JP2011132998A - 玉軸受および工作機械のスピンドル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 構造が簡単で、高速回転時においても予圧を適正に確保でき、発熱や損傷を生じさせることなく運転できる玉軸受を提供する。特に、工作機械の主軸のリア側部分の支持に効果的に用いられる。
【解決手段】 この玉軸受5では、内輪7および外輪8の軌道面のうちいずれか一方の軌道面を溝状とすると共に、いずれか他方の軌道面を円すい面、または断面の輪郭が凹状曲線の曲面とする。この玉軸受5を工作機械のスピンドル装置1における主軸3のリア側部分の支持に用いる場合、円すい面または曲面とした軌道面はリア側に向けて拡径させる。【選択図】 図1
【解決手段】 この玉軸受5では、内輪7および外輪8の軌道面のうちいずれか一方の軌道面を溝状とすると共に、いずれか他方の軌道面を円すい面、または断面の輪郭が凹状曲線の曲面とする。この玉軸受5を工作機械のスピンドル装置1における主軸3のリア側部分の支持に用いる場合、円すい面または曲面とした軌道面はリア側に向けて拡径させる。【選択図】 図1
Description
この発明は、工作機械主軸のリア側支持などに用いられる玉軸受、およびこの玉軸受を用いた工作機械のスピンドル装置に関する。
マシニングセンタなどの工作機械における高速主軸を持つスピンドル装置には、ビルトインモータ型のものが用いられることが多い。この場合、主軸を支持する軸受として、モータを挟んでフロント側およびリア側の両方に転がり軸受が設けられる。通常、フロント側では加工時の剛性を確保するため、その転がり軸受として2〜4列のアンギュラ玉軸受、もしくは複列のアンギュラ玉軸受と円筒ころ軸受の組み合わせが用られ、これに適切な予圧が負荷される。一方、リア側軸受の主たる使用目的は主軸の振れ止めであり、その転がり軸受として背面合わせとした複列のアンギュラ玉軸受や単列の円筒ころ軸受が用いられる(非特許文献1)。
ところで、上記スピンドル装置における主軸は、運転中に軸受およびモータの発熱により昇温し熱膨張が生じる。この場合、主軸のフロント側を支持する軸受は、剛性確保のためハウジングに対して剛性を持つように取り付けられているため、熱膨張による主軸の軸方向への伸びはリア側に向かうことになる。この伸びを許容するため、リア側軸受としてアンギュラ玉軸受を用いた場合は、ハウジングと外輪の間にボールブッシュや予圧ばねを取り付けたり(例えば特許文献1)、軸方向の拘束を除いて軸受を取り付ける(例えば特許文献2)などの工夫がなされている。
また、リア側軸受として円筒ころ軸受を用いる場合、通常、外輪につばを有しないN型のものを用いることによって、運転中に容易に軸方向に移動可能としている。あるいは、リア側軸受として、内輪もしくは外輪の軌道面をストレートとした深溝玉軸受を用いるものも提案されており(例えば特許文献3)、この場合も軸方向に容易に移動できる。
NTNカタログ 精密転がり軸受N2260/J,pp.22−23
上記スピンドル装置における主軸の熱膨張は軸方向だけでなく、半径方向にも生じる。この半径方向への熱膨張は、上記した各熱膨張対策では、主に軌道輪と転動体の弾性変形として吸収される。そのため、軸受において接触荷重の増加を招き、トルク損失の増大や過大な発熱の原因となる。特許文献1に開示の熱膨張対策であれば、リア側軸受に発生する予圧の増大を緩和することは可能であるが、構造が複雑になる。
他の熱膨張対策として、リア側軸受に円すいころ軸受を用い、その接触角を利用して軸方向の膨張と半径方向の膨張を相殺する方法も提案されている(例えば特許文献4)。しかし、主軸に必要な剛性から選定される軸受の接触角と、熱膨張による予圧増大の緩和に必要な接触角とが一致するとは限らない。また、円すいころ軸受は、軸受単体の回転精度や軸受トルクの観点から、高速主軸用途には必ずしも適当ではない。
この発明の目的は、構造が簡単で、高速回転時においても予圧を適正に確保でき、発熱や損傷を生じさせることなく運転できる玉軸受を提供することである。
この発明の玉軸受は、内輪と外輪の軌道面間に複数の玉が介在する玉軸受であって、内輪および外輪の軌道面のうちいずれか一方の軌道面を溝状とすると共に、他方の軌道面を円すい面、または断面の輪郭が凹状曲線の曲面としたことを特徴とする。
