JP2011120303A - タグアンテナ - Google Patents

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尚志 山ヶ城
Toru Maniwa
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Abstract

【課題】導電性の対象物に取り付けられる小型のRFタグ及びRFタグを製造する方法を提供すること。
【解決手段】
ダイポールアンテナとチップが実装される給電部とで構成されるタグアンテナは、アンテナ共振波長の2分の1よりも短い実効長を有するダイポール部と、ダイポール部の中央に設けられた給電部と、給電部を中心に囲むように形成され、かつ両端がダイポール部に接続されているインダクタンス調整部と、ダイポール部の両端に、該ダイポール部の線路幅より広い領域を設けた端部とを有する。
【選択図】図1A

Description

本発明はタグアンテナに関連する。
様々な商品、物品その他の対象物を管理するためにRFタグを使用することが間々ある。そのようなシステムは、多数のRFタグと、RFタグからの情報を読み取る又はそこへ情報を書き込むリーダ又はライタ装置(以下、「RFタグリーダ」という。)とを有する。対象物の各々にはRFタグが同伴する。リーダは質問器(interrogator)とも呼ばれる。RFタグは、RFIDタグ、無線タグ、ICタグ等と言及されてもよい。RFタグには例えば識別情報(ID)、製造番号、製造日時、製造場所その他のデータが書き込まれてもよい。
RFタグには一般に能動型(アクティブ型)と受動型(パッシブ型)がある。アクティブ型のRFタグは、自ら電力を用意することができ、RFタグリーダ側の装置構成を簡単にすることができる。後者は、自ら電力を用意することはできず、外部からエネルギーを受けることによって、ID情報の送信等の動作が行なわれる。パッシブ型は、RFタグを安価にする観点から好ましく、将来的に特に有望である。
使用する信号の周波数帯域の観点からは、電磁結合方式と電磁波方式とがある。前者は数キロヘルツ程度の周波数帯域や、13メガヘルツ程度の周波数帯域等を使用する。後者は、UHF帯(例えば950MHz)や、2.45ギガヘルツのような更に高い周波数帯域を使用する。通信可能な距離を増やしたり、RFタグの寸法を小さくする等の観点からは高い周波数の信号を使用することが望ましい。一例として、電磁結合方式では高々1メートル程度しか通信できないことが知られている。また、950MHzでは1波長が30cm程度で済むが、13MHzではそれが23メートルにもなってしまう。
RFタグと共に同行する対象物には様々なものが考えられるが、特に対象物が導電性を有するか否かはRFタグの設計で特に重要視される。対象物が絶縁性であれば、RFタグを取り付ける前後でRFタグの動作特性はさほど大きく変わらない。しかしそのRFタグを金属筐体のような導電体に取り付けると、その導体によるイメージ電流がRFタグの通信時に発生する。従ってRFタグの動作特性は導電体の対象物に取り付けられる前後で大きく異なる。
本願出願時の非特許文献1には金属に取り付けることが可能な従来のRFタグが掲載されている。
http://www.awid.com/product/mt_tag/mt.htm
非特許文献1に記載されているような従来のRFタグは、半波長より長いダイポールアンテナとして動作するアンテナ構造を有する。より具体的には誘電体の表面にアンテナのパターンを表す導電性材料が設けられ、誘電体の裏面に金属層が形成され、全長が1/2波長程度に設計されている。動作周波数は902−928MHzであるので、全長は17cm程度になる。しかしながらこのような寸法ではRFタグを取り付ける対象物の種類が大きく制限されてしまうという問題がある。
また、従来のRFタグは導電性の対象物に取り付けられた場合に所望の無線通信を行うことができるように、アンテナの寸法や絶縁層の材料特性等が選択される。従って、RFタグの製造工程の途中で、アンテナの導電層の部分が用意されたに過ぎない段階(下地の誘電体層や接地導電層が形成されていない状態)では、そのアンテナを通じてRFタグ中の集積回路の情報を利用することは困難である。このため、導電性の対象物に同伴するRFタグの場合には、非導電性の対象物に同伴するRFタグとは異なり、RFタグの完成前にRFタグ中の情報を有効に利用できないという問題もある。
開示される発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は導電性の対象物に取り付けられる小型のRFタグ及びRFタグを製造する方法を提供することである。
開示される発明によるタグアンテナは、
ダイポールアンテナとチップが実装される給電部とで構成されるタグアンテナにおいて、
アンテナ共振波長の2分の1よりも短い実効長を有するダイポール部と、
該ダイポール部の中央に設けられた給電部と、
該給電部を中心に囲むように形成され、かつ両端がダイポール部に接続されているインダクタンス調整部と、
該ダイポール部の両端に、該ダイポール部の線路幅より広い領域を設けた端部とを有することを特徴とするタグアンテナである。
開示される発明によれば、導電性の対象物に取り付けられるRFタグの小型化を図ることができる。
