JP2011132490A - 共役ポリマー及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、共役ポリマー及びその製造法に関する。
液晶表示装置、冷陰極線管パネル、プラズマディスプレイ(PDP)、有機EL等の各種電子デバイスにおいては、ITO,IZO等のようにコスト的に高く、また量産性に劣る表示用透明電極の代替技術として、同等の抵抗値で安価な導電性ポリマーの開発が求められている。そこで、ポリアセチレンフィルムのドーピングによる導電性の開発が行われて以来、ポリチオフェンのような様々な導電性共役ポリマーが合成され導電性の発現に関する研究が数多く報告されてきた。
例えば、特許文献1及び2には、ポリピロールやポリチオフェン等の直鎖状の共役ポリマーを気相重合させることで、積層体を形成する技術が開示されている。
また、非特許文献1には、ウェットプロセスによる液相重合でポリマーからフィルムを形成する技術が記載されているが、ウェットプロセスの場合、有機溶剤を多量に使用する上に、有機溶剤の材料が制限されるという、コスト面、材料面での問題がある。また、任意の基板に成膜できないという課題がある。更に、液相重合で形成された架橋ポリマーは、単離すると溶けないため、その後の成膜が非常に難しいという問題がある。
また、非特許文献1には、ウェットプロセスによる液相重合でポリマーからフィルムを形成する技術が記載されているが、ウェットプロセスの場合、有機溶剤を多量に使用する上に、有機溶剤の材料が制限されるという、コスト面、材料面での問題がある。また、任意の基板に成膜できないという課題がある。更に、液相重合で形成された架橋ポリマーは、単離すると溶けないため、その後の成膜が非常に難しいという問題がある。
Synthetic Metals, 55-57 (1993) 3724-3729
しかしながら、直鎖状の共役ポリマーの場合、直鎖部以外の架橋点が無く、積層体を形成しても耐久性、耐熱性が低く、非常に脆いという問題があった。
したがって、本発明は、工業的に応用可能な、導電性ポリマーとして有用な架橋構造を有する共役ポリマー及びその製造方法を提供することを課題とする。
そこで本発明者らは、基材や積層体上にポリマー層を容易に形成できる気相重合法を用い、架橋構造を有する共役ポリマーを形成すべく検討した結果、下記式(1)で表される5員複素環のβ位同士が連結基を介して結合した特定の化合物を気相重合させれば、架橋構造を有し、耐熱性及び耐久性の高い共役ポリマーが効率良く得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、1)本発明は、下記式(1)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換又は非置換のヘテロ原子を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示し、R5は芳香環若しくはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2〜20の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示す。)
で表される化合物(以下、化合物(1)ともいう)を気相重合させる工程を含むことを特徴とするポリマーの製造法を提供するものである。
で表される化合物(以下、化合物(1)ともいう)を気相重合させる工程を含むことを特徴とするポリマーの製造法を提供するものである。
2)また、本発明は、上記1)の製造法により得られるポリマーを含む膜を提供するものである。
3)また、本発明は、下記式(11)
(式(11)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換又は非置換のヘテロ原子を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示し、R6は、炭素数3〜10の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示し、X及びYはそれぞれ独立にヘテロ原子を示し、mは1〜6の整数を示し、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子又は構造単位における単結合手を示し、A1〜A4のうち少なくとも1つが単結合手である。)
で表される構造単位を有するポリマーを提供するものである。
で表される構造単位を有するポリマーを提供するものである。
4)更に、本発明は、下記式(4)
(式(4)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換又は非置換のヘテロ原子を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示し、R6は、炭素数3〜10の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示し、X及びYはそれぞれ独立にヘテロ原子を示し、mは1〜6の整数を示す。)
で表される化合物を提供するものである。
で表される化合物を提供するものである。
本発明によれば、耐久性、耐熱性、及び導電性に優れた共役ポリマーを工業的に安定して製造することができる。
本発明の共役ポリマーの原料である化合物は、上記化合物(1)である。
