JP2011132475A - 重合性組成物、プリプレグ、及び積層体 - Google Patents

重合性組成物、プリプレグ、及び積層体 Download PDF

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信寛 佐藤
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Abstract

【課題】熱伝導性に優れ、誘電正接が低く、難燃性に優れた積層体の製造に有用な、重合性組成物及びプリプレグ、並びに前記積層体を提供すること。
【解決手段】シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤を含有してなり、かつ熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤の含有割合が重量比(熱伝導性充填剤:含りん難燃剤:金属水酸化物難燃剤)で30〜60:10〜40:15〜60である、重合性組成物、該組成物を用いてなる架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形体、並びに、少なくとも、前記架橋性樹脂成形体、又は前記架橋樹脂成形体からなる層を有してなる積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合性組成物、プリプレグ、及び積層体に関する。さらに詳しくは、熱伝導性に優れ、誘電正接が低く、難燃性に優れた積層体の製造に有用な、重合性組成物及びプリプレグ、並びにそれらを用いて得られる積層体に関する。
多層回路基板に対する、配線の高密度化、電子部品の搭載密度の増大、及び半導体素子の高集積化などにより、多層回路基板の発熱量が大きくなっており、多層回路基板の放熱性の改良が強く望まれている。また、通信の高速化、高周波化に伴って通信回路基板やアンテナ基板等の絶縁基板あるいはプリント配線板には今まで以上に誘電特性(低誘電率、低損失)に優れた絶縁材料が求められている。さらに、工業用途に用いられる絶縁材料としては、近年、廃プラスチックの処理や環境ホルモンの問題から、従来のハロゲン含有難燃剤を使用したものからハロゲン不含難燃剤を使用したものへの転換が強く望まれている。
例えば、特許文献1には、環状オレフィン系樹脂(A)100質量部に対し、有機過酸化物(B)0.3〜2.5質量部、架橋助剤(C)7〜30質量部、及び粉末状赤リン(D)1〜20質量部が分散されてなり、かつ、前記有機過酸化物(B)に対する前記架橋助剤(C)の質量で表した配合割合(C/B)が11以上であることを特徴とする架橋性樹脂組成物、並びに、該組成物を用いてなる、高周波帯域での使用に好適な誘電特性を有し、難燃性等に優れた、難燃性架橋樹脂成形品、及び難燃性プリント配線板用金属張り基板などが開示されている。また、前記粉末状赤リン(D)の表面は、前記組成物を架橋性樹脂成形品に成形する際の熱や摩擦、あるいは衝撃に対する安定性や空気中の水分や酸素に対する安定性を増す観点から、金属水酸化物で被覆されているのが好ましい旨記載されている。
特開2005−47992号公報
本発明者らは、熱伝導性に優れ、誘電正接が低く、難燃性に優れた積層体を得るべく、特許文献1の架橋性樹脂組成物に熱伝導性充填剤を配合し、同文献に記載の方法に準じて架橋樹脂成形品の積層体を製造し、評価したところ、熱伝導性充填剤を配合することにより積層体に熱伝導性を付与するのは可能であるが、誘電正接及び/又は難燃性が低下し、所望の特性を有する積層体が得られない場合があることが明らかになった。
本発明の目的は、熱伝導性に優れ、誘電正接が低く、難燃性に優れた積層体の製造に有用な、重合性組成物及びプリプレグ、並びに前記積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤を含有してなり、かつ熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤の含有割合が所定範囲にある、重合性組成物、及びそれを用いて得られたプリプレグによれば、所望の特性を有する積層体が得られることを見出した。本発明者は、かかる知見に基づいて、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤を含有してなり、かつ熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤の含有割合が重量比(熱伝導性充填剤:含りん難燃剤:金属水酸化物難燃剤)で30〜60:10〜40:15〜60である、重合性組成物、
〔2〕熱伝導性充填剤が、無機酸化物、無機窒化物、及び無機炭化物からなる群より選択される少なくとも1種である前記〔1〕記載の重合性組成物、
〔3〕架橋助剤をさらに含有する前記〔1〕又は〔2〕記載の重合性組成物、
〔4〕連鎖移動剤をさらに含有する前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の重合性組成物、
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の重合性組成物を重合してなるドライフィルム、
〔6〕前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の重合性組成物を強化繊維に含浸させた後に重合してなるプリプレグ、
〔7〕前記〔5〕に記載のドライフィルムの硬化物からなる層、及び/又は前記〔6〕に記載のプリプレグの硬化物からなる層を有する積層体、並びに
〔8〕前記〔7〕記載の積層体を用いてなる放熱性プリント基板、
が提供される。
本発明によれば、熱伝導性に優れ、誘電正接が低く、難燃性に優れた積層体の製造に有用な、重合性組成物及びプリプレグ、並びに前記積層体が提供される。本発明の積層体は、例えば、通信機器用途等のマイクロ波又はミリ波の高周波回路基板に好適に使用することができる。
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤を含有してなり、かつ熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤の含有割合が重量比(熱伝導性充填剤:含りん難燃剤:金属水酸化物難燃剤)で30〜60:10〜40:15〜60であるものである。
(シクロオレフィンモノマー)
本発明に使用されるシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される脂環構造を有し、かつ該脂環構造中に重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物である。本明細書において「重合性の炭素−炭素二重結合」とは、連鎖重合(開環重合)可能な炭素−炭素二重結合をいう。開環重合には、イオン重合、ラジカル重合、メタセシス重合など種々の形態のものが存在するが、本発明においては、通常、メタセス開環重合をいう。
