JP2011131269A - 鋳型造型用粘結剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】フラン樹脂に起因する臭気を抑制することができる鋳型造型用粘結剤組成物と、これを用いた鋳型の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の鋳型造型用粘結剤組成物は、フラン樹脂と没食子酸とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物である。また、本発明の鋳型の製造方法は、前記本発明の鋳型造型用粘結剤組成物、耐火性粒子及び硬化剤を含む混合物を硬化する工程を有する鋳型の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フラン樹脂を用いた鋳型造型用粘結剤組成物と、これを用いた鋳型の製造方法に関する。
鋳物を製造するための鋳型としては、自硬性鋳型、加熱硬化鋳型、ガス硬化鋳型などが知られている。最も多く使用されている自硬性鋳型は、ケイ砂等の耐火性粒子に、フラン樹脂等の酸硬化性樹脂を含有する自硬性鋳型造型用粘結剤と、リン酸、有機スルホン酸、硫酸等を含有する硬化剤とを添加し、これらを混練した後、得られた混練砂を木型等の原型に充填することで得られる。
上記フラン樹脂としては、フルフリルアルコール、フルフリルアルコール・尿素ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、その他公知の変性フラン樹脂等が用いられている。
特許文献1には、硬化速度を向上させるために、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸等の酸触媒の存在下、ホルムアルデヒドとフルフリルアルコールを反応させて得られたフラン樹脂を含有する粘結剤組成物が開示されている。また、特許文献2には、可使時間の延長や鋳型強度の向上等を目的として、ケイ砂と、フラン樹脂と、マレイン酸やリンゴ酸等の有機カルボン酸と、有機スルホン酸とを含有する有機自硬性鋳型用組成物が開示されている。
しかしながら、フラン樹脂を用いて鋳型を造型する場合は、臭気の発生による作業環境の悪化が課題となっている。臭気には、ホルムアルデヒドによる刺激臭、フラン樹脂自体の臭気、フラン樹脂を合成する際に用いた触媒の臭気、硬化剤の臭気等さまざまな原因がある。
臭気の抑制については、例えば特許文献3に、造型時の刺激臭の原因であるホルムアルデヒドの発生を抑制することを目的として、植物由来の天然物から抽出された植物性天然物抽出組成物を含有する粘結剤組成物が開示されている。
特開2000−246391号公報 特開昭55−86642号公報 特開2009−119505号公報
上記特許文献3の技術により、ホルムアルデヒドによる刺激臭や硬化剤に起因する臭気については低減できるが、その結果、その他の発生源からの臭気が目立つようになってきた。特に、フラン樹脂については、フルフリルアルコールの溶剤臭もあるが、それに加えて、フラン樹脂の合成時における高温下で、フルフリルアルコールやその他の原料が酸化されて、フラン樹脂の臭気が顕在化するという課題があった。従来の粘結剤組成物では、フラン樹脂に起因する臭気を抑制することについては充分に検討されていなかった。
本発明は、フラン樹脂に起因する臭気を抑制することができる鋳型造型用粘結剤組成物と、これを用いた鋳型の製造方法を提供する。
本発明の鋳型造型用粘結剤組成物は、フラン樹脂と没食子酸とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物である。
本発明の鋳型の製造方法は、前記本発明の鋳型造型用粘結剤組成物、耐火性粒子及び硬化剤を含む混合物を硬化する工程を有する鋳型の製造方法である。
本発明の鋳型造型用粘結剤組成物によれば、フラン樹脂に起因する臭気を抑制することができる。また、本発明の鋳型の製造方法によれば、フラン樹脂に起因する臭気を抑制することができるため、作業環境を改善することができる。
本発明の鋳型造型用粘結剤組成物(以下、単に「粘結剤組成物」ともいう)は、フラン樹脂と没食子酸とを含有する。以下、本発明の粘結剤組成物に含有される成分について説明する。
<フラン樹脂>