本発明の一実施例によるRFタグの平面図を示す。 本発明の一実施例によるRFタグの側面図を示す。 本発明の一実施例によるRFタグの側面図を示す。 アンテナパターンの一例を示す図である。 アンテナパターンの一例を示す図である。 アンテナパターンの一例を示す図である。 アンテナパターンの一例を示す図である。 アンテナパターンの一例を示す図である。 アンテナパターンの一例を示す図である。 シミュレーションで想定されているアンテナの形状を示す図である。 インダクタ長と容量の対応関係を示す図(ε=2.3)である。 インダクタ長と利得の対応関係を示す図(ε=2.3)である。 インダクタ長と抵抗の対応関係を示す図(ε=2.3)である。 アンテナ及び集積回路に関する等価回路図を示す。 シミュレーションで想定されているアンテナの形状を示す図である。 インダクタ長と容量の対応関係を示す図(ε=2.3)である。 インダクタ長と利得の対応関係を示す図(ε=2.3)である。 インダクタ長と抵抗の対応関係を示す図(ε=2.3)である。 アンテナの各種のパラメータと飛距離の関係を示す図表(ε=2.3)である。 スペーサの厚みと飛距離の関係を示す図(ε=2.3)である。 アンテナの周波数特性を示すスミスチャート(ε=2.3)である。 インダクタ長と容量の対応関係を示す図(ε=3.0)である。 インダクタ長と利得の対応関係を示す図(ε=3.0)である。 インダクタ長と抵抗の対応関係を示す図(ε=3.0)である。 インダクタ長と容量の対応関係を示す図(ε=3.0)である。 インダクタ長と利得の対応関係を示す図(ε=3.0)である。 インダクタ長と抵抗の対応関係を示す図(ε=3.0)である。 アンテナの各種のパラメータと飛距離の関係を示す図表(ε=3.0)である。 スペーサの厚みと飛距離の関係を示す図(ε=3.0)である。 アンテナの周波数特性を示すスミスチャート(ε=3.0)である。 RFタグを製造する方法を示す図である。 アンテナのパターンを形成する導電体を示す図である。 図17Bのアンテナに関する動作周波数と整合容量の関係を示す図である。 余分な導電性のパターンを有するアンテナを示す図である。 図18Aのアンテナに関する動作周波数と整合容量の関係を示す図である。 余分な導電性のパターンを有するアンテナを示す図である。 図19Aのアンテナに関する動作周波数と整合容量の関係を示す図である。 図19Aのアンテナの余分な線路の長さと整合容量及び利得との関係を示す図である。 図18A及び図19Aに示されるアンテナの周波数特性を示すスミスチャートである。 アンテナ長と整合容量との関係を示す図である。 アンテナ長と利得との関係を示す図である。 アンテナ長と抵抗との関係を示す図である。 可能な切断箇所と共に印刷されたアンテナパターンを示す図である。 別の切断方向を示す図である。
本発明の一形態によれば、第1及び第2の放射素子の間に給電部が直列に接続されて微小ダイポールアンテナが形成され、給電部に並列にインピーダンス調整部が接続される。微小ダイポールアンテナの給電部に並列にインダクタを設けることで、UHF帯で動作する微小ダイポールアンテナを形成することができる。これにより使用波長の半分より短いアンテナを備えたRFタグを実現することができる。
第1及び第2の放射素子は給電部に対して対称な形状を有してもよい。第1及び第2の放射素子は帯状に伸びる導電体でそれぞれ形成されてもよい。更に、帯状の導電体の一辺に沿って伸びる線路に給電部が接続されてもよい。また、一方の帯状の導電体の伸びる方向に沿う該導電体の2つの辺が、他方の導電体の2つの辺にそれぞれ整列していてもよい。そのように整列させることはアンテナをコンパクトに小型化する等の観点から好ましい。
インダクタは、屈曲した導電性の線路で形成されてもよいし、集中素子で形成されもよい。導電性の線路で形成すると、アンテナのパターンと同様に(場合によっては同時に)パターニングできる点で、それは製造工程の簡易化の観点から好ましい。また、線路長を調整することでインダクタンスの値を適切に調整することができる。なお、給電部に並列に設けられたインダクタのインダクタンスを調整することとは別に、第1及び第2の放射素子の双方又は一方の一部分を除去することで、RFタグのインピーダンスが調整されてもよい。
アンテナを支持する絶縁層はポリエチレンテレフタレート(PET)層及びスペーサ層を少なくとも含む多層構造を有してもよい。例えばスペーサ層にPETフィルムを貼り付けることでRFタグを簡易に製造することができる。
アンテナ層を支持する絶縁層の裏面に導電層が設けられてもよい。これは、RFタグの使用態様によらず、RFタグの裏面側で接地導体を確保できる点で好ましい。裏面に設けられる導電層は一面に斑なく設けられてもよいし、網目状のパターンを有するように設けられてもよい。後者は金属材料を節約する観点から好ましい。
図1A〜Cは本発明の一実施例によるRFタグを示す。図1AはRFタグの平面図を示す。図1BはRFタグの側面図を示す。図示されるようにRFタグは絶縁性のスペーサ15と、スペーサ15に付けられた絶縁性フィルム10と、絶縁性フィルム10上に形成されたアンテナパターンとを有する。
スペーサ15は例えば数ミリメートルの厚さを有し、例えば2.3のような所定の比誘電率を有する。RFタグは導電性の対象物(不図示)に取り付けられ、その対象物はスペーサ15の裏面(絶縁性フィルム10が付けられていない側の面)に取り付けられる。導電性の対象物には例えばパーソナルコンピュータの筐体、スチール製の事務用品、建築現場の鉄骨材料その他の適切な如何なる導電性の物品が含まれてもよい。導電性の対象物の表面が充分に大きな導電性を有していないことがある。例えば導電性の対象物の塗装材料や表面の凹凸状態等に起因して、その表面が導体としての性質を充分に発揮しない場合があるかもしれない。このような場合には図1Cに示されるようにスペーサ15の裏面に導電層17が形成されてもよい。
絶縁性フィルム10はその上に適切なアンテナのパターンを形成することができる如何なる層で形成されてもよい。本実施例では絶縁性フィルム10はポリエチレンテレフタレート(PET)材料から形成される。
図1Aに示されるようにアンテナのパターンは図中左右の長さ方向に対称性を有する。このパターンで形成されるアンテナは平面アンテナを形成し、第1の放射素子11と、第2の放射素子12と、それらの間に直列に接続された給電部13と、給電部13に並列に接続されたインダクタ14とを有する。