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換又は非置換のヘテロ原子を示す。当該ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、セレン原子が挙げられるが、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性、及び導電性の点から、酸素原子、硫黄原子が好ましく、硫黄原子が特に好ましい。なお、R1及びR2が窒素原子の場合には、窒素原子上に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換又は非置換のヘテロ原子を示す。当該ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、セレン原子が挙げられるが、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性、及び導電性の点から、酸素原子、硫黄原子が好ましく、硫黄原子が特に好ましい。なお、R1及びR2が窒素原子の場合には、窒素原子上に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。
R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。当該アルキル基としては、炭素数1〜16のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
なお、上記アルキル基に置換し得る基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基;アミノ基;シアノ基;ジアルキルアミノ基等が挙げられる。これら置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
また、R3及びR4としては、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性、及び導電性の点から、水素原子が好ましい。
なお、上記アルキル基に置換し得る基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基;アミノ基;シアノ基;ジアルキルアミノ基等が挙げられる。これら置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
また、R3及びR4としては、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性、及び導電性の点から、水素原子が好ましい。
R5は芳香環若しくはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2〜20の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示す。当該「2価の炭化水素基」は、2価の脂肪族炭化水素基、及び2価の脂環式炭化水素基を包含する概念であるが、このうち、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性及び導電性の点から、2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。なお、当該2価の炭化水素基は分子内に不飽和結合を有していてもよい。
上記2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は2〜20であるが、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性及び導電性の点から、2〜16が好ましく、2〜12がより好ましい。なお、当該2価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。具体的には、アルキレン基;ビニレン基、1−メチルビニレン基、プロペニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基等のアルケニレン基;エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基等のアルキニレン基が挙げられるが、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性及び導電性の点から、アルキレン基が好ましい。具体的には、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
また、上記2価の炭化水素基に含まれ得る芳香環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等が挙げられ、ヘテロ原子としては酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。なお、上記2価の炭化水素基としては、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性及び導電性の点から、ヘテロ原子を含むのが好ましい。
また、これら芳香環及びヘテロ原子の位置及び数は任意であり、2以上有する場合、これらは同一でも異なっていてもよいが、当該数としては1〜3個が好ましい。これらの芳香環及びヘテロ原子は、炭化水素鎖中又は炭化水素鎖の末端に含まれていてもよい。これらは、例えばフェニレン基、ナフチレン基等の形態で、あるいはエーテル、チオエーテル等の形態で含まれる。
