JP2011127167A - エッチング後処理液およびエッチング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、シュウ酸を添加した塩化鉄(III)水溶液を用いたエッチングにおいて、作業環境を悪化させたり、特別な装置を必要としたりすることなく、パターン側面の銅の表面に形成された水不溶性銅塩の結晶を迅速に除去するエッチング後処理液およびエッチング方法を提供しようとするものである。
【解決手段】シュウ酸を含むエッチング液でエッチングした銅の表面を、1.0質量%以上のシュウ酸を含み、かつpH3以上の後処理液を用いて、洗浄を行う。
【選択図】なし
【解決手段】シュウ酸を含むエッチング液でエッチングした銅の表面を、1.0質量%以上のシュウ酸を含み、かつpH3以上の後処理液を用いて、洗浄を行う。
【選択図】なし
Description
本発明は、エッチング後処理液およびかかる後処理液を用いたエッチング方法に関する。
近年、電子機器の小型化高機能化が急速に進展し、これら機器に内蔵されるプリント配線板に関しても、高い回路密度を有するものが強く求められている。プリント配線板の製造方法としては、あらかじめ銅を積層した基板上にスクリーン印刷、光リソグラフィ等の方法でエッチングレジストによるレジストパターンを形成し、塩化鉄(III)水溶液等のエッチング液を用いて不要部分の銅箔を除去する、いわゆるサブトラクティブ法が広く用いられている。しかし、この方法によりプリント配線板を製造する場合、レジストパターンの裏面にエッチング液が回りこみ、ライン幅がレジストパターンのそれよりも細くなる、いわゆるサイドエッチが生じることが知られている。サイドエッチが生じると、配線パターンのトップ幅が狭くなり、部品の実装に必要な面積が確保できなくなるという問題があることから、回路密度の高いプリント配線板をサブトラクティブ法で製造することは困難であった。
サイドエッチを生じさせることなく銅のエッチングを行うための技術として、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液が提案されている。例えば、チオ尿素を添加した塩化鉄(III)水溶液(例えば、特許文献1参照)、ホルムアミジンジサルファイドを添加した塩化鉄(III)水溶液(例えば、特許文献2参照)、エチレンチオ尿素を添加した塩化鉄(III)水溶液(例えば、特許文献3参照)、チオ尿素および非イオン性または陰イオン性の界面活性剤を添加した塩化鉄(III)水溶液(例えば、特許文献4参照)、2−アミノベンゾチアゾール化合物、ポリエチレングリコールおよびポリアミン化合物を添加した塩化銅(II)水溶液(例えば、特許文献5参照)、2−アミノベンゾチアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、エタノールアミン化合物、グリコールエーテル化合物およびN−メチル−2−ピロリドンまたはジメチルホルムアミドを添加した塩化銅(II)水溶液(例えば、特許文献6参照)等のエッチング液が開示されている。
しかし、これらの添加剤には強い臭気を有したり、生分解性が低くて排水処理が困難だったりという問題がある。かかる問題を有しないエッチング液として、シュウ酸を添加した塩化鉄(III)水溶液が提案されている(例えば、特許文献7参照)。かかるエッチング液を用いて銅のエッチングを行った場合に、パターン側面の銅の表面に形成される水不溶性銅塩の緻密な結晶は、製造されたプリント配線板の配線間絶縁性やはんだ付け性を確保するために、完全に除去することが必要である。かかる結晶を除去するために好ましく用いられる薬剤としては、加温した塩酸が提案されている(例えば、特許文献8参照)。
シュウ酸を添加した塩化鉄(III)水溶液によるエッチングにおいては、エッチングされる銅の結晶構造等によって、極めて緻密な水不溶性銅塩の結晶が形成される場合がある。極めて緻密な水不溶性銅塩の結晶が形成された場合、これを除去するための薬剤として塩酸を用いると、たとえ加温したとしても結晶の除去には非常な長時間を要し、生産性を高くすることができない。さらに、加温した塩酸を用いた洗浄には、酸蒸気の発生による作業環境の悪化や設備腐食という問題、また、ハロゲン化物イオンを含む強酸性の後処理液に耐えうるようにするために、装置に使用可能な材料が限定される等の課題があった。
