以下、この発明の棒状構造発光素子、発光装置、発光装置の製造方法、バックライト、照明装置および表示装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、この実施の形態では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としてもよい。
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の棒状構造発光素子の斜視図を示しており、図2は上記棒状構造発光素子の断面図を示している。
この第1実施形態の棒状構造発光素子Aは、図1,図2に示すように、断面がほぼ円形の棒状のn型GaNからなる半導体コア11と、上記半導体コア11の一端側の部分を覆わないで露出部分11aとするように、半導体コア11の露出部分11a以外の被覆部分11bを覆うp型GaNからなる半導体層12とを備えている。上記半導体コア11は、露出部分11aを被覆部分11bよりも小径にして、露出部分11aの外周面と被覆部分11bの外周面との間に段差部11cを設けている。また、半導体コア11の他端側の端面は、半導体層12により覆われている。
上記棒状構造発光素子Aは、次のように製造する。
まず、n型GaNからなる基板上に、成長穴を有するマスクを形成する。マスクには、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)など半導体コア11および半導体層12に対して選択的にエッチング可能な材料を用いる。成長穴の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
次に、マスクの成長穴により露出した基板上に触媒金属層を形成する。この触媒金属層は、上記リソグラフィー法とドライエッチング法により成長穴形成の際に使用したレジストをマスク上に残したままの状態で、レジストおよび成長穴から露出した基板上(成長穴内の露出領域上)に触媒金属層を200nm〜400nm程度堆積し、リフトオフ法により、上記レジストとともにレジスト上の触媒金属層を除去することによって形成される。触媒金属層には、Ga,N,In,Alなどの化合物半導体材料ならびにSi、Mgなどの不純物に対して、これらを溶解して取り込み、かつ自身とは化合物を形成しないNi,Fe,Auなどの材料が使用できる。
次に、上記マスクの成長穴内に触媒金属層が形成された基板上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、触媒金属層と基板との界面からn型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア11を形成する。MOCVD装置の温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH3)を、さらにキャリアガスとして水素(H3)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNの半導体コアを成長させることができる。この際、成長する半導体コア11の直径は、上記マスクの成長穴内では、上記触媒金属層の直径が成長穴の内径以上に広がらないために成長穴の内径によって決まるが、成長する半導体コア11の高さがマスクの高さ(成長穴の深さ)を越えてからは、島状に凝集する触媒金属層の直径で決めることができる。したがって、上記の膜厚で触媒金属層を形成した場合、成長する半導体コア11の高さがマスクの高さ(成長穴の深さ)を越えてからは、成長穴よりも大きな直径で島状に凝集するため、成長穴内の半導体コア11の露出部分11aの直径よりも大きな直径で半導体コア11の被覆部分11bを成長させることができる。
次に、半導体コア11の先端に上記島状の触媒金属層を保持したままの状態で、棒状の半導体コア11を覆うように基板全面にp型GaNからなる半導体層を形成する。MOCVD装置の温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
次に、上記島状の触媒金属層を除去すると共に、リフトオフにより半導体層のうち半導体コアを覆う部分を除く領域とマスクを除去して、棒状の半導体コア11の基板側の外周面を露出させて露出部分を形成する。この状態で、上記半導体コア11の基板と反対の側の端面は、半導体層12により覆われており、半導体コア11の被覆部分11bよりも小径の露出部分11aが形成されている。
上記マスクが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずにマスクをエッチングすることができ、マスクとともにマスク上の半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域をリフトオフにより除去することができる。この実施形態においては、除去されたマスクの膜厚によって、半導体コア11の露出部分11aの長さが決まる。この実施形態の露出工程では、リフトオフを用いたがエッチングにより半導体コアの一部を露出させてもよい。
次に、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板を基板平面に沿って振動させることにより、基板上に立設する半導体コア11の基板側に近い根元を折り曲げるように、半導体層12に覆われた半導体コア11に対して応力が働いて、半導体層12に覆われた半導体コア11が基板から切り離される。
こうして、n型GaNからなる基板から切り離なされた微細な棒状構造発光素子を製造することができる。
また、上記半導体コアを超音波を用いて基板から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に折り曲げることによって切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
さらに、上記棒状構造発光素子は、半導体層12が半導体コア11の外周面から半径方向外向に結晶成長し、径方向の成長距離が短くかつ欠陥が外向に逃げるため、結晶欠陥の少ない半導体層12により半導体コア11を覆うことができる。したがって、特性の良好な棒状構造発光素子を実現することができる。
上記構成の棒状構造発光素子Aによれば、棒状のn型の半導体コア11の一端側の部分を覆わないで露出部分11aとするように、半導体コア11の露出部分11a以外の被覆部分11bをp型の半導体層12により覆うことによって、マイクロオーダーサイズやナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子であっても、半導体コア11の露出部分11aをn側電極に接続し、半導体コア11を覆う半導体層12の部分にp側電極を接続することが可能となる。この棒状構造発光素子Aは、半導体コア11の露出部分11aにn側電極を接続し、半導体層12にp側電極を接続して、p側電極からn側電極に電流を流すことにより、半導体コア11の外周面と半導体層12の内周面との界面(pn接合部)で電子と正孔の再結合が起きて光が放出される。この棒状構造発光素子Aでは、半導体層12で覆われた半導体コア11の側面全体から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高い。
したがって、簡単な構成で電極接続が容易にできる発光効率の高い微細な棒状構造発光素子Aを実現することができる。また、上記棒状構造発光素子Aは、基板と一体でないので、装置への実装の自由度が高い。
ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μm〜30μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子である。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な発光装置,バックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
