JP2011119595A - エピタキシャル結晶及び受光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機金属気相成長法を利用して製造可能で、隣接層へのZn拡散の少ない変調ドープ構造を有するエピタキシャル結晶及び受光素子を提供する。
【解決手段】第1化合物半導体層12と、第1化合物半導体層上に形成され、Znドープによりp型に制御された第2化合物半導体層13と、この第2化合物半導体層上に形成された第3化合物半導体層14とからなるエピタキシャル結晶において、第1化合物半導体層と第2化合物半導体層の界面、及び、第3化合物半導体層と第2化合物半導体層の界面が、タイプIIまたは価電子帯のみが不連続となるようなヘテロ接合構造をなすようにする。また、第2化合物半導体層の価電子帯の不連続量が、第1化合物半導体層及び第3化合物半導体層に対して、0.1eV以上となるようにする。
【選択図】図3

Description

本発明は、化合物半導体層が積層されてなるエピタキシャル結晶及び受光素子に関し、特に、Znドープによりp型に制御された化合物半導体層を含むエピタキシャル結晶の積層構造に関する。
近年、光ファイバーを用いた光通信は、光電話、インターネット、ケーブルテレビの配信のため各家庭に引き込まれるようになってきた。光通信の伝送量が増加するとともに、ますます高速の光通信素子が必要となり、その受光素子においても、従来のPIN型のフォトダイオードに対し、雪崩降伏現象を用いたアバランシェフォトダイオード(以下、APDと称する)の需要が増加している。
APDには、主に図7のようにホールを増幅するタイプ(ホール増倍型)と図8のように電子を増幅するタイプ(電子増倍型)の2種類が考えられている(例えば、特許文献1)。APDにおいて、受光層からキャリアを取り出すという点では、移動度の大きな電子の方が好ましいとされている。
図7に示すように、ホール増倍型APDでは、n型の電界制御層により受光層(光吸収層)とキャリア(ホール)増幅層に印加される電界を制御している。このn型電界制御層は、例えば、有機金属気相成長法により化合物半導体(例えば、n型InP)をエピタキシャル成長させて形成される。このとき、ドーパントとしてSやSiを用いることで、伝導型を容易にn型に制御することができる。そのため、比較的低速向けの用途には、このホール増倍型のAPDが主に用いられている。
図8に示すように、電子増倍型APDでは、p型の電界制御層により受光層とキャリア(電子)増幅層に印加される電界を制御している。このp型電界制御層は、例えば、有機金属気相成長法により化合物半導体(例えば、p型InPやp型AlInAs)をエピタキシャル成長させて形成される。このとき、ドーパントとしてZnを用いることで、伝導型がp型に制御される。また、p型電界制御層の形成に際して、有機金属気相成長法よりも成長温度の低い分子線エピタキシー法を用いてBeやZnをドープする方法や、有機金属気相成長法を用いてCをドープする方法等がある。
特開2005−223022号公報 特開平5−110135号公報
S.M.Sze, Semiconductor Devices Physics and Technology,1986,p382- Japanese Journal of Applied Physics 45(2006)7704,Kadoiwa et al.
