JP2011121888A - 炎症性腸疾患用アミノ酸組成物 - Google Patents
炎症性腸疾患用アミノ酸組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011121888A JP2011121888A JP2009279940A JP2009279940A JP2011121888A JP 2011121888 A JP2011121888 A JP 2011121888A JP 2009279940 A JP2009279940 A JP 2009279940A JP 2009279940 A JP2009279940 A JP 2009279940A JP 2011121888 A JP2011121888 A JP 2011121888A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- acid composition
- inflammatory bowel
- bowel disease
- sulfur
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
Abstract
【課題】炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時において、低栄養状態からの離脱ばかりでなく、炎症状態を緩和させることが可能な炎症性腸疾患用アミノ酸組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物は、少なくとも1種の含硫アミノ酸と、少なくとも1種の分枝鎖アミノ酸との双方を含有し、
前記含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物であり、前記分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物であることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物は、少なくとも1種の含硫アミノ酸と、少なくとも1種の分枝鎖アミノ酸との双方を含有し、
前記含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物であり、前記分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、炎症性腸疾患用アミノ酸組成物に関するものである。
クローン病または潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)は、病因が未だ特定されておらず、難治性特定疾患として指定されている。また、かかる炎症性腸疾患は複数の要因が推定されているものの、現在、その一つとして炎症の発症部位である腸管上皮から組織内部へ特定の腸内細菌や食餌抗原が侵入し、過剰な炎症反応が引き起こされるとするメカニズムが指摘されている。すなわち、免疫系が攪乱されるため、腸管上皮周辺を中心に自己を攻撃し、腸管に炎症が発症するのである。なお、通常は炎症症状の急性増悪・再燃(炎症の悪化)と寛解(炎症の緩和)を繰り返すとされている。
それ故、治療方針としては、速やかに炎症症状を緩和(寛解導入)し、再燃を予防(寛解維持)することで、QOLを高めることに主眼がおかれる。
ここで、炎症症状の急性増悪期や再燃の際には、患者は、一般に、食事摂取が不可能であったり、たとえ食事摂取が可能であったとしても、消化吸収傷害や、炎症部位からのたん白質の漏出、さらには炎症による発熱等が認められるため、低栄養状態を呈することが多い。そのため、栄養状態を回復することを目的に、栄養療法を施行することが一般的である。
栄養療法に使用されている栄養組成物は、その主成分として、脂質やアミノ酸等の栄養成分を含有しており、加えて栄養成分の1つである窒素源はアミノ酸混合物が配合され、栄養価の高い卵白アルブミン(タンパク質)のアミノ酸組成をもとにその配合量が調製されている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。
このような栄養療法では、低栄養状態からの離脱はもちろんのこと、炎症症状もある程度は緩和するが、その組成は炎症抑制を考えた組成ではないため、炎症状態の積極的な緩和作用には十分効果的とは言えない。また、ステロイド製剤や炎症性サイトカインをターゲットにした分子生物学的製剤(抗体医薬)を用いた薬物療法にも頼らざるを得ないのが実情である。
Elemental diet as primary treatment of acute Crohn’s disease:a controled trial, British Medical Journal (1984)Vol.288 1859-1862.
Nutritional Management of inflammatory bowel disease, Gastroenterology Clinics of North America (1989) Vol.17, No.1, 129-157.
Therapeutic efficacy of cyclic home elemental enteral alimentation in Crohn’s disease, Journal of Gadtroenterology (1995) 30(Suppl VIII)91-94.
