JP2011120603A - 液体調味料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】血圧降下作用を有する物質を含有させたものであるにもかかわらず、風味の振れが抑制され、継続的に摂取することが容易となり、優れた血圧降下作用を有する液体調味料を簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】醤油を含む調味液とγ−アミノ酪酸とを混合した後、60〜100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とγ−アミノ酪酸とを混合しながら60〜100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、血圧降下作用を有する物質を混合した液体調味料の製造方法に関する。
昨今、食品中に含まれる種々の成分の生理作用に関心が高まっており、厚生労働省もそのような生理機能を有する素材を含有する食品に対して特定保健用食品として許可を与えることとしている。これらの食品は、飲料、ヨーグルト、スープ、味噌汁、からあげ、ハンバーグなどの惣菜、即席麺、錠菓・錠剤などの形態で商品化されており、急激に需要が増大している。
生理活性機能を有する素材として、様々な素材が提案されているが、その一つとして血圧降下作用を有する物質がある。なかでも食品中に含まれ安全性の高い物質として、ペプチド、γ−アミノ酪酸、クロロゲン酸、コーヒー豆抽出物等があり、これらを含有する高血圧に有効な食品が提案されている(特許文献1〜3)。特に、γ−アミノ酪酸は、食品中に含まれており、血圧降下作用、精神安定作用、抗更年期障害作用等が知られている(特許文献4〜6、非特許文献1〜3)。このように有用なγ−アミノ酪酸について、食品中の含有量を高める技術が公知である(特許文献7〜13)。
ところが、調味料にγ−アミノ酪酸を添加すると、当該物質特有の後味や、エグ味が生じて、風味の一体感が損なわれるという問題がある。そこで、アミノ酸や核酸を配合することで、味質を改善する方法が開示されている(特許文献14)。
特開2004−194515号公報 特開2004−290088号公報 特開2002−87977号公報 特開平10−215812号公報 特開2004−35478号公報 特開2004−290129号公報 特開平7−227245号公報 特開平9−238650号公報 特開平11−103825号公報 特開2001−352940号公報 特開2003−169659号公報 特開2004−147560号公報 特開2004−313032号公報 特開2004−275098号公報
Jpn Parmacol Ther (薬理と治療),30巻,11号,p.963(2002年) 食品と開発,36巻,6号,p.4(2001年) FOOD Style 21,6巻,7号,p.53(2002年)
本発明者らが検討したところ、液体調味料に血圧降下作用を有する物質を多量に配合すると、血圧降下作用には有利に働くものの、風味に変化が生じ、継続摂取し難くなる場合があることが明らかとなった。特に、日常摂取する液体調味料においては、風味の変化が摂取に影響を及ぼすことから、メニューによって風味変化が生じることは、継続的な摂取への影響が懸念される。例えば、前述の従来技術において、調味料にγ−アミノ酪酸を添加し、当該物質特有の後味や、エグ味が生じて、風味の一体感が損なわれた場合に、アミノ酸や核酸を配合することで味質を改善しようとしても、旨味が付与されて風味バランスが崩れてしまう。また、コストが増加する等、新たな問題点も生じてしまうのが現状である。
本発明の目的は、日常的に摂取する食品である醤油、又は醤油を含む液体調味料において、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化を改善し、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料の簡便な製造方法を提供することにある。
本発明者は、血圧降下作用を有する物質を含有させた液体調味料において、製造方法により風味を改善する手段について検討してきた。その結果、配合又は製造目的物である液体調味料の製造工程において、加熱処理を行う前に血圧降下作用を有する物質を混合し、次いで加熱処理を行う工程、又は、血圧降下作用を有する物質を混合しながら加熱する工程を行うことにより、血圧降下作用を有する物質を配合しても当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくて、継続的摂取が容易となり、優れた血圧降下作用を有する液体調味料が簡便に得られることを見出した。
すなわち、本発明は、醤油を含む調味液とγ−アミノ酪酸とを混合した後、60〜100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とγ−アミノ酪酸とを混合しながら60〜100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、血圧降下作用を有する物質を含有させたものであるにもかかわらず、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくて、継続的に摂取することが容易となり、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料を簡便に得ることができる。
