JP2011126169A - インモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自己粘着層(X)/中間層(Y)/非粘着層(Z)の順に構成される少なくとも3層の積層フィルムにおいて、各層が下記(イ)〜(ハ)の要件を満たすことを特徴とするインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムによる。
(イ):中間層(Y)は、共重合体の重量基準でプロピレン単位を98〜99.9重量%の範囲で含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)60〜70重量%、および共重合体の重量基準でプロピレン単位を70〜80重量%の範囲で含むプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)30〜40重量%からなる、プロピレン系樹脂組成物(A)30〜100重量%と、プロピレン単独重合体(B)0〜70重量%とからなる。
(ロ):自己粘着層(X)は、水添スチレン系エラストマー(C)55〜70重量%とプロピレン単独重合体(D)30〜45重量%とからなる。
(ハ):非粘着層(Z)は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)100重量部に対して、フィルム用アンチブロッキング剤(F)0.5〜1.5重量部を配合してなる重合体組成物からなる。
【選択図】なし
Description
このプロテクトフィルムには、保護対象物に容易に密着させることができ、保護対象物の加工時、運搬時あるいは貯蔵期間中に、簡単には剥離しないが、剥がす必要があるときには、容易に剥離させることができるという特性が望まれている。
また、射出成形にて得られた各種ハウジング等に対し、インモールドラミネーション工程を経て貼り付けられるプロテクトフィルムにおいては、初期接着強度が強いこと及び高温下での経時更新粘着強度が上がりにくいことが必要であり、且つ、透明性や外観特性並びに目視での検品が容易であることが望まれている。
PET系フィルムを用いるものとしては、例えば、リターデーション値1000nm以上の一軸異方性高分子フィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献1参照。)、二軸延伸高分子フィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献2参照。)、特定のコントラスト値、リターデーション値、ヘイズを有する高分子フィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献3参照。)、マイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが7度以下の高分子フィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献4参照。)、透明性に優れ、粗大突起の原因となる異物の少ない積層二軸ポリエステルフィルムを用いた偏光板保護フィルム(例えば、特許文献5参照。)、異物、キズが少なく、表面粗さ等の小さい一軸ポリエステルフィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献6参照。)等が挙げられる。
また、ポリエチレン系フィルムを用いるものとしては、表面2層がポリエチレンで、中心層がポリプロピレンの積層フィルムを用いる表面保護粘着フィルム(例えば、特許文献7参照。)、軟質ポリオレフィンを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献8参照。)、高熱伝導率フィルム層を有する半導体ウェハ表面保護用粘着フィルム(例えば、特許文献9参照。)、また、PPを用いる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム(例えば、特許文献11及び12参照。)等が挙げられる。
また、PETフィルムを用いたプロテクトフィルムは、柔軟性に劣るため貼り付けにくく、PETフィルム自体に十分な粘着力がないため、粘着付与剤を添加したり、粘着剤を塗布したりする必要がある。該プロテクトフィルムは、このような作業がどうしても必要になるうえ、粘着付与剤を添加したものは、剥離した後、保護対象物の表面に糊残りやブリード物が残ってしまうことがあり、保護対象物を汚してしまうなどの問題がある。また粘着剤の塗布を必要とするものには、プロテクトフィルムの原反を生産する工程と得られた原反に粘着剤を塗布する工程の2工程が必要となるため、生産性が悪かったり、得られた原反を粘着剤塗布工程に移す際、原反にほこりなどの付着物が付かないように、作業環境をクリーンに保たなければならないため、生産コストが高くなるという問題を有している。
また、上記特許文献12記載の二軸延伸自己粘着プロテクトフィルムでは、透明でありフィルム貼り付け状態でも保護対象物の検査が可能であるものの、インモールドラミネーション工程を経て被着体に貼り付けられると、高結晶成分に起因した界面ムラ発生により、透視性や検査性に一部満足できない部分がある。
こうした状況下、プロテクトフィルムのような用途に使用できるポリプロピレン系多層フィルムの早期開発が望まれている。
(イ):中間層(Y)は、共重合体(a1)の重量基準でプロピレン単位を98〜99.9重量%の範囲で含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)60〜70重量%および共重合体(a2)の重量基準でプロピレン単位を70〜80重量%の範囲で含むプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)30〜40重量%からなるプロピレン系樹脂組成物(A)30〜100重量%と、プロピレン単独重合体(B)0〜70重量%とからなる。
