JP6385089B2 - 軸受装置の冷却構造 - Google Patents

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この発明は、軸受装置の冷却構造に関し、例えば、工作機械の主軸および主軸に組み込まれる軸受の冷却構造に関する。
工作機械の主軸装置では、加工精度を確保するために、装置の温度上昇は小さく抑える必要がある。しかしながら最近の工作機械では、加工能率を向上させるため高速化の傾向にあり、主軸を支持する軸受からの発熱も高速化と共に大きくなってきている。また、装置内部に駆動用のモータを組込んだいわゆるモータビルトインタイプが多くなってきており、装置の発熱要因ともなってきている。
発熱による軸受の温度上昇は、予圧の増加をもたらす結果となり、主軸の高速化、高精度化を考えると極力抑えたい。主軸装置の温度上昇を抑える方法として、冷却用の圧縮エアを軸受に送り、軸と軸受の冷却を行う方法がある(例えば、特許文献1)。なお、特許文献1では、2つの軸受間の空間に冷風を、回転方向に角度を付けて噴射して旋回流とすることで、軸と軸受の冷却を行っている。
特開2000−161375号公報
圧縮エアによる冷却では、圧縮エアの流速が速く、かつ流量が多いほど冷却効果が大きい。しかし、圧縮エアの流速を速くしたり、流量を多くしたりするにはエア供給装置の出力を大きくする必要があり、消費電力が多くなる。
この発明の目的は、圧縮エアの供給に要する消費電力を抑えつつ軸受装置を効率良く冷却することができる軸受装置の冷却構造を提供することである。
この発明の軸受装置の冷却構造は、転がり軸受の内外に対向する固定側軌道輪および回転側軌道輪にそれぞれ隣り合って固定側間座および回転側間座が設けられ、前記固定側軌道輪および固定側間座が、固定部材および回転部材のうちの固定部材に設置され、前記回転側軌道輪および回転側間座が、前記固定部材および回転部材のうちの回転部材に設置される軸受装置に適用される。この軸受装置において、前記固定側間座における間座同士が対向する周面に環状の凹み部を設け、この凹み部の底面に開口する出口から前記回転側間座の間座同士が対向する周面に向けて冷却用の圧縮エアを吐出するノズル孔を前記固定側間座に設け、このノズル孔が、前記固定側間座の前記周面における前記ノズル孔の出口の中心を通る法線に対して、前記回転側間座の回転方向の前方へ傾斜している。例えば、前記固定側軌道輪が外輪であり、前記回転側軌道輪が内輪である。その場合、前記固定部材および回転部材は、例えばそれぞれハウジングおよび軸である。
この構成によると、固定側間座に設けたノズル孔より冷却用の圧縮エアを回転側間座の周面に向けて吐出する。前記固定側間座の間座同士が対向する周面に環状の凹み部を設け、この凹み部に出口を開口させて前記ノズル孔を設けたことにより、固定側間座の凹み部と回転側間座との間の空間に圧縮エアが吐出される。狭いノズル孔から前記空間へ圧縮エアが一気に吐出されることにより、圧縮エアが断熱膨張して、圧縮エアの温度が下がると共に流速が増す。そのため、回転側間座が効率良く冷却される。
また、固定側間座に設けたノズル孔が回転側間座の回転方向の前方へ傾斜させてあるため、ノズル孔から吐出された圧縮エアは、回転側間座の周面に沿って旋回しながら軸方向に流れて軸受外部へ排出される。圧縮エアが旋回するため、軸方向にまっすぐ流れる場合と比べて、圧縮エアが回転側間座の周面接している時間が長く、回転側間座をより一層効率良く冷却することができる。
このように、回転側間座が効率良く冷却されることで、この回転側間座を介して転がり軸受の内輪および回転軸を効果的に冷却することができる。この冷却構造は、固定側間座の間座同士が対向する周面に環状の凹み部を設け、かつノズル孔を傾斜させるという構造的な工夫を施すだけで冷却効率を向上させることができるため、圧縮エアを供給するエア供給装置の出力を大きくしなくてもよく、消費電力を抑えることができる。
固定側間座の凹み部と回転側間座の間の空間に吐出された圧縮エアは、固定側間座と回転側間座の間のすきまを通って軸受外部へ排出される。その際、少なくとも一部の圧縮エアは軸受内へ流入する。前記空間よりも前記すきまが狭まっているため、すきまを流れる圧縮エアの周方向の各部での流速が均一化され、軸受内に流入する圧縮エアの流速が均一になる。それにより、圧縮エアと回転中の転動体との衝突音を小さくすることができる。
また、前記凹み部は、前記ノズル孔の出口が設けられている箇所が最も凹み、この最も凹んだ箇所から軸方向の少なくとも一方側へ行くに従い凹み量が次第に少なくなる断面山形の環状溝である。