また、上記半導体コア11の一端側の外周面が、例えば1μm〜5μm程度露出していることによって、半導体コア11の一端側の外周面の露出部分11aに一方のn側電極を接続し、半導体コア11の他端側の半導体層12にp側電極を接続することが可能となり、両端に電極を離して接続でき、半導体層12に接続するp側電極と半導体コア11の露出部分11aが短絡するのを容易に防止することができる。
図3は比較例の棒状構造発光素子の要部の断面模式図を示しており、この発明の棒状構造発光素子ではない。図3の棒状構造発光素子は、上記第1実施形態の図1,図2に示す棒状構造発光素子Aと異なる点は、半導体コア1011の露出部分の外周面と、半導体コア1011の半導体層1012により覆われた被覆部分との間に段差がないことである。
この棒状構造発光素子では、半導体コア1011の露出部分にn側電極を接続する場合、段差部がないのでn側電極1013と半導体層1012の端面との距離Lが近くなって、n側電極1013と半導体層12との間の短絡やリーク電流の発生する恐れがある。また、この棒状構造発光素子では、図3に示すように、半導体コア1011内から露出部分の外周面への入射角が大きい光は、半導体コア1011内に反射して外部に取り出しにくい。
これに対して、図4の断面模式図に示すように、上記第1実施形態の図1,図2に示す棒状構造発光素子では、図4に示すように、半導体コア11の半導体層12に覆われていない露出部分11aの外周面と、半導体コア11の半導体層12に覆われた被覆部分の外周面との間に段差部11cを設けることによって、半導体コア11の露出部分11aの外周面と被覆部分11bの外周面とが一致して段差がない図3の比較例に比べて、半導体コア11の露出部分11aと半導体層12との境界に形成された段差部11cにより半導体層12の端面の位置が決定され、製造時に境界位置のばらつきを抑制することができる。図3の比較例のように、半導体コアの露出部分の外周面と被覆部分の外周面が一致して段差がない場合は、半導体コアの成長時にマスクの成長穴内壁と半導体コアとの間に隙間が生じる虞があり、続いて半導体層の形成を行う際に、半導体層がマスクの成長穴内壁と半導体コアの隙間領域にも形成され、本来マスクの上面の位置で規定される半導体コアの露出部分と被覆部分の境界がばらつくことがある。これに対して、図4に示す第1実施形態のように、半導体コアの露出部分の外周面と被覆部分の外周面に段差がある場合、製造時において、マスクの高さを越えてから成長穴の内径よりも大きな直径で半導体コアを成長させるため、マスクの成長穴内壁と半導体コアの間に隙間が生じたとしても、隙間を塞ぐように半導体コアが成長し、半導体層の形成時に半導体層がマスク成長穴内壁と半導体コアの隙間領域に形成されるのを防止することができる。図4では、n側電極13と半導体層12の端面との長手方向の距離が同じでも、段差部11cだけ径方向に距離が広がる。
また、上記半導体コア11の露出部分11aの外周面と被覆部分11bの外周面との間に設けられた段差部11cによって、半導体コア11の露出部分11aの外周面と半導体層12との距離を遠ざけることができるため、半導体コア11の露出部分11aにn側電極を接続する場合に、n側電極と半導体層12との間の短絡やリーク電流の発生を抑制することができる。さらに、半導体コア11の露出部分11aの外周面と被覆部分11bの外周面との境界に形成された段差部11cから外部へ光が取り出されやすくするので、光の取り出し効率が向上する。
図5は上記第1実施形態の棒状構造発光素子の変形例の要部の断面図を示している。
この変形例の棒状構造発光素子では、半導体コア15は、露出部分15aを被覆部分15bよりも大径にして、露出部分15aの外周面と被覆部分15bの外周面との間に段差部15cを設けている。上記半導体コア15の露出部分15aにn側電電極17を接続している。
図5に示すように、半導体コア15の露出部分15aの外周面と被覆部分15bの外周面との境界に段差部15cが形成されているため、外部への光の取り出し効率が向上する。また、上記半導体コア15の被覆部分15bよりも露出部分15aの径が大きいので、半導体コア11の露出部分15aに接続されるn側電極17との接触面が大きくとれるので、コンタクト抵抗を下げることができる。
また、上記第1実施形態の棒状構造発光素子Aによれば、半導体コア11の被覆部分11bの長手方向に直交する断面の外周長よりも、半導体コア11の露出部分11aの長手方向に直交する断面の外周長を短くすることによって、すなわち、半導体コア11の被覆部分11bよりも露出部分11aが小径であることによって、製造工程において基板上に立設するように形成された半導体コア11の露出部分11aを基板側に設けることで半導体コア11が折れやすくなり、製造が容易になる。既に説明したように、半導体コア11は、IPA中で超音波により振動させることにより基板から切り離されるが、半導体コア11の露出部分11aが細くなっていることにより切り離しが容易になる。
また、上記半導体コア11の露出部分11aが段差部11cで低い側(半導体層12側が高い側)になることによって、半導体コア11の露出部分11aの外周面と半導体層12との距離を遠ざけることができるため、半導体コア11の露出部分11aにn側電極を接続する場合に、n側電極と半導体層12との間の短絡やリーク電流の発生を抑制することができる。
なお、上記半導体コア11の露出部分11aと被覆部分11bのそれぞれの断面は円形状に限るものではなく、六角形などの他の多角形の断面形状でもよく、また、半導体コアの露出部分と被覆部分とが異なる断面形状であってもよく、半導体コア11の被覆部分11bよりも露出部分11aが小径であれば、同様の効果を有する。
また、上記半導体コア11の露出部分11aの長手方向に直交する断面が略円形状であることによって、製造工程において半導体コア11の成長時に使用するマスクパターンの形状が円形でよく、基板の平面方向の結晶方位に位置あわせたマスクレイアウトの制限を受けず、また、方位を揃えるための位置合わせ精度が不要のため、製造が容易にできる。
図6は上記棒状構造発光素子Aの半導体コアの露出部分の電極接続を説明するための要部の断面図を示しており、長手方向が実装面に平行になるように棒状構造発光素子Aを基板10に実装すると共に、基板10上に形成されたn側電極14に半導体コア11の露出部分11aを接続している。
図6に示すように、半導体コア11の半導体層12に覆われた被覆部分11bにおいて、半導体層12の外形よりも半導体コア11の露出部分11aの外形の方が小さくなるため、棒状構造発光素子を基板10上に基板平面に対して長手方向が平行になるように実装するときに、半導体層12の外周面と基板10との接触がとりやすくなり、放熱効率が向上する。すなわち、半導体コア11の露出部分11aは細いために変形してn側電極14に良好に接続され、半導体コア11の半導体層12に覆われた被覆部分11bは変形することなく基板10と密着することができるため、放熱性に優れる。一方、半導体コア11の露出部分11aの外周面と半導体層12に覆われた被覆部分11bの外周面が一致する場合、または半導体コア11の露出部分11aの外形が半導体層12に覆われた被覆部分11bの外形より大きい場合、半導体コア11の露出部分11aは変形し難い。それゆえ、半導体コア11の露出部分11aがn側電極14に接続される際に、半導体コア11の半導体層12に覆われた被覆部分11bが変形し、基板10と密着しなくなることにより放熱性が悪化する。
なお、上記第1実施形態では、断面がほぼ円形の棒状の半導体コア11に半導体層12を被覆した棒状構造発光素子Aについて説明したが、例えば六角形や他の多角形の棒状の半導体コアに半導体層や量子井戸層などを被覆した棒状構造発光素子についてこの発明を適用してもよい。n型GaNは、六方晶系の結晶成長となり、基板表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、ほぼ六角柱形状の半導体コアが得られる。成長方向や成長温度などの成長条件に依存するが、成長させる半導体コアの直径が数10nmから数100nm程度の小さい場合に断面がほぼ円形に近い形状になりやすい傾向があり、直径が0.5μm程度から数μmに大きくなると断面がほぼ六角形で成長させることが容易になる傾向がある。
〔第2実施形態〕