本発明における液体調味料は、醤油、醤油加工品、減塩醤油、及びその他の醤油を含む液体調味料をいう。ここでいう「醤油」及び「醤油加工品」は、日本農林規格で定義される「しょうゆ」、及び「しょうゆ加工品」と同一概念である。「しょうゆ」とは、日本農林規格に定義されるところの液体調味料であり、「しょうゆ加工品」とは、日本農林規格に定義される「しょうゆ」に調味料、酸味料、香料、だし、エキス類等を添加した、「しょうゆ」と同様の用途で用いられる液体調味料をいい、具体的にはつゆ、たれ等が挙げられる。「減塩醤油」とは、製品100g中のナトリウム量が3550mg(食塩として9g)以下の「しょうゆ」、および「しょうゆ加工品」をいう。本発明において、「低塩醤油」とは、製品100g中のナトリウム量が3550mg超〜5522mg未満(食塩として9g超〜14g未満)の「しょうゆ」、および「しょうゆ加工品」をいう。これら「減塩醤油」、「低塩醤油」は、栄養改善法の病者用の特別用途食品に限定されるものではない。
本発明においては、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質を混合することが必要である。本発明における醤油とは、醤油の製造工程において、製造原料の仕込み、発酵・熟成を行った後、圧搾して絞り出して得た生醤油を火入れしたものをいい、必要に応じて濾過等の清澄化を行ったものである。製造工程で植え付けた麹菌により作られた酵素は失活し、原料由来、又は空気中からの各種の菌は、殺菌されたものである。また、本発明における醤油には、製造工程上は火入れ工程中の醤油であっても、製造工程で植え付けた麹菌により作られた酵素が失活し、原料由来、又は空気中からの各種の菌が殺菌された状態のものも含むものとする。
本発明における血圧降下作用を有する物質とは、ポリフェノール類、アンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチド及び交感神経抑制物質、食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等をいい、これらから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
具体的には、ポリフェノール類としては、ベンゼン環にヒドロキシル基が2個以上結合したフェノール性物質が好ましい。たとえば、植物由来のフラボノイド、タンニン、フェノール酸などが挙げられる。また、これらの配糖体も用いることができる。より好ましいポリフェノール類としてはクロロゲン酸類、フラボノール類、フラバノール類、イソフラボン類等が挙げられ、例えばブドウ種子ポリフェノール、クランベリーポリフェノール等が市販されている。このうち、クロロゲン酸類は安定かつ持続的な血圧降下作用を有することから特に好ましい。クロロゲン酸類としては、カフェオイルキナ酸類、フェルロイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸が挙げられ、その他にカフェ酸、フェルラ酸等が含まれていても良い。
クロロゲン酸類には、異性体、類縁体が存在し、本発明では、純粋な異性体、類縁体又はそれらの混合物を用いることができる。本発明におけるクロロゲン酸類には、具体的には、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸、5−フェルロイルキナ酸及び3−フェルロイル−4−カフェオイルキナ酸等が含まれる。
クロロゲン酸類は、塩にすることにより水溶性を向上させることができ。これらの塩としては、薬学的に許容される塩であれば好ましい。このような塩の形態としてはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸塩が挙げられるが、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩が好ましい。本発明においては、これらの塩を調製してから、その他の成分からなる組成物中に添加したものでもよいし、クロロゲン酸類と塩形成成分とを別々に該組成物中に添加して、この中で塩を形成せしめたものでもよい。
クロロゲン酸類を含有する天然物抽出物、特に植物抽出物としては、例えば、コーヒー豆、キャベツ、レタス、アーチチョーク、トマト、ナス、ジャガイモ、ニンジン、リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アプリコット、チェリー、ヒマワリ、モロヘイヤ、カンショ等が挙げられ、含有量の点からコーヒー豆が好ましい。
クロロゲン酸類をコーヒー豆から抽出する方法としては、熱水又は水溶性有機溶媒により抽出することが、精製工程等の負荷の点から好ましい。コーヒー豆は、生、又は軽く焙煎したものであることが、クロロゲン酸の含有量が高い点から好ましく、特に生コーヒー豆抽出物が好ましい。具体的には、生コーヒー豆抽出物としては、長谷川香料(株)「フレーバーホルダーRC−30R」、オリザ油化(株)「生コーヒー豆エキスP」、東洋発酵(株)「OXCH100」等、リンゴ抽出物としては、ニッカウヰスキー(株)「アップルフェノン」、ヒマワリ種子抽出物としては、大日本インキ化学工業(株)「ヘリアントS−100」などが挙げられる。
上記コーヒー豆抽出物はカフェインを多く含むが、本発明に使用する場合、カフェインが除去され高純度のクロロゲン酸類としたものであることが、液体調味料の風味を良好とする点から好ましい。コーヒー豆抽出物からカフェインを除去する方法としては、カフェイン含有コーヒー豆抽出物を、有機溶媒と水の質量比が9/1〜1/9の混合溶液に溶解させ、活性炭及び/又は活性白土もしくは酸性白土と接触させることが好ましい。用いる有機溶媒としては、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。これらのうち、エタノール、メタノール、アセトンの親水性有機溶媒が好ましく、特に食品への使用を考慮すると、エタノールが好ましい。
有機溶媒と水の混合溶液に溶解させた後に接触させる活性炭としては、一般に工業レベルで使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C、白鷺WH2C(日本エンバイロケミカルズ社製)などの市販品を用いることができる。
