JP2011121532A - ヘリコプタのロータ・ブレード - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のロータ・ブレードにおいて副翼12はその前縁12aが主翼11の前縁11aに面一となるようし連続し、主翼のコード長cよりも短いコード長c1を有し、主翼に対して所定の取付角θを有し、主翼の先端部11dは、前縁よりも後縁11bが翼端外側に延長され所定の捩り(捩り角α)を有して形成されてなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
非特許文献1に示す翼端形状(図16)は、従来の矩形翼端前縁に矩形形状の前翼(サブウィング)105を装着することで、2つの弱い翼端渦に分割し、BVI騒音の低減を可能にしている。
特許文献1及び非特許文献2に示す翼端形状(図17)では、ロータ・ブレード先端部にロータ・ブレード・中央部コード長の50%よりも大きな平均コード長と、中央部コード長よりも大きなスパン長を有する先端部翼115を備え、2つのほぼ等しい強さの翼端渦に分割することでBVI騒音を低減している。
特許文献3に示す翼端形状(図19)では、副翼12の形状を矩形とすることで設計及び製造に要する費用・時間を大幅に削減しながら、ヘリコプタの着陸時等に発生するBVI騒音を格段に低減している。
これに対し、図20(b)に示す特許文献2又は3によって提案されたロータ・ブレード10によると、翼端から発生する翼端渦は、主翼11の翼端から発生する翼端渦(以下、「主翼渦」という)11cと、副翼12の翼端から発生する翼端渦(以下、「副翼渦」という)12cとの比較的弱い2つの渦に分割され、それぞれ、後方に流れる。ここで、副翼12の翼幅は、主翼11の翼幅よりも翼端外側に延長されているため、副翼渦12cは、主翼11の翼端の外側近傍を通過しながら後方に流れ、主翼渦11cと積極的に干渉し合うこととなる。
すなわち、図20(c)に後方から見た主翼渦11cと副翼渦12cとを示すように、反時計方向に回転する主翼渦11cの右側部分が、同方向に回転する副翼渦12cの左側部分と相殺し、全体として渦の強さが弱められた状態で拡散されることとなる。
この結果、先行するロータ・ブレード10から発生する翼端渦の強さが大幅に弱められ、この翼端渦と、後続するロータ・ブレード10との干渉によって発生するBVI騒音が、大幅に低減されることとなる。
非特許文献1や特許文献1の翼端形状では、翼端渦を2つの弱い渦に分割してBVI騒音を抑制しているものの、2つの渦同士が積極的に干渉せず、渦の拡散効果が少ないため、大幅なBVI騒音低減は図れないという問題がある。
特許文献2及び特許文献3では主翼先端部と副翼先端部から2つのほぼ等しい強さの翼端渦を放出し、それら2つの翼端渦を積極的に相互干渉させることにより翼端渦をさらに弱めることでBVI騒音を低減しているものの、空力性能が低下するという問題がある。
前記副翼は、その前縁が前記主翼の前縁に面一となるようし連続し、前記主翼のコード長よりも短いコード長を有し、前記主翼に対して所定の取付角を有し、
前記主翼の先端部は、前縁よりも後縁が翼端外側に延長され所定の捩りを有して形成されてなることを特徴とするヘリコプタのロータ・ブレードである。
さらに本発明によれば、抗力が低下する領域の主翼の捩り及び副翼の取付角を選択することができ、これにより翼先端部の揚抗比が大きくなり、空力性能を維持又は向上することができるという効果がる。
以上の効果を良好に得るために、主翼の先端部の捩り角は好ましくは−5°〜5°の範囲、より好ましくは、−2°〜0°の範囲に設定する。副翼の取付角は好ましくは−5°〜5°の範囲、より好ましくは−2°〜1°の範囲に設定する。
まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係るロータ・ブレード10の構成について説明する。本実施の形態に係るロータ・ブレード10は、図示しないヘリコプタのロータ・ヘッドに複数枚取り付けられて回転翼を形成するものであり、ロータ・ヘッドに根元部が取り付けられる主翼11と、主翼11の先端部11dに取り付けられた副翼12とを備えて構成されている。
主翼11は、図1に示すように、先端部11d除いてほぼ一様なコード長cを有しており、前縁11aに対して後縁11bが翼端外側に突出するように形成されている。そして、主翼11の前縁11aの先端と、後縁11bの先端とがなめらかな曲線形状(放物線形状)の翼端縁13で繋げられた形状に形成されて、主翼11の先端部11dが構成されている。
図1(c)に示すように、副翼12は、主翼11に対して所定の取付角θを有して取り付けられている。本発明の効果を良好に得るために、副翼12の取付角θは好ましくは−5°〜5°の範囲、より好ましくは−2°〜1°の範囲に設定する。
図1(b)〜(e)に示すように、主翼11の先端部11dは、前縁11aよりも後縁11bが翼端外側に延長され所定の捩りを有して形成されている。主翼先端部11dは、副翼取付スパン位置から主翼先端に渡って捩り角αが付与される。本発明の効果を良好に得るために、主翼11の先端部11dの捩り角は好ましくは−5°〜5°の範囲、より好ましくは、−2°〜0°の範囲に設定する。
取付角θ及び捩り角αの基準軸Fは、前縁11a、12a上に位置する。図1(d)において破線Gは、捩りを有さない場合を示す。
図2にあっては、領域I1においてホバリング揚抗比(実線H1)が破線G1に対して上回っており、領域I1においてホバリング性能が向上することを示している。
図3にあっては、領域I2において前進飛行揚抗比(実線H2)が破線G2に対して上回っており、領域I2において前進飛行性能が向上することを示している。
図4にあっては、領域I3においてロータの騒音量(実線H3)が破線G3に対して下回っており、領域I3において騒音低減が図られることを示している。
したがって、取付角θの値を、以上の領域I1,I2,I3に重なるように、すなわち、−2°〜1°の範囲に設定することが好ましい。領域I1,I2,I3のピークは重ならないから、ホバリング性能、前進飛行性能、騒音低減率に優劣をつけて任意に選択する。
例えば、取付角θとして−2°を選択すると、図5に示すように、ホバリング性能が2.6%向上し、前進飛行性能、騒音低減率がほぼ同等の結果が得られる。
主翼先端部11dに捩りを付与することにより、主翼先端部11dから発生する翼端渦が分散して互いに干渉し、主翼先端部11dから発生する翼端渦が弱まる。図6、図7は捩りを付与していない比較例(図(a))と、主翼先端部11dに捩りを付与した本発明例(図(b))の翼先端部から発生した翼端渦を比較したものである。図の矢印で示したベクトルは渦の周速度を表し、ベクトルの大きさが小さいほど渦が弱く、BVI騒音が小さいことを示しており、捩りを付与した本発明例にあってはベクトルが小さく渦が弱い。また、渦の形状は、捩りを付与していない比較例にあっては同心円状であるのに対し、捩りを付与した本発明例にあっては楕円形となっている。これは、捩りを付与した本発明例にあっては渦が分散して発生、互いに干渉し、渦が拡散しているためである。また、捩りを付与していない比較例にあっては主翼先端部に渦中心があるのに対し、捩りを付与した本発明例にあっては渦中心が翼根側へ移動する。主翼先端部11dの捩りの開始位置は副翼12取付スパン位置付近とする。これにより、主翼先端部11dから発生する渦と副翼12先端部から発生する渦の距離が適当となり、効果的に渦が拡散する。
副翼12に取付角を付与し、主翼先端部11dから発生した渦と同程度の強さの渦を副翼12先端部から発生させると、効果的に渦が拡散し、騒音低減効果が大きくなる。
次に、図8を用いて、本発明の第2実施形態に係るロータ・ブレード10Aについて説明する。本実施の形態に係るロータ・ブレード10Aは、第1実施形態に係るロータ・ブレード10の主翼11の先端部及び副翼の構成を若干変更したものであり、その他の構成については第1実施形態と実質的に同一である。このため、変更した構成についてのみ説明することとし、第1実施形態と重複する構成については、第1実施形態と同一の符号を付すこととする。
次に、図9を用いて、本発明の第3実施形態に係るロータ・ブレード10Cについて説明する。本実施形態に係るロータ・ブレード10Cは、第1実施形態に係るロータ・ブレード10の主翼と副翼との接合部の構成を若干変更したものであり、その他の構成については第1実施形態と実質的に同一である。このため、変更した構成についてのみ説明することとし、第1実施形態と重複する構成については、第1実施形態と同一の符号を付すこととする。
次に、図10を用いて、本発明の第4実施形態に係るロータ・ブレード10Dについて説明する。本実施形態に係るロータ・ブレード10Dは、第1の実施の形態に係るロータ・ブレード10の主翼の先端部の構成を若干変更したものであり、その他の構成については第1の実施の形態と実質的に同一である。このため、変更した構成についてのみ説明することとし、第1の実施の形態と重複する構成については、第1の実施の形態と同一の符号を付すこととする。
ロータ・ブレード10D(コード長c)は、その先端に第1実施形態と同じく矩形形状を有する副翼(コード長c1,スパン長b1)を備え、主翼先端部に捩りを付与し、副翼に取付角を付与したものである。ここで、第1実施形態と同様に0.1c≦c1≦0.5c、0≦b1≦0.5cである。
次に、図11を用いて、本発明の第5実施形態に係るロータ・ブレード10Eについて説明する。本実施形態に係るロータ・ブレード10Eは、第1実施形態に係るロータ・ブレード10の主翼の先端部及びその近傍部分の構成を若干変更したものであり、その他の構成については第1実施形態と実質的に同一である。このため、変更した構成についてのみ説明することとし、第1実施形態と重複する構成については、第1実施形態と同一の符号を付すこととする。
ロータ・ブレード10E(コード長c)は、その先端に、第1実施形態と同じく矩形形状の副翼(コード長c1、スパン長b1)を備えたものであり、主翼先端部に捩りを付与し、副翼12に取付角を付与したものである。ここで、第1実施形態と同様に0.1c≦c1≦0.5c、0≦b1≦0.5cである。
図12〜図14において、破線J1,J2,J3は、主翼先端部11dに捩りを付与せず副翼が無い比較例のグラフである。実線K1,K2,K3は、同じく副翼が無い場合について、主翼先端部11dの捩り角αを変化させた場合のグラフである。
図12にあっては、領域L1においてホバリング揚抗比(実線K1)が破線J1に対して上回っており、領域L1においてホバリング性能が向上することを示している。
図13にあっては、領域L2において前進飛行揚抗比(実線K2)が破線J2に対して同レベルであり、領域L2において前進飛行性能が維持できることを示している。
図14にあっては、領域L3においてロータの騒音量(実線K3)が破線J3に対して下回っており、領域L3において騒音低減が図られることを示している。
以上の図12〜図14の結果は、本発明の効果が得られるための主翼の捩りに起因した部分の要因を裏付けている。この結果から、主翼の先端部の捩り角は−2°〜0°の範囲に設定することが好ましいとわかる。
11 主翼
11a 前縁
11b 後縁
11d 主翼先端部
12 副翼
12a 前縁
13 翼端縁
α 捩り角
θ 副翼取付角
Claims (3)
- 根元部がヘリコプタのロータ・ヘッドに取り付けられる主翼と、前記主翼の先端部に取り付けられた副翼を備え、
前記副翼は、その前縁が前記主翼の前縁に面一となるようし連続し、前記主翼のコード長よりも短いコード長を有し、前記主翼に対して所定の取付角を有し、
前記主翼の先端部は、前縁よりも後縁が翼端外側に延長され前記副翼との取付位置付近から所定の捩りを有して形成されてなることを特徴とするヘリコプタのロータ・ブレード。 - 前記主翼の先端部の捩り角は−5°〜5°の範囲に設定されると共に、前記副翼の取付角は−5°〜5°の範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1記載のヘリコプタのロータ・ブレード。
- 前記主翼の先端部の捩り角は−2°〜0°の範囲に設定されると共に、前記副翼の取付角は−2°〜1°の範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1記載のヘリコプタのロータ・ブレード。
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