本発明の目的は、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時において、低栄養状態からの離脱ばかりでなく、炎症状態を緩和させることが可能な炎症性腸疾患用アミノ酸組成物を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
(1) 少なくとも1種の含硫アミノ酸と、少なくとも1種の分枝鎖アミノ酸との双方を含有し、
前記含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物であり、前記分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物であることを特徴とする炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
(1) 少なくとも1種の含硫アミノ酸と、少なくとも1種の分枝鎖アミノ酸との双方を含有し、
前記含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物であり、前記分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物であることを特徴とする炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
(2) 前記含硫アミノ酸は、システイン、シスチン、メチオニンおよびN−アセチル−システインである上記(1)に記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
(3) 前記分枝鎖アミノ酸は、ロイシン、イソロイシンおよびバリンである上記(1)または(2)に記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
(4) さらに、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、プロリンおよびトレオニンからなる群のうちの少なくとも1種を含有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
(5) 脂肪、糖質、ビタミンおよびミネラルのうちの少なくとも1つの成分を含有する栄養剤である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
(6) 前記栄養剤は、粉末状、液状または半固形状をなしている上記(5)に記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
本発明によれば、クローン病または潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時において、低栄養状態からの離脱が可能であることばかりでなく、炎症性腸疾患用アミノ酸組成物中に、含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物、分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物と高濃度に含まれていることに起因して、炎症状態をも緩和させることが可能となる。
以下、本発明の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物は、少なくとも1種の含硫アミノ酸と、少なくとも1種の分枝鎖アミノ酸との双方を含有し、前記含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物であり、前記分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物であることを特徴とする。
なお、本明細書中では、「mg/gアミノ酸組成物」とは、本発明の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物中に含まれる全てのアミノ酸1gに対する、含硫アミノ酸または分枝鎖アミノ酸の含有量を示す。
クローン病または潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時において、患者は、かかる炎症性腸疾患用アミノ酸組成物を摂取することにより、低栄養状態からの離脱が可能であることばかりでなく、炎症状態の緩和をも実現可能となる。
このような炎症性腸疾患用アミノ酸組成物は、例えば、液状、ゲル状、半固形状または粉末状をなす経口または経管用経腸栄養剤のような医薬品栄養剤あるいは食品栄養剤に適用される。
本実施形態で説明する炎症性腸疾患用アミノ酸組成物(経口または経管用経腸栄養剤)は、アミノ酸と、脂質と、糖質と、ビタミンと、ミネラル類とを含有している。このように、アミノ酸以外の各種栄養素が含まれることにより、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時において、低栄養状態からの脱離が確実なものとなる。
アミノ酸は、窒素源供給のための栄養素として経腸栄養剤中に含まれるものである。
アミノ酸は、窒素源供給のための栄養素として経腸栄養剤中に含まれるものである。
ここで、一般的には、経腸栄養剤中に含まれるアミノ酸の種類およびその含有量は、大豆たん白質、乳カゼインのような乳たん白質、魚肉たん白質、鶏卵たん白質等の栄養価の高いたん白質のアミノ酸組成と同一組成になるように配合される。このように、窒素源としてたん白質ではなくアミノ酸組成物を配合することにより、炎症性腸疾患の患者の消化管に対する負担が低減され、かつアミノ酸は蛋白質と異なり、食事性抗原とはなり得ないため、炎症性腸疾患の更なる増悪を的確に抑制または防止することができる。さらに、配合されるアミノ酸の種類およびその含有量が、栄養価の高いたん白質のアミノ酸組成をもとに配合されるため、患者の低栄養状態からの離脱が確実に実現可能なものとなる。
具体的には、経腸栄養剤中に含まれるアミノ酸としては、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、N−アセチル−トリプトファン、バリン、ヒスチジン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、システイン、シスチン、N−アセチル−システイン、スレオニン、グルタミン酸、アスパラギン等が挙げられ、上述した栄養価の高いたん白質のアミノ酸組成に応じて、これらアミノ酸が複数で組み合わせて用いられる。
このように炎症性腸疾患用アミノ酸組成物に含まれるアミノ酸は、たん白質のアミノ酸組成をもとに、その種類および含有量が決定されるが、本発明では、これらのうち、含硫アミノ酸および分枝鎖アミノ酸については、その含有量が一般的な経腸栄養剤(アミノ酸組成物)に含まれるアミノ酸組成よりも高く設定され、具体的には、含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物に、分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物に設定される。含硫アミノ酸および分枝鎖アミノ酸の含有量をかかる範囲内に設定すること、すなわち、含硫アミノ酸および分枝鎖アミノ酸の双方の含有量を高く設定することにより、本発明の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物を、炎症性腸疾患に対する炎症症状の急性増悪期や再燃の際の栄養療法に適用した際に、患者の栄養状態を回復し得ることばかりでなく、炎症状態をも確実に緩和させることができる。
このような炎症状態の緩和は、含硫アミノ酸および分枝鎖アミノ酸の双方の含有量を高く設定していることにより、腸管のタイトジャンクションに生じる傷害が効果的に抑制されていることに起因しているものと推察される。
含硫アミノ酸としては、システイン、シスチン、メチオニンおよびN−アセチル−システインが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような含硫アミノ酸は、タイトジャンクションの障害抑制に伴い、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時における炎症状態を確実に緩和させ得ることから特に好適に用いられる。