有機溶媒と水の混合溶液に溶解させた後に接触させる酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO、Al、Fe、CaO、MgO等を含有するものである。活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸などの鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土を更に、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性が変化することが知られている。
コーヒー豆抽出物の分散液と活性炭及び酸性白土又は活性白土との接触処理は、バッチ式、カラムによる連続処理等のいずれの方法で行っても良い。一般には、粉末状の活性炭等を添加、攪拌し、カフェインを選択的に吸着後、ろ過操作によりカフェインを除去した濾液を得る方法、あるいは顆粒状の活性炭等を充填したカラムを用いて連続処理によりカフェインを選択的に吸着する方法が採用される。
活性炭及び酸性白土又は活性白土と接触させた後のコーヒー豆抽出物の分散液は、系中から有機溶媒を取り除くべく減圧蒸留などの方法を用いて留去される。また処理後のコーヒー豆抽出物は液状でも固体状でもいずれでも良いが、固体状態を調製する場合には凍結乾燥やスプレードライなどの方法によって粉末化しても良い。
脱カフェイン処理後のコーヒー豆抽出物中のカフェイン濃度は、クロロゲン酸類に対して、クロロゲン酸類/カフェインの質量比が5〜80、更に10〜60、特に10〜50であるのが好ましい。10未満では、カフェインの呈味の影響が大きく食用に適さない。また、80以上では、ろ過工程の効率の観点から好ましくない。
イソフラボンとしては、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニスチン、ダイジン、グリシチン及び、これら2種以上の混合物等の大豆から抽出したものが好ましく用いられる。特に配糖体であるゲニスチン、ダイジン、グリシチン及び、これら2種以上の混合物が溶解性の点で好ましい。このほか、液体調味料に溶解させ易いものとして、プルネチン(5,4’−ジヒドロキシ−7−メトキシ体),イリゲニン(5,7,3’−トリヒドロキシ−6,4’,5’−トリメトキシ体)等の配糖体を用いることができる。
本発明の液体調味料へのポリフェノール類の配合量は、血圧降下作用及び風味の点から0.1〜5質量%(以下、単に「%」で示す)、さらに0.2〜3%、特に0.25〜2%が好ましい。ここで、ポリフェノール類の配合量は、液体調味料に添加したポリフェノール類量である。ポリフェノール量が0.1%以下では、十分な血圧降下作用が得られない。また、5%以上のポリフェノールの配合は、異味が強すぎて好ましくない。
アンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドとしては、食品原料由来であるものが使用できる。特に乳由来のペプチド、穀物由来のペプチド及び魚肉由来のペプチドが好ましい。ここで、穀物由来のペプチドとしては、穀物由来の分子量200〜4000のペプチド、特にとうもろこし由来の分子量200〜4000のペプチドが好ましい。さらにまた、とうもろこし蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白等をプロテアーゼで処理して得られる分子量200〜4000のペプチド、特にとうもろこし蛋白をアルカリ性プロテアーゼで処理して得られる分子量200〜4000のペプチド(特開平7−284369号公報)が好ましい。魚肉由来のペプチドとしては、魚肉由来の分子量200〜10000のペプチド、さらにサバ、カツオ、マグロ、サンマ等の魚肉をプロテアーゼ処理して得られる分子量200〜10000のペプチド、特にカツオ蛋白をプロテアーゼ処理して得られる分子量200〜10000のペプチドが好ましい。
アンジオテンシン変換酵素阻害活性の強さは、アンジオテンシン変換酵素の活性を50%阻害する濃度(IC50)で示される。本発明に用いられるアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドのIC50は50〜1000μg/mL程度であれば、減塩醤油系において、血圧降下作用が期待できる。
本発明に配合できるペプチドの市販品としては、とうもろこし由来のペプチドとしてペプチーノ(日本食品化工、IC50:130μg/mL)、小麦由来のペプチドとしてグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ、IC50:508μg/mL)、大豆由来のペプチドとしてハイニュート(不二製油、IC50:455μg/mL)、カツオ由来のペプチドとしてペプチドストレート(日本サプリメント、IC50:215μg/mL)等が挙げられる。
当該ペプチドのアンジオテンシン変換酵素阻害活性は、例えば合成基質p−ヒドロキシベンゾイル−グリシル−L−ヒスチジル−L−ロイシンを用いた簡便で再現性の良い測定キットのACEカラー(富士レビオ株式会社)を使用することにより測定することができる。当該ペプチドの配合量は、血圧降下作用及び風味の点から液体調味料中0.5〜20%、更に1〜10%、特に2〜5%が好ましい。
交感神経抑制物質としては、γ−アミノ酪酸、タウリン及びこれらの塩等が挙げられる。γ−アミノ酪酸とは、4−アミノ酪酸(CNO)のことであり、甲殻類の神経筋接合部、哺乳動物の脳などに多く存在するアミノ酸の一種である。γ−アミノ酪酸としては、公知の方法で製造したものを使用することができ、食品中に含有されるものを抽出したものの他、L−グルタミン酸含有食品にデカルボキシラーゼを作用させて生成させたもの等も好ましく用いることができる。特に、液体調味料に用いるのに最適なものとして、魚醤油諸味やその圧搾液、大豆、小麦、米胚芽、米糠を原料とするもの、さらに精製により純度を高めたものを用いることができる。