図7はこの発明の第2実施形態の棒状構造発光素子の斜視図を示している。
この第2実施形態の棒状構造発光素子Bは、図7に示すように、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア21と、上記半導体コア21の一端側の部分を覆わないで露出部分21aとするように、半導体コア21の露出部分21a以外の被覆部分21bを覆うp型GaNからなる半導体層22とを備えている。上記半導体コア21は、露出部分21aを被覆部分21bよりも小径にして、露出部分21aの外周面と被覆部分21bの外周面との間に段差部21cを設けている。また、半導体コア21の他端側の端面は、半導体層22により覆われている。
上記棒状構造発光素子Bは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の方法で製造する。
また、図8は上記第2実施形態の棒状構造発光素子の要部の断面模式図を示しており、図8において、23はn側電極である。
この第2実施形態の棒状構造発光素子Bは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の効果を有する。
上記第2実施形態の棒状構造発光素子Bによれば、半導体コア21の被覆部分21aの長手方向に直交する断面が六角形状であることによって、この棒状構造発光素子を基板上に基板平面に対して長手方向が平行になるように実装するときに、半導体層のどの外周面であっても基板との接触面が得やすく、基板への放熱効率が向上する。したがって、発光時の素子温度が上昇して発光効率が低下するのを抑制できる。
図9Aは上記第1実施形態の棒状構造発光素子Aの半導体コアの露出部分の断面模式図を示し、図9Bは上記第2実施形態の棒状構造発光素子Bの半導体コアの露出部分の断面模式図を示している。
また、図9Cは変形例の棒状構造発光素子の半導体コアの露出部分の断面模式図を示しており、この変形例の棒状構造発光素子では、半導体コア24の露出部分24aの長手方向に直交する断面を正三角形にしている。
このように、半導体コアの露出部分の長手方向に直交する断面が、図9Aに示す円形よりも多角形(例えば図9Bに示す正六角形や図9Cに示す正三角形)の方が光の取り出し効率を向上させることができる。その理由は、半導体コアの露出部分の断面は、頂点数の少ない多角形の方が外部に光がより出やすくなるからである。
〔第3実施形態〕
図10はこの発明の第3実施形態の棒状構造発光素子の斜視図を示している。
この第3実施形態の棒状構造発光素子Cは、図10に示すように、棒状のn型GaNからなる半導体コア31と、上記半導体コア31の一端側の部分を覆わないで露出部分31aとするように、半導体コア31の露出部分31a以外の被覆部分31bを覆うp型GaNからなる半導体層32とを備えている。上記半導体コア31の露出部分31aは長手方向に直交する断面がほぼ四角形であり、半導体コア31の被覆部分31bは長手方向に直交する断面がほぼ六角形である。上記半導体コア31の露出部分31aの外周面と被覆部分31bの外周面との間に段差部31cを設けている。また、半導体コア31の他端側の端面は、半導体層32により覆われている。
上記棒状構造発光素子Cは、半導体コアの被覆部分を除いて第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の方法で製造する。ここで、半導体コア31の露出部分31aの形状については、前述の通り、上記マスクの成長穴の高さを越えるまでは、成長穴の径および形状で成長する半導体コア31の径および形状が決まり、成長する半導体コア31の高さがマスクの高さを越えてからは、島状に凝集する触媒金属層の径で決まる。この第3実施形態では、四角形の成長穴を用いている。
この第3実施形態の棒状構造発光素子Cは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の効果を有する。
図11は上記第3実施形態の棒状構造発光素子の第1の変形例の断面模式図を示している。この第1の変形例では、半導体コア1031の露出部分1031aは長手方向に直交する断面がほぼ円形であり、半導体コア1031の被覆部分1031bは長手方向に直交する断面がほぼ六角形である。上記半導体コア1031の露出部分1031aの断面形状が、被覆部分1031bの断面形状よりも大きくなっている。上記半導体コア1031の露出部分1031aの外周面と被覆部分1031bの外周面との間に段差部1031cを設けている。
図12は上記第3実施形態の棒状構造発光素子の第2の変形例の断面模式図を示している。この第2の変形例では、半導体コア1041は、露出部分1041aの長手方向に直交する断面がほぼ円形であり、被覆部分1041bの長手方向に直交する断面がほぼ六角形である。上記半導体コア1041の被覆部分1041bの長手方向に直交する断面の外周長よりも、半導体コア1041の露出部分1041aの長手方向に直交する断面の外周長を短くしている。すなわち、上記半導体コア1031の露出部分1031aの断面形状が、被覆部分1031bの断面形状よりも小さくなっている。上記半導体コア1041の露出部分1041aの外周面と被覆部分1041bの外周面との間に段差部1041cを設けている。
このように、図10〜図12に示す棒状構造発光素子において、半導体コア31,1031,1041の露出部分31a,1031a,1041aの長手方向に直交する断面の形状と、半導体コア31,1031,1041の被覆部分31b,1031b,1041bの長手方向に直交する断面の形状とが異なることによって、半導体コア31,1031,1041の露出部分31a,1031a,1041aの外周面と被覆部分31b,1031b,1041bの外周面との境界に段差部31c,1031c,1041cが形成されるため、外部への光の取り出し効率が向上する。
また、上記半導体コアの露出部分の外周面と被覆部分の外周面が一致して段差がない場合に比べて、半導体コア31,1031,1041の露出部分31a,1031a,1041aと半導体層32,1032,1042との境界に形成された段差部31c,1031c,1041cにより半導体層32,1032,1042の端面の位置が決定され、製造時に境界位置のばらつきを抑制できる。半導体コアの露出部分の外周面と被覆部分の外周面が一致して段差がない場合は、半導体コアの成長時にマスクの成長穴内壁と半導体コアの間に隙間が生じる虞があり、続いて半導体層の形成を行う際に、半導体層がマスクの成長穴内壁と半導体コアの隙間領域にも形成され、マスクの上面の位置で半導体コアの露出部分と被覆部分の境界がばらつくことがあるが、しかし、半導体コアの露出部分の外周面と被覆部分の外周面に段差がある場合、製造時において、マスクの高さを越えてから成長穴の内径よりも大きな直径で半導体コアを成長させるため、マスクの成長穴内壁と半導体コアの間に隙間が生じたとしても、隙間をふさぐように半導体コアが成長し、半導体層の形成時に半導体層がマスク成長穴内壁と半導体コアの隙間領域に形成されるのを防止することができる。
〔第4実施形態〕
図13はこの発明の第4実施形態の棒状構造発光素子の断面図を示しており、図14は上記棒状構造発光素子の斜視図を示している。
この第4実施形態の棒状構造発光素子Dは、図13, 図14に示すように、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア41と、上記半導体コア41の一端側の部分を覆わないで露出部分41aとするように、半導体コア41の露出部分41a以外の被覆部分41bを覆うp型GaNからなる半導体層42とを備えている。上記半導体コア41は、露出部分41aを被覆部分41bよりも小径にして、露出部分41aの外周面と被覆部分41bの外周面との間に段差部41cを設けている。また、半導体コア41の他端側の端面は、半導体層42により覆われている。
また、上記半導体コア41の段差部41cとその段差部41c側の半導体層42の端面を覆うように、かつ、半導体コア41の露出部分41aの段差部41c側を覆うように絶縁層43を形成している。上記半導体コア41の露出部分41aにn側電極44を接続している。
