JP2011131255A - ヘミング加工方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワーク表面のデフォームの発生を簡易且つ確実に抑えることができるヘミング加工方法及びその装置を提供する。
【解決手段】ホイールアーチ部16のフランジ18に対して行うヘミング加工において、ヘミング加工装置10は、ヘミング加工中に、ローラ間距離演算部76にて演算されるローラ間距離Lが記憶部74に記憶されている閾値Laよりも大きいか否かを判定部78にて判定し、前記ローラ間距離Lが前記閾値Laよりも大きい場合に、モータ制御部80が制御データ作成部79にて作成された異常停止制御データに基づいてモータを制御することで、ヘミングローラ52をガイドローラ50から遠ざける。
【選択図】図2

Description

本発明は、ワークのフランジを折り曲げるヘミング加工方法及びその装置に関する。
従来から、自動車のボンネット、トランク、ドア、及び、ホイールハウスの縁部に対しては、パネルの縁部が起立したフランジをパネルの内側方向へ折り曲げるヘミング加工が行われることがある。
特許文献1には、自動車のホイールアーチ部に移動金型を取り付け保持しておき、前記ホイールアーチ部の端部のフランジに対してローラを押し付けながら折り曲げる技術が開示されている。
特開2007−152390号公報
ところで、自動車の製造過程では溶接作業や機械加工等が頻繁に行われるため、例えば、ホイールアーチ部やそのフランジ部に溶接のスパッタや金属片等の異物が付着することがある。
この場合、前記異物を放置したまま前記フランジ部をヘミング加工すると、前記ホイールアーチ部の本体とフランジ部との間に該異物が入り込み(かみ込み)、該ホイールアーチ部(ワーク)の表面に該異物の形が現れる(デフォームが発生する)ことがある。このようなデフォームが発生すると、前記ワークを廃棄することになりコストや生産効率が悪化する。
また、デフォームの対策としては、作業者が目視で異物を確認及び除去をしたり、ヘミング加工装置に異物を監視するカメラ等を設けたりすることが考えられるが、異物の見落としや装置の大型化等が生じるおそれがある。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、ワーク表面のデフォームの発生を簡易且つ確実に抑えることができるヘミング加工方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明に係るヘミング加工方法は、ワークのフランジをローラで押圧して折り曲げるヘミング加工方法において、ヘミング加工中に、前記ワークの板厚方向に対する前記ローラの変位量を取得する変位量取得ステップと、前記変位量取得ステップの取得結果に基づいてヘミング加工を停止させる停止ステップと、を備えることを特徴とする。
このような方法によれば、ワークの板厚方向に対するローラの変位量を取得しているので、フランジが折り曲げられた状態で該フランジに接触するワーク本体と前記フランジとの間に異物が入り込んでいた場合に、前記ローラが該異物に乗り上げたか否かを知ることができる。また、取得された前記ローラの変位量に基づいてヘミング加工を停止させているので、前記ローラが該異物に乗り上げた瞬間に、つまり、前記ローラが前記異物を通り過ぎる前に、ヘミング加工を停止させることができる。前記ローラが前記異物を通り過ぎる前にヘミング加工を停止すれば、ワーク本体やフランジに前記異物の形が形成されることが抑えられる。よって、ワーク表面のデフォームの発生を簡易且つ確実に抑えることができる。
また、前記変位量取得ステップは、前記ワークの板厚方向に対する前記ローラの単位時間当たりの変位量を取得してもよい。ローラが異物に乗り上げると、ローラの板厚方向に対する単位時間当たりの変位量(変化率)が変化するので、前記変化率を取得すると共に、該変化率に基づいてヘミング加工を停止することで、ワーク表面のデフォームの発生を簡易且つ確実に抑えることができる。
