JP2011120970A - 線材の洗浄方法およびその洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の線材を走行方向に沿って上下からのワイピング作業や線材を輪取りした状態で行う超音波洗浄では、線材表面に強固に付着している潤滑剤の残渣を確実に除去することが不可能な場合がある。
【解決手段】潤滑剤を用いて伸線加工された線材を湯水による洗浄水中で走行させ、その洗浄水中で走行方向に沿ってワイピングクロスによる挟持部で複数個所異なる角度で挟持すると共にその挟持部を走行方向と直交する方向に振動させることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】潤滑剤を用いて伸線加工された線材を湯水による洗浄水中で走行させ、その洗浄水中で走行方向に沿ってワイピングクロスによる挟持部で複数個所異なる角度で挟持すると共にその挟持部を走行方向と直交する方向に振動させることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、伸線加工された線材の表面に加工中に付着した汚れを除去する洗浄方法およびその洗浄装置に関する。
線材は、一般に多数のダイスを通す伸線機による連続伸線加工によって所望の線径の線材に加工している。
このようなダイスを有する伸線機による伸線加工に際しては、加工時の摩擦抵抗の低下と冷却を行うために、ダイスを通過する線材の表面に潤滑剤を供給するように構成されている。
このようなダイスを有する伸線機による伸線加工に際しては、加工時の摩擦抵抗の低下と冷却を行うために、ダイスを通過する線材の表面に潤滑剤を供給するように構成されている。
これにより、ダイスを通過した線材の表面には潤滑剤等が付着残留していることがある。また、この残留潤滑剤の一部は乾燥・固化して残渣となって線材表面に付着することがある。
通常、これらの伸線加工に用いる潤滑剤は、線径、材質および加工条件等により、動物性油脂、鉱物油および界面活性剤等が用いられている。このうち、界面活性剤は動物油脂や鉱物油に比較して細い線径まで使用されている。
従来、これら潤滑剤残渣の除去は、伸線後の線材をボビン巻きあるいは輪取りして洗浄液中での超音波洗浄や線材を走行方向に沿ってワイピングクロスで挟持するワイピング等を行っていた。
また、研磨剤を用いた超音波洗浄によって線材の表面を研磨する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述した従来の技術によると、線材を走行方向に沿って上下からのワイピング作業や線材を輪取りした状態で行う超音波洗浄では、線材表面に強固に付着している潤滑剤の残渣を確実に除去することが不可能な場合がある。
また、通常、洗浄液としてアルカリ洗浄液や炭化水素等の溶液を用いるが、それらの廃液処理は厳格に行われなければならないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
そこで本発明は、伸線加工によって得られた線材を60°C以上の湯水中を所定の速度で浸漬走行させながら潤滑剤残渣を溶解あるいは半溶解させて周囲表面にワイピングクロスを押圧して構成した挟持部で拭き取ることを特徴とする。
また、挟持部のワイピングクロスで線材を押圧して拭き取る際に、線材を挟むワイピングクロス同志の合わせ目の拭き残しをなくすために、異なる角度で線材を挟むようにワイピングクロスによる挟持部を複数配置して線材周囲全面をむら無く拭き取るようにしたことを特徴とする。
また、ワイピングクロスによる各挟持部を、線材の走行方向に直交する方向に振動させることにより、確実に周面を払拭するようにしたことを特徴とする。
このようにした本発明は、伸線加工された線材周囲に付着した潤滑剤残渣の払拭効果が高く、しかも洗浄液として湯水を使用することができるために、環境負荷が小さく、廃液の管理が容易となるという効果が得られる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図において、1は洗浄容器、2は洗浄容器1内の洗浄水である。
この洗浄容器1内には所定の間隔を開けて2つのキャプスタン3、4が設けてあり、このキャプスタン3、4の間に伸線加工の済んだ線材5を渡し、その線材5を挟むワイピングクロス6による挟持部7を複数異なる角度で線材5を挟むように配置してワイピング部12を構成して線材5を払拭するようにする。
本実施例では、キャプスタン3、4に線材5を往復するように巻き付けて二列に走行させ、そのキャプスタン3、4間のそれぞれの列の走行間に線材5挟む複数の挟持部7を配置してそれぞれワイピング部12を構成してある。
この二列走行にしたワイピング部12は、線材5の直線での走行距離を短くして洗浄容器1を小さくするためであり、そのためには二列以上でもよい。また、そのようなことを考慮する必要がないならば、キャプスタン3、4間の距離を長くして一本の長い走行距離としてもよい。なお、いずれにせよ総走行距離が長く、挟持部7が多いほど線材5周囲面の払拭は確実となる。
8は振動板であり、各挟持部7の端部を固定して挟持部7を線材5の走行方向と直交する方向に振動させるようにしてある。
ワイピング部12を図3によって説明すると、各ワイピング部12は、キャプスタン3、4間に、複数の挟持部7をそれぞれ走行する線材5を挟む角度を変えて配置してそれぞれが違う方向から線材5を挟持する。
さらに、各挟持部7の端部は振動板8に接続していることにより、線材5は走行方向の直線運動に対してワイピングクロス6面に押し付ける方向に振動する走行方向に直交する振動運動を与えた複合運動作用によって、線材周囲全面の潤滑剤残渣を払拭することができる。なお、この振動方向は、ワイピングクロスの合わせ方向であってもよく、走行方向と直交する方向の運動であればどのような方向でもよい。
また、この挟持部7の振幅および振動回数は、線材5の走行速度に合わせて適宜に設定される。
9は伸線工程の済んだ線材5を洗浄水を入れた洗浄容器1内に供給する供給ガイドであり、線材5をキャプスタン3に案内する。10は洗浄された線材5を巻き取る巻取りボビンである。