また、これら芳香環及びヘテロ原子の位置及び数は任意であり、2以上有する場合、これらは同一でも異なっていてもよいが、当該数としては1〜3個が好ましい。これらの芳香環及びヘテロ原子は、炭化水素鎖中又は炭化水素鎖の末端に含まれていてもよい。これらは、例えばフェニレン基、ナフチレン基等の形態で、あるいはエーテル、チオエーテル等の形態で含まれる。
また、上記R5としては、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性及び導電性の点から、下記式(3)
(式(3)中、R6は、炭素数2〜10の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示し、X及びYはそれぞれ独立にヘテロ原子を示し、mは1〜10の整数を示す。)
で表される基が好ましい。
で表される基が好ましい。
R6において、「2価の炭化水素基」としては、上記R5と同様であるが、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性及び導電性の点から、炭素数2〜8のものが好ましく、炭素数2〜6のものが特に好ましい。なお、X及びYは上記R5におけるヘテロ原子と同様である。
また、mとしては、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性及び導電性の点から、1〜6が好ましく、2〜4が特に好ましい。
また、mとしては、反応効率並びに共役ポリマーの耐久性、耐熱性及び導電性の点から、1〜6が好ましく、2〜4が特に好ましい。
具体的なR5としては、−O(CH2CH2O)m−、−S(CH2CH2S)m−、−O(CH2CH(CH3)O)m−、−S(CH2CH(CH3)S)m−、−O(CH2CH2CH2O)m−、−O(CH2CH2CH2CH2O)m−、−S(CH2CH2CH2CH2S)m−、−O(CH2CH2CH2CH2CH2O)m−、−O(CH2CH2CH2CH2CH2CH2O)m−、−S(CH2CH2CH2CH2CH2S)m−、−S(CH2CH2CH2CH2CH2CH2S)m−等が挙げられる。
なお、上記化合物(1)のうち、下記式(4)
(式(4)中、R1〜R4、X及びYは、前記と同義であり、R6は、炭素数3〜10の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示し、mは1〜6の整数を示す。)
で表される化合物は新規化合物である。
で表される化合物は新規化合物である。
以下、化合物(1)の製造方法を、化合物(4)を例に挙げて説明する。すなわち、化合物(5)とヘテロ原子を含む化合物(6)を酸触媒存在下で反応させ、化合物(7)を得て(工程1−1)、当該化合物(7)と、化合物(7)と同様の製造方法により得られる化合物(8)とを反応させることにより(工程1−2)、化合物(4)を製造できる。
(式中、R1〜R4、R6、X、Y、及びmは、前記と同義であり、nは1〜10の整数を示す。但し、m>nである。)
上記工程1−1において、酸触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
また、本反応は、溶媒存在下及び非存在下いずれでも行うことができるが、円滑な反応効率の点から、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ヘキサン等の炭化水素系溶媒;これらの混合溶媒が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。なお、反応時間としては、30分〜24時間が好ましく、反応温度は沸点以下で適宜選択することができる。
また、本反応は、溶媒存在下及び非存在下いずれでも行うことができるが、円滑な反応効率の点から、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ヘキサン等の炭化水素系溶媒;これらの混合溶媒が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。なお、反応時間としては、30分〜24時間が好ましく、反応温度は沸点以下で適宜選択することができる。
また、上記工程1−2においては、2−ニトロベンゼンスルホニルハライド、パラトルエンスルホニルハライド、ベンゼンスルホニルハライド等のベンゼンスルホニルハライド誘導体を用いるのが好ましい。これにより、化合物(7)及び(8)のいずれかの−YHで表される基が、スルホン酸エステル化され、スルホン酸エステル化されていない化合物(7)又は(8)中の基−YHと反応するため、好ましい反応効率となる。なお、ベンゼンスルホニルハライド誘導体を使用する場合、発生する酸を捕捉する観点から、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の塩基を用いてもよい。
また、本反応は、溶媒存在下及び非存在下いずれでも行うことができるが、円滑な反応効率の点から、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ヘキサン等の炭化水素系溶媒;これらの混合溶媒が挙げられる。中でも、ハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましい。なお、反応時間としては、30分〜24時間が好ましく、反応温度は沸点以下で適宜選択することができる。
上記工程1−1及び1−2において、各反応生成物の単離は、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥、再結晶、遠心分離、各種溶媒による抽出、中和、クロマトグラフィー等の通常の手段を適宜組み合わせて行えば良い。また、当該単離前にリン酸緩衝液等の反応停止剤を用いてもよく、化合物(7)については、単離せずに次の反応に付すこともできる。