第1の放射素子11,12は長さ方向に沿う帯状の幅の広い形状を有する。給電部13は幅の狭い線路により第1及び第2の放射素子11,12の間に直列に接続される。実際には給電部13を示す破線の中に集積回路も含まれている。この集積回路はアンテナを通じてリーダ(又は質問器)から受信した信号を利用して電力を確保し、受信した信号(制御信号)の指示内容に応じて適切な応答信号を作成し、それを送信する処理を行う。第1,第2の放射素子11,12及び給電部13はアンテナがダイポールアンテナとして動作するための中心的な役割を果たす。インダクタ14は給電部13に並列に設けられ、幅の狭い線路で形成され、矩形の形状を有する。インダクタ14の平面形状は矩形に限定されないが、それは少なくとも閉曲線状に形成され、動作時に誘導素子として機能することを要する。主にインダクタ14はアンテナのインピーダンスを給電部13の集積回路と整合させるために使用される。従ってインダクタ14は絶縁性フィルム上の平面的な線路ではなく立体的な集中素子で構成されてもよい。但し、製造工程の簡易化の観点からは、図示のようにインダクタ14を線路で形成し、アンテナのパターン形成時にインダクタも同時に形成することが有利である。このようなアンテナのパターンを採用することで、アンテナの全長Lを使用波長の半分より短くすることができる。本実施例では使用周波数が950MHz(これは316mmの波長に対応する)である場合に、全長Lを60mm程度にすることができ、それを半波長(158mm)よりも非常に短くすることができる。
アンテナのパターンは図1に示されるものに限定されず、図2乃至図7に例示されるように様々なパターンが使用されてもよい。図2に示されるように必要に応じてインダクタンスが更に大きくなるようにインダクタ14が形成されてもよい。インダクタ14は矩形でなくてもよい。図3に示されるように円弧状に形成されてもよい。インダクタ14は、図1,2に示されるように帯状の2枚の導電板(11,12)と同一直線上に並んでもよいし、図4に示されるように同一直線上に並んでいなくてもよい。第1及び第2の放射素子11,12は給電部13に対して左右対称な形状ではなく、図5に示されるように点対称な形状になっていてもよい。第1及び第2の放射素子11,12を接続する幅の細い線路(図1A)は必須ではなく、図6に示されるようにそれが省略されてもよい。第1及び第2の放射素子11,12は導電板であることは必須ではなく、ジグザグに蛇行した線路でメアンダ(meander)状に形成されてもよい。或いは図示されていないが網目状に放射素子が形成されてもよい。
(シミュレーション例1)
図8A−Dは本発明によるRFタグのアンテナ特性に関するシミュレーション例を示す。図8Aは想定されたアンテナの寸法を示す。このような寸法を有するアンテナが縦11mm、横(図中左右方向)79mm及び厚さ(t)mmのスペーサ上に形成されるものとする。簡明化のためPETフィルム10による影響は省略されている。アンテナの全長は73mmであり、アンテナのパターンの厚みは35μmとする。また、スペーサの比誘電率は2.3であり、誘電損失(tanδ)は2×10−4であるとする。図8Aに示されるように1mmの線路幅で縦5mm及び横(s2)mmの矩形状の寸法を有するようにインダクタは形成される。便宜上s2をインダクタ長と呼ぶ。
図8Bに示される3つのグラフは、スペーサの厚みt=3,4,5(mm)の各々についてチップ容量CCPとインダクタ長s2との関係をそれぞれ示す。ここで、チップ容量CCPとは給電部に設けられる集積回路の容量である。一般に、アンテナと給電部の集積回路に関する等価回路は図9のように表せる。アンテナと集積回路が整合している場合には、両者の抵抗成分が互いに等しいことに加えて、アンテナ側のインダクタンスLと集積回路側の容量CCPとの間に所定の関係が成立する。即ち、
=RCP;及び
ωL=(ωCCP−1
である。ωは角周波数である。本実施例ではインダクタ長s2を調節することでアンテナ側のインダクタンスLが調整され、それにより上記の関係が満たされるようにする。用途にも依存するが、一例として容量CCPが約0.6pFであったとする(典型的にはその容量は0.5pF乃至0.7pF程度の範囲内にあり、シミュレーションではCCP=0.57pFとしている。)。図8ABを参照すると、スペーサの厚みtが5mmであったならば、インダクタ長s2は約18(18.61)mmにすべきことが分かる。
図8Cに示される3つのグラフは、スペーサ厚みt=3,4,5(mm)の各々についてアンテナの利得(dBi)とインダクタ長s2との関係を示す。図8Bで導出されたt=5及びs2=18.61mmに対して、利得は1.54dBiであることを示す。
図8Dに示される3つのグラフは、スペーサ厚みt=3,4,5(mm)の各々についてアンテナの抵抗(Ω)とインダクタ長s2との関係を示す。図8Bで導出されたt=5及びs2=18.61mmに対して、抵抗は約28kΩであることを示す。
スペーサの厚みtが4mmであったならば、インダクタ長s2は図8Bから約17(16.89)mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は図8Cから約0.45dBiになり、抵抗は図8Dから約25kΩになることが分かる。更に、スペーサの厚みtが3mmであったならば、インダクタ長s2は図8Bから約14.5(14.68)mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は図8Cから約−1dBiになり、抵抗は図8Dから約20kΩになることが分かる。