さらに、前記変位量取得ステップで取得された前記ローラの変位量が閾値よりも大きいか否かを判定する判定ステップをさらに備え、前記停止ステップは、前記判定ステップで前記ローラの変位量が前記閾値よりも大きいと判定された場合に、ヘミング加工を停止させてもよい。
そうすると、ローラの変位量が閾値よりも大きいか否かを判定しているので、ワーク表面にデフォームを発生させる可能性のある大きさの異物とそうでないものとを容易に区別することができる。そして、ローラの変位量が閾値よりも大きいと判定された場合に、ヘミング加工を停止させているので、前記異物を見逃してワーク表面にデフォームが形成されることを防ぐことができる。
前記停止ステップは、前記ローラを前記フランジから離れる方向に徐々に移動させながら減速させることによりヘミング加工を停止させてもよい。これにより、例えば、ローラの回転を急に止めることでヘミング加工を停止させる場合と比較して、フランジに余計な歪が生じることを抑制することができる。
ヘミング加工が停止された後に、前記フランジに付着している異物を除去する異物除去ステップと、前記異物を除去した後に、前記ローラを、ヘミング加工が停止された時のローラ位置よりも所定量だけ前に戻した上で、再度ヘミング加工を開始する再加工ステップと、をさらに備えてもよい。
そうすると、異物を除去した状態で、前記異物が位置していたフランジの部位に対して再度ヘミング加工が行われるので、該異物によって前記部位がワーク本体に対して浮き上がった場合であっても、該部位を確実に折り曲げることができる。
また、前記変位量取得ステップで取得された前記ローラの変位量が第1閾値よりも大きいか否かを判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップで前記ローラの変位量が前記第1閾値よりも大きいと判定された場合に、該ローラの変位量の変動幅が所定範囲内に収まっているか否かを判定する第2判定ステップと、前記第2判定ステップで、前記ローラの変位量の変動幅が前記所定範囲内に収まっていると判定された場合に、前記ローラの変位量が第2閾値よりも大きいか否かを判定する第3判定ステップと、前記第3判定ステップで、前記ローラの変位量が前記第2閾値以下であると判定された場合に、前記ローラの前記フランジに対する押圧力を高める押圧ステップと、を備え、前記停止ステップは、前記第3判定ステップで、前記ローラの変位量が前記第2閾値よりも大きいと判定された場合に、ヘミング加工を停止させてもよい。
そうすると、第1判定ステップで異物の有無を判定し、第2判定ステップでヘミング加工中のローラが前記異物の頂部に達しているか否かを判定し、第3判定ステップで該異物がワーク表面にデフォームを生じさせる大きさであるか否かを判定することができる。そして、第3判定ステップで前記異物がデフォームを生じさせない大きさであると判定された場合に、前記ローラの押圧力を高めるので、前記ワーク表面にデフォームを生じさせることなく該異物を押し潰すことができる。よって、異物を除去する必要がないので、効率的に品質の高いヘミング加工を行うことができる。
本発明に係るヘミング加工装置は、ワークのフランジに対してヘミング加工を行うローラを有するヘミング加工装置であって、ヘミング加工中に、前記ワークの板厚方向に対する前記ローラの変位量を取得する変位量取得手段と、前記変位量取得手段にて取得された前記ローラの変位量に基づいてヘミング加工を停止させる停止手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、変位量取得手段にて異物の有無を知ることができると共に、異物が存在していた場合にヘミング加工を停止させるので、ワーク表面のデフォームの発生を簡易且つ確実に抑えることができる。
本発明によれば、ワークの板厚方向に対するローラの変位量を取得しているので、ワーク本体とフランジとの間の異物の有無を知ることができる。また、異物が存在していた場合にヘミング加工を停止させるので、ワーク表面のデフォームの発生を簡易且つ確実に抑えることができる。