本発明において、液体調味料中の液体調味料のγ−アミノ酪酸の含量は、血圧降下作用等の生理機能及び風味の点から0.04〜5%、更に0.05〜3%、特に0.08〜1%、殊更0.1〜0.5%が好ましい。ここで、γ−アミノ酪酸の含量は、液体調味料にもともと存在していた量と、添加した量の和である。本発明において、血圧降下作用を有する物質としてγ−アミノ酪酸を用いて加熱処理を施すと、液体調味料にγ−アミノ酪酸由来の後味、エグ味が生じず、風味の一体感が付与されて良好となる。
なお、液体調味料中のγ−アミノ酪酸含量は、アミノ酸分析装置を用いて測定することができる。
タウリンとしては、食品(魚介、貝類)中に含有されるものを抽出したものを好ましく用いることができる。本発明の液体調味料へのタウリンの配合量は、血圧降下作用及び風味の点から0.05〜5%、更に0.2〜3%、特に0.5〜2%が好ましい。
本発明において、血圧降下作用を有する物質として、上記物質以外に食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等を0.05〜5%、更に0.2〜3%、特に0.5〜2%配合してもよい。
本発明において、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合した後、加熱処理する工程とは、製造原料の仕込み、発酵・熟成、圧搾、火入れ後に得られた醤油を含む調味液に対し、血圧降下作用を有する物質を所定量添加、混合し、次いで加熱処理する工程をいう。
本発明において、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合しながら加熱処理する工程とは、製造原料の仕込み、発酵・熟成、圧搾、火入れ後に得られた醤油を含む調味液に対し、血圧降下作用を有する物質を所定量添加、混合しながら、加熱処理する工程をいう。換言すれば、加熱状態にある醤油を含む調味液に対し、任意のタイミングで、任意の時間をかけ、血圧降下作用を有する物質を所定量添加、混合する工程をいう。なお、本発明において火入れ後に得られた醤油とは、製造工程上は火入れ工程中の醤油であっても、製造工程で植え付けた麹菌により作られた酵素が失活し、原料由来、又は空気中からの各種の菌が殺菌された状態のものも含む。
いずれの工程においても、血圧降下作用を有する物質を混合する際に攪拌を行うのが好ましく、醤油を含む調味液を攪拌しながら血圧降下作用を有する物質を添加してもよいし、醤油を含む調味液に血圧降下作用を有する物質を添加した後で攪拌してもよい。
本発明において、加熱処理とは、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合したもの、又は、混合しつつあるものに対し、特定の条件で加熱することをいう。加熱処理を行うことで、血圧降下作用を有する物質を含有する風味良好な液体調味料を、簡便に製造することができる。加熱処理時の加熱温度は、調味液や血圧降下作用を有する物質の種類や量によって異なるが、60℃以上、好ましくは70〜130℃、更に75〜120℃、特に80〜100℃、殊更85〜95℃で加熱することが、風味、安定性、色等の点から好ましい。血圧降下作用を有する物質を混合しても、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが抑制されて風味良好となるので、60℃以上で加熱するのが好ましい。
本発明において、加熱処理時の加熱時間は、加熱温度により異なるが、60℃の場合は10秒〜120分、更に30秒〜60分、特に1分〜10分、殊更2分〜5分であることが、風味、安定性、色等の点から好ましい。80℃の場合は、2秒〜60分、更に5秒〜30分、特に10秒〜10分、殊更30秒〜5分であるのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。90℃の場合は、1秒〜30分、更に2秒〜10分、特に5秒〜5分、殊更10秒〜2分であるのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。また、加熱温度と加熱時間を組合せて、60〜70℃で10分以上加熱した後、80℃で1分以上加熱する方法でもよい。
本発明において、加熱処理は、液体調味料の品温で規定してもよい。加熱処理時に、品温(サンプルの中心温度)が60℃以上となるように加熱するのが好ましく、更に70〜130℃、特に80〜98℃、殊更85〜95℃となるように加熱するのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温60℃の場合、60℃に達した時点(60℃達温)から60分以下の加熱処理が好ましく、更に60℃達温時より30秒〜30分、特に60℃達温時より1〜10分、殊更60℃達温時より3〜7分の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温80℃の場合、80℃に達した時点(80℃達温)から10分以下の加熱処理が好ましく、更に80℃達温から5分以下、特に80℃達温から3分以下、殊更80℃達温から1分以下の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温90℃の場合、90℃に達した時点(90℃達温)から5分以下の加熱処理が好ましく、更に90℃達温から3分以下、特に90℃達温から1分以下、殊更90℃達温の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。
加熱処理において使用する装置は、60℃以上の温度が容易に得られる加熱機器であればいずれでもよいが、直火式の地釜、蒸気または湯せん式の二重缶や蛇管、多管式の連続加熱機(パイプヒーター)、プレート式熱交換器(プレートヒーター)が例示される。