整合させるインピーダンスを決める要素(R,L及び利得)のうち、インダクタンスL(容量CCP)が最優先して決定される。これがインピーダンスの整合性に最も重要だからである。アンテナの利得も重要であるが、仮にそれが高かったとしても集積回路と不整合の状態であったならば、高利得の恩恵を得ることは困難になる。
ところで、図8Bの3つのグラフを参照すると、スペーサの厚みが減るにつれてグラフがより左側に表れることが分かる。これはスペーサの厚みtが減るにつれて適切なインダクタ長s2も減少することを意味する。従って、このシミュレーションの想定例でスペーサの厚みを更に薄くしてゆくと、より短くインダクタ長を設定することを要し、材料の加工が困難になる、或いは整合に適切な長さのインダクタ長を求めること自体が困難になるかもしれない。そこで本願の発明者等は図10Aに示されるような更に小型のアンテナパターンを用いてシミュレーションを行った。
(シミュレーション例2)
図10Aは想定されたアンテナの寸法を示す。このような寸法を有するアンテナが縦11mm、横79mm及び厚さ(t)mmのスペーサ上に形成されるものとする。アンテナのパターンの厚みは35μmとする。また、スペーサの比誘電率は2.3であり、誘電損失(tanδ)は2×10−4であるとする。図10Aに示されるようにインダクタは線幅が1mmであり、縦5mm及び横(s2)mmの矩形状の寸法を有する。これらの事項は図8Aに示されるものと同じであるが、アンテナの全長が63mmに短くなっている点が異なる。
図10Bの3つのグラフは、スペーサの厚みt=1,2,3(mm)の各々についてチップ容量CCPとインダクタ長s2との関係をそれぞれ示す。図10Cの3つのグラフは、スペーサ厚みt=1,2,3(mm)の各々についてアンテナの利得(dBi)とインダクタ長s2との関係を示す。図10Dの3つのグラフは、スペーサ厚みt=1,2,3(mm)の各々についてアンテナの抵抗(Ω)とインダクタ長s2との関係を示す。
本実施例でもインダクタ長s2を調節することでアンテナ側のインダクタンスLが調整され、それにより上記の関係が満たされるようにする。シミュレーションではCCP=0.57pFとしている。スペーサの厚みtが3mmであったならば、インダクタ長s2は図10Bから約19.5mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は約−3.5dBiになり、抵抗は約35kΩになることが分かる。スペーサの厚みtが2mmであったならば、インダクタ長s2は図10Bから約17.5mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は図10Cから約−5.5dBiになり、抵抗は図10Dから約25kΩになることが分かる。更に、スペーサの厚みtが1mmであったならば、インダクタ長s2は図10Bから約13.5mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は図10Cから約−10dBiになり、抵抗は図10Dから約13kΩになることが分かる。
このようにアンテナの全長を73mmから63mmに短縮することで、スペーサの厚みtが3mmより薄くなったとしても、適切な容量CCPに対応するインダクタ長s2を見出すことができ、インピーダンスを整合させることができる。
(シミュレーション例3)
図11Aはアンテナの各種のパラメータと飛距離の関係を示す。アンテナのスペーサの厚みt、アンテナの寸法、インダクタ長s2及び利得の間の関係は、図8及び図10に示されるシミュレーション結果から得られたものと同じである。基準アンテナに対する飛距離の比率とは、2dBiの利得を有する半波長ダイポールアンテナ(厚さtのスペーサで支持されている)の通信可能な距離(基準距離)と、本実施例による半波長より短いアンテナの通信可能な距離との比率[%]である。通信可能な距離は通信環境によって変化する。例えば通信可能な距離はRFタグ周囲の無線通信環境や、RFタグが取り付けられる対象物の導電性、種類及び寸法等によっても変化する。飛距離例(その1)では基準距離が230cmに設定され、飛距離例(その2)では基準距離が300cmに設定されている。後者は前者より良好な通信環境であることを示す。
スペーサの厚さが1又は2mmの場合は、図10Aに示されるような全長の短いアンテナが使用される。この場合、図表中第2行及び第3行の比率の列に示されるように基準アンテナに対する飛距離の比率は約26%及び約42%になる。スペーサの厚さが3,4及び5mmの場合は、図8Aに示されるような全長の長いアンテナが使用される。この場合、図表中第4行乃至第6行の比率の列に示されるように、基準アンテナに対する飛距離の比率はそれぞれ約71%、約84%及び約95%になる。基準距離が230cmの場合及び300cmの場合について、スペーサの厚みと飛距離との関係をグラフ化したものが図11Bに示されている。図示されているようにスペーサの厚みが増えるにつれて飛距離が増えていることが分かる。本実施例によれば、半波長(約16cm)よりかなり短い長さ(6〜7cm)のアンテナで、半波長ダイポールアンテナに匹敵する利得及び飛距離を達成することができる。これにより非常に小型のRFタグが得られる。
(シミュレーション例4)
