以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る医用画像診断支援システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、医用画像診断支援システム1は、互いにネットワークを介して接続されたCAD(Computer Aided diagnosis)10、サーバ装置20、および医用画像診断装置30を含む。
CAD10は、医師等のユーザによる画像診断を支援するために、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、または核医学診断装置等により生成された医用画像のデータをCAD独自のアルゴリズムで画像処理するコンピュータ端末である。具体的には、CAD10は、医用画像のデータに含まれる病変部の候補として異常領域を抽出し、抽出された異常領域の座標位置や異常値を算出する。そしてCAD10は、算出された異常領域の座標位置や異常値等の臨床データ(以下、CAD結果データと称する)を医用画像のデータとともにサーバ装置20に送信する。
CAD結果データは、画像診断における検査項目毎に管理される。CAD結果データには、例えば、異常領域の座標位置や異常値、異常値の概要説明、異常値の評価方法、および疑いのある疾患識別子が含まれる。異常領域の座標位置は、例えば、医用画像上の座標やサイズに関する。異常値は、異常領域に関する様々な項目の特徴量のうちの、異常であるとCAD10により評価された特徴量の値である。異常値の概要説明は、例えば、異常値に関する特徴量の概要説明である。
異常値の評価方法や異常有無の評価方法は、CADにより様々である。例えば、異常有無の評価の際に用いられた閾値と、その閾値を用いた判断基準とで評価する。判断基準は、例えば、閾値以上であれば異常と判断し、閾値以下であれば正常(健康)と判断するといったものである。疑いのある疾患の識別子は、疑いのある疾患の名称やIDである。
サーバ装置20は、様々な疾患に関する基礎情報や、患者に関するCAD結果データを管理するサーバコンピュータである。サーバ装置20は、治療方針・手順定義テーブル記憶部21、疾患禁忌処置定義テーブル記憶部22、疾患−参照画像定義テーブル記憶部23、CAD結果データ記憶部24、生化学検査データ記憶部25、および問診データ記憶部26を備える。
治療方針・手順定義テーブル記憶部21は、疾患に対する治療方針や治療手順(処置手順)を定義したテーブルのデータファイルを記憶する第1の定義テーブル記憶手段として機能する。以下、疾患に対する治療方針や治療手順を定義したテーブルを疾患毎の治療方針・手順定義テーブルと称する。
図2は、疾患毎の治療方針・手順定義テーブルの例を示している。図2に示す疾患毎の治療方針・手順定義テーブルの例では、疾患を一意に特定する「疾患ID」、治療手順(処置手順)を一意に特定する「術式ID」、治療手順を表わす「Step No」、当該疾患に施す治療(処置)の方針を表わす「内容」、および治療方針の上位概念を表わす「カテゴリ」の項目が関連付けられている。例えば、「Lang-001」の疾患IDには、「Drain01」の術式IDと、「001」乃至「007」のStep Noと、それらのStep Noに対応する「内容」と、「カテゴリ」とが関連付けて記憶されている。
疾患禁忌処置定義テーブル記憶部22は、疾患毎に注意を要する処置(疾患禁忌処置)を定義したテーブルのデータファイルを記憶する第2の定義テーブル記憶手段として機能する。以下、疾患毎に注意を要する処置を定義したテーブルを、疾患禁忌処置定義テーブルと称する。
図3は、疾患禁忌処置定義テーブルの例を示している。図3に示す疾患禁忌処置定義テーブルの例では、疾患の名称を表わす「疾患名」、当該疾患に関連する「部位」、および、当該疾患に注意を要する処置を表わす「禁忌処置」の項目が関連付けられている。例えば、「肺腫瘍」の疾患名には、「胸部」の部位と「癒着術」の禁忌処置とが関連付けて記憶されている。
なお、図3の例に限らず、疾患名、部位、および禁忌処置にそれぞれIDを割り当て、疾患名を特定する疾患名ID、部位を特定する部位ID、および禁忌処置を特定する要注意処置IDの項目により疾患禁忌処置定義テーブルを構成するようにしてもよい。
疾患−参照画像定義テーブル記憶部23は、ある疾患に関連する参照画像タイプを定義したテーブルのデータファイルを記憶する第3の定義テーブル記憶手段として機能する。以下、ある疾患に関連する参照画像タイプを定義したテーブルを、疾患−参照画像定義テーブルと称する。
図4は、疾患−参照画像定義テーブルの例を示している。図4に示す疾患−参照画像定義テーブルの例では、疾患の名称を表わす「疾患名」、当該疾患に関連する「部位」、当該疾患で参照するべき「参照画像タイプ」、および当該疾患に施すべき処置を表わす「処置タイプ」の項目が関連付けられている。例えば、「高脂血症」の疾患名には、「全身」の部位と、「血管走行」の参照画像タイプと、「切開・穿刺」の処置タイプとが関連付けて記憶されている。