なお、本発明において、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを添加、混合しながら加熱処理を行って液体調味料を製造しても、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合する工程に次いで、加熱処理工程を行って液体調味料を製造してもよい。いずれの製法でも同様の効果が得られるが、製法簡便化の点から、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合する工程に次いで、加熱処理工程を行うのが好ましい。
本発明において、液体調味料として減塩醤油類を製造する場合は、生醤油を電気透析、又は塩析/希釈により食塩含量の低下した生醤油(減塩生醤油)を調製し、火入れ工程後、血圧降下作用を有する物質とを混合しながら/混合した後、加熱処理を行う方法、又は、火入れ工程後の醤油を電気透析、又は塩析/希釈により食塩含量の低下した醤油(減塩醤油)を調製し、これを含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合しながら/混合した後、加熱処理を行う方法等により製造することができる。
食塩の過多な摂取は、腎臓病、心臓病、高血圧症に悪影響を及ぼすことから、本発明においては、食塩の摂取量を制限するために、製品100g中のナトリウム量が食塩として14g未満の低塩醤油を使用するのが好ましく、更に9g以下である減塩醤油を使用することが好ましく、血圧降下作用を有する物質との相性が良い。また、液体調味料として低塩醤油又は減塩醤油を用いた場合には、血圧降下作用を有する物質としては、風味との相性の点からγ−アミノ酪酸を用い、本発明の製造方法を用いることが好ましい。
本発明において、液体調味料の食塩含有量を14%未満とするのが好ましく、より好ましくは5〜13%、更に7〜12%、特に9〜11.5%、殊更9.5〜11%とするのが、血圧降下作用等の生理機能、風味の点で好ましい。同様に液体調味料中のナトリウム含有量を5.5%未満とするのが好ましく、より好ましくは2〜5.1%、更に2.75〜4.72%、特に3.54〜4.52%、殊更3.74〜4.32%とするのが好ましい。本発明において、ナトリウムの含有量は原子吸光光度計(Z−6100形日立偏光ゼーマン原子吸光光度計)により測定することができる。
更に、液体調味料中のカリウム含量を0.5〜4.2%、更に1〜3.6%、特に1.5〜3.1%とすることが、食塩含有量が低いにもかかわらず塩味を増強させ、かつ苦味を生じない点から好ましい。本発明において、カリウムの含有量は原子吸光光度計(Z−6100形日立偏光ゼーマン原子吸光光度計)により測定することができる。また、カリウムは塩味があり、かつ異味が少ない点から塩化カリウムを用いることが好ましい。塩化カリウムを用いる場合は1〜7%、更に2〜6%、特に3〜5%配合することが好ましい。
食塩含有量とカリウム含有量を前記範囲に調整するには、例えば仕込水として食塩と例えば塩化カリウムの混合溶液を用いて醤油を製造する方法;塩化カリウム単独の溶液を仕込水として用いて得た醤油と食塩水を単独で仕込水として用いて得た醤油とを混合する方法;食塩水を仕込水として用いた通常の醤油を電気透析、膜処理等によって食塩を除去した脱塩醤油に塩化カリウムを添加する方法等が挙げられる。
また、本発明において、液体調味料を低塩又は減塩とした場合には、液体調味料中の窒素の含有量を1.2%以上とすることが、食塩含有量が低いにもかかわらず塩味を増強させ、かつ苦味を生じない点から好ましい。また、窒素の含有量はより好ましくは1.3%以上、更に1.4%以上、特に1.4〜2%、殊更1.6〜2%であることが好ましい。本発明において、液体調味料中の窒素濃度は全窒素分析装置(三菱化成TN−05型)により測定することができる。
更に、本発明において、液体調味料を低塩又は減塩とした場合には、液体調味料中の酸性/塩基性アミノ酸含有量を、酸性アミノ酸2%超及び/又は塩基性アミノ酸1%超とすることが、食塩含有量が低いにもかかわらず塩味を増強させ、かつ苦味を生じない点から好ましい。本発明において、液体調味料中の酸性/塩基性アミノ酸含有量は、アミノ酸分析装置を用いて測定することができる。
酸性アミノ酸は、より好ましくは2%超5%以下、更に2.4〜4.5%、特に2.5〜3.8%であることが、塩味の持続性の点から好ましい。塩基性アミノ酸は、より好ましくは1%超3%以下、更に1.2〜2.5%、特に1.5〜2%であることが、塩味の持続性の点から好ましい。なお、これらのアミノ酸は原料由来のものも含み、上記範囲に満たない場合には酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸等を別添することが好ましい。なお、本発明にいう「酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸」は、遊離のアミノ酸又はアミノ酸塩の状態のものを指すが、本発明に規定する含有量は、遊離のアミノ酸に換算した値をいう。
また、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸の中でも酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸が塩味の持続性の点から好ましく、更に、アスパラギン酸とグルタミン酸を併用することが、塩味の持続性の点から好ましい。この場合、アスパラギン酸の含有量は1〜3%が好ましく、更に1.2〜2.5%、特に1.2〜2%であることが、塩味の持続性の点から好ましい。アスパラギン酸は、醸造調味料をベースとした場合には原料由来のものも含み、上記範囲に満たない場合にはL−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム等を別添することが好ましい。また、グルタミン酸の含有量は1〜2%が好ましく、更に1.2〜2%、特に1.3〜1.8%であることが、塩味の持続性の点から好ましい。グルタミン酸は、醸造調味料をベースとした場合には原料由来のものも含み、上記範囲に満たない場合にはL−グルタミン酸、L−グルタミン酸ナトリウム等を別添することが好ましい。
塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジン、及びオルニチンが挙げられるが、中でもリジン、ヒスチジンが好ましく、特にヒスチジンが好ましい。リジンの含有量は0.5〜1%であることが塩味の刺激感の点で好ましく、ヒスチジンの含有量は0.2〜2%、更に0.5〜1%であることが、塩味の増強及び持続性の点から好ましい。これらの塩基性アミノ酸も醸造調味料をベースとした場合には原料由来のものも含み、上記範囲に満たない場合には、別添することが好ましい。
特に、アスパラギン酸/カリウムの質量比が0.25以上であることが好ましく、更に0.3以上、特に0.46以上、殊更0.5以上であることが、塩化カリウム由来の苦味を消失させる点から好ましい。また、アスパラギン酸/窒素の含有量の質量比が0.5以上であることが好ましく、更に0.6以上、特に0.7以上であることが塩味を強くし、シャープさを向上させる点から好ましい。
通常の醤油の窒素含有量は1.2%〜1.6%であるが、窒素含有量を1.6%以上とするには、通常の方法で醸造した醤油に、アミノ酸、好ましくは酸性アミノ酸及び/又は塩基性アミノ酸、更に好ましくはアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸をそれぞれ前記範囲の量となるように添加すること、又は濃縮及び脱塩の工程を施すことにより達成できる。例えば、減圧濃縮法によって食塩を除去するとともに、水を主成分とする揮発成分での希釈率を調整する方法や、電気透析装置によって食塩を除去する際に起こるイオンの水和水の移動を利用して、窒素分も同時に濃縮する方法等がある。また、通常より食塩分の低い減塩醤油をRO膜や減圧濃縮により、窒素含有量を高める方法や、逆に、たまり醤油、再仕込み醤油のような窒素含有量の高い醤油から脱塩することによる方法等がある。
本発明においては、液体調味料のpHは3〜6.5、更に4〜6、特に4.5〜5.5であることが、風味変化を抑制する点から好ましい。更に、塩素量4〜9%、固形分量20〜45%であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、充填工程を行うことが好ましい。充填工程とは、加熱処理を施した液体調味料を容器に充填する工程をいう。容器に充填して密閉した容器詰め液体調味料とすることにより、流通時に血圧降下作用を有する物質の劣化や風味の変化を抑制することができるので、好ましい。
本発明において、充填工程としては、(1) 加熱処理した後、液体調味料の温度が低下しないうちに容器に充填する、(2) 加熱処理しながら容器に充填する、又は、(3) 加熱処理した後、冷却してから容器に充填するのが風味、安定性、色の点で好ましい。
本発明の製造方法において、充填工程で使用される容器の容量は5mL〜20Lであるのが好ましく、次に好ましくは10mL〜5L、より好ましくは50mL〜2L、更に100mL〜1L、特に300mL〜800mL、殊更450〜700mLであるのが、安定性、使い勝手の点で好ましい。本発明に使用される容器は、一般の液体調味料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、紙容器、合成樹脂製の袋、ガラス瓶などの通常の形態で提供することができる。紙容器としては、紙基材とバリア性層(アルミニウム等の金属箔、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン系重合体など)とヒートシール性樹脂層とを含む積層材を製函したものなどが挙げられる。
本発明の製造方法において、充填工程で使用する容器は、その酸素透過指数が0.8(cm3/day・m2)以下であることが好ましい。本発明でいう「酸素透過指数」とは、JIS法(K 7126 B法)により求められる「酸素透過度」(単位:cm3/day・bottle)を容器の表面積で除して、その材料1m2当たりに換算した値をいう。酸素透過度は、具体的にはMOCON社製装置を用いて、試験片(容器)の一方に酸素を供給し、もう一方に等圧で窒素キャリアーガスを流し、透過した酸素を酸素検知器を用いて測定された値(20℃、相対湿度60%)のことである。本発明に用いる容器の酸素透過指数は、好ましくは0〜0.6、より好ましくは0〜0.4、更に0.01〜0.2、特に0.02〜0.15、殊更0.05〜0.12であるのが、血圧降下作用を有する物質の生理活性機能維持、及び風味維持の点から好ましい。
本発明に用いる容器は、上記バリア性能を有するよう内層/中間層/外層の材質を適宜選択し、必要に応じて接着剤で接着することにより得ることができる。内層及び外層の材質としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、これらの延伸物、密度変更物、これら素材と他素材とを組合わせた物を用いるのがバリア性、外観、作業性、保存性、使用感、強度の点で好ましい。これらのうち、より好ましくは、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、延伸ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポレエチレン、延伸ポリエチレンテレフタレート、更に好ましくは、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを用いるのがよい。
また、上記バリア性能を有するように上記記載の単層樹脂容器や多層樹脂容器の内外部に炭素膜や珪素膜をコーティングしたものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートに炭素膜や珪素膜をコーティングしたものが挙げられる。更に、上記バリア性能を有するようにPET樹脂に、メタキシレン基含有ポリアミド樹脂等の各種ナイロン樹脂(例えばMXD −6 ナイロン樹脂(MxD −6 Ny))をドライブレンドして成形した単層プリホームを用いてもよい。