第1実施形態に係るヘミング加工装置が組み込まれた生産ラインの概略斜視図である。 第1実施形態に係るヘミングユニットの構成及びコントローラの内部を示す一部透視図である。 第1実施形態に係るヘミング加工方法の手順を示すフローチャートである。 図3のステップS9の内容を詳細に説明するためのフローチャートである。 第1ヘミング工程を行っている際のホイールアーチ部、ヘミングローラ及びガイドローラの一部断面斜視図である。 第2ヘミング工程を行っている際のホイールアーチ部、ヘミングローラ及びガイドローラの一部断面斜視図である。 図7Aは、第2ヘミング工程において、ヘミングローラが異物に乗り上げた状態を示す図であり、図7Bは、ローラ間距離を徐々に広げている様子を示す図である。 第2実施形態に係るヘミングユニットの構成及びコントローラの内部を示す一部透視図である。 第2実施形態に係るヘミング加工方法の手順を示すフローチャートである。 ローラ間距離の変動幅が所定範囲内に納まっている状態を示す断面図である。
以下、本発明に係るヘミング加工方法について、それを実施する装置との関係で好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係るヘミング加工装置10は、いわゆるホワイトボディの状態のワークとしての車両12について組み立て及び加工を行う生産ライン14における途中工程に設定されており、左後輪側のホイールアーチ部16のフランジ18についてヘミング加工を行うための装置である。ホイールアーチ部16は、略180°の略円弧形状のホイールアーチ部本体16aを有しており、フランジ18は、ホイールアーチ部本体16aの端部から車両12内側に向けて90°折り曲げられて形成されている(図2参照)。
ヘミング加工装置10は、車両12のホイールアーチ部本体16aに接触させる移動金型20と、移動金型20を移動させると共に、先端にヘミングユニット22を支持するロボット24と、コントローラ28とを備えている。
移動金型20は、板状に形成されており、ホイールアーチ部本体16aに接触する側の面を表面20a、その反対側の面を裏面20bと呼んで区別する(図5及び図6参照)。
図1、図2、図5及び図6に示すように、移動金型20の表面20aは、車両12の表面形状に合わせた3次元的な曲面に設定されており、移動金型20の裏面20bには、アーチ状の溝34が形成されている。
図1に示すように、ロボット24は、産業用多関節型であって、プログラム動作によってヘミングユニット22を任意の位置で且つ任意の姿勢に移動可能である。
図2に示すように、ヘミングユニット22は、ロボット24の先端に固定されているブラケット42に取り付けられた外箱44と、外箱44の上面に形成された孔部(不図示)から突出するように設けられたガイドローラ50及びヘミングローラ52とを備えている。
図2、図5及び図6に示すように、ガイドローラ50は、周囲が狭幅に設定された円盤形状に形成されており、移動金型20の溝34に係合可能である。また、ガイドローラ50には、ガイドローラ50を回転自在に支持する支軸50aが設けられている。
ヘミングローラ52は、先端側に設けられたテーパローラ56と、テーパローラ56と一体構造で基端側に設けられた円筒ローラ58とを含んでいる。テーパローラ56は、側面視で45°に傾斜した先細り形状に円錐台に形成されている(図2参照)。円筒ローラ58は、テーパローラ56の基端側最大径部よりもやや大径の円筒形状に形成されている。また、円筒ローラ58には、ヘミングローラ52を回転自在に支持する支軸52aが設けられている。なお、円筒ローラ58を、テーパローラ56の基端側最大径部と同径とし、金型20に段差をつけてもよい。
図2に示すように、外箱44の内部には、ガイドローラ50及びヘミングローラ52の並び方向(X方向)にヘミングローラ52を移動する移動機構60と、ヘミングローラ52の支軸52aの端部に設けられてヘミングローラ52を回転軸線CL1方向に進退する駆動部61と、移動機構60及びガイドローラ50が設けられる支持部材62とが設けられている。