含硫アミノ酸の含有量は、50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物に設定されるが、特に、70.0〜130.0mg/gアミノ酸組成物であるのが好ましい。これにより、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時における炎症状態を確実に緩和させることができる。
また、分枝鎖アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびバリンが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような分枝鎖アミノ酸は、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時における炎症状態を確実に緩和させることができることから好適に用いられる。
分枝鎖アミノ酸の含有量は、170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物に設定されるが、特に、200.0〜320.0mg/gアミノ酸組成物であるのが好ましい。これにより、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時における炎症状態を確実に緩和させることができる。
さらに、炎症性腸疾患用アミノ酸組成物において、トリプトファンおよび/またはその誘導体も、その含有量がたん白質のアミノ酸組成よりも高く設定されているのが好ましく、具体的には、トリプトファンおよび/またはその誘導体の含有量が21.0〜120.0mg/gアミノ酸組成物であるのが好ましく、21.0〜81.0mg/gアミノ酸組成物であるのがより好ましい。これにより、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時における炎症状態をより確実に緩和させることができる。
トリプトファンおよび/またはその誘導体としては、特に限定されないが、例えば、トリプトファン、N−アセチル−トリプトファンが挙げられ、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いることができる。このようなトリプトファンおよび/またはその誘導体は、タイトジャンクションの障害抑制に伴い、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時における炎症状態を確実に緩和させ得ることから特に好適に用いられる。
また、炎症性腸疾患用アミノ酸組成物には、含硫アミノ酸、トリプトファンおよび/またはその誘導体および分枝鎖アミノ酸の他に含まれるアミノ酸として、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、プロリンおよびトレオニンからなる群のうちの少なくとも1種が含まれているのが好ましい。これらのアミノ酸は含硫アミノ酸、トリプトファンおよび/またはその誘導体および分枝鎖アミノ酸と同様に、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時における炎症状態を緩和させる効果をも併せ持つことから、栄養素としてのアミノ酸供給の目的以外にも、炎症状態の緩和にもその機能を発揮することができる。
また、脂質、糖質、ビタミンおよびミネラル類は、アミノ酸以外の各種栄養素として炎症性腸疾患用アミノ酸組成物(経腸栄養剤)中に含まれるものである。
脂質としては、特に限定されず、大豆油、コーン油、パーム油、シソ油、サフラワー油および魚油等の天然脂質の他、トリカプリリンもしくはMCT油のような炭素数6〜12程度の中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成脂質が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
炎症性腸疾患用アミノ酸組成物中の脂質の含有量は、特に限定されないが、例えば、液状の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物全体に対しては、0.5〜10.0wt%程度であるのが好ましく、粉末状の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物に対しては、0.7〜15.0wt%程度であるのが好ましい。
糖質としては、特に限定されず、例えば、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、オリゴ糖、麦芽糖、ショ糖およびグルコース等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、糖質としては、デキストリンやオリゴ糖、麦芽糖、ショ糖のような少糖類、グルコースのような単糖類を適宜配合させて使用するのが好ましい。これにより、糖質が炎症性腸疾患用アミノ酸組成物のゲル化に関与するようになるのを確実に防止することができる。
炎症性腸疾患用アミノ酸組成物中の糖質の含有量は、特に限定されないが、例えば、液状の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物全体に対しては、2.5〜25.0wt%程度であるのが好ましく、粉末状の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物に対しては55.0〜85.0wt%程度であるのが好ましい。
ビタミンとしては、特に限定されず、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKのような脂溶性ビタミン、ビタミンB、ビタミンCのような水溶性ビタミン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビタミンAとしては、例えば、レチノール(ビタミンA1)、3−デヒドロレチノール(ビタミンA2)、レチナール、3−デヒドロレチナール、レチノイン酸および3−デヒドロレチノイン酸の他、これらの酢酸エステルおよびパルミチン酸エステル等の誘導体が挙げられる。
ビタミンDとしては、例えば、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)の他、これらの硫酸エステル等の誘導体等が挙げられる。
ビタミンEとしては、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノールの他、これらの酢酸エステル、ニコチン酸エステル、リン酸エステル等の誘導体や、α−トコフェロール二ナトリウム等のこれらの塩が挙げられる。
ビタミンKとしては、例えば、フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)およびメナジオン(ビタミンK3)等が挙げられる。
ビタミンBとしては、例えば、チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、ピリドキシン(ビタミンB6)、ビオチン(ビタミンB7)、葉酸(ビタミンB9)、シアノコバラミン(ビタミンB12)等が挙げられる。
さらに、ミネラル類としては、特に限定されず、例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、塩素、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、亜鉛および硫黄等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、炎症性腸疾患用アミノ酸組成物(経腸栄養剤)中には、上述した、アミノ酸、脂質、糖質、ビタミンおよびミネラル類の他に、寒天、アルギン酸および/またはその塩類、全卵、ペクチン、カラギーナン、グアーガム、グルコマンナン、ジェランガム、ローカストビーンガムのようなゲル化剤、大豆レシチン、グリセリン脂肪酸エステルのような乳化剤、エリソルビン酸ナトリウムのような安定化剤、クエン酸、乳酸のようなpH調整剤、および、エチルバニリン、バニリン、プロピレングリコールのような香料等の他の成分が含まれていてもよい。