シクロオレフィンモノマーの環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環、及びこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。各環構造を構成する炭素数に特に限定はないが、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
シクロオレフィンモノマーは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの炭素数1〜30の炭化水素基や、カルボキシル基又は酸無水物基などの極性基を置換基として有していてもよいが、得られる積層体を低誘電正接とする観点から、極性基を持たない、すなわち、炭素原子と水素原子のみで構成されるものが好ましい。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環のシクロオレフィンモノマーと多環のシクロオレフィンモノマーのいずれをも用いることができる。得られる積層体の誘電特性、及び耐熱性の特性を高度にバランスさせる観点から、多環のシクロオレフィンモノマーが好ましい。多環のシクロオレフィンモノマーとしては、特にノルボルネン系モノマーが好ましい。「ノルボルネン系モノマー」とは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーをいう。例えば、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、及びテトラシクロドデセン類などが挙げられる。
また、シクロオレフィンモノマーとしては、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないものと、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するもののいずれをも用いることができる。本明細書において「架橋性の炭素−炭素不飽和結合」とは、開環重合には関与せず、架橋反応に関与可能な炭素−炭素不飽和結合をいう。架橋反応とは橋架け構造を形成する反応であり、縮合反応、付加反応、ラジカル反応、及びメタセシス反応など種々の形態のものが存在するが、本発明においては、通常、ラジカル架橋反応又はメタセシス架橋反応、特にラジカル架橋反応をいう。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合としては、芳香族炭素−炭素不飽和結合を除く炭素−炭素不飽和結合、すなわち、脂肪族炭素−炭素二重結合又は三重結合が挙げられ、本発明においては、通常、脂肪族炭素−炭素二重結合をいう。架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマー中、不飽和結合の位置は特に限定されるものではなく、炭素原子で形成される脂環構造内の他、該脂環構造以外の任意の位置、例えば、側鎖の末端や内部に存在していてもよい。例えば、前記脂肪族炭素−炭素二重結合は、ビニル基(CH=CH−)、ビニリデン基(CH=C<)、又はビニレン基(−CH=CH−)として存在し得、良好にラジカル架橋反応性を発揮することから、ビニル基及び/又はビニリデン基として存在するのが好ましく、ビニリデン基として存在するのがより好ましい。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、及びシクロへプテンなどの単環シクロオレフィンモノマー;ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、1−メチル−2−ノルボルネン、7−メチル−2−ノルボルネン、5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(TCD)、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5,5−ジクロロ−2−ノルボルネン、5−フルオロ−2−ノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−2−ノルボルネン、5−クロロメチル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−2−ノルボルネン、5,6−ジカルボキシル−2−ノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノ−2−ノルボルネン、及び5−シアノ−2−ノルボルネンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができる。好ましくは、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないノルボルネン系モノマーである。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、3−ビニルシクロヘキセン、4−ビニルシクロヘキセン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロへキサジエン、1,4−シクロへキサジエン、5−エチル−1,3−シクロへキサジエン、1,3−シクロへプタジエン、及び1,3−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンモノマー;5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5,6−ジエチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、及び2,5−ノルボルナジエンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができる。好ましくは、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するノルボルネン系モノマーである。
これらのシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シクロオレフィンモノマーとしては、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーを含むものを使用するのが、得られる積層体の信頼性を向上させる観点から、好適である。
本発明の重合性組成物に配合するシクロオレフィンモノマー中、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーと架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとの配合割合は所望により適宜選択されるが、重量比の値(架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマー/架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマー)で、通常、5/95〜100/0、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは15/85〜70/30の範囲である。当該配合割合がかかる範囲にあれば、得られる積層体において、耐熱性や耐クラック性等の特性を向上させることができ、好適である。