移動機構60は、X方向に延在するボールねじ64と、支持部材62に設けられてボールねじ64を回転自在に支持する一対の軸受66と、ボールねじ64を正逆両方向に回転するモータ(サーボモータ)68と、X方向に移動可能な状態でボールねじ64に螺合し、且つヘミングローラ52の支軸52aが接続されるナット部70とを有している。なお、モータ68には、モータ68の回転量(回転数)に対応する信号(デジタル信号)を出力するエンコーダ72が設けられており、ナット部70には駆動部61が設けられている。
コントローラ28は、駆動部61を制御して、ヘミングローラをY方向に移動する。また、コントローラ28は、記憶部74と、ローラ間距離演算部76と、判定部78と、制御データ作成部79と、モータ制御部80とを有する。
記憶部74には、閾値Laが記憶されている。閾値Laとしては、ガイドローラ50の回転軸線CL2とヘミングローラ52の回転軸線CL1との間の距離L(ローラ間距離)が用いられ、フランジ18をホイールアーチ部本体16aに接触させた状態(フランジ18を90°折り曲げた状態)における、溝34に係合したガイドローラ50の回転軸線CL2とフランジ18に接触したヘミングローラ52の回転軸線CL1との間の距離L0よりも0.1mm〜3mm程度大きい値に設定されている(図6参照)。
ローラ間距離演算部76は、エンコーダ72の出力信号を参照してヘミング加工中のローラ間距離Lを演算する。
判定部78は、ローラ間距離演算部76にて演算されたローラ間距離Lが記憶部74に記憶されている閾値Laよりも大きいか否かを判定する。
制御データ作成部79は、通常加工制御データと、異常停止制御データを作成する。通常加工制御データは、コントローラ28に入力されるホイールアーチ部16及び移動金型20の材質や寸法等の情報に基づいて作成されるローラ間距離Lに関するデータである。異常停止制御データは、判定部78の判定結果に基づいて作成されるローラ間距離Lに関するデータである。具体的には、異常停止制御データは、通常加工制御データのローラ間距離が徐々に大きくなるようなデータに設定されている。
モータ制御部80は、制御データ作成部79にて作成された制御データに基づいてモータ68を制御する。
次に、以上のように構成されるヘミング加工装置10を用いて、ホイールアーチ部16のフランジ18についてヘミング加工を行う加工方法について図3〜図7を参照しながら説明する。
先ず、図3のステップS1において、ロボット24を動作させて移動金型20の表面20aがホイールアーチ部本体16aに当接するようにクランプ36を用いて移動金型20をホイールアーチ部16に固定する。
次に、ステップS2において、円筒ローラ58をガイドローラ50よりも外箱44側に位置させた状態でロボット24を動作させて、ガイドローラ50を溝34に係合させる(図5参照)。
ステップS3において、モータ制御部80は、モータ68を正方向に回転してヘミングローラ52をガイドローラ50に接近させる。このとき、モータ制御部80は、制御データ作成部79にて作成された通常加工制御データに基づいてモータ68を制御する。これにより、移動金型20のはみ出し部の表面20aに円筒ローラ58が接触する。つまり、ガイドローラ50と円筒ローラ58によって移動金型20が挟み込まれる(図5参照)。また、フランジ18はテーパローラ56により押圧されて錐面に沿って45°傾斜して屈曲することになる。
ステップS4において、図5に示すように、ロボット24を動作させて溝34にガイドローラ50を係合させながら転動させることにより、フランジ18を内側方向へ45°傾斜屈曲させる第1ヘミング工程を連続的に行う。つまり、ヘミングローラ52とガイドローラ50との間の加圧力や距離を所定値に保持した状態で、互いに逆方向に回転させながら転動させ、テーパローラ56の円錐面によりフランジ18を連続的に曲げて第1ヘミング工程が行われる。
ステップS5において、モータ制御部80は、モータ68を逆方向に回転してローラ間距離Lを遠ざける。これにより、ヘミングローラ52がフランジ18及び移動金型20から離間する。
ステップS6において、ロボット24を動作させてガイドローラ50を移動金型20から離間する。
ステップS7において、Y方向に関して円筒ローラ52とガイドローラ50の位置を揃えた状態でガイドローラ50を溝34に係合させる(図6参照)。