なお、本実施形態では、炎症性腸疾患用アミノ酸組成物中に含まれる栄養素として、アミノ酸、脂質、糖質、ビタミンおよびミネラル類を含有する場合について説明したが、このような場合に限定されず、必須成分として含硫アミノ酸および分枝鎖アミノ酸を含んでいればよく、患者に不足している栄養素の種類に応じて、脂質、糖質、ビタミンおよびミネラル類のうちの少なくとも1種を省略するようにしてもよい。
さらに、本実施形態で説明した炎症性腸疾患用アミノ酸組成物の投与形態は特に限定されず、PEGチューブ等を介した経腸投与以外に、経口摂取等による投与も可能である。
以上、本発明の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物を好適実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、本発明の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物が適用される経腸栄養剤に含まれる各種の栄養素は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の機能を有するものを付加することもできる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.炎症性腸疾患用アミノ酸組成物の調製
1−1.標準アミノ酸組成物の調製
標準アミノ酸組成物溶液として細胞培養用 最小培地(Minimum Essential Medium:MEM) を用意し、その溶液に、非必須アミノ酸、グルタミンを添加し、表1に示すようなアミノ酸組成を有するアミノ酸溶液を作製した。
1.炎症性腸疾患用アミノ酸組成物の調製
1−1.標準アミノ酸組成物の調製
標準アミノ酸組成物溶液として細胞培養用 最小培地(Minimum Essential Medium:MEM) を用意し、その溶液に、非必須アミノ酸、グルタミンを添加し、表1に示すようなアミノ酸組成を有するアミノ酸溶液を作製した。
1−2.炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物の調製
(サンプルNo.1)
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システイン(NAC)と、分枝鎖アミノ酸としてのイソロイシンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22mg/gアミノ酸組成物、イソロイシンが109.40mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.1の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.1)
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システイン(NAC)と、分枝鎖アミノ酸としてのイソロイシンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22mg/gアミノ酸組成物、イソロイシンが109.40mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.1の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.2)
含硫アミノ酸としてのメチオニンと、分枝鎖アミノ酸としてのイソロイシンと、フェニルアラニンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてメチオニンが31.56mg/gアミノ酸組成物、イソロイシンが109.40mg/gアミノ酸組成物、フェニルアラニンが67.32mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.2の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
含硫アミノ酸としてのメチオニンと、分枝鎖アミノ酸としてのイソロイシンと、フェニルアラニンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてメチオニンが31.56mg/gアミノ酸組成物、イソロイシンが109.40mg/gアミノ酸組成物、フェニルアラニンが67.32mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.2の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.3)
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、トリプトファンと、分枝鎖アミノ酸としてのイソロイシンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22g/gアミノ酸組成物、トリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、イソロイシンが109.40mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.3の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、トリプトファンと、分枝鎖アミノ酸としてのイソロイシンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22g/gアミノ酸組成物、トリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、イソロイシンが109.40mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.3の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.4)
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、トリプトファンと、分枝鎖アミノ酸としてのロイシンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22g/gアミノ酸組成物、トリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、ロイシンが109.40mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.4の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、トリプトファンと、分枝鎖アミノ酸としてのロイシンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22g/gアミノ酸組成物、トリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、ロイシンが109.40mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.4の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.5)