この玉軸受を例えば工作機械のスピンドル装置における主軸のリア側部分の支持に用いる場合、円すい面とした軌道面がリア側に拡径するように配置し、あるいは断面の輪郭が凹状曲線の曲面とした軌道面をリア側に拡径するように形成する。これにより、主軸の高速回転時の熱膨張によって玉軸受の予圧が増大することが、次のようにして抑えられる。 主軸のフロント側を支持する軸受は、剛性確保のためハウジングに対して剛性を持つように取り付けられるので、熱膨張による主軸の軸方向への伸びはリア側に向かうことになる。主軸の温度上昇をΔT、主軸の材料の線膨張係数をαとすると、リア側の玉軸受における玉と例えば円すい面とした軌道面との接点は、フロント側軸受を基準にして、軸方向にLΔTα、半径方向にRΔTαだけ移動する。すなわち、上昇温度や主軸の材料の線膨張係数αに左右されることなく、玉と軌道面との接点は前記円すい面の勾配で変位する。したがって、高速回転による温度上昇で主軸が熱膨張してもリア側軸受である玉軸受の予圧は増減しない。軌道面を、断面の輪郭が凹状曲線の曲面とした場合も同様である。
これにより、簡単な構造の玉軸受でありながら、リア側軸受として用いた場合に、主軸の高速回転時においてもリア側軸受の予圧を適正に保つことができ、発熱や損傷を生じさせることなく運転することができる。
この玉軸受を例えば工作機械のスピンドル装置における主軸のリア側部分の支持に用いる場合、円すい面とした軌道面がリア側に拡径するように配置し、あるいは断面の輪郭が凹状曲線の曲面とした軌道面をリア側に拡径するように形成する。これにより、主軸の高速回転時の熱膨張によって玉軸受の予圧が増大することが、次のようにして抑えられる。 主軸のフロント側を支持する軸受は、剛性確保のためハウジングに対して剛性を持つように取り付けられるので、熱膨張による主軸の軸方向への伸びはリア側に向かうことになる。主軸の温度上昇をΔT、主軸の材料の線膨張係数をαとすると、リア側の玉軸受における玉と例えば円すい面とした軌道面との接点は、フロント側軸受を基準にして、軸方向にLΔTα、半径方向にRΔTαだけ移動する。すなわち、上昇温度や主軸の材料の線膨張係数αに左右されることなく、玉と軌道面との接点は前記円すい面の勾配で変位する。したがって、高速回転による温度上昇で主軸が熱膨張してもリア側軸受である玉軸受の予圧は増減しない。軌道面を、断面の輪郭が凹状曲線の曲面とした場合も同様である。
これにより、簡単な構造の玉軸受でありながら、リア側軸受として用いた場合に、主軸の高速回転時においてもリア側軸受の予圧を適正に保つことができ、発熱や損傷を生じさせることなく運転することができる。
前記玉軸受が工作機械のスピンドル装置における主軸のリア側部分を支持する工作機械用玉軸受である場合に、前記内輪の軌道面を溝状とし、前記外輪の軌道面を円すい面として、その円すい面の勾配aを、
a=R/L
とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:外輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
としても良い。
なお、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列は、転動体列が複列であっても、単列であっても良く、また単列軸受、複列軸受のいずれで構成されていても良いが、主軸の熱膨張があっても軸方向中央位置が変化しない配列の軸受列であることが好ましい。
a=R/L
とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:外輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
としても良い。
なお、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列は、転動体列が複列であっても、単列であっても良く、また単列軸受、複列軸受のいずれで構成されていても良いが、主軸の熱膨張があっても軸方向中央位置が変化しない配列の軸受列であることが好ましい。
前記玉軸受が工作機械のスピンドル装置における主軸のリア側部分を支持する工作機械用玉軸受である場合に、前記内輪の軌道面を溝状とし、前記外輪の軌道面を曲面として、その曲面を、前記玉の前記外輪の軌道面への接点から玉の中心を通る線分が軸中心と交わる点を中心とし、その中心から前記接点までの距離を半径とする球面とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:外輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
としても良い。