[但し、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)のメルトフローレート(MFRa2)が4.0〜15.0g/10minの範囲で、かつプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)のメルトフローレート(MFRa1)に対するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)のメルトフローレート(MFRa2)
の比率(MFRa2/MFRa1)が3.0〜15.0の範囲である。]
(ロ):自己粘着層(X)は、水添スチレン系エラストマー(C)55〜70重量%とプロピレン単独重合体(D)30〜45重量%とからなる。
(ハ):非粘着層(Z)は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)100重量部に対して、フィルム用アンチブロッキング剤(F)0.5〜1.5重量部を配合してなる重合体組成物からなる。
[但し、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)は、融点が125〜145℃の範囲であるプロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体であり、フィルム用アンチブロッキング剤(F)は、レーザー回折法で測定した平均粒径が1.0〜5.0μmである。]
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、自己粘着層(X)は、粘着付与剤を含有しないことを特徴とするインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムが提供される。
(1)中間層(Y)に用いられるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)のα−オレフィンは、エチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィン、好ましくはエチレン又は1−ブテンであることを特徴とする上記のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(2)中間層(Y)に用いられるプロピレン単独重合体(B)は、メルトフローレート(MFR)が2.5〜8.0g/10minの範囲であることを特徴とする上記のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(3)自己粘着層(X)に用いられる水添スチレン系エラストマー(C)は、スチレン含有量が30重量%以下である水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)であることを特徴とする上記のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(4)非粘着層(Z)に用いられるフィルム用アンチブロッキング剤(F)は、シリカ微粒子、合成シリカ微粒子又はポリメタクリル酸メチル微粒子であることを特徴とする上記のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(5)延伸倍率は、縦方向(MD)が3〜7倍、横方向(TD)が4〜10倍であることを特徴とする上記のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(6)フィルムの総厚みが20〜80μmであることを特徴とする上記のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(7)JIS K7127(1999)に準拠して測定した弾性率は、縦方向(MD)が400〜1400MPa、横方向(TD)が700〜3600MPaであることを特徴とする上記のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(8)JIS K7127(1999)に準拠して測定した破断伸度は、縦方向(MD)が100〜300%、横方向(TD)が30〜300%であることを特徴とする上記のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(イ):中間層(Y)は、共重合体の重量基準でプロピレン単位を98〜99.9重量%の範囲で含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)60〜70重量%、および共重合体の重量基準でプロピレン単位を70〜80重量%の範囲で含むプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)30〜40重量%からなる、プロピレン系樹脂組成物(A)30〜100重量%と、プロピレン単独重合体(B)0〜70重量%とからなる。
[但し、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)のメルトフローレート(MFRa2)が4.0〜15.0g/10minの範囲で、かつプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)のメルトフローレート(MFRa1)に対するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)のメルトフローレート(MFRa2)の比率(MFRa2/MFRa1)が3.0〜15.0の範囲である。]
(ロ):自己粘着層(X)は、水添スチレン系エラストマー(C)55〜70重量%とプロピレン系重合体(D)30〜45重量%とからなる。
(ハ):非粘着層(Z)は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)100重量部に対して、フィルム用アンチブロッキング剤(F)0.5〜1.5重量部を配合してなる重合体組成物からなる。