しかしながら、電子増倍型APDを製造するにあたり、有機金属気相成長法によりZnをドープしてp型電界制御層を形成しようとすると、有機金属気相成長法では一般に成長温度が高く、隣接する層(受光層、電子増幅層)にZnが拡散してしまうため、急峻な電界制御層を形成できないという問題がある。逆に、Zn拡散を抑制するために成長温度を低くすると結晶性が低下してしまうという問題がある。
実際にMOCVD法にてInP中にZnを添加した例を図11に示す。文献等(例えば非特許文献2)からInP中のZnの拡散係数は、2×10−32×[Zn濃度]cm/秒程度と考えられており、本成長実験においても非常に良い一致を示している。本成長実験では、Zn添加層の上に約1μm程度しか成長していないが、APD構造においては受光層としてさらに3μm程度の厚い層を成長する必要であり、熱履歴としては3時間程度の熱履歴が追加される。そのような場合には、殆どのZnが拡散してしまい、APDのデバイスとしては全く機能しないようになる。
一方で、分子線エピタキシー法によればp型電界制御層からp型不純物であるCやBeが拡散するのを抑えることができる。しかしながら、MBE法ではP系材料の取り扱いが難しいとか、厚膜層の形成に不向きであるなど技術的な難しさがあり、電子増倍型APDを低コストで製造するのは困難となっている。
本発明は、有機金属気相成長法を利用して製造可能で、隣接層へのZn拡散の少ない変調ドープ構造を有するエピタキシャル結晶及び受光素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1化合物半導体層と、
この第1化合物半導体層上に形成され、Znドープによりp型に制御された第2化合物半導体層と、
この第2化合物半導体層上に形成された第3化合物半導体層とからなるエピタキシャル結晶であって、
前記第1化合物半導体層と前記第2化合物半導体層の界面、及び、前記第3化合物半導体層と前記第2化合物半導体層の界面は、タイプIIまたは価電子帯のみが不連続となるようなヘテロ接合構造をなし、
前記第2化合物半導体層の価電子帯の不連続量は、前記第1化合物半導体層及び前記第3化合物半導体層に対して、0.1eV以上であることを特徴とする。
ここで、タイプIIのヘテロ接合とは、伝導帯と価電子帯の不連続方向(+,−)が同じ向きとなっているヘテロ接合であり、タイプIのヘテロ接合とは、伝導帯と価電子帯の不連続方向(+,−)が反対向きとなっているヘテロ接合である(図12参照)。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエピタキシャル結晶において、前記第1及び第3化合物半導体層はInPで構成され、
前記第2化合物半導体層は(AlxGa(1-x)yIn(1-y)Asで構成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のエピタキシャル結晶において、前記第2化合物半導体層は、前記第1及び前記第3化合物半導体層の伝導帯と連続する伝導帯を有するように組成が決定されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、基板上に、請求項1から3のいずれか一項に記載のエピタキシャル結晶を含む積層構造が形成されてなり、
前記第1化合物半導体層を電子増倍層、
前記第2化合物半導体層をp型電界制御層、
前記第3化合物半導体層を障壁層として備えることを特徴とする受光素子である。
以下、本発明を完成するに至った経緯について説明する。
化合物半導体中のZnの拡散については、すでに多くの文献で議論されている。例えば、荒巻らによる特許文献2やその他多くの半導体テキスト(例えば、非特許文献1)に見られるように、Fickの法則に従うZn拡散が考慮される。これは、単純にZnの濃度の高いところから低いところへ拡散するというものである。拡散メカニズムとして、格子間拡散や空孔拡散といったいくつかの現象も見受けられるが、基本的には、これらの拡散メカニズムは、拡散定数の違いとしてあらわすことができる。
ここで、Znドープによるp型半導体層が、p型半導体層又はアンドープ層と接合している場合、Znの拡散はFickの法則に従うといって支障ない。しかしながら、Znドープによるp型半導体層が、pn接合を形成する場合やヘテロ接合を形成する場合は、界面のバンド構造が湾曲したり不連続になったりするため、Fickの法則では説明が出来なくなる。
