JP2011123943A - 磁気記録媒体再生装置、磁気記録媒体、および、磁気記録媒体再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体再生装置、磁気記録媒体、および、磁気記録媒体再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁性細線でトラックを形成した磁気記録媒体を対象として、磁区の移動によるデータの消失を防ぐと共に、磁性細線の記録層を有効に記録、保存、再生に活用し、実質的に使用されていない空き容量を減少させることができる磁気記録媒体再生装置、これに用いる磁気記録媒体、および、磁気記録媒体再生方法を提供する。
【解決手段】パルス電流を、磁性細線5の一端から他端に向かう細線方向に供給する電流供給手段10と、磁性細線5の書込領域にデータの記録を行うデータ記録手段20と、読出領域に記録されているデータを再生するデータ再生手段30と、あふれデータ検出領域に記録されているデータを検出するあふれデータ検出手段40と、あふれデータ検出手段40で検出されたデータを、再書込領域に再度記録するあふれデータ再記録手段50と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気記録媒体から磁気的にデータを読み出す再生装置、特にトラックが細線状の磁性体で形成された磁気記録媒体を適用して、パルス電流を供給することでトラック内で磁区を移動させながら再生する磁気記録媒体再生装置、これに用いる磁気記録媒体、および、磁気記録媒体再生方法に関する。
ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置は、扱われる情報量の増大に伴い、高記録密度化ならびに記録や再生の高速化が進められている。高記録密度化に伴い、HDD等に使用される磁気ディスク等の記録媒体のトラックは狭ピッチ化し、このような微小な領域の磁気を検出するために、記録・再生方式はGMR(Giant MagnetoResistance:巨大磁気抵抗効果)素子等からなる磁気ヘッドによる磁気記録方式が採用されている。
磁気ディスクにおける記録および再生は、ディスクをスピンドルモータで回転駆動させ、磁気ヘッドをディスクの径方向のみに移動させることで、トラックに沿って(ディスクの周方向に)所定方向に磁化する(記録する)、または磁気を検出する(再生する)。このようなディスクにおいて記録および再生を高速化するためには、ディスクの回転速度を速くすることが第一に挙げられる。しかし、記録においてはトラックの磁化、再生においては磁気の検出にそれぞれ要する時間、ならびにディスクの振動による誤動作等の問題から、回転速度の高速化には限界がある。
そこで、記録媒体を駆動させずに記録または再生領域を移動する方法として、特許文献1には、細線状の磁性体(以下、適宜「磁性細線」)をU字型等に形成してトラックとしたメモリデバイスが開示されている。これは、磁性体を細線状に形成すると、その長さ方向に磁区が形成され、さらに当該長さ方向に電流を供給すると磁区同士を区切る磁壁がシフト移動する特性を利用したものである。すなわち、トラック(磁性細線)上の所定の一箇所(特許文献1ではU字型の頂部)に記録用および再生用の各磁気ヘッドを固定させて、両端から電流を可逆的に供給して所望の磁区をヘッドに対向する位置に移動させる。
米国特許第6834005号明細書
特許文献1では、ランダムアクセス方式によるデータの書換えを可能とするために、U字型を多数直列に接続した波型の磁性細線をさらに並列に設けて、U字型の頂部のそれぞれに磁気ヘッドを備える形態としているが、磁性細線を3次元に形成する必要があり、記録媒体の構造が複雑化する。また、この技術では、データの消失を防ぐため、磁性細線の記録層における空き容量が大量に必要となり、磁性細線の半分しかデータの記録および再生に使用できないという問題がある。
本発明は前記問題点に鑑み創案されたもので、磁性細線でトラックを形成した磁気記録媒体を対象として、磁区の移動によるデータの消失を防ぐと共に、磁性細線の記録層を有効に記録、保存、再生に活用し、実質的に使用されていない空き容量を減少させることができる磁気記録媒体再生装置、これに用いる磁気記録媒体、および、磁気記録媒体再生方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る磁気記録媒体再生装置は、基板上に磁性体を細線状に形成してなる磁性細線をデータの記録領域として有して、前記磁性細線に、2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして当該磁性細線の細線方向に連続して記録された磁気記録媒体を備えて、前記磁性細線に記録されているデータを再生する磁気記録媒体再生装置であって、前記磁気記録媒体の前記磁性細線の両端に接続し、前記磁性細線において前記2値の一方のデータを記録された領域と前記2値の他方のデータを記録された領域との間に生成している磁壁を断続的に移動させるパルス電流を、前記磁性細線の一端から他端に向かう細線方向に供給する電流供給手段と、前記磁性細線に予め定めた読出領域に接続し、前記パルス電流に同期して、前記読出領域に記録されているデータを再生するデータ再生手段と、前記磁性細線の前記一他端側の端部に予め定めたあふれデータ検出領域に接続し、前記パルス電流に同期して、前記あふれデータ検出領域に記録されているデータを検出するあふれデータ検出手段と、前記磁性細線の前記他端側の端部に予め定めた再書込領域に接続し、前記パルス電流に同期して、前記あふれデータ検出手段で検出されたデータを、前記再書込領域に再度記録するあふれデータ再記録手段と、を備えることを特徴とする。
かかる構成により、磁気記録媒体再生装置は、パルス電流を供給することで磁気記録媒体の磁性細線中をその細線方向に1つのデータを記録された領域がこの領域の距離ずつ移動して、データ再生のための固定された領域である読出領域におけるデータが順番に入れ替わるので、スピンドルモータ等の回転駆動手段によることなく、磁気記録媒体本体を固定した状態で高速でデータを移動させることができる。そして、データ再生手段により、読出領域に移動したデータが再生される。さらに、あふれデータ検出手段により、磁性細線の先端部に移動したデータが検出される。そして、検出されたデータは、あふれデータ再記録手段により、磁性細線の後端部に再度記録される。これにより、磁壁(磁区)の移動によるデータの消失が防止される。なお、先端部とは、磁壁の移動が終了する側(パルス電流の供給を開始する側)である磁性細線の一端側の端部をいい、後端部とは、磁壁の移動が開始する側である磁性細線の他端側の端部をいう。
本発明の請求項2に係る磁気記録媒体再生装置は、前記あふれデータ検出手段は、当該あふれデータ検出手段から、前記あふれデータ再記録手段に、前記あふれデータ検出手段で検出されたデータを伝送し、前記あふれデータ再記録手段は、前記あふれデータ検出手段から伝送されたデータを、前記再書込領域に再度記録することを特徴とする。
かかる構成により、あふれデータ検出手段からあふれデータ再記録手段へデータが伝送されることで、複雑な機構を用いずに、データの伝送を容易に行うことが可能となる。
本発明の請求項3に係る磁気記録媒体再生装置は、さらに、磁気記録媒体が、円盤形状の基板に磁性細線が円環状に形成され、磁性細線が円環の一部を欠いた形状であることが好ましい。
かかる構成により、磁気記録媒体を従来公知の記録媒体と同様の外形とし、また磁気記録媒体の大きさが制限されても、磁性細線を屈曲させることなく基板上に長く連続した形状とすることができるので、磁気記録媒体再生装置を大型化する必要がない。
本発明の請求項4に係る磁気記録媒体再生装置は、さらに、前記磁性細線の幅が、200nm以下であることが好ましい。
かかる構成により、磁性細線の長手方向に磁区が区切れやすくなり、また、磁区の移動速度が向上する。
また、本発明の請求項5に係る磁気記録媒体再生装置は、前記磁性細線において、前記磁壁の移動方向に対して、前記データ再生手段の手前側の位置に予め定めた書込領域に接続し、前記パルス電流に同期して、前記書込領域にデータを記録するデータ記録手段をさらに備えることを特徴とする。
かかる構成により、磁気記録媒体再生装置は、任意のデータの記録を行う記録装置としての機能も有する。