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、トリプトファンと、分枝鎖アミノ酸としてのバリンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22g/gアミノ酸組成物、トリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、バリンが96.78mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.5の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、トリプトファンと、分枝鎖アミノ酸としてのバリンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22g/gアミノ酸組成物、トリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、バリンが96.78mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.5の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.6)
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、トリプトファンと、分枝鎖アミノ酸としてイソロイシン、ロイシン、バリンが1:2:1.2の重量比で混合された混合物をそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22g/gアミノ酸組成物、トリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、分岐鎖アミノ酸混合物が315.58mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.6の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、トリプトファンと、分枝鎖アミノ酸としてイソロイシン、ロイシン、バリンが1:2:1.2の重量比で混合された混合物をそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22g/gアミノ酸組成物、トリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、分岐鎖アミノ酸混合物が315.58mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.6の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.7)
含硫アミノ酸としてのメチオニンと、フェニルアラニンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてメチオニンが31.56mg/gアミノ酸組成物、フェニルアラニンが67.32mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.7の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
含硫アミノ酸としてのメチオニンと、フェニルアラニンとをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてメチオニンが31.56mg/gアミノ酸組成物、フェニルアラニンが67.32mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.7の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.8)
分枝鎖アミノ酸(BCAA)としてイソロイシン、ロイシン、バリンが1:2:1.2の重量比で混合された混合物を用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてこの混合物が315.58mg/gアミノ酸組成物となるようにサンプルNo.8の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
分枝鎖アミノ酸(BCAA)としてイソロイシン、ロイシン、バリンが1:2:1.2の重量比で混合された混合物を用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてこの混合物が315.58mg/gアミノ酸組成物となるようにサンプルNo.8の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.9)
含硫アミノ酸としてN−アセチル−システインを用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.9の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
含硫アミノ酸としてN−アセチル−システインを用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.9の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.10)
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、アスパラギン酸とをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22mg/gアミノ酸組成物、アスパラギンが27.78mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.10の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
含硫アミノ酸としてのN−アセチル−システインと、アスパラギン酸とをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてN−アセチル−システインが65.22mg/gアミノ酸組成物、アスパラギンが27.78mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.10の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.11)
トリプトファンを用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてトリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.11の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
トリプトファンを用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてトリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.11の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
(サンプルNo.12)
トリプトファンとアスパラギン酸とをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてトリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、アスパラギンが27.78mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.12の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
トリプトファンとアスパラギン酸とをそれぞれ用意し、標準アミノ酸組成物溶液に添加することにより、1L中の総アミノ酸量に対するアミノ酸量としてトリプトファンが21.04mg/gアミノ酸組成物、アスパラギンが27.78mg/gアミノ酸組成物となるように、サンプルNo.12の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液を調製した。
