JP2011125800A - 活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルエン等の有機溶剤を吸着した活性炭が充填される吸脱着槽から該有機溶剤を過熱蒸気を用いて脱着させるにあたり、脱着終了を迅速に知ることができるようにして、吸脱着効率を高くする。
【解決手段】実用化レベルの吸脱着剤槽15に吸着されたトルエンを220℃の過熱蒸気を用いて脱着させるにあたり、該過熱蒸気が供給される吸脱着槽15の供給下流側の温度が供給される過熱蒸気の温度になったときを脱着終了と判断するようにして、脱着終了判断を簡単にできるようにする。
【選択図】図3
【解決手段】実用化レベルの吸脱着剤槽15に吸着されたトルエンを220℃の過熱蒸気を用いて脱着させるにあたり、該過熱蒸気が供給される吸脱着槽15の供給下流側の温度が供給される過熱蒸気の温度になったときを脱着終了と判断するようにして、脱着終了判断を簡単にできるようにする。
【選択図】図3
Description
本発明は、トルエンや酢酸エチル等の各種の揮発性有機溶剤を活性炭に吸着させた場合において、該活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法の技術分野に属するものである。
今日、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、クロロベンゼン、プロパノール等の揮発性が高い有機化合物は、揮発性有機化合物(VOC)と称され、そしてこのものが大気中に揮発してガス化すると、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の要因にもなり、このため人の健康に対して悪影響を与える有害物質として指定され、揮発性有機化合物(以下「VOC」という)のガス排出量の規制がなされている。
ところでこのようなVOCは、化学工場、塗装工場、印刷工場、薬品工場等の各種施設において、反応、抽出、コーティング、脱脂洗浄等の各種工程で広く溶剤として採用されている。そしてこのようなVOCは、ガス化したものが施設外に排出しないよう施設の排気経路に、VOCガスを回収(除去)するための回収装置を設けることが義務付けられている。
このような回収装置のなかには、活性炭を用いて有機溶剤の吸脱着をさせることで回収するようにすることが提唱されるが、この場合において活性炭からの有機溶媒の吸脱着を繰り返し行うようにして活性炭の有効利用を図ることが提唱され、そこでVOCを吸着した活性炭を過熱蒸気(過熱水蒸気)を用いて加熱することによってVOCを脱着し、凝縮により液化して回収するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
特開平3−193113号公報
ところでこのようなVOCは、化学工場、塗装工場、印刷工場、薬品工場等の各種施設において、反応、抽出、コーティング、脱脂洗浄等の各種工程で広く溶剤として採用されている。そしてこのようなVOCは、ガス化したものが施設外に排出しないよう施設の排気経路に、VOCガスを回収(除去)するための回収装置を設けることが義務付けられている。
このような回収装置のなかには、活性炭を用いて有機溶剤の吸脱着をさせることで回収するようにすることが提唱されるが、この場合において活性炭からの有機溶媒の吸脱着を繰り返し行うようにして活性炭の有効利用を図ることが提唱され、そこでVOCを吸着した活性炭を過熱蒸気(過熱水蒸気)を用いて加熱することによってVOCを脱着し、凝縮により液化して回収するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
ところで前記従来のように吸脱着を繰り返すものにおいて、脱着工程が終了したことを知ることは、次ぎの作業工程に素早く移行するためにどうしても必要であり、そこで濃度センサを脱着流路に設け、濃度が低下したことの判断で脱着工程が終了したと判断していたが、この場合に、単なる濃度の検出だけでは現在の脱着流路の濃度しか知ることができず、実際の脱着総量は、脱着濃度と流量とから現在の脱着量を求め、これを積算しなければ算出することができず、このため素早い判断ができないという問題があり、ここに本発明が解決せんとする課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、有機溶剤が吸着された活性炭が投入された吸脱着槽から前記有機溶剤を脱着回収するための回収する方法であって、該方法は、吸脱着槽に、前記吸着された有機溶剤の沸点よりも高温の過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給工程と、該過熱蒸気が供給される吸脱着槽の供給下流側の温度が供給される過熱蒸気の温度になったときを脱着終了と判断する脱着終了判断工程と、の各工程を備えていることを特徴とする活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法である。