なお、図4の例に限らず、疾患名、部位、参照画像タイプ、および処置タイプにそれぞれIDを割り当て、疾患名を特定する疾患名ID、部位を特定する部位ID、参照画像タイプを特定する参照画像タイプID、処置タイプを特定する処置タイプIDの項目で疾患−参照画像定義テーブルを構成するようにしてもよい。
CAD結果データ記憶部24は、CAD10から送信されたCAD結果データを記憶する。CAD結果データは、検査項目の識別子(検査項目の名称やID)に関連付けられて記憶される。また、CAD結果データ記憶部24は、CAD結果データに関連付けて医用画像データを記憶する。
生化学検査データ記憶部25は、生化学検査データを記憶する。生化学検査データは、患者を一意に特定する識別子に関連付けられて記憶される。生化学検査とは、血液の代表的な成分である赤血球、白血球、血小板の形や量を調べることにより、病気の診断や治療の判定、病状の経過観察を行う重要な検査である。つまり、生化学検査データ記憶部25は、生化学検査で得られる測定値、正常範囲、および、該当する部位のデータを記憶している。
図5は、生化学検査データの例を示している。図5に示す生化学検査データの例では、GOP、GDP、LDL、ALP、尿酸、および総コレステロールなどの「項目」、当該項目の「測定値」、当該項目の「正常範囲」、および、当該項目に該当する「部位」の項目が関連付けられている。例えば、「GOP」の項目には、「23KU/m」の測定値と、「8〜33KU/m」の正常範囲と、「肝臓」の部位とが関連付けて記憶されている。
問診データ記憶部26は、既往症および処置などの問診データを記憶する。問診データは、患者を一意に特定する識別子に関連付けられて記憶される。問診とは、医師などが患者を診察する際、病状などを尋ねることである。つまり、問診データ記憶部26は、問診で得られる既往症、経過、および服用薬などに関するデータを記憶している。
図6は、問診データの例を示している。図6に示す問診データの例では、「部位」、当該部位を対象とした「既往症/処置/所見」、および当該部位を対象とした「時期」の項目が関連付けられている。例えば、「右肺」の部位には、「気胸・強腔ドレナージ術」の既往症/処置/所見と、「1997/04」の時期とが関連付けて記憶されている。
CAD結果データ記憶部24、生化学検査データ記憶部25、および問診データ記憶部26は、医用画像を含む患者に関する情報を記憶するデータ記憶手段として機能する。
医用画像診断装置30は、医用画像診断を支援するために、CAD結果を本実施形態に係る表示アプリケーションで表示するコンピュータ端末であり、プログラムとこのプログラム処理に必要となるデータを記憶する主記憶装置、プログラムやデータに基づいて演算処理を行なうCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成されている。医用画像診断装置30は、入力部31、システム制御部32、定義テーブル読み込み部33、検査結果データ読み込み部34、チェックリスト作成部35、および表示部36を備える。
入力部31は、例えば、キーボード、マウス、各種ボタン、タッチキーパネル等の入力デバイスからなり、ユーザによるシステム制御部32への指示を入力する。
システム制御部32は、入力部31からのチェックリストの作成指示を受けて、チェックリストを作成・表示するアプリケーションを起動し、医用画像診断装置30の各部を制御するとともに、チェックリスト作成部35に対し、チェックリスト作成を実行させる。
ここで、チェックリストとは、患者の状態に合わせてカスタマイズされた、疾患毎の治療方針や手順をリスト化したもの、および医用画像データなどを含む。
システム制御部32は、チェックリスト作成部35によって作成されたチェックリストのデータに基づいて、チェックリストを表示部36に表示させる表示制御手段としても機能する。またシステム制御部32は、表示部36に表示させたチェックリストにおいて、定義テーブル読み込み部33からの疾患−参照画像定義テーブルのデータファイルに基づいて、特定の領域を強調表示させたり、入力部31からの指示に応じて種々の項目を強調させたり、チェックリスト上のチェックボックスにチェックを入れたり外したり、所見をチェックリスト上に入力したり、CAD結果データに含まれる異常領域の座標位置を医用画像上で強調したりする。
定義テーブル読み込み部33は、システム制御部32からの要求に応じて、治療方針・手順テーブル記憶部21から疾患毎の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを読み込み、疾患禁忌処置定義テーブル記憶部22から疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルを読み込み、疾患−参照画像定義テーブル記憶部23から疾患−参照画像定義テーブルのデータファイルを読み込む。読み込まれたデータファイルは、システム制御部32によってチェックリスト作成部35に引き渡される。