外輪軌道面が円すい面である場合、玉と外輪軌道面の接触面は転動方向に長軸を有する楕円形となる。このとき、接触面は潤滑油膜で分離されているが、接触面内の潤滑油は転がりと直交する方向に漏れやすくなり、油膜が薄くなる。これに対して、外輪軌道面を球面としたこの構成の場合には、接触面が真円形となるので、前記潤滑油の漏れを低減することができる。また、外輪と玉の接触面圧を、外輪軌道面を円すい面としたものと比較した場合、外輪軌道面を球面としたこの構成の場合の方が低面圧となり、それだけ転動疲労寿命が長くなる。
玉軸受の外輪軌道面は、予圧増加防止の観点からは円すい面とするのが最適であるが、最適な円すい面に近い形状であれば同様の予圧増加防止効果が期待でき、この構成のように球面としてもその効果が著しく損なわれることはない。
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:外輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
としても良い。
外輪軌道面が円すい面である場合、玉と外輪軌道面の接触面は転動方向に長軸を有する楕円形となる。このとき、接触面は潤滑油膜で分離されているが、接触面内の潤滑油は転がりと直交する方向に漏れやすくなり、油膜が薄くなる。これに対して、外輪軌道面を球面としたこの構成の場合には、接触面が真円形となるので、前記潤滑油の漏れを低減することができる。また、外輪と玉の接触面圧を、外輪軌道面を円すい面としたものと比較した場合、外輪軌道面を球面としたこの構成の場合の方が低面圧となり、それだけ転動疲労寿命が長くなる。
玉軸受の外輪軌道面は、予圧増加防止の観点からは円すい面とするのが最適であるが、最適な円すい面に近い形状であれば同様の予圧増加防止効果が期待でき、この構成のように球面としてもその効果が著しく損なわれることはない。
前記玉軸受が工作機械のスピンドル装置における主軸のリア側部分を支持する工作機械用玉軸受である場合に、前記外輪の軌道面を溝状とし、前記内輪の軌道面を円すい面として、その円すい面の勾配bを、
b=R/L
とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:内輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
としても良い。
この構成の場合にも、高速回転による温度上昇で主軸が熱膨張してもリア側軸受である玉軸受の予圧を適正に保つことができ、発熱や損傷を生じさせることなく運転することができる。
b=R/L
とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:内輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
としても良い。
この構成の場合にも、高速回転による温度上昇で主軸が熱膨張してもリア側軸受である玉軸受の予圧を適正に保つことができ、発熱や損傷を生じさせることなく運転することができる。
前記玉軸受が工作機械のスピンドル装置における主軸のリア側部分を支持する工作機械用玉軸受である場合に、前記外輪の軌道面を溝状とし、前記内輪の軌道面を曲面として、その曲面の断面の輪郭を、前記玉の前記内輪の軌道面への接点から玉の中心を通る線分上の任意の位置を中心とし、その中心から前記接点までの距離を半径とする円弧状とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:内輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
としても良い。
この構成の場合にも、高速回転による温度上昇で主軸が熱膨張してもリア側軸受である玉軸受の予圧を適正に保つことができ、発熱や損傷を生じさせることなく運転することができる。
内輪軌道面が円すい面である場合、玉と内輪軌道面の接触面は転動方向に長軸を有する楕円形となるが、内輪軌道面を断面の輪郭が円弧状となった曲面としたこの構成の場合には、接触面が楕円比の大きな楕円となり、より潤滑性が向上する。また、内輪と玉の接触面圧を、内輪軌道面を円すい面としたものと比較した場合、内輪軌道面を断面の輪郭が円弧状となった曲面としたこの構成の場合の方が低面圧となり、それだけ転動疲労寿命が長くなる。
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:内輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
としても良い。
この構成の場合にも、高速回転による温度上昇で主軸が熱膨張してもリア側軸受である玉軸受の予圧を適正に保つことができ、発熱や損傷を生じさせることなく運転することができる。