なお、本発明の重合性組成物には、本発明の効果の発現が阻害されない限り、以上のシクロオレフィンモノマーと共重合可能な任意のモノマーが含まれていてもよい。
(重合触媒)
本発明に使用される重合触媒としては、前記シクロオレフィンモノマーを重合できるものであれば特に限定はないが、本発明の重合性組成物は、後述のドライフィルム又はプリプレグの製造において、直接塊状重合に供して用いるのが好適であり、通常、メタセシス重合触媒を用いるのが好ましい。
メタセシス重合触媒としては、前記シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合可能である、通常、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン、及び化合物などが結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表による。以下、同じ。)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、例えば、タンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えば、モリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えば、ルテニウムやオスミウムが挙げられる。遷移金属原子としては中でも、8族のルテニウムやオスミウムが好ましい。すなわち、本発明に使用されるメタセシス重合触媒としては、ルテニウム又はオスミウムを中心原子とする錯体が好ましく、ルテニウムを中心原子とする錯体がより好ましい。ルテニウムを中心原子とする錯体としては、カルベン化合物がルテニウムに配位してなるルテニウムカルベン錯体が好ましい。ここで、「カルベン化合物」とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物をいう。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性に優れるため、本発明の重合性組成物を塊状重合に供してプリプレグを得る場合、得られるプリプレグには未反応のモノマーに由来する臭気が少なく、生産性良く良質なプリプレグが得られる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも使用可能である。
前記ルテニウムカルベン錯体としては、得られるプリプレグ及び積層体の機械強度と耐衝撃性とが高度にバランスされることから、ヘテロ環構造を有するカルベン化合物を配位子として少なくとも1つ有するものが好ましい。ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子としては、例えば、酸素原子や窒素原子等が挙げられ、好ましくは窒素原子である。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリン環構造又はイミダゾリジン環構造が好ましい。かかるヘテロ環構造を有する化合物の具体例としては、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、及び1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
本発明においてメタセシス重合触媒として使用される、好適なルテニウムカルベン錯体の具体例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、及びベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの、配位子として、ヘテロ環構造を有するカルベン化合物と、当該カルベン化合物以外の中性電子供与体とを有するルテニウムカルベン錯体が挙げられる。ここで「中性電子供与体」とは、中心原子から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子をいう。
前記メタセシス重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。メタセシス重合触媒の使用量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)で、通常、1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は所望により、少量の不活性溶媒に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、及びミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、及びシクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;インデンやテトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、及びアセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
(架橋剤)
架橋剤は、本発明の重合性組成物を重合反応に供して得られる重合体において架橋反応を誘起する目的で使用される。従って、該重合体は、後架橋可能な熱可塑性樹脂となりうる。ここで「後架橋可能な」とは、該樹脂を加熱することにより架橋反応を進行させて架橋樹脂になし得ることを意味する。
本発明において架橋剤としては、特に限定されるものではないが、通常、ラジカル発生剤が好適に用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物、及び非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、及びクメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシドやベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、及び1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテートやt−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナートやジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、及び3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサンなどの環状パーオキサイド類;が挙げられる。中でも、重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシケタール類、及び環状パーオキサイド類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノンや2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、及び1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