図12は2つのアンテナパターンに対する周波数特性を示すスミスチャートである。このシミュレーションでは、図8Aに示されるように全長Lが73mmであり、インダクタ長s2が13mmであり、スペーサの厚みtが3mmであるアンテナ(便宜上、長アンテナという。)と、図10A示されるように全長が63mmであり、インダクタ長s2が19mmであり、スペーサの厚みtが3mmであるアンテナ(便宜上、短アンテナという)とが用意された。何れもスペーサの比誘電率は2.3である。この短アンテナ及び長アンテナに対して、周波数を800MHzから1.1GHzまで20MHz刻みにインピーダンスを測定し、スミスチャートにプロットしたものが図12に示されている。図中○印でプロットされている軌跡は短アンテナに対するものであり、●印でプロットされている軌跡は長アンテナに対するものである。該して周波数を徐々に高くしてゆくと、スミスチャート上では、アンテナのインピーダンスはある円の周りを時計回りに移動してゆく軌跡を描く。何れのアンテナも周波数の変動に対してインピーダンスの変動が少ないので、両者は広帯域の製品用途に使用することができる。このシミュレーション結果によれば、インピーダンス変動は短アンテナの方がより小さいので、短アンテナは特に広帯域に適していることが分かる。
以下に示されるシミュレーション例は、第1実施例のシミュレーション例1〜4と同様の手法で行われる。但し、第2実施例で説明される以下のシミュレーション例5〜8では、シミュレーションで想定されるスペーサの特性が異なる。第1実施例でのスペーサは比誘電率が2.3であり、誘電損失(tanδ)が2×10−4であったが、第2実施例でのスペーサは比誘電率が3.0であり、誘電損失(tanδ)が0.01である。
(シミュレーション例5)
図13Aの3つのグラフは、スペーサ厚みのt=3,4,5(mm)の各々についてチップ容量CCPとインダクタ長s2との関係をそれぞれ示す。図13Bの3つのグラフは、スペーサ厚みt=3,4,5(mm)の各々についてアンテナの利得(dBi)とインダクタ長s2との関係を示す。図13Dの3つのグラフは、スペーサ厚みt=3,4,5(mm)の各々についてアンテナの抵抗(Ω)とインダクタ長s2との関係を示す。シミュレーションでは図8Aに示されるような寸法を有する全長73mmのアンテナを利用することが想定されている。
本実施例でもインダクタ長s2を調節することでアンテナ側のインダクタンスLが調整され、それにより上記の関係が満たされるようにする。シミュレーションではCCP=0.57pFとしている。スペーサの厚みtが5mmであったならば、インダクタ長s2は図13Aから約12mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は約−2.2dBiになり、抵抗は約4.2kΩになることが分かる。スペーサの厚みtが4mmであったならば、インダクタ長s2は図13Aから約9.5mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は図13Bから約−3.5dBiになり、抵抗は図13Cから約2.8kΩになることが分かる。更に、スペーサの厚みtが3mmであったならば、インダクタ長s2は図13Aから約6mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は図13Bから約−5.2dBiになり、抵抗は図13Cから約1.3kΩになることが分かる。
(シミュレーション例6)
図14Aの3つのグラフは、スペーサの厚みt=1,2,3(mm)の各々についてチップ容量CCPとインダクタ長s2との関係をそれぞれ示す。図14Bの3つのグラフは、スペーサ厚みt=1,2,3(mm)の各々についてアンテナの利得(dBi)とインダクタ長s2との関係を示す。図14Cの3つのグラフは、スペーサ厚みt=1,2,3(mm)の各々についてアンテナの抵抗(Ω)とインダクタ長s2との関係を示す。このシミュレーションでは図10Aに示されるような寸法を有する全長63mmのアンテナを利用することが想定されている。
本実施例でもインダクタ長s2を調節することでアンテナ側のインダクタンスLが調整され、それにより上記の関係が満たされるようにする。シミュレーションではCCP=0.57pFとしている。スペーサの厚みtが3mmであったならば、インダクタ長s2は図14Aから約14.5mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は約−7dBiになり、抵抗は約6.5kΩになることが分かる。スペーサの厚みtが2mmであったならば、インダクタ長s2は図14Aから約11mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は図14Bから約−9.4dBiになり、抵抗は図14Cから約3.9kΩになることが分かる。更に、スペーサの厚みtが1mmであったならば、インダクタ長s2は図14Aから約6mmにする必要がある。この場合、アンテナの利得は図14Bから約−13.2dBiになり、抵抗は図14Cから約1.2kΩになることが分かる。
このようにアンテナの全長を73mmから63mmに短縮することで、スペーサの厚みtが3mmより薄くなったとしても、適切な容量CCPに対応するインダクタ長s2を見出すことができ、インピーダンスを整合させることができる。
(シミュレーション例7)
図15Aはアンテナの各種のパラメータと飛距離の関係を示す。アンテナのスペーサの厚みt、アンテナの寸法、インダクタ長s2及び利得の間の関係は、図13及び図14に示されるシミュレーション結果から得られたものと同じである。図11Aの図表と同様に、基準アンテナに対する飛距離の比率は、2dBiの利得を有する半波長ダイポールアンテナの通信可能な距離(基準距離)と、本実施例による半波長より短いアンテナの通信可能な距離との比率[%]である。飛距離例(その1)では基準距離が230cmであり、飛距離例(その2)では基準距離が300cmに設定されている。