本発明の共役ポリマーは、化合物(1)を気相重合させることにより得られる。
当該気相重合は、種々の任意の基材や積層体の表面上にポリマー層を形成することができるため、任意の導電性材料のような、基材や積層体上に導電層を有する材料の製造に特に有利である。なお、当該基材の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリルカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ノルボルネン樹脂、アクリルスチレン樹脂、及びガラス基板を挙げることができる。また、積層体としては、これらの基材上に他のポリマー層が形成されているものが挙げられる。基材の少なくとも一方面は、コロナ放電処理、プラズマ処理、アッシング処理などの種々の表面処理が施されていてもよい。
当該気相重合は、種々の任意の基材や積層体の表面上にポリマー層を形成することができるため、任意の導電性材料のような、基材や積層体上に導電層を有する材料の製造に特に有利である。なお、当該基材の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリルカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ノルボルネン樹脂、アクリルスチレン樹脂、及びガラス基板を挙げることができる。また、積層体としては、これらの基材上に他のポリマー層が形成されているものが挙げられる。基材の少なくとも一方面は、コロナ放電処理、プラズマ処理、アッシング処理などの種々の表面処理が施されていてもよい。
具体的には、上記化合物(1)と酸化剤を接触させて、気相重合を行うのが好ましい。重合反応は、通常、0〜200℃で行われるが、反応効率の点から、常温(5〜40℃)が好ましい。ここで、気相重合は上記基材上で行うこともできる。その場合、基材の表面に酸化剤を塗布し、その酸化剤と化合物(1)を接触させて重合すればよい。
上記酸化剤としては、CuCl2、トルエンスルホン酸鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、FeCl3、FeCl3・6H2O及びCu(ClO4)2・6H2Oから選択された化合物が単独又は組合せて用いられ、これらの化合物は、有機溶剤に溶解させて用いることが好ましい。当該有機溶剤に対する酸化剤の含有量としては、有機溶剤70〜99.5質量%に対し、酸化剤0.5〜30質量%が好ましく、容積基準に換算すると、0.5〜20w/v%が好ましい。
また、酸化剤の使用量としては、化合物(1)1molに対して、0.1〜100molが好ましく、1〜50molがより好ましく、2〜10molが特に好ましい。
また、酸化剤の使用量としては、化合物(1)1molに対して、0.1〜100molが好ましく、1〜50molがより好ましく、2〜10molが特に好ましい。
上記有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、1−ヘキシルアルコール、2−ヘキシルアルコール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、エチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ニトロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トルエン及びシクロヘキサン等から選択される1以上の有機溶剤を用いることができる。
なお、酸化剤を基材に塗布する際に、接着力を向上させる点から、有機溶剤とともに、ポリウレタン、ポリ塩化ビニール、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、キトサンなどを併用することも可能である。
気相重合方法の具体例としては、以下の第1〜第3工程を含む方法が挙げられる。
[第1工程]
具体的には、まず第1工程として、基材の表面に、0.5〜30質量%の酸化剤含有液を塗布する。塗布方法は様々あり、例えば噴霧方法やコーター等での塗布方法が考えられるが、塗布条件は使用基材の種類によって異なり、場合によっては2種以上の有機溶剤を混合して用いる。酸化剤が塗布された基材は、酸化剤の分解を考慮し、80℃以下の熱風乾燥機もしくは減圧下での真空乾燥で乾燥させる。
[第1工程]
具体的には、まず第1工程として、基材の表面に、0.5〜30質量%の酸化剤含有液を塗布する。塗布方法は様々あり、例えば噴霧方法やコーター等での塗布方法が考えられるが、塗布条件は使用基材の種類によって異なり、場合によっては2種以上の有機溶剤を混合して用いる。酸化剤が塗布された基材は、酸化剤の分解を考慮し、80℃以下の熱風乾燥機もしくは減圧下での真空乾燥で乾燥させる。
[第2工程]
次に第2工程として、酸化剤を塗布した基材に、化合物(1)を、気化して接触させ、基材の表面で重合反応を行う。この際、密閉されたチャンバー内で温度若しくは圧力又はその両方を調整する事により化合物を気化させて基材表面に導入する。その際の温度は、0〜200℃であることが好ましく、常温(5〜40℃)が特に好ましい。重合圧力は、下限として、1Pa以上が好ましい。他方、上限としては、大気圧(0.1MPa)以下が好ましく、50Pa以下がより好ましい。また上記反応の反応時間としては10秒〜48時間で行われることが好ましい。