内輪軌道面が円すい面である場合、玉と内輪軌道面の接触面は転動方向に長軸を有する楕円形となるが、内輪軌道面を断面の輪郭が円弧状となった曲面としたこの構成の場合には、接触面が楕円比の大きな楕円となり、より潤滑性が向上する。また、内輪と玉の接触面圧を、内輪軌道面を円すい面としたものと比較した場合、内輪軌道面を断面の輪郭が円弧状となった曲面としたこの構成の場合の方が低面圧となり、それだけ転動疲労寿命が長くなる。
この発明において、前記円すい面または曲面とした軌道面に周方向に延びる微細溝を設けても良い。軌道面に微細溝を設けた場合、軌道面での潤滑油の漏れが低減され、軌道面での潤滑油の保持性が向上する。
前記微細溝は、仕上げ加工での砥石の加工目であっても良い。また、微細溝は、レーザ加工により、あるいはエッチング加工により、あるいはブラスト加工により付与しても良い。
この発明において、前記外輪および内輪のいずれか一方または両方に隣接して、軸方向位置調整用の間座を設けても良い。この構成の場合、軸方向位置調整用の間座の幅寸法を選択設定することにより、玉軸受に付与する予圧を簡単に調整できる。
前記玉軸受が工作機械のスピンドル装置における主軸のリア側部分を支持する工作機械用玉軸受である場合に、前記内輪の内径面をフロント側に向けて拡径する円すい面とすると共に、この内輪に嵌合する軸外径面を前記円すい面に沿う円すい面としても良い。この構成の場合、内輪をフロント側へ押し込むことで得られる内輪の半径方向への膨張によって、予圧調整を容易に行うことができる。
この発明において、前記玉をセラミックス製としても良い。
玉軸受における玉の遠心力による予圧の増加は、予圧適正化効果を損なう要因となるので、その玉には密度の小さい材料を用いるのが望ましい。この観点から、玉の材料としては、セラミックス、とくに窒化けい素やβサイアロンが好適である。
玉軸受における玉の遠心力による予圧の増加は、予圧適正化効果を損なう要因となるので、その玉には密度の小さい材料を用いるのが望ましい。この観点から、玉の材料としては、セラミックス、とくに窒化けい素やβサイアロンが好適である。
この発明において、玉軸受の潤滑方式をグリース潤滑としても良い。
この玉軸受の潤滑には、エアオイル潤滑、オイルミスト潤滑、グリース潤滑などの潤滑方式を適用することが可能であるが、例えばスピンドル装置のリア側軸受として用いる場合、スピンドル装置の主軸構造を簡素化するという観点から、付属部品や付帯設備の不要なグリース潤滑の採用が最も好ましい。
この玉軸受の潤滑には、エアオイル潤滑、オイルミスト潤滑、グリース潤滑などの潤滑方式を適用することが可能であるが、例えばスピンドル装置のリア側軸受として用いる場合、スピンドル装置の主軸構造を簡素化するという観点から、付属部品や付帯設備の不要なグリース潤滑の採用が最も好ましい。
この発明において、前記外輪に非接触シールを設けても良い。
例えばスピンドル装置のリア側軸受として玉軸受を用い、その潤滑方式としてグリース潤滑を採用する場合、固定側軌道輪となる外輪に非接触型のシールを設けることにより、グリースの飛散を防止することができる。
例えばスピンドル装置のリア側軸受として玉軸受を用い、その潤滑方式としてグリース潤滑を採用する場合、固定側軌道輪となる外輪に非接触型のシールを設けることにより、グリースの飛散を防止することができる。
この発明の工作機械のスピンドル装置は、この発明の上記いずれかの構成の玉軸受を、主軸のリア側部分の支持に用いたことを特徴とする。
この発明の玉軸受をリア側軸受として用いたスピンドル装置では、高速回転時においても発熱や損傷を生じさせることなく運転でき、その主軸構造を簡素なものとすることができる。
この発明の玉軸受をリア側軸受として用いたスピンドル装置では、高速回転時においても発熱や損傷を生じさせることなく運転でき、その主軸構造を簡素なものとすることができる。
この発明の玉軸受は、内輪および外輪の軌道面のうちいずれか一方の軌道面を溝状とすると共に、他方の軌道面を円すい面、または断面の輪郭が凹状曲線の曲面としたため、構造が簡単で、高速回転時においても予圧を適正に確保でき、発熱や損傷を生じさせることなく運転できる。
この発明の工作機械のスピンドル装置は、この発明の玉軸受を主軸のリア側部分の支持に用いたため、高速回転時においても発熱や損傷を生じさせることなく運転でき、その主軸構造を簡素なものとすることができる。
この発明の工作機械のスピンドル装置は、この発明の玉軸受を主軸のリア側部分の支持に用いたため、高速回転時においても発熱や損傷を生じさせることなく運転でき、その主軸構造を簡素なものとすることができる。