検査結果データ読み込み部34は、システム制御部32からの要求に応じて、CAD結果データ記憶部24からCAD結果データと医用画像のデータを読み込み、生化学検査データ記憶部25から生化学検査データを読み込み、問診データ記憶部26から問診データを読み込む。読み込まれたCAD結果データ、生化学検査データ、および問診データは、システム制御部32によってチェックリスト作成部35に引き渡される。
チェックリスト作成部35は、システム制御部32から引き渡される、定義テーブル読み込み部33からの疾患毎の治療方針・手順定義テーブルのデータファイル、疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイル、および疾患−参照画像定義テーブルのデータファイルや、検査結果データ読み込み部34からのCAD結果データ、生化学検査データ、および問診データに基づいて、患者の状態に合わせた治療手順を提示するためのチェックリストのデータを作成する。作成されたチェックリストのデータは、システム制御部32によって表示部36に供給される。
表示部36は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスからなり、チェックリスト作成部35により作成されたチェックリストのデータに基づく画像を表示する。
図7は、第1の実施の形態におけるチェックリスト作成部35の詳細な構成例を示す図である。
治療方針抽出部35aは、特定の疾患の識別子(例えば、名称やID)を検索キーとして、定義テーブル読み込み部33からの疾患毎の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを検索し、疾患毎の治療方針・手順定義テーブルの中から検索キーに一致する治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを抽出する第1の抽出手段として機能する。特定の疾患の識別子は、ユーザにより入力部31を介して入力される。
治療方針手順リスト生成部35bは、治療方針抽出部35aによって抽出された治療方針・手順定義テーブルのデータファイルに基づいて、治療方針手順リストを生成する。
疾患禁忌抽出部35cは、特定の疾患の識別子(例えば、名称やID)を検索キーとして、定義テーブル読み込み部33からの疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルを検索し、疾患禁忌処置定義テーブルの中から検索キーに一致する疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルを抽出する第2の抽出手段として機能する。特定の疾患の識別子は、ユーザにより入力部31を介して入力される。
疾患禁忌リスト生成部35dは、疾患禁忌抽出部35cによって抽出された疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルに基づいて、疾患禁忌リストを生成する。
チェックリスト構成部35eは、治療方針手順リスト生成部35bによって生成された治療方針手順リストのデータ、疾患禁忌リスト生成部35dによって生成された疾患禁忌リストのデータ、および、医用画像のデータ等を組み合わせて、患者の状態に合わせた治療手順を提示するためのチェックリストのデータを構成する。チェックリスト構成部35eは、構成(作成)したチェックリストのデータをシステム制御部32に供給する。
治療方針手順リスト生成部35b、疾患禁忌リスト生成部35d、および、チェックリスト構成部35eは、患者の状態に合わせた治療手順を提示するためのチェックリストを作成するチェックリスト作成手段として機能する。
次に、図8のフローチャートを参照して、第1の実施の形態におけるチェックリストの作成および表示処理について説明する。
ステップS1において、医師などのユーザが入力部31を介してチェックリストの作成をシステム制御部32に要求する。例えば、疾患名として「気胸」が入力され、部位として「胸部」が入力され、それらの情報に基づくチェックリストの作成が要求されたとする。
ステップS2において、システム制御部32は、ステップS1の処理による要求に基づいて、チェックリスト作成・表示アプリケーションを実行し、入力された疾患名(気胸)と部位(胸部)をキーとして、CAD10に対し、CADの実施を要求する。