フラン樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールの単独縮合物、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールと尿素の縮合物、フルフリルアルコールとフェノール類とアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールとメラミンとアルデヒド類の縮合物、及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物よりなる群から選ばれる1種からなるものや、これらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるものが使用できる。また、これらの群から選ばれる2種以上の共縮合物からなるものも使用できる。フルフリルアルコールは、非石油資源である植物から製造できるため、地球環境の観点からも、上記列挙したフラン樹脂を使用することが好ましい。コストの観点、及び抜型時の鋳型の柔軟性を向上させることで鋳型の割れを防ぐ観点から、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物を使用するのが好ましく、該アルデヒド類としてはホルムアルデヒドを使用するのがより好ましい。鋳型の硬化速度の観点、及び抜型時の鋳型の柔軟性を向上させることで鋳型の割れを防ぐ観点から、フルフリルアルコールとメラミンとアルデヒド類の縮合物を使用するのが好ましく、該アルデヒド類としてはホルムアルデヒドを使用するのがより好ましい。
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、フルフラール、テレフタルアルデヒド等が挙げられ、これらのうち1種以上を適宜使用できる。鋳型強度の観点からは、ホルムアルデヒドを用いるのが好ましく、造型時のホルムアルデヒド発生量低減の観点からは、フルフラールやテレフタルアルデヒドを用いるのが好ましい。
前記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールFなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
上記各縮合物を合成する際の触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、縮合リン酸等の無機酸や、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、没食子酸、グリコール酸等の有機カルボン酸が使用できる。反応させる際のモノマーと酸触媒のモル比は、鋳型の強度向上と製造時間短縮の観点から、全モノマー:酸触媒=1:0.0001〜1:1.0が好ましく、1:0.01〜1:0.8がより好ましく、1:0.1〜1:0.5が更に好ましい。
粘結剤組成物中のフラン樹脂の含有量は、鋳型強度を充分発現する観点から、好ましくは55〜98重量%であり、より好ましくは60〜90重量%であり、更に好ましくは65〜85重量%である。
本発明の粘結剤組成物では、最終的な鋳型強度を向上させる観点から、粘結剤組成物中の窒素含有量が1.8重量%以上であることが好ましく、2.2重量%以上であることがより好ましく、2.3重量%以上であることが更に好ましく、2.5重量%以上であることが更により好ましい。また、得られる鋳型の割れを防ぐ観点から、粘結剤組成物中の窒素含有量は、3.5重量%以下であることが好ましく、3.4重量%以下であることがより好ましく、3.3重量%以下であることが更に好ましく、3.2重量%以下であることが更により好ましい。上記観点を総合すると、粘結剤組成物中の窒素含有量は、1.8〜3.5重量%であることが好ましく、2.2〜3.4重量%であることがより好ましく、2.3〜3.3重量%であることが更に好ましく、2.5〜3.2重量%であることが更により好ましい。粘結剤組成物中の窒素含有量を上記範囲内に調整するには、粘結剤組成物中の窒素含有化合物の含有量を調整すればよい。窒素含有化合物としては、尿素、メラミン等の窒素含有成分とフルフリルアルコールとの縮合物を含むフラン樹脂が好ましい。粘結剤組成物中の窒素含有量は、ケルダール法により定量することが出来る。更には、尿素、尿素樹脂、フルフリルアルコール・尿素樹脂(尿素変性樹脂)、及びフルフリルアルコール・尿素ホルムアルデヒド樹脂由来の窒素含有量は、尿素由来のカルボニル基(C=O基)を13C-NMRで定量することで求めることも出来る。
<没食子酸>