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。図1は、この実施形態の玉軸受を用いた工作機械用スピンドル装置の断面図を示す。このスピンドル装置1は高速回転用のものであり、ハウジング2内において、主軸3のフロント側(同図の左側)が軸受列4で、主軸3のリア側(同図の右側)が、この実施形態に係る単列の玉軸受5で回転自在に支持されている。主軸3のフロント側端部に、工具またはワークのチャックが取り付けられる。主軸3の中間部には、ビルトインモータ6が設けられ、このビルトインモータ6により主軸3が回転駆動される。ビルトインモータ6は、主軸3の外周に固定されたロータ12と、このロータ12に対向してハウジング2の内周に設けられたステータ13とでなる。
フロント側の軸受列4は、剛性確保のために予圧付与状態で、複数の単列の転がり軸受4A,4B,4C,4Dを軸方向に配列したものであり、ここではアンギュラ玉軸受からなる2列1組の転がり軸受4A,4Bと他の2列1組の転がり軸受4C,4Dが、互いに背面合わせとなるDTBT配列とされている。ハウジング2は、外周に油溝14の形成された内周ハウジング2Aおよび外周ハウジング2Bを有する二重構造とされている。なお、軸受列4は複列軸受や、複列軸受と単列軸受の組み合わせで構成してもよく、また1個の軸受からなるものとしても良い。
リア側軸受となる玉軸受5は、図2に拡大断面図で示すように、内輪7と外輪8の軌道面7a,8a間に複数の玉9を介在させたものである。このリア側の玉軸受5は、内輪7が内輪固定ナット15(図1)により主軸3に締め付け固定され、外輪8はハウジング2のリア側部材2C内に固定されている。内輪7の軌道面7aは、従来の深溝玉軸受またはアンギュラ玉軸受と同様の、断面円弧状または断面ゴシックアーチ状の溝状に形成されている。これに対して、外輪8の軌道面8aはリア側に向けて拡径する円すい面とされている。
この場合、図1のように、外輪8の軌道面8aに玉9が接する接点の軸方向位置から、常温時におけるフロント側の軸受列4の軸方向中央位置Oまでの距離をLとし、前記接点から主軸3の軸心までの距離をRとしたとき、円すい面とした外輪8の軌道面8aの傾斜勾配aは、
a=R/L …………(1)
とされている。
このときの玉9の接触角θは、
θ=tan-1(L/R) …………(2)
となる。
a=R/L …………(1)
とされている。
このときの玉9の接触角θは、
θ=tan-1(L/R) …………(2)
となる。
また、主軸3の回転時の振れ回りを防止するため、リア側軸受である玉軸受5にはわずかに初期予圧が与えられている。この予圧はフロント側の軸受列4の各転がり軸受4A〜4Dに反力として作用し、これらの軸受4A〜4Dの予圧を変化させるが、フロント側の軸受列4には剛性確保のための予圧が与えられており、リア側の玉軸受5に与えられる予圧はフロント側の軸受列4の予圧に比して十分小さいので、フロント側の軸受列4への影響は無視しうる。
リア側軸受としてこのような構成の玉軸受5を用いた上記スピンドル装置1において、主軸3が熱膨張したとき、フロント側の軸受列4では、工具側の2列の転がり軸受4A,4Bとモータ側の2列の転がり軸受4C,4Dとに大きさが同じで向きの異なる力が加わり釣り合う。したがって、ハウジング2に対してはフロント側の軸受列4の軸方向中央位置Oが固定されることになる。
また、主軸3の温度上昇をΔT、主軸3の材料の線膨張係数をαとすると、リア側の玉軸受5における玉9と外輪軌道面8aとの接点は、フロント側の軸受列4の軸方向中央位置Oを基準にして、軸方向にLΔTα、半径方向にRΔTαだけ移動する。すなわち、上昇温度や主軸3の材料の線膨張係数αに左右されることなく、玉9と外輪軌道面8aとの接点はR/Lの勾配で変位する。したがって、外輪軌道面8aを勾配R/Lの円すい面とした玉軸受5をリア側軸受として用いた上記スピンドル装置1では、高速回転による温度上昇で主軸3が熱膨張してもリア側軸受である玉軸受5の予圧は増減しない。これにより、きわめて簡単な構造の玉軸受5でありながら、これをリア側軸受として用いることにより、主軸3の高速回転時においてもリア側軸受の予圧を適正に保つことができ、発熱や損傷を生じさせることなく運転することができる。この玉軸受5をリア側軸受として用いたスピンドル装置1も、その主軸構造を簡素なものとして上記効果を得ることができる。
玉軸受5における玉9の遠心力による予圧の増加は、上記した予圧適正化効果を損なう要因となるので、その玉9には密度の小さい材料を用いるのが望ましい。この観点から、玉9の材料としては、例えばセラミックス、とくに窒化けい素やβサイアロン(Si6-Z AlZ OZ N8-Z )が好適である。
