JP2011132515A - 樹脂組成物、多層構造体および空気入りタイヤ - Google Patents

樹脂組成物、多層構造体および空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】空気透過性が低く、かつ伸縮性に優れる樹脂組成物を提供する。また該樹脂組成物からなるシート、多層構造体および空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】水性ポリエステル(A)および無機層状化合物(B)を混合して得られる樹脂組成物。前記樹脂組成物からなるシート。前記樹脂組成物からなる層及び基材層を含む多層構造体。前記樹脂組成物からなる層を含む空気入りタイヤ。水性ポリエステル(A)、無機層状化合物(B)および液体媒体を混合して得られる塗工液。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、多層構造体および空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、タイヤ内部に空気を入れることで荷重を支えたり、乗り心地性能などの各種特性を発現する。そのためタイヤ内の空気圧を保持することは、非常に重要である。そこで、空気入りタイヤの内面には、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような空気透過性の低いゴムからなるインナーライナー層が設けられている。
一方、燃費の低減は自動車における大きな技術課題の一つであり、この一環として空気入りタイヤのさらなる軽量化が求められている。
これらの要求を満たすために、さらなる空気透過性の低いインナーライナーゴム組成物の開発が急務である。このようなゴム組成物ができれば、インナーライナーを薄肉化することができ、タイヤの軽量化を図ることができる。
空気入りタイヤのインナーライナー層として、ブチルゴムなどの空気透過性の低いゴムに代えて、種々の材料を用いる技術が提案されている。たとえば特許文献1には、ポリアミド系樹脂を含むゴム組成物をタイヤインナーライナーに用いることが提案されている。
特開平8−259741号公報
しかしながら、従来の空気透過性の低いゴム組成物は、伸縮性が不十分であり、タイヤ成型、加硫などの加工時にカーカス部材やトレッド部材等の他のゴム材料と貼り合わせて使用するにあたり、他の部材の伸縮に追従できず、成形が困難であることがあった。
本発明の課題は、空気透過性が低く、かつ伸縮性に優れるゴム組成物を提供することである。また該ゴム組成物からなるシート、多層構造体および空気入りタイヤを提供することである。
本発明は、水性ポリエステル(A)および無機層状化合物(B)を混合して得られる樹脂組成物である。
本発明のゴム組成物は、空気透過性が低く、伸縮性に優れる。本発明のゴム組成物を用いて得られるシート、多層構造体および空気入りタイヤは、空気透過性が低く、伸縮性に優れる。
本発明の樹脂組成物は、水性ポリエステル(A)および無機層状化合物(B)を含む。
[水性ポリエステル(A)]
該水性ポリエステル(A)とは、下記の水性ポリエステル溶解性評価条件で親水性有機溶媒に溶解または分散するポリエステルであり、後述の方法により水性付与処理されたポリエステルである。該親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等のグリコールエーテル等、シクロヘキサノン等のケトン類が挙げられる。
〔水性ポリエステル溶解性評価条件〕
水性ポリエステル(A)150gを、イオン交換水750mlおよび2−プロパノール750mlからなる混合溶媒中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、100℃で90分間攪拌させて調合液を作製した後、該調合液100mlをメスシリンダーに採取し、10分間静置する。上記メスシリンダー内において、該水性ポリエステル(A)の状態を目視にて確認する。ここでいう分散とは、該水性ポリエステル(A)からなる液層と混合溶媒層とに分離したり、沈殿物等が生成したりすることなく、該水性ポリエステル(A)が該調合液中で均一に浮遊している状態である。
該水性ポリエステルとしては、下記のジカルボン酸とポリオールの重縮合により得られるエステル結合を分子主鎖に有する水性ポリエステルが挙げられる。ジカルボン酸成分としては、例えば芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。
また脂肪族ジカルボン酸としては例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等を挙げることができる。またさらに脂環式ジカルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。また分岐式ジカルボン酸としてはジグリコール酸、チオジプロピオン酸等を挙げることができる。また、上記ジカルボン酸成分には、これらジカルボン酸の無水物、エステル、酸クロライドおよびハロゲン化物等エステル形成可能な誘導体(以下、エステル形成性誘導体と称する)も含まれる。ジカルボン酸成分は1種もしくは2種以上を併せて使用することができる。
特に本発明の樹脂組成物を空気入りタイヤに用いる場合、該ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分またはこれらの誘導体から選択して使用することが好ましい。