上記棒状構造発光素子Dは、半導体コアの被覆部分を除いて第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の方法で製造する。ここで、上記半導体コア41の段差部41cとその段差部41c側の半導体層42の端面を覆い、かつ、半導体コア41の露出部分41аの段差部41c側を覆う絶縁層43の形成については、第1実施形態の棒状構造発光素子Aの製造工程において、リフトオフにより半導体層のうち半導体コアを覆う部分を除く領域とマスクを除去する代わりに、まず異方性のドライエッチングを行い、半導体層のうち半導体コアを覆う部分を除く領域とマスクのエッチングを行う。そして、マスクを途中までエッチングした段階で、等方性のドライエッチングに切り替えてエッチングを行うことによって、部分的に上記マスクを絶縁層として残すことができる。
上記マスクが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、異方性のドライエッチングには、SiCl4などの塩素系ガス、あるいはCF4、CHF3などのフッ素系ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)を使用することができ、等方性のドライエッチングには、CF4を含んだガスのプラズマを用いることによりエッチングすることができる。この実施形態においては、ドライエッチングにより除去されたマスクの膜厚によって、絶縁層43の長さが決まる。また、異方性ドライエッチングの際にSiCl4を含むガスを使用し、マスクの側壁に反応生成物による保護膜を形成しながらエッチングを進めることにより、図13や図14に示すように、半導体層42の外周面と絶縁層43の外周面をほぼ一致させた加工を行うことができる。
この第4実施形態の棒状構造発光素子Dは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の効果を有する。
また、上記棒状構造発光素子Dでは、半導体コア41の露出部分41aの外周面と半導体層42との間を絶縁層43により絶縁できるため、半導体コア41の露出部分41aにn側電極44を接続する場合に、n側電極44と半導体層42との間の短絡やリーク電流の発生を確実に抑制することができる。
〔第5実施形態〕
図15はこの発明の第5実施形態の棒状構造発光素子の断面図を示しており、図16は上記棒状構造発光素子の斜視図を示している。
この第5実施形態の棒状構造発光素子Eは、図15, 図16に示すように、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア51と、上記半導体コア51の一端側の部分を覆わないで露出部分51aとするように、半導体コア51の露出部分51a以外の被覆部分51bを覆うp型GaNからなる半導体層52とを備えている。
上記半導体コア51の露出部分51aは、被覆部分51bよりも小径の段差部51c側の小径部51a−1と、その小径部51a−1に連なり、被覆部分51bよりも大径でかつ半導体層52と同じ外径の大径部51a−2とを有する。上記半導体コア51は、露出部分51aの小径部51a−1を被覆部分51bよりも小径にして、露出部分51aの外周面と被覆部分51bの外周面との間に段差部51cを設けている。また、半導体コア51の他端側の端面は、半導体層52により覆われている。
また、上記半導体コア51の段差部51cとその段差部51c側の半導体層52の端面を覆うように、かつ、半導体コア51の露出部分51aの小径部51a−1側を覆うように絶縁層53を形成している。上記半導体コア51の露出部分51aの大径部51a−2にn側電極54を接続している。
上記棒状構造発光素子Eは、半導体コアの被覆部分を除いて第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の方法で製造する。この棒状構造発光素子Eでは、被覆部分51bよりも小径の段差部51c側の小径部51a−1と、その小径部51a−1に連なり、被覆部分51bよりも大径でかつ半導体層52と同じ外径の大径部51a−2とを有する半導体コア51の露出部分51aの形状、ならびに、半導体コア51の段差部51cとその段差部51c側の半導体層52の端面を覆い、かつ、半導体コア51の露出部分51aの小径部51a−1側を覆う絶縁層53は、第1実施形態の棒状構造発光素子Aの製造工程において、リフトオフにより半導体層のうち半導体コアを覆う部分を除く領域とマスクを除去する工程の代わりに、異方性のドライエッチングを行い、半導体層のうち半導体コア51を覆う部分を除く領域と、マスク、ついで基板までエッチングすることにより形成することができる。
この第5実施形態の棒状構造発光素子Eは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の効果を有する。
また、上記棒状構造発光素子Eでは、半導体コア51の段差部51cとその段差部51c側の半導体層52の端面を覆うように、かつ、半導体コア51の露出部分51aの段差部51c側を覆うように形成された絶縁層53を備えることによって、半導体コア51の露出部分51aの外周面と半導体層52との間を絶縁層53により絶縁できるため、半導体コア51の露出部分51aにn側電極54を接続する場合に、n側電極54と半導体層52との間の短絡やリーク電流の発生を確実に抑制することができる。
さらに、上記半導体コア51の被覆部分51bよりも露出部分51aの大径部51a−2の径が大きいので、半導体コア51の露出部分51aに接続されるn側電極54との接触面が大きくとれ、コンタクト抵抗を下げることができる。
〔第6実施形態〕
図17はこの発明の第6実施形態の棒状構造発光素子の断面図を示している。
この第6実施形態の棒状構造発光素子Fは、図17に示すように、棒状のn型GaNからなる半導体コア61と、上記半導体コア61の一端側の部分を覆わないで露出部分61aとするように、半導体コア61の露出部分61a以外の被覆部分61bを覆うp型GaNからなる半導体層62と、上記半導体層62を覆うように形成され、半導体層62よりも電気抵抗が低い材料からなる導電層63とを備えている。
上記半導体コア61の露出部分61aは長手方向に直交する断面がほぼ円形であり、半導体コア61の被覆部分61bは長手方向に直交する断面がほぼ六角形である。上記半導体コア61は、露出部分61aを被覆部分61bよりも小径にして、露出部分61aの外周面と被覆部分61bの外周面との間に段差部61cを設けている。また、半導体コア61の他端側の端面は、半導体層62により覆われている。
また、上記導電層63は、膜厚200nmのITO(錫添加酸化インジウム)により形成されている。このITOの成膜は蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。ITO膜を成膜後、500℃から600℃で熱処理を行うことで、p型GaNからなる半導体層62とITOからなる導電層63のコンタクト抵抗を下げることができる。なお、導電層63は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/NiまたはAu/Niの半透明の積層金属膜などを用いてもよい。この積層金属膜の成膜には蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。さらに、より導電層の抵抗を下げるために、上記ITO膜上にAg/NiまたはAu/Niの積層金属膜を積層してもよい。
上記棒状構造発光素子Fは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の方法で製造する。この棒状構造発光素子Fは、触媒金属層の除去後に半導体コア61を覆う半導体層62を形成し、さらに半導体層62を覆うように導電層としてITO膜の形成を行った後、異方性ドライエッチングによりITO膜のうち半導体層62を覆う部分を除く領域を除去し、その後、第1実施形態と同様に、リフトオフにより半導体層のうち半導体コア61を覆う部分を除く領域とマスクを除去することによって形成することができる。