本発明の粘結剤組成物中には、フラン樹脂自体の臭気を抑制するために、没食子酸が含まれる。没食子酸は、フラン樹脂の合成後に粘結剤組成物中に配合されてもよいし、後述するように、フラン樹脂を合成する際の酸触媒として使用してもよい。フラン樹脂臭の抑制の観点から、没食子酸の含有量は0.05重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましく、1重量%以上であることが更に好ましい。また、没食子酸のフラン樹脂中への溶解性の観点から、20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることが更に好ましい。上記観点を総合すると、粘結剤組成物中の没食子酸の含有量は、0.05〜20重量%であることが好ましく、0.5〜15重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることが更に好ましい。なお、本発明において、没食子酸は、フラン樹脂の成分には含まれないものとする。
没食子酸がフラン樹脂の臭気を低減できる理由は定かではないが、酸触媒として使用される公知のカルボン酸では、フラン樹脂に対して酸化防止効果が得られないのに対し、本発明の没食子酸では、芳香環に結合したカルボン酸及び芳香環に結合した3つの水酸基の構造がフラン樹脂と相互作用して、フラン樹脂に対する酸化防止効果が顕著に発揮され、その結果、フラン樹脂の臭気が低減されるものと推察される。
また、粘結剤組成物中に没食子酸が含まれることによって、粘結剤組成物中の遊離ホルムアルデヒドの含有量を低減することができる。造型時のホルムアルデヒドによる刺激臭低減の観点から、粘結剤組成物中の没食子酸の含有量は1重量%以上であることが好ましく、3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることが更に好ましい。
<硬化促進剤>
本発明の粘結剤組成物中には、鋳型の割れを防ぐ観点、及び最終的な鋳型強度を向上させる観点から、硬化促進剤が含まれていてもよい。硬化促進剤としては、最終的な鋳型強度を向上させる観点から、下記一般式(1)で表される化合物(以下、硬化促進剤(1)という)、フェノール誘導体、及び芳香族ジアルデヒドからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
Figure 2011131269
〔式中、X1及びX2は、それぞれ水素原子、CH3又はC25の何れかを表す。〕
硬化促進剤(1)としては、2,5−ビスヒドロキシメチルフラン、2,5−ビスメトキシメチルフラン、2,5−ビスエトキシメチルフラン、2−ヒドロキシメチル−5−メトキシメチルフラン、2−ヒドロキシメチル−5−エトキシメチルフラン、2−メトキシメチル−5−エトキシメチルフランが挙げられる。なかでも、最終的な鋳型強度を向上させる観点から、2,5−ビスヒドロキシメチルフランを使用するのが好ましい。粘結剤組成物中の硬化促進剤(1)の含有量は、硬化促進剤(1)のフラン樹脂への溶解性の観点、及び最終的な鋳型強度を向上させる観点から、0.5〜63重量%であることが好ましく、1.8〜50重量%であることがより好ましく、2.5〜50重量%であることが更に好ましく、3.0〜40重量%であることが更により好ましい。
フェノール誘導体としては、例えばレゾルシン、クレゾール、ヒドロキノン、フロログルシノール、メチレンビスフェノール等が挙げられる。なかでも、硬化速度を向上させる観点から、レゾルシンが好ましい。粘結剤組成物中の上記フェノール誘導体の含有量は、フェノール誘導体のフラン樹脂への溶解性の観点及び、最終的な鋳型強度を向上させる観点から、1〜25重量%であることが好ましく、2〜15重量%であることがより好ましく、3〜10重量%であることが更に好ましい。なかでも、レゾルシンを用いる場合は、粘結剤組成物中のレゾルシンの含有量は、レゾルシンのフラン樹脂への溶解性の観点、及び硬化速度を向上させる観点から、1〜10重量%であることが好ましく、2〜7重量%であることがより好ましく、3〜6重量%であることが更に好ましい。
芳香族ジアルデヒドとしては、テレフタルアルデヒド、フタルアルデヒド及びイソフタルアルデヒド等、並びにそれらの誘導体等が挙げられる。それらの誘導体とは、基本骨格としての2つのホルミル基を有する芳香族化合物の芳香環にアルキル基等の置換基を有する化合物等を意味する。鋳型の割れを防ぐ観点から、テレフタルアルデヒド及びテレフタルアルデヒドの誘導体が好ましく、テレフタルアルデヒドがより好ましい。粘結剤組成物中の芳香族ジアルデヒドの含有量は、芳香族ジアルデヒドをフラン樹脂に充分に溶解させる観点、及び芳香族ジアルデヒド自体の臭気を抑制する観点から、好ましくは0.1〜15重量%であり、より好ましくは0.5〜10重量%であり、更に好ましくは1〜5重量%である。
<水分>