ステップS3において、CAD10は、ユーザにより指示された部位(胸部)についてのCAD結果データを生成する。生成されたCAD結果データは、患者IDや検査IDなどのCAD結果データを特定するための識別子に関連付けられてCAD結果データ記憶部24に記憶される。CAD結果データは、元となった医用画像データとその医用画像の画像ID(あるいはスライス番号)とに関連付けられている。このCAD結果データの生成により、異常領域が抽出される。
ステップS4において、システム制御部32は、検査結果データ読み込み部34に対し、CAD結果データ、生化学検査データ、および問診データを含む検査結果データの読み込みを要求する。
ステップS5において、検査結果データ読み込み部34は、システム制御部32からの要求に応じて、CAD結果データ記憶部24からCAD結果データと医用画像のデータを読み込み、生化学検査データ記憶部25から生化学検査データを読み込み、問診データ記憶部26から問診データを読み込む。
ステップS6において、システム制御部32は、定義テーブル読み込み部33に対し、疾患毎の治療方針・手順定義テーブル、疾患禁忌処置定義テーブル、および、疾患−参照画像定義テーブルを含む定義テーブルの読み込みを要求する。
ステップS7において、定義テーブル読み込み部31は、システム制御部32からの要求に応じて、治療方針・手順テーブル記憶部21から疾患毎の治療方針・手順テーブルのデータファイルを読み込み、疾患禁忌処置定義テーブル記憶部22から疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルを読み込み、疾患−参照画像定義テーブル記憶部23から疾患−参照画像定義テーブルのデータファイルを読み込む。
ステップS8において、システム制御部32は、ステップS5の処理で検査結果データ読み込み部34により読み込まれた検査結果データのうち、ユーザにより指示された部位(胸部)および「全身」をキーにして、そのキーに該当する異常候補を抽出する。
例えば、CAD結果データから、腫瘍候補が抽出され、図5に示した生化学検査データから、正常範囲以上の測定値を持つ「総コレステロール(高脂血症)」が異常候補として抽出される。またこの他に、正常範囲以上の測定値を持つ血圧(高血圧)なども異常候補として抽出される。
ステップS9において、システム制御部32は、ステップS8の処理で抽出した異常候補を含む疾患名(気胸)と部位(胸部)をキーとして、チェックリスト作成部35に対し、チェックリストの作成を要求する。
ステップS10において、チェックリスト作成部35は、システム制御部32からの要求に応じて、疾患名(気胸)と部位(胸部)に一致する治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを抽出し、チェックリストのデータを作成する。またこのとき、チェックリスト作成部35は、疾患禁忌処置定義テーブルから、異常(候補)をキーとして、そのキーに該当する禁忌処置手順のデータファイルを抽出し、チェックリストのデータに追加する。
ここで、図9のフローチャートを参照して、第1の実施の形態におけるチェックリスト作成処理の詳細について説明する。
ステップS101において、治療方針抽出部35aは、特定の疾患(異常候補を含む)と部位を検索キーとして、疾患毎の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを検索し、疾患毎の治療方針・手順定義テーブルの中から検索キーに一致する治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを抽出する。
例えば、検索キーとして入力された「気胸」に対応する疾患IDが「Lang-001」であった場合、図2に示す疾患毎の治療方針・手順定義テーブルの中から、検索キーである「Lang-001」に一致する、「Drain01」の術式IDと、「001」乃至「007」のStep Noとを有する治療方針・手順定義テーブルのデータファイルが読み出される。
ステップS102において、治療方針手順リスト生成部35bは、ステップS101の処理で抽出された治療方針・手順定義テーブルのデータファイルに基づいて、治療方針手順リストを生成する。
ステップS103において、疾患禁忌抽出部35cは、特定の疾患を検索キーとして、疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルを検索し、疾患禁忌処置定義テーブルの中から検索キーに一致する疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルを抽出する。
例えば、異常候補である「高脂血症」を検索キーとした場合、図3に示す疾患禁忌処置定義テーブルの中から、検索キーである「高脂血症」に一致する「全身」の部位と「切開、穿刺」の禁忌処置とを有する疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルが読み出される。