ラジカル発生剤を架橋剤として使用する場合、1分間半減期温度は、硬化(本発明の重合性組成物を重合反応に供して得られる重合体の架橋)の条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度とは、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。ラジカル発生剤の1分間半減期温度は、例えば、各ラジカル発生剤メーカー(例えば、日本油脂株式会社)のカタログやホームページを参照すればよい。
前記ラジカル発生剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物におけるラジカル発生剤の含有量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
(熱伝導性充填剤)
本発明において熱伝導性充填剤とは、10W/mK以上の熱伝導率を有する充填剤をいう。充填剤の熱伝導率は、例えば、ホットディスク法により測定することができる。熱伝導性充填剤の具体例としては、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、及び酸化チタンなどの無機酸化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、及び窒化ケイ素などの無機窒化物;炭化ケイ素などの無機炭化物;銅、銀、鉄、アルミニウム、ニッケル、及びチタンなどの金属又は合金;ダイヤモンド、炭素繊維、及びカーボンブラックなどの炭素化合物;石英や石英ガラスなど;が挙げられる。熱伝導性充填剤としては、得られる積層体の放熱性をより優れたものとする観点から、無機酸化物、無機窒化物、及び無機炭化物からなる群より選択される少なくとも1種を用いるのが好ましく、無機酸化物及び無機窒化物からなる群より選択される少なくとも1種を用いるのが、より好ましい。無機酸化物としてはアルミナが、無機窒化物としては窒化アルミニウム及び窒化ホウ素が、好ましい。本発明に用いる熱伝導性充填剤としては、総じて、アルミナ、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素が好ましく、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素がより好ましい。これらの熱伝導性充填剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明の所望の効果の発現が阻害されない範囲であれば、熱伝導性充填剤以外の公知の充填剤を併用することができる。
また、シクロオレフィンモノマーを重合してなる重合体との親和性を高める観点から、前記熱伝導性充填剤は公知のシランカップリング剤で表面処理されたものであってもよい。かかる表面処理が施された熱伝導性充填剤は市販品として入手可能である。
前記熱伝導性充填剤の粒子径(平均粒子径)は、所望により適宜選択すればよいが、粒子を三次元的にみたときの長手方向と短手方向の長さの平均値として、通常、0.001〜50μm、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。
本発明の重合性組成物は、従来、プリプレグや積層体の製造に用いられている、エポキシ樹脂等を溶媒に溶かしてなる重合体ワニスと比べて低粘度であるため、容易に熱伝導性充填剤を高配合することができる。よって、得られる、ドライフィルム、プリプレグ、又は積層体は、従来に比べて非常に優れた放熱性を発揮し得る。
(難燃剤)
本発明においては、含りん難燃剤と金属水酸化物難燃剤とを組合わせて使用する。
本発明に用いる含りん難燃剤は、オルトリン酸 〔O=P(OH)〕 が持つ3個の水素原子の全て又は一部が有機基で置き換わった構造を有するリン酸エステルからなる。リン酸エステルとしては、1個の水素原子が有機基で置換されたリン酸モノエステル、2個の水素原子が有機基で置換されたリン酸ジエステル、3個の水素原子が有機基で置換されたリン酸トリエステルが挙げられるが、難燃性に優れることから、好ましくはリン酸トリエステルである。
前記含りん難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、及び9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどが挙げられる。これらの中でも、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、及び9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどが好適である。 これらの含りん難燃剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の重合性組成物は、前記の通り、重合体ワニスと比べて非常に低粘度であるため、容易に含りん難燃剤を高配合することができる。よって、得られる、ドライフィルム、プリプレグ、又は積層体は、従来に比べて非常に優れた難燃性を発揮し得る。
本発明に用いる金属水酸化物難燃剤は、金属の陽イオンと水酸化物イオンとがイオン結合により化合してなる化合物からなる。本発明においては、通常、150℃よりも高温に加熱されたときに、結晶水を脱水放出するか、又は化学分解により水を放出する、金属水酸化物難燃剤が好適に用いられる。かかる金属水酸化物難燃剤の具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マンガン、及び水酸化スズナトリウムなどが挙げられ、中でも、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムが好ましい。
本発明に用いられる金属水酸化物難燃剤は、表面吸着水を含むものであってもよい。表面吸着水量は、150℃で1時間、熱風乾燥機中で金属水酸化物難燃剤を乾燥することにより加熱減量として測定される。金属水酸化物難燃剤中の表面吸着水量は、通常、0.01〜5重量%であり、好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
本発明に用いられる金属水酸化物難燃剤が粒子である場合、当該粒子の粒子径(平均粒子径)は、粒子を三次元的にみたときの長手方向と短手方向の長さの平均値で、通常、0.001〜50μm、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。金属水酸化物難燃剤の粒子径がこの範囲にあると、得られる積層体の難燃性が特に優れるので好ましい。金属水酸化物難燃剤の粒子径は、揃えて使用してもよいし、揃えずに使用しても良い。例えば、大きな粒子径の粒子と小さな粒子径の粒子が混在した状態のものを用いても良い。