本発明に用いる容器の中間層としては、酸素透過バリア性の高いエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いるのがバリア性、保存性及び使用感の点で好ましい。例えば、エチレン含有量が20〜60モル%、特に25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにして得られる共重合体ケン化物が使用される。このエチレン−ビニルアルコール共重合体は、フィルムを十分形成できる分子量を有するのが好ましい。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の例としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリアミド類が挙げられる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いる場合のように、他層との接着性が十分に得られない場合は、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては、カルボン酸、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル基を主鎖又は側鎖にもつ熱可塑性樹脂が挙げられる。具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合体ポリエステル、共重合体ポリアミド等の1種又は2種以上の組合せが挙げられる。これらの接着剤樹脂は、同時押出し或いはサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。また、予め形成された酸素透過バリア性フィルムと水分透過バリア性フィルムとの接着積層には、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱硬化性接着剤樹脂も使用される。
これらのうち特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体を接着する三井化学株式会社製のアドマーや三菱化学株式会社製のモディックを使用するのが好ましい。
また、本発明に用いる容器に上記バリア性だけでなく透明性も付与するためには、例えば、内層及び外層が透明性の高い配向性熱可塑性樹脂であるポリプロピレン(PP)層からなり、中間層に環状オレフィンポリマー(COP)層とエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)層とを含んだ4層構造とするのが好ましい。また、内層及び外層を構成するPPと、中間層を構成するCOP及びEVOHの各層の間には、接着層が介在している。
ここで、環状オレフィンポリマー(COP)は、透明性及び水分バリア性に優れた樹脂であり、このCOPとしては、例えば日本ゼオン株式会社製のゼオノア(シクロ・オレフィン・ポリマー)や三井化学株式会社製のアベル(環状・オレフィン・コポリマー)等を用いることができる。
本発明に用いる容器は、上記バリア性及び透明性を有していれば、それ自体公知の方法で製造することができる。例えば、多層押出成形体の製造には、各樹脂層に対応する押出機で溶融混練した後、多層多重ダイスを用いて押出成形を行えばよい。多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により射出成形を行えばよい。
本発明の製造方法においては、必要に応じて冷却工程を行うのが、風味、安定性、容器の安定性の点で好ましい。冷却工程とは、加熱処理工程を経た液体調味料や、更に充填工程を経た液体調味料を冷却する工程のことである。冷却条件は、加熱温度よりも10℃以上低下させるのが好ましく、より好ましくは20℃以上、更に30℃以上低下させるのが風味、血圧降下作用物質の劣化抑制の点で好ましい。冷却温度は70℃以下とするのが好ましく、更に5〜65℃、特に10℃〜50℃、殊更15〜30℃とするのが風味、血圧降下作用物質の劣化抑制の点で好ましい。冷却工程において使用する装置は、想定する冷却温度が容易に得られる冷却機器であればいずれでもよいが、プレート式加熱冷却装置を用いるのが好ましい。
本発明の液体調味料は、継続摂取することにより、高血圧症が顕著に改善される効果がある。従って、本発明の液体調味料の容器には、「血圧が気になる方に適しています」、「血圧が高めの方に適しています」、「血圧を下げる働きがある」、「血圧調整作用がある」等、表示することができる。
(1)液体調味料の製造方法
下記に示す配合、加熱処理方法で、液体調味料を製造した。
〔配合〕
・液体調味料1
減塩醤油(ヤマサ醤油(株)/減塩しょうゆ)にコーヒー豆抽出物(長谷川香料(株)/RC−30R)を1.2%添加した後、攪拌して、溶解した。
・液体調味料2
減塩醤油(ヤマサ醤油(株)/減塩しょうゆ)に4−アミノ酪酸(和光純薬工業(株))を0.5%添加した後、攪拌して、溶解した(γ−アミノ酪酸含量;0.53%)。
〔加熱処理方法〕
上記サンプル5mlをガラス製サンプル管に入れ、開栓状態でウォーターバス(100℃)に浸漬して加熱した。温度計でサンプルの品温を測定しながら加熱し、設定温度(60℃、80℃、90℃)になったところで、別に用意したウォーターバス(60℃、80℃、90℃)に浸漬させ、所定時間(1分、5分)加熱した。その後、流水で冷却し、次いで閉栓して液体調味料を製造した。達温品は、設定温度(60℃、80℃、90℃)になったところで、流水で冷却し、閉栓することにより製造した。尚、加熱処理しないものを対照品とした。
(2)風味評価1
(1)で得られた液体調味料1(試験品1〜9、対照品a)を用いて、下記調理方法により調理品(冷奴、肉じゃが)を作製し、下記評価基準にてパネル5名による風味評価を官能で行った。結果を表1に示す。
<冷奴>