本発明の請求項6に係る磁気記録媒体は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の磁気記録媒体再生装置に用いられる磁気記録媒体であって、前記磁気記録媒体再生装置から脱着可能であり、前記磁性細線と共に、前記データ再生手段を構成するデータ再生用素子と、前記あふれデータ検出手段を構成するあふれデータ検出用素子と、前記あふれデータ再記録手段を構成するあふれデータ再記録用素子と、を備えて構成されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る磁気記録媒体は、請求項5に記載の磁気記録媒体再生装置に用いられる磁気記録媒体であって、前記磁気記録媒体再生装置から脱着可能であり、前記磁性細線と共に、前記データ記録手段を構成するデータ記録用素子と、前記データ再生手段を構成するデータ再生用素子と、前記あふれデータ検出手段を構成するあふれデータ検出用素子と、前記あふれデータ再記録手段を構成するあふれデータ再記録用素子と、を備えて構成されていることを特徴とする。
かかる構成により、磁気記録媒体再生装置から脱着可能であり、交換可能な磁気記録媒体とすることができる。
また、本発明に係る磁気記録媒体再生方法は、基板上に磁性体を細線状に形成してなる磁性細線をデータの記録領域として有して、前記磁性細線に、2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして当該磁性細線の細線方向に連続して記録された磁気記録媒体の、前記磁性細線に記録されているデータを再生する磁気記録媒体再生装置の磁気記録媒体再生方法であって、電流供給工程と、データ再生工程と、あふれデータ検出工程と、あふれデータ再記録工程と、を行う。
かかる方法によれば、電流供給工程により、前記磁気記録媒体の前記磁性細線の両端に接続した電流供給手段によって、前記磁性細線において前記2値の一方のデータを記録された領域と前記2値の他方のデータを記録された領域との間に生成している磁壁を断続的に移動させるパルス電流が、前記磁性細線の一端から他端に向かう細線方向に供給される。次に、データ再生工程により、前記磁性細線に予め定めた読出領域に接続したデータ再生手段によって、前記パルス電流に同期して、前記読出領域に記録されているデータが再生される。そして、あふれデータ検出工程により、前記磁性細線の前記一端側の端部に予め定めたあふれデータ検出領域に接続したあふれデータ検出手段によって、前記パルス電流に同期して、前記あふれデータ検出領域に記録されているデータが検出される。次に、あふれデータ再記録工程により、前記磁性細線の前記他端側の端部に予め定めた再書込領域に接続したあふれデータ再記録手段によって、前記パルス電流に同期して、前記あふれデータ検出工程で検出されたデータが、前記再書込領域に再度記録される。
これにより、スピンドルモータ等の回転駆動手段によることなく、磁気記録媒体本体を固定した状態でデータを再生することができる。また、磁気記録媒体のデータの再生において、磁壁(磁区)の移動によるデータの消失が防止される。
本発明に係る磁気記録媒体再生装置によれば、磁区の移動によるデータの消失を防ぐことができるため、磁性細線の記録層における空き容量を減少させることができる。また、磁性細線を使用し、磁区を移動させることで、データの再生を行うことができるため、ディスクを回転駆動させずに、転送レートを向上させることができる。さらに、磁性細線を面内に複数配列させた磁気記録媒体を、垂直方向にも複数枚積み重ねることにより、体積によって記録容量を増大させることができるため、ハイビジョン画像のような高密度データで構成される情報を少ない枚数で記録することができる。
本発明に係る磁気記録媒体によれば、磁気記録媒体を脱着可能なものとして、前記磁気記録媒体再生装置に用いることができる。
本発明に係る磁気記録媒体再生方法によれば、磁区の移動によるデータの消失を防ぐことできるため、磁性細線の記録層における空き容量を減少させることができる。また、磁性細線を使用し、磁区を移動させることで、データの再生を行うことができるため、ディスクを回転駆動させずに、転送レートを向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体再生装置を説明するための概略構成図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体再生装置の構成を模式的に説明する平面図、(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体再生装置に内蔵される磁気記録媒体の構成を模式的に説明する平面図である。 磁気記録媒体の磁性細線における磁区の移動を模式的に説明するトラック長方向の断面図である。 磁気記録媒体を構成する磁性細線、および、データ記録手段、データ再生手段の断面を示す模式図である。 あふれデータ検出手段により検出されたデータが、あふれデータ再記録手段に伝送されて、再度記録されることについて説明する説明図である。
以下、本発明に係る磁気記録媒体再生装置(以下、適宜「再生装置」)、磁気記録媒体、および、磁気記録媒体再生方法(以下、適宜「再生方法」)を実現するための形態について図を参照して説明する。
≪磁気記録媒体再生装置≫
図1、図2(a)に示すように、磁気記録媒体再生装置(再生装置)200は、磁性細線(トラック)5を備える磁気記録媒体100におけるトラック5の一端から他端に向かう細線方向(長さ方向)に電流を供給して、トラック5の他端から一端に向かう細線方向に沿って、磁壁DW(Domain Wall)および、後記するデータ領域(最小データ領域)である、磁壁DWで区切られる磁区Dを移動させることで、データ(情報)の再生や記録を行うものである。そして、再生装置200は、電流供給手段(電流供給部)10と、データ再生手段30と、あふれデータ検出手段40と、あふれデータ再記録手段50と、を主に備えている。さらに、データ記録手段20を備えることで、新たなデータを記録することができる。再生装置200において、磁気記録媒体100は、現行のDVD(Digital Versatile Disc)再生装置のように脱着可能(交換可能)としても、現行のHDD装置と同様に非可換としてもよい。なお、図1は、図2(a)の構成を模式的に図示したものである。ここで、図1は上部から見た平面図であるが、便宜上、磁性細線5の膜厚方向において上向きの磁化は、紙面上、上向きの矢印で示し、磁性細線5の膜厚方向において下向きの磁化は、紙面上、下向きの矢印で示している。以下、再生装置(記録再生装置)200の一例として、データ記録手段20を備えた再生装置(磁気記録媒体記録再生装置)200について説明する。
≪磁気記録媒体≫
磁気記録媒体100は、基板7(図1では、省略)上に磁性体を細線状に形成してなる磁性細線5をデータの記録領域として有して、磁性細線5に、2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして磁性細線5の細線方向に連続して記録されたものである。なお、磁化は磁性細線5の面内方向と垂直方向のどちらでもよいが、垂直方向がより好ましい。
また、磁気記録媒体100は、磁性細線5と共に、データ記録手段20を構成するデータ記録用素子(図4に示す「下部電極21、中間層22、上部電極23」)と、データ再生手段30を構成するデータ再生用素子(図4に示す素子系A)と、あふれデータ検出手段40を構成するあふれデータ検出用素子(図4に示す素子系Aに相当)と、あふれデータ再記録手段50を構成するあふれデータ再記録用素子(図4に示す「下部電極21、中間層22、上部電極23」に相当)と、を備えた構成として、再生装置200から脱着可能なものとしてもよい。なお、データ記録手段20を設けない場合は、データ記録用素子は設けなくてもよい。
再生装置200から脱着可能とした場合は、後記するように、例えば、データ記録用素子等と、再生装置200に設けられた書込回路24、読取回路36等(図4参照)の制御系とを配線で接続せずに、磁気記録媒体100に電極パッドを設け、磁気記録媒体100の外部に設けた前記制御系の電極コンタクト部に押し付ける等の方法で外部と信号のやり取りをする。また、電極パッドを介して、電極52,53(図2(b)参照)と電流供給手段10とを接続する。なお、書込回路24、読取回路36等も、データ記録用素子等の前記各素子と共に磁気記録媒体100に設け、磁気記録媒体100がデータ記録手段20等の前記各手段を備える構成としてもよい。