なお、各サンプルNo.の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物溶液に含まれるアミノ酸組成を表2に示す。
2.Caco−2細胞の培養
2−1.標準アミノ酸組成物中でのCaco−2細胞の培養
Caco−2細胞(ヒト結腸腺癌由来 腸管上皮細胞株)を約2週間培養して単層膜を作成し、このCaco−2細胞を備える単層膜を、図1に示すような2つの空間(管腔側の空間および基底膜側の空間)を有する培養容器の室間(層間)に配置させた後、2つの空間共に標準アミノ酸組成物を充填することにより、Caco−2細胞を標準アミノ酸組成物で置換した。その後、Caco−2細胞を、この容器(標準アミノ酸組成物)中で24時間、37℃、5%CO2の条件で、培養した。
2−1.標準アミノ酸組成物中でのCaco−2細胞の培養
Caco−2細胞(ヒト結腸腺癌由来 腸管上皮細胞株)を約2週間培養して単層膜を作成し、このCaco−2細胞を備える単層膜を、図1に示すような2つの空間(管腔側の空間および基底膜側の空間)を有する培養容器の室間(層間)に配置させた後、2つの空間共に標準アミノ酸組成物を充填することにより、Caco−2細胞を標準アミノ酸組成物で置換した。その後、Caco−2細胞を、この容器(標準アミノ酸組成物)中で24時間、37℃、5%CO2の条件で、培養した。
2−2.炎症モデルの作成
(実施例1)
2つの空間の双方に、標準アミノ酸組成物に代えてサンプルNo.1の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填した後に、基底膜側の空間の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物にTNF−αを50ng/mLになるように添加した。その後、単層膜に対して、48時間、37℃、5%CO2の条件で、TNF−αを作用させることにより、実施例1の炎症モデルを作成した。
(実施例1)
2つの空間の双方に、標準アミノ酸組成物に代えてサンプルNo.1の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填した後に、基底膜側の空間の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物にTNF−αを50ng/mLになるように添加した。その後、単層膜に対して、48時間、37℃、5%CO2の条件で、TNF−αを作用させることにより、実施例1の炎症モデルを作成した。
(実施例2〜6)
2つの空間の双方に、サンプルNo.1の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填するのに代えて、それぞれ、サンプルNo.2〜6の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填した以外は前記実施例1と同様にして、実施例2〜6の炎症モデルを作成した。
2つの空間の双方に、サンプルNo.1の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填するのに代えて、それぞれ、サンプルNo.2〜6の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填した以外は前記実施例1と同様にして、実施例2〜6の炎症モデルを作成した。
(比較例1〜6)
2つの空間の双方に、サンプルNo.1の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填するのに代えて、それぞれ、サンプルNo.7〜12の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填した以外は前記実施例1と同様にして、比較例1〜6の炎症モデルを作成した。
2つの空間の双方に、サンプルNo.1の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填するのに代えて、それぞれ、サンプルNo.7〜12の炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物を充填した以外は前記実施例1と同様にして、比較例1〜6の炎症モデルを作成した。
3.評価
各実施例および各比較例で作成した炎症モデルについて、それぞれ、経上皮電気抵抗値(TEER値)を測定した。
各実施例および各比較例で作成した炎症モデルについて、それぞれ、経上皮電気抵抗値(TEER値)を測定した。
なお、このTEER値の測定は、単層膜に対してTNF−αを作用させる前(0時間)と、作用させた後(48時間後)とに実施した。
また、TEER値の測定は、管腔側の空間と基底膜側の空間とにそれぞれ配置された電極を備えるTEER測定装置(図1参照。)を用いて、単層膜の電気抵抗値を測定することにより行った。
以上のようにして測定された、各実施例および各比較例の炎症モデルのTEER値から算出された(48時間後のTEER値/0時間のTEER値)×100(%)の値を表3に示す。
表3から明らかなように、実施例1〜6の炎症モデルでは、比較例1〜6の炎症モデルと比較して、TEER値が高くなっていることから、TNF−αによって誘導される炎症性サイトカインの産生が抑制され、その結果、炎症性サイトカインの産生に起因する単層膜(Caco−2細胞)のタイトジャンクションに生じる傷害が好適に低減されているものと推察された。このことから、炎症性腸疾患用アミノ酸組成物中において、含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物であり、かつ分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物のように、これらアミノ酸が高濃度で含まれる炎症性腸疾患用アミノ酸組成物では、炎症性腸疾患の急性増悪期や再燃時における炎症状態を緩和させ得ることが判った。特にこのような傾向は、実施例3〜6から明らかなように、炎症性腸管疾患用アミノ酸組成物中に、含硫アミノ酸および分枝鎖アミノ酸の他に、さらに21.0〜120.0mg/gアミノ酸組成物のように高濃度にトリプトファンおよび/またはその誘導体が含まれる際に、より顕著に認められることが判った。
Claims (6)
- 少なくとも1種の含硫アミノ酸と、少なくとも1種の分枝鎖アミノ酸との双方を含有し、
前記含硫アミノ酸の含有量が50.0〜140.0mg/gアミノ酸組成物であり、前記分枝鎖アミノ酸の含有量が170.0〜460.0mg/gアミノ酸組成物であることを特徴とする炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。 - 前記含硫アミノ酸は、システイン、シスチン、メチオニンおよびN−アセチル−システインである請求項1に記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
- 前記分枝鎖アミノ酸は、ロイシン、イソロイシンおよびバリンである請求項1または2に記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
- さらに、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、プロリンおよびトレオニンからなる群のうちの少なくとも1種を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
- 脂肪、糖質、ビタミンおよびミネラルのうちの少なくとも1つの成分を含有する栄養剤である請求項1ないし4のいずれかに記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