[但し、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)は、融点が125〜145℃の範囲であるプロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体であり、フィルム用アンチブロッキング剤(F)は、レーザー回折法で測定した平均粒径が1.0〜5.0μmである。]
以下、各層の構成成分、積層フィルムの特徴、製法等について詳細に説明する。
1.中間層(Y)の構成成分
本発明のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムを構成する中間層(Y)は、プロピレン系樹脂組成物(A)30〜100重量%とプロピレン単独重合体(B)0〜70重量%とからなり、好ましくは、プロピレン系樹脂組成物(A)40〜80重量%とプロピレン単独重合体(B)20〜60重量%とからなる。プロピレン系樹脂組成物(A)の含有量が30重量%より極端に少ない場合、フィルムの柔軟性が低下し良好に貼り付けにくくなる傾向がある。ただし、フィルムの柔軟性を向上させるために、プロピレン系樹脂組成物(A)以外のプロピレン樹脂組成物を用いると、中間層と粘着層・非粘着層との接着性やフィルム製膜時の延伸性が悪いために、界面ムラや層間ボイドが発生する問題や、フィルムの耐熱性が十分でないために、インモールドラミネーション工程で浮きや剥がれが発生する問題が起きる。
本発明のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの中間層(Y)に使用されるプロピレン系樹脂組成物(A)は、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)(以降、(a1)成分と表記することがある。)を60〜70重量%とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)(以降、(a2)成分と表記することがある。)を30〜40重量%の範囲で含むものであり、(a1)成分を62〜68重量%と(a2)成分を33〜38重量%の範囲で含むものが好ましい。
(a1)成分の含有量が60重量%より極端に少ない場合には、得られる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの弾性率が低下するため、フィルムの柔軟性が過剰となり、製品のブロッキングが悪化する傾向がある。一方、(a1)成分の含有量が70重量%より極端に多い場合には、得られるインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの弾性率が増大するため、柔軟性が劣り、粘着強度が低下する傾向がある。
単純混合する方法としては、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体や市販のエチレン−プロピレンゴムとプロピレン重合体とを溶融混合する方法が提示できる。溶融混合の方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
また、(a1)成分と(a2)成分とを多段重合により連続的に重合する方法としては、複数の重合器を使用し、例えば、1段目で(a1)成分を製造し、2段目で(a2)成分を製造する方法が例示できる。この連続重合法は、上記した溶融混合法に比べて、(a1)成分に(a2)成分が均一に分散したプロピレン系樹脂組成物(A)が得られ、品質の安定化が図れる点で好ましい。多段重合法により連続的に重合する方法については、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
α−オレフィンとしては、エチレン、もしくは炭素数4〜18のα−オレフィンを挙げることができ、炭素数4〜18のα−オレフィンの具体例として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどを例示でき、これらの一種もしくは二種以上を用いることができる。製造コストの面からは、エチレン、1−ブテンもしくはその併用が最も好適である。
(a2)成分のメルトフローレート(MFRa2)は、重合の際、水素の供給量によって調整することができる。
比率(MFRa2/MFRa1)は、1段目と2段目の重合の際、それぞれの水素の供給量によって調整することができる。
プロピレン系樹脂組成物(A)のメルトフローレート(MFRWhole)が1.0g/10minより大きく下回る場合、樹脂を押し出すときに押出機に大きな負荷がかかるため好ましくない。一方、5.0g/10minより大きく上回る場合、押し出した樹脂の溶融張力が弱かったり、延伸するときの張力も弱くなり、良好に延伸できなくなったりするおそれがあるため、好ましくない。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999)「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定する値である。
本発明に用いられるプロピレン単独重合体(B)は、メルトフローレート(MFR)が2.5〜8.0g/10minの範囲であることが好ましく、さらに好ましくはメルトフローレートが3.0〜7.0g/10minの範囲であるプロピレン単独重合体を例示でき、二種以上の混合物であっても良い。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999)「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定する値である。
本発明のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムを構成する自己粘着層(X)は、水添スチレン系エラストマー(C)55〜70重量%と、プロピレン単独重合体(D)30〜45重量%とからなり、好ましくは、水添スチレン系エラストマー(C)を60〜70重量%、プロピレン単独重合体(D)を30〜40重量%とからなる。水添スチレン系エラストマー(C)およびプロピレン単独重合体(D)を前記の範囲内で調整することにより、自己粘着層(X)の粘着強度を制御することができる。