ステップS8において、モータ制御部80は、モータ68を正回転してガイドローラ50とヘミングローラ52とを接近させる。これにより、ガイドローラ50と円筒ローラ58によってフランジ18、ホイールアーチ部本体16a及び移動金型20が挟み込まれる。このとき、フランジ18は円筒ローラ58により押圧されてさらに45°傾斜して屈曲することになる。つまり、フランジ18は、当初の角度から90°屈曲することになる。
ステップS9において、図6に示すように、ロボット24を動作させて溝34にガイドローラ50を係合させながら転動させることにより、フランジ18をホイールアーチ部16の裏面に接触するまで折り曲げる第2ヘミング工程を連続的に行う。つまり、ヘミングローラ52とガイドローラ50との間の加圧力や距離を所定値に保持した状態で、互いに逆方向に回転させながら転動させ、円筒ローラ58の外周円筒面によりフランジ18を連続的に曲げて、第2ヘミング工程が行われる。
ここで、ステップS9の内容について、図4を参照しながらさらに詳細に説明する。
第2ヘミング工程が行われると、ステップS21において、第2回目のヘミング加工が終了したか否かを判断する。第2回目のヘミング加工が終了したと判断された場合(ステップS21:Yes)、図3のステップS10に移る。
一方、第2回目のヘミング加工中であると判断された場合(ステップS21:No)、ステップS22において、判定部78は、ローラ間距離演算部76にて演算されたローラ間距離Lが記憶部74に記憶されている閾値Laよりも大きいか否かを判定する。前記ローラ間距離Lが閾値La以下であると判定された場合(ステップS22:No)、ステップS21に戻る。この場合、フランジ18とホイールアーチ部本体16aとの間に、ホイールアーチ部本体16aの表面にデフォームが形成される程度の大きさの異物Aは入り込んでいない。
一方、前記ローラ間距離Lが閾値Laよりも大きいと判定された場合(図7Aに示す状態、ステップS22:Yes)、ステップS23において、図7Bに示すように、モータ制御部80は、モータ68を逆方向に回転してヘミングローラ52をガイドローラ50から徐々に遠ざけると共に、ロボット24の移動速度を減速する。フランジ18とホイールアーチ部本体16aとの間に、ホイールアーチ部本体16aの表面にデフォームが形成される程度の大きさの異物Aが入り込んでいるからである。なお、モータ制御部80は、制御データ作成部79にて作成された異常停止制御データに基づいてローラ68を制御する。これにより、ヘミングローラ52がフランジ18から徐々に離間し、第2回目のヘミング加工が停止される。
ステップS24において、ヘミングユニット22の移動を一旦停止する。
ステップS25において、作業者は、異物Aをエアーブロー等によって除去する。
ステップS26において、ロボット24を動作させて、ヘミングローラ52がフランジ18から離れた時のヘミングローラ52位置よりも所定量だけ前の位置にヘミングローラ52が位置するようにヘミングユニット22を移動させる。
ステップS27において、ガイドローラ50を溝34に再度係合させると共に、ローラ間距離Lを接近させ、フランジ18に対して再加工を行う。なお、このとき、モータ制御部80は、通常加工制御データに基づいてモータ68を制御する。これにより、異物Aを除去した状態で、異物Aが位置していたフランジ18の部位がホイールアーチ部本体16aに対して浮き上がった場合でも、該部位を確実に折り曲げることができる。
そして、第2回目のヘミング加工が終了すると、図3のステップS10において、ロボット24を所定の待機位置まで移動させる。また、任意の方法で移動金型20を車両12から離間させる。
以上のように、本実施形態に係るヘミング加工方法及びその装置によれば、ローラ間距離演算部76でヘミング加工中のローラ間距離Lを演算し、ステップS22で前記ローラ間距離Lが閾値Laよりも大きいか否か判定しているので、フランジ18とホイールアーチ部本体16aとの間に異物Aが入り込んでいた場合、ヘミングローラ52が異物Aに乗り上げたか否かを知ることができる。また、ローラ間距離Lが閾値Laよりも大きい場合に、ローラ間距離Lを徐々に広げながらロボット24の移動速度を減速させることでヘミング加工を停止させているので、ヘミングローラ52が異物Aを通り越してホイールアーチ部本体16aの表面にデフォームが形成されることを抑えることができる。