このため、固定側間座の凹み部と回転側間座との間の空間から流れ出る圧縮エアの抵抗を抑えることができ、軸受内に流入する圧縮エアの流速がより一層均一になる。
この発明において、前記固定側間座における前記凹み部の底面を構成する部分を他の部分とは別体としても良い。
この場合、形状が比較的簡単な複数の部材を組み合わせて固定側間座が構成されるため、加工が容易である。
この発明の軸受装置の冷却構造は、上述の作用・効果を有するため、工作機械の主軸の支持に好適に用いることができる。
この発明の軸受装置の冷却構造は、転がり軸受の内外に対向する固定側軌道輪および回転側軌道輪にそれぞれ隣り合って固定側間座および回転側間座が設けられ、前記固定側軌道輪および固定側間座が、固定部材および回転部材のうちの固定部材に設置され、前記回転側軌道輪および回転側間座が、前記固定部材および回転部材のうちの回転部材に設置される軸受装置において、前記固定側間座における間座同士が対向する周面に環状の凹み部を設け、この凹み部の底面に開口する出口から前記回転側間座の間座同士が対向する周面に向けて冷却用の圧縮エアを吐出するノズル孔を前記固定側間座に設け、このノズル孔が、前記固定側間座の前記周面における前記ノズル孔の出口の中心を通る法線に対して、記回転側間座の回転方向の前方へ傾斜しているため、圧縮エアの供給に要する消費電力を抑えつつ軸受装置を効率良く冷却することができる。また、前記凹み部は、前記ノズル孔の出口が設けられている箇所が最も凹み、この最も凹んだ箇所から軸方向の少なくとも一方側へ行くに従い凹み量が次第に少なくなる断面山形の環状溝であるため、固定側間座の凹み部と回転側間座との間の空間から流れ出る圧縮エアの抵抗を抑えることができ、軸受内に流入する圧縮エアの流速がより一層均一になる。
この発明の基礎となる提案例に係る軸受装置の冷却構造を備えた工作機械主軸装置の断面図である。 同軸受装置の冷却構造の主要部の拡大断面図である。 図1のIII−III断面図である。 他の提案例に係る軸受装置の冷却構造の主要部の断面図である。 この発明の実施形態に係る軸受装置の冷却構造の主要部の断面図である。
この発明の基礎となる提案例に係る軸受装置の冷却構造を図1ないし図3と共に説明する。この例の軸受装置の冷却構造は、工作機械の主軸装置に適用されている。ただし、工作機械の主軸装置だけに限定されるものではない。
図1に示すように、軸受装置Jは、軸方向に並ぶ2つの転がり軸受1,1を備え、各転がり軸受1,1の外輪2,2間および内輪3,3間に、外輪間座4および内輪間座5がそれぞれ介在している。外輪2および外輪間座4がハウジング6に設置され、内輪3および内輪間座5が主軸7に嵌合している。転がり軸受1はアンギュラ玉軸受であり、内外輪3,2の軌道面間に複数の転動体8が介在している。各転動体8は、保持器9により円周等配に保持される。2つの転がり軸受1,1は互いに背面組合せで配置されており、外輪間座4と内輪間座5の幅寸法差により、各転がり軸受1,1の初期予圧を設定して使用される。
この提案例では、転がり軸受1は内輪回転で使用される。よって、外輪2、内輪3が、それぞれ請求項で言う「固定側軌道輪」、「回転側軌道輪」であり、外輪間座4、内輪間座5が「固定側間座」、「回転側間座」である。また、主軸7が「回転部材」、ハウジング6が「固定部材」である。後で示す他の実施形態および提案例についても同様である。
外輪2,2および外輪間座4は、例えばハウジング6に対してすきま嵌めとされ、ハウジング6の段部6aと端面蓋40とにより軸方向の位置決めがされる。また、内輪3,3および内輪間座5は、例えば主軸7に対して締まり嵌めとされ、両側の位置決め間座41,42により軸方向の位置決めがされる。なお、図の左側の位置決め間座42は、主軸7に螺着させたナット43により固定される。
冷却構造について説明する。
図1の部分拡大図である図2に示すように、外輪間座4は、外輪間座本体11と、この外輪間座本体11とは別部材からなるリング状の潤滑用ノズル12,12とを有する。外輪間座本体11は断面略T字形状に形成され、この外輪間座本体11の軸方向両側に潤滑用ノズル12,12がそれぞれ対称配置で固定されている。外輪間座本体11の内径寸法は、潤滑用ノズル12,12の内径寸法よりも大きい。これにより、外輪間座4の内周面に、外輪間座本体11の内周面と、この内周面に続く潤滑用ノズル12,12の側面とで構成される凹み部13が形成されている。この凹み部13は、断面長方形の環状溝である。外輪間座4の凹み部13以外の内周面、すなわち潤滑用ノズル12,12の内周面と、内輪間座5の外周面とは、微小な径方向すきまδaを介して対向している。これにより、前記凹み部13と内輪間座5の外周面との間に、他よりも径方向幅の広い空間14が形成されている。