磁気記録媒体100の形状は特に限定されるものではないが、図2(b)に示すように、基板7を円盤形状とし、この基板7上に磁性細線5を円環状(同心円状)に形成して、磁性細線5を円環の一部を欠いた形状とすることが好ましい。なお、図2(b)では、便宜上、データ記録用素子等は省略している。
磁性細線5が矩形等の角がある形状であると、その角に磁区D(磁壁DW)がトラップされ、自由な動きが阻害され易くなるが、磁性細線5を円環状に形成することで、磁区Dが滑らかに動き易くなる。また、磁性細線5の円環の一部を切り欠くことで、磁性細線5の先端部と後端部を形成することができ、磁性細線5を電流供給手段10に接続することができる。さらに、磁気記録媒体100の大きさが制限されても、磁性細線5を屈曲させることなく基板7上に長く連続した形状とすることができるので、再生装置200を大型化する必要がない。ここでは、円盤状の磁気記録媒体100を例にして、その構成について説明する。
なお、本実施形態において、磁気記録媒体100は、その外形が現行の磁気ディスク等と同様に円盤形状であるので、適宜磁気ディスク100と称し、磁気ディスク100において、磁性細線5のそれぞれは、図2(b)に示すように平面視で円環の一部を欠いたC字型であり、現行の磁気ディスクや光磁気ディスクのデータの記録領域であるトラックの形状に類似するため、適宜「トラック」と称する。
図2(b)に示すように、本発明の一実施形態に係る再生装置200で再生されるデータを格納されている磁気ディスク100は、現行の磁気ディスクや光磁気ディスクと同様に円盤状の基板7をベースとして、表面(上面)にデータの記録(格納)領域として複数の磁性細線5,5,…が同心円状(円環状)に形成されている。それぞれの磁性細線5には、その長さ方向(細線方向)の所定の単位長さ(データ長)毎に、2値のデータ、すなわち「0」または「1」のデータを、磁性細線5の膜厚方向に対して、もしくは長手方向に対して、一方向またはその反対方向の磁化の磁区として記録されている。この磁性細線5の、1つのデータを格納された単位領域をデータ領域と称する。さらに、磁気ディスク100は、前記したように磁性細線5中でデータ領域を移動させるため、磁性細線5,5,…には、その両端に一対の電極52,53が接続され、円盤状の基板7の上に絶縁層6を介して形成されている。
次に、磁気記録媒体100の磁性細線5について、説明する。
[磁性細線]
磁性細線5は、磁気記録媒体100にデータを記録するための記録領域である。磁気ディスク100の磁性細線(トラック)5は強磁性材料からなり、特に膜面に垂直な方向の磁化を有し、例えば、垂直磁気異方性材料で形成されることが好ましい。そして、磁性細線5は、具体的にはNi、Fe、Co等の遷移金属やその合金、Pd、Pt等との積層膜を用いて形成されることが挙げられる。磁性細線5の厚さ(膜厚)は5〜100nm、幅(磁気ディスク100の径方向長さ)は10〜200nm、磁性細線5,5間は40〜200nmが好ましく、幅および間隔が短いほど、いわゆるトラックピッチが狭いほど磁気ディスク100の記録容量を大きくできる。また、磁性細線5の長さ方向長(トラック長)は、特に制限しないが、厚さおよび幅方向長に対して十分に長いものであればよい。さらに、磁気ディスク100におけるすべての磁性細線5が同じ長さでなくてもよいが、同時にデータを再生する(磁気を検出する)隣り合う所定本数の磁性細線5(以下、適宜「並列再生する磁性細線5」)同士は長さを揃えることが好ましい。磁気ディスク100では、磁性細線5が外周寄りほど長くなるので一律ではないが、厚さおよび幅方向長に対して十分に長いものであればよい。
磁性細線5の両端には、一対の電極52,53が接続されているが、電極52,53は、Cu,Al,Au,Pt,Ag等の金属やその合金のような一般的な電極用金属材料からなる。図2(b)ではそれぞれの磁性細線5の両端における当該磁性細線5上に積層されて設けられているが、並列再生する場合には、並列再生する磁性細線5の両端で並列に接続してもよい。また、電極52,53は、裏面(下面)に形成されてもよく、その場合は、電流供給手段10へ電気的に接続可能となるように基板7の一部が除去されて、図2(b)における電流供給手段10は磁気ディスク100の下面に接続される。なお、磁性細線5の下側が、磁性細線5の磁気特性を制御するための配向制御層、上側が、データを記録するための記録層となる(図4参照)。
ここで、磁性細線5の幅は、200nm以下とするのが好ましいが、これは、磁性細線5の幅を200nm以下とすることで、磁性細線5の長手方向に磁区Dが区切れやすくなり、かつ幅方向には複数の磁区Dが存在できなくなるため、また、磁壁DW(磁区D)の移動速度が向上する(約150m/sにまで向上させることができる)ためである。
また、磁気記録媒体100の平坦性の観点から、磁性細線5は、絶縁層6に埋設されていることが好ましい。
[磁気記録媒体の製造方法]
次に、磁気記録媒体100の製造方法の一例について、適宜、図1〜4を参照して説明する。
磁気記録媒体100は、例えば以下に示すように、磁性細線(トラック)5をダマシン法にて形成することで製造できる。まず、表面を熱酸化したSi基板やガラス基板等の公知の基板材料からなる基板7上に、SiO2やAl23等の絶縁膜をスパッタリング法等の公知の方法により成膜し、この絶縁膜に電子線リソグラフィーおよびイオンミリングや反応性イオンエッチング(RIE)等のエッチングで磁性細線5,5,…の形状の溝を形成して絶縁層6とする。その際、データ記録手段20の下部電極21を形成する部位には、下部電極21を形成できるように、さらに深い溝を形成する。そして、この下部電極21を形成する部位の溝を埋め込むように、スパッタ法等により、Cu等の導電材料を、膜厚400nm程度に堆積する。そして、堆積した導電材料の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法により研磨して平坦化し、導電材料で充填してなる下部電極21を形成する。
続いて、この絶縁層6の上に磁性材料をスパッタリング法等の成膜方法にて溝に堆積させた後、表面をCMP等で溝内以外の強磁性材料を除去して磁性細線5,5,…とする。なお、磁性細線5については、配向制御層1をスパッタ等により堆積したのち、同一真空中で記録層2も堆積する。配向制御層1は、磁性細線5の原子配列をうまく調整して、磁気特性を最適な状態に保つために設置するものである。配向制御層1の材料としては、例えば、Ta、W、Si、Cu、Ru、Cr、Pt、Au等を使用することができる。
次に、磁性細線5の一部を切り欠き、磁性細線5の両端を露出させ、磁性細線5の両端に、電極用金属材料をスパッタリング法等により成膜、フォトリソグラフィおよびエッチング、またはリフトオフ法等により加工して、電極52,53とする。そして、電極52,53、書込領域29、読出領域39、あふれデータ検出領域49、再書込領域59を除いて樹脂等で表面を被覆する。あるいは、磁性細線5を、その下地の絶縁膜(絶縁層6)を成膜した後にリフトオフ法にて形成し、その後に磁性細線5,5間に絶縁層6を堆積させてもよい。
そして、書込領域29に、中間層22、上部電極23をスパッタ法等により逐次成膜する。また、読出領域39に、下部電極31、磁化反転層32、中間層33、磁化固定層34、上部電極35をスパッタ法等により逐次成膜する。
なお、再書込領域59にも、書込領域29に製膜した場合と同様に、中間層、上部電極をスパッタ法等により逐次成膜し、あふれデータ検出領域49にも、読出領域39に製膜した場合と同様に、下部電極、磁化反転層、中間層、磁化固定層、上部電極をスパッタ法等により逐次成膜する。
<電流供給手段>
電流供給手段(電流供給部)10は、磁気記録媒体100の磁性細線5の両端に接続し、磁性細線5において2値の一方のデータ(例えば、「0」)を記録された領域と2値の他方のデータ(例えば、「1」)を記録された領域との間に生成している磁壁DW(磁区D)を、実質的に、断続的に移動させるパルス電流を、磁性細線5の一端から他端に向かう細線方向(長さ方向)に供給する手段である。すなわち、磁気記録媒体100の各磁性細線(トラック)5の両端に設けられた電極52,53(図2(b)参照)に接続して、パルス電流を磁性細線5へその細線方向に供給する。このパルス電流により、後記するように、磁性細線5中をデータを記録された領域が当該磁性細線5の細線方向(パルス電流とは逆方向)に沿って移動する。すなわち、本発明に係る再生装置および再生方法においては、磁気ディスク100はこのようにそれ自体が駆動するものではない。なお、ここでいう移動とは、磁性細線5に生成された磁壁DWが、パルス電流の供給に同期して、磁性細線5中を移動することをいう。移動の具体例は後記する。