また、この第6実施形態の棒状構造発光素子Fは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の効果を有する。
上記第6実施形態の棒状構造発光素子Fによれば、半導体コア61の被覆部分61aの長手方向に直交する断面が六角形状であることによって、この棒状構造発光素子を基板上に基板平面に対して長手方向が平行になるように実装するときに、半導体層のどの外周面であっても基板との接触面が得やすく、基板への放熱効率が向上する。したがって、発光時の素子温度が上昇して発光効率が低下するのを抑制できる。
また、上記半導体コア61の露出部分61aの長手方向に直交する断面の形状と、半導体コア61の被覆部分61bの長手方向に直交する断面の形状とが異なることによって、半導体コア61の露出部分61aの外周面と被覆部分61bの外周面との境界に段差部61cが形成されるため、外部への光の取り出し効率が向上する。
また、上記半導体層62よりも電気抵抗が低い材料からなる導電層63を介して半導体層62をp側電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、広い電流経路を形成して、半導体コア61の側面全体を効率よく発光させることができ、発光効率がさらに向上する。
〔第7実施形態〕
図18はこの発明の第7実施形態の棒状構造発光素子の断面図を示している。
この第7実施形態の棒状構造発光素子Gは、図18に示すように、棒状のn型GaNからなる半導体コア71と、上記半導体コア71の一端側の部分を覆わないで露出部分71aとするように、半導体コア71の露出部分71a以外の部分を覆うp型InGaNからなる量子井戸層72と、上記量子井戸層72の外周面を覆うp型GaNからなる半導体層73と、上記半導体層73を覆うように形成され、半導体層73よりも電気抵抗が低い材料からなる導電層74とを備えている。
上記半導体コア71の露出部分71aは長手方向に直交する断面がほぼ円形であり、半導体コア71の被覆部分71bは長手方向に直交する断面がほぼ六角形である。上記半導体コア71は、露出部分71aを被覆部分71bよりも小径にして、露出部分71aの外周面と被覆部分71bの外周面との間に段差部71cを設けている。また、半導体コア71の他端側の端面は、半導体層72により覆われている。
また、上記導電層74は、膜厚200nmのITO(錫添加酸化インジウム)により形成されている。このITOの成膜は蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。ITO膜を成膜後、500℃から600℃で熱処理を行うことで、p型GaNからなる半導体層72とITOからなる導電層74のコンタクト抵抗を下げることができる。なお、導電層74は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/NiまたはAu/Niの半透明の積層金属膜などを用いてもよい。この積層金属膜の成膜には蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。さらに、より導電層の抵抗を下げるために、上記ITO膜上にAg/NiまたはAu/Niの積層金属膜を積層してもよい。
上記棒状構造発光素子Gは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の方法で製造する。この棒状構造発光素子Gは、触媒金属層の除去後に半導体コア71を覆う量子井戸層72および半導体層73を形成し、さらにITO膜のうち半導体層73を覆うように導電層としてITO膜の形成を行い、ついで、異方性ドライエッチングにより半導体層72を覆う部分を除く領域を除去した後、第1実施形態と同様に、リフトオフにより量子井戸層および半導体層のうち半導体コアを覆う部分を除く領域とマスクを除去することによって形成することができる。
また、この第7実施形態の棒状構造発光素子Gは、第1実施形態の棒状構造発光素子Aと同様の効果を有する。
上記第7実施形態の棒状構造発光素子Gによれば、半導体コア71の被覆部分71aの長手方向に直交する断面が六角形状であることによって、この棒状構造発光素子を基板上に基板平面に対して長手方向が平行になるように実装するときに、半導体層のどの外周面であっても基板との接触面が得やすく、基板への放熱効率が向上する。したがって、発光時の素子温度が上昇して発光効率が低下するのを抑制できる。
また、上記半導体コア71の露出部分71aの長手方向に直交する断面の形状と、半導体コア71の被覆部分71bの長手方向に直交する断面の形状とが異なることによって、半導体コア71の露出部分71aの外周面と被覆部分71bの外周面との境界に段差部71cが形成されるため、外部への光の取り出し効率が向上する。
また、上記半導体層73よりも電気抵抗が低い材料からなる導電層74を介して半導体層73をp側電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、広い電流経路を形成して、半導体コア71の側面全体を効率よく発光させることができ、発光効率がさらに向上する。
また、上記半導体コア71の被覆部分71bの外周面と半導体層73との間に量子井戸層72を形成することによって、量子井戸層72の量子閉じ込め効果により発光効率を向上できる。
なお、この量子井戸層は、GaNの障壁層とInGaNの量子井戸層を交互に積層した多重量子井戸構造であってもよい。
〔第8実施形態〕
図19はこの発明の第8実施形態の棒状構造発光素子の断面図を示している。この第8実施形態の棒状構造発光素子は、キャップ層を除いて第7実施形態の棒状構造発光素子と同一の構成をしている。
この第8実施形態の棒状構造発光素子Hは、図19に示すように、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア81と、上記半導体コア81の一方の端面を覆うキャップ層82と、上記キャップ層82に覆われた半導体コア81の部分とは反対側の部分を覆わないで露出部分81aとするように、半導体コア81の露出部分81a以外の被覆部分81bの外周面を覆うp型InGaNからなる量子井戸層83と、上記量子井戸層83の外周面を覆うp型GaNからなる半導体層84と、上記半導体層84の外周面を覆う導電層85とを備えている。
上記半導体コア81は、露出部分81aを被覆部分81bよりも小径にして、露出部分81aの外周面と被覆部分81bの外周面との間に段差部81cを設けている。また、上記半導体コア81の外周面とキャップ層82の外周面とが、連続した量子井戸層83と半導体層84により覆われている。
また、上記導電層85は、膜厚200nmのITO(錫添加酸化インジウム)により形成されている。このITOの成膜は蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。ITO膜を成膜後、500℃から600℃で熱処理を行うことで、p型GaNからなる半導体層84とITOからなる導電層85のコンタクト抵抗を下げることができる。なお、導電層85は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/NiまたはAu/Niの半透明の積層金属膜などを用いてもよい。この積層金属膜の成膜には蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。さらに、より導電層の抵抗を下げるために、上記ITO膜上にAg/NiまたはAu/Niの積層金属膜を積層してもよい。
図20は上記棒状構造発光素子Hの要部の断面模式図を示しており、図20に示すように、この第8実施形態の棒状構造発光素子Hでは、半導体層84よりも電気抵抗の大きな材料からなるキャップ層82が半導体コア81の一方の端面を覆うことによって、半導体コア81のキャップ層82側に接続されたp側電極86と半導体コア81との間でキャップ層82を介して電流が流れないようする一方で、キャップ層82よりも抵抗の低い導電層85,半導体層84を介してp側電極86と半導体コア81の外周面側との間で電流が流れるようにする。これにより、上記半導体コア81のキャップ層82が設けられた側の端面への電流集中を抑制して、その半導体コア81の端面に発光が集中することなく、半導体コア81の側面からの光の取り出し効率が向上する。