本発明に使用される金属水酸化物難燃剤の嵩比重は、特に限定されないが、通常、0.1〜5g/mL、好ましくは0.2〜3g/mLの範囲である。金属水酸化物難燃剤の嵩比重がこの範囲にあれば、得られる積層体の難燃性が特に優れ、好適である。嵩比重は、適当量の金属水酸化物難燃剤をメスシリンダーに入れ、加重をかけることなく、重量と体積を測定することによりそれらの比の値(重量/体積)として表される。
前記金属水酸化物難燃剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、金属水酸化物難燃剤は、本発明の重合性組成物を重合反応に供して得られる重合体との密着性を向上させる観点から、Si、Ti、Al、及びZrなどを含むカップリング剤などで表面処理されているものが好適である。かかる表面処理された金属水酸化物は市販品として入手可能である。
本発明の重合性組成物は、前記の通り、重合体ワニスと比べて非常に低粘度であるため、容易に金属水酸化物難燃剤を高配合することができる。よって、得られる、ドライフィルム、プリプレグ、又は積層体は、従来に比べて非常に優れた難燃性を発揮し得る。
なお、本発明の所望の効果の発現を阻害しない範囲であれば、前記含りん難燃剤及び金属水酸化物難燃剤以外のその他の難燃剤をさらに用いてもよい。その他の難燃剤としては、酸化マグネシウムや酸化アルミニウム等の金属酸化物難燃剤;メラミン誘導体類、グアニジン類、及びイソシアヌル類等の含窒素難燃剤;ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、リン酸グアニジン、及びフォスファゼン類等の、りんと窒素の双方を含有する難燃剤;などが挙げられる。
本発明の重合性組成物には、上記の熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤が含まれるが、それらの含有割合は重量比(熱伝導性充填剤:含りん難燃剤:金属水酸化物難燃剤)で30〜60:10〜40:15〜60である。熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤の含有割合を上記範囲とすることにより、熱伝導性、誘電正接、及び難燃性が高度にバランスされた積層体が得られる。いずれの成分も、上記範囲を外れ、その含有量が多かったり、少なかったりすると、積層体において熱伝導性、誘電正接、及び難燃性の少なくともいずれかの特性が低下し、所望の特性を有する積層体を得ることができない。熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤の含有割合としては、熱伝導性、誘電正接、及び難燃性がより高度にバランスされた積層体を得る観点から、好ましくは40〜60:15〜35:20〜55である。
得られる積層体において熱伝導性、誘電正接、及び難燃性をバランス良く向上させる観点から、本発明の重合性組成物においては、熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤についてそれぞれ記載する好ましい化合物を適宜組合わせて用いるのが好ましい。また、本発明の重合性組成物への、熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤の合計配合量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、150重量部以上、好ましくは200〜500重量部、より好ましくは250〜400重量部の範囲である。
(重合性組成物)
本発明の重合性組成物には、上記する、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤を必須成分として、所望により、架橋助剤、連鎖移動剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、老化防止剤、及びその他の配合剤を配合することができる。
得られる積層体の耐熱性を向上させる観点から、架橋助剤を配合するのが好ましい。架橋助剤は、開環重合反応に関与せず、架橋剤により誘起される架橋反応に関与可能な架橋性の炭素−炭素不飽和結合を2以上有する化合物が好ましい。かかる架橋性の炭素−炭素不飽和結合は、架橋助剤を構成する化合物中、例えば、末端ビニリデン基として、特に、イソプロペニル基やメタクリル基として存在するのが好ましく、メタクリル基として存在するのがより好ましい。
架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、及びo−ジイソプロペニルベンゼンなどの、イソプロペニル基を2以上有する多官能性化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート、及びペンタエリトリトールトリメタクリレートなどの、メタクリル基を2以上有する多官能性化合物などを挙げることができる。中でも、架橋助剤としては、得られる積層体の耐熱性や耐クラック性を向上させる観点から、メタクリル基を2以上有する多官能性化合物が好ましい。メタクリル基を2以上有する多官能性化合物の中では、特に、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレートやペンタエリトリトールトリメタクリレートなどの、メタクリル基を3つ有する多官能性化合物がより好ましい。
前記架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物における架橋助剤の含有量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
得られる積層体において層間密着性を高める観点から、連鎖移動剤を配合するのが好ましい。連鎖移動剤を配合した重合性組成物を用いて得られる、本発明のドライフィルム又はプリプレグは、加熱により溶融するが、高粘度であるため、その形状は保持する一方、任意の部材を接触させた場合、その表面では、該部材の形状に対し追従性を発揮するため、かかるドライフィルム又はプリプレグを積層し、加熱して溶融、架橋して得られる積層体では、層間密着性が高まり、好ましい。
連鎖移動剤は、特に限定なく、公知のものを用いることができる。連鎖移動剤は、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有していてもよい。
連鎖移動剤の具体例としては、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、アリルアミン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、及び4−ビニルアニリンなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たない連鎖移動剤;ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ウンデセニル、アクリル酸スチリル、及びエチレングリコールジアクリレートなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有する連鎖移動剤;アリルトリビニルシランやアリルメチルジビニルシランなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を2以上有する連鎖移動剤などが挙げられる。これらの中でも、得られる積層体において、配線埋め込み性と耐熱性とを高度にバランスさせる観点から、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するものが好ましく、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有するものがより好ましい。かかる連鎖移動剤の中でも、ビニル基とメタクリル基とを1つずつ有する連鎖移動剤が好ましく、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、及びメタクリル酸ウンデセニルなどが特に好ましい。
これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物への連鎖移動剤の配合量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
重合調整剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で配合されるものであり、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、及びテトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。これらの重合調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合調整剤の配合量は、例えば、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:重合調整剤)で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
重合反応遅延剤は、本発明の重合性組成物の粘度増加を抑制し得るものである。従って、重合反応遅延剤を配合してなる重合性組成物は、プリプレグを作製する際、容易に強化繊維に均一に含浸させることができ、好ましい。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、及びスチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリンやピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。その配合量は、所望により適宜調整すればよい。
また、老化防止剤として、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を配合することは、架橋反応を阻害しないで、得られる積層体の耐熱性を高度に向上させることができ、好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤がより好ましい。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、所望により適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部の範囲である。
本発明の重合性組成物には、その他の配合剤を配合することができる。その他の配合剤としては、着色剤、光安定剤、発泡剤などを用いることができる。着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明の重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を調製し、別にシクロオレフィンモノマーや架橋剤などの必須成分、及び所望によりその他の配合剤等を配合した液(モノマー液)を調製し、該モノマー液に該触媒液を添加し、攪拌することによって調製することができる。
(ドライフィルム)
本発明のドライフィルムは、本発明の重合性組成物を重合してなる。重合は、ドライフィルムの生産効率に優れることから、塊状重合により行うのが好ましい。本発明の重合性組成物を塊状重合してドライフィルムを製造する方法としては、例えば、(i)重合性組成物を支持体上に塗布し、塊状重合する方法、又は(ii)重合性組成物を型内で塊状重合する方法が挙げられる。(i)の方法に用いる支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、及びナイロン等の樹脂;鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、及び銀等の金属材料;等からなるものが挙げられる。その形状は特に限定されないが、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性等の観点から、通常、1〜150μm、好ましくは2〜100μmである。重合性組成物を支持体に塗布する方法は特に制限されず、例えば、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の塗布方法を採用できる。重合性組成物を支持体上に塗布した後、重合性組成物を加熱して塊状重合させドライフィルムを得る。一方、(ii)の方法は、強化繊維に本発明の重合性組成物を含浸する工程を除き、後述のプリプレグと同様にして実施することができる。得られるドライフィルムの厚さは、特に限定されないが、通常、100μm以下、好ましくは50μm以下である。この範囲にあれば、得られる積層体の小型化、低背化、及び放熱性の点で好適である。
(強化繊維)
本発明に使用される強化繊維としては、格別な制限はないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などの無機繊維;などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス等の繊維を好適に用いることができる。
これらの強化繊維は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、所望により適宜選択されるが、プリプレグあるいは積層体中の、通常、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲であり、この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械強度が高度にバランスされ、好適である。
(プリプレグ)
本発明のプリプレグは、前記重合性組成物を前記強化繊維に含浸させた後に重合してなる。重合は、プリプレグの生産効率に優れることから、塊状重合により行うのが好ましい。
重合性組成物の強化繊維への含浸は、例えば、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により強化繊維に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。本発明においては、重合性組成物を強化繊維に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することにより、重合性組成物を塊状重合させることができ、それによってシート状又はフィルム状のプリプレグが得られる。