このような場合、バンド構造によるドーパントの再分布の考え方により説明できる。具体的には、化合物半導体の積層構造をエピタキシャル成長により形成する場合、各層の成長温度において、ドーパントのZnはFickの法則に従って拡散により結晶中を移動するが、同時に、Znはp型半導体層中ではアクセプタとしてイオン化しており、ホールが存在しているところではホール濃度を補償するように再分布するという考え方である。このようなZnの拡散メカニズムは文献等で明確になっているものではなく、本発明者らが実験的に見出したものである。
図9,10は、有機金属気相成長法により形成された化合物半導体の積層構造を二次イオン質量分析計(SIMS:Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer)により分析したときのZnプロファイルを示す図である。
図9に示すエピタキシャル結晶は、n−GaAs基板上に、基板側から第1層としてp−GaAs層、第2層としてp−AlGaInP層(バンドギャップ2.4eV)、第3層としてp−AlGaInP層(バンドギャップ2.2eV)、第4層としてn−GaAs層(バンドギャップ1.4eV)を順次形成した構造を有している。
なお、各層の成長温度は660℃である。第1層〜第3層はZnをドープすることにより伝導型をp型に制御されている。第4層はSiをドープすることにより伝導型をn型に制御されている。
図9より、第1から第3層のZn濃度は、価電子帯の不連続に伴うフェルミ準位から計算されるようなホール濃度に近い値となっている。また、第1層と第2層の界面(ヘテロ界面)には、Znの蓄積が観察される。これより、650℃以上の成長温度ではZn拡散が起こりやすく、ドープしたZnはホールを補償するように再分布すると考えられる。
図10に示すエピタキシャル結晶は、n−InP基板上に、基板側から第1層としてn−InP層、第2層としてp−InP層、第3層としてn−GaInAsP層(バンドギャップ1.0eV)を順次形成した構造を有している。
なお、各層の成長温度は640℃である。第2層はZnをドープすることにより伝導型をp型に制御されている。
図10より、第3層のn−InGaAsPは第2層のp−InPよりもバンドギャップが狭いが、第3層側へは殆どZnの拡散がなく、p−InP層内にZnはほぼ閉じ込められている。つまり、第3層のn−InGaAsP層によりフェルミ準位が伝導帯側に近づき、ヘテロ界面付近のバンドは大きく曲げられる。このとき、p−InP層のZnイオンはマイナスにチャージしておりホールに引き寄せられるため、n−InGaAsP層側には拡散していないと考えられる。
Znの拡散メカニズムを解明する上で、図9,10を参照して2つの事象について説明したが、発明者のこれまでの実験により同等の事象がさらに複数あることが確認されている。これらの結果を総合すると、Znドープによるp型半導体層が価電子帯に不連続があるヘテロ接合を形成する場合やpn接合を形成する場合には、Znは価電子帯の不連続量やバンド構造の湾曲に従ってホールに引き寄せられるかのごとく再分布するように拡散するといえる。
すなわち、電子の濃度、ホールの濃度、Znの濃度を各々、[e]、[p]、[Zn]とし、結晶中のキャリアについて電気的中性条件を考えると、
[e]+[Zn]=[p
となる。ポアソン方程式において、[e]、[p]、[Zn]の3つを用い、Znは自由に動けるとすると、バンド図およびZnの再分布の様子を導くことができる。
電子が容易に動けるのに対し、Znは拡散で相対的にゆっくりと移動するが、一方で、ホールがヘテロ界面等で束縛されている場合には、それを補償するようにZn濃度が再分布すると考えられ、
[Zn]=[p
となる。
ところで、電子増倍型APDにおいては、受光層からp型電界制御層、キャリア増幅層へかけて伝導帯のバンド構造はなだらかである必要がある。受光層で光吸収により励起された電子とホールは拡散又は電界により移動するが、通常、受光層のバンドギャップは受光層を狭持する2層よりも狭いため、ヘテロ界面における障壁を乗り越える必要があるためである。一方で、電界制御を行うp型電界制御層は、価電子帯のバンド図が凸凹していてもよい。
本発明者は、電子増倍型APDに要求されるこのようなバンド構造と、上述した新たなZn拡散メカニズムに基づいて、電子増倍型APDの電界制御層に好適で、Zn拡散を効果的に抑制しうる変調ドープ構造を検討した。そして、InPに対してタイプIIのヘテロ接合となるAlInAs、タイプIのヘテロ接合となるGaInAsに着目することにより、Zn拡散を効果的に抑制できる変調ドープ構造を実現した。