なお、制御部8(図1参照)は、制御部8が備えるCPUにより、データを再生する磁性細線5を選択し、それに合わせて電流供給手段10に電流を供給する磁性細線5を指示する。例えば、磁性細線5が複数の場合、制御部(制御手段)8は、磁気ディスク100のトラック(磁性細線)5,5,…から、次に再生しようとするデータが格納されている隣り合う所定本数(2本以上)のトラック5、例えば、4本のトラック5を選択する。選択するトラック5は、例えば1回目の選択であれば、磁気ディスク100の最外周から1〜4番目のトラック5を選択するように、また2回目以降であれば、直前に再生された4本のトラック5に隣り合う、次の隣り合う4本を選択するように設定されていてもよい。あるいは、再生装置200外部からの操作により、任意のトラック5から隣り合う4本を選択できるように設定されていてもよい。このように、トラック(磁性細線)5の選択手段により、データを再生するトラック5を選択すればよい。
次に、磁気記録媒体100の磁性細線(トラック)5におけるデータ領域の移動について、図3を参照して説明する。
本実施形態においては、磁性細線5は垂直磁気異方性材料からなり、その磁化方向は上または下を示すため、データ「0」は下方向の磁化、「1」は上方向の磁化として、所定の単位長さ(データ長)のデータ領域に記録されているとする。この、磁性細線5に記録されている「0」、「1」のデータを格納データと称する。ここでは、1本の磁性細線5について、図3(a)に示すように、再生領域(読出領域あるいはあふれデータ検出領域)5ROに存在している第m番目のデータ領域(データ領域m)から4つの連続した格納データとして、「1001」が記録されている領域を採り上げて説明する。磁性細線5におけるデータ領域m〜m+3の領域は、磁化方向が上、下、下、上であるため、データ領域mに対応する磁区D1、データ領域m+1とデータ領域m+2の2つの連続する格納データに対応する磁区D2、データ領域m+3に対応する磁区D3、の3つの磁区が形成されている。データ長は、磁性細線5の幅および厚さにもよるが10〜200nmが好ましく、短いほど磁気ディスク100の記録容量を大きくでき、またトラック(磁性細線)5の1本における再生速度を速くすることができる。また、データ長は、磁性細線5毎に異なる長さとしてもよいが、1回の再生にて並列再生する所定本数の磁性細線5同士では同じ長さとすることが好ましい。
磁性細線5の、磁化方向の異なる磁区D1,D2間(データ領域m,m+1間)および磁区D2,D3間(データ領域m+2,m+3間)には、それぞれ磁壁DW1,DW2が生成される。すなわち、磁性細線5において、データ「0」を記録された領域とデータ「1」を記録された領域との間には磁壁が生成される。磁壁DW1内では磁区D1の磁化方向(上方向)から磁区D2の磁化方向(下方向)へと磁化が徐々に変化すなわち回転しており、磁壁DW2においても同様に磁化が回転している。磁壁DW1,DW2の領域の長さ(磁性細線5の長さ方向長)は、磁性細線5の幅および厚さならびにデータ長にもよるが、5〜100nm程度になる。
図3(a)においては、磁性細線5の再生領域5ROに磁区D1があるため、上向きの磁化が検出されて、データ領域mの格納データ「1」が再生データとなる。なお、磁化の検出方法の詳細は後記する。この磁性細線5に、図3(b)に示すように、その両端の電極52,53から、紙面上、左方向に所定の大きさの電流を供給して、紙面上、右方向に電子を注入する。すると、電子スピンのトルクに影響されて、磁壁DW1,DW2がそれぞれ、紙面上、右へ移動する。そして、磁壁DW1,DW2が1データ長の距離を移動するまでの時間tH電流を供給して、電流の供給を停止すると、図3(c)に示すように、磁性細線5の再生領域5ROに磁区D2が移動してきているため、下向きの磁化が検出されて、データ領域m+1の「0」が再生データとなる。再び磁性細線5に左方向に電流を時間tH供給して、磁壁DW1,DW2をさらに右へ1データ長移動させて電流の供給を停止すると、磁区D2はデータ領域m+1,m+2の2データ長の長さであるため、図3(d)に示すように、磁性細線5の再生領域5ROには引き続き磁区D2が配置して下向きの磁化が検出され、データ領域m+2の「0」が再生データとなる。また、さらに磁性細線5に電流を時間tH供給すると、磁性細線5の再生領域5ROに磁区D3が移動してくるため、上向きの磁化が検出されて、データ領域m+3の「1」が再生データとなる(図示省略)。
このように、磁性細線5への電流の所定時間の供給と停止とを繰り返すことで、磁壁すなわちその両側の磁区を一定の距離ずつ移動させては停止させることができる。すなわち、パルス幅(電流供給時間tH)を調整してパルス電流を供給することで、トラック(磁性細線)5におけるデータ領域を1データ長ずつ長さ方向(細線方向)にシフトさせて固定された再生領域5ROのデータ領域を順番に入れ替えることができる。このようにして、パルス電流に同期して、データの再生を行うことができる。なお、パルス電流における電流の停止時間tLは後記の磁気の検出に要する時間以上に設定すればよい。電流の大きさについては、磁性細線5の断面積あたりの電流密度を大きくすると磁壁移動速度が速くなるので、磁性細線5の幅と厚さ、および再生速度に基づいて設定し、磁壁移動方向と逆の一定の向きに電流を供給するため正または負のいずれかの直流とする。具体的には、電流密度10〜1013A/m、パルス幅tH1ps〜10μs、停止時間tL10ps〜10μsの範囲で調整することが好ましい。
<データ記録手段>
データ記録手段20は、磁性細線5に予め定めた書込領域29(図1参照)に接続し、パルス電流に同期して、書込領域29にデータを記録する手段であり、従来のハードディスク装置における書き込みと同様な信号処理によって、生成されたデータを磁性細線5へ記録する手段である。すなわち、磁性細線5に固定されている書込領域29において、電流供給手段10が供給するパルス電流に同期して、磁性細線5において磁壁DWの断続的な移動における静止時に、磁性細線5の書込領域29に到達しているデータ領域にデータを記録する手段である。データ記録手段20では、スピン注入磁化反転を用いて、磁性細線5の磁区状態を変化させることで、データの書き込みを行う。これにより、磁性細線5にデータが記録され、磁性細線5は磁気記録媒体100の記録領域となる。
図1、図2(a)に示すように、データ記録手段20は、磁壁DWの移動方向に対して、データ再生手段30の手前側の任意の所定位置、すなわち、データ再生手段30よりも前方(他端側の方向)の磁性細線5の一部を含む所定の領域に配置されている。そして、図4に示すように、データ記録手段20は、磁性細線5の配向制御層1の下部に位置する下部電極21と、磁性細線5の記録層2の上部に位置する中間層22および上部電極23と、下部電極21および上部電極23に配線を介して接続された書込回路24とを備えている。なお、前記したように、磁気記録媒体100を脱着可能とする場合には、例えば、書込回路24を配線で接続せずに、磁気記録媒体100の電極パッドと、書込回路24の電極コンタクト部との接触により、外部と信号のやり取りをする。
すなわち、データ記録手段20は、下部電極21(20a)、中間層22(20b)、上部電極23(20c)、書込回路24(20d)から構成される(図4では、便宜上、磁性細線5を含めてデータ記録手段20と符号を付している)。また、下部電極21、中間層22、上部電極23によって、データ記録用素子が構成される。なお、ここでは、上部電極23が磁性層、下部電極21が金属層である。そして、データ記録手段20のデータ記録用素子は、磁性細線5と一体となって、CPP−GMR(Current Perpendicular to Plane - Giant MagnetoResistance)素子型またはTMR(Tunneling MagnetoResistance)素子型の構造をもつスピン注入磁化反転素子構造を構成し、データ書込素子として機能する。
