JP5014477B2 - 棒状構造発光素子の製造方法および表示装置の製造方法 - Google Patents

棒状構造発光素子の製造方法および表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、棒状構造発光素子の製造方法および表示装置の製造方法に関する。
従来、棒状構造発光素子の製造方法としては、基板上部に平坦な第1極性層を形成した後、第1極性層上に発光する活性層に相当するナノスケールの複数のロッドを形成し、さらにロッドを包む第2極性層を形成するものがある(例えば、特開2006−332650号公報(特許文献1)参照)。この棒状構造発光素子は、活性層である複数のロッドから光が放出される。
しかしながら、上記棒状構造発光素子は、ナノスケールの複数のロッドが設けられた基板ごと用いられるので、照明装置や表示装置に組み込む場合に基板の制約を受けるため、装置への実装の自由度が低いという問題がある。
特開2006−332650号公報
そこで、この発明の課題は、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子の製造方法およびその棒状構造発光素子を備えた表示装置の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の棒状構造発光素子の製造方法は、
基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成する半導体コア形成工程と、
上記半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成する半導体層形成工程と、
上記半導体層形成工程において形成された上記筒状の第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアを、上記基板から切り離す切り離し工程と、
上記半導体層形成工程の後かつ上記切り離し工程の前に、または、上記切り離し工程の後に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる露出工程と
を有すると共に、
上記露出工程は、上記切り離し工程により上記基板から切り離された上記第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアが、絶縁性基板上の予め設定された位置に配列された状態で、上記第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアの長手方向の一部分における上記半導体コアの外周面の少なくとも一部を露出させることを特徴とする。
上記構成によれば、基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成した後、半導体コアの表面を覆うように筒状の第2導電型の半導体層を形成する。ここで、半導体コアの基板と反対側の端面は半導体層に覆われていてもよいし、露出していてもよい。次に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させた後、露出部分を含む半導体コアを、例えば超音波により基板を振動させたり切断工具を用いたりして基板から切り離す。または、半導体層を有する半導体コアを、例えば超音波により基板を振動させたり切断工具を用いたりして基板から切り離した後、半導体コアの外周面の一部を露出させる。このようにして基板から切り離なされた棒状構造発光素子は、半導体コアの露出部分に一方の電極を接続し、半導体層に他方の電極を接続して、半導体コアの外周面と半導体層の内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きるように電極間に電流を流すことにより、pn接合部から光が放出される。このようにして、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子を製造できる。ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子である。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
また、切り離し工程により基板から切り離された第2導電型の半導体層を有する半導体コアが、絶縁性基板上の予め設定された位置に配列された状態で、所望の場所の第2導電型の半導体層を除去して、半導体コアの長手方向の一部分における半導体コアの外周面の少なくとも一部を露出させることができるので、複数の棒状構造発光素子の極性を揃えて配列する必要がなく、製造時に複数の棒状構造発光素子の極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、棒状構造発光素子の極性(向き)を識別するために、棒状構造発光素子にマークを設ける必要がなく、極性識別のために棒状構造発光素子を特別な形状にする必要がなくなる。したがって、棒状構造発光素子の製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。
また、この発明の棒状構造発光素子の製造方法では、
基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成する半導体コア形成工程と、
上記半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成する半導体層形成工程と、
上記半導体層形成工程において形成された上記筒状の第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアを、上記基板から切り離す切り離し工程と、
上記半導体層形成工程の後かつ上記切り離し工程の前に、または、上記切り離し工程の後に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる露出工程と
を有すると共に、
上記半導体層形成工程において、上記第2導電型の半導体層の形成を阻害する物質により上記半導体コアの外周面の一部を覆った状態で、上記半導体コアの表面を覆う筒状の上記第2導電型の半導体層を形成し、
上記露出工程において、上記第2導電型の半導体層の形成を阻害する物質を除去することにより、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる。
上記構成によれば、基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成した後、半導体コアの表面を覆うように筒状の第2導電型の半導体層を形成する。ここで、半導体コアの基板と反対側の端面は半導体層に覆われていてもよいし、露出していてもよい。次に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させた後、露出部分を含む半導体コアを、例えば超音波により基板を振動させたり切断工具を用いたりして基板から切り離す。または、半導体層を有する半導体コアを、例えば超音波により基板を振動させたり切断工具を用いたりして基板から切り離した後、半導体コアの外周面の一部を露出させる。このようにして基板から切り離なされた棒状構造発光素子は、半導体コアの露出部分に一方の電極を接続し、半導体層に他方の電極を接続して、半導体コアの外周面と半導体層の内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きるように電極間に電流を流すことにより、pn接合部から光が放出される。このようにして、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子を製造できる。ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子である。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