上述したように、本発明は、Znドープによるp型電界制御層を含むAPDの積層構造を、従来と同様に有機金属気相成長法によりを形成することを前提として、急峻なp型電界制御層を実現すべく鋭意検討した結果、見出されたものである。具体的には、p型電界制御層にドープされたZnの拡散は、接合界面におけるバンド構造に依存することを発見し、これに基づき価電子帯のバンド不連続量を規定することで、Zn拡散を抑制するというものである。
本発明によれば、有機金属気相成長法を利用して製造可能で、隣接層へのZn拡散の少ない変調ドープ構造を有するエピタキシャル結晶及び受光素子が提供される。
AlGaInAsの組成依存性を示す図である。 実施形態に係るエピタキシャル結晶のバンド構造の一例を示す図である。 実施例に係るAPDの積層構造について示す図である。 実施例に係るAPDの積層構造をSIMSにより分析したときのZnプロファイルを示す図である。 実施例に係るAPDのI−V特性の評価結果を示す図である。 価電子体の不連続量に対する閉じ込め係数をボルツマン分布に従って計算した結果を示す図である。 ホール増幅型APDのバンド構造を示す図である。 電子増幅型APDのバンド構造を示す図である。 有機金属気相成長法により形成された化合物半導体の積層構造をSIMSにより分析したときのZnプロファイルを示す説明図である。 有機金属気相成長法により形成された化合物半導体の積層構造をSIMSにより分析したときのZnプロファイルを示す説明図である。 有機金属気相成長法によりInP中にZnを添加したときのZnプロファイルを示す図である。 タイプI及びタイプIIのヘテロ接合のバンド構造を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、Znを閉じ込めやすい構造として、InPとAlInAsによるタイプIIのヘテロ接合と、InPとGaInAsによるタイプIのヘテロ接合を組み合わせて応用している。
AlInAsはInPに対して伝導帯のエネルギーが高く(障壁になる)、価電子帯のエネルギーも高いので、これらはタイプIIのヘテロ接合を形成する。一方、GaInAsはInPに対して伝導帯のエネルギーが低いが、価電子帯のエネルギーは高いので、これらはタイプIのヘテロ接合を形成する。したがって、AlInAsとGaInAsの中間であるAlGaInAsの組成を最適化することで、伝導帯のエネルギーはInPと同じで、価電子帯のエネルギーのみ高くすることができる。
図1は、AlGaInAsの組成依存性を示す図である。図1に示すように、InPとAlGaInAsとのヘテロ接合は、Al/(Al+Ga)が0(すなわちGaInAs)〜0.5の範囲でタイプIとなり、0.5〜1(すなわちAlInAs)の範囲でタイプIIとなる。また、Al/(Al+Ga)が0.5となるようにAlGaInAsの組成を選択することで、価電子帯のみが凹み、伝導帯は一致(連続)するようなバンド図(図2)を描くことができる。
そして、このAlGaInAs層にZnをドープすることで、Znを効果的に閉じ込めることが可能となり、両隣のInP層へのZn拡散を抑制することができる。
[実施例]
図3は、実施例に係るAPDの積層構造について示す図である。
実施例では、横型MOCVD装置を用いて、図3に示すAPDの積層構造を成長させた。なお、各層成長時の成長温度は600℃、圧力は0.008MPaとした。また、原料ガスとしてTMAl,TMGa,TMIn,PH3,AsH3を用い、n型半導体層のドーパントにはSiH4、p型半導体層のドーパントにはDEZnを用いた。
図3に示すように、APD1は、InP基板10上に、n−InP層11(300nm、1×1018cm-3)、i−InP層12(200nm、<1×1015cm-3)、p−AlGaInAs層13(130nm、2.5×1017cm-3)、アンドープInP層14(50nm、<1×1015cm-3)、アンドープGaInAsP層15(組成勾配層、50nm、<1×1015cm-3)、アンドープGaInAs層16(1500nm、<1×1015cm-3)、p−InP層17(100nm、1×1018cm-3)、p−GaInAs層18(100nm、1×1018cm-3)が順に成膜された構造となっている。なお、各層の厚さ、キャリア濃度は()内に示すとおりである。
図3において、n−InP層11は基板の影響を取り除くためのバッファ層(緩衝層)で、i−InP層12は印加された電界によりキャリアである電子を加速して増幅させる電子増倍層である。p−AlGaInAs層13はi−InP層12及びアンドープGaInAs層16に印加される電界を制御するためにZnをドープした電界制御層で、アンドープInP層14はp−AlGaInAs層13にZnを閉じ込めるための障壁層である。