ポリオール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール等のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール類、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4' −ジヒドロキシビフェノール、4,4' −メチレンジフェノール、4,4' −イソプロピリデンジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタリン、2,5−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールS等を挙げることができる。また、ポリオール成分にはこれらのポリオールに対応するジアセテート化合物等のエステル形成性誘導体も含まれる。これらポリオール成分は1種もしくは2種以上を併せて使用することができる。
特に本発明の樹脂組成物を空気入りタイヤ部材に用いる場合、これらの中でも特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA等が、反応の容易性、得られる樹脂組成物の伸縮性等の点から好適である。
水性付与処理方法としては特に限定されないが、ポリエステルの重縮合の際に、上記ジカルボン酸とポリオールに加え、3価以上の多価カルボン酸成分および/または金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分等の水性付与剤を共に重縮合する方法が挙げられる。
水性付与剤は、上記する3価以上の多価カルボン酸成分および/または金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分の内から1種、もしくは2種以上を併せて使用することができる。
3価以上の多価カルボン酸成分を用いてポリエステルに水分散性もしくは水溶性を付与する場合、多価カルボン酸に起因するカルボキシル基を残存させて重縮合反応を終了させ、この残存カルボキシル基を、例えばアンモニア、アルカノールアミン、アルカリ金属化合物等の塩基性化合物で中和することにより、水性ポリエステルを得ることができる。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エタンテトラカルボン酸等や、これらのエステル形成性誘導体を挙げることができる。ポリエステルの三次元架橋をできるだけ防止し、重縮合反応後においてもカルボキシル基を有効に残存させるためには、これらの中でも、無水トリメリット酸および/またはピロメリット酸無水物を用いるのが好ましい。
金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分としては、例えば5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられるが、該水性ポリエステルに良好な水分散もしくは水溶性を付与するためには、アルカリ金属がナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
多価カルボン酸成分を用いる場合、その使用量は特に限定されないが、水性ポリエステルの製造に用いるモノマーであるカルボン酸成分を100モル%とするとき、多価カルボン酸成分の割合は1〜40モル%であることが好ましい。
該水性ポリエステル(A)としては、本発明の樹脂組成物の伸縮性の点から、該水性ポリエステル(A)のみで形成した単層のフィルムを用いて、下記の引張試験をした場合に、破断伸びが1000%を超えるものであることが好ましい。
〔引張試験〕
厚み約0.3mmの水性ポリエステル(A)からなるフィルムをJIS 3号ダンベルにて打ち抜いた試験片を用い、22℃×65%RH雰囲気下、引張速度500mm/min、標線間距離20mmの条件にて引張試験を実施し、破断伸びを求める。
[無機層状化合物(B)]
本発明における無機層状化合物(B)としては、液体媒体への膨潤性、劈開性を有する無機層状化合物が好ましく、粘土鉱物が特に好ましい。本発明における無機層状化合物(B)とは、液体媒体へ分散させる以前の状態、すなわち原料の状態で、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している化合物をいう。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス等の弱い結合力によってほぼ平行に積み重なった構造をいう。
粘土鉱物は、一般に(i)シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、(ii)シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を両側から挟んでなる3層構造を有するタイプに分類される。(i)の2層構造タイプの粘土鉱物としては、カオリナイト族およびアンチゴライト族等の粘土鉱物が挙げられる。(ii)の3層構造タイプの粘土鉱物としては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、およびマイカ族等の粘土鉱物が挙げられる。
これらの粘土鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等が挙げられる。また、これら粘土鉱物を有機物でイオン交換等の処理し、分散性等を改良したもの(朝倉書店、「粘土の事典」参照;以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合もある)も用いることができる。粘土鉱物を処理する前記有機物としては、ジメチルジステアリルアンモニウム塩やトリメチルステアリルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩やフォスフォニウム塩、イミダゾリウム塩等を用いることができる。