ステップS104において、疾患禁忌リスト生成部35dは、ステップS103の処理で抽出された疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルに基づいて、疾患禁忌リストを生成する。
ステップS105において、チェックリスト構成部35eは、ステップS102の処理で生成された治療方針手順リストのデータ、ステップS104の処理で生成された疾患禁忌リストのデータ、および、医用画像のデータ等を組み合わせてチェックリストのデータを構成する。これにより、患者特有の状態を反映したチェックリストが作成されることになる。このようにしてチェックリストのデータが作成されると、図8のステップS11の処理に戻る。
ステップS11において、システム制御部32は、ステップS10の処理で作成(構成)されたチェックリストのデータに基づいて、治療手順や医用画像などを含むチェックリストを表示部36に表示させる。
チェックリスト表示の際、システム制御部32は、ステップS7の処理で読み込んだ疾患−参照画像定義テーブルから当該疾患に関連する画像タイプを抽出し、その画像タイプに基づいた画像を抽出して強調し、医用画像上に重畳表示させる。例えば、疾患が「高脂血症」の場合、胸部の血管走行を抽出して強調し、医用画像上に重畳表示させる。また同時に、ステップS8の処理で抽出した異常候補を強調し、医用画像上に重畳表示させる。例えば、癒着箇所や血管走行などを強調し、医用画像上に重畳表示させる。
図10は、チェックリストの表示例を示す図である。
図10に示すように、チェックリストは、治具リストL1、処方薬リストL2、注意項目リストL3、治療方針・手順リストL4、および医用画像Pを有する。
治具リストL1には、当該疾患の治療で用いられる医療治具名がリスト表示されている。また医療治具名の横には、当該医療治具に異常や不具合がないかの確認作業の実施有無が表示されている。
処方薬リストL2には、読み込んだ問診データに基づいて、処方可能な薬および処方不可能な薬がリスト表示されている。
注意項目リストL3には、読み込んだCAD結果データや問診データに基づいて、注意が必要な項目がリスト表示されている。
治療方針・手順リストL4には、読み込んだ治療方針・手順定義テーブルに基づいて、治療手順がリスト表示されている。また各治療内容(Step)の横には、当該治療が行われた場合にチェックされるチェックボックスB11乃至B13、および、チェックボックスB11乃至B13にチェックを入れたことを確認し、次の治療手順に進む場合に押下されるボタンB21乃至B23が設けられている。また、リスト表示された治療内容の上部には、医用画像Pを確認した上でユーザによる総合的な判断(所見)が入力される入力欄R1が設けられている。
なお、図10の例では、治療方針・手順リストL4に表示されていないが、疾患によっては、疾患禁忌定義テーブルに基づいて、禁忌処置の確認を促す手順もリストに追加表示される。
医用画像Pは、CAD結果データに関連付けられた医用画像である。この医用画像Pを表示する際、CAD結果データに含まれる異常領域の医用画像P上における座標位置を特定し、特定された座標位置を強調して表示させる。強調の方法としては、例えば、異常領域の座標位置の色や輝度を変化させたり、点滅させたり、異常領域の輪郭のみを強調したり、あるいは、矢印等で座標位置を指し示したりする。図10の例では、異常領域が黒丸で示されている。これによって、ユーザに異常領域を容易に把握させることができる。
また、医用画像P上に、治療をスムーズに行わせるための補助画像などを生成し、それを強調して表示させる。図9の例では、医用画像P上において、「Step2」の治療内容に基づく、ポート確保位置がマークMで示され、「Step3」の治療内容に基づく、ドレーン挿入方向が矢印Yで示されている。
以上のように、チェックリストには、疾患に関する治療手順だけでなく、禁忌処置がリスト表示され、また、治療内容に基づく補助画像も表示される。このチェックリストが表示されることによって、ユーザは、疾患に関する治療手順を容易に確認し、疾患の治療を迅速に行うことができる。またチェックボックスを設けることによって、治療のし忘れを防止することができる。このように、疾患に関する治療手順をチェックリスト形式で表示することで、熟練した医師でなくても、より迅速に治療方針を決定し、的確に治療を行うことができる。
また、疾患−参照画像定義テーブルに基づいて、異常候補を含む患部を強調表示させることによって、ユーザは、その患部に注意を払いながら治療を行うことができる。例えば、「高脂血症」である場合、動脈硬化が進行して血管がもろくなっている可能性が高い。このため、血管を傷つける恐れのある切開や穿刺などの処置を行う場合、疾患部位での血管走行画像を強調表示することによって、ユーザが、主要血管から離れた位置を切開し、リスクを軽減させて治療を行うことが可能となる。