前記外輪間座本体11には、内輪間座5の外周面に向けて冷却用の圧縮エアAを吐出するノズル孔15が設けられている。ノズル孔15の出口15aは、外輪間座4の内周面の前記凹み部13に開口している。この例では、複数個(例えば3個)のノズル孔15が設けられており、それぞれが円周方向等配に配置されている。
図3に示すように、各ノズル孔15は、それぞれ内輪間座5の回転方向の前方へ傾斜させてある。つまり、外輪間座4の軸心に垂直な断面における任意の半径方向の直線Lから、この直線Lと直交する方向にオフセットした位置にある。ノズル孔15をオフセットさせる理由は、圧縮エアAを内輪間座5の回転方向に旋回流として作用させて、冷却効果を向上させるためである。なお、図1、図2では、外輪間座4を、ノズル孔15の中心線を通る断面で表示している。
外輪間座本体11の外周面には、軸受外部から各ノズル孔15に圧縮エアAを導入するための導入溝16が形成されている。この導入溝16は、外輪間座4の外周面における軸方向中間部に設けられ、各ノズル孔15に連通する円弧状に形成されている。導入溝16は、外輪間座本体11の外周面において、後述のエアオイル供給経路(図示せず)が設けられる円周方向位置を除く円周方向の大部分を示す角度範囲αにわたって設けられている。図1のように、ハウジング6に圧縮エア導入経路45が設けられ、この圧縮エア導入経路45に導入溝16が連通するように構成されている。ハウジング5の外部には、圧縮エア導入孔45に圧縮エアAを供給するエア供給装置(図示せず)が設けられている。
潤滑構造について説明する。
図1に示すように、外輪間座4は、軸受内にエアオイルを供給する前記潤滑用ノズル12,12を有する。各潤滑用ノズル12は、軸受内に突出して内輪3の外周面との間でエアオイル通過用の環状すきまδbを介して対向する先端部30を含む。換言すれば、潤滑用ノズル12の先端部30が、内輪3の外周面に被さるように軸受内に進入して配置される。また、潤滑用ノズル12の先端部30は、保持器9の内周面よりも半径方向の内方に配置されている。
図2に示すように、潤滑用ノズル12には、この潤滑用ノズル12と内輪3の外周面間の前記環状すきまδbにエアオイルを供給するエアオイル供給孔31が設けられている。このエアオイル供給孔31は、軸受側に向かうに従い内径側に至るように傾斜し、先端部30の内周側に出口が開口している。エアオイル供給孔31には、ハウジング6および外輪間座本体11に設けられたエアオイル供給経路(図示せず)を通ってエアオイルが供給される。内輪3の外周面におけるエアオイル供給孔31の延長線上の箇所には、環状凹み部3aが設けられている。
潤滑用ノズル12から吐出されたエアオイルの油が前記環状凹み部3aに溜り、この油が、内輪3の回転に伴う遠心力により、傾斜面である内輪3の外周面に沿って軸受中心側へと導かれる。
排気構造について説明する。
この軸受装置Jには、冷却用の圧縮エアおよび潤滑用のエアオイルを排気する排気経路46が設けられている。排気経路46は、外輪間座本体11における円周方向の一部に設けられた排気溝47と、ハウジング6に設けられ前記排気溝47に連通する径方向排気孔48および軸方向排気孔49とを有する。前記外輪間座本体11の排気溝47は、エアオイル供給経路が設けられる位置とは対角の円周方向位置にわたって形成されている。
上記構成からなる軸受装置の冷却構造の作用について説明する。
外輪間座4に設けたノズル孔15より、冷却用の圧縮エアAが内輪間座5の外周面に向けて吹き付けられる。このとき、圧縮エアAが狭いノズル孔15内から広い空間14に吐出されることで、圧縮エアAが断熱膨張する。ノズル孔15内における圧縮エアの体積をV1、温度をT1とし、空間14での圧縮エアの体積をV2、温度をT2とした場合、気体の状態方程式、熱力学の第1法則より、V1<V2、T1>T2となる。すなわち、空間14では、圧縮エアAの温度が下がると共に、体積が増加する。体積が増加することで、圧縮エアAの流速が増大する。このように、低温で高速の圧縮エアAを内輪間座5に吹き付けることで、内輪間座5を効率良く冷却する。
また、ノズル孔15が内輪間座5の回転方向の前方へ傾斜させあるため、ノズル孔15から吐出された圧縮エアAは、内輪間座5の外周面に沿って旋回しながら軸方向に流れて、前記排気経路46を通って軸受外部へ排出される。圧縮エアAが旋回するため、軸方向にまっすぐ流れる場合と比べて、圧縮エアAが内輪間座5の外周面と接している時間が長く、内輪間座5をより一層効率良く冷却することができる。このため、内輪間座5をより一層効率良く冷却することができる。