含浸を型内で行う場合は、型内に強化繊維を設置し、該型内に重合性組成物を注ぎ込んで行う。この方法によれば、任意の形状のプリプレグを得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、多角柱状等が挙げられる。ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわち、コア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とするプリプレグの形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入し、該型内で硬化を行うことにより、シート状又はフィルム状のプリプレグを得ることができる。
本発明の重合性組成物は従来のエポキシ樹脂等の重合体ワニスと比較して低粘度であり、強化繊維に対する含浸性に優れるので、重合で得られる樹脂を強化繊維基材に均一に含浸させることができる。
本発明のプリプレグの厚さは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常、0.001〜10mm、好ましくは0.005〜1mm、より好ましくは0.01〜0.5mmの範囲である。この範囲にあれば、積層時の賦形性、また、硬化して得られる積層体の機械強度や靭性などの特性が充分に発揮され好適である。
本発明のドライフィルム又はプリプレグの基材樹脂としての重合体(シクロオレフィンモノマーの重合体)は、実質的に架橋構造を有さず、例えば、トルエンに可溶である。当該重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
本発明の重合性組成物は、通常、メタセシス重合触媒を含んでなるが、上記いずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常、50〜250℃、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜150℃の範囲であって、かつ架橋剤、通常、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度の10℃以下、より好ましくは1分間半減期温度の20℃以下である。また、重合時間は適宜選択すればよいが、通常、10秒間から60分間、好ましくは20分間以内である。重合性組成物をかかる条件で加熱することにより未反応モノマーの少ないドライフィルム又はプリプレグが得られるので好適である。
(積層体)
本発明の積層体は、本発明のドライフィルムの硬化物からなる層、及び/又は本発明のプリプレグの硬化物からなる層を有するものである。当該積層体は、(a)ドライフィルム、(b)プリプレグ、及び(c)それらと積層可能なその他の材料を、任意の組合せで任意の順に積層し、所望により更に賦形した後に、硬化(架橋)することで製造することができる。
積層可能なその他の材料としては、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、熱可塑性樹脂材料、金属材料などが挙げられ、特に金属材料が好適に用いられる。金属材料としては、回路基板で一般に用いられるものを格別な制限なく用いることができ、通常、金属箔、好ましくは銅箔が用いられる。金属材料の厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常、0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは3〜20μm、最も好ましくは3〜15μmの範囲である。また、金属材料は、その表面が、シランカップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されているものが好ましい。中でもシランカップリング剤で処理されているものがより好ましい。
本発明のプリプレグと、金属材料との接着界面における、金属材料からなる層表面の粗度(Rz)は、特に限定されないが、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。一方、粗度の下限は、格別な限定はないが、通常10nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは1nm以上である。金属材料からなる層表面の粗度が上記範囲にあれば、高周波伝送に於けるノイズ、遅延、伝送ロス等の発生が抑えられ好ましい。金属材料からなる層表面の粗度の調整は、積層する金属材料表面の粗度が所望の範囲にあるものを選択して使用することにより容易に行うことができる。かかる表面粗度を有する金属材料は市販品として入手可能である。なお、粗度(Rz)は、AFM(原子間力顕微鏡)により測定可能である。
積層及び硬化させる方法は、常法に従えばよい。例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて熱プレスを行なうことができる。加熱温度は、架橋剤により架橋反応が誘起される温度以上である。例えば、架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合、通常、1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度である。典型的には、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜60分の範囲である。プレス圧力としては、通常、0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。また、熱プレスは、真空又は減圧雰囲気下で行ってもよい。
かくして得られる本発明の積層体は、熱伝導性が極めて高く、優れた高周波特性、特に低誘電正接を示し、高周波領域での伝送ロスが少なく、なおかつ耐熱性に優れるため、広範囲の用途を有する高周波基板材料として好適に用いることができる。
(放熱性プリント基板)
本発明の放熱性プリント基板は、本発明の積層体を用いてなる。本発明の積層体は熱伝導性が高く、極めて優れた放熱性を有しており、通常のプリント回路基板の製造方法において用いることができるため、様々な半導体チップ部品を実装した回路基板、パワーアンプモジュール、半導体チップ内蔵基板、受動部品内蔵基板、マルチチップモジュール、及び高周波モジュール等の、半導体の動作時に高放熱性を要する半導体パッケージ基板の製造に好適に使用することができる。かかる半導体パッケージ基板は、従来になく優れた放熱性を有する放熱性プリント基板である。 本発明の積層体で構成される放熱性プリント基板は、例えば、通常のパッケージ基板に代表されるSiP、SiM、BGA、COC、POP、CSP、及びQFNの製造に用いることができる。特に、半導体が複雑に構成されるSiP、SiMや半導体PKGが内蔵されるPOP、非常に高温で動作するBGA等に用いられるのが好ましい。また、パッケージ基板の放熱性をより高める観点から、本発明の放熱性プリント基板と組合わせて、パッケージ基板に放熱ビアホールを形成するのが好ましい。