また、ヘミング加工を停止させる際に、ローラ間距離Lを徐々に広げているので、ヘミングローラ52の回転を急に止めることでヘミング加工を停止させる場合と比較して、フランジ18に余計な歪が生じることを抑制することができる。
さらに、本実施形態は、異物の有無の判定に閾値を用いているので、ホイールアーチ部本体16aの表面にデフォームが形成される可能性のある異物とそうでないものとを容易に区別することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るヘミング加工方法及びその装置について図8〜図10を参照しながら説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態と共通する構成には同一の参照符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態は、第1実施形態と比較してコントローラ100の構成が異なっている。具体的には、判定部78に換えて第1判定部102、第2判定部104、及び第3判定部106が設けられ、ローラ変動量演算部108が追加されている。
また、記憶部110には、閾値Laに換えて、第1閾値Lb、第2閾値Lc及び許容変動幅Wが記憶されている。第1閾値Lbとしては、ローラ間距離が用いられ、第1実施形態の閾値Laと同じものを用いてもよい。第2閾値Lbとしては、第1閾値Laよりも大きい値が設定される。具体的には、第2閾値Lbは、ホイールアーチ部本体16aの表面にデフォームが形成される最低限の大きさの異物Aにヘミングローラ52を乗り上げた時のローラ間距離に設定されている。許容変動幅Wは、ローラ間距離Lの変動幅であり、フランジ18表面及び第2溝34に存在する凹凸等によって変動するローラ間距離よりもやや大きく設定されている。
ローラ変動量演算部108は、ローラ間距離演算部76の演算結果に基づいて所定期間中に変動するローラ間距離Lの変動量を演算する。
第1判定部102は、ローラ間距離演算部76にて演算されたローラ間距離Lが記憶部110に記憶されている閾値Lbよりも大きいか否かを判定する。
第2判定部104は、ローラ変動量演算部108にて演算されたローラ間距離Lの変動量が記憶部に記憶されている許容変動幅W内に収まっているか否かを判定する。
第3判定部106は、ローラ間距離演算部76にて演算されたローラ間距離Lが記憶部110に記憶されている閾値Lcよりも大きいか否かを判定する。
また、制御データ作成部112には、第1実施形態の通常加工制御データ及び異常停止制御データに加圧加工制御データが加えられている。加圧加工制御データは、通常加工制御データのローラ間距離が狭くなるようなデータに設定されている。
次に、本実施形態に係るヘミング加工方法について図9及び図10を参照しながら説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態に係るフローチャートのステップの説明と重複するステップの説明を省略する。本実施形態では、第1実施形態の図3のステップS1〜ステップS10までの手順が同一であるので、その説明を省略する。また、本実施形態は、図9のフローチャートが図4のフローチャートに対応している。つまり、図9のフローチャートは、第2回目のヘミング加工を詳細に説明したものとなっている。
先ず、第2ヘミング工程が行われると、ステップS31において、第2回目のヘミング加工が終了したか否かを判断する。第2回目のヘミング加工が終了したと判断された場合(ステップS31:Yes)、ヘミングローラ52及びガイドローラ50をホイールアーチ部16及び移動金型20から離間させ、移動金型20をホイールアーチ部16から開放した後、待機処理を行う。
一方、第2回目のヘミング加工中であると判断された場合(ステップS31:No)、ステップS32において、第1判定部102は、ローラ間距離演算部76にて演算されたローラ間距離Lが記憶部110に記憶されている第1閾値Lbよりも大きいか否かを判定する。前記ローラ間距離Lが第1閾値Lb以下であると判定された場合(ステップS32:No)、ステップS31に戻る。