上記粘土鉱物の中でもスメクタイト族、バーミキュライト族およびマイカ族の粘土鉱物が好ましく、スメクタイト族が特に好ましい。スメクタイト族としては、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトが挙げられる。本発明における無機層状化合物(B)は、モンモリロナイトであることが最も好ましい。また無機層状化合物(B)として、2種類以上を用いてもよい。
本発明の無機層状化合物(B)のアスペクト比は、特に限定されるものではないが、30〜2000であることが好ましく、200〜1000であることがより好ましい。このようなアスペクト比の無機層状化合物を用いることにより、より空気が透過しにくい、すなわち空気遮断性に優れる多層構造体となる。
無機層状化合物(B)の平均粒径は、30μm以下であることが好ましい。このような平均粒径の無機層状化合物(B)を用いることにより、本発明のゴム組成物は、空気遮断性および伸縮性により優れるものとなる。
前記した無機層状化合物(B)のアスペクト比(Z)とは、Z=L/aで定義される値である。ここで、Lは無機層状化合物の平均粒径であり、aは、無機層状化合物の単位厚さ、即ち、無機層状化合物の単位結晶層の厚みを示し、粉末X線回析法(「機器分析の手引き(a)」(1985年、化学同人社発行、塩川二朗監修)69頁参照)により求められる。
本発明における無機層状化合物(B)の平均粒径とは、液体媒体に無機層状化合物を分散させて、回折/散乱法により求めた粒径(体積基準のメジアン径)である。具体的には、無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた分散液に光を通過させたときに得られる回折/散乱パターンから、ミー散乱理論等により、上記回折/散乱パターンに最も矛盾のない粒度分布を計算することにより、無機層状化合物(B)の平均粒径を求めることができる。例えば粒度分布の測定範囲を適当な区間に分け、それぞれの区間について、代表粒子径を決定し、本来連続的な量である粒度分布を離散的な量に変換させて計算する方法が挙げられる。本発明では、後述するような、塗工液を塗工することにより本発明のシートや樹脂組成物からなる層を形成する場合には、該塗工液に含まれる液体媒体と同じ液体媒体に、無機層状化合物(B)を充分に膨潤させ、劈開させて平均粒径を求める。
無機層状化合物(B)としては、下記の膨潤性試験による膨潤値が5以上のものが好ましく、膨潤値が20以上のものがより好ましい。また、下記の劈開性試験による劈開値が5以上のものが好ましく、劈開値が20以上のものがより好ましい。
〔膨潤性試験〕
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
〔劈開性試験〕
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
前記膨潤性試験および劈開性試験に用いる液体媒体は、無機層状化合物(B)が親水性の膨潤性粘土鉱物の場合には、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられるが、とりわけ水、アルコール、水−アルコール混合物が好ましい。
無機層状化合物(B)が有機修飾粘土鉱物の場合には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、メタクリル酸メチル、フタル酸ジオクチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオイルなどを液体媒体として用いることができる。
[硬化剤(C)]
本発明の樹脂組成物は、上記水性ポリエステル(A)および無機層状化合物(B)に加えて、さらに硬化剤(C)を混合して得られる樹脂組成物であることが好ましい。硬化剤(C)とは、水性ポリエステル(A)と反応可能な化合物である。水性ポリエステル(A)、無機層状化合物(B)および硬化剤(C)を混合することで、硬化剤(C)と水性ポリエステル(A)とが反応する。そのため、得られる樹脂組成物は、耐水性に優れる樹脂組成物となる。硬化剤(C)は、23℃で液状であり、下記の水性評価試験で水に溶解または分散することが好ましい。
〔水性評価試験〕
硬化剤(C)10gをイオン交換水1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間攪拌させて評価液を作製した後、該評価液100mlをメスシリンダーに採取する。10分間静置する。上記メスシリンダー内において、該硬化剤(C)の状態を目視にて確認する。ここでいう分散とは、該評価液が硬化剤(C)からなる液層と水層とに分離したり、沈殿物等が生成したりすることなく、該硬化剤(C)が該評価液中で均一に浮遊している状態である。
該硬化剤(C)としては、アルコール類等の水酸基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物、またはそれらのエステル類、エポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、カルボジイミド基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物等が挙げられるが、該水性エステル(A)との反応性の点から、イソシアネート基を有する化合物および/またはエポキシ基を有する化合物を用いることが好ましい。