本発明の粘結剤組成物中には、さらに水分が含まれてもよい。例えば、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物などの各種縮合物を合成する場合、水溶液状の原料を使用したり縮合水が生成したりするため、縮合物は、通常、水分との混合物の形態で得られるが、このような縮合物を粘結剤組成物に使用するにあたり、合成過程に由来するこれらの水分をあえて除去する必要はない。また、粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する目的などで、水分をさらに添加してもよい。ただし、水分が過剰になると、フラン樹脂の硬化反応が阻害されるおそれがあるため、粘結剤組成物中の水分含有量は0.5〜30重量%の範囲とすることが好ましく、粘結剤組成物を扱いやすくする観点と硬化反応速度を維持する観点から1〜10重量%の範囲がより好ましく、3〜7重量%の範囲が更に好ましい。また、最終的な鋳型強度を向上させる観点から、10重量%以下とすることが好ましく、7重量%以下とすることがより好ましく、4重量%以下とすることが更に好ましい。
<その他の添加剤>
また、粘結剤組成物中には、さらにシランカップリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えばシランカップリング剤が含まれていると、最終的な鋳型強度を向上させることができるため好ましい。シランカップリング剤としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシランなどが用いられる。好ましくは、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシランである。シランカップリング剤の粘結剤組成物中の含有量は、最終的な鋳型強度を向上させる観点から、0.01〜0.5重量%であることが好ましく、0.05〜0.3重量%であることがより好ましい。
本発明で使用されるフラン樹脂は、フルフリルアルコールと、アルデヒド類、フェノール類、メラミン及び尿素よりなる群から選ばれる1種以上とを、没食子酸の存在下において反応させて得られるものであることが好ましい。没食子酸を合成触媒として使用することによって、合成時に生じる臭気を低減できる上、フラン樹脂の合成時において、フルフリルアルコールやその他の原料の酸化を抑制できるため、フラン樹脂自体の臭気を抑制することができるからである。以下、フラン樹脂の合成触媒として没食子酸を用いた場合の合成条件について説明する。
本発明の粘結剤組成物では、フラン樹脂臭の抑制の観点、及び反応性の観点から、フラン樹脂を合成する際のモノマーと没食子酸のモル比は、全モノマー:没食子酸=1:0.0001〜1:1.0が好ましく、1:0.01〜1:0.8がより好ましく、1:0.1〜1:0.5が更に好ましい。また、合成時に生じる臭気を低減する観点から、不活性ガス雰囲気下でフラン樹脂を合成することが好ましく、前記不活性ガスとしては、コストの観点から窒素が好ましい。
本発明の粘結剤組成物では、フラン樹脂を合成する際の反応温度が高い場合に、特にフラン樹脂臭の抑制効果が大きくなる。よって、本発明の粘結剤組成物において、その効果を充分に得るには、上記反応温度が、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、更により好ましくは125℃以上である。なお、反応温度を上げると、より反応時間が低減できるため、生産性の観点からは好ましいが、従来の粘結剤組成物では反応温度を上げるとフラン樹脂臭が顕在化するため、反応温度を高くすることが難しかった。
フラン樹脂の合成触媒として没食子酸を用いた場合は、通常、没食子酸が樹脂中に取り込まれた状態で残存する。没食子酸が樹脂中に取り込まれた状態で残存する粘結剤組成物のほうが、フラン樹脂を合成した後に没食子酸を別途添加した粘結剤組成物よりも、遊離ホルムアルデヒドを効果的に低減できる。
本発明の粘結剤組成物は、耐火性粒子、鋳型造型用粘結剤組成物及び硬化剤を含む混合物を硬化させる工程を有する鋳型の製造方法に好適である。即ち、本発明の鋳型の製造方法は、鋳型造型用粘結剤組成物として上記本発明の粘結剤組成物を使用する鋳型の製造方法である。
本発明の鋳型の製造方法では、従来の鋳型の製造方法のプロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。例えば、上記本発明の粘結剤組成物と、この粘結剤組成物を硬化させる硬化剤とを耐火性粒子に加え、これらをバッチミキサーや連続ミキサーなどで混練することによって、上記混合物(混練砂)を得ることができる。本発明の鋳型の製造方法では、可使時間を確保する観点から、耐火性粒子に硬化剤を添加した後に本発明の粘結剤組成物を添加することが好ましい。
