JP2011125541A - ゴルフクラブヘッド及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】耐久性の向上等のためにフェース面にめっき層が形成されており、かつスコアラインの溝側面とフェース面とが交わる縁の精度が高いゴルフクラブヘッドとその製造方法を提供する。
【解決手段】ヘッド母体５の少なくともフェース面２にめっき層６を形成し、次いで溝加工してスコアライン３を形成することによりゴルフクラブヘッド１を製造する。好ましくは、このヘッド母体５のフェース面を面削加工して規定の平面度に仕上げる。必要に応じフェース面２にブラスト処理を施し、艶消しする。ブラスト処理の代りにミーリング加工を施してもよい。ミーリング加工は、スコアラインの形成前であってもよく、形成後でもよい。
【選択図】図２

Description

本発明は、ゴルフクラブヘッド及びその製造方法に係り、特にアイアン型ゴルフクラブヘッドとして好適なゴルフクラブヘッド及びその製造方法に関する。

アイアン型ゴルフクラブヘッドにあっては、フェース面にスコアラインと称される溝が設けられている。また、フェース面の硬度を高くしたり、耐食性や美感向上等のために、少なくともフェース面にめっき層を形成することが多い。

従来、めっき層付きのアイアン型ゴルフクラブヘッドを製造する場合、スコアラインを形成する前のヘッド母体の少なくともフェース面に溝加工を施してスコアラインを形成し、その後めっきする（特開平１０−２７７１８５の０００７段落）。なお、同０００７段落では、その後、めっき層にブラスト処理を施してバックスピンがかかり易くなるようにしている。

フェース面にミーリング加工（ｍｉｌｌｉｎｇ。フライス盤による切削加工）を施すことにより切削痕を形成したゴルフクラブヘッドが特開２００８−２３１７８に記載されている。同公報の００３９段落では、めっき層を設けることなくこのミーリング加工を施すのが好ましいと記載されている。

特開平１０−２７７１８５ 特開２００８−２３１７８

上記特開平１０−２７７１８５のように、ヘッド母体のフェース面に溝加工してスコアラインを形成した後、めっき処理した場合、スコアラインの溝側面とフェース面とが交わる縁の精度が低くなる。即ち、ヘッド母体のフェース面に溝加工してスコアラインを形成した場合、溝側面とフェース面とが交わるスコアラインの縁は理想の縁形状となっているが、耐久性の向上等のためにめっき層を形成すると、めっき層にも厚さがあるため、縁の精度が低下する。

本発明は、このような問題点を解決し、耐久性の向上等のためにフェース面にめっき層が形成されており、かつスコアラインの溝側面とフェース面とが交わる縁の精度が高いゴルフクラブヘッドとその製造方法を提供することを目的とする。

請求項１のゴルフクラブヘッドは、フェース面にスコアラインが設けられたゴルフクラブヘッドにおいて、フェース面にスコアラインを形成する前のヘッド母体の少なくともフェース面にめっき層を形成した後、溝加工してスコアラインを形成したことを特徴とするものである。

請求項２のゴルフクラブヘッドは、請求項１において、めっき層形成前のヘッド母体のフェース面が面削加工されていることを特徴とするものである。

請求項３のゴルフクラブヘッドは、請求項１又は２おいて、めっき層は無電解めっき層であることを特徴とするものである。

請求項４のゴルフクラブヘッドの製造方法は、フェース面にスコアラインが設けられたゴルフクラブヘッドを製造する方法において、フェース面にスコアラインを形成する前のヘッド母体の少なくともフェース面にめっき層を形成する工程と、該めっき層を形成したフェース面にスコアラインを形成する溝加工工程とを有することを特徴とするものである。

請求項５のゴルフクラブヘッドの製造方法は、請求項４において、前記めっき層を形成する工程の前に、前記ヘッド母体のフェース面に面削加工を施すことを特徴とするものである。

請求項６のゴルフクラブヘッドの製造方法は、請求項４又は５において、めっき層をブラスト処理する工程を有することを特徴とするものである。

本発明によって提供されるゴルフクラブヘッドは、ヘッド母体のフェース面にめっき層が形成されているため、このめっき層として耐久性や美感に優れるものを用いることにより、ゴルフクラブヘッドが耐久性等に優れたものとなる。

また、本発明によって提供されるゴルフクラブヘッドは、ヘッド母体のフェース面にめっき層を形成した後、溝加工してスコアラインを形成したものである。そのため、スコアラインの溝側面とフェース面とが交わる縁（以下、スコアラインの縁ということがある。）の寸法形状が高精度になるように溝加工した後に、このスコアラインの縁にめっき層が形成されて寸法精度が低下することがない。これにより、本発明によって提供されるゴルフクラブヘッドは、スコアラインの縁の寸法精度が良好なものとなる。