水性ポリエステル(A)、無機層状化合物(B)および硬化剤(C)を混合し、前記水性ポリエステル(A)と硬化剤(C)とを反応させて樹脂組成物を得る場合、水性ポリエステル(A)、無機層状化合物(B)および硬化剤(C)の混合物を乾熱処理することが好ましい。該乾熱処理とは、80℃以上の温度で水蒸気濃度が50g/m3未満の雰囲気下で前記混合物を保持する処理である。
本発明の樹脂組成物の空気遮断性の点から、水性ポリエステル(A)と硬化剤(C)の体積比((A)/(C))が99/1〜50/50であることが好ましく、95/5〜60/40であることがさらに好ましい。
また本発明の樹脂組成物の伸縮性の点から、水性ポリエステル(A)と硬化剤(C)の合計体積((A)+(C))と、無機層状化合物(B)の体積との比(((A)+(C))/(B))が、99/1〜70/30であることが好ましく、99/1〜80/20であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、目的や用途に応じて、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、着色剤など等の公知の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもかまわない。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば水性ポリエステル(A)および無機層状化合物(B)を押出機で混練する方法、ミキサーで混合する方法、水性ポリエステル(A)、無機層状化合物(B)および液体媒体を混合して得られる混合液を乾燥する方法等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を用いて、押出成形する方法、射出成形する方法、熱プレスする方法等公知の成形方法で成形することにより、種々の形状の成形品を得ることができる。
例えば本発明の樹脂組成物からなるシートは、通常厚みが0.01mm〜100mmの範囲である。また該シートの製造方法としては、例えば本発明の樹脂組成物を押出成形する方法、射出成形する方法、熱プレスする方法、また後述する多層構造体から基材層を剥離し、シートを製造する方法等が挙げられる。
本発明の多層構造体は、前記した樹脂組成物からなる層及び基材層を含む。基材層を構成する材料としては、金属、樹脂、木材、セラミック、ガラス等が挙げられる。また基材層の形態も特に限定されるものではなく、紙や、布、不織布、フィルム等が挙げられる。樹脂としては熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1などのオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物、エチレン−α・β不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α・β不飽和カルボン酸共重合体などのエチレン系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアリレート;ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系樹脂を挙げられる。
基材層は2種類以上の樹脂から構成されていてもよく、単層であっても2種類以上の層からなる多層であってもよい。また公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、ワックス、石油樹脂、帯電防止剤、充填剤としての無機フィラーなど(例えば「プラスチック及びゴム用添加剤実用便覧」化学工業(1970年)など参照)を含んでいてもよい。
本発明の多層構造体における基材層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜1000mmの範囲である。また本発明のゴム組成物からなる層の厚みも特に限定されないが、通常0.01mm〜100mmの範囲である。また基材層と樹脂組成物からなる層との厚みの比は、基材層/樹脂組成物からなる層=1/0.001〜1/1であることが好ましい。
樹脂組成物からなる層と基材層との密着性を改良する目的で、該基材層に予め表面処理することが好ましい。表面処理の方法としては、例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電子線放射処理、酸処理、アンカーコート処理、プライマー処理などが挙げられる。これらの方法は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また前述の多層構造体から基材層を剥離し、樹脂組成物からなるシートを得る場合、シリコーン等の公知の剥離剤により剥離処理がなされた基材層を用いることで、多層構造体から基材層を容易に剥離することが可能となる。
本発明の多層構造体の製造方法としては、特に限定されないが、基材層を構成する材料と該ゴム組成物とを共押出成形する方法、共射出成形する方法、基材層と、予め成形したゴム組成物からなるシートとを貼合する方法等が挙げられるが、基材層上に後述の塗工液を塗工して、塗布膜を形成する工程、次いで前記塗布膜から液体媒体を除去する工程、を含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物からなる層を、後述するシール材、パッキング材等として用いる場合は、本発明の樹脂組成物からなる層と接する部材を、本発明の多層構造体の基材層とすることができる。この場合、本発明の樹脂組成物からなる層は、基材層上に後述の塗工液を塗工して、塗布膜を形成し、次いで前記塗布膜から液体媒体を除去する方法により設けることが好ましい。前記方法で本発明の樹脂組成物からなる層を設けることにより、本発明の樹脂組成物からなる層と接する部材(基材層)が複雑な形状の場合でも、樹脂組成物からなる層と基材層との密着性が高いため、多層構造体の密閉性を高めることができ、好ましい。