上記第8実施形態の棒状構造発光素子Hは、第7実施形態の棒状構造発光素子と同様の効果を有する。
また、上記棒状構造発光素子は、半導体コア81の露出部分81aにn側電極(図示せず)を接続し、半導体コア81のキャップ層82が設けられた側にp側電極86を接続するとき、キャップ層82により半導体コア81の一方の端面が露出していないので、その端部の半導体層84と導電層85を介して半導体コア81とp側電極86との電気的接続が容易にできる。それにより、半導体層84と導電層85で覆われた半導体コア81の側面全体のうちのp側電極86が遮る面積を最小限にすることができ、光の取り出し効率を向上できる。また、上記半導体コア81のキャップ層82が設けられた側の端面への電流集中を抑制して、その半導体コアの端面に発光が集中することなく、半導体コア81の側面からの光の取り出し効率が向上する。
なお、半導体コア81のキャップ層82側の端部において、キャップ層82には接続せず、導電層85のみとp側電極86とを電気的接続してもよい。
〔第9実施形態〕
図21はこの発明の第9実施形態の棒状構造発光素子を備えた発光装置の斜視図を示している。
この第9実施形態の発光装置は、図21に示すように、実装面に金属電極98,99が形成された絶縁性基板90と、上記絶縁性基板90上に長手方向が絶縁性基板90の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子Iとを備えている。
上記棒状構造発光素子Iは、棒状のn型GaNからなる半導体コア91と、上記半導体コア91の一端側の部分を覆わないで露出部分91aとするように、半導体コア91の露出部分91a以外の被覆部分91bを覆うp型GaNからなる半導体層92とを備えている。
上記半導体コア91の露出部分91aは長手方向に直交する断面がほぼ円形であり、半導体コア91の被覆部分91bは長手方向に直交する断面がほぼ六角形である。上記半導体コア91の露出部分91aを被覆部分91bよりも小径にして、露出部分91aの外周面と被覆部分91bの外周面との間に段差部91cを設けている。
図21に示すように、棒状構造発光素子Iの一端側の露出部分91aを金属電極98に接続すると共に、棒状構造発光素子Iの他端側の半導体層92を金属電極99に接続している。
ここで、棒状構造発光素子Iは、後述する第12実施形態の棒状構造発光素子の配列方法におけるIPA水溶液の乾燥時に、基板表面と棒状構造発光素子の隙間の液滴が蒸発により縮小するときに発生するスティクションにより中央部分が撓んで絶縁性基板90上に接している。
上記第9実施形態の発光装置によれば、長手方向が実装面に平行になるように絶縁性基板90に実装された棒状構造発光素子Iは、半導体層92の外周面と絶縁性基板90の実装面とが接触するので、棒状構造発光素子Iで発生した熱を半導体層92から絶縁性基板90に効率よく放熱することができる。したがって、発光効率が高くかつ放熱性のよい発光装置を実現することができる。なお、半導体層を覆うように導電層が形成された棒状構造発光素子においても、導電層の外周面と絶縁性基板の実装面とが接触することにより、同様に効果が得られる。
また、上記発光装置では、絶縁性基板90上に棒状構造発光素子Iを横倒しに配置しているので、絶縁性基板90を含めた厚さを薄くできる。上記発光装置において、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子Iを用いることにより、使用する半導体の量を少なくでき、この発光装置を用いて薄型化と軽量化が可能なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
なお、上記第9実施形態において、棒状構造発光素子に第1〜第9実施形態の棒状構造発光素子のいずれかを用いてもよい。
〔第10実施形態〕
図22はこの発明の第10実施形態の棒状構造発光素子を備えた発光装置の側面図を示している。
この第10実施形態の発光装置は、図22に示すように、絶縁性基板100と、絶縁性基板100上に長手方向が絶縁性基板100の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子Jとを備えている。
上記棒状構造発光素子Jは、棒状のn型GaNからなる半導体コア101と、上記半導体コア51の一方の端面を覆うキャップ層102(図23に示す)と、上記キャップ層102に覆われた半導体コア101の部分とは反対側の部分を覆わないで露出部分101aとするように、半導体コア101の露出部分101a以外の被覆部分101bの外周面を覆うp型InGaNからなる量子井戸層103と、上記量子井戸層103の外周面を覆うp型GaNからなる半導体層104と、上記半導体層104の外周面を覆う導電層105とを備えている。
上記半導体コア101の露出部分101aは長手方向に直交する断面がほぼ円形であり、半導体コア101の被覆部分101bは長手方向に直交する断面がほぼ六角形である。上記半導体コア101の露出部分101aを被覆部分101bよりも小径にして、露出部分101aの外周面と被覆部分101bの外周面との間に段差部101cを設けている。
上記導電層105上かつ絶縁性基板100側に第2の導電層の一例としての金属層106を形成している。上記金属層106は、導電層105の外周面の下側略半分を覆っている。上記導電層105は、ITOにより形成されている。なお、導電層は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/NiまたはAu/Niの半透明の積層金属膜などを用いてもよい。この積層金属膜の成膜には蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。さらに、より導電層の抵抗を下げるために、上記ITO膜上にAg/NiまたはAu/Niの積層金属膜を積層してもよい。また、金属層106は、Alに限らず、Cu,W,Ag,Auなどを用いてもよい。
この第10実施形態の発光装置は、図23に示すように、実装面に金属電極107,108が形成された絶縁性基板100と、上記絶縁性基板100上に長手方向が絶縁性基板100の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子Jとを備えている。
上記棒状構造発光素子Jの一端側の露出部分101aを金属電極107に導電性接着剤などの接着部109Aにより接続すると共に、棒状構造発光素子Jの他端側の金属層106を金属電極108に導電性接着剤などの接着部109Bにより接続している。
ここで、棒状構造発光素子Jは、後述する第12実施形態の棒状構造発光素子の配列方法におけるIPA水溶液の乾燥時に、基板表面と棒状構造発光素子の隙間の液滴が蒸発により縮小するときに発生するスティクションにより中央部分が撓んで絶縁性基板100上に接している。
上記第10実施形態の発光装置によれば、棒状構造発光素子Jの導電層105上かつ絶縁性基板100側に、半導体層104よりも電気抵抗が低い材料からなる第2の導電層の一例としての金属層106を形成することによって、金属層106のない棒状構造発光素子Jの絶縁性基板100と反対の側においても、半導体コア101の外周面を覆う導電層105があるため、高抵抗の半導体層104全体への電流の流れやすさを犠牲にすることなく、金属層106によって低抵抗化できる。また、半導体コア101の外周面を覆う導電層105には、発光効率を考慮すると透過率の低い材料が使えないために低抵抗の材料を用いることができないが、金属層106には、透過率よりも低抵抗であることを優先した導電性材料を用いることができる。さらに、長手方向が実装面に平行になるように絶縁性基板100に実装された棒状構造発光素子Jは、金属層106が絶縁性基板100の実装面と接するので、棒状構造発光素子Jで発生した熱を金属層106を介して絶縁性基板100に効率よく放熱することができる。
〔第11実施形態〕
図24はこの発明の第11実施形態の発光装置の斜視図を示している。この第11実施形態では、第2実施形態の棒状構造発光素子Bと同一の構成の棒状構造発光素子を用いている。なお、棒状構造発光素子に上記第1,第3〜第10実施形態の棒状構造発光素子のいずれかを用いてもよい。