スペーサの厚さが1,2及び3mmの場合は、図10Aに示されるような全長の短いアンテナが使用される。この場合、図表中第2行及び第3行の比率の列に示されるように、基準アンテナに対する飛距離の比率は約17%、約27%及び約35%になる。スペーサの厚さが4及び5mmの場合は、図8Aに示されるような全長の長いアンテナが使用される。この場合、図表中第4行乃至第6行の比率の列に示されるように、基準アンテナに対する飛距離の比率はそれぞれ約53%及び約62%になる。基準距離が230cmの場合及び300cmの場合について、スペーサの厚みと飛距離との関係をグラフ化したものが図15Bに示されている。図示されているようにスペーサの厚みが増えるにつれて飛距離も増えていることが分かる。本実施例によっても、半波長(約16cm)よりかなり短い長さ(6〜7cm)のアンテナでもその割には長い飛距離を達成することができる。これにより非常に小型のRFタグが得られる。
(シミュレーション例8)
図16は2つのアンテナパターンに対する周波数特性を示すスミスチャートである。このシミュレーションでも図12と同様に、図8Aに示されるように全長が73mmであり、インダクタ長s2が5mmであり、スペーサの厚みtが3mmであるアンテナ(便宜上、長アンテナという。)と、図10A示されるように全長が63mmであり、インダクタ長s2が11mmであり、スペーサの厚みtが3mmであるアンテナ(便宜上、短アンテナという)とが用意された。第1実施例で使用されたスペーサとは異なり、第2実施例で使用されるスペーサは3.0の比誘電率を有し、0.01の誘電損失(tanδ)を有する。この短アンテナ及び長アンテナに対して、周波数を800MHzから1.1GHzまで20MHz刻みにインピーダンスを測定し、スミスチャートにプロットしたものが図16に示されている。図中○印でプロットされている軌跡は短アンテナに対するものであり、●印でプロットされている軌跡は長アンテナに対するものである。該して周波数を徐々に高くしてゆくと、スミスチャート上では、アンテナのインピーダンスはある円の周りを時計回りに移動してゆく軌跡を描く。長アンテナは周波数の変化に応じてインピーダンスが大きく変化するので、長アンテナは広帯域の製品用途には適していない(狭帯域の製品用途には使用できる。)。短アンテナは周波数の変動に対してインピーダンスの変動が少ないので、それは広帯域の製品用途に使用することができる。図16に示される例では図12に示される例よりもインピーダンスの周波数変化が大きいのは、使用される誘電体の誘電率の相違に起因する。誘電率の低い方が広帯域の製品用途に適している。
図1に示されるようなRFタグは様々な手法で製造することができる。例えば第1の絶縁層15上に第2の絶縁層10が設けられ、第2の絶縁層10上に所望の導電性のパターンが形成され、給電部13に集積回路が搭載されてもよい。必要に応じて第1の絶縁層15の裏面に接地導体17が設けられてもよい。導電性のパターン(アンテナ)の下地の絶縁層は、単層構造でもよいし、2以上の絶縁層を含む多層構造でもよい。或いは図17Aに示されるように、アンテナの導電層とその下地側の絶縁層とが別々に形成された後に、両者を張り合わせることで最終的なRFタグが形成されてもよい。アンテナの導電層の部分は、例えばPETフィルム10のような薄い絶縁層にアンテナ用の導電性のパターンを形成することで用意することができる。製造設備や商取引の実情に依存して適切な製造方法を適宜選択することができる。以下に説明される本発明の第3実施例は、アンテナの導電層とその下地側の絶縁層とが別々に形成される場合に有利である。
ところで、本発明によるRFタグは導電性の対象物に取り付けられた場合に所望の無線通信を行うことができるように、アンテナの寸法や絶縁層の材料特性(誘電率や誘電損失等)等が選択される。従って、アンテナの導電層の部分が用意されたとしても、それ単独ではRFタグとしては充分に機能しないことが予想できる。
図17Bはアンテナの導電層だけの平面図及び側面図を示す。アンテナは図8Aに示されるような寸法を有し、インダクタ長s2はRFタグの完成後の使用に備えて15mmに設定されている。図17Cは図17Bに示されるような製造工程途中のアンテナに対するシミュレーション結果を示す。このシミュレーション結果は、アンテナと集積回路とを整合させる場合に考慮される容量CCPと通信に使用される周波数との関係を示す。実際の製品では例えば950M(9.5E+08)Hzの周波数で動作することが予定される。上述したように集積回路側の容量は典型的には0.6pF程度である。図示のシミュレーション結果によれば、アンテナの導電層の部分だけでは950MHzで1.0より大きな容量になり、アンテナと集積回路は充分に整合していないことが分かる。従って、この状態ではアンテナを介して良好な無線通信を行うことはできない。
図18Aは本発明の一実施例による製造工程途中のアンテナのパターンを示す。図示されているように第1及び第2の放射素子に追加的な導電性の線路がそれぞれ付加されている。追加的な導電性の線路はアンテナの長さ方向(図中左右方向)に沿って左右対称的に伸び、複数回屈曲している。言い換えれば追加的な導電性の線路は蛇行してメアンダ(meander)状に用意されている。図示の例では追加的な線路は1mmの幅を有し、アンテナの左端又は右端から30mm程度の範囲内に収まるように線路が2回折り返されている。このため、左右の放射素子はそれぞれ90(30×3)mmの線路の長さだけ長く延長される。
図18Bは図18Aに示されるようなアンテナに対するシミュレーション結果を示す。このシミュレーション結果も、アンテナと集積回路とを整合させる場合に考慮される容量CCPと通信に使用される周波数との関係を示す。集積回路側の容量は典型的には0.6pF程度である。図示のシミュレーション結果によれば、950MHzで0.6程度の適切な容量になり、アンテナと集積回路は整合することが分かる。従って、製造工程途中のこの状態でアンテナを介した無線通信を行うことができる。このことはRFタグが未完成であってもそれを用いて製品管理や物流管理等を行えることを意味する。例えばアンテナの導電性のパターンをPETフィルムにプリンタで印刷する場合に、プリンタがRFタグから製造番号等を読み取りながら印刷してもよい。印刷の際に読み取った情報から導出された情報をアンテナの側に印刷してもよい。例えばプリンタがRFタグから製造番号等を読み取り、PETフィルム側に製造者を示す情報を印刷し、そのRFタグ又はRFタグの付される対象物が真正であることを保障してもよい。