耐火性粒子としては、ケイ砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性粒子を回収したものや再生処理したものなども使用できる。
硬化剤としては、キシレンスルホン酸(特に、m−キシレンスルホン酸)やトルエンスルホン酸(特に、p−トルエンスルホン酸)等のスルホン酸系化合物、リン酸系化合物、硫酸等を含む酸性水溶液など、従来公知のものを1種以上使用できる。更に、硬化剤中にアルコール類、エーテルアルコール類及びエステル類よりなる群から選ばれる1種以上の溶剤や、カルボン酸類を含有させることができる。これらのなかでも、最終的な鋳型強度の向上を図る観点から、アルコール類、エーテルアルコール類が好ましく、エーテルアルコール類がより好ましい。また、上記溶剤やカルボン酸類を含有させると、硬化剤中の水分量が低減されるため、最終的な鋳型強度が更に向上する。前記溶剤や前記カルボン酸類の硬化剤中の含有量は、最終的な鋳型強度向上の観点から、5〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。また、硬化剤の粘度を低減させる観点からは、メタノールやエタノールを含有させることが好ましい。
最終的な鋳型強度の向上を図る観点から、前記アルコール類としては、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコールが好ましく、エーテルアルコール類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルが好ましく、エステル類としては、酢酸ブチル、安息香酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが好ましい。カルボン酸類としては、最終的な鋳型強度向上及び臭気低減の観点から、水酸基を持つカルボン酸が好ましく、乳酸、クエン酸、リンゴ酸がより好ましい。
混練砂における耐火性粒子と粘結剤組成物と硬化剤との比率は適宜設定できるが、耐火性粒子100重量部に対して、粘結剤組成物が0.5〜1.5重量部で、硬化剤が0.07〜1重量部の範囲が好ましい。このような比率であると、充分な強度の鋳型が得られやすい。更に、硬化剤の含有量は、鋳型に含まれる水分量を極力少なくする観点と、ミキサーでの混合効率の観点から、粘結剤組成物中のフラン樹脂100重量部に対して10〜40重量部であることが好ましく、15〜35重量部であることがより好ましく、18〜25重量部であることが更に好ましい。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
<粘結剤組成物の遊離ホルムアルデヒド量>
100mLの密栓付ガラス容器に、実施例及び比較例で用いた粘結剤組成物0.3gを正確に精秤した。続いて、水/アセトン溶液(重量比50:50)を3g添加し、粘結剤組成物を溶解させた。続いて蒸留水を追加投入し、内容物全体の重量が100.0gになるように希釈した。希釈後60分経過したものを測定試料として用いて、粘結剤組成物の遊離ホルムアルデヒド量を、特開2009−192321号公報に記載された実施例1の条件に従って分析した。分析に用いた試薬を以下に示す。
蒸留水:和光純薬工業社製、20L
酢酸アンモニウム:和光純薬工業社製、特級500g
酢酸:和光純薬工業社製、特級500mL
アセチルアセトン:和光純薬工業社製、特級500mL
アセトン:大伸化学社製、14kg業務用
標準物質:和光純薬工業社製の組織固定用10%ホルマリン液(200mL、ホルムアルデヒド含有量4重量%)を、測定試料の予測される遊離ホルムアルデヒド量に応じて蒸留水で希釈したものを用いた。
<縮合物1の合成>
冷却器及び撹拌機を取付けた反応器内に、フルフリルアルコール403重量部、50重量%ホルムアルデヒド水溶液374重量部、尿素146重量部、及び水酸化ナトリウム4.5重量部を入れ、反応器内を窒素置換し、常圧下80℃で1時間反応させた。次いで、反応器内に没食子酸20重量部を入れ、窒素雰囲気下、100℃で1時間反応させた。その後、15重量%水酸化ナトリウム水溶液2重量部と、尿素89重量部を添加して、80℃で30分間反応させた(モル比は、フルフリルアルコール:尿素:ホルムアルデヒド:没食子酸=1:0.95:1.5:0.03)。次いで、水分が12重量%となるまで、減圧留去させ、縮合物1を得た。反応条件等を表1に示す。
<縮合物2の合成>