次に第2工程として、酸化剤を塗布した基材に、化合物(1)を、気化して接触させ、基材の表面で重合反応を行う。この際、密閉されたチャンバー内で温度若しくは圧力又はその両方を調整する事により化合物を気化させて基材表面に導入する。その際の温度は、0〜200℃であることが好ましく、常温(5〜40℃)が特に好ましい。重合圧力は、下限として、1Pa以上が好ましい。他方、上限としては、大気圧(0.1MPa)以下が好ましく、50Pa以下がより好ましい。また上記反応の反応時間としては10秒〜48時間で行われることが好ましい。
[第3工程]
次いで第3工程として、重合が完了した後、未反応の化合物(1)及び酸化剤を除去するための洗浄工程を行う。この際の使用溶剤としては、通常、メタノールなどのアルコール類を用い、場合によっては水で洗浄することもできる。上記の第1工程〜第3工程は、段階的又は連続的に行うことができ、共役ポリマーである化合物(1)の形成までは、一連の作業で処理することができる。
次いで第3工程として、重合が完了した後、未反応の化合物(1)及び酸化剤を除去するための洗浄工程を行う。この際の使用溶剤としては、通常、メタノールなどのアルコール類を用い、場合によっては水で洗浄することもできる。上記の第1工程〜第3工程は、段階的又は連続的に行うことができ、共役ポリマーである化合物(1)の形成までは、一連の作業で処理することができる。
上記気相重合により得られる共役ポリマーは、分子中に架橋部を有しており、好ましくは、下記式(9)
(式(9)中、R1〜R5は前記と同義であり、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子又は構造単位における単結合手を示し、A1〜A4のうち少なくとも1つが単結合手である。)で表される構造単位を有している。上記式(9)中のR5が架橋部であり、共役ポリマーの架橋化は、直鎖状と異なり網目構造を有することから、耐熱性、耐久性の向上となるため、当該ポリマーを含有せしめることにより、優れた耐熱性・耐久性を有する膜が得られる。
なお、耐熱性、耐久性及び導電性の点から、A1〜A4は、好ましくは3つ以上、特に好ましくは4つが単結合手である。
なお、耐熱性、耐久性及び導電性の点から、A1〜A4は、好ましくは3つ以上、特に好ましくは4つが単結合手である。
より具体的には、本発明で得られる共役ポリマーは、例えば、下記式(10)で表されるような三次元架橋構造を有している。なお、式(10)において、R3及びR4は水素原子を例に挙げて記載した。
(式(10)中、R1、R2及びR5は前記と同義である。)
なお、気相重合により得られる共役ポリマー中、下記式(11)
(式(11)中、R1〜R4及びA1〜A4は前記と同義であり、R6は、炭素数3〜10の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示し、X及びYはそれぞれ独立にヘテロ原子を示し、mは1〜6の整数を示す。)
で表される構造単位を有する共役ポリマーは新規化合物である。
で表される構造単位を有する共役ポリマーは新規化合物である。
導電層として用いる場合、共役ポリマーの膜厚は、0.05〜5μmであるが、透明性の観点から、0.05〜0.5μmであることが好ましい。
このようにして得られた積層体を用いることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいは液晶表示装置における偏光板、プラズマディスプレイ、液晶表示パネル、有機ELパネル等の広範な利用分野において、優れた導電性を発現することができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
1,5−ビス(3−チエニルオキシ)-3-オキサペンタンの気相重合
下記式(12)
1,5−ビス(3−チエニルオキシ)-3-オキサペンタンの気相重合
下記式(12)
で表される1,5−ビス(3−チエニルオキシ)-3-オキサペンタンを基質として、ポリチオフェン化合物を合成(ネットワーク化)した。
ガラス板に12質量%(濃度:10w/v%)のFeCl3/CH3OH溶液(FeCl3:3mg)をスピンコーター(1000rpmで10秒、その後3000rpmで30秒)を用いてキャストし、ガラス基板上に塩化鉄を担持させた。このガラス板と化合物(12)(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2001,1398−1405に記載の製造方法に基づいて得られる(この文献に記載の化合物4h))(10mg)をH型反応容器に入れて、減圧下(23Pa)、24時間室温にて反応を行った。反応を開始させると、ガラス基板表面に付着した膜が黄色から黒紫へと変化した。
上記反応により得られた膜の紫外可視吸収スペクトルを、日本分光社製:V−570紫外可視近赤外分光光度計にて測定したところ、ポリチオフェン由来の吸収スペクトルと、塩化鉄でドーピングされたことに由来する吸収スペクトルとが確認された。
また、上記得られた膜にヒドラジン水溶液3mLとメタノール3mLを添加し、24時間室温で攪拌後、ろ過により膜を回収し(以下、ヒドラジン処理ともいう)、吸収スペクトルを上記と同様に測定したところ、ポリチオフェン由来の吸収スペクトルが確認された。以上の結果から、式(12)で表される化合物の気相重合が進行した事が確認された。紫外可視吸収スペクトルの結果を図1に示す。
上記反応により得られた膜の紫外可視吸収スペクトルを、日本分光社製:V−570紫外可視近赤外分光光度計にて測定したところ、ポリチオフェン由来の吸収スペクトルと、塩化鉄でドーピングされたことに由来する吸収スペクトルとが確認された。