本発明は、上記の課題を解決、すなわち、シュウ酸を添加した塩化鉄(III)水溶液を用いたエッチングにおいて、作業環境を悪化させたり、特別な装置を必要としたりすることなく、パターン側面の銅の表面に形成された水不溶性銅塩の結晶を迅速に除去するエッチング後処理液およびエッチング方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記の課題を、次の手段により解決する。すなわち、シュウ酸を含むエッチング液によりエッチングされた銅を、1.0質量%以上のシュウ酸を含み、pH3以上の後処理液で洗浄する。
かかる後処理液のpHを10以上とすることで、水不溶性銅塩の除去とエッチングレジストの除去を同時に行うことができ、よって工程を簡素化することができる。
また、かかる後処理液のpHを8以下とすることで、後処理液へのエッチングレジストの溶解が抑制され、よって後処理液の使用量を減少させることができる。
本発明により、シュウ酸を含むエッチング液によりエッチングされた銅の表面を、作業環境を悪化させたり、特別な装置を必要としたりすることなく、迅速かつ十分に洗浄できるようになった。
本発明の後処理液は、1.0質量%以上のシュウ酸を含む。シュウ酸を含むエッチング液でエッチングされた銅表面に付着した、シュウ酸銅を主体とする水不溶性銅塩の結晶は、本発明の後処理液に含まれるシュウ酸イオンと結合し、水溶性のジオクサラト錯体となって速やかに除去される。本発明の後処理液に含まれるシュウ酸の量が多すぎると、特に気温が低い時期に結晶が析出し、装置の配管を閉塞する等の問題が生じることがある。かかる観点から、本発明の後処理液に含まれるシュウ酸の量は、10.0質量%以下とすることが好ましく、5.0質量%以下とすることがより好ましい。なお、本発明において、「シュウ酸」の語は第1段および第2段が解離したシュウ酸イオンも含み、シュウ酸イオンの質量濃度は同モルのシュウ酸の質量濃度に換算して示すものとする。また、市販のシュウ酸は結晶水を含むものが多いが、本発明における量の表示は全て無水物を基準にするものとする。なお、シュウ酸二水物の1.4gはシュウ酸の1.0gに相当する。
ジオクサラト錯体はpHが高いほうが速やかに溶解するから、本発明の後処理液のpHは高いほうが、より迅速に後処理を行うことができる。かかる観点から、本発明の後処理液のpHは3以上であることが必要であり、5以上であることが好ましく、6以上であることがさらに好ましい。
本発明の後処理液のpHを10以上にすることで、水不溶性銅塩の除去とエッチングレジストの除去を同時に行うことができるので工程を簡素化することができる。ただし、この場合、エッチングレジストの溶解により、後処理液の劣化が促進されるので、より多量の後処理液を必要とする。
本発明の後処理液のpHを8以下にすることで、本発明の処理液によるエッチングレジストの溶解が実質的に起こらなくなる。これにより、後処理液の劣化を抑制でき、後処理液の使用量を減少させることができる。ただしこの場合、別途エッチングレジストを剥離するための工程が必要になる。
本発明の後処理液は、この中に銅製品を浸漬して用いることもできるが、短時間に処理を完結させるためには、スプレーにより噴射することが好ましい。本発明の後処理液を加温することで、水不溶性銅塩の結晶の溶解が迅速になり、よってより迅速に後処理を行うことができるから好ましい。
本発明の後処理液で除去できない、銅酸化物等の皮膜を除去するために、本発明の後処理液で処理した後の銅表面を、さらに塩酸、硫酸、硫酸−過酸化水素混合液等の液で処理することも可能である。なお、本発明の後処理液を用いることで、これらの後処理液のみを用いる場合と比較して、合計の後処理時間を短くすることができる。
以下、本発明の実施例を示す。
[実施例1]
<エッチング液の調製>
市販の40°ボーメの塩化鉄(III)水溶液(濃度37質量%)8.0kg(無水物として3.0kg)、シュウ酸二水和物0.34kg(無水物として0.24kg)に水を加え40kgとし、塩化鉄(III)7.4質量%、シュウ酸0.60質量%を含むエッチング液を調製した。
市販の40°ボーメの塩化鉄(III)水溶液(濃度37質量%)8.0kg(無水物として3.0kg)、シュウ酸二水和物0.34kg(無水物として0.24kg)に水を加え40kgとし、塩化鉄(III)7.4質量%、シュウ酸0.60質量%を含むエッチング液を調製した。
<被エッチング材の作製>
厚み25μmのポリイミド絶縁基板と厚み18μmの電解銅箔(三井金属鉱業製、商品名:FQ−VLP)を積層した積層材料に、厚み10μmのドライフィルムレジストを貼り合わせ、ライン/スペースの幅が30μm/30μmの評価用導体パターンを露光後、現像・水洗を行って、エッチングレジストを形成し、テスト用被エッチング材とした。
厚み25μmのポリイミド絶縁基板と厚み18μmの電解銅箔(三井金属鉱業製、商品名:FQ−VLP)を積層した積層材料に、厚み10μmのドライフィルムレジストを貼り合わせ、ライン/スペースの幅が30μm/30μmの評価用導体パターンを露光後、現像・水洗を行って、エッチングレジストを形成し、テスト用被エッチング材とした。