木綿豆腐を冷蔵庫で冷やした後、水気をきったもの100gに、液体調味料を5gかけて、冷奴を作製した。
<肉じゃが>
じゃがいも(100g)は、皮をむいて一口大に切り、水につけた後、笊で水気を切った。豚バラ肉(25g)は、一口大に切った。玉葱(25g)は、くし形に切った。人参(25g)は、じゃがいもより小さい乱切りにした。
鍋にサラダ油7gを入れて火にかけ、玉葱、ジャガイモ、人参を炒め、全体に油がまわったら豚バラ肉を加え、肉の色が変わるまで炒めた。次いで、出し汁120mlを加え、煮立ったら弱火にし、アクを取って蓋をして8分間煮た。蓋を外し、砂糖(大匙1杯)、塩(小匙1/5杯)を入れて全体を混ぜ、10分間煮た。液体調味料(7.5g)を加え、5分間煮て、肉じゃがを作製した。
〔コーヒー豆抽出物由来の風味の評価基準〕
A:コーヒー豆抽出物由来の風味を全く感じない。
B:コーヒー豆抽出物由来の風味が対照品に比べかなり低減している。
C:コーヒー豆抽出物由来の風味が対照品に比べやや低減している。
D:コーヒー豆抽出物由来の風味が対照品と同等である。
〔調理品(冷奴、肉じゃが)の風味バランスの評価基準〕
4:非常に風味バランスがよく、好ましい。
3:風味バランスがよく、やや好ましい。
2:やや風味バランスに欠け、あまり好ましくない。
1:風味バランスに欠け、好ましくない。
(3)風味評価2
(1)で得られた液体調味料2(試験品10〜18、対照品b)を用いて、下記調理方法により調理品(刺身、卵焼き)を作製し、下記評価基準にてパネル5名による風味評価を官能で行った。結果を表2に示す。
<刺身>
市販のマグロ切り身を包丁で5mmの厚さに切り、液体調味料2につけて、刺身を作製した。
<卵焼き>
鶏卵(50g)を箸でときほぐし、液体調味料2を1.9g加え、混合した。テフロン製フライパンに、サラダ油0.8gを入れて火にかけ、とき卵を注ぎ、箸で成形して、卵焼きを作製した。
〔γ−アミノ酪酸由来の風味の評価基準〕
A:γ−アミノ酪酸由来のエグ味、後味を全く感じない。
B:γ−アミノ酪酸由来のエグ味、後味が対照品に比べかなり低減している。
C:γ−アミノ酪酸由来のエグ味、後味が対照品に比べやや低減している。
D:γ−アミノ酪酸由来のエグ味、後味が対照品と同等である。
〔調理品(刺身、卵焼き)の風味バランスの評価基準〕
4:風味の一体感が付与され、好ましい。
3:やや風味の一体感が付与され、やや好ましい。
2:やや風味の一体感に欠け、あまり好ましくない。
1:風味の一体感に欠け、好ましくない。
(4)風味評価3
減塩醤油(ヤマサ醤油(株)/減塩しょうゆ)に4−アミノ酪酸(和光純薬工業(株))を0.5%添加した後、攪拌して、溶解したもの(γ−アミノ酪酸含量;0.53%)を試験品19とした。ここに、酵母エキス(アロマイルド、興人製)を0.1%添加したものを試験品20とした。これらについて、スプーンに一定量とり、風味評価2と同様の基準で、官能による風味評価を行った。結果を表3に示す。
(5)風味評価4
減塩醤油(ヤマサ醤油(株))100部と濃口醤油(キッコーマン(株))50部に、4−アミノ酪酸(和光純薬工業(株))を0.45部と塩化カリウム(和光純薬工業(株))0.75部添加した後、攪拌して、溶解した。これを50mL容のガラス製サンプル瓶に40g入れて閉栓し、ウォーターバス(85℃)に浸漬して5分間加熱した。次いで、流水で冷却し、容器詰め液体調味料Sを製造した。
これを開栓して、風味評価を行ったところ、γ−アミノ酪酸由来のエグ味、後味が殆ど感じられず、カリウムの異味が抑制され、しかも風味の一体感が付与されて、風味良好であった。
(6)液体調味料中のクロロゲン酸の測定
加熱処理を施さない対照品と、加熱処理を施したサンプル(90℃5分)について、クロロゲン酸含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。その結果、対照品の含有量を100としたときの加熱処理品の含量は100であった(重量相対値)。
Figure 2011120603
表1に示すように、試験品1〜9を使用した調理品では、血圧降下作用を有する物質由来の風味が殆ど感じられず、風味バランス良好で、調理品による風味のフレが殆どなく良好であった。尚、90℃5分の加熱処理を施しても、有効成分であるクロロゲン酸の含有量は低下しなかった。
Figure 2011120603
表2に示すように、試験品10〜18を使用した調理品では、γ−アミノ酪酸由来のエグ味、後味が殆ど感じられず、風味の一体感が付与され、風味良好であった。
Figure 2011120603
表3に示すように、試験品19では、γ−アミノ酪酸由来の後味が感じられ好ましくなかった。酵母エキスを添加した試験品20では、γ−アミノ酪酸由来の後味は改善するものの、旨味が残り、風味バランスが崩れてしまって好ましいものではなかった。このように、加熱処理を施さずに調味料を用いてγ−アミノ酪酸の後味を改善しても、風味バランスが崩れてしまうことが明らかとなった。

Claims (5)

  1. 醤油を含む調味液とγ−アミノ酪酸とを混合した後、60〜100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とγ−アミノ酪酸とを混合しながら60〜100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。
  2. 更に、充填工程を含む請求項1記載の液体調味料の製造方法。
  3. 加熱処理が、80〜95℃で加熱処理するものである請求項1又は2に記載の液体調味料の製造方法。
  4. 所定温度への到達から前記所定温度での加熱時間が5分以下である請求項3記載の液体調味料の製造方法。
  5. 前記液体調味料がしょうゆ又はしょうゆ加工品である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。
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