水添スチレン系エラストマー(C)添加量が55重量%より極端に少ない場合、自己粘着層の柔軟性が低下し、粘着性が劣る傾向がある。他方、水添スチレン系エラストマー(C)添加量が70重量%より極端に多い場合、自己粘着層の柔軟性が増大し、成形加工性が低下したり、製品のブロッキングや剥離性が悪化したり、また、経時更新粘着強度が上がり過ぎたりする傾向がある。
本発明に用いられる水添スチレン系エラストマー(C)としては、水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体(SEBC)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が例示でき、なかでも水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)が好ましい。二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムが十分な粘着強度を有するために、水添スチレン系エラストマー(C)のスチレン含有量は、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましい。一方、スチレン含有量が30重量%を超えると、粘着層の柔軟性が劣り、粘着強度が低下する傾向がある。
このような水添スチレン系エラストマー(C)としては、市販の製品を使用することができ、具体的には、JSR(株)社製のダイナロン1320Pなどを挙げることができる。
また、本発明に係る自己粘着層(X)に用いられるプロピレン単独重合体(D)は、一般的にフィルムに用いられるポリプロピレン樹脂のメルトフローレートを有するものであれば、特に限定されない。前記プロピレン単独重合体(B)で記載したメルトフローレート(MFR)の範囲が好ましい。
プロピレン単独重合体(D)は、高立体規則性重合触媒を用いることによって得ることができ、高立体規則性重合触媒としては、塩化チタン、アルコキシチタン等を出発材料として調製されたチタン化合物を用いた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン化合物を用いたカミンスキー型触媒を使用することができる。
本発明のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムを構成する非粘着層(Z)は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)100重量%に対し、フィルム用アンチブロッキング剤(F)0.5〜1.5重量部を配合したものであり、好ましくは、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)100重量部に対し、フィルム用アンチブロッキング剤(F)0.8〜1.2重量部を配合したものである。
更に好ましくは、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)として、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(E)100重量部に対し、フィルム用アンチブロッキング剤(F)0.8〜1.2重量部であり、フィルム用アンチブロッキング剤(F)の配合量を前記の範囲内で調整することにより、フィルムの透明性及び非粘着層(Z)の表面粗度状態を制御することができる。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)100重量部に対し、フィルム用アンチブロッキング剤(F)の添加量が0.5重量部より極端に少ない場合、自己粘着層(X)と非粘着層(Z)のブロッキングは、悪化する傾向がある。他方、フィルム用アンチブロッキング剤(F)の添加量が1.5重量部より極端に多い場合、フィルムの透明性は悪化する傾向がある。
本発明に用いられるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)は、融点が125℃〜145℃の範囲のものである。融点が145℃を超えると、フィルム延伸時の外観不良が発生するおそれがあり、他方、融点が125℃未満のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)は、製造が困難であるため、125℃〜145℃であることが好ましい。
ここで、融点は、JIS K7122(1987)に規定の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定する値である。
本発明に用いられプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)は、本発明のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムに、界面ムラや層間ボイドの発生の防止や高温加工時の被着体との浮きや剥がれの発生防止に有効であるところから、他の重合体を用いないことが望ましいが、本発明の効果を大きく阻害しない程度に少量、望ましくは10重量%以内であれば、用いても良い。
本発明に用いられるフィルム用アンチブロッキング剤(F)は、平均粒径が1.0〜5.0μmであり、2.0〜4.0μmであることが好ましい。平均粒径が1.0μmを大きく下回ると、アンチブロッキング効果が低下する傾向があり、一方、平均粒径が5.0μmを大きく上回ると、フィルムの検査性が悪化するだけでなく、フィルムや保護対象物の表面を傷つけたり、フィルムからアンチブロッキング剤が脱落して、トラブルが発生したりすることもあり、好ましいとは言えない。
ここで、平均粒径は、レーザー回折法により測定した値である。