この玉軸受5の潤滑方式としては、エアオイル潤滑、オイルミスト潤滑、グリース潤滑などの潤滑方式を適用することが可能であるが、スピンドル装置1の主軸構造を簡素化するという観点からは、付属部品や付帯設備の不要なグリース潤滑の採用が最も好ましい。グリース潤滑を採用する場合、グリースの飛散を防止するために、固定側軌道輪となる外輪8に非接触型のシール(図示せず)を設けても良い。
図3はこの発明の他の実施形態を示す。この実施形態の玉軸受5は、図2の実施形態における外輪8の軌道面8aを、円すい面に替えて断面の輪郭が凹状曲線の曲面としたものである。すなわち、前記凹状曲線の回転体形状の軌道面8aとされている。この場合にもその軌道面8aはリア側に向けて拡径するように形成される。軌道面8aの断面の輪郭となる凹状曲線は、この例では円弧または円弧状の曲線としているが、変曲点を有しない凹状曲線であれば良い。
この場合の外輪軌道面8aの曲面は、具体的には、静止状態での玉9の外輪軌道面8aへの接点から玉9の中心を通る線分Pが主軸3の軸心と交わる点O’を中心とし、その中心O’から前記接点までの距離rを半径とする球面としている。この場合の玉9の接触角θは、先の実施形態の場合と同様にtan-1(L/R)に設定される。その他の構成は先の実施形態の場合と同様である。
この場合の外輪軌道面8aの曲面は、具体的には、静止状態での玉9の外輪軌道面8aへの接点から玉9の中心を通る線分Pが主軸3の軸心と交わる点O’を中心とし、その中心O’から前記接点までの距離rを半径とする球面としている。この場合の玉9の接触角θは、先の実施形態の場合と同様にtan-1(L/R)に設定される。その他の構成は先の実施形態の場合と同様である。
図2の実施形態のように外輪軌道面8aが円すい面である場合、玉9と外輪軌道面8aの接触面は転動方向に長軸を有する楕円形となる。このとき、接触面は潤滑油膜で分離されているが、接触面内の潤滑油は転がりと直交する方向に漏れやすくなり、油膜が薄くなる。これに対して、外輪軌道面8aを球面としたこの実施形態(図3の実施形態)では、接触面が真円形となるので、前記潤滑油の漏れを低減することができる。また、外輪8と玉9の接触面圧を、外輪軌道面8aを円すい面とした図2の実施形態の場合と比較した場合、外輪軌道面8aを球面としたこの実施形態の方が低面圧となり、それだけ転動疲労寿命が長くなる。
玉軸受5の外輪軌道面8aは、予圧増加防止の観点からは図2に示す実施形態のように円すい面とするのが最適であるが、最適な円すい面に近い形状であれば同様の予圧増加防止効果が期待でき、この実施形態のように球面としてもその効果が著しく損なわれることはない。
また、この実施形態では、外輪軌道面8aを主軸3の軸心上に中心O’を持つ球面としたが、曲率半径の中心がハウジング2側ではなく主軸3の軸心側にあるような曲面、つまり断面の輪郭が凹状曲線となるような曲面であれば、その他の曲面であっても同様の効果を上げることができる。
図4はさらに他の実施形態の玉軸受を用いた工作機械用スピンドル装置の断面図を示し、図5はその玉軸受の一部の断面図を示す。この実施形態の玉軸受5は、図1および図2の実施形態において、外輪8の軌道面8aが、従来の深溝玉軸受あるいはアンギュラ玉軸受と同様の、断面円弧状または断面ゴシックアーチ状の溝状に形成され、内輪7の軌道面7aがリア側に向けて拡径する円すい面とされている。
この場合、図4のように、内輪軌道面7aの玉9が接する接点の軸方向位置から、常温時におけるフロント側の軸受列4の軸方向中央位置Oまでの距離をLとし、前記接点から主軸3の軸心までの距離をRとしたとき、円すい面からなる内輪軌道面7aの傾斜勾配bは、
b=R/L …………(3)
とされている。
このときの玉9の接触角θは、
θ=tan-1(L/R) …………(4)
となる。
b=R/L …………(3)
とされている。
このときの玉9の接触角θは、
θ=tan-1(L/R) …………(4)
となる。
この実施形態の場合にも、外輪軌道面8aを円すい面とした図1および図2に示す実施形態の場合と同様の効果を上げることができる。すなわち、きわめて簡単な構造の玉軸受5でありながら、これをリア側軸受として用いることにより、主軸3の高速回転時においてもリア側軸受の予圧を適正に保つことができ、発熱や損傷を生じさせることなく運転することができる。
図6はこの発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の玉軸受5は、図5の実施形態における内輪7の軌道面7aを、円すい面に替えて断面の輪郭が凹状曲線となった曲面としたものである。この場合にもその軌道面7aはリア側に向けて拡径するように形成される。