ここで、下部電極21と配向制御層1、中間層22と記録層2の間は、接している方が好ましいが、トンネル電子が流れる程度のわずかな距離であれば、離れていてもよい。離れている場合には、TMR素子の絶縁層のようなものが挟まっている状態と同様な状態であるといえる。TMR素子でも、スピン注入磁化反転は起こるためである。すなわち、「書込領域29に接続」とは、このようなわずかに離れている状態も含むものである。
また、下部電極21の材料としては、抵抗率の低いAu、Ag、Cu等の金属材料とする。上部電極23は、現在スピン注入磁化反転について研究されている材料であれば、ほぼどのような材料でも使用可能であり、例えばCo−Fe合金、CoFeSi等のホイスラー合金等が挙げられる。さらに上部電極23は、抵抗率の低い垂直磁気異方性材料であり、スピン偏極率が高い材料であることが好ましく、さらに記録層2よりも膜厚を大きく設定し、容易に磁化反転が起こらない構造とする。また中間層22の材料は、CPP−GMR素子でよく使用されている、CuやAgが好ましいが、TMR素子で利用されているAlやMgOであってもよい。
なお、データ記録手段20は、前記構成に限定されず、データの記録(書き込み)ができるものであれば、従来公知の磁気ヘッドを用いてもよい。また、磁性細線5におけるデータ記録手段20の位置も、データ再生手段30の手前であり、データの記録、再生、あふれ検出、再記録を阻害しない位置であれば、どの位置でもよい。
次に、データの記録方法について、具体的に説明する。
まず、磁壁移動電流として所定のパルス電流を電流供給手段10からトラック(磁性細線)5に供給し、磁区Dを区切る磁壁DWを移動させ、記録を行いたい磁区D(所望のデータ領域(単一あるいは連続した複数のデータ領域))をデータ記録手段20(データ書込素子)の上部電極23(中間層22)の直下(書込領域29)まで移動させる。書込領域29は、磁性細線5の磁区状態をスピン注入磁化反転により変化させるための領域であり、磁性細線5において1つのデータ領域に含まれる長さとする。書込領域29の位置は、当該磁性細線5(磁気ディスク100)において固定され、磁気ディスク100のすべてのトラック(磁性細線)5において、隣り合う磁性細線5,5における書込領域29が互いに近接するように設けられる。
次に、磁壁DWは、パルス電流に同期して、すなわち、パルス電流のパルスに合わせて、移動と停止を繰り返すが、この断続的な移動における静止時に、書込回路24からスピン電流を下部電極21および上部電極23を介して、磁性細線5に供給する。これにより、スピン電流の印加方向に対応して、データ記録手段20の上部電極23(中間層22)の直下に位置する磁性細線5のデータ領域が上向きまたは下向きに磁化され(制御され)、例えば1つのデータ領域に1ビット(0または1)のデータが記録される。
具体的には、上部電極23が上方向の磁化を持つ場合には、データ記録手段20において、伝導電子が上部電極23から下部電極21へ供給された場合、上部電極23の磁化方向に伝導電子のスピンが整列され、そのまま磁性細線5の記録層2へ注入される。したがって、スピン注入磁化反転によって、記録層2には、上向きの磁化が書き込まれる。
すなわち、上部電極23から下部電極21へ供給された電子は、上部電極23の磁化方向と同じ方向の磁気モーメントを有するスピン(すなわち、上方向)を持ち、磁区Dに流入する。このスピンの持つ角運動量が、磁区Dに伝達され、磁区D中の局在する原子の磁気モーメントに作用し、磁区Dの磁化を上部電極23の磁化方向と同じ方向に反転させることができる。
逆に、下部電極21から上部電極23へ電子が供給された場合には、上部電極23の磁化方向と逆方向に伝導電子のスピンが整列され、スピン注入磁化反転の原理にしたがって、記録層2には、下向きの磁化が書き込まれる。
すなわち、上部電極23の磁化方向と同じ方向の磁気モーメント有するスピン(すなわち、上方向)を持つ電子は、上部電極23を容易に通過できるのに対して、上部電極23の磁化方向と逆方向の磁気モーメントを有するスピン(すなわち、下方向)を持つ電子は、記録層2と上部電極23との界面において高い確率で反射される。その後、上部電極23の磁化方向と逆方向の磁気モーメントを有するスピンを持つ電子は、磁区Dに戻る。そして、この電子は、磁区Dの局在する原子の磁気モーメントに作用して、磁区Dの磁化を上部電極23の磁化と逆方向に反転させる。
磁化されたデータ領域は、磁壁移動電流として所定のパルス電流が電流供給手段10から磁性細線5に供給されることにより、磁性細線5中を移動し、引き続き所望のデータ領域が前記のように磁化されてゆく。
<データ再生手段>
データ再生手段30は、磁性細線5に予め定めた読出領域39(図1参照)に接続し、パルス電流に同期して、読出領域39に記録されているデータを再生する手段である。すなわち、磁性細線5に固定されている読出領域39において、電流供給手段10が供給するパルス電流に同期して、磁性細線5において磁壁DWの断続的な移動における静止時に、磁性細線5の読出領域39に到達しているデータ領域に記録されているデータを再生する手段である。データ再生手段30は、CPP−GMR素子やTMR素子を用いて、磁性細線5の磁区状態を検出することで、データの読み出しを行う。
図1、図2(a)に示すように、データ再生手段30は、磁壁DWの移動方向に対して、データ記録手段20の後方の任意の所定位置、すなわち、データ記録手段20よりも後方(一端側の方向)の磁性細線5の一部を含む所定の領域に配置されている。また、あふれデータ検出手段40よりも前方(他端側の方向)の任意の所定位置に配置されている。そして、図4に示すように、データ再生手段30は、データ再生用素子(素子系A)と読取回路36とを備え、素子系Aは、下部電極31と、下部電極31上に設けられた磁化反転層32と、磁化反転層32上に設けられた中間層33と、中間層33上に設けられた磁化固定層34と、磁化固定層34上に設けられた上部電極35とを備えており、下部電極31および上部電極35が配線を介して読取回路36と接続されている。なお、前記したように、磁気記録媒体100を脱着可能とする場合には、例えば、読取回路36を配線で接続せずに、磁気記録媒体100の電極パッドと、読取回路36の電極コンタクト部との接触により、外部と信号のやり取りをする。また、下部電極31と磁化反転層32は区別せずに一体構造として作製してもよく、同様に上部電極35と磁化固定層34は区別せずに一体構造として作製してもよい。
ここで、磁気記録媒体100を非可換とした場合、下部電極31と記録層2の間は、接していてもよく、記録層2からのもれ磁束が磁化反転層32の磁化状態を変化できる距離ならば離れていてもよい。
データ再生手段30の磁化反転層32、中間層33および磁化固定層34は、CPP−GMR素子またはTMR素子のデータ読取層として機能する。したがって、磁化固定層34は、強磁性材料からなり、磁化方向が所定方向(長さ方向(細線方向)と垂直な方向の一方の向き(上向きまたは下向き))に固定されている。中間層33は、非磁性材料からなる非磁性層または絶縁材料からなる絶縁層である。データ再生手段30は、中間層33が非磁性層の場合にはCPP−GMR素子を備えるものとなり、中間層33が絶縁層の場合にはTMR素子を備えるものとなる。磁化反転層32は、強磁性材料からなり、一般的に初期状態では、その磁化方向は磁化固定層34での磁化方向とは反対に揃えられる。データ再生手段30では、磁性細線5の記録層2からのもれ磁束を、CPP−GMR素子やTMR素子で検出し、記録層2の磁化状態を再生する。
また、磁化反転層32、中間層33および磁化固定層34の材料としては、現在、CPP−GMR素子やTMR素子について研究されている材料であれば、ほぼどのような材料でも使用可能である。例えば、磁化固定層34には、ホイスラー合金(CoFeSi、CuMnAl等)等の磁性合金が用いられるが、これとIrMn等のスピン固着層とを組み合わせた積層構造としてもよい。また、データ再生手段30がCPP−GMR素子を備える場合には、中間層33には、Au,Ag,Al,Cu,Cu合金等の非磁性金属または合金が好適に用いられる。このうちCuは、電気抵抗が小さくバリア効果が高いので、特に好適に用いられる。データ再生手段30がTMR素子を備える場合には、中間層33には、アルミナ(Al)やマグネシア(MgO)等の絶縁材料が好適に用いられ、その厚さは、スピン偏極電子がトンネルできる程度の厚さである数nm以下とされる。