こうしたフィルム用アンチブロッキング剤(F)としては、シリカ微粒子、合成シリカ微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子等の一般的なアンチブロッキング剤を使用することができる。具体的な市販の製品としては、富士シリシア(株)製サイリシア550等を挙げることができる。
本発明に用いられる積層フィルムを構成する自己粘着層(X)/中間層(Y)/非粘着層(Z)の各層には、それぞれ通常のポリオレフィン系フィルム材料に使用される酸化防止剤、中和剤等添加剤が配合されていてもよい。
本発明のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、上記構成成分を有する層を、自己粘着層(X)/中間層(Y)/非粘着層(Z)の順で構成される少なくとも3層の積層フィルムである。
なお、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で、自己粘着層(X)と中間層(Y)、中間層(Y)と非粘着層(Z)の間に、別の層が含まれていても構わない。
本発明のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの延伸倍率は、縦方向(MD)、横方向(TD)で、それぞれ3〜7倍、4〜10倍が好ましく、さらに好ましくは、それぞれ4〜6倍、4〜9倍であることが望ましい。延伸倍率が上記範囲を外れると、フィルムの弾性率や伸度が、プロテクトフィルム用途に適さなくなるおそれがある。
ここで、アクリル板との初期接着強度は、JIS Z0237(2000)に規定の方法に準拠して、SUS304番の代わりに鏡面状のアクリル板(三菱レイヨン(株)製『アクリライトL001』3mm板)を用いて、次のように測定する。
幅25mm、長さ200mmに切り取った二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの自己粘着層をアクリル板に合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定の圧力で均一に密着させ、23℃・50RH%の雰囲気下で30分間保持した後、アクリル板を固定し、フィルムの一端を300mm/minの一定速度で180度剥離するときの強度を測定する。
ここで、アクリル板との経時更新粘着強度は、JIS Z0237(2000)に規定の方法に準拠して、SUS304番の代わりに鏡面状のアクリル板(三菱レイヨン(株)製『アクリライトL001』3mm板)を用いて次のように測定する。
幅25mm、長さ200mmに切り取ったインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの自己粘着層をアクリル板に合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定の圧力で均一に密着させた後、110℃・相対湿度雰囲気下で3時間保持した後、アクリル板を固定し、フィルムの一端を300mm/minの一定速度で180度剥離するときの強度を測定する。
従って、本発明のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、ヘイズが8%以下であることが好ましい。
ここで、ヘイズは、JIS K7105(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に規定の方法に準拠して測定する値である。
なお、本発明の実施例、比較例で用いるフィルムの物性値は、以下に示す方法で測定し、用いた試料は以下の通りである。
(1)MFR[単位:g/10min]:
MFRは、JIS K7210(1999)「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
JIS Z0237(2000)「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定の方法に準拠して、SUS304の代わりに鏡面状のアクリル板(三菱レイヨン(株)製『アクリライトL001』3mm板)を用いて次のように測定した。
幅25mm、長さ200mmに切り取った二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの自己粘着層をアクリル板に合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定の圧力で均一に密着させた後、23℃・50RH%の雰囲気下で30分間保持した後、アクリル板を固定し、フィルムの一端を300mm/minの一定速度で180度剥離するときの強度を測定した。数値が大きくなれば初期接着強度は大きい。
JIS Z0237(2000)「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定の方法に準拠して、SUS304の代わりに鏡面状のアクリル板(三菱レイヨン(株)製『アクリライトL001』3mm板)を用いて次のように測定した。
幅25mm、長さ200mmに切り取った二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの自己粘着層をアクリル板に合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定の圧力で均一に密着させた後、110℃・相対湿度の雰囲気下で3時間保持した後、アクリル板を固定し、フィルムの一端を300mm/minの一定速度で180度剥離するときの強度を測定した。数値が大きくなれば経時粘着強度は大きい。
JIS Z0237(2000)「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定の方法に準拠して、SUS304の代わりに鏡面状のPC板(日本ポリエステル(株)製『エポカーボネイトEC1』)を用いて次のように測定した。
幅40mm、長さ50mmに切り取ったフィルムの自己粘着層面をPC板に合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定圧力で均一に密着させた後、150℃・相対湿度の雰囲気化で30分保持した後のフィルムの浮き・剥離状況を確認した。評価基準は、以下のとおり。