また、上記得られた膜にヒドラジン水溶液3mLとメタノール3mLを添加し、24時間室温で攪拌後、ろ過により膜を回収し(以下、ヒドラジン処理ともいう)、吸収スペクトルを上記と同様に測定したところ、ポリチオフェン由来の吸収スペクトルが確認された。以上の結果から、式(12)で表される化合物の気相重合が進行した事が確認された。紫外可視吸収スペクトルの結果を図1に示す。
図1の吸収スペクトルを確認した結果、上記気相重合により、ポリチオフェンが得られたことが確認された。また、当該ポリチオフェンが塩化鉄でドーピングされていることが確認された。
更に、ヒドラジン処理後の膜の吸収スペクトルからも、ポリチオフェンが得られていることが確認された。
更に、ヒドラジン処理後の膜の吸収スペクトルからも、ポリチオフェンが得られていることが確認された。
[実施例2]
1,9−ビス(3−チエニルオキシ)-5-オキサノナンの合成
下記の合成経路に従い、3−メトキシチオフェンと1,4−ブタンジオールを基質として、式(13)で表される1,9−ビス(3−チエニルオキシ)-5-オキサノナンを合成した。
1,9−ビス(3−チエニルオキシ)-5-オキサノナンの合成
下記の合成経路に従い、3−メトキシチオフェンと1,4−ブタンジオールを基質として、式(13)で表される1,9−ビス(3−チエニルオキシ)-5-オキサノナンを合成した。
3−メトキシチオフェン(アルドリッチ製、9.50g、83.2mmol)のトルエン(100mL)溶液に、1,4−ブタンジオール(関東化学製、36.9mL、416mmol)とパラトルエンスルホン酸(関東化学製、0.716g、4.16mmol)を加え、共沸による水分の除去を行いながら1.5時間還流させた。反応混合物を室温まで冷却した後、酢酸エチルを用いて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した。更に無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)により精製することで、7.56gの3−(4−ヒドロキシブチロキシ)チオフェンを収率53%(mol/mol)で得た。
2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(関東化学製、8.02g、36.2mmol)と上記により得た3−(4−ヒドロキシブチロキシ)チオフェン(6.23g、36.2mmol)のジクロロメタン(70mL)溶液に、トリエチルアミン(25.2mL、180mmol)を0℃でゆっくりと加えた。5時間還流させた後室温に冷却し、リン酸緩衝液で反応を停止した。これを、酢酸エチルを用いて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した。更に無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)により精製することにより、2.72gの化合物(13)を収率46%(mol/mol)で得た。
2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(関東化学製、8.02g、36.2mmol)と上記により得た3−(4−ヒドロキシブチロキシ)チオフェン(6.23g、36.2mmol)のジクロロメタン(70mL)溶液に、トリエチルアミン(25.2mL、180mmol)を0℃でゆっくりと加えた。5時間還流させた後室温に冷却し、リン酸緩衝液で反応を停止した。これを、酢酸エチルを用いて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した。更に無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)により精製することにより、2.72gの化合物(13)を収率46%(mol/mol)で得た。
[実施例3]
1,9−ビス(3−チエニルオキシ)-5-オキサノナンの気相重合
上記化合物(13)を基質として、ポリチオフェン化合物を合成(ネットワーク化)した。
ガラス板に12質量%(濃度:10w/v%)のFeCl3/CH3OH溶液(FeCl3:3mg)をスピンコーター(1000rpmで10秒、その後3000rpmで30秒)を用いて塗付し、ガラス板に塩化鉄を担持させた。このガラス板と上記反応により得た化合物(13)(2mg)をH型反応容器に入れて、減圧下(23Pa)、24時間室温にて反応を行った。反応を開始させると、ガラス基板表面が黄色から黒紫へと変化した。
上記反応により得られた膜の紫外可視吸収スペクトルを、実施例1と同様にして、測定した。結果を図2に示す。
1,9−ビス(3−チエニルオキシ)-5-オキサノナンの気相重合
上記化合物(13)を基質として、ポリチオフェン化合物を合成(ネットワーク化)した。
ガラス板に12質量%(濃度:10w/v%)のFeCl3/CH3OH溶液(FeCl3:3mg)をスピンコーター(1000rpmで10秒、その後3000rpmで30秒)を用いて塗付し、ガラス板に塩化鉄を担持させた。このガラス板と上記反応により得た化合物(13)(2mg)をH型反応容器に入れて、減圧下(23Pa)、24時間室温にて反応を行った。反応を開始させると、ガラス基板表面が黄色から黒紫へと変化した。
上記反応により得られた膜の紫外可視吸収スペクトルを、実施例1と同様にして、測定した。結果を図2に示す。