<エッチング>
上記のエッチング液、および、液供給圧200kPaのときの噴射量1.0L/min、噴角65°の充円錐スプレーノズル(いけうち製、商品名:ISJJX010PP)を備えたテストエッチング装置(山縣機械製、商品名:YCE−85V)を用い、上記テスト用被エッチング材をエッチングして、後処理試験用の被試験材(以下、「被試験材」と記す)を作製した。このとき、エッチング液の液温は40℃、スプレーノズルへの液供給圧は150kPa、エッチング時間は180秒とした。
上記のエッチング液、および、液供給圧200kPaのときの噴射量1.0L/min、噴角65°の充円錐スプレーノズル(いけうち製、商品名:ISJJX010PP)を備えたテストエッチング装置(山縣機械製、商品名:YCE−85V)を用い、上記テスト用被エッチング材をエッチングして、後処理試験用の被試験材(以下、「被試験材」と記す)を作製した。このとき、エッチング液の液温は40℃、スプレーノズルへの液供給圧は150kPa、エッチング時間は180秒とした。
<後処理液の調製>
シュウ酸二水和物0.64kg(無水物として0.40kg)を水30kgに溶解し、次いで、ガラス電極pH計でpHを測定しながら50質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpHを3に調整した。さらに水を追加して総量を40kgとし、シュウ酸1.0質量%を含むpH3の後処理液を調製した。
シュウ酸二水和物0.64kg(無水物として0.40kg)を水30kgに溶解し、次いで、ガラス電極pH計でpHを測定しながら50質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpHを3に調整した。さらに水を追加して総量を40kgとし、シュウ酸1.0質量%を含むpH3の後処理液を調製した。
<後処理>
エッチングに用いたのと同じ仕様のエッチング装置を用い、上記後処理液により被試験材の後処理を行った。このとき、後処理液の液温は40℃、スプレーノズルへの液供給圧は250kPaとした。後処理の時間は10秒、15秒、20秒、25秒・・・と5秒ずつ増加させた。後処理後の各被試験材を顕微鏡で観察したとき、後処理を60秒以上行った被試験材には水不溶性銅塩の結晶付着が認めらなかったことから、所要後処理時間は60秒とした。なお、後処理後の被試験材にはレジストパターンが残存していることが認められた。
エッチングに用いたのと同じ仕様のエッチング装置を用い、上記後処理液により被試験材の後処理を行った。このとき、後処理液の液温は40℃、スプレーノズルへの液供給圧は250kPaとした。後処理の時間は10秒、15秒、20秒、25秒・・・と5秒ずつ増加させた。後処理後の各被試験材を顕微鏡で観察したとき、後処理を60秒以上行った被試験材には水不溶性銅塩の結晶付着が認めらなかったことから、所要後処理時間は60秒とした。なお、後処理後の被試験材にはレジストパターンが残存していることが認められた。
[実施例2〜9]
後処理液のシュウ酸含有量とpHを表1の如く変更した以外は、実施例1同様の試験を行った。
後処理液のシュウ酸含有量とpHを表1の如く変更した以外は、実施例1同様の試験を行った。
[実施例10〜12]
実施例6〜8の後処理液に、それぞれカバーフィルムを剥がした感光層厚み10μmのドライフィルムレジスト10m2を10分間浸漬したところ、実施例6の後処理液の場合にはドライフィルムレジストがそのまま残存し、実施例7の後処理液の場合にはドライフィルムレジストが溶解せずに剥離し、実施例8の場合にはドライフィルムレジストが溶解した。ドライフィルムレジストを浸漬した後の実施例6〜8の後処理液を、それぞれ実施例10〜12の後処理液とし、実施例1と同様に後処理の試験を行った。
実施例6〜8の後処理液に、それぞれカバーフィルムを剥がした感光層厚み10μmのドライフィルムレジスト10m2を10分間浸漬したところ、実施例6の後処理液の場合にはドライフィルムレジストがそのまま残存し、実施例7の後処理液の場合にはドライフィルムレジストが溶解せずに剥離し、実施例8の場合にはドライフィルムレジストが溶解した。ドライフィルムレジストを浸漬した後の実施例6〜8の後処理液を、それぞれ実施例10〜12の後処理液とし、実施例1と同様に後処理の試験を行った。
[比較例1]
後処理液に濃度5.0質量%の塩酸を用いた以外は、実施例1同様の試験を行った。なお、かかる塩酸のpHは0であった。