11は洗浄水2を温めるヒーターであり、伸線加工時に使用する潤滑剤の種類によって加熱温度を定めるもので、通常は60°C以上に加熱する。この洗浄水の加熱によって、線材表面の潤滑剤が溶解するか半溶融状態となる。
このように温められた洗浄水中を走行する線材5を振動する複数の挟持角度で配置された挟持部7で挟持することにより、線材表面に付着した潤滑剤残渣はむらなく払拭されることになる。
また、線材5を巻取りボビン10に巻き取る際に、巻き締りやカールの発生を抑制するために、一旦キャプスタン4に巻き付けた後、巻取りボビン10に巻き取るようにして複数の挟持部のワイピング部12を通過させるに必要な引っ張りテンションを巻取りボビン10に直接与えず、それ以外の機構に負担させるとよい。
なお、上記したワイピング部12を構成する挟持部7の数やワイピングクロス6面の押圧力は、線材5が洗浄後にカールや断線の発生がないように設定される。
材質がAgで直径3mmの線材を直径0.2mmに伸線加工した線材を用いた。
潤滑剤には界面活性剤を用いた。
キャプスタン間に互いに90°角度を変えて交互に4個の不織布によるワイピングクロスによる挟持部を配置してワイピング部を3列並列に形成し、そこを伸線加工された上記線材を通し、送り速度5m/minで1,000m通過洗浄した。
この時、それぞれ同じ向きの挟持部は振動板により、押圧面方向に振幅10mmで振動させた。
また、洗浄水の温度は、80°Cの純水とした。
潤滑剤には界面活性剤を用いた。
キャプスタン間に互いに90°角度を変えて交互に4個の不織布によるワイピングクロスによる挟持部を配置してワイピング部を3列並列に形成し、そこを伸線加工された上記線材を通し、送り速度5m/minで1,000m通過洗浄した。
この時、それぞれ同じ向きの挟持部は振動板により、押圧面方向に振幅10mmで振動させた。
また、洗浄水の温度は、80°Cの純水とした。
上記実施例1と同様で、洗浄水の温度を60°Cとした。
つぎに、比較例について説明する。
つぎに、比較例について説明する。
上記実施例と同じAg線材に、洗浄工程を行わなかった。
上記実施例と同様の装置において、洗浄水を40°Cの純水で行った。
上記実施例と同様の装置において、挟持部を振動させずに洗浄水を80°Cの純水で行った。
以上の実施例1、2および比較例1、2、3における線材の1,000m目の周囲表面を電子顕微鏡により観察し、潤滑剤残渣の付着面積の割合を測定した。
また、実施例1については、持続性を評価する目的で、500m目の表面を電子顕微鏡で観察し、潤滑剤残渣の付着面積の割合を測定した。
以上の結果を表1に示す。
以上の実施例1、2および比較例1、2、3における線材の1,000m目の周囲表面を電子顕微鏡により観察し、潤滑剤残渣の付着面積の割合を測定した。
また、実施例1については、持続性を評価する目的で、500m目の表面を電子顕微鏡で観察し、潤滑剤残渣の付着面積の割合を測定した。
以上の結果を表1に示す。
1 洗浄容器
2 洗浄水
3、4 キャプスタン
5 線材
6 ワイピングクロス
7 挟持部
8 振動板
9 供給ガイド
10 巻取りボビン
11 ヒーター
12 ワイピング部
2 洗浄水
3、4 キャプスタン
5 線材
6 ワイピングクロス
7 挟持部
8 振動板
9 供給ガイド
10 巻取りボビン
11 ヒーター
12 ワイピング部
Claims (3)
- 潤滑剤を用いて伸線加工された線材を湯水による洗浄水中で走行させ、その洗浄水中で走行方向に沿ってワイピングクロスによる挟持部で複数個所異なる角度で挟持すると共にその挟持部を走行方向と直交する方向に振動させることを特徴とする線材の洗浄方法。
- 洗浄水を加温するヒーターを有する洗浄容器中に、複数のキャプスタンを距離を開けて配置し、このキャプスタンの間に伸線加工をした線材を走行可能に渡し、その線材を、ワイピングクロスによる複数の挟持部を異なる角度で線材を挟むように配置すると共に各挟持部を振動板に接続して線材の走行方向に対して直交する方向に振動させるようにしてワイピング部を構成したことを特徴とする線材の洗浄装置。
- 請求項2において、キャプスタン間に複数列線材が走行可能として、それぞれの列にワイピング部を設けたことを特徴とする線材の洗浄装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009278603A JP2011120970A (ja) | 2009-12-08 | 2009-12-08 | 線材の洗浄方法およびその洗浄装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009278603A JP2011120970A (ja) | 2009-12-08 | 2009-12-08 | 線材の洗浄方法およびその洗浄装置 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2009278603A Pending JP2011120970A (ja) | 2009-12-08 | 2009-12-08 | 線材の洗浄方法およびその洗浄装置 |
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JP (1) | JP2011120970A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103014255A (zh) * | 2011-09-27 | 2013-04-03 | 吴江市中信科技有限公司 | 一种铜包铝线退火收线机 |
CN104368567A (zh) * | 2014-10-27 | 2015-02-25 | 马世龙 | 一种漆包线绝缘层自动清洗装置 |
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2009
- 2009-12-08 JP JP2009278603A patent/JP2011120970A/ja active Pending
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