磁化反転層32は、磁化固定層34と同じ材料で構成することもできるが、記録層2からのもれ磁束により容易に磁化方向が反転することができる材料であって、透磁率が高く保磁力が小さく、スピン偏極率が比較的高い強磁性材料を選択することが好ましい。
また、下部電極31および上部電極35は、それぞれ、スピン注入磁化反転素子を駆動するための一対の電極の一方および他方であり、例えば、Ta,Cr,Au,Pt,Al,Cu等の一般的な電極用金属材料で構成することができる。
なお、データ再生手段30は、前記構成に限定されず、データの再生(読み出し)ができるものであれば、従来公知の磁気ヘッドを用いてもよい。また、磁性細線5におけるデータ再生手段30の位置も、データの記録、再生、あふれ検出、再記録を阻害しない位置であれば、どの位置でもよい。
次に、データの再生方法について、具体的に説明する。
まず、磁壁移動電流として所定のパルス電流を電流供給手段10から磁性細線5に供給し、磁区Dを区切る磁壁DWを移動させ、再生を行いたい磁区D(所望のデータ領域(単一あるいは連続した複数のデータ領域))をデータ再生手段30(データ読取素子)の下部電極31の直下(読出領域39(再生領域))まで移動させる。読出領域39は、磁性細線5の磁気を磁気効果により検出するための領域であり、磁性細線5において1つのデータ領域に含まれる長さとする。読出領域39の位置は、当該磁性細線5(磁気ディスク100)において固定され、磁気ディスク100のすべてのトラック(磁性細線)5において、隣り合う磁性細線5,5における読出領域39が互いに近接するように設けられる。次に、磁壁DWは、パルス電流に同期して、すなわち、パルス電流のパルスに合わせて、移動と停止を繰り返すが、この断続的な移動における静止時に、読取回路36から読取電流を素子系Aに供給する。
ここで、磁化反転層32と磁化固定層34との間には、非磁性膜や絶縁膜からなる中間層33が設けられている。すなわち、磁化反転層32から磁化固定層34に電流が流れる場合の電気抵抗は、磁化反転層32の磁化と、磁化固定層34の磁化との相対的な方向に依存する。ここで、磁化反転層32の磁化は、磁区Dに記録されている信号磁界を受けて、その方向に回転する。その磁化方向を、前記のように磁化反転層32と磁化固定層34との相対的な方向に依存する電気抵抗の変化として検出することができる。
従って、再生を行いたい磁区Dを移動させた後、下部電極31と上部電極35との間に、電流を流し、電気抵抗の変化を検出する。これにより、再生を行いたい磁区Dに記録されている磁化方向を検出(識別)することができ、情報を再生することが可能となる。
例えば、磁化反転層32の磁化と磁化固定層34の磁化とが同一方向な場合の電気抵抗をRpとし、逆方向な場合の電気抵抗をRapとすると、Rap>Rpとなる。
このように、データ領域の磁化方向に対応した抵抗値を読取電圧として再生領域で検出することにより、このデータ領域に対応した磁区Dの磁化方向をデータとして読み取る。
なお、読み取られたデータは、予め設定されたある基準電圧と比較することによって、電圧の高低、すなわち容易に「1」、「0」のデータとして、データ読出部37により読みだされる。そして、現在のハードディスク装置と同様な復号処理を施すことによって元のデータを取り出すことができ、再生装置200外部に出力して、映像、音声等の情報として再生する。
<あふれデータ検出手段>
あふれデータ検出手段40は、磁性細線5の一端側の端部に予め定めたあふれデータ検出領域49(図1参照)に接続し、パルス電流に同期して、あふれデータ検出領域49に記録されているデータを検出する手段である。すなわち、磁性細線5に固定されているあふれデータ検出領域49において、電流供給手段10が供給するパルス電流に同期して、磁性細線5において磁壁DWの断続的な移動における静止時に、磁壁DWの移動により、データ再生手段30の読出領域39を通過して、磁性細線5のあふれデータ検出領域49に到達しているデータを検出する手段である。なお、一端側とは、磁性細線5における磁壁DW(磁区D)の移動が終了する側をいう。
図1、図2(a)に示すように、あふれデータ検出手段40は、磁壁DWの移動方向に対して、データ再生手段30の後方(一端側の方向)であり、磁性細線5の一端側の端部の磁性細線5の一部を含む所定の領域(先端部)に配置されている。この先端部において、磁壁DWの移動により、前記端部に移動したデータ(あふれデータ)を検出して、当該検出したデータをあふれデータ再記録手段50に伝送する。なお、データの伝送は、あるプロトコルに縛られるような複雑なものである必要はなく、あふれデータ検出領域49で検出された磁化の方向を、磁性細線5における再書込領域59の部位に形成させることができるものであれば、どのようなものでもよい。例えば、後記するような、簡単な構成のものでよい。
前記したように、磁性細線5に形成された磁区Dは、電流供給手段10から供給されるパルス電流により、磁性細線5の長さ方向(細線方向)に沿って移動する。そして、仮に、あふれデータ検出手段40がなければ、データ再生手段30の読出領域39を通過し、磁性細線5の先端部まで磁区Dが移動すると、データがあふれて消失してしまう。しかし、本実施形態の再生装置200は、あふれデータ検出手段40を設けたので、データが消失する前にこのデータを検出することができる。そして、検出したデータ(磁化の向き)は、あふれデータ再記録手段50に伝送される。
あふれデータ検出手段40は、データ再生手段30と同様に、CPP−GMR素子やTMR素子を用いて、磁性細線の磁区状態を検出する。あふれデータ検出手段40は、磁性細線5の先端部に設ける。なお、ここでの先端部とは、例えば、磁性細線5の一端側における最端から、10mmあたりまでの範囲をいう。あふれデータ検出手段40の構成は、データ再生手段30と同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。なお、あふれデータ検出手段40においては、図4に示す素子系Aは、あふれデータ検出用素子となる。
次に、あふれデータ検出方法について、具体的に説明する。
まず、磁壁移動電流として所定のパルス電流を電流供給手段10から磁性細線5に供給し、磁区Dを区切る磁壁DWを移動させ、検出を行いたい磁区D(所望のデータ領域(単一あるいは連続した複数のデータ領域))をあふれデータ検出手段40(データ読取素子)の下部電極31の直下(あふれデータ検出領域49(再生領域))まで移動させる。あふれデータ検出領域49は、磁性細線5の磁区状態をCPP−GMR素子やTMR素子等を用いる方法により検出するための領域であり、磁性細線5において1つのデータ領域に含まれる長さとする。あふれデータ検出領域49の位置は、当該磁性細線5(磁気ディスク100)において固定され、磁気ディスク100のすべてのトラック(磁性細線)5において、隣り合う磁性細線5,5におけるあふれデータ検出領域49が互いに近接するように設けられる。その後のデータの検出方法は、前記したデータ再生手段30によるデータの読み取り(再生)と同様である。そして、ここで検出されたデータは、あふれデータ再記録手段50に伝送される。
次に、データの伝送の一例について、図5を参照して説明する。
まず、パルス電流を印加する前の状態(図5(a))から、パルス電流の印加により、磁区Dが移動すると、あふれデータ検出領域49(検出領域)で、素子系Aによって、磁化の状態(ここでは、上向きの磁化)が検出される(図5(b))。なお、ここでは、例えば上向きの磁化の場合、素子系AはH状態を出力するものと仮定している。そして、図5(b)に示すように、この出力を基準電圧比較器(図示省略)に入力して、予め設定されたある基準電圧と比較し、電圧の高低として、状態がH(高)であると判別した時に、電流増幅器と電流源(電流増幅器・電流源70)を通して、上部電極53から中間層(図示省略)を介して、下部電極51へ電流を流す(下部電極51は、図5(b)ではグランドに接続されているが、一般的には電流源のマイナス端子に相当する)。この時、上部電極53が上方向の磁化を持つ場合には、伝導電子が上部電極53から下部電極51へ供給されて、上部電極53の磁化方向に伝導電子のスピンが整列され、そのまま磁性細線の記録層へ注入される。したがって、スピン注入磁化反転によって、電極部の磁性細線には、電子の向き(=電流の逆)に磁化され、上向きの磁化が形成される。
