記測定角度および視認角度(図中の視野角αに対応)の変化に応じた、高色再現評価数HRの変化量ΔHRを指標として、この表示装置1の視野角特性の評価を行う。具体的には、ここでは図中に示したように、視野角α=0°(正面方向)を基準として、高色再現評価数HRの変化量ΔHR=30となるときの視野角αの値を、視野角特性値としている(図11の例では、視野角特性値=45°)。なお、この視野角特性値を求める際の高色再現評価数HRの変化量ΔHRの値は、上記したΔHR=30の場合には限られず、他の値を用いて求めるようにしてもよい。
このようにして本変形例では、例えば図12〜図14に示したような、表示装置1の視野角特性が得られる。
具体的には、図12は、視野角αと高色再現評価数HRとの関係の一例を、表示装置1における表示方式別に表したものである。具体的には、図中に示した「VA1」〜「VA4」はそれぞれ、VA(Vertical Alignment;垂直配向)方式の液晶表示装置における特性を、「IPS」はIPS(In-Plane Switching)方式の液晶表示装置における特性を、「PDP」はPDP表示装置における特性を表している。この図12により、「VA2」で示したVA方式の液晶表示装置では、視野角特性値=45°であることが分かる。また、IPS方式の液晶表示装置やPDP表示装置では、視野角特性値=75°以上であることが分かる。
また、図13は、VA方式の液晶表示装置同士における、モデル別(モデルA〜C)の視野角αと高色再現評価数HRとの関係の一例を表したものである。この図13により、モデルBの液晶表示装置は、3つのモデルA〜Cのうちでは正面方向(視野角α=0°)での色再現特性が最も劣っている(高色再現評価数HRが最も低い)一方、視野角特性は最も良くなっている(視野角特性値が最も高い値を示している)ことが分かる。
更に、図14は、1つのモデル(上記モデルA)の液晶表示装置について、色別の高色再現評価数HRと視野角αとの関係の一例を表したものである。なお、図中に示した「HR2」等は、例えば#2の基準色における高色再現評価数HRを表しており、「HRav8」は、前述した基準色8色についての高色再現評価数HRの平均値を表している。また、図中に示した符号P31は、視野角特性値を規定する高色再現評価数HRav8の値を表している。この図14により、色ごとに視野角特性が異なっていることが分かり、例えば図中の符号P32で示した「HR15(#15の色における高色再現評価数HR)」では、視野角αが0°から5°まで変化したときの高色再現評価数HRの変化が特に大きくなっていることが分かる。このことから、この液晶表示装置では、#15の色における視野角特性が特に悪いということが分かる。
以上のように本変形例では、高色再現評価数HRを用いて、表示装置1の視野角特性を評価するようにしたので、従来と比べ、人間の感覚により合致した客観的な視野角特性評価を実現することができる。よって、表示装置1における視野角特性を適切に評価することが可能となる。
具体的には、従来の視野角特性は、例えばJEITA(社団法人電子情報技術産業協会)の規格では、コントラスト比の値が10:1を確保できる角度と規定されている。ところが、これは世の中のほぼ全ての表示装置が満たしてしまう値であり、実用には即していない。また、従来は、視野角特性の良し悪しに関しては、定量化されていないのが現状であった。これに対し、本変形例の評価方法を用いることにより、視野角特性の定量化を実用に即して行うことが可能となる。
(変形例2)
変形例2に係る表示装置の評価方法は、上記実施の形態で説明した高色再現評価数HRを用いて、表示装置の照明環境特性を評価するようにしたものである。すなわち、上記実施の形態では、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置の表示特性の一例としての色再現特性を評価しているが、本変形例では、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置の表示特性の他の例としての照明環境特性を評価するようになっている。
変形例2に係る表示装置の評価方法は、上記実施の形態で説明した高色再現評価数HRを用いて、表示装置の照明環境特性を評価するようにしたものである。すなわち、上記実施の形態では、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置の表示特性の一例としての色再現特性を評価しているが、本変形例では、この高色再現評価数HRを用いて、表示装置の表示特性の他の例としての照明環境特性を評価するようになっている。
本変形例では、具体的にはまず、評価対象である表示装置1の外部環境の照度を変化させつつ、上記実施の形態と同様に、表示光Loutから測定値としての色差ΔEiを取得する。また、検知限色差ΔEkを取得する際にも、主観評価実験において表示装置1の外部環境の照度を変化させることにより、上記実施の形態と同様に、この主観評価実験の結果から検知限色差ΔEkを求める。なお、このようにして得られた色差ΔEiおよび検知限色差ΔEkを用いて高色再現評価数HRを求める手法は、上記実施の形態と同様である。
これにより、例えば図15に示したような、表示装置1の照明環境特性(色別の照度と高色再現評価数HRとの関係)が得られる。なお、図中に示した「HRM1」等は、例えばマクベスチャートでの1番(#1)の基準色(濃い肌色)における高色再現評価数HRを表しており、「HRav40」は、これらの40色についての高色再現評価数HRの平均値を表している。この図15により、照度の変化に応じて高色再現評価数HRの値も変化(減少)していること、および、色ごとに照明環境特性が異なっていることが分かる。また、例えば図中の符号P4で示した「HRM21(ライトミディアムグレイの色における高色再現評価数HR)」では、照度が0Luxから50Luxまで変化したときの高色再現評価数HRの変化が特に大きくなっていることが分かる。このことから、この表示装置1では、ライトミディアムグレイの色における照明環境特性が特に悪いということが分かる。