ステップ図8の説明に戻る。ステップS12において、チェックリストを確認するユーザは、チェックリスト上で入力部31を介して種々の操作を行う。例えば、ユーザは、治療内容の確認や追加疾患などの入力を行う。
ステップS13において、チェックリスト作成部35は、追加疾患があるか否かを判定し、追加疾患があると判定した場合(ステップS12の処理で、ユーザによってチェックリスト上に追加疾患が入力された場合)、ステップS3に戻り、上述した処理を繰り返し実行する。すなわち、追加疾患に関するCAD結果データが生成され、ステップS4乃至S13の処理が繰り返される。
ステップS13において、チェックリスト作成部35は、追加疾患がないと判定した場合、ステップS14に進み、最終手順であるか否かを判定し、最終手順ではないと判定した場合、ステップS15に進む。例えば、図10に示したチェックリストの治療方針・手順リストL4において、「Step3」の治療内容の横のチェックボックスB13にチェックが入れられていない場合には、最終手順ではないと判定される。
ステップS15において、システム制御部32は、ユーザからの操作に応じてチェックリストを更新する。例えば、図10に示したチェックリストの治療方針・手順リストL4において、チェックボックスB12にチェックが入れられた場合には、「Step2」の治療内容に基づいて表示されていたポート確保位置のためのマークMを非表示にし、「Step3」の治療内容に基づく、ドレーン挿入方向を示す矢印Yを強調表示させるように更新する。
そして、再び、ステップS12において、ユーザは、更新されたチェックリスト上で入力部31を介して種々の操作を行い、ステップS13乃至S15の処理が繰り返される。
ステップS14において、チェックリスト作成部35は、最終手順であると判定した場合(図10に示したチェックリストの治療方針・手順リストL4において、チェックボックスB13にチェックが入れられ、かつ、ボタン23が押下された場合)、チェックリスト作成・表示処理が終了する。
チェックリスト作成・表示処理の終了後、チェックリストのデータは図示せぬ記憶部に記憶される。そして、必要に応じてチェックリストが記憶部から読み出され、観察や診断に利用される。
以上のように、疾患毎の治療方針・手順定義テーブル、疾患禁忌処置定義テーブル、CAD結果データ、生化学検査データ、および問診データに基づいて、標準的な治療方針や手順を、患者の状態に合わせてカスタマイズし、そのカスタマイズした治療手順をリスト形式で表示することができる。従って、熟練した医師でなくても、より迅速に治療方針を決定し、的確に治療を行うことができ、治療時間を短縮することが可能となる。
(第2の実施の形態)
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について、図11乃至図15を参照して説明する。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態において説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、重複する説明は適宜省略する。
図11に示す本発明の第2の実施の形態に係る医用画像診断支援システム1では、サーバ20に、新たに施設固有手順定義テーブル記憶部27が設けられている点に特徴を有する。
施設固有手順定義テーブル記憶部27は、施設固有の治療方針や治療手順を定義したテーブルのデータファイルを記憶する第4の定義テーブル記憶手段として機能する。
図12は、施設固有の治療方針・手順定義テーブルの例を示している。図12に示す施設固有の治療方針・手順定義テーブルの例では、疾患を一意に特定する「疾患ID」、治療手順(処置手順)を一意に特定する「術式ID」、治療手順を表わす「Step No」、当該疾患に施す治療(処置)の方針を表わす「内容」、および治療方針の上位概念を表わす「カテゴリ」の項目が関連付けられている。例えば、「ALL」の疾患IDには、「ALL」の術式IDと、「ALL」のStep Noと、そのStep Noに対応する「内容」と、「カテゴリ」とが関連付けて記憶されている。
このような施設固有の治療方針・手順定義テーブルは、当該施設の管理者などによって作成され、施設固有手順定義テーブル記憶部27に記憶される。
定義テーブル読み込み部33は、システム制御部32からの要求に応じて、治療方針・手順テーブル記憶部21から疾患毎の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを読み込み、疾患禁忌処置定義テーブル記憶部22から疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルを読み込み、疾患−参照画像定義テーブル記憶部23から疾患−参照画像定義テーブルのデータファイルを読み込み、さらに、施設固有手順定義テーブル記憶部27から施設固有の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを読み込む。読み込まれたデータファイルは、システム制御部32によってチェックリスト作成部35に引き渡される。