さらに、パルス電流による磁区Dの移動により、検出領域で、素子系Aによって、磁化の状態(ここでは、下向きの磁化)が検出される(図5(c))。なお、ここでは、例えば下向きの磁化の場合、素子系AはL状態を出力するものと仮定している。そして、図5(c)に示すように、この出力を基準電圧比較器(図示省略)に入力して、予め設定されたある基準電圧と比較し、電圧の高低として、状態がL(低)であると判別した時に、電流増幅器・電流源70を通して、下部電極51から中間層(図示省略)を介して、上部電極53へ電流を流す(上部電極53は、図5(c)ではグランドに接続されているが、一般的には電流源のマイナス端子に相当する)。この時、下部電極51から上部電極53へ電子が供給されて、上部電極53の磁化方向と逆方向に伝導電子のスピンが整列され、スピン注入磁化反転の原理にしたがって、記録層には、下向きの磁化が書き込まれる。したがって、電極部の磁性細線には、電子の向き(=電流の逆)に磁化され、下向きの磁化が形成される。
このようにして、あふれデータ検出手段40で検出した磁性細線5の先端部の磁化の状態を、再度、磁性細線5の後端部に形成することができる。すなわち、あふれデータ検出手段40により検出され、伝送されたデータを、再書込領域59において、例えば1つのデータ領域に1ビット(0または1)のデータとして再度記録することができる。
<あふれデータ再記録手段>
あふれデータ再記録手段50は、磁性細線5の他端側の端部に予め定めた再書込領域59(図1参照)に接続し、パルス電流に同期して、あふれデータ検出手段40で検出されたデータを、再書込領域59に再度記録する手段である。すなわち、磁性細線5に固定されている再書込領域59において、電流供給手段10が供給するパルス電流に同期して、磁性細線5において磁壁DWの断続的な移動における静止時に、磁性細線5の再書込領域59に到達しているデータ領域にデータ(あふれデータ)を再度記録する手段である。なお、他端側とは、磁性細線5における磁壁DW(磁区D)の移動が開始する側をいう。
図1、図2(a)に示すように、あふれデータ再記録手段50は、磁壁DWの移動方向に対して、データ再生手段30の手前側(他端側の方向)であり、磁性細線5の他端側の端部の磁性細線5の一部を含む所定の領域(後端部)に配置されている。この後端部において、あふれデータ検出手段40から伝送されたデータの記録を行う。
前記したように、磁性細線5の長さ方向(細線方向)に沿って移動する磁区Dによるデータは、あふれデータ検出手段40により検出され、この検出されたデータが、あふれデータ検出手段40(素子系A)から、あふれデータ再記録手段50(上部電極53および下部電極51)に伝送される。あふれデータ再記録手段50は、この伝送されたデータを、磁性細線5の後端部に書き戻すことで、データを磁性細線5に再度記録する。これにより、データの消失を防ぐことができる。
あふれデータ再記録手段50は、データ記録手段20と同様に、スピン注入磁化反転を用いて、磁性細線5の磁区状態を変化させる。あふれデータ再記録手段50は、磁性細線5の後端部に設ける。なお、ここでの後端部とは、例えば、磁性細線5の他端側における最端から、10mmあたりまでの範囲をいう。あふれデータ再記録手段50の構成は、データ記録手段20と同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。なお、あふれデータ再記録手段50においては、図4に示す下部電極21、中間層22、上部電極23は、あふれデータ再記録用素子となる。
次に、データの再記録方法について、具体的に説明する。
まず、磁壁移動電流として所定のパルス電流を電流供給手段10からトラック(磁性細線)5に供給し、磁区Dを区切る磁壁DWを移動させ、記録を行いたい磁区D(所望のデータ領域(単一あるいは連続した複数のデータ領域))をあふれデータ再記録手段50(データ書込素子)の上部電極(中間層)の直下(再書込領域59)まで移動させる。再書込領域59は、磁性細線5の磁区状態をスピン注入磁化反転により変化させるための領域であり、磁性細線5において1つのデータ領域に含まれる長さとする。再書込領域59の位置は、当該磁性細線5(磁気ディスク100)において固定され、磁気ディスク100のすべてのトラック(磁性細線)5において、隣り合う磁性細線5,5における再書込領域59が互いに近接するように設けられる。その後のデータの再書込方法は、前記したデータ記録手段20によるデータの書き込み(記録)と同様である。
≪磁気記録媒体再生方法≫
次に、磁気記録媒体再生方法について、適宜、図1〜5を参照して説明する。
なお、磁気記録媒体再生方法は、前記した再生装置200を用いて行う。
磁気記録媒体再生方法は、基板7上に磁性体を細線状に形成してなる磁性細線5をデータの記録領域として有して、磁性細線5に、2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして磁性細線5の細線方向に連続して記録された磁気記録媒体100の、磁性細線5に記録されているデータを再生する方法であり、電流供給工程と、データ再生工程と、あふれデータ検出工程と、あふれデータ再記録工程と、を行う。
以下、各工程について説明する。なお、電流供給工程における磁壁DW(磁区D)の移動、データ再生工程におけるデータの再生、あふれデータ検出工程におけるあふれデータの検出および伝送、あふれデータ再記録工程におけるあふれデータの再記録については、それぞれ、再生装置200における電流供給手段10、データ再生手段30、あふれデータ検出手段40、あふれデータ再記録手段50において説明したとおりであるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
<電流供給工程>
電流供給工程は、磁気記録媒体100の磁性細線5の両端に接続した電流供給手段10によって、磁性細線5において前記2値の一方のデータ(例えば、「0」)を記録された領域と前記2値の他方のデータ(例えば、「1」)を記録された領域との間に生成している磁壁DWを断続的に移動させるパルス電流を、磁性細線5の一端から他端に向かう細線方向に供給する工程である。すなわち、磁気ディスク100の各トラック5のデータ領域を当該トラック5の長さ方向(細線方向)、すなわち磁気ディスク100の周方向に移動させる工程である。
<データ再生工程>
データ再生工程は、磁性細線5に予め定めた読出領域39に接続したデータ再生手段30によって、パルス電流に同期して、読出領域39に記録されているデータを再生する工程である。すなわち、読出領域39(再生領域)において、データ領域の磁化方向に対応した抵抗値を読取電圧として検出することで、このデータ領域に対応した磁区Dの磁化方向をデータとして読み取る。そして、現在のハードディスク装置と同様な復号処理を施すことによって元のデータを取り出すことができ、再生装置200外部に出力して、映像、音声等の情報として再生する。
<あふれデータ検出工程>
あふれデータ検出工程は、磁性細線5の一端側の端部に予め定めたあふれデータ検出領域49に接続したあふれデータ検出手段40によって、パルス電流に同期して、あふれデータ検出領域49に記録されているデータを検出する工程である。
あふれデータ検出工程は、磁壁DWの移動が終了する側である磁性細線5の一端側の端部(先端部)において、磁壁DWの移動により、前記先端部に移動したデータを検出して、当該検出したデータを前記あふれデータ再記録工程のあふれデータ再記録手段50に伝送する。すなわち、データ再生工程と同様にして、磁壁DW(磁区D)の移動により、磁性細線5の先端部(あふれデータ検出領域49)に移動したデータをあふれデータ検出手段40によって検出し、このデータを、あふれデータ再記録工程のあふれデータ再記録手段50に伝送する。このように、データの伝送は、あふれデータ検出手段40から、あふれデータ再記録手段50にデータを伝送することで行うことができる。
<あふれデータ再記録工程>
あふれデータ再記録工程は、磁性細線5の他端側の端部に予め定めた再書込領域59に接続したあふれデータ再記録手段50によって、パルス電流に同期して、あふれデータ検出手段40で検出されたデータを、再書込領域59に再度記録する工程である。