◎・・・フィルムに浮き・剥離は無く、PC板に綺麗に貼れている。
○・・・フィルムに浮き・剥離は無いが、フィルムの収縮により、フィルム端部が引っ張られた状態でPC板に貼られている。
×・・・フィルムに浮き・剥離のいずれかが発生する。
JIS K7105(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に規定の方法に準拠して測定した。数値が小さくなれば曇り度が小さくなり透明性は高い。
(i)ロール繰出評価:
フィルムを1000m巻取り、35℃・60%RHの雰囲気化で24時間放置した後、500m/minの速度で繰り出した時の剥離痕及び剥離音で判定した。評価基準は、以下のとおり。
◎・・・剥離痕及び剥離音ともに無い。
○・・・剥離痕は無いが剥離音がある。
△・・・剥離痕は無いが剥離音があり、更に、繰り出しにはかなりの張力が必要である。
×・・・剥離痕がある。
JIS Z0237(2000)「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定の方法に準拠して、SUS304の代わりに鏡面状のPC板(日本ポリエステル(株)製『エポカーボネイトEC1』)を用いて、次のように測定した。
幅25mm、長さ200mmに切り取ったフィルムの自己粘着層面をPC板に合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定圧力で均一に密着させた後、110℃・相対湿度の雰囲気化で3時間保持した後、フィルムの一端を持ち、片手で剥がした際の剥離性、裂け性で評価した。評価基準は、以下のとおり。
◎・・・容易に剥離する。
○・・・剥離抵抗があるが容易に剥離する。
×・・・剥離抵抗が強く裂けが見られ剥がし難い。
JIS Z0237(2000)「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定の方法に準拠して、SUS304の代わりに鏡面状のPC板(日本ポリエステル(株)製『エポカーボネイトEC1』)を用いて次のように測定した。
幅40mm、長さ50mmに切り取ったフィルムの自己粘着層面をPC板に合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定圧力で均一に密着させた後、目視評価にて、透視性及び外観ムラによるPC板の欠点の検知性を評価した。評価基準は、以下のとおり。
◎・・・PC板の欠点が容易に判断できる。
○・・・PC板の欠点が判断できる。
×・・・PC板の欠点が判断できない又はPC板の欠点とフィルムの欠点が判別できない。
実施例、比較例に用いた各種材料を下記に示す。
(1)PP−1(プロピレン系樹脂組成物(A)):
(a1)成分65重量%と(a2)成分35重量%との多段重合体:MFRWhole;2.8g/10min(重合例として、製造の詳細を後述する。)
(a1)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分:プロピレン含有量;99.2重量%、MFRa1;1.4g/10min
(a2)プロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体成分:プロピレン含有量;75重量%、MFRa2;10g/10min
融点161℃のプロピレン単独重合体である日本ポリプロ(株)製FL0007(商品名)
融点158℃のプロピレン系重合体である日本ポリプロ(株)製FB3EBT(商品名)
(4)PP−4(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)):
融点138℃のプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体である日本ポリプロ(株)製FW4B(商品名)
(5)PP−5(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)):
融点143℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体である日本ポリプロ(株)製FG4(商品名)
(6)PP−6(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)):
融点125℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体である日本ポリプロ(株)製WFX4(商品名)
(7)PP−7:
融点147℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体である日本ポリプロ(株)製FW3GT(商品名)のパウダー
日本ポリエチレン(株)社製カーネル/KS360T(商品名)
(9)HSBR−1:
水添スチレン系エラストマー(C):JSR(株)社製ダイナロン1320P(商品名)
フィルム用アンチブロッキング剤(F):富士シリシア(株)社製サイリシア550(商品名;平均粒径3.9μm)
(11)AB−2:
フィルム用アンチブロッキング剤(F):富士シリシア(株)社製サイリシア530(商品名;平均粒径2.7μm)
(12)AB−3:
フィルム用アンチブロッキング剤(G):富士シリシア(株)社製サイリシア450(商品名;平均粒径8.0μm)
(13)AB−4:
フィルム用アンチブロッキング剤(H):日本アエロジル(株)社製アエロジル/TT−600(商品名;平均粒径0.04μm)
(1)オレフィン重合触媒成分の調整
窒素置換したステンレス製反応器中において、四塩化チタン360mlおよびトルエン240mlを装入して混合溶液を形成させた。次いで平均粒径42μmのジエトキシマグネシウム120g、トルエン500mlおよびフタル酸−ジ−n−ブチル43.2mlを用いて形成させた懸濁液を、10℃の液温に保持した前記混合液中に添加した。その後、10℃〜90℃まで80分かけて昇温し、2時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン1000mlで4回洗浄して、新たに四塩化チタン360mlおよびトルエン800mlを加え、112℃に昇温し、2時間攪拌させながら反応させた。
