JP2011132621A - 多層抄き耐油板紙、その製造方法及びそれを用いた耐油性紙製容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る多層抄き耐油板紙は、表層と、裏層と、少なくとも1層以上の中間層と、を有する基紙の両面を、フッ素樹脂系耐油剤を含有した耐油性付与面とし、耐油性付与面のうち少なくとも食品と接する面に溶出防止層を設け、溶出防止層が、ポリアクリルアマイド、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス又は架橋剤によって架橋されたポリビニルアルコールの中から少なくともいずれか一つを含有する塗工層であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
(1)抄紙工程
(1−1)パルプスラリーの調製
表層用、裏層用として、NBKP20部とLBKP80部とを配合した後に、叩解機によってカナダ標準濾水度(JIS P 8121:1995 パルプのろ水度試験方法)CSF500mlとなるように叩解処理した。このパルプスラリー100部に対して固形分換算で、硫酸バンド1部、紙力増強剤(日食ネオタック♯40T、カチオン化澱粉:日本食品化工社製)を1部含有するように添加してパルプスラリーを調製した。中間層用として、NBKP20部とLBKP80部とを配合した後に、叩解機によってカナダ標準濾水度CSF500mlとなるように叩解処理した。この中間層用の原料パルプ100部に対して固形分換算で、サイズ剤(AL1200、中性ロジンサイズ剤:星光PMC社製)0.08部、硫酸バンド1部、紙力増強剤(日食ネオタック♯40T、カチオン化澱粉:日本食品化工社製)1部を含有するように添加してパルプスラリーを調製した。
次に、前記パルプスラリーを用いて、円網式5層抄合せ抄紙機を使用して表層、中間層(1)、中間層(2)、中間層(3)及び裏層を抄合せて、表層の坪量を45.0g/m2、中間層(1)の坪量を44.0g/m2、中間層(2)の坪量を40.5g/m2、中間層(3)の坪量を44.0g/m2、裏層の坪量を45.0g/m2とした基紙を得た。ここで、便宜上表層を食品と接する面とし、裏層を食品と接しない面とした。
前記基紙に、オンマシンサイズプレスを使用して、水に固形分換算で、PVA(PVA−117K:クラレ社製)0.5%、耐油剤(AG E−060、フッ素系耐油剤:旭硝子社製)1.5%を配合した液を両面の合計で乾燥質量1.0g/m2塗布した。
続いてエアーナイフ方式の塗工機を用いて、処方A「ポリアクリルアマイド(ST−5000:星光PMC社製)の3%液」を、表層の表面(食品と接する面)に乾燥質量で0.5g/m2となるように塗工した。
処方B(固形分濃度29.0%)「沈降炭酸カルシウム(Brilliant−15:白石工業社製)70部、軽質炭酸カルシウム(TP−123:奥多摩工業社製)30部、澱粉(日食MS♯4600、尿素リン酸エステル化澱粉:日本食品化工社製)10部、PVA(PVA−117K:クラレ社製)13.5部」を、裏層の表面(食品と接しない面)に乾燥質量で10.0g/m2となるように塗工して、坪量が230.0g/m2の多層抄き耐油板紙を作製し、実施例1とした。
溶出防止層の形成で、処方Aを、処方C「スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス(L−1432:旭化成社製)の3%液」に変更し、乾燥質量で0.5g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にして、坪量が230.0g/m2の多層抄き耐油板紙を作製し、実施例2とした。
溶出防止層の形成で、処方Aを、処方D「水に固形分換算で、PVA(AP−17、アニオン変性PVA:日本酢ビ・ポバール社製)3%、架橋剤(Srz−675A、ポリアミドエポキシ樹脂:田岡化学工業社製)0.6%」に変更し、乾燥質量で0.5g/m2となるように塗工した後、乾燥後に巻き取りの状態で、60℃の条件で3日間維持してキュア処理を行った以外は実施例1と同様にして、坪量が230.0g/m2の多層抄き耐油板紙を作製し、実施例3とした。
溶出防止層を形成しない以外は、実施例1と同様にして、坪量が229.5g/m2の多層抄き耐油板紙を作製し、比較例1とした。