この場合の内輪軌道面7aの曲面は、具体的には、その断面の輪郭を、静止状態での玉9の内輪軌道面7aへの接点から玉9の中心を通る線分Q上の任意の位置O”を中心とし、その中心O”から前記接点までの距離rを半径とする円弧状としたものである。この場合の玉9の接触角θは、図5の実施形態の場合と同様にtan-1(L/R)に設定される。その他の構成は図5の実施形態の場合と同様である。なお、軌道面7aの断面の輪郭となる凹状曲線は、上記のように円弧状の曲線としているが、変曲点を有しない凹状曲線であれば良い。
この場合の内輪軌道面7aの曲面は、具体的には、その断面の輪郭を、静止状態での玉9の内輪軌道面7aへの接点から玉9の中心を通る線分Q上の任意の位置O”を中心とし、その中心O”から前記接点までの距離rを半径とする円弧状としたものである。この場合の玉9の接触角θは、図5の実施形態の場合と同様にtan-1(L/R)に設定される。その他の構成は図5の実施形態の場合と同様である。なお、軌道面7aの断面の輪郭となる凹状曲線は、上記のように円弧状の曲線としているが、変曲点を有しない凹状曲線であれば良い。
図5の実施形態のように内輪軌道面7aが円すい面である場合、玉9と内輪軌道面8aの接触面は転動方向に長軸を有する楕円形となるが、内輪軌道面7aを断面の輪郭が円弧状となった曲面としたこの実施形態では、接触面が楕円比の大きな楕円となり、より潤滑性が向上する。また、内輪7と玉9の接触面圧を、内輪軌道面7aを円すい面とした図5の実施形態の場合と比較した場合、内輪軌道面7aを断面の輪郭が円弧状となった曲面としたこの実施形態の方が低面圧となり、それだけ転動疲労寿命が長くなる。
上記した各実施形態の玉軸受5における内輪軌道面7aや外輪軌道面8aでの潤滑油の漏れは、軌道面7a,8aに周方向に延びる微細な溝(図示せず)を設けることによっても低減することができる。この微細溝は仕上げ加工時の砥石の加工目によって与えても良いし、レーザやエッチング、ブラストなどによって与えても良い。
また、上記した各実施形態において、リア側軸受となる玉軸受5への予圧付与では、例えば図7に示すように、その玉軸受5の内輪7に隣接して、軸方向位置調整用の間座10を設け、その間座10の幅寸法を選択設定することにより予圧調整を行っても良い。図7では、内輪7に隣接して軸方向位置調整用の間座10を設けたが、外輪8に隣接して同様の間座を設けても良い。
また、他の予圧調整方法として、例えば図8に示すように、玉軸受5の内輪7の内径面をフロント側に向けて拡径する円すい面とすると共に、この内輪7に嵌合する主軸3の外径面を内輪7の内径面に沿う円すい面として、内輪固定ナット15で内輪7をフロント側へ押し込むことで得られる内輪7の半径方向への膨張によって予圧調整を行うようにしても良い。
1…スピンドル装置
3…主軸
4…軸受列
4A〜4D…転がり軸受
5…玉軸受
7…内輪
8…外輪
7a,8a…軌道面
9…玉
10…間座
3…主軸
4…軸受列
4A〜4D…転がり軸受
5…玉軸受
7…内輪
8…外輪
7a,8a…軌道面
9…玉
10…間座
Claims (19)
- 内輪と外輪の軌道面間に複数の玉が介在する玉軸受であって、内輪および外輪の軌道面のうちいずれか一方の軌道面を溝状とすると共に、他方の軌道面を円すい面、または断面の輪郭が凹状曲線の曲面としたことを特徴とする玉軸受。
- 請求項1において、玉軸受が工作機械のスピンドル装置における主軸のリア側部分を支持する工作機械用玉軸受であって、前記円すい面または曲面とした軌道面がリア側に向けて拡径する玉軸受。
- 請求項2において、前記内輪の軌道面を溝状とし、前記外輪の軌道面を円すい面とし、この円すい面の勾配aを、
a=R/L
とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:外輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
とした玉軸受。 - 請求項2において、前記内輪の軌道面を溝状とし、前記外輪の軌道面を曲面とし、この曲面を、前記玉の前記外輪の軌道面への接点から玉の中心を通る線分が軸中心と交わる点を中心とし、その中心から前記接点までの距離を半径とする球面とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:外輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