本発明では、めっき層形成前にヘッド母体のフェース面を面削処理した場合、フェース面の面精度が高くなる。

ミーリング処理を施すことにより、バックスピンがかかり易くなる。また、ブラスト処理を施すことにより、バックスピンがかかり易くなったり、フェース面の艶消しを行うことができる。

めっき層として、無電解めっき層を形成すると、均一な層厚のめっき層を形成することが容易である。ただし、めっき層は電解めっき層であってもよい。

実施の形態に係るアイアン型ゴルフクラブヘッドの正面図である。 スコアラインの形成方法を示すフェース面の断面図である。

以下、図１，２を参照して実施の形態について説明する。

図１はゴルフクラブヘッド１の正面図であり、フェース面２に多数のスコアライン３が形成されている。ゴルフクラブヘッド１に設けられたホゼル部４にシャフトを差し込み、接着剤で固定することによりゴルフクラブが構成される。

このゴルフクラブヘッド１は、図２のように、鉄系材料、アルミ、チタン等の金属材料よりなるヘッド母体５の少なくともフェース面２にめっき層６を形成し、次いで溝加工してスコアライン３を形成することにより製造されたものである。

好ましくは、スコアライン３の入口側の溝幅は０．６〜０．９ｍｍであり、深さは０．２〜０．５ｍｍである。この実施の形態では、スコアライン３は台形断面形状であり、フェース面と溝側面との角度θは４５〜８０°程度の角度となっているが、θ＝９０°とした直角溝であってもよい。また、スコアライン３は略Ｕ字形又は略半楕円形の断面形状であってもよい。

めっき層６としては、クロムめっき、ニッケルめっきなどの１層又は２層以上よりなることが好適であり、その厚さ（複数層よりなる場合は、合計の厚さ）は５〜６０μｍ特に１５〜５０μｍ程度が好適である。

めっき層６を形成するには、無電解めっき、電解めっきのいずれによってもよいが、電解めっきに比べて均一厚さのめっき層を容易に形成できることから、無電解めっきが好ましい。無電解めっきとしては、ニッケルリンめっきなどが好適である。

このゴルフクラブヘッド１は、好適には次の方法によって製造される。

まず、鋳造や鍛造によってヘッド母体５を製造する。このヘッド母体５は、まだスコアライン３が形成されていないことを除き、ほぼゴルフクラブヘッド１と同じ形状、大きさのものである。

次に、好ましくは、このヘッド母体５のフェース面を面削加工して規定の平面度に仕上げる。この面削加工を行うには、ヘッド母体５を固定しておき、切削機械によってフェース面を切削するのが好ましい。

次に、このヘッド母体５の少なくともフェース面２にめっき処理してめっき層６を形成する。なお、めっき層はフェース面２のみに設けられてもよく、さらにその他の部分にも設けられてもよい。例えば、めっき層はヘッド母体の全体に設けられてもよい。

次に、フェース面２に溝加工を施してスコアライン３を形成する。溝加工用の切削工具（エンドミル）の形状には特に限定はなく、例えば図２（ｂ）のスコアライン３の側面の角度θと同一角度のテーパ状としてもよい。また、切削工具の下半側の形状を該角度θと同一角度のテーパ状とし、上半側を該下半側よりも勾配の大きい（すなわち、該上半側の側面とフェース面２とのなす角度が該角度θよりも小さい）テーパ状とし、下半側と上半側との境界部を滑らかに連ならせた形状としてもよい。この切削工具を用い、該境界部がめっき層６の表面と同一高さになるようにして溝加工することにより、スコアライン３の溝側面とフェース面２とが交わる縁（以下、スコアラインの縁ということがある。）Ｅを該切削工具の境界部に倣う形状とすることができる。また、必要であれば、スコアラインの形成後に、該縁Ｅのバリ取りをしてもよい。

なお、このスコアライン３の形成前に、又は形成後に、必要に応じフェース面２にブラスト処理を施してもよい。このブラスト処理を施すことにより、めっき面が艶消し調となる。ブラスト処理は、図１に示すスコアライン形成領域Ｓにのみ施し、プレーヤーにボールヒット面を視覚的に暗示するのが好ましいが、フェース面の全体に施してもよく、ヘッドの裏面にも施してもよい。このブラスト処理により、フェース面の摩擦係数増加効果も期待できる。ブラスト処理としては、サンドブラスト、ショットブラストなどが例示される。ブラスト処理は、スコアラインの形成前及び形成後のいずれであってもよい。ただし、スコアラインの縁Ｅの精度を保つために、ブラスト処理はスコアラインの形成前にするのが好ましい。