チェックリスト作成部35は、システム制御部32から引き渡される、定義テーブル読み込み部33からの疾患毎の治療方針・手順定義テーブルのデータファイル、疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイル、疾患−参照画像定義テーブルのデータファイル、および施設固有の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルや、検査結果データ読み込み部34からのCAD結果データ、生化学検査データ、および問診データに基づいて、チェックリストのデータを作成する。
図13は、第2の実施の形態におけるチェックリスト作成部35の詳細な構成例を示す図である。基本的には、図7に示した第1の実施の形態と同様であるが、図13の例では、新たに施設特別手順抽出部35fが設けられている。
施設特別手順抽出部35fは、特定の疾患の識別子(例えば、名称やID)を検索キーとして、定義テーブル読み込み部33からの施設固有の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを検索し、施設固有の治療方針・手順定義テーブルの中から検索キーに一致する施設固有の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを抽出する。特定の疾患の識別子は、ユーザにより入力部31を介して入力される。
治療方針手順リスト生成部35bは、治療方針抽出部35aによって抽出された治療方針・手順定義テーブルのデータファイルにおいて、施設特別手順抽出部35fによって抽出された施設固有の治療方針・手順定義テーブルと一致する手順を差し替える。この差し替え処理の詳細については、後述する。治療方針手順リスト生成部35bは、施設固有の手順を差し替えた治療方針・手順定義テーブルのデータファイルに基づいて、治療方針手順リストを生成する。
次に、第1の実施の形態で用いた図8のフローチャートを参照して、第2の実施の形態における医用画像診断装置30が実行するチェックリストの作成および表示処理について説明する。なお、治療方針・手順定義テーブル記憶部21には、図14に示すような疾患毎の治療方針・手順定義テーブルが記憶されているものとして説明する。
ステップS1において、医師などのユーザが入力部31を介して、例えば、疾患名として「疼痛」、部位として「腰部」を入力してチェックリストの作成をシステム制御部32に要求する。
ステップS2において、システム制御部32は、ステップS1の処理による要求に基づいて、チェックリスト作成・表示アプリケーションを実行し、入力された疾患名(疼痛)と部位(腰部)をキーとして、CAD10に対し、CADの実施を要求する。
ステップS3において、CAD10は、ユーザにより指示された部位(腰部)についてのCAD結果データを生成する。
ステップS4において、システム制御部32は、検査結果データ読み込み部34に対して検査結果データの読み込みを要求する。その要求に応じて、ステップS5において、検査結果データ読み込み部34は、CAD結果データ記憶部24からCAD結果データと医用画像のデータを読み込み、生化学検査データ記憶部25から生化学検査データを読み込み、問診データ記憶部26から問診データを読み込む。
ステップS6において、システム制御部32は、定義テーブル読み込み部33に対し、定義テーブルの読み込みを要求する。その要求に応じて、ステップS7において、定義テーブル読み込み部33は、治療方針・手順テーブル記憶部21から疾患毎の治療方針・手順テーブルのデータファイルを読み込み、疾患禁忌処置定義テーブル記憶部22から疾患禁忌処置定義テーブルのデータファイルを読み込み、疾患−参照画像定義テーブル記憶部23から疾患−参照画像定義テーブルのデータファイルを読み込み、施設固有手順定義テーブル記憶部27から施設固有の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを読み込む。
ステップS8において、システム制御部32は、ステップS5の処理で検査結果データ読み込み部34により読み込まれた検査結果データのうち、ユーザにより指示された部位(腰部)および「全身」をキーにして、そのキーに該当する異常候補を抽出する。
ステップS9において、システム制御部32は、ステップS8の処理で抽出した異常候補を含む疾患名(疼痛)と部位(腰部)をキーとして、チェックリスト作成部35に対し、チェックリストの作成を要求する。その要求に応じて、ステップS10において、チェックリスト作成部35は、疾患名(疼痛)と部位(腰部)に一致する治療方針・手順定義テーブルのデータファイルと禁忌処置手順のデータファイルを抽出し、チェックリストのデータを作成する。