本発明の放熱性プリント基板によれば、例えば、基板サイズを、大きさ50mm×30mm、かつ厚さを0.8mmとし、実装した半導体を10W動作させ、12分後の基板表面温度を測定した場合、同形態の従来のプリント基板と比較して、基板表面温度が10℃低下し得る。このような本発明の放熱性プリント基板の熱伝導率としては、好ましくは1W/mK以上、より好ましくは1.2W/mK以上である。本発明の放熱性プリント基板を半導体パッケージ基板等に用いることで、半導体の動作/停止時に生ずる熱衝撃を和らげることができるので、基板設計容易性及び動作時信頼性が高く、低消費電力である、従来にないパッケージ基板群を作製することができる。本発明の積層体は、これらのパッケージ基板群の製造に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例及び比較例における各特性は、以下の方法に従い測定し、評価した。
(1)誘電正接
インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、型番号E4991A)を用いて20℃で周波数1GHzにおける誘電正接(tanδ)を容量法にて測定し、以下の基準で評価した。
◎:0.003以下
○:0.003超、0.008以下
×:0.008超
(2)熱伝導性
積層体の熱伝導率をホットディスク法により測定し、以下の基準で評価した。
◎:1.2W/mK以上
○:0.8W/mK以上、1.2W/mK未満
×:0.8W/mK未満
(3)難燃性
125mm×15mm×0.9mmの積層体に10秒間接炎したのちの総発熱量を測定し、以下の基準で評価した。
◎:3KJ/g未満
△:3KJ/g以上、6KJ/g未満
×:6KJ/g以上
実施例1
ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド 51部と、トリフェニルホスフィン 79部とを、トルエン 952部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、シクロオレフィンモノマーとしてテトラシクロドデセン(TCD)100部、連鎖移動剤としてスチレン 0.74部、架橋剤として3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン(1分間半減期温度205℃)2部、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート 20部、難燃剤としてトリキシレニルホスフェート 60部と水酸化マグネシウム(平均粒子径0.4μm、嵩比重1.2g/mL)90部、熱伝導性充填剤として窒化ホウ素 100部、フェノール系老化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール 1部を混合してモノマー液を調製した。ここに上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mLの割合で加えて撹拌し、実質的にハロゲンを含まない重合性組成物を調製した。
ついで、得られた重合性組成物をガラスクロス(Eガラス)に含浸させ、これを120℃にて5分間で重合反応を行い、厚さ0.15mmのプリプレグを得た。
次に、作製したプリプレグシート6枚を重ね、さらに12μmF2銅箔(シランカップリング剤処理電解銅箔、粗度Rz=1,600nm、古河サーキットホイル社製)で、積層したプリプレグシートを挟み、205℃で20分間、3MPaにて加熱プレスを行いハロゲン不含の積層体を得た。得られた積層体の誘電正接、熱伝導性、及び難燃性を評価した。それらの結果を表1に示す。
実施例2
水酸化マグネシウムの代わりに水酸化アルミニウム(平均粒子径0.4μm、嵩比重1.1g/mL)を用いた以外は実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、プリプレグ及び積層体を得て、各特性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例3
トリキシレニルホスフェートの代わりに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを用いた以外は実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、プリプレグ及び積層体を得て、各特性を評価した。その結果を表1に示す。
比較例1
窒化ホウ素の配合量を20部としたこと以外は実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、プリプレグ及び積層体を得て、各特性を評価した。その結果を表1に示す。
比較例2
水酸化マグネシウムの配合量を10部としたこと以外は実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、プリプレグ及び積層体を得て、各特性を評価した。その結果を表1に示す。
比較例3
トリキシレニルホスフェートの配合量を10部としたこと以外は実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、プリプレグ及び積層体を得て、各特性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2011132475
表1より、実施例1〜3で得られた積層体は、低誘電正接、優れた熱伝導性及び難燃性を示すことが分かる。一方、熱伝導性充填剤の含有割合が不足している重合性組成物を用いて得られた比較例1の積層体では熱伝導性に劣り、金属水酸化物難燃剤の含有割合が不足している重合性組成物を用いて得られた比較例2の積層体では難燃性に劣ることが分かる。

Claims (8)

  1. シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤を含有してなり、かつ熱伝導性充填剤、含りん難燃剤、及び金属水酸化物難燃剤の含有割合が重量比(熱伝導性充填剤:含りん難燃剤:金属水酸化物難燃剤)で30〜60:10〜40:15〜60である、重合性組成物。
  2. 熱伝導性充填剤が、無機酸化物、無機窒化物、及び無機炭化物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の重合性組成物。
  3. 架橋助剤をさらに含有する請求項1又は2記載の重合性組成物。
  4. 連鎖移動剤をさらに含有する請求項1〜3いずれか記載の重合性組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の重合性組成物を重合してなるドライフィルム。
  6. 請求項1〜4いずれかに記載の重合性組成物を強化繊維に含浸させた後に重合してなるプリプレグ。
  7. 請求項5に記載のドライフィルムの硬化物からなる層、及び/又は請求項6に記載のプリプレグの硬化物からなる層を有する積層体。
  8. 請求項7記載の積層体を用いてなる放熱性プリント基板。
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