後処理液に濃度5.0質量%の塩酸を用いた以外は、実施例1同様の試験を行った。なお、かかる塩酸のpHは0であった。
[比較例2]
後処理液に濃度8.0質量%の塩化ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1同様の試験を行ったが、後処理を300秒行った被試験材にも未だ水不溶性銅塩の結晶付着が認められた。なお、濃度8.0質量%の塩化ナトリウム水溶液は、濃度5.0質量%の塩酸と同量の塩化物イオンを含み、そのpHは7であった。
後処理液に濃度8.0質量%の塩化ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1同様の試験を行ったが、後処理を300秒行った被試験材にも未だ水不溶性銅塩の結晶付着が認められた。なお、濃度8.0質量%の塩化ナトリウム水溶液は、濃度5.0質量%の塩酸と同量の塩化物イオンを含み、そのpHは7であった。
[比較例3〜4]
後処理液のシュウ酸含有量とpHを表1の如く変更した以外は、実施例1同様の試験を行った。
後処理液のシュウ酸含有量とpHを表1の如く変更した以外は、実施例1同様の試験を行った。
<評価>
各実施例、比較例の所要後処理時間、レジスト残存の有無を表1に示す。
各実施例、比較例の所要後処理時間、レジスト残存の有無を表1に示す。
各実施例と各比較例を比較して分かるように、1.0質量%以上のシュウ酸を含み、pHが3以上である後処理液により、シュウ酸を含むエッチング液でエッチングした後の銅の表面に付着した水不溶性銅塩の結晶を迅速に除去することができる。とりわけpHが5以上である実施例4〜9の後処理液を用いた場合には、水不溶性銅塩の結晶を特に迅速に除去することができる。これに対し、後処理液として塩酸を用いた比較例1や塩化ナトリウム水溶液を用いた比較例2、シュウ酸を含む後処理液でも、シュウ酸の含有量が1.0質量%よりも少ない比較例3やpHが3よりも低い比較例4では、本発明の後処理液を用いた場合のような短時間では水不溶性銅塩の結晶を除去することができない。
実施例2〜7と実施例8の比較、とりわけ実施例6および7と実施例8の比較から分かるように、本発明において、後処理液のpHを10以上にすることで、水不溶性銅塩の除去とエッチングレジストの除去を同時に行うことができ、工程を簡素化することができる。
本発明において、後処理液のpHを8以下にすることで、後処理液へのエッチングレジストの溶解を抑制することができ、よって本発明の後処理液の長寿命化を実現することができる。すなわち、pHが9以上である実施例7および8の後処理液にドライフィルムレジストを浸漬した実施例11および12の後処理液は、所要後処理時間が長くなったのに対し、pHが8以下である実施例6の後処理液にドライフィルムレジストを浸漬した実施例10の後処理液は、所要後処理時間が変わらないことが確認された。
本発明のエッチング後処理液およびエッチング方法は、プリント配線板の製造のみならず、リードフレーム、精密歯車、精密板ばね、エンコーダ用ディスクやストライプ、各種ステンシルの製造等のその他各種の産業用途においても、高度に制御された銅または銅合金のエッチングが必要な場合に好適に用いることができる。
Claims (4)
- 1.0質量%以上のシュウ酸を含み、pHが3以上であることを特徴とするエッチング後処理液。
- pHが10以上である請求項1記載のエッチング後処理液。
- pHが8以下である請求項1記載のエッチング後処理液。
- シュウ酸を含むエッチング液でエッチングした銅の表面を、請求項1〜3のいずれか1項記載のエッチング後処理液で洗浄することを特徴とするエッチング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009285581A JP2011127167A (ja) | 2009-12-16 | 2009-12-16 | エッチング後処理液およびエッチング方法 |
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JP2009285581A JP2011127167A (ja) | 2009-12-16 | 2009-12-16 | エッチング後処理液およびエッチング方法 |
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JP2009285581A Pending JP2011127167A (ja) | 2009-12-16 | 2009-12-16 | エッチング後処理液およびエッチング方法 |
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