この第11実施形態の発光装置は、図24に示すように、実装面に金属電極201,202が形成された絶縁性基板200と、上記絶縁性基板200上に長手方向が絶縁性基板200の実装面に平行になるように実装された棒状構造発光素子Kとを備えている。上記絶縁性基板200には、絶縁性基板200上の金属電極201,202間かつ棒状構造発光素子Kの下側に金属部の一例としての第3の金属電極203を形成している。図24では、金属電極201,202,203の一部のみを示している。
上記棒状構造発光素子Kは、断面がほぼ六角形の棒状のn型GaNからなる半導体コア111と、上記半導体コア111の部分とは反対側の部分を覆わないで露出部分111aとするように、半導体コア111の露出部分111a以外の被覆部分111bの外周面を覆うp型GaNからなる半導体層112とを有する。上記半導体コア111は、露出部分111aを被覆部分111bよりも小径にして、露出部分111aの外周面と被覆部分111bの外周面との間に段差部111cを設けている。また、半導体コア111の他端側の端面は、半導体層112により覆われている。
上記第11実施形態の発光装置によれば、絶縁性基板200上の電極201,202間かつ棒状構造発光素子Kの下側に金属電極203を形成することによって、両端が金属電極201,202に接続された棒状構造発光素子Kの中央側を金属電極203の表面に接触させて支えるので、両持ちの棒状構造発光素子Kが撓むことなく、金属電極203により支持されると共に、棒状構造発光素子Kで発生した熱を半導体層112から金属電極203を介して絶縁性基板200に効率よく放熱することができる。
なお、図25に示すように、金属電極201と金属電極202夫々は、互いに所定の間隔をあけて略並行な基部201a,202aと、基部201a,202aの対向する位置から基部201a,202a間に延びる複数の電極部201b,202bを有する。金属電極201の電極部201bと、それに対向する金属電極202の電極部202bとに1つの棒状構造発光素子Kが配列される。この金属電極201の電極部201bとそれに対向する金属電極202の電極部202bの間に、中央部分が狭くなった蝶形状の第3の金属電極203を絶縁性基板200上に形成している。
上記互いに隣接する第3の金属電極203同士は、電気的に切り離されており、図25に示すように、互いに隣接する棒状構造発光素子Kの向きが逆になっても、金属電極203を介して金属電極201と金属電極202が短絡するのを防止できる。
〔第12実施形態〕
次に、この発明の第12実施形態の棒状構造発光素子を備えた発光装置、バックライト、照明装置および表示装置について説明する。この第12実施形態では、上記第1〜第10実施形態の棒状構造発光素子を絶縁性基板に配列する。この棒状構造発光素子の配列は、本出願人が特願2007−102848(特開2008−260073号公報)で出願した「微細構造体の配列方法及び微細構造体を配列した基板、並びに集積回路装置及び表示素子」の発明の技術を用いて行う。
図26はこの第12実施形態の発光装置、バックライト、照明装置および表示装置に用いる絶縁性基板の平面図を示している。図26に示すように、絶縁性基板300の表面に、金属電極301,302を形成している。絶縁性基板300はガラス、セラミック、酸化アルミニウム、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。
上記金属電極301,302は、印刷技術を利用して所望の電極形状に形成している。なお、金属膜および感光体膜を一様に積層し、所望の電極パターンを露光し、エッチングして形成してもよい。
図26では省略されているが、金属電極301,302には外部から電位を与えられるように、パッドを形成している。この金属電極301,302が対向する部分(配列領域)に棒状構造発光素子を配列する。図26では、棒状構造発光素子を配列する配列領域が2×2個配列されているが、任意の個数を配列してよい。
図27は図26のXXVII−XXVII線から見た断面模式図である。
まず、図27に示すように、絶縁性基板300上に、棒状構造発光素子310を含んだイソプロピルアルコール(IPA)311を薄く塗布する。IPA311の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物でもよい。あるいは、IPA311は、他の有機物からなる液体、水などを用いることができる。
ただし、液体を通じて金属電極301,302間に大きな電流が流れてしまうと、金属電極301,302間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、金属電極301,302を覆うように、絶縁性基板300表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜をコーティングすればよい。
棒状構造発光素子310を含むIPA311を塗布する厚さは、次に棒状構造発光素子310を配列する工程で、棒状構造発光素子310が配列できるよう、液体中で棒状構造発光素子310が移動できる厚さである。したがって、IPA311を塗布する厚さは、棒状構造発光素子310の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは薄すぎると、棒状構造発光素子310が移動し難くなり、厚すぎると、液体を乾燥する時間が長くなる。また、IPAの量に対して、棒状構造発光素子310の量は、1×104本/cm3〜1×107本/cm3が好ましい。
棒状構造発光素子310を含むIPA311を塗布するために、棒状構造発光素子310を配列させる金属電極の外周囲に枠を形成し、その枠内に棒状構造発光素子310を含むIPA311を所望の厚さになるように充填してもよい。しかしながら、棒状構造発光素子310を含むIPA311が粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。
IPAやエチレングリコール、プロピレングリコール、…、またはそれらの混合物、あるいは、他の有機物からなる液体、または水などの液体は、棒状構造発光素子310の配列工程のためには粘性が低いほど望ましく、また加熱により蒸発しやすい方が望ましい。
次に、金属電極301,302間に電位差を与える。この第12実施形態では、1Vの電位差とするのが適当であった。金属電極301,302の電位差は、0.1〜10Vを印加することができるが、0.1V以下では棒状構造発光素子310の配列が悪くなり、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始める。したがって、1〜5Vが好ましく、更には1V程度とするのが好ましい。
図28は上記棒状構造発光素子310が金属電極301,302上に配列する原理を示している。図28に示すように、金属電極301に電位VLを印加し、金属電極302に電位VR(VL<VR)を印加すると、金属電極301には負電荷が誘起され、金属電極302には正電荷が誘起される。そこに棒状構造発光素子310が接近すると、棒状構造発光素子310において、金属電極301に近い側に正電荷が誘起され、金属電極302に近い側に負電荷が誘起される。この棒状構造発光素子310に電荷が誘起されるのは静電誘導による。すなわち、電界中に置かれた棒状構造発光素子310は、内部の電界が0となるまで表面に電荷が誘起されることによる。その結果、各電極と棒状構造発光素子310との間に静電力により引力が働き、棒状構造発光素子310は、金属電極301,302間に生じる電気力線に沿うと共に、各棒状構造発光素子310に誘起された電荷がほぼ等しいので、電荷による反発力により、ほぼ等間隔に一定方向に規則正しく配列する。しかしながら、例えば、第1実施形態の図1に示す棒状構造発光素子では、半導体層12に覆われた半導体コア11の露出部分11a側の向きは一定にならず、ランダムになる(他の実施形態の棒状構造発光素子でも同様)。