アンドープGaInAsP層15は、バンド構造を緩やかに傾斜させるための組成勾配層であり、この組成勾配層15によりアンドープGaInAs層16で発生したキャリア(電子)は増倍層12までスムーズに移動することができる。アンドープGaInAs層16は受光層(光吸収層)で、InPより波長の長い光を受光可能となっている。p−InP層17及びp−GaInAs層18は、p型電極を形成するためのコンタクト層である。
ここで、電界制御層13を構成するp−AlGaInAsの組成は、Al/(Al+Ga)が0.5となるようにした。すなわち、i−InP層12、p−AlGaInAs層13、アンドープInP層14のバンド構造が、図2に示すように、伝導帯は連続し、価電子帯だけが凹む構造となるようにした。
また、i−InP層12とp−AlGaInAs層13の価電子帯の不連続量、i−InP層14とp−AlGaInAs層13の価電子帯の不連続量は、ともに0.26eVとなっている。
図4は、図3に示すAPDの積層構造をSIMSにより分析したときのZnプロファイルを示す図である。図4に示すように、p−AlGaInAs層13にドープしたZnは、i−InP層12、アンドープInP層14に拡散することなく、所望の分布となることを確認した。
図5は、APD1のI−V特性の評価結果を示す図である。図5に示すように42Vでブレークダウンが起こり、ほぼ設計通りの値となり、p−AlGaInAs層13からi−InP層12へのZn拡散が十分に少なかったことを示している。
このように、APD1の積層構造は、第1化合物半導体層(i−InP層12)と、この第1化合物半導体層上に形成され、Znドープによりp型に制御された第2化合物半導体層(p−AlGaInAs層13)と、この第2化合物半導体層上に形成された第3化合物半導体層(アンドープInP層14)とからなるエピタキシャル結晶を含んで構成されている。
そして、第1化合物半導体層(12)と第2化合物半導体層(13)の界面、及び、第3化合物半導体層(14)と第2化合物半導体層(13)の界面は、価電子帯のみが不連続となるようなヘテロ接合構造をなしている。また、第2化合物半導体層の価電子帯の不連続量は、第1化合物半導体層及び第3化合物半導体層に対して、0.1eV以上となっている。
これにより、化合物半導体層の接合界面におけるバンド構造によってある程度Zn拡散が抑制されるため、その他の層の成長温度を従来よりも上げることができ、結晶性の向上を図ることができる。
ここで、Zn拡散を抑制するために、バンド不連続量をどの程度にすれば良いかについては、バンド不連続に伴うホール濃度の分布を仮定し、閉じ込め係数をΓとするとき、
Γ=exp(ΔE/kT)
のようにボルツマン分布を仮定することで計算できる。ここに、ΔEは価電子帯の不連続量で、kはボルツマン定数(8.6171×10-5eV/K)、Tは成長温度(K)である。
例えば、InPとAlGaInAsの価電子帯の不連続量が0.3eVとなるようにすれば、600℃(=873K)では、
Γ=exp(0.3/(8.6171×10-5×873))=54.6
となるので、1/50程度の濃度の違いが確保される。
また、600℃において、価電子帯が連続している場合に比較して3倍以上の抑止効果を得るためには、
exp(ΔE/(8.6171×10-5×873))≧3
より、不連続量ΔEを0.082以上とすればよいことになる。
図6は、価電子帯の不連続量に対する閉じ込め係数をボルツマン分布に従って計算した結果を示す図である。
図6より、化合物半導体層の成長温度が550℃(823K)〜650℃(923K)のとき、閉じ込め係数Γを3以上にするためには、不連続量ΔEを0.1eV以上にすればよい。また、閉じ込め係数Γが3以上であればZn拡散を抑制できるが、10以上とすればさらに効果的にZn拡散を抑制することができる。
また、APD1の積層構造において、第1及び第3化合物半導体層(12,14)はInPで構成され、第2化合物半導体層(13)は(AlxGa(1-x)yIn(1-y)Asで構成されている。第1〜第3化合物半導体層をこのような構成とすることで、所望のバンド構造を比較的容易に実現することができる。
さらに、第2化合物半導体層(13)は、第1及び第3化合物半導体層(12,14)の伝導帯と連続する伝導帯を有するように組成が決定されている(図2参照)。これにより、伝導帯での不連続における抵抗成分を低減できる。