このように、内輪間座5が効率良く冷却されることで、この内輪間座5を介して転がり軸受1の内輪3および主軸7を効果的に冷却することができる。この冷却構造は、外輪間座4の内周面に環状の凹み部13を設け、かつノズル孔15を傾斜させるという構造的な工夫を施すだけで冷却効率を向上させることができるため、圧縮エアAを供給するエア供給装置の出力を大きくしなくてもよく、消費電力を抑えることができる。
加えて、外輪間座4の内周面に凹み部13が設けられていると、次のような効果もある。すなわち、凹み部13と内輪間座5の間の空間14に吐出された圧縮エアAは、外輪間座4と内輪間座5の間の径方向すきまδaを通って軸受外部へ排出される。その際、少なくとも一部の圧縮エアAは軸受内へ流入する。空間14よりも径方向すきまδaが狭まっているため、径方向すきまδaを流れる圧縮エアAの周方向の各部での流速が均一化され、軸受内に流入する圧縮エアAの流速が均一になる。それにより、圧縮エアAと回転中の転動体9との衝突音を小さくすることができる。
この提案例の場合、前記凹み部13を断面長方形の環状溝としたため、凹み部13が一定深さとなり加工が容易である。また、図4のように、凹み部13の底面を構成する部分11aを他の部分11bと別体とすると、形状が比較的簡単な複数の部材を組み合わせて外輪間座本体11が構成されるため、より一層加工が容易である。
図5は、この発明の一実施形態を示す。この実施形態では、同図のように、外輪間座4の内周面の凹み部13は、ノズル孔15の出口15aが設けられている箇所が最も凹み、この最も凹んだ箇所から軸方向の少なくとも一方側へ行くに従い凹み量が次第に少なくなる断面山形の環状溝である。図の例では、凹み部13の底面はテーパ状であるが、これに限らない。この場合、外輪間座4の凹み部13と内輪間座5との間の空間14から流れ出る圧縮エアAの抵抗を抑えることができ、軸受内に流入する圧縮エアAの流速がより一層均一になる。
以上の各実施形態では、転がり軸受1を内輪回転で使用する場合を示したが、外輪回転で使用する場合も、この発明を適用することができる。その場合、例えば内輪3の内周に嵌合する軸(図示せず)が固定部材、外輪2の外周に嵌合するローラ(図示せず)が回転部材である。
1…転がり軸受
2…外輪(固定側軌道輪)
3…内輪(回転側軌道輪)
4…外輪間座(固定側間座)
5…内輪間座(回転側間座)
6…ハウジング(固定部材)
7…主軸(回転部材)
11…外輪間座本体
11a…ノズル孔を構成する部分
11b…他の部分
13…凹み部
15…ノズル孔
15a…出口
J…軸受装置

Claims (4)

  1. 転がり軸受の内外に対向する固定側軌道輪および回転側軌道輪にそれぞれ隣り合って固定側間座および回転側間座が設けられ、前記固定側軌道輪および固定側間座が、固定部材および回転部材のうちの固定部材に設置され、前記回転側軌道輪および回転側間座が、前記固定部材および回転部材のうちの回転部材に設置される軸受装置において、
    前記固定側間座における間座同士が対向する周面に環状の凹み部を設け、この凹み部の底面に開口する出口から前記回転側間座の間座同士が対向する周面に向けて冷却用の圧縮エアを吐出するノズル孔を前記固定側間座に設け、このノズル孔が、前記固定側間座の前記周面における前記ノズル孔の出口の中心を通る法線に対して、前記回転側間座の回転方向の前方へ傾斜し、前記凹み部は、前記ノズル孔の出口が設けられている箇所が最も凹み、この最も凹んだ箇所から軸方向の少なくとも一方側へ行くに従い凹み量が次第に少なくなる断面山形の環状溝である軸受装置の冷却構造。
  2. 請求項1に記載の軸受装置の冷却構造において、前記固定側軌道輪が外輪であり、前記回転側軌道輪が内輪である軸受装置の冷却構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の軸受装置の冷却構造において、前記固定側間座における前記凹み部の底面を構成する部分を他の部分とは別体とした軸受装置の冷却構造。
  4. 前記回転部材が工作機械の主軸である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の軸受装置の冷却構造。
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