また、半導体層形成工程において、第2導電型の半導体層の形成を阻害する物質により半導体コアの外周面の一部を覆った状態で、半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成し、その半導体層形成工程の後かつ切り離し工程の前に、露出工程において、第2導電型の半導体層の形成を阻害する物質を除去することにより、半導体コアの外周面の一部を露出させる。または、半導体層形成工程において半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成し、切り離し工程において筒状の第2導電型の半導体層を有する半導体コアを基板から切り離した後、露出工程において、第2導電型の半導体層の形成を阻害する物質を除去することにより、半導体コアの外周面の一部を露出させる。このように、半導体層形成工程において半導体層の形成を阻害する物質で、露出させたい箇所である半導体コアの外周面の一部を覆って半導体層形成工程後に上記物質を除去することにより、半導体コアの外周面の一部を容易に露出させることができる。
また、この発明の棒状構造発光素子の製造方法では、
基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成する半導体コア形成工程と、
上記半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成する半導体層形成工程と、
上記半導体層形成工程において形成された上記筒状の第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアを、上記基板から切り離す切り離し工程と、
上記半導体層形成工程の後かつ上記切り離し工程の前に、または、上記切り離し工程の後に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる露出工程と
を有すると共に、
上記基板は、上記第1導電型の半導体からなり、
上記露出工程は、上記半導体層形成工程の後かつ上記切り離し工程の前に、上記第2導電型の半導体層のうちの上記半導体コアの表面を覆う部分を除く領域およびその領域に対応する上記基板の上側領域の厚さ方向の一部をエッチングにより除去することによって、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる。
上記構成によれば、基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成した後、半導体コアの表面を覆うように筒状の第2導電型の半導体層を形成する。ここで、半導体コアの基板と反対側の端面は半導体層に覆われていてもよいし、露出していてもよい。次に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させた後、露出部分を含む半導体コアを、例えば超音波により基板を振動させたり切断工具を用いたりして基板から切り離す。または、半導体層を有する半導体コアを、例えば超音波により基板を振動させたり切断工具を用いたりして基板から切り離した後、半導体コアの外周面の一部を露出させる。このようにして基板から切り離なされた棒状構造発光素子は、半導体コアの露出部分に一方の電極を接続し、半導体層に他方の電極を接続して、半導体コアの外周面と半導体層の内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きるように電極間に電流を流すことにより、pn接合部から光が放出される。このようにして、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子を製造できる。ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子である。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
また、半導体層形成工程の後かつ切り離し工程の前に、第2導電型の半導体層のうちの半導体コアの表面を覆う部分を除く領域およびその領域に対応する基板の上側領域の厚さ方向の一部をエッチングにより除去することによって、半導体コアが基板側に延長されて半導体コアの外周面の一部が露出するので、半導体層の外周面と半導体コアの外周面の露出部分との間に段差がないようにできる。これにより、切り離し後の微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して軸方向が平行になるように実装するとき、半導体コアの露出部分と電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記露出工程において、上記半導体コアの上記基板側の外周面を露出させると共に、
上記半導体層形成工程において、上記半導体コアの上記基板と反対の側の端面を上記半導体層により覆う。
上記実施形態によれば、上記露出工程において半導体コアの基板側の外周面を露出させると共に、上記半導体層形成工程において半導体コアの基板と反対の側の端面を半導体層により覆うことによって、半導体コアの基板側の露出部分を一方の電極に接続し、半導体コアの基板と反対の側の端面が半導体層に覆われていることにより、半導体コアの基板と反対の側を覆う半導体層の部分に他方の電極を接続することができる。これにより、微細な棒状構造発光素子の両端に電極を容易に接続することが可能となる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記切り離し工程において、超音波を用いて上記半導体層に覆われた上記半導体コアを上記基板から切り離す。
上記実施形態によれば、上記切り離し工程において、超音波を用いて半導体層に覆われた半導体コアを基板から切り離す。例えば、超音波を用いて基板平面に沿って基板を振動させることにより、基板上に立設する半導体コアの基板側に近い根元を折り曲げるように応力が働いて、半導体層に覆われた半導体コアが基板から切り離される。したがって、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を容易に切り離すことができる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記切り離し工程において、切断工具を用いて上記半導体コアを上記基板から機械的に切り離す。