ここで、図15のフローチャートを参照して、第2の実施の形態におけるチェックリスト作成処理の詳細について説明する。なお、第1の実施の形態において図9のフローチャートを参照して説明した処理と同様の処理には、同じ符号を付してあり、重複する説明は適宜省略する。
例えば、検索キーとして入力された「疼痛」に対応する疾患IDが「lumb-001」であった場合、治療方針抽出部35aは、ステップS101において、図14に示す疾患毎の治療方針・手順定義テーブルの中から、検索キーである「lumb-001」に一致する、「Block01」の術式IDと、「001」乃至「007」のStep Noとを有する治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを抽出する。
ステップS101−1において、施設特別手順抽出部35fは、図12に示す施設固有の治療方針・手順定義テーブルの中から、検索キーである「ALL」および「lumb-001」に一致する、施設固有の治療方針・手順定義テーブルのデータファイルを抽出する。
ステップS101−2において、治療方針手順リスト生成部35bは、ステップS101の処理で抽出された疾患毎の治療方針・手順定義テーブルにおいて、ステップS101−1の処理で抽出された施設固有の治療方針・手順定義テーブルに定義されている、施設固有の疾患ID、術式ID、およびStep Noが全て一致する手順を差し替える。
具体的には、まず、図12に示す施設固有手順定義テーブルにおいて、「ALL」の疾患IDと「ALL」のStep Noを有する手順と、この手順と一致するカテゴリ(消毒)を有する疾患毎の治療方針・手順定義テーブルの手順が差し替えられる。すなわち、図14に示す疾患毎の治療方針・手順定義テーブルにおいて、「lumb-001」の疾患ID、「Block01」の術式ID、および「002」のStep Noを有する「XXX薬剤による患部消毒」の内容が、「イソジン薬剤による患部消毒」の手順に差し替えられる。
次に、図12に示す施設固有手順定義テーブルにおける手順と、施設固有の疾患ID、術式ID、およびStep Noが全て一致する、疾患毎の治療方針・手順定義テーブルの手順が差し替えられる。すなわち、図14に示す疾患毎の治療方針・手順定義テーブルにおいて、「lumb-001」の疾患ID、「Block01」の術式ID、および「004」のStep Noを有する「L4-L5棘突起列1〜2cm側方よりブロック針正中刺入」の内容が、「超音波モニタ下にてL4-L5棘突起列1〜2cm側方よりブロック針正中刺入」の手順に差し替えられる。また、「lumb-001」の疾患ID、「Block01」の術式ID、および「005」のStep Noを有する「黄色靭帯に到達する抵抗を感じるまで刺入」の内容が、「腰部硬膜間にブロック針先端が到達したことを超音波画像上で確認し、ブロック針の正中刺入を停止」の手順に差し替えられる。さらに、「lumb-001」の疾患ID、「Block01」の術式ID、および「006」のStep Noを有する「内筒の抵抗が消失するまでゆっくりと刺入」の内容が削除される。
ステップS101−3において、治療方針手順リスト生成部35bは、ステップS101−2の処理で、施設固有の手順を差し替えた治療方針・手順定義テーブルのデータファイルに基づいて、治療方針手順リストを生成する。
なお、これ以降の処理である、ステップS103乃至ステップS105の処理、および、ステップS11乃至ステップS15の処理は、第1の実施の形態で上述しているため、その説明は省略する。
以上のように、疾患毎の治療方針・手順定義テーブルにおいて、重点施策を行う必要がある手順を、施設固有の治療方針・手順定義テーブルの手順に差し替えることによって、施設の重点施策に合わせてカスタマイズし、そのカスタマイズした治療手順をリスト形式で表示することができる。従って、医師は、施設の治療方針に則って迅速に治療を行うことができ、重点施策を周知徹底することが可能となる。
以上においては、施設固有の治療方針・手順定義テーブルの手順を差し替えるようにしたが、これに限らず、例えば、国や特定の地域から、流行性疾患(例えば、インフルエンザ)の注意が発令される場合などに備え、地域固有の施策となる手順を記憶させておき、流行性疾患の注意が発令された場合にその地域固有の施策となる手順に差し替えることで、流行性疾患に対して重点施策を行うことが可能となる。
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせたりすることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。