一方、前記ローラ間距離Lが第1閾値Lbよりも大きいと判定された場合(ステップS32:Yes)、ステップS33において、第2判定部104は、ローラ変動量演算部108にて演算されたローラ間距離Lの変動幅が許容変動幅W内に収まっているか否かを判定する。つまり、ここでは、図10に示すように、異物Aに乗り上げたヘミングローラ52の変位が落ち着いたか否か(ヘミングローラ52が異物Aの頂部に達したか否か)を判定している。
前記ローラ間距離Lの変動幅が許容変動幅W内に収まっていない場合(ステップS33:No)、ステップS34において、第3判定部106は、ローラ間距離Lが記憶部110に記憶されている第2閾値Lcよりも大きいか否かを判定する。
前記ローラ間距離Lが第2閾値Lc以下であると判定された場合(ステップ34:No)、ステップS33に戻る。この場合、ヘミングローラ52は、異物Aを駆け上がっている途中であり、現段階では、該異物Aがホイールアーチ部本体16aの表面にデフォームが形成される程度の大きさか否かは不明である。
一方、前記ローラ間距離Lが第2閾値Lcよりも大きいと判定された場合(ステップS34:Yes)、ステップS35において、モータ制御部80は、制御データ作成部112にて作成された異常加工データに基づいてモータ68を逆方向に回転してローラ間距離Lを徐々に遠ざけると共に、コントローラ28は、ロボット24の移動速度を減速する。これにより、第2回目のヘミング加工が停止される。
続いて、ステップS36〜ステップS39の処理を行うが、これら処理は、第1実施形態に係る図4のステップS24〜ステップS27の処理と同様であるのでその説明を省略する。
前記ローラ間距離Lの変動幅が許容変動幅W内に収まっている場合(図10の状態、ステップS33:Yes)、ステップS40において、第3判定部106は、ローラ間距離Lが記憶部110に記憶されている第2閾値Lcよりも大きいか否かを判定する。
前記ローラ間距離Lが第2閾値Lcよりも大きいと判定された場合(ステップ40:Yes)、ステップS35からステップS39までの処理を行う。
一方、前記ローラ間距離Lが第2閾値Lc以下であると判定された場合(ステップS40:No)、ステップS41〜ステップS44までの処理を行う。なお、ステップS41はステップS35と、ステップS42はステップS36と、ステップS43はステップS38と同一であるので、それらの説明を省略する。なお、ステップS41〜ステップS43までの間には、異物を除去する処理が省かれている。
ロボット24を動作させてヘミングユニット22の位置を所定量だけ前に戻して、ガイドローラ50を第2溝34に係合させた後、ステップS44において、モータ制御部80は、制御データ作成部112にて作成された加圧加工データに基づいてモータ68を正方向に回転してヘミングローラ52の加圧力を上昇させた状態でフランジ18に対して再加工を行う。これにより、ホイールアーチ部本体16aの表面にデフォームを生じさせることなく異物Aを押し潰すことができる。よって、異物を除去する必要がないので、効率的に品質の高いヘミング加工を行うことができる。
本実施形態は、上述した例に限らない。例えば、ヘミングローラ52が異物Aの頂部に達した状態で、ローラ間距離Lが第2閾値Lc以下であった場合に、ステップS41〜ステップS43の処理を省略して、ヘミングローラ52の加圧力を高めた状態で、ヘミング加工を続行してもよい。これにより、加圧力を高めることで潰せる程度の大きさの異物が存在するときに、ヘミング加工を停止させる必要がないので、ヘミング加工を一層効率的に行うことができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
本発明は、ローラ間距離を用いて異物の有無を判定する例に限らず、ホイールアーチ部の板厚方向に対するヘミングローラの変位量の変化率を用いて異物の有無を判定してもよい。