反応終了後、40℃のn−ヘプタン1000mlで10回洗浄して、オレフィン重合触媒成分を得た。得られたオレフィン重合触媒成分の平均粒径は42μmであり、その分析値(原子吸光法による)は、Mg:18.9重量%、Ti:2.2重量%、Cl:61.6重量%であった。
内容積20リットルの傾斜羽根つきステンレス製反応器を窒素ガスで置換したあと、ヘキサン17.7リットル、トリエチルアルミニウム100.6mmol、ジイソプロピルジメトキシシラン15.1mmol、前記の方法で調整したオレフィン重合触媒成分120.4gを室温で加えたあと、30℃まで加温した。次いで撹拌しながらプロピレン240.8gを3時間かけて供給し、予備活性処理を行った。分析の結果、オレフィン重合触媒成分1gあたりプロピレン1.9gが反応していた。
撹拌羽根を有する横型重合器(L/D=6,内容積100リットル)に前記の方法で予備活性化処理したオレフィン重合触媒成分を0.4g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムおよび有機ケイ素化合物としてジイソプロピルジメトキシシランをモル比で、Al/Mgモル比6、Al/Siモル比6となるように連続的に供給した。エチレン−プロピレンの混合ガスを反応温度60℃、反応圧力2.1MPa、撹拌速度35rpmの条件を維持しながら連続供給し、さらに反応器の気相中のエチレン/プロピレンモル比を0.005、水素/プロピレンモル比0.007に維持するように水素ガスを循環配管より連続的に供給し、生成ポリマーであるエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(a1)の分子量を制御してメルトフローレートを調整した。
反応熱は供給される原料プロピレンの気化熱によって除去した。重合器から排出される未反応ガスは、配管を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器に還流した。本重合で得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(a1)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となるように配管を通して重合器から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器に供給した。このとき、配管からエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(a1)の一部を間欠的に抜き出して、メルトフローレート、エチレン含有量、触媒単位重量あたりの重合体収量を求める試料とした。エチレン含有量の測定は、赤外線吸収スペクトル分析により、行った。触媒単位重量あたりの重合体収量は、重合体中のMg分の誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)により測定した。
撹拌羽根を有する横型重合器(L/D=6,内容積100リットル)に第1重合工程からのエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(a1)およびエチレン−プロピレン−1−ブテン混合ガスを連続的に供給し、プロピレンとエチレンと1ブテンとの共重合を行った。反応条件は、撹拌速度25rpm、温度55℃、圧力1.9MPaであり、気相のガス組成を水素/エチレンモル比0.62、エチレン/プロピレンモル比0.14、および1−ブテン/プロピレンモル比0.06に調整した。エチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(a2)の重合量を調整するために重合活性抑制剤として一酸化炭素、およびエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(a2)の分子量を調節するため水素ガスをそれぞれ供給した。
反応熱は、供給される原料プロピレンの気化熱によって除去した。重合器から排出される未反応ガスは配管を通して反応器系外で冷却、凝縮させて第2重合工程に還流した。第2重合工程で得られたプロピレン系樹脂組成物(A)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となるように重合器から連続的に抜き出した。プロピレン系樹脂組成物(A)(PP−1)の生産速度は8〜15kg/hrであった。
抜き出されたプロピレン系樹脂組成物(A)(PP−1)は、未反応モノマーを除去し、一部はメルトフローレートの測定、赤外線吸収スペクトル分析によるエチレン重合単位及び1ブテン重合単位含有量の測定、ならびにICP法によるエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(a2)の含有量の測定に使用した。
プロピレン系樹脂組成物(A)(PP−1)の重合条件と物性を表1に示す。
自己粘着層、中間層、非粘着層として、表2に示す成分を用い、ペレット状にしたPP成分、アンチブロッキング剤成分及びスチレン系エラストマー成分を表2に記載した割合でブレンドしたものを、多層フィルム成形機の中間層用押出機(口径60mm)または2つの表面層用押出機(口径30mm)にそれぞれ供給して、250℃のTダイから押し出し、30℃の冷却ロールで冷却して原反シートを得た。
なお、PPについては、各々100重量部に対し、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.15重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.10重量部の比率で配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)を用いて、均一に混合した後、得られた混合物を押出機で溶融混錬してペレット状にして用いた。また、アンチブロッキング剤(AB剤とも表記する。)成分をPP成分に混合する際も、上記方法で行った。