メアンダ状に形成された付加的な導電性の線路は完成されたRFタグにとっては不要な要素である。従って、製造工程途中での何らかの無線通信が行われた後に、付加的な線路は除去される。図18Aに示される例では図中×印で示される地点で線路が物理的に切断される。付加的な線路は全て除去されてもよいし、×印の部分をパンチングで切断した後に残りの線路がそのまま残されてもよい。不要な線路がRFタグ完成後の無線通信に影響しなければよいからである。ただし、動作特性をなるべく確実にする観点からは不要な線路は全て除去することが望ましい。
図19Aは本発明の一実施例による製造工程途中のアンテナのパターンを示す。この例では、図示されているように一方の放射素子(右側)にのみ追加的な導電性の線路が付加されている。追加的な導電性の線路はアンテナの長さ方向(図中左右方向)に沿って伸びている。本実施例では付加的な線路は蛇行しておらず、直線的である。図示の例では追加的な線路は1mmの幅を有し、アンテナの右端から63mmの長さを有する。このため、右側の放射素子はその分だけ長く延長される。
図19Bは図19Aに示されるようなアンテナに対するシミュレーション結果を示す。このシミュレーション結果も、アンテナと集積回路とを整合させる場合に考慮される容量CCPと通信に使用される周波数との関係を示す。集積回路側の容量は典型的には0.6pF程度である。図示のシミュレーション結果によれば、950MHzで0.6程度の適切な容量になり、アンテナと集積回路は整合することが分かる。従って、このようなアンテナのパターンであっても、製造工程途中のこの状態で無線通信を行うことができる。
この付加的な導電性の線路は完成されたRFタグにとっては不要な要素である。従って、製造工程途中での何らかの無線通信が行われた後に、付加的な線路は除去される。図19Aに示される例では図中×印で示される地点で線路が物理的に切断される。付加的な線路は全て除去されてもよいし、×印の部分をパンチングで切断した後に残りの線路がそのまま残されてもよい。
なお、付加的な線路は図19Aに示されるように一方の放射素子だけに設けられてもよいし、双方の放射素子に設けられてもよい。一例として後者の場合には給電部に対してインダクタが設けられている側とそうでない側の双方に付加的な線路がそれぞれ設けられてもよい。図18A,図19Aでは放射素子に導電性の線路をつなげることでアンテナの長さが延長されたが、線路でなく2次元的な平面素子で追加的なアンテナが形成されてもよい。
図20は図19Aに示されるようなアンテナに対するシミュレーション結果を示す。このシミュレーション結果は、付加的な線路の長さs3と、アンテナ及び集積回路を整合させる場合に考慮される容量CCPとの関係(実線のグラフ)、及び利得との関係(破線のグラフ)を示す。実線のグラフに示されるように、付加的な線路の長さs3を60mm近辺に設定することで、適切な容量及び利得を得ることができる。
図21は2つの図18Aに示されるような形状のアンテナパターン(タイプI)と、図19Aに示されるような形状のアンテナパターン(タイプII)に対する周波数特性を示すスミスチャートである。タイプI,IIのアンテナに対して、周波数を800MHzから1.1GHzまで10MHz刻みにインピーダンスを測定し、スミスチャートにプロットしたものが図21に示されている。上述したようにスミスチャート上では周波数を低い側から徐々に高くしてゆくと、インピーダンスはある円に沿って時計回りに軌跡を描く。図示のシミュレーション結果によれば、タイプIのアンテナ(図18A)は第1象限で比較的小さな円を描いている。タイプIIのアンテナ(図19A)は比較的大きな円を描いている。従ってタイプIはタイプIIよりも広帯域の製品用途に適していることが分かる。但し、製造の容易性やコストの観点からはタイプIよりタイプIIの方が有利である。
第1実施例で説明された図8B,10Aではインダクタ長s2と容量CCPとの関係が検討された。例えば比誘電率εが2.3のスペーサの厚さtが3mmであってインダクタ長s2が15mmの場合に、アンテナの全長Lが73mmのときに容量CCPは約0.55pFになり、全長Lが63mmのときに容量CCPは約0.8pFになっていた。
第2実施例で説明された図13A,14Aでもインダクタ長s2と容量CCPとの関係が検討された。例えば比誘電率εが3.0のスペーサの厚さtが3mmであってインダクタ長s2が6mmの場合に、アンテナの全長Lが73mmのときに容量CCPは約0.6pFになり、全長Lが63mmのときに容量CCPは1.6pFより大きくなっていた。
これらの関係から、アンテナの全長Lが短くなると容量CCPは増え、アンテナの全長Lが長くなると容量CCPは減ることが予想される。これは、インダクタ長s2を調整するのとは別に、アンテナ長Lを調整することで適切な容量CCPに合わせることができることを示唆する。本発明の第4実施例ではこのような観点からアンテナの全長Lが調整される。
図22Aはアンテナの全長Lを63〜73mmの間で変化させた場合の容量CCPを示す。スペーサの厚みtは3mmであり、インダクタ長s2は15mmである。図示されるように、全長Lが増加すると容量CCPは減少していることが分かる。図22Aによれば、容量を約0.6pFにするには全長Lを約67mmにすればよいことが分かる。図22Bはアンテナの全長Lと利得との関係を示す。全長が67mmの場合に利得は約−4.5dBiになることが分かる。図22Cはアンテナの全長Lと抵抗との関係を示す。全長が67mmの場合に抵抗は20kΩになることが分かる。