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコ内に、フルフリルアルコール400重量部、50重量%ホルムアルデヒド水溶液81重量部、及び没食子酸42重量部を入れ、反応器内を窒素置換し、常圧下125℃で3時間反応させた(モル比は、フルフリルアルコール:ホルムアルデヒド:没食子酸=1:0.33:0.03)。次いで、水分が4.6重量%となるまで、減圧留去させ、縮合物2を得た。反応条件等を表1に示す。
<縮合物3の合成>
上記<縮合物2の合成>において、125℃での反応時間を8時間としたこと以外は、<縮合物2の合成>と同様の方法により、縮合物3を得た。反応条件等を表1に示す。
<縮合物4の合成>
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコ内に、フルフリルアルコール400重量部及び没食子酸12重量部を入れ、反応器内を窒素置換し、常圧下125℃で8時間反応させた(モル比は、フルフリルアルコール:没食子酸=1:0.02)。次いで、水分が2.5重量%となるまで、減圧留去させ、縮合物4を得た。反応条件等を表1に示す。
<縮合物5の合成>
上記<縮合物1の合成>において、没食子酸20重量部の代わりにグルタル酸15重量部を用いたこと以外は、<縮合物1の合成>と同様の方法により縮合物5を得た。反応条件等を表1に示す。
<縮合物6〜9の合成>
上記<縮合物1の合成>において、酸触媒の種類と量を表1に示す酸と量に変更したこと以外は、<縮合物1の合成>と同様の方法により縮合物6〜9を得た。反応条件等を表1に示す。
<縮合物10〜13の合成>
上記<縮合物2の合成>において、酸触媒の種類と量を表1に示す酸と量に変更したこと以外は、<縮合物2の合成>と同様の方法により、縮合物10〜13を得た。反応条件等を表1に示す。
<縮合物14の合成>
上記<縮合物4の合成>において、酸触媒の種類と量を表1に示す酸と量に変更したこと以外は、<縮合物4の合成>と同様の方法により、縮合物14を得た。反応条件等を表1に示す。
Figure 2011131269
(実施例1〜7及び比較例1〜9)
25℃、50%RHの条件下で、フラン再生砂100重量部に対し、硬化剤(p−トルエンスルホン酸の70重量%水溶液)0.45重量部を添加し、次いで表2に示す粘結剤組成物0.90重量部を添加し、これらを混合して混練砂を得た。得られた混練砂について、臭気を官能検査により確認し、以下の測定方法により鋳型強度を測定した。結果を表2に示す。なお、上記フラン再生砂としては、空気中、1000℃で1時間加熱したときの重量減少率(LOI)が1.4重量%のものを用いた。また、表2の縮合物の含有量は、樹脂中に取り込まれた没食子酸を除外した重量から算出された重量%濃度であり、表2の没食子酸の含有量は、縮合物中に取り込まれた没食子酸を含めた全没食子酸の重量%濃度である。
<1時間後及び24時間後の鋳型強度>
混練直後の混練砂を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填した。充填後5時間経過した時に抜型を行い、25℃、55%RHの条件下で1時間及び24時間放置した後、JIS Z 2604−1976に記載された方法で圧縮強度を測定し、得られた測定値をそれぞれ1時間後及び24時間後の鋳型強度とした。
Figure 2011131269
表2に示すように、実施例1〜7は、比較例1〜9に比べ、何れもフラン樹脂に起因する臭気を抑制することができた。また、実施例1と実施例6の比較、及び実施例5と実施例7の比較から、レゾルシンを加えることによって、硬化速度を向上できることが確認された。

Claims (5)

  1. フラン樹脂と没食子酸とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物。
  2. フラン樹脂が、フルフリルアルコールと、アルデヒド類、フェノール類、メラミン及び尿素よりなる群から選ばれる1種以上とを、没食子酸の存在下において反応させて得られるものである、請求項1記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
  3. 前記粘結剤組成物中の没食子酸の含有量が、0.05重量%以上である請求項1又は2記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
  4. 更に、レゾルシンを含有する請求項1〜3の何れか1項記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか1項記載の鋳型造型用粘結剤組成物、耐火性粒子及び硬化剤を含む混合物を硬化する工程を有する鋳型の製造方法。
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