以上のように、棒状構造発光素子310が金属電極301,302間に発生した外部電場により、棒状構造発光素子310に電荷を発生させ、電荷の引力により金属電極301,302に棒状構造発光素子310を吸着させるので、棒状構造発光素子310の大きさは、液体中で移動可能な大きさであることが必要である。したがって、棒状構造発光素子310の大きさは、液体の塗布量(厚さ)により変化する。液体の塗布量が少ない場合は、棒状構造発光素子310はナノオーダーサイズでなければならないが、液体の塗布量が多い場合は、マイクロオーダーサイズであってもかまわない。
棒状構造発光素子310が電気的に中性ではなく、正または負に帯電している場合は、金属電極301,302間に静的な電位差(DC)を与えるだけでは、棒状構造発光素子310を安定して配列することができない。例えば、棒状構造発光素子310が正味として正に帯電した場合は、正電荷が誘起されている金属電極302との引力が相対的に弱くなる。そのため、棒状構造発光素子310の配列が非対象になる。
そのような場合は、図29に示すように、金属電極301,302間にAC電圧を印加することが好ましい。図29においては、金属電極302に基準電位を、金属電極301には振幅VPPL/2のAC電圧を印加している。こうすることにより、棒状構造発光素子310が帯電している場合でも、配列を対象に保つことができる。なお、この場合の金属電極302に与える交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzとするのが好ましく、50Hz〜1kHzとするのが最も配列が安定し、より好ましい。さらに、金属電極301,302間に印加するAC電圧は、正弦波に限らず、矩形波、三角波、ノコギリ波など、周期的に変動するものであればよい。なお、VPPLは1V程度とするのが好ましかった。
次に、金属電極301,302上に、棒状構造発光素子310を配列させた後、絶縁性基板300を加熱することにより、液体を蒸発させて乾燥させ、棒状構造発光素子310を金属電極301,302間の電気力線に沿って等間隔に配列させて固着させる。
図30は上記棒状構造発光素子310を配列した絶縁性基板300の平面図を示している。この棒状構造発光素子310を配列した絶縁性基板300を、液晶表示装置などのバックライトに用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力なバックライトを実現することができる。また、この棒状構造発光素子310を配列した絶縁性基板300を照明装置として用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な照明装置を実現することができる。
また、図31は上記棒状構造発光素子310を配列した絶縁性基板を用いた表示装置の平面図を示している。図31に示すように、表示装置400は、絶縁性基板410上に、表示部401、論理回路部402、論理回路部403、論理回路部404および論理回路部405を備える構成となっている。上記表示部401には、マトリックス状に配置された画素に棒状構造発光素子310を配列している。
図32は上記表示装置400の表示部401の要部の回路図を示しており、上記表示装置400の表示部401は、図32に示すように、互いに交差する複数の走査信号線GL(図32では1本のみを示す)と複数のデータ信号線SL(図32では1本のみを示す)とを備えており、隣接する2本の走査信号線GLと隣接する2本のデータ信号線SLとで包囲された部分に、画素がマトリクス状に配置されている。この画素は、ゲートが走査信号線GLに接続され、ソースがデータ信号線SLに接続されたスイッチング素子Q1と、そのスイッチング素子Q1のドレインにゲートが接続されたスイッチング素子Q2と、上記スイッチング素子Q2のゲートに一端が接続された画素容量Cと、上記スイッチング素子Q2により駆動される複数の発光ダイオードD1〜Dn(棒状構造発光素子310)とを有している。
上記棒状構造発光素子310のpnの極性は、一方に揃っておらず、ランダムに配列されている。このため、駆動時は交流電圧により駆動されて、異なる極性の棒状構造発光素子310が交互に発光することになる。
また、上記表示装置によれば、上記棒状構造発光素子を用いることによって、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な表示装置を実現することができる。
また、上記発光装置、バックライト、照明装置および表示装置の製造方法によれば、独立した電位が夫々与えられる2つの金属電極301,302を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板300を作成し、その絶縁性基板300上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの棒状構造発光素子310を含んだ液体を塗布する。その後、2つの金属電極301,302に独立した電圧を夫々印加して、微細な棒状構造発光素子310を2つの金属電極301,302により規定される位置に配列させる。これにより、上記棒状構造発光素子310を所定の絶縁性基板300上に容易に配列させることができる。
また、上記発光装置、バックライト、照明装置および表示装置の製造方法では、使用する半導体の量を少なくできると共に、薄型化と軽量化が可能な発光装置、バックライト、照明装置および表示装置を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子310は、半導体層で覆われた半導体コアの側面全体から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な発光装置、バックライト、照明装置および表示装置を実現することができる。
また、上記第1〜第12実施形態では、半導体コアとキャップ層および半導体層に、GaNを母材とする半導体を用いたが、GaAs,AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInPなどを母材とする半導体を用いた発光素子にこの発明を適用してもよい。また、半導体コアをn型とし、半導体層をp型としたが、導電型が逆の棒状構造発光素子にこの発明を適用してもよい。また、円形または六角形の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子について説明したが、これに限らず、断面が楕円の棒状であってもよいし、断面が三角形などの他の多角形状の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子にこの発明を適用してもよい。
また、上記第1〜第12実施形態では、棒状構造発光素子の直径を1μmとし長さを10μm〜30μmのマイクロオーダーサイズとしたが、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子でもよい。上記棒状構造発光素子の半導体コアの直径は500nm以上かつ100μm以下が好ましく、数10nm〜数100nmの棒状構造発光素子に比べて半導体コアの直径のばらつきを抑えることができ、発光面積すなわち発光特性のばらつきを低減でき、歩留まりを向上できる。
また、上記第1〜第12実施形態では、MOCVD装置を用いて半導体コアやキャップ層を結晶成長させているが、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いて半導体コアやキャップ層を形成してもよい。また、成長穴を有するマスクを用いて半導体コアを基板上に結晶成長させたが、基板上に金属種を配置して、金属種から半導体コアを結晶成長させてもよい。
また、上記第12実施形態では、絶縁性基板300の表面に形成された2つの金属電極301,302に電位差を与えて、金属電極301,302間に棒状構造発光素子300を配列させたが、これに限らず、絶縁性基板の表面に形成された2つの電極間に、第3の電極を形成し、3つの電極に独立した電圧を夫々印加して、棒状構造発光素子を電極により規定される位置に配列させてもよい。
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。