本発明に係る移動機構は、ボールねじを用いたものに限らない。例えば、シリンダを用いてローラ間隔を変更させてもよい。
さらに、本発明は、ヘミングローラ及びガイドローラの両方を移動させることでローラ間隔を変更するようにしてもよい。
本発明は、ホイールアーチ部以外の部品、例えば、自動車用ドアのヘミング加工に対しても適用することができる。
10…ヘミング加工装置 12…車両
16…ホイールアーチ部 18…フランジ
20…移動金型 22…ヘミングユニット
28、100…コントローラ 50…ガイドローラ
52…ヘミングローラ 74、110…記憶部
76…ローラ間距離演算部 78…判定部
79、112…制御データ作成部 80…モータ制御部
102…第1判定部 104…第2判定部
106…第3判定部 108…ローラ変動量演算部

Claims (7)

  1. ワークのフランジをローラで押圧して折り曲げるヘミング加工方法において、
    ヘミング加工中に、前記ワークの板厚方向に対する前記ローラの変位量を取得する変位量取得ステップと、
    前記変位量取得ステップの取得結果に基づいてヘミング加工を停止させる停止ステップと、を備えることを特徴とするヘミング加工方法。
  2. 請求項1記載のヘミング加工方法において、
    前記変位量取得ステップは、前記ワークの板厚方向に対する前記ローラの単位時間当たりの変位量を取得することを特徴とするヘミング加工方法。
  3. 請求項1記載のヘミング加工方法において、
    前記変位量取得ステップで取得された前記ローラの変位量が閾値よりも大きいか否かを判定する判定ステップをさらに備え、
    前記停止ステップは、前記判定ステップで前記ローラの変位量が前記閾値よりも大きいと判定された場合に、ヘミング加工を停止させることを特徴とするヘミング加工方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘミング加工方法において、
    前記停止ステップは、前記ローラを前記フランジから離れる方向に徐々に移動させながら減速させることによりヘミング加工を停止させることを特徴とするヘミング加工方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘミング加工方法において、
    ヘミング加工が停止された後に、前記フランジに付着している異物を除去する異物除去ステップと、
    前記異物を除去した後に、前記ローラを、ヘミング加工が停止された時のローラ位置よりも所定量だけ前に戻した上で、再度ヘミング加工を開始する再加工ステップと、をさらに備えることを特徴とするヘミング加工方法。
  6. 請求項1記載のヘミング加工方法において、
    前記変位量取得ステップで取得された前記ローラの変位量が第1閾値よりも大きいか否かを判定する第1判定ステップと、
    前記第1判定ステップで前記ローラの変位量が前記第1閾値よりも大きいと判定された場合に、該ローラの変位量の変動幅が所定範囲内に収まっているか否かを判定する第2判定ステップと、
    前記第2判定ステップで、前記ローラの変位量の変動幅が前記所定範囲内に収まっていると判定された場合に、前記ローラの変位量が第2閾値よりも大きいか否かを判定する第3判定ステップと、
    前記第3判定ステップで、前記ローラの変位量が前記第2閾値以下であると判定された場合に、前記ローラの前記フランジに対する押圧力を高める押圧ステップと、を備え、
    前記停止ステップは、前記第3判定ステップで、前記ローラの変位量が前記第2閾値よりも大きいと判定された場合に、ヘミング加工を停止させることを特徴とするヘミング加工方法。
  7. ワークのフランジに対してヘミング加工を行うローラを有するヘミング加工装置であって、
    ヘミング加工中に、前記ワークの板厚方向に対する前記ローラの変位量を取得する変位量取得手段と、
    前記変位量取得手段にて取得された前記ローラの変位量に基づいてヘミング加工を停止させる停止手段と、を備えることを特徴とするヘミング加工装置。
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