請求項2の発明は、過熱蒸気は、温度が100〜300℃、供給圧力が0.1〜0.2MPa、活性炭1kgに対する流量が1〜5kg/minであることを特徴とする請求項1記載の活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法である。
請求項2の発明は、過熱蒸気は、温度が100〜300℃、供給圧力が0.1〜0.2MPa、活性炭1kgに対する流量が1〜5kg/minであることを特徴とする請求項1記載の活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法である。
請求項1の発明とすることにより、活性炭の脱着終了の判断目安が容易になって効率のよい脱着作業を行うことができる。
請求項2の発明とすることにより、さらに効率の良い脱着処理ができることになる。
請求項2の発明とすることにより、さらに効率の良い脱着処理ができることになる。
本発明は、前述したように、有機溶剤が吸着された活性炭が投入された吸脱着槽から前記有機溶剤を脱着回収するための回収する方法であって、該方法は、吸脱着槽に、前記吸着された有機溶剤の沸点よりも高温の過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給工程と、該過熱蒸気が供給される吸脱着槽の供給下流側の温度が供給される過熱蒸気の温度になったときを脱着終了と判断する脱着終了判断工程との各工程を備えているものであるが、この場合において、過熱蒸気は、温度が100〜300℃、供給圧力が0.1〜0.2MPa、活性炭1kgに対する流量が1〜5kg/minであることが好ましい。
<基礎実験による実施の形態>
図1に実験室段階である基礎実験による実施の形態の概要を示す。図1(A)は吸着工程の概略を示すものであるが、ここにおいて1は吸脱着槽であって、該吸脱着槽1は、内径30mm、長さ300mmの円筒に活性炭(フタムラ化学株式会社製「CG48SR」)を80g充填したものであり、この吸着材槽1の一端(図面において下端)を、トルエン(C6H5CH3)が供給された三角フラスコ2に流入流路3を介して連通連結すると共に、三角フラスコ2は大気に連通するよう空気流入口4が設けられている。吸脱着材槽1の他端(上端)に接続された排出流路5には真空ポンプ6が設けられ、さらに真空ポンプ6の下流側には濃度センサであるガスクロマトグラフィー16が接続されている。また吸脱着材槽1には一端部、中央部、そして他端部に温度計7、8、9が設けられていて、槽内温度を測定するようになっている。
この状態で真空ポンプ6を駆動させると、真空ポンプ6の吸引量が空気流入口4から流入する空気量よりも勝るため、減圧状態となってトルエンが気化(バブリングによる気化)し、これによってトルエンガスが吸脱着材槽1に供給され、該供給されたトルエンガスは活性炭に吸着される。
そして排出流路5を流れる排気中のトルエン濃度が100ppmになった時点で真空ポンプ6を停止し、吸着工程を終了する。斯かる吸着工程で活性炭に吸着されたトルエン量を、吸着工程の前後での三角フラスコの重量測定により算出したところ34.0gであり、また吸着ガス中のトルエン濃度は4560ppmであった。
また図1(B)は脱着工程の概略を示すものであるが、脱着材槽1の他端に220℃の過熱蒸気発生装置10を蒸気供給路11を介して接続する一方、一端は脱着流路12を介して水道水を冷媒とする凝縮器13に接続し、脱着材槽1から脱着したトルエンと水とをビーカー14に液化回収した。尚、17は過熱蒸気用の温度計である。
トルエンの脱着量は、脱着材槽全体を精密天秤(最小計測単位:0.1g、最大計測量:22kg)を用いて脱着工程のあいだ秤量しつづけ、脱着開始後から適宜時間を経過したときの秤量差を脱着量とした。図2(A)の表図に脱着時間、脱着量、脱着率を、図2(B)に脱着時間と脱着率との関係を示したグラフ図を示す。
これによると、前記実施の形態では、凡そ15分で吸着したトルエンの殆どが脱着したと判断できる。