また、本発明の樹脂組成物からなる層を、2つ以上の部材を接合させる部分のパッキング材等として用いる場合は、1つの部材上に後述の塗工液を塗工して、塗布膜を形成した後、その他の部材を接合して用いることができる。ここで塗布膜から液体媒体を除去した後、その他の部材を接合してもよく、また液体媒体を除去することなく、部材同士を接合し、その後、液体媒体を除去してもよい。
また、本発明の樹脂組成物からなる層を、基材層(樹脂組成物からなる層と接する部材)に直接塗工する前記方法で設けることにより、シール材等を予め製造した後、前記シール材等を部材に組みつける場合に比べ、部材形状に合わせたシール材等の製造のための金型等が不要であり、好ましい。
前記塗工液の製造方法としては特に限定されないが、例えば水性ポリエステル(A)および無機層状化合物(B)をそれぞれ液体媒体に溶解あるいは分散させ、水性ポリエステル(A)液および無機層状化合物(B)液を得た後、これらを混合して塗工液とする方法、水性ポリエステル(A)および無機層状化合物(B)を同じ液体媒体に溶解または分散させて塗工液を得る方法、などが挙げられる。また該塗工液が硬化剤(C)を含む場合も同様に、水性ポリエステル(A)、無機層状化合物(B)、硬化剤(C)をそれぞれ液体媒体に溶解あるいは分散させ、水性ポリエステル(A)液、無機層状化合物(B)液、硬化剤(C)液を得た後、これらを混合して塗工液とする方法、水性ポリエステル(A)、無機層状化合物(B)、硬化剤(C)を同じ液体媒体に溶解または分散させて塗工液を得る方法、無機層状化合物(B)、硬化剤(C)および液体媒体からなる予備調合液と水性ポリエステル(A)液とを混合して塗工液とする方法、などが挙げられる。
本発明の塗工液を製造する場合には、該無機層状化合物(B)を液体媒体に十分に膨潤させ劈開させるために、高圧分散処理を行うことが好ましい。該高圧分散処理とは、前記無機層状化合物(B)液や予備調合液等の無機層状化合物(B)を含む液を、複数本の細管中に高速通過させた後に合流させて、前記無機層状化合物(B)を含む液同士あるいは該無機層状化合物(B)を含む液と細管内壁とを衝突させることにより、該無機層状化合物(B)を含む液に高剪断および/または高圧を付加する処理方法である。高圧分散処理では、無機層状化合物(B)を含む液を管径1μm〜1000μm程度の細管中に通過させ、このとき100kgf/cm2以上の最大圧力が印加されるように処理することが好ましい。最大圧力は500kgf/cm2以上であることがより好ましく、1000kgf/cm2以上であることが特に好ましい。また、無機層状化合物(B)を含む液が細管内を通過する際、該液の最高到達速度は100m/秒以上であることが好ましく、圧力損失による伝熱速度は100kcal/hr以上であることが好ましい。前記高圧分散処理には、Microfluidics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー(商品名:マイクロフルイダイザー)、ナノマイザー社製ナノマイザー、マントンゴーリン型高圧分散装置、イズミ
フードマシナリ製ホモゲナイザー等の高圧分散装置を用いることができる。高圧分散処理する液には、水性ポリエステル(A)および/または硬化剤(C)が含有されていてもよい。
基材層にアンカーコート層や樹脂組成物からなる層を塗工により設ける場合には、ダイレクトグラビア法、リバースグラビア法などのグラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法などのロールコーティング法、ドクターナイフ法、ダイコート法、バーコーティング法、ディッピング法、スプレーコート法などを適用することができる。容易に層を設けることができることからディッピング法、スプレーコート法、グラビア法を採用することが好ましい。
本発明で用いる液体媒体は、使用する無機層状化合物(B)を膨潤し劈開させる液体媒体であることが好ましい。このような液体媒体としては、前述の無機層状化合物(B)の膨潤性試験および劈開性試験に用いる液体媒体を用いることができる。
本発明の塗工液は、目的や用途に応じて、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、着色剤など等の公知の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもかまわない。
本発明のシートや多層構造体における樹脂組成物からなる層は、100%以上の破断伸びを示し、また該シートおよび多層構造体中の層は、酸素透過度が5000cc・25μm/m・day・atm以下であることが好ましく、3000cc・25μm/m・day・atm以下であることが好ましく、1000cc・25μm/m・day・atm以下であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、伸縮性および空気遮断性に優れることから、特に空気入りタイヤ部材として好適である。例えばインナーライナー層として使用することで、従来のブチルゴムやハロゲン化ブチルゴムからなるインナーライナー層と比較して軽量化が可能となる。またさらに従来のインナーライナー層と併用することで、さらに空気遮断性に優れたインナーライナー層とすることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて、該組成物からなる層を有する空気入りタイヤを形成する場合には、基材層として、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、メチルメタクリレートブタジエンゴム、クロロプレンなどのハロゲン置換ブタジエン等のジエン系ゴム、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のアクリロニトリル系ゴム、(メタ)アクリル酸等を含むアクリル系ゴム、イソブチレン・イソプレン共重合体等のブチルゴム等を含む材料や、特開2009−1721に記載されているゴム組成物を含む材料を用いることが好ましい。