- 前記栄養剤は、粉末状、液状または半固形状をなしている請求項5に記載の炎症性腸疾患用アミノ酸組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009279940A JP2011121888A (ja) | 2009-12-09 | 2009-12-09 | 炎症性腸疾患用アミノ酸組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009279940A JP2011121888A (ja) | 2009-12-09 | 2009-12-09 | 炎症性腸疾患用アミノ酸組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011121888A true JP2011121888A (ja) | 2011-06-23 |
Family
ID=44286147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009279940A Pending JP2011121888A (ja) | 2009-12-09 | 2009-12-09 | 炎症性腸疾患用アミノ酸組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011121888A (ja) |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1988008259A1 (en) * | 1987-05-01 | 1988-11-03 | Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. | Nutritive emulsion preparation |
JPH0328403B2 (ja) * | 1982-07-16 | 1991-04-19 | Eezai Kk | |
JPH04346770A (ja) * | 1990-10-26 | 1992-12-02 | Maurizio Luca | 栄養補給組成物 |
JPH08175987A (ja) * | 1994-12-27 | 1996-07-09 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 経口経腸栄養組成物 |
JP2002510317A (ja) * | 1997-07-02 | 2002-04-02 | アボット・ラボラトリーズ | 味のよい基本医用組成物 |
JP2003530411A (ja) * | 2000-04-12 | 2003-10-14 | ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム | 遊離アミノ酸含有組成物 |
WO2005082377A1 (ja) * | 2004-03-01 | 2005-09-09 | Ajinomoto Co., Inc. | 抗ヒトTNF-α抗体活性低下抑制剤 |
JP2009242413A (ja) * | 1993-10-28 | 2009-10-22 | Clintec Nutrition Co | アミノ酸をベースとする医薬 |
-
2009
- 2009-12-09 JP JP2009279940A patent/JP2011121888A/ja active Pending
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0328403B2 (ja) * | 1982-07-16 | 1991-04-19 | Eezai Kk | |
WO1988008259A1 (en) * | 1987-05-01 | 1988-11-03 | Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. | Nutritive emulsion preparation |
JPH04346770A (ja) * | 1990-10-26 | 1992-12-02 | Maurizio Luca | 栄養補給組成物 |
JP2009242413A (ja) * | 1993-10-28 | 2009-10-22 | Clintec Nutrition Co | アミノ酸をベースとする医薬 |
JPH08175987A (ja) * | 1994-12-27 | 1996-07-09 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 経口経腸栄養組成物 |
JP2002510317A (ja) * | 1997-07-02 | 2002-04-02 | アボット・ラボラトリーズ | 味のよい基本医用組成物 |
JP2003530411A (ja) * | 2000-04-12 | 2003-10-14 | ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム | 遊離アミノ酸含有組成物 |
WO2005082377A1 (ja) * | 2004-03-01 | 2005-09-09 | Ajinomoto Co., Inc. | 抗ヒトTNF-α抗体活性低下抑制剤 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5990241B2 (ja) | 安定な増粘剤配合物 | |
AU2007312216B2 (en) | Long-term feed - cancer patient | |
ES2484798T5 (es) | Alimentación con lípidos y sacáridos no digeribles | |
CN103025178B (zh) | 用于从胃肠外营养转换至肠内营养的营养组合物和方法 | |
Serna-Thomé et al. | Use of functional foods and oral supplements as adjuvants in cancer treatment | |
CN101522220B (zh) | 一种肠内营养产品 | |
WO2013146181A1 (ja) | 乳化食品組成物 | |
CN106923345B (zh) | 稳定的益生菌组合物 | |
CN103458710A (zh) | 具有α-HICA和瓜氨酸的营养组合物 | |
US9872515B2 (en) | Low-concentration nutritional composition | |
JP2010535767A (ja) | 栄養投与単位 | |
JPWO2013125064A1 (ja) | 半固形化栄養剤 | |
JP2011121889A (ja) | 炎症性腸疾患用アミノ酸組成物 | |
JP5902815B2 (ja) | 酸性液状栄養剤 | |
JP2010163408A (ja) | 水溶性ビタミンの保存方法 | |
JP2011121887A (ja) | 炎症性腸疾患用アミノ酸組成物 | |
ES2935859T3 (es) | Composición para mejorar la eficacia de un tratamiento con L-DOPA | |
WO2012133198A1 (ja) | 炎症性疾患用栄養組成物 | |
JP2011121888A (ja) | 炎症性腸疾患用アミノ酸組成物 | |
JP2011144116A (ja) | 炎症性腸疾患用添加剤 | |
KR20220019270A (ko) | 만성 염증성 장 질환을 앓고 있는 개체에서 영양실조의 예방 또는 치료 방법에 사용하기 위한 조성물 | |
JP2010095507A (ja) | ゲル状栄養剤の製造方法 | |
JP2017101002A (ja) | 腹水貯留改善用栄養組成物 | |
JP2010070536A (ja) | 脂溶性ビタミンの保存方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20121205 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140225 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20140715 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |