JP2005170350A - ロータブレード - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヘリコプタの主ロータブレードは、回転すると巨大な遠心力に依って発生する捩りモーメントでブレード先端羽根角が捩られてその迎え角がフラットピッチ状態になり、ブレード先端の揚力が減衰し、高速飛行時には失速する。しかし、この現象は、今日に至っても気付かれておらず、見当違いの「捩り下げ」の誤った処置さえ為されている
【解決手段】 本発明はヘリコプタの主ロータブレード先端付近の短いスパン部を「捩り上げ」にして、先端迎え角がフラットピッチ状態になることを防ぐ。
【選択図】 図1

Description

発明の詳細な説明
発明の属する分野
本発明は、ヘリコプタの主ロータブレード、固定翼航空機のプロペラおよび風力発電用矩形矩形ブレードに関する。
従来のヘリコプタの主ロータブレードは、大きなアスペクト比であるためにブレード根元とブレード先端の羽根角を同等にしても、プラスピツチにして回転させると巨大な遠心力による捩りモーメントが掛かるため、ブレード先端が回転軸回りの回転面に一致する方向に捩れてブレード先端の迎え角がフラットあるいはフラットに近い状態になる。
例えば、通常ヘリコプタの飛行時には容易に観察できないが、米軍のシコルスキーH−60Aは、14名の兵員または1,197kgまでの物資搭載と胴体下のカーゴフックに3,629kgの物資吊り下げ可能で、この機の地上すれすれのホバリング状態の写真を見ると、主ロータブレード根元が大きな迎え角になっていて先端はフラットになっている状態を観察できる(週間ワールド・エアクラフト p59−13 No.59 2000年11月21日発行 (株)ディアゴスティーニ・ジャパン刊)。
そのために、ピッチ上げ相当のブレード回転による揚力を期待しても、揚力を出せる筈にも係わらず飛行時の揚力は期待値よりも小さく、回転数を上げて飛行速度を増すと回転の後退側のブレード先端から失速することがあった。飛行速度を上げる対策として考案されたウエストランドW−30に採用されているパドル翼(BERP)と呼ばれるローターブレードがあるが、遠心力に起因するブレード先端の迎え角がフラット化の防止には効果が無いものであった。
言うまでもなく、今日に至っ当該現象に気付かず、従って当該ブレード先端の迎え角のフラット化の防止対策は採られておらず、見当違いのブレード先端「捩り下げ」の誤った処置さえ採られている。
固定翼航空機のプロペラではヘリコプタの主ロータブレードよりもスパンが短く、しかもプロペラ先端が捩り下げしてあるためにプロペラ先端迎え角のフラット化の懸念は無い。しかし、プロペラ先端を捩り上げするプロペラを採用する場合には当該プロペラ先端迎え角のフラット化の問題が起きる。
風力発電ブレードにおいては、先細り形ブレードでは必要としないが矩形ブレードではヘリコプタの主ロータブレードとは逆のマイナスピッチにおいてブレード先端迎え角のフラット化が起き、回転数が上がり回転軸方向の推力が増すことになり好ましくない。
発明が解決しようとする課題
ヘリコプタの主ロータブレードは、回転数アップに依って生じる巨大な遠心力のために、主ロータブレードが捩れて先端の迎え角がフラットになり、ピッチ上げに依って期待される揚力がでない。また、揚力発生効果が大きいブレード先端の迎え角がフラットになるために失速も起きる。本発明は、その揚力損失を防ぎ、正常な揚力を発生させ、失速しないで飛行するためのヘリコプタ用主ロータブレードおよび捩り上げして使用する場合における固定翼航空機のプロペラを提供することを目的としている。
また、風力発電の矩形ブレードにおいてピッチ下げした場合、充分以上の風速で回転すると遠心力によって生じる捩りモーメントによりブレード先端の迎え角がフラットになるために回転数が上がり回転軸方向の推力が増し、発電装置を搭載しているタワーを押し倒す水平軸方向の力になり好ましくない。それを防ぐための風力発電ブレード提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
上記の目的を達成するために、本発明は、ヘリコプタの主ロータブレードおよび風力発電用矩形ブレードの大きなアスペクト比の長スパン(L)の先端部から回転軸側に向けて、比較的短い短スパン(S)を想定し、当該短スパン(S)根元から先端に架けて「捩り上げ」にして、長いスパン部が巨大な遠心力で捩れて短スパン(S)の根元がフラットになっても、比較的短い短スパン(S)先端の迎え角がフラットになることを防ぐ。
材料力学上、長すぎるスパンの両端の捩りを少なくすることは困難だが、短スパンであれば容易であり、遠心力に依る捩りモーメントは回転面に一致する方向に捩れ、プラス・マイナス・ゼロの回転面位置に落ち着くために、短スパン根元がゼロピッチでも短スパン先端の迎え角は維持される。短スパン根元部位の捩れ強度が不足していれば容易に強度を上げる処置がとれる。
本発明の実施形態を実施例を図面を参照して説明する。図1において、Aは、飛行時にピッチ上げ操作することに依りブレードの迎え角が大きくなり、垂直方向あるいは斜め前方に揚力が発生して飛行できる状態を推定したことを示す。
Bは、Aでの飛行できる状態の推定にかかわらず、実際に回転すると回転に依って使用ずる巨大な遠心力により、とりわけ強い遠心力が働く長スパン(L)のブレード先端においてブレード先端の迎え角(α)が大きな捩りモーメントに依ってブレード回転面まで捩られてフラット、即ちゼロピッチ(0°)になった実際の飛行における先端の迎え角の状態を示す。
Cは、長スパン(L)のブレード先端から回転軸方向に向けて、短スパン(S)の位置から短スパン(S)の先端に迎え角(α)あるいは先端迎え角(β)の「捩り上げ」をし、回転させて飛行した場合の状態を示す。尚、回転しない静止状態では、短スパン(S)根元のゼロピッチは、遠心力の捩りモーメントから解放されて元の迎え角(α)に戻る。
図2は、主ロータブレードをゼロピッチにした場合のブレードの状態、即ち静止状態における羽根角を示す。Dは短スパン(S)の根元部をフラットピッチ、先端部を先端羽根角(θ)にして捩り上げした傾斜前縁(6)にし、Eは先端羽根角(θ)を短スパン(S)の根元部付近までに渡って捩り上げした水平前縁(7)にし、Fは短スパン(S)の先端部と根元部をフラットピッチとして短スパン(S)の中間部を先端羽根角(θ)相当のアーチ前縁(8)の羽根角に捩り上げした状態を示す。
図3は、固定翼航空機のプロペラにおいて捩り上げをして使用する場合のプロペラ先端を捩り上げした状態を示す。Gは短スパン(S)の根元部をフラットピッチ、先端部を先端羽根角(θ)にして捩り上げした傾斜前縁(6)にし、Hは先端羽根角(θ)を短スパン(S)の根元部付近までに渡って捩り上げした平行前縁(7)にし、Jは短スパン(S)の先端部と根元部をフラットピッチとして短スパン(S)の中間部を先端羽根角(θ)相当のアーチ前縁(8)の羽根角に捩り上げした状態を示す。
図4は、ピッチ下げして使用する風力発電の矩形ブレードにおいて、ブレード先端を捩り下げした状態を示す。Kは短スパン(S)の根元部をフラットピッチ、先端部を先端羽根角(θ)にして捩り下げした傾斜前縁(6)にし、Lは先端羽根角(θ)を短スパン(S)の根元部付近までに渡って捩り下げした平行前縁(7)にし、Mは短スパン(S)の先端部と根元部をフラットピッチとして短スパン(S)の中間部を先端羽根角(θ)相当のアーチ前縁(8)の羽根角に捩り下げした状態を示す。
発明の効果
本発明は、以上説明したようにブレード短スパン(S)の根元部の迎え角よりも大きい先端迎え角(β)にすることで、短いスパンであるために捩りモーメントに依って捩られることが無く、先端迎え角(β)が維持され、期待する揚力が発生する。
従って、従来の主ロータブレードを使用したときに見られる状態、即ち先端迎え角がゼロピッチになって期待される揚力が減衰する状態のようなことが無くなり、またブレード先端の迎え角が維持されるために失速も無くなる。
図1のC・図2のD〜Fのアンチ遠心力対策の先端「捩り上げ」は、製造技術上の困難さは無く、従って製造コストがアップする難点も無い。以上の効果を奏する。
図3のG〜J図4のK〜Mにおけるアンチ遠心力対策の先端「捩り上げ」乃至「捩り下げ」も図2のD〜Fの場合と同様に製造技術上の困難さは無く、製造コストがアップする難点も無い。
ヘリコプタの主ロータブレードをプラスピッチにした場合における回転静止時、回転時および本発明を実施した場合の回転時の状態を示す見取図である。 主ロータプレードをゼロピッチにした場合のブレードの長スパンと短スパンの羽根角の状態、即ち製品の形状を示す見取図である。 固定翼航空機のプロペラにおいて捩り上げをして使用する場合のプロペラ先端を捩り上げした状態を示す見取図である。 ピッチ下げして使用する風力発電の矩形ブレードにおいて、ブレード先端を捩り下げした状態を示す見取図である。
符号の説明
1 ピッチ上げ操作で推定されるブレードの状態
2 飛行時のブレードの状態
3 アンチ遠心力対策、先端「捩り上げ」済みで飛行時のブレードの状態
4 回転方向
5 回転軸
6 傾斜前縁
7 平行前縁
8 アーチ前縁
α 迎え角
β 先端迎え角
0° ゼロピッチ
L 長スパン
S 短スパン
θ 先端羽根角

Claims (3)

  1. ロータブレード先端付近の短スパン(S)部を捩り上げしたヘリコプタ用主ロータブレードおよび固定翼航空機のプロペラブレード
  2. ロータブレード先端付近の短スパン(S)部を捩り下げした風力発電用ブレード。
  3. 短スパン(S)部の前縁を傾斜前縁(6)、平行前縁(7)乃至アーチ前縁(8)の形状で捩り上げした請求項1のヘリコプタ用主ロータブレードおよび固定翼航空機のプロペラブレード若しくは捩り下げをした請求項2の風力発電用矩形ブレード。
JP2003436382A 2003-12-08 2003-12-08 ロータブレード Pending JP2005170350A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011121532A (ja) * 2009-12-14 2011-06-23 Japan Aerospace Exploration Agency ヘリコプタのロータ・ブレード
CN107264796A (zh) * 2016-04-01 2017-10-20 空客直升机德国有限公司 具有至少两个螺旋桨桨叶的螺旋桨组件

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011121532A (ja) * 2009-12-14 2011-06-23 Japan Aerospace Exploration Agency ヘリコプタのロータ・ブレード
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