本発明の多層構造体およびシートは、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体、密封用材、制振材、防振材、クッション材、グリップ、緩衝材、包装材、各種容器、発泡体、ライナー材、粉末成形用材料、複合成形用材料、熱伝導性材料、難燃性材料、絶縁部材、接着性材料として使用することができる。具体的には、自動車部品用途では、フードサイドなどのボンネット内部品;サイドモール、プロテクター等の自動車外装部品;エアコン・ダンパーシール、ボディシール、ウェザストリップのようなシール部品;センターコンソールボックス、グローボックス、アームレスト、アシストグリップ等の自動車内装部品などに用いることができる。またコネクター、スイッチカバー、プラグ、ガスケット、グロメット、ケーブルジャケットカールコード、電線被覆材などのような電気電子用途、耐圧ホース、ダイヤフラム、ガスケット、パッキング、キャスター、グロメット、ローラーカップリンググリップ、ホース、カテーテル、容器、キャップ、Oリング、金属配管ジョイント用のパイプ、蛇腹などのような工業機械用途、シリンジチップ、薬栓、ゴム栓、グロメット、採血管キャップ、キヤップシールなどのような医療用途、窓枠シール、エクスパンジョンジョイント、スポンジシール、手摺被覆、階段滑り止め、土木シート、防水シートなどのような土木建築用途、靴底などのテキスタイル用途に使用することができる。またシリコン型あるいは色素増感型太陽電池などの封止材やシール材といった部材として用いれば水蒸気や酸素等のガスが電極や半導体、色素、電解質に作用することで起こる光電変換特性の劣化を抑制することができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。はじめに、以下の実施例における物性値の測定方法を説明する。
〔厚み測定〕
市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。
〔粒径測定〕
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。後述する塗工液(1)、(2)、(3)、(4)、(6)の希釈液中の粘土鉱物の平均粒径をフローセル法にて光路長4mmで測定し、得られた平均粒径を無機層状化合物の平均粒径Lとみなした。なお塗工液(1)、(2)、(3)、(4)、(6)を希釈せずに、該塗工液(1)、(2)、(3)、(4)、(6)中の無機層状化合物の平均粒径をペーストセルにて光路長50μmで測定し、この平均粒径と、希釈液で求めた平均粒径Lの値とがほぼ一致したとき、該塗工液中で無機層状化合物が充分に膨潤しへき開していると認定した。
〔アスペクト比計算〕
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、粘土鉱物の回折測定を粉末法により行い、粘土鉱物の単位厚さaを求めた。上述の方法で求めた平均粒径Lを用いて、該粘土鉱物のアスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。なお塗工液(1)、(2)、(3)、(4)、(6)を乾燥したものについてもX線回折測定を行ない、無機層状化合物の面間隔が広がっていることを確認した。
〔乾燥処理〕
23℃50%RHの雰囲気下にて72時間静置した。
〔乾熱処理〕
50℃25%RH以下の雰囲気下で24時間静置した。
〔引張試験〕
厚み約0.3mmの後述する単層膜(1)〜(6)をJIS 3号ダンベルにて打ち抜いた試験片を用い、22℃×65%RH雰囲気下、引張速度500mm/min、標線間距離20mmの条件にて引張試験を実施し、破断伸びを求めた。該破断伸びについて下記基準に従って評価した。
○:破断伸びが100%を超えるもの。
△:破断伸びが70%以上100%未満であるもの。
×:破断伸びが70%未満であるもの。
〔酸素透過度測定〕
JIS K7126に基づき、超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRANML、MOCON社製)にて、後述する単層膜(1)〜(6)について、23℃90%RHの条件下にて測定を行った。
〔塗工液の作製〕
(1)塗工液(1)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)89gと、水性ポリエステル(1)(Z880;互応化学(株)製)100gおよびイソシアネート基を有する化合物(バーノックDNW−5000;DIC(株)製、NCO含量13.5%)を2gとを混合し、常温にて低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で30分間攪拌して、水溶性ポリエステル含有液(1)を得た。
別の分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)85gと、高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)2.61gを、高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)下にて、徐々に加え、添加終了後、60分間攪拌を行い、粘土鉱物含有液(1)を得た。