図1に実験室段階である基礎実験による実施の形態の概要を示す。図1(A)は吸着工程の概略を示すものであるが、ここにおいて1は吸脱着槽であって、該吸脱着槽1は、内径30mm、長さ300mmの円筒に活性炭(フタムラ化学株式会社製「CG48SR」)を80g充填したものであり、この吸着材槽1の一端(図面において下端)を、トルエン(C6H5CH3)が供給された三角フラスコ2に流入流路3を介して連通連結すると共に、三角フラスコ2は大気に連通するよう空気流入口4が設けられている。吸脱着材槽1の他端(上端)に接続された排出流路5には真空ポンプ6が設けられ、さらに真空ポンプ6の下流側には濃度センサであるガスクロマトグラフィー16が接続されている。また吸脱着材槽1には一端部、中央部、そして他端部に温度計7、8、9が設けられていて、槽内温度を測定するようになっている。
この状態で真空ポンプ6を駆動させると、真空ポンプ6の吸引量が空気流入口4から流入する空気量よりも勝るため、減圧状態となってトルエンが気化(バブリングによる気化)し、これによってトルエンガスが吸脱着材槽1に供給され、該供給されたトルエンガスは活性炭に吸着される。
そして排出流路5を流れる排気中のトルエン濃度が100ppmになった時点で真空ポンプ6を停止し、吸着工程を終了する。斯かる吸着工程で活性炭に吸着されたトルエン量を、吸着工程の前後での三角フラスコの重量測定により算出したところ34.0gであり、また吸着ガス中のトルエン濃度は4560ppmであった。
また図1(B)は脱着工程の概略を示すものであるが、脱着材槽1の他端に220℃の過熱蒸気発生装置10を蒸気供給路11を介して接続する一方、一端は脱着流路12を介して水道水を冷媒とする凝縮器13に接続し、脱着材槽1から脱着したトルエンと水とをビーカー14に液化回収した。尚、17は過熱蒸気用の温度計である。
トルエンの脱着量は、脱着材槽全体を精密天秤(最小計測単位:0.1g、最大計測量:22kg)を用いて脱着工程のあいだ秤量しつづけ、脱着開始後から適宜時間を経過したときの秤量差を脱着量とした。図2(A)の表図に脱着時間、脱着量、脱着率を、図2(B)に脱着時間と脱着率との関係を示したグラフ図を示す。
これによると、前記実施の形態では、凡そ15分で吸着したトルエンの殆どが脱着したと判断できる。
<実用化段階にレベルアップした実施の形態>
前記基礎実験において、加熱蒸気を用いてトルエンを効率よく脱着し回収できることが確認できたので、次に前記基礎実験に対し約170倍にした実用化レベルにレベルアップしての実施の形態を試みた。
図3(A)に示すように、前記基礎実験で用いたと同じ活性炭の13.5kgを投入した吸脱着槽15を用意し、ここにトルエン気化器19を接続した。そして真空ポンプ6で吸引し、トルエンを吸脱着槽15内の活性炭に、同様にして排気流路中のトルエン濃度が100ppmになるまで吸着させた。このときの活性炭のトルエン吸着量は4.20kgであり、吸着ガス中のトルエン濃度は5000ppmであった。
このようにしてトルエンを吸着した吸脱着槽15に対し、ボイラ18を用いて過熱した220℃の過熱蒸気を流入してトルエンを脱着させ、同様にして液化回収したが、脱着時間が1時間33分となったところで脱着を停止した。トルエンの脱着量(回収量)は4.11kg、脱着率(回収率)は97.9%であった。
実用化段階のもので実験を繰り返したところ、脱着中は吸脱着槽15の温度計は、凡そ110℃までを示したが、前記脱着終了の脱着量に近づくと、吸脱着槽15の上流側の温度計から順次過熱蒸気の温度に近いところまで急激に上昇することが確認された。これはトルエンの脱着時の脱着熱(気化熱)を受けて供給される過熱蒸気の温度がバランス状態で低下したものと推論され、このことから、実用化レベルでの脱着終了は、吸脱着槽15における排出端部の温度が過熱蒸気の温度に上昇したことで簡単に確認することでき、ここに本発明を完成した。
このことから、有機溶剤の吸脱着をして回収する場合に、過熱蒸気による脱着は有効であるが、脱着しようとする有機溶剤の沸点よりも高い温度の加熱蒸気で脱着することが必要であるといえる。
前記基礎実験において、加熱蒸気を用いてトルエンを効率よく脱着し回収できることが確認できたので、次に前記基礎実験に対し約170倍にした実用化レベルにレベルアップしての実施の形態を試みた。
図3(A)に示すように、前記基礎実験で用いたと同じ活性炭の13.5kgを投入した吸脱着槽15を用意し、ここにトルエン気化器19を接続した。そして真空ポンプ6で吸引し、トルエンを吸脱着槽15内の活性炭に、同様にして排気流路中のトルエン濃度が100ppmになるまで吸着させた。このときの活性炭のトルエン吸着量は4.20kgであり、吸着ガス中のトルエン濃度は5000ppmであった。
このようにしてトルエンを吸着した吸脱着槽15に対し、ボイラ18を用いて過熱した220℃の過熱蒸気を流入してトルエンを脱着させ、同様にして液化回収したが、脱着時間が1時間33分となったところで脱着を停止した。トルエンの脱着量(回収量)は4.11kg、脱着率(回収率)は97.9%であった。
実用化段階のもので実験を繰り返したところ、脱着中は吸脱着槽15の温度計は、凡そ110℃までを示したが、前記脱着終了の脱着量に近づくと、吸脱着槽15の上流側の温度計から順次過熱蒸気の温度に近いところまで急激に上昇することが確認された。これはトルエンの脱着時の脱着熱(気化熱)を受けて供給される過熱蒸気の温度がバランス状態で低下したものと推論され、このことから、実用化レベルでの脱着終了は、吸脱着槽15における排出端部の温度が過熱蒸気の温度に上昇したことで簡単に確認することでき、ここに本発明を完成した。
このことから、有機溶剤の吸脱着をして回収する場合に、過熱蒸気による脱着は有効であるが、脱着しようとする有機溶剤の沸点よりも高い温度の加熱蒸気で脱着することが必要であるといえる。
本発明は、トルエン等のの有機溶剤を吸着した活性炭から有機溶剤を脱着回収するための分野に産業上の利用可能性がある。
1 吸脱着槽
3 流入流路
5 排出流路
6 真空ポンプ
10 過熱蒸気発生装置
11 蒸気供給路
12 脱着流路
13 凝縮器
14 ビーカー
15 吸脱着槽
16 トルエン気化器
3 流入流路
5 排出流路
6 真空ポンプ
10 過熱蒸気発生装置
11 蒸気供給路
12 脱着流路
13 凝縮器
14 ビーカー
15 吸脱着槽
16 トルエン気化器
Claims (2)
- 有機溶剤が吸着された活性炭が投入された吸脱着槽から前記有機溶剤を脱着回収するための回収する方法であって、該方法は、
吸脱着槽に、前記吸着された有機溶剤の沸点よりも高温の過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給工程と、
該過熱蒸気が供給される吸脱着槽の供給下流側の温度が供給される過熱蒸気の温度になったときを脱着終了と判断する脱着終了判断工程と、
の各工程を備えていることを特徴とする活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法。 - 過熱蒸気は、温度が100〜300℃、供給圧力が0.1〜0.2MPa、活性炭1kgに対する流量が1〜5kg/minであることを特徴とする請求項1記載の活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009287385A JP2011125800A (ja) | 2009-12-18 | 2009-12-18 | 活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法 |
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JP2009287385A Pending JP2011125800A (ja) | 2009-12-18 | 2009-12-18 | 活性炭が吸着した有機溶剤の脱着回収方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011125800A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104353324A (zh) * | 2014-11-05 | 2015-02-18 | 朱忠良 | 具有甲苯的尾气的回收处理方法 |
JP2016007596A (ja) * | 2014-06-26 | 2016-01-18 | 株式会社栗本鐵工所 | 揮発性有機化合物処理装置の制御方法 |
KR102329042B1 (ko) * | 2020-12-22 | 2021-11-19 | 한국수력원자력 주식회사 | 방사성물질 탈착곡선에 의한 열처리 반응종료점 결정 방법 및 시스템 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62194422U (ja) * | 1986-05-30 | 1987-12-10 | ||
JPH03193113A (ja) * | 1989-12-22 | 1991-08-22 | Kobe Steel Ltd | 溶剤回収装置 |
JPH0445526U (ja) * | 1990-08-15 | 1992-04-17 |
-
2009
- 2009-12-18 JP JP2009287385A patent/JP2011125800A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
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