受光素子としてのAPD1は、基板10上に、上述したエピタキシャル結晶を含む積層構造が形成されてなり、第1化合物半導体層(12)を電子増倍層、第2化合物半導体層(13)をp型電界制御層、第3化合物半導体層(14)を障壁層として備えている。
APD1によれば、結晶性に優れた化合物半導体の積層構造により構成されているので、デバイス特性の向上を図ることができる。
従来は、有機金属気相成長法によりAPDの積層構造を成長させる場合、p型電界制御層にドープされたZnの拡散を低減するために550℃以下の成長温度を用いる必要があった。そして、成長温度を十分に高くできない結果、有機金属からのCの混入や、表面マイグレーションが十分でないために結晶性や表面モフォロジーが向上しないなどの幾つかの問題があった。
これに対して、実施例では、p型電界制御層を含む積層構造を、図2に示すようなバンド構造となる化合物半導体の組合せで構成している。これにより、p型電界制御層からのZn拡散を効果的に抑制できるので、その他の層の成長温度を従来よりも高い600℃とすることができ、結晶性の向上を図ることができる。
また、成長温度を上げて化合物半導体層の結晶性を向上させることと、Zn拡散の抑制をヘテロ構造を用いて改善する方法を組み合わせることで、製造条件の幅を広げる事ができ、さらにデバイス特性にあった成長条件を導くことが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記実施形態では、InPとAlGaInAsとのヘテロ接合において、伝導帯は連続して、価電子帯のみが不連続となる場合について説明したが、タイプIIのヘテロ接合構造となる場合も同様に、Zn拡散を抑制することができる。
上記実施形態では、本発明に係るエピタキシャル結晶を、APDの積層構造に適用した場合について説明したが、他の半導体素子における積層構造に適用することもできる。例えば、Znドープによるp型半導体層を構成として含むトランジスタやサイリスタのような構造などにも適用可能である。
また、Znの代わりにMgをドープして伝導型をp型に制御する場合にも応用できる可能性がある。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 アバランシェフォトダイオード(APD)
10 基板
11 n−InP層(バッファ層)
12 i−InP層(電子増倍層)
13 p−AlGaInAs層(電界制御層)
14 アンドープInP層(障壁層)
15 アンドープGaInAsP層(組成勾配層)
16 アンドープGaInAs層(受光層)
17 p−InP層(コンタクト層)
18 p−GaInAs層(コンタクト層)

Claims (4)

  1. 第1化合物半導体層と、
    この第1化合物半導体層上に形成され、Znドープによりp型に制御された第2化合物半導体層と、
    この第2化合物半導体層上に形成された第3化合物半導体層とからなるエピタキシャル結晶であって、
    前記第1化合物半導体層と前記第2化合物半導体層の界面、及び、前記第3化合物半導体層と前記第2化合物半導体層の界面は、タイプIIまたは価電子帯のみが不連続となるようなヘテロ接合構造をなし、
    前記第2化合物半導体層の価電子帯の不連続量は、前記第1化合物半導体層及び前記第3化合物半導体層に対して、0.1eV以上であることを特徴とするエピタキシャル結晶。
  2. 前記第1及び第3化合物半導体層はInPで構成され、
    前記第2化合物半導体層は(AlxGa(1-x)yIn(1-y)Asで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル結晶。
  3. 前記第2化合物半導体層は、前記第1及び前記第3化合物半導体層の伝導帯と連続する伝導帯を有するように組成が決定されていることを特徴とする請求項2に記載のエピタキシャル結晶。
  4. 基板上に、請求項1から3のいずれか一項に記載のエピタキシャル結晶を含む積層構造が形成されてなり、
    前記第1化合物半導体層を電子増倍層、
    前記第2化合物半導体層をp型電界制御層、
    前記第3化合物半導体層を障壁層として備えることを特徴とする受光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014099467A (ja) * 2012-11-13 2014-05-29 Mitsubishi Electric Corp アバランシェフォトダイオードおよびその製造方法

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