図2から、上記気相重合によりポリチオフェンが得られたことが確認された。また、当該ポリチオフェンが塩化鉄でドーピングされていることが確認された。
更に、実施例1と同様にヒドラジン処理した膜の吸収スペクトルからも、ポリチオフェンが得られていることが確認された。
これらの結果から、式(13)で表される化合物の気相重合が進行したことが確認された。
更に、実施例1と同様にヒドラジン処理した膜の吸収スペクトルからも、ポリチオフェンが得られていることが確認された。
これらの結果から、式(13)で表される化合物の気相重合が進行したことが確認された。
[比較例1]
1,5−ビス(3−チエニルオキシ)-3-オキサペンタンの液相重合
窒素雰囲気下、50mLの三口フラスコに式(12)で表される化合物(200mg、0.74mmol)のクロロホルム(2.56mL)溶液に塩化鉄(0.48g、2.96mmol)のニトロメタン(0.3mL)溶液を添加し重合を開始させた。室温で24時間攪拌した後メタノールに滴下し、生じた沈澱をろ別することで得られた黒色固体にヒドラジン水溶液3mLとメタノール3mLを添加し、24時間室温で攪拌した後、ろ過によりポリマーを回収した。クロロホルムによるSoxhlet抽出でクロロホルム不溶部の43mg(22%)を目的物として単離した。
IRスペクトルの測定により、モノマーのα位のC−H結合に由来するピークが、回収されたポリマーでは消失していることから、重合が進行していることが確認された。
しかしながら、得られた重合体はクロロホルムのような有機溶媒に不溶であるため、任意の基板にその膜を作製することはできなかった。
1,5−ビス(3−チエニルオキシ)-3-オキサペンタンの液相重合
窒素雰囲気下、50mLの三口フラスコに式(12)で表される化合物(200mg、0.74mmol)のクロロホルム(2.56mL)溶液に塩化鉄(0.48g、2.96mmol)のニトロメタン(0.3mL)溶液を添加し重合を開始させた。室温で24時間攪拌した後メタノールに滴下し、生じた沈澱をろ別することで得られた黒色固体にヒドラジン水溶液3mLとメタノール3mLを添加し、24時間室温で攪拌した後、ろ過によりポリマーを回収した。クロロホルムによるSoxhlet抽出でクロロホルム不溶部の43mg(22%)を目的物として単離した。
IRスペクトルの測定により、モノマーのα位のC−H結合に由来するピークが、回収されたポリマーでは消失していることから、重合が進行していることが確認された。
しかしながら、得られた重合体はクロロホルムのような有機溶媒に不溶であるため、任意の基板にその膜を作製することはできなかった。
以上の結果より、液相重合の場合、溶媒に架橋モノマーを溶解させて重合体を形成しているのに対し、気相重合は開始剤を塗布するだけで任意の基材に架橋モノマーを重合して容易に共役ポリマーからなる膜を形成できることが確認された。
Claims (9)
- 前記式(1)で表される化合物と酸化剤とを5〜40℃で接触させて気相重合させることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の製造法。
- 重合圧力1Pa〜0.1MPaで気相重合させることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の製造法。
- 請求項1〜5いずれかに記載の製造法により得られるポリマーを含む膜。
- 請求項7に記載のポリマーを含む膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010107226A JP2011132490A (ja) | 2009-11-26 | 2010-05-07 | 共役ポリマー及びその製造法 |
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JP2009268399 | 2009-11-26 | ||
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102887991A (zh) * | 2012-09-28 | 2013-01-23 | 华中科技大学 | 一种有机微孔聚合物及其制备方法和应用 |
EP3636689A4 (en) * | 2017-06-06 | 2021-03-10 | Hitachi Chemical Company, Ltd. | HARDENABLE POLYMER, POLYMERIZATION LIQUID, CONDUCTIVE FILM AND ORGANIC ELECTROLUMINESCENT ELEMENT |
-
2010
- 2010-05-07 JP JP2010107226A patent/JP2011132490A/ja active Pending
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CN102887991A (zh) * | 2012-09-28 | 2013-01-23 | 华中科技大学 | 一种有机微孔聚合物及其制备方法和应用 |
EP3636689A4 (en) * | 2017-06-06 | 2021-03-10 | Hitachi Chemical Company, Ltd. | HARDENABLE POLYMER, POLYMERIZATION LIQUID, CONDUCTIVE FILM AND ORGANIC ELECTROLUMINESCENT ELEMENT |
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