以上のように本変形例では、高色再現評価数HRを用いて、表示装置1の照明環境特性を評価するようにしたので、従来と比べ、人間の感覚により合致した客観的な照明環境特性評価を実現することができる。よって、表示装置1における照明環境特性を適切に評価することが可能となる。
<3.適用例>
続いて、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置の評価方法の適用例について説明する。
続いて、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置の評価方法の適用例について説明する。
図16は、上記実施の形態等に係る表示装置の評価方法を利用した表示装置(表示装置4)のブロック構成を表したものである。表示装置4は、上記実施の形態等で説明した高色再現評価数HRを、後述する映像処理部43の設計の際の指標として利用したものである。この表示装置4は、例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group)復号部41と、照度センサ42と、映像処理部43と、表示駆動部44と、表示部45とを備えている。
MPEG復号部41は、MPEG信号からなる映像信号Dinに対してMPEG復号化処理を行うことにより、復号化された映像信号D1を生成するものである。
照度センサ42は、表示装置4の外部環境の照度を測定するセンサである。
映像処理部43は、映像信号D1と、照度センサ42から出力される照度検出値とを用いて、例えば図中に示したような種々の映像信号処理を行うことにより、映像信号処理後の映像信号D2を生成するものである。この映像処理部43は、上記したように、その設計の際に高色再現評価数HRを指標として用いて得られたものである。
表示駆動部44は、映像信号D2に基づいて表示部45に対する表示駆動を行うものである。表示部45は、このような表示駆動に応じて、映像信号Dinに基づく映像表示を行うものであり、CRTやLCD、PDP、有機ELディスプレイなどの各種の方式によるディスプレイを用いることが可能である。
この表示装置4では、上記高色再現評価数HRを設計の際の指標として用いていることにより、従来と比べてより正確な(正しい)色再現特性を得ることができる。また、色再現特性としては、このような正しい色再現特性に加え、(ユーザにとって)好ましい色再現特性とが挙げられるが、本発明の評価手法はこのような好ましい色再現手法にも応用することが可能である。
(その他の変形例)
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、検知限色差ΔEkを求める際に、色基準画像32と色比較画像33とが同じに見える確率(累積出現数)が50%となるときの色差ΔEとして検知限色差ΔEkを定義したが、この場合には限られない。すなわち、この同じに見える確率が50%以外の値になるときの色差ΔEを、検知限色差ΔEkの値として定義するようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、高色再現評価数HRを求める際に、前述の(6)式で示したように、色再現係数(補正係数)aを用いる場合について説明したが、場合によってはこの色再現係数aを用いないようにしてもよい。すなわち、高色再現評価数HRにおける最高値(100点)から、色差ΔEiと検知限色差ΔEkとの比(色差ΔEi/検知限色差ΔEk)である色差比を減算することにより、高色再現評価数HRを求めるようにしてもよい。
更に、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。
1…表示装置(評価対象)、10…表示部、2…分光放射輝度計、31,32…色基準画像(色票画像)、33…色比較画像(色変換画像)、4…表示装置、41…MPEG復号部、42…照度センサ、43…映像処理部、44…表示駆動部、45…表示部、ΔE,ΔEi…色差、ΔEk,ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H),ΔEk(√)…検知限色差(色差の検知限界値)、ΔE0…不感帯、a…色再現係数(補正係数)、HR,HRi…高色再現評価数、α…視野角(視認角)、Lout…表示光、Din,D1,D2…映像信号。
Claims (6)
- 所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について、色差の測定値を取得し、
前記色基準画像とその色比較画像とを対比表示している前記表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色変化に対する視感度を考慮した、前記表示装置についての色差の検知限界値を求め、
前記色差の測定値と前記色差の検知限界値とを用いて評価数を求め、
前記評価数を用いて、前記表示装置の表示特性に関する評価を行う
表示装置の評価方法。 - 前記評価数において予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比を減算することにより、前記評価数を求める
請求項1に記載の表示装置の評価方法。 - 前記最高値から、前記色差比と所定の補正係数との乗算値を減算することにより、前記評価数を求める
請求項2に記載の表示装置の評価方法。 - 前記評価数の大きさを指標として、前記表示装置の色再現特性の評価を行う
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置の評価方法。 - 前記表示装置に対する測定および視認の際の角度変化に応じた前記評価数の変化量を指標として、前記表示装置の視野角特性の評価を行う
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置の評価方法。 - 前記色差として、CIELABによる色差を用いる
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置の評価方法。
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