あふれデータ再記録工程は、磁壁DWの移動が開始する側である磁性細線5の他端側の端部(後端部)において、あふれデータ検出工程のあふれデータ検出手段40から伝送されたデータの記録を行う。すなわち、あふれデータ検出手段40により検出され、あふれデータ検出手段40から伝送されたデータを、再書込領域59において、あふれデータ再記録手段50によってデータ領域を上向きまたは下向きに磁化することで、例えば1つのデータ領域に1ビット(0または1)のデータとして再度記録する。
なお、データの再生を行う前に、データ記録工程により、データの記録を行ってもよい。データ記録工程におけるデータの記録については、データ記録手段20で説明したとおりであるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
<データ記録工程>
データ記録工程は、磁性細線5に予め定めた書込領域29に接続したデータ記録手段20によって、パルス電流に同期して、書込領域29にデータを記録する工程である。すなわち、書込領域29において、あふれデータ再記録工程と同様にして、データ領域を上向きまたは下向きに磁化することで、例えば1つのデータ領域に1ビット(0または1)のデータを記録する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
例えば、磁気記録媒体100の形状は特に限定されるものではなく、磁性細線5の細線形状(平面視形状)は、屈曲しない直線、または厚さおよび幅方向長に対して十分に緩やかな曲線であればよい。ただし、外形が円盤形状である磁気ディスク(磁気記録媒体)100の場合は、磁気ディスク100の外形寸法に対して十分な長さとすることができ、また製造が容易な形状として、本実施形態に係る円環(円弧)が好ましい。このような磁性細線5は、磁気ディスク100の外周寄りに形成したものほど長くすることが可能であり、磁気ディスク100の全体として記録領域を大きくすることができるので、前記したように同じ長さに統一しなくてよい。なお、磁気記録媒体100は円盤形状に限らず、例えば平面視が矩形の板状でもよく、この場合は、磁性細線5のそれぞれは平行な直線状に形成すればよい。また、磁性細線5の本数も特に限定されるものではなく、1本以上であればよい。
さらに、データ記録手段20、データ再生手段30、あふれデータ検出手段40、およびあふれデータ再記録手段50の構成は、前記実施形態に限定されるものではなく、他の構成のCPP−GMR素子やTMR素子の形態を用いてもよい。例えば、磁化固定層34の上部に保護層を設けたもの等が挙げられる。
その他、あふれデータ検出手段40およびあふれデータ再記録手段50を設ける位置は、それぞれ、磁性細線5の先端部および後端部としたが、データの記録、再生、あふれ検出、再記録を阻害しない位置であれば、適宜、他の部位に設けてもよい。
5 磁性細線(トラック)
10 電流供給手段
20 データ記録手段
30 データ再生手段
40 あふれデータ検出手段
50 あふれデータ再記録手段
100 磁気記録媒体(磁気ディスク)
200 磁気記録媒体再生装置(再生装置)
D 磁区
DW 磁壁

Claims (8)

  1. 基板上に磁性体を細線状に形成してなる磁性細線をデータの記録領域として有して、前記磁性細線に、2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして当該磁性細線の細線方向に連続して記録された磁気記録媒体を備えて、前記磁性細線に記録されているデータを再生する磁気記録媒体再生装置であって、
    前記磁気記録媒体の前記磁性細線の両端に接続し、前記磁性細線において前記2値の一方のデータを記録された領域と前記2値の他方のデータを記録された領域との間に生成している磁壁を断続的に移動させるパルス電流を、前記磁性細線の一端から他端に向かう細線方向に供給する電流供給手段と、
    前記磁性細線に予め定めた読出領域に接続し、前記パルス電流に同期して、前記読出領域に記録されているデータを再生するデータ再生手段と、
    前記磁性細線の前記一端側の端部に予め定めたあふれデータ検出領域に接続し、前記パルス電流に同期して、前記あふれデータ検出領域に記録されているデータを検出するあふれデータ検出手段と、
    前記磁性細線の前記他端側の端部に予め定めた再書込領域に接続し、前記パルス電流に同期して、前記あふれデータ検出手段で検出されたデータを、前記再書込領域に再度記録するあふれデータ再記録手段と、を備えることを特徴とする磁気記録媒体再生装置。
  2. 前記あふれデータ検出手段は、当該あふれデータ検出手段から、前記あふれデータ再記録手段に、前記あふれデータ検出手段で検出されたデータを伝送し、
    前記あふれデータ再記録手段は、前記あふれデータ検出手段から伝送されたデータを、前記再書込領域に再度記録することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体再生装置。
  3. 前記磁気記録媒体は、前記基板が円盤形状であり、この基板上に前記磁性細線が円環状に形成され、前記磁性細線が円環の一部を欠いた形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体再生装置。
  4. 前記磁性細線の幅が、200nm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体再生装置。
  5. 前記磁性細線において、前記磁壁の移動方向に対して、前記データ再生手段の手前側の位置に予め定めた書込領域に接続し、前記パルス電流に同期して、前記書込領域にデータを記録するデータ記録手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の磁気記録媒体再生装置。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の磁気記録媒体再生装置に用いられる磁気記録媒体であって、
    前記磁気記録媒体再生装置から脱着可能であり、
    前記磁性細線と共に、前記データ再生手段を構成するデータ再生用素子と、前記あふれデータ検出手段を構成するあふれデータ検出用素子と、前記あふれデータ再記録手段を構成するあふれデータ再記録用素子と、を備えて構成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 請求項5に記載の磁気記録媒体再生装置に用いられる磁気記録媒体であって、
    前記磁気記録媒体再生装置から脱着可能であり、
    前記磁性細線と共に、前記データ記録手段を構成するデータ記録用素子と、前記データ再生手段を構成するデータ再生用素子と、前記あふれデータ検出手段を構成するあふれデータ検出用素子と、前記あふれデータ再記録手段を構成するあふれデータ再記録用素子と、を備えて構成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 基板上に磁性体を細線状に形成してなる磁性細線をデータの記録領域として有して、前記磁性細線に、2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして当該磁性細線の細線方向に連続して記録された磁気記録媒体の、前記磁性細線に記録されているデータを再生する磁気記録媒体再生装置の磁気記録媒体再生方法であって、
    前記磁気記録媒体の前記磁性細線の両端に接続した電流供給手段によって、前記磁性細線において前記2値の一方のデータを記録された領域と前記2値の他方のデータを記録された領域との間に生成している磁壁を断続的に移動させるパルス電流を、前記磁性細線の一端から他端に向かう細線方向に供給する電流供給工程と、
    前記磁性細線に予め定めた読出領域に接続したデータ再生手段によって、前記パルス電流に同期して、前記読出領域に記録されているデータを再生するデータ再生工程と、
    前記磁性細線の前記一端側の端部に予め定めたあふれデータ検出領域に接続したあふれデータ検出手段によって、前記パルス電流に同期して、前記あふれデータ検出領域に記録されているデータを検出するあふれデータ検出工程と、
    前記磁性細線の前記他端側の端部に予め定めた再書込領域に接続したあふれデータ再記録手段によって、前記パルス電流に同期して、前記あふれデータ検出工程で検出されたデータを、前記再書込領域に再度記録するあふれデータ再記録工程と、を行うことを特徴とする磁気記録媒体再生方法。
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