本実施例によれば、アンテナのインダクタ長s2ではなく、アンテナの全長Lを調整することで、アンテナと集積回路のインピーダンスが整合させられる。インダクタ長を調整するには導電性の線路のパターンを変更しなければならいので、線路変更に伴う半田付け等の作業が必要になる。したがって半田付けの良否がアンテナの損失抵抗等に影響を及ぼす。これに対して、本実施例では半田付けの変更等は不要であり、導電性のパターンの切断精度がアンテナの特性に影響を及ぼすことになる。
一方、図8Aのアンテナの寸法はスペーサの厚みが比較的厚い場合に使用され、図10Aのアンテナの寸法はスペーサの厚みが比較的薄い場合に使用された。従って、アンテナの下地側に使用されるスペーサの厚みに依存して、アンテナの全長Lが適宜調整されることが望ましい。例えば図23に示されるように、PETフィルム10上に導電性のパターンと共にスペーサの厚みに応じた切断箇所をマーキングしておくと、アンテナ長の調整が更に容易になる。図23ではスペーサの厚みが3,4又は5mmの場合のそれぞれに応じて、アンテナの両端の位置がマーキングされている。更には本実施例と上記の第3実施例とを結合させてもよい。例えば切断箇所その他の情報がRFタグの集積回路に予め記憶され、製造工程の途中でその情報がプリンタ等で読み出され、読み出した情報に応じて切断箇所が算出され、その箇所を示すマークがアンテナとともにPETフィルムに印刷されてもよい。
なお、アンテナを切断する方向は長さ方向に垂直な方向でなくてもよい。図24にて破線で示されるように長さ方向に沿ってアンテナの一部が切り落とされてもよい。切断後のアンテナの実行長が適切に短縮されればよいからである。より一般的にはRFタグの完成前後の双方で無線通信ができるように、アンテナの形状を変更することができればよい。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。実施例の区分けは便宜的なものにすぎず、ある実施例における事項が別の実施例における事項と矛盾しない限り組み合わせて使用されてよい。
以下、本実施例により教示される手段を例示的に列挙する。
(付記1)
アンテナに接続された集積回路を有し、導電性の対象物と同行するRFタグであって、前記アンテナは、
第1の放射素子と、
第2の放射素子と、
第1及び第2の放射素子の間に直列に接続された給電部と、
給電部に並列に接続されたインピーダンス調整部と、
を有し、前記アンテナの実効長は通信に使用される波長の半分より短い
ことを特徴とするRFタグ。
(付記2)
前記アンテナが微小ダイポールアンテナとして動作する
ことを特徴とする付記1記載のRFタグ。
(付記3)
第1及び第2の放射素子が給電部に対して対称な形状を有する
ことを特徴とする付記1記載のRFタグ。
(付記4)
第1及び第2の放射素子が帯状に伸びる導電体でそれぞれ形成される
ことを特徴とする付記1記載のRFタグ。
(付記5)
帯状の導電体の一辺に沿って伸びる線路に前記給電部が接続される
ことを特徴とする付記4記載のRFタグ。
(付記6)
一方の帯状の導電体の伸びる方向に沿う該導電体の2つの辺が、他方の導電体の2つの辺にそれぞれ整列している
ことを特徴とする付記4記載のRFタグ。
(付記7)
前記インピーダンス調整部が、屈曲した導電性の線路で形成される
ことを特徴とする付記1記載のRFタグ。
(付記8)
前記インピーダンス調整部が、矩形に屈曲した導電性の線路で形成される
ことを特徴とする付記7記載のRFタグ。
(付記9)
前記インピーダンス調整部が、誘導性素子で形成される
ことを特徴とする付記1記載のRFタグ。
(付記10)
前記アンテナを支持する絶縁層が、ポリエチレンテレフタレート層及びスペーサ層を少なくとも含む多層構造を有する
ことを特徴とする付記1記載のRFタグ。
(付記11)
前記アンテナ層を支持する絶縁層の裏面に導電層が設けられる
ことを特徴とする付記1記載のRFタグ。
(付記12)
前記導電層が網目状のパターンを有するように形成される
ことを特徴とする付記11記載のRFタグ。
(付記13)
アンテナに接続された集積回路を有し、導電性の対象物と同行するRFタグを製造する方法であって、
第1の絶縁層の一方の面に所定の形状を有するアンテナを形成する第1工程と、
前記第1の絶縁層の他方の面に第2の絶縁層を結合する第2工程と、
を有し、前記アンテナは、第1の放射素子と、第2の放射素子と、第1及び第2の放射素子の間に直列に接続された給電部と、給電部に並列に接続されたインピーダンス調整部とを有し、前記アンテナの実効長は通信に使用される波長の半分より短くなるように形成される
ことを特徴とする方法。
(付記14)
第1工程及び第2工程の間に第1及び第2の放射素子の双方又は一方の一部分を除去する工程を更に有する
ことを特徴とする付記13記載の方法。
10,15 絶縁層
11,12 放射素子
13 給電部
14 インダクタ
17 接地導体

Claims (2)

  1. ダイポールアンテナとチップが実装される給電部とで構成されるタグアンテナにおいて、
    アンテナ共振波長の2分の1よりも短い実効長を有するダイポール部と、
    該ダイポール部の中央に設けられた給電部と、
    該給電部を中心に囲むように形成され、かつ両端がダイポール部に接続されているインダクタンス調整部と、
    該ダイポール部の両端に、該ダイポール部の線路幅より広い領域を設けた端部とを有することを特徴とするタグアンテナ。
  2. 前記ダイポール部の両端を折り曲げることを特徴とする請求項1に記載のタグアンテナ。
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