以上の工程によりゴルフクラブヘッド１が製造されるが、上記のブラスト処理は省略されてもよい。また、上記工程に加えて、さらにヘッド母体５に対しミーリング加工を施す工程を加えてもよい。

このミーリング加工は、例えばフライス盤によってフェース面を浅く切削して細かい凹条（溝）を多数形成するものである。ミーリング加工を施すとフェース面の摩擦係数が高くなり、バックスピンがかかり易くなる。ミーリング加工による切削痕の条間のピッチは０．１〜1ｍｍ程度が好ましい。ミーリング加工を行う場合にあっても、その上に形成されるめっき層の厚さは、前述の通り５〜６０μｍが好適である。ミーリングの高さをゴルフ規則の上限値である２５μｍとした場合には、めっき層の厚さは１５〜５０μｍが好適である。ミーリングはレーザーにより形成してもよい。

なお、上記のようにヘッド母体５に対してミーリング加工することに代えて、ヘッド母体５にめっき層６を形成した後に、このめっき層６に対してミーリング加工してもよい。この場合、フェース面２のめっき層６のみにミーリング加工を施し、その下側のヘッド母体５まではミーリング加工を施さないようにするのが好ましい。これにより、めっき層６の下側のヘッド母体５が露出して発錆することが防止される。ゴルフ規則上、ミーリングの高さ（条痕の深さ）は２５μｍ以下と規定されているので、めっき層６の厚さを２５μｍ以上とするのが好ましい。ミーリング加工は、スコアライン３の形成前又はスコアライン３の形成後のいずれのときに行ってもよい。

かかる実施の形態に係るゴルフクラブヘッド１は、ヘッド母体５のフェース面２にめっき層６を形成した後、溝加工してスコアライン３を形成したものである。このようにめっき層６の形成後に溝加工するため、溝加工によって精度良くスコアライン３の縁Ｅを形成した後に、該縁Ｅにめっき層６が被覆されて該縁Ｅの寸法精度が低下することが防止される。

上記のスコアラインの縁Ｅは、角張った角縁としてもよく、角の取れた円縁としてもよい。円縁の有効半径は０．０５Ｒ〜０３Ｒとするのが好ましく、特に０．１Ｒ〜０．２Ｒとするのが好ましい。これにより、ボールが傷付き難くなると共に適度なバックスピンをかけることができるようになる。

めっき層６を形成する前にヘッド母体５のフェース面２を面削処理した場合、フェース面２の面精度が高くなる。

上記実施の形態では、ゴルフクラブヘッド１はアイアン型ゴルフクラブヘッドであるが、ゴルフクラブヘッドのフェース面を金属材とし、他の少なくとも一部をカーボン、合成樹脂、繊維強化合成樹脂、セラミックなどで構成した複合型ゴルフクラブヘッドに対しても本発明を適用することができる。

本実施の形態では、ヘッド母体５にめっき層６のみを形成しているが、ヘッド母体５とめっき層６との間及び／又はめっき層６の上面に他の層を形成してもよい。例えば、ヘッド母体５の表面を浸炭又は窒化して硬質層を形成してもよく、ヘッド母体５とめっき層６との間及び／又はめっき層６の上面にカーボン層（例えばダイヤモンドライクカーボン層）等の層を形成してもよい。

１ ゴルフクラブヘッド
２ フェース面
３ スコアライン
４ ホゼル部
５ ヘッド母体
６ めっき層

Claims (6)

1. フェース面にスコアラインが設けられたゴルフクラブヘッドにおいて、
   フェース面にスコアラインを形成する前のヘッド母体の少なくともフェース面にめっき層を形成した後、溝加工してスコアラインを形成したことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 請求項１において、めっき層形成前のヘッド母体のフェース面が面削加工されていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
3. 請求項１又は２おいて、めっき層は無電解めっき層であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
4. フェース面にスコアラインが設けられたゴルフクラブヘッドを製造する方法において、
   フェース面にスコアラインを形成する前のヘッド母体の少なくともフェース面にめっき層を形成する工程と、
   該めっき層を形成したフェース面にスコアラインを形成する溝加工工程と
   を有することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
5. 請求項４において、前記めっき層を形成する工程の前に、前記ヘッド母体のフェース面に面削加工を施すことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
6. 請求項４又は５において、めっき層をブラスト処理する工程を有することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。

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