上記実施形態によれば、上記切り離し工程において、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に切り離すことによって、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記半導体コアと上記半導体層は、GaNを母材とする半導体からなり、
上記露出工程においてドライエッチングを用いる。
上記実施形態によれば、上記露出工程においてドライエッチングを用いることによって、GaNを母材とする半導体からなる半導体コアの外周面の一部を容易に露出させることができる。GaNを母材とする半導体は、ウェットエッチングが困難なため、半導体コアと半導体層がGaNを母材とする半導体からなる場合、切り離し工程の前に予めドライエッチングにより半導体コアの外周面の一部を露出させることは、実装が容易な微細な棒状構造発光素子を実現する上で特に有効である。また、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる露出工程なしに半導体層で覆われた半導体コアを基板から切り離して微細な棒状構造発光素子を製造した場合も、この微細な棒状構造発光素子を絶縁性基板上に配列させた後にドライエッチングを用いて半導体コアの外周面の一部を電極接続用に容易に露出させることができる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記露出工程において、上記半導体層の外周面と段差なく連続するように上記半導体コアの外周面を露出させる。
上記実施形態によれば、上記露出工程において、半導体層の外周面と段差なく連続するように半導体コアの外周面を露出させることによって、切り離し後の微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して軸方向が平行になるように実装するとき、半導体層の外周面と半導体コアの外周面の露出部分との間に段差がないので、半導体コアの露出部分と電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記露出工程において、上記半導体コアの上記半導体層に覆われた領域の外周面と上記半導体コアの露出領域の外周面とが連続している。
上記実施形態によれば、上記露出工程において、半導体コアの半導体層に覆われた領域の外周面と半導体コアの露出領域の外周面とが連続するようにして、半導体コアの露出領域が細くなっているので、上記切り離し工程において半導体コアの露出領域の基板側で折れやすくなり、切り離しが容易になる。
また、この発明の表示装置の製造方法では、
上記のいずれか1つの棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子を備えた表示装置の製造方法であって、
独立した電位が夫々与えられる少なくとも2つの電極を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板を作成する基板作成工程と、
上記絶縁性基板上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの上記棒状構造発光素子を含んだ液体を塗布する塗布工程と、
上記少なくとも2つの電極に上記独立した電圧を夫々印加して、上記棒状構造発光素子を上記少なくとも2つの電極により規定される位置に配列させる配列工程と
を有することを特徴とする。
上記構成によれば、独立した電位が夫々与えられる少なくとも2つの電極を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板を作成し、その絶縁性基板上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの上記棒状構造発光素子を含んだ液体を塗布する。その後、少なくとも上記2つの電極に独立した電圧を夫々印加して、微細な棒状構造発光素子を少なくとも2つの電極により規定される位置に配列させる。これにより、上記棒状構造発光素子を所定の基板上に容易に配列させることができる。
また、上記表示装置の製造方法では、微細な棒状構造発光素子のみを用いることによって、使用する半導体の量を少なくできると共に、薄型化と軽量化が可能な表示装置を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子は、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な表示装置を実現することができる。
以上より明らかなように、この発明の棒状構造発光素子の製造方法によれば、装置への実装の自由度が高い棒状構造発光素子を製造することができる。
また、この発明の表示装置の製造方法によれば、上記棒状構造発光素子を所定の基板上に容易に配列させることができる表示装置の製造方法を実現することができる。
図1Aはこの発明の第1実施形態の棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図1Bは図1Aに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図1Cは図1Bに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図1Dは図1Cに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図1Eは図1Dに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図2Aはこの発明の第2実施形態の棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図2Bは図2Aに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図2Cは図2Bに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図2Dは図2Cに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図2Eは図2Dに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図3Aはこの発明の第3実施形態の棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図3Bは図3Aに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図3Cは図3Bに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図3Dは図3Cに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図4Aはこの発明の第4実施形態の棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図4Bは図4Aに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図4Cは図4Bに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図4Dは図4Cに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図5はこの発明の第5実施形態の表示装置の製造方法の絶縁性基板の平面図である。 