とした玉軸受。 - 請求項2において、前記外輪の軌道面を溝状とし、前記内輪の軌道面を円すい面とし、この円すい面の勾配bを、
b=R/L
とし、
前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:内輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
とした玉軸受。 - 請求項2において、前記外輪の軌道面を溝状とし、前記内輪の軌道面を曲面として、その曲面の断面の輪郭を、前記玉の前記内輪の軌道面への接点から玉の中心を通る線分上の任意の位置を中心とし、その中心から前記接点までの距離を半径とする円弧状とし、 前記玉の接触角θを、
θ=tan-1(L/R)
ただし、L:内輪の玉との接点の軸方向位置から、前記主軸のフロント側部分を支持する軸受列の軸方向中央位置までの距離
R:前記接点から軸中心までの距離
とした玉軸受。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記円すい面または曲面とした軌道面に周方向に延びる微細溝を設けた玉軸受。
- 請求項7において、前記微細溝が、仕上げ加工での砥石の加工目である玉軸受。
- 請求項7において、前記微細溝を、レーザ加工により付与した玉軸受。
- 請求項7において、前記微細溝を、エッチング加工により付与した玉軸受。
- 請求項7において、前記微細溝を、ブラスト加工により付与した玉軸受。
- 請求項2ないし請求項11のいずれか1項において、前記外輪および内輪のいずれか一方または両方に隣接して、軸方向位置調整用の間座を設けた玉軸受。
- 請求項2ないし請求項11のいずれか1項において、前記内輪の内径面をフロント側に向けて拡径する円すい面とすると共に、この内輪に嵌合する軸外径面を前記円すい面に沿う円すい面とした玉軸受。
- 請求項1ないし請求項13のいずれか1項において、前記玉をセラミックス製とした玉軸受。
- 請求項14において、前記玉が窒化けい素からなる玉軸受。
- 請求項14において、前記玉がβサイアロンからなる玉軸受。
- 請求項1ないし請求項15のいずれか1項において、玉軸受の潤滑方式がグリース潤滑である玉軸受。
- 請求項1ないし請求項17のいずれか1項において、前記外輪に非接触シールを設けた玉軸受。
- 請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載の玉軸受を、主軸のリア側部分の支持に用いたことを特徴とする工作機械のスピンドル装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009291588A JP2011132998A (ja) | 2009-12-23 | 2009-12-23 | 玉軸受および工作機械のスピンドル装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009291588A JP2011132998A (ja) | 2009-12-23 | 2009-12-23 | 玉軸受および工作機械のスピンドル装置 |
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---|---|
JP2011132998A true JP2011132998A (ja) | 2011-07-07 |
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ID=44345958
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---|---|---|---|
JP2009291588A Pending JP2011132998A (ja) | 2009-12-23 | 2009-12-23 | 玉軸受および工作機械のスピンドル装置 |
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JP (1) | JP2011132998A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019074098A (ja) * | 2017-10-12 | 2019-05-16 | Ntn株式会社 | 転がり軸受 |
-
2009
- 2009-12-23 JP JP2009291588A patent/JP2011132998A/ja active Pending
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