該水性ポリエステル含有液(1)141gと粘土鉱物含有液(1)87gとを、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において徐々に混合して混合液とし、さらに該混合液を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の条件で処理することにより
、塗工液(1)を得た。
該塗工液(1)中における、水性ポリエステルとイソシアネート基を有する化合物との合計体積と、粘土鉱物の体積との比は95/5、水性ポリエステルとイソシアネート基を有する化合物との体積比は92/8であった。また該塗工液(1)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
(2)塗工液(2)の作製
水性ポリエステル(1)のかわりに水性ポリエステル(2)(Z3310;互応化学(株)製)を用いたこと以外は塗工液(1)と同様にして、塗工液(2)を得た。
(3)塗工液(3)の作製
水性ポリエステル(1)100gのかわりに、水性ポリエステル(1)を50gおよび水性ポリエステル(2)50gを用いたこと以外は塗工液(1)と同様にして、塗工液(3)を得た。
(4)塗工液(4)の作製
イソシアネート基を有する化合物2gの代わりに、水性ポリエステル(1)を6.4g添加したこと以外は塗工液(1)と同様にして、塗工液(4)を得た。
(5)塗工液(5)の作製
上記粘土鉱物含有液(1)の製造方法において、高純度モンモリロナイトを加えなかったこと以外は塗工液(1)と同様にして、塗工液(5)を得た。
(6)塗工液(6)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)237.5gと、PVA12.5gとを混合し、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間攪拌してPVAを溶解させたのち、60℃に冷却し、PVA水溶液を得た。
水性ポリエステル溶液(1)の代わりに、該PVA水溶液250gを添加したこと以外は塗工液(1)と同様にして、塗工液(6)を得た。
〔実施例1〕
直径12cmのテフロン(登録商標)製シャーレに、塗工液(1)50gを入れ、乾燥処理を行い、キャスト膜(1)を得た。その後、前記シャーレから該キャスト膜(1)を剥離し、乾熱処理を行い、厚み約0.3μmの単層膜(1)を得た。該単層膜(1)について、破断伸びおよび酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔実施例2〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み約0.3μmの単層膜(2)を得た。該単層膜(2)について破断伸びおよび酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み約0.3μmの単層膜(3)を得た。該単層膜(3)について破断伸びおよび酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み約0.3μmの単層膜(4)を得た。該単層膜(4)について破断伸びおよび酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(5)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み約0.3μmの単層膜(5)を得た。該単層膜(5)について破断伸びおよび酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(6)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み約0.3μmの単層膜(6)を得た。該単層膜(6)について破断伸びおよび酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2011132515

Claims (9)

  1. 水性ポリエステル(A)および無機層状化合物(B)を混合して得られる樹脂組成物。
  2. さらに硬化剤(C)を含む請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 該無機層状化合物(B)のアスペクト比が、30〜2000の範囲である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 該水性ポリエステル(A)と該硬化剤(C)の合計体積((A)+(C))と、無機層状化合物(B)の体積との比(((A)+(C))/(B))が、99/1〜70/30である請求項2または3に記載の樹脂組成物。
  5. 該水性ポリエステル(A)と該硬化剤(C)の体積比((A)/(C))が、99/1〜50/50である請求項2〜4いずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の樹脂組成物からなるシート。
  7. 請求項1〜5いずれかに記載の樹脂組成物からなる層及び基材層を含む多層構造体。
  8. 請求項1〜5いずれかに記載の樹脂組成物からなる層を含む空気入りタイヤ。
  9. 水性ポリエステル(A)、無機層状化合物(B)および液体媒体を混合して得られる塗工液。
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