図6は図5のF6−F6線から見た断面模式図である。 図7は上記棒状構造発光素子を配列する原理を説明する図である。 図8は上記棒状構造発光素子を配列するときに電極に与える電位を説明する図である。 図9は上記絶縁性基板上に棒状構造発光素子を配列した状態を示す平面図である。 図10は上記表示装置の平面図である。 図11は上記表示装置の表示部の要部の回路図である。 図12はこの発明の第6実施形態の棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図13は図12に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図14は図13に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図15は図14に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図16は図15に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図17は図16に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図18は図17に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図19は図18に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図20は図19に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図21は図20に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図22は図21に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図23は図22に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図24は図23に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図25は図24に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図26は図25に続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。 図27Aは図26に示す棒状構造発光素子を用いた表示装置の製造方法の工程を示す平面図である。 図27Bは図27AのF27B−F27B線から見た表示装置の断面図である。 図27Cは図27AのF27C−F27C線から見た表示装置の断面図である。 図27Dは図27AのF27D−F27D線から見た表示装置の断面図である。 図28Aは図27A〜図27Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図である。 図28Bは図28AのF28B−F28B線から見た表示装置の断面図である。 図28Cは図28AのF28C−F28C線から見た表示装置の断面図である。 図28Dは図28AのF28D−F28D線から見た表示装置の断面図である。 図29Aは図28A〜図28Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図である。 図29Bは図29AのF29B−F29B線から見た表示装置の断面図である。 図29Cは図29AのF29C−F29C線から見た表示装置の断面図である。 図29Dは図29AのF29D−F29D線から見た表示装置の断面図である。 図30Aは図29A〜図29Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図である。 図30Bは図30AのF30B−F30B線から見た表示装置の断面図である。 図30Cは図30AのF30C−F30C線から見た表示装置の断面図である。 図30Dは図30AのF30D−F30D線から見た表示装置の断面図である。 図31Aは図30A〜図30Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図である。 図31Bは図31AのF31B−F31B線から見た表示装置の断面図である。 図31Cは図31AのF31C−F31C線から見た表示装置の断面図である。 図31Dは図31AのF31D−F31D線から見た表示装置の断面図である。 図32Aは図31A〜図31Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図である。 図32Bは図32AのF32B−F32B線から見た表示装置の断面図である。 図32Cは図32AのF32C−F32C線から見た表示装置の断面図である。 図32Dは図32AのF32D−F32D線から見た表示装置の断面図である。 図33Aは図32A〜図32Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図である。 図33Bは図33AのF33B−F33B線から見た表示装置の断面図である。 図33Cは図33AのF33C−F33C線から見た表示装置の断面図である。 図33Dは図33AのF33D−F33D線から見た表示装置の断面図である。 図34Aは図33A〜図33Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図である。 図34Bは図34AのF34B−F34B線から見た表示装置の断面図である。 図34Cは図34AのF34C−F34C線から見た表示装置の断面図である。 図34Dは図34AのF34D−F34D線から見た表示装置の断面図である。
以下、この発明の棒状構造発光素子の製造方法および表示装置の製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、この実施の形態では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としてもよい。
〔第1実施形態〕
図1A〜図1Eはこの発明の第1実施形態の棒状構造発光素子の製造方法を示す工程図である。この実施形態では、Siをドープしたn型GaNとMgをドープしたp型GaNとを用いるが、GaNにドーピングする不純物はこれに限らない。
まず、図1Aに示すように、n型GaNからなる基板11上に、成長穴12aを有するマスク12を形成する。マスク12は、半導体層14の形成を阻害する物質からなり、露出させたい箇所である半導体コア13の外周面の一部を覆って半導体層形成工程後にマスク12を除去することにより、半導体コア13の外周面の一部を容易に露出させることができる。ここで、半導体層14の形成を阻害する物質として、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si34)など半導体コアおよび半導体層に対して選択的にエッチング可能な材料を用いたが、半導体層の形成を阻害する物質はこれに限らず、半導体層の組成などに応じて適宜選択すればよい。成長穴の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。この際、成長する半導体コアの径は上記マスクの成長穴のサイズに依存する。