次に、得られた原反シートを110℃の加熱ロールで縦方向(MD)に5倍延伸し、引き続き150℃のテンターオーブンで横方向(TD)に8倍延伸して、フィルムを作成した。
得られたフィルムを所定の試験片に調整し、所定の試験法に準拠して、初期接着力、経時粘着力、トータルヘイズ、耐熱性、剥離性、検査性を測定・評価した。
その結果を表2に示す。
表2に示す成分割合、フィルム厚みにする以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作成した。
得られたフィルムの測定値の結果を表2に示す。
表3、4に示す成分割合にする以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作成した。
得られたフィルムの測定値の結果を表3、4に示す。
(1)実施例1〜4は、非粘着面に、本発明で規定した範囲内でアンチブロッキング剤の粒径及び添加量を調整したものであり、また、実施例5、6は、PPの融点を調整したもの、さらに、実施例7は、粘着層の配合比率を変更し、実施例8は、中間層の配合比率を変更したものであるが、いずれもヘイズは8%以下であり、剥離性(ロール繰出・製品剥離等)、検査性に優れ、初期接着強度及び経時更新粘着強度も、本発明(第2の発明)で規定した範囲内で推移しており、被着体との貼付け界面に対し、浮き・剥離の発生が見られていないことがわかる。
(3)比較例5、6は、非粘着層に本発明で規定したものとは異なる融点を用いたものであるが、フィルムの透視性や外観の悪化により、検査性において十分な透視性や外観を有していないこと分かる。
(5)比較例9、11は、中間層に本発明で規定したものとは異なる中間層比率の組成または本発明とは異なる樹脂組成を用いたものであるが、比較例9では、プロピレン単独重合体の配合比率が多すぎることにより、フィルムが硬くなり、粘着層配合は、本発明で規定した範囲内であるものの、初期接着強度が低下していることが分かる。また、比較例11では、樹脂組成を変えたものであるが、耐熱性が低下したことにより、フィルム貼付け後の収縮が発生し、浮きの発生やロールの繰出性が悪化していることが分かる。
Claims (4)
- 自己粘着層(X)/中間層(Y)/非粘着層(Z)の順に構成される少なくとも3層の積層フィルムにおいて、各層が下記(イ)〜(ハ)の要件を満たすことを特徴とするインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(イ):中間層(Y)は、共重合体(a1)の重量基準でプロピレン単位を98〜99.9重量%の範囲で含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)60〜70重量%および共重合体(a2)の重量基準でプロピレン単位を70〜80重量%の範囲で含むプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)30〜40重量%からなるプロピレン系樹脂組成物(A)30〜100重量%と、プロピレン単独重合体(B)0〜70重量%とからなる。
[但し、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)のメルトフローレート(MFRa2)が4.0〜15.0g/10minの範囲で、かつプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)のメルトフローレート(MFRa1)に対するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)のメルトフローレート(MFRa2)
の比率(MFRa2/MFRa1)が3.0〜15.0の範囲である。]
(ロ):自己粘着層(X)は、水添スチレン系エラストマー(C)55〜70重量%とプロピレン単独重合体(D)30〜45重量%とからなる。
(ハ):非粘着層(Z)は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)100重量部に対して、フィルム用アンチブロッキング剤(F)0.5〜1.5重量部を配合してなる重合体組成物からなる。
[但し、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(E)は、融点が125〜145℃の範囲であるプロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体であり、フィルム用アンチブロッキング剤(F)は、レーザー回折法で測定した平均粒径が1.0〜5.0μmである。] - JIS Z0237(2000)に規定する粘着強度測定法(23℃・50RH%の雰囲気下、24時間保持)に準拠した粘着強度測定法で、保持条件を23℃・50%RHの雰囲気下で30分保持した時の粘着強度(初期接着強度)が3g/25mm以上、且つ、保持条件を110℃・相対湿度雰囲気下で3時間保持した時の粘着強度(経時更新粘着強度)が100g/25mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
- JIS K7105(1981)に準拠して測定したフィルムのヘイズが8%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
- 自己粘着層(X)は、粘着付与剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインモールドラミネーション用二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
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