溶出防止層の形成で、処方Aを、処方E「水に固形分換算で、澱粉(日食MS♯4600、尿素リン酸エステル化澱粉:日本食品化工社製)1.28%、PVA(PVA−117K、クラレ社製)1.72%」に変更し、乾燥質量で0.5g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にして、坪量が230.0g/m2の多層抄き耐油板紙を作製し、比較例2とした。
実施例3において、巻き取りの状態での60℃の条件で3日間維持するキュア処理を行わない以外は実施例3と同様にして、坪量が230.0g/m2の多層抄き耐油板紙を作製し、比較例3とした。
得られた多層抄き耐油板紙の食品と接する面(表層側)に、60℃に加温した水を、1cm2につき2mlの割合で、30分間接触させたときの試験溶液の過マンガン酸カリウムの消費量を、昭和34年厚生省公示第370号 食品、添加物などの規格基準 第3 器具及び容器包装(改定:平成18年厚生労働省告示第201号)に準拠して測定した。判定基準を次に示す。
10μg/ml以下:使用時に問題を発生させない(実用レベル)。
10μg/mlを超える:使用時に問題を発生させることがある(実用不適)。
市販のサラダ油を得られた多層抄き耐油板紙の食品と接する面(表層側)に滴下後、60℃の温度条件でのサラダ油の浸透状態を評価した。判定基準を次に示す。
○:6時間を超えても浸透が見られない(実用レベル)。
△:1時間以上6時間以下で浸透が見られない(実用不適)。
×:30分以上1時間未満で浸透が見られない(実用不適)。
××:30分未満で浸透が見られる(実用不適)。
紙箱加工用接着剤(AV−650:日栄化工社製)を使用して得られた多層抄き耐油板紙の表面と裏面とを接着し、接着力及び剥離状態を評価した。判定基準を次に示す。
○:一般的な多層抄き板紙と同等な接着力を有し、破壊が紙層まで達する(実用レベル)。
△:一般的な多層抄き板紙より接着力がやや劣り、破壊が紙層まで及ばない(実用下限)。
×:接着しない(実用不適)。
Claims (7)
- 表層と、裏層と、前記表層及び前記裏層の間に少なくとも1層以上の中間層と、を有する基紙の両面を、フッ素樹脂系耐油剤を含有した耐油性付与面とし、
該耐油性付与面のうち少なくとも食品と接する面に溶出防止層を設け、
該溶出防止層が、ポリアクリルアマイド、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス又は架橋剤によって架橋されたポリビニルアルコールの中から少なくともいずれか一つを含有する塗工層であることを特徴とする多層抄き耐油板紙。 - 前記溶出防止層の表面に60℃の水を1cm2当たり2mlの割合で30分間接触させた溶出液の過マンガン酸カリウム消費量が、10μg/ml以下であることを特徴とする請求項1に記載の多層抄き耐油板紙。
- 前記耐油性付与面のうち食品と接しない面に、顔料とバインダーとを含有する塗工層を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層抄き耐油板紙。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載の多層抄き耐油板紙から形成されてなり、かつ、前記溶出防止層を設けた面を、食品と接する側に配置したことを特徴とする耐油性紙製容器。
- 表層と、裏層と、表層及び裏層の間に少なくとも1層以上の中間層と、を有する基紙を抄造する抄紙工程と、
前記基紙の両面に、フッ素樹脂系耐油剤を含有した塗布液をオンマシンサイズプレスで塗布して耐油性付与面を形成するオンマシンサイズプレス工程と、
溶出防止層用塗工液を前記耐油性付与面のうち少なくとも食品と接する面にオンマシンで塗工して、表面に60℃の水を1cm2当たり2mlの割合で30分間接触させた溶出液の過マンガン酸カリウム消費量が、10μg/ml以下である溶出防止層を設ける溶出防止層形成工程と、を有することを特徴とする多層抄き耐油板紙の製造方法。 - 前記溶出防止層用塗工液が、ポリアクリルアマイド又はスチレン−ブタジエン樹脂ラテックスを含有することを特徴とする請求項5に記載の多層抄き耐油板紙の製造方法。
- 前記溶出防止層用塗工液が、ポリビニルアルコールと架橋剤とを含有し、
前記オンマシンサイズプレス工程の後に、前記溶出防止層を乾燥する乾燥工程と、ポリビニルアルコールと架橋剤とを架橋させるキュア処理工程と、を順に有すること特徴とする請求項5に記載の多層抄き耐油板紙の製造方法。
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