次に、図1Bに示すように、半導体コア形成工程において、マスク12の成長穴12aにより露出した基板11上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア13を形成する。成長温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH4)を、さらにキャリアガスとして水素(H2)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNの半導体コアを成長させることができる。ここで、n型GaNは、六方晶系の結晶成長となり、基板11表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、六角柱形状の半導体コアが得られる。
次に、図1Cに示すように、半導体層形成工程において、棒状の半導体コア13を覆うように基板11全面にp型GaNからなる半導体層14を形成する。形成温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
次に、図1Dに示すように、露出工程において、リフトオフにより半導体コア13を覆う半導体層14の部分を除く領域とマスク12を除去して、棒状の半導体コア13の基板11側に基板側の外周面を露出させて露出部分13aを形成する。この状態で、上記半導体コア13の基板11と反対の側の端面は、半導体層14aにより覆われている。マスクに酸化シリコン(SiO2)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずにマスクをエッチングすることができ、マスクとともに半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域をリフトオフにより除去することができる。この実施形態の露出工程では、リフトオフを用いたがエッチングにより半導体コアの一部を露出させてもよい。ドライエッチングの場合、CF4やXeF2を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずにマスクをエッチングすることができ、マスクとともに半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域を除去することができる。
次に、切り離し工程において、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板11を基板平面に沿って振動させることにより、基板11上に立設する半導体コア13の基板11側に近い根元を折り曲げるように、半導体層14aに覆われた半導体コア13に対して応力が働いて、図1Eに示すように、半導体層14aに覆われた半導体コア13が基板11から切り離される。
こうして、基板11から切り離なされた微細な棒状構造発光素子10を製造することができる。この第1実施形態では、棒状構造発光素子10の直径を1μm、長さを10μmとしている。
この棒状構造発光素子10は、半導体コア13の露出部分13aに一方の電極を接続し、半導体層14aに他方の電極を接続して、p型の半導体層14aからn型の半導体コア13に電流を流すことにより、n型の半導体コア13の外周面とp型の半導体層14aの内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きて光が放出される。上記半導体層14aで覆われた半導体コア13の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、高い発光効率が得られる。
上記構成の棒状構造発光素子の製造方法によれば、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子10を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子は、基板から切り離された微細構造物として用いるので、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層14aで覆われた半導体コア13の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
また、上記半導体コア13の外周面の一部を露出させる露出工程において、半導体コア13の基板11側の外周面を露出させると共に、半導体層形成工程において半導体コア13の基板11と反対の側の端面を半導体層14により覆うことによって、半導体コア13の基板11側の露出部分13aをn側電極に接続し、半導体コア13の基板11と反対の側の端面が半導体層14aに覆われていることにより、半導体コア13の基板11と反対の側を覆う半導体層14aの部分にp側電極を接続することができる。これにより、微細な棒状構造発光素子の両端に電極を容易に接続することが可能となる。
また、上記切り離し工程において、超音波を用いて基板11平面に沿って基板11を振動させることにより、基板11上に立設する半導体コア13の基板11側に近い根元を折り曲げるように、半導体層14aに覆われた半導体コア13に対して応力が働いて、半導体層14aに覆われた半導体コア13が基板11から切り離される。したがって、簡単な方法で基板11上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を容易に切り離すことができる。
なお、上記切り離し工程において、切断工具を用いて半導体コア13を基板11から機械的に切り離してもよい。切断工具を用いて、基板11上に立設する半導体コア13の基板11側に近い根元を折り曲げるようにし、半導体層14aに覆われた半導体コア13に対して応力が働いて、半導体層14aに覆われた半導体コア13が基板11から切り離される。この場合、簡単な方法で基板11上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
また、上記露出工程においてドライエッチングを用いてもよく、GaNを母材とする半導体からなる半導体コア13の外周面の一部を容易に露出させることができる。GaNを母材とする半導体は、ウェットエッチングが困難なため、半導体コア13と半導体層14aがGaNを母材とする半導体からなる場合、切り離し工程の前に予めドライエッチングにより半導体コア13の外周面の一部を露出させることは、実装が容易な微細な棒状構造発光素子を実現する上で特に有効である。また、上記半導体コア13の外周面の一部を露出させる露出工程なしに半導体層14aで覆われた半導体コア13を基板11から切り離して微細な棒状構造発光素子を製造した場合、この微細な棒状構造発光素子を絶縁性基板11上に配列させた後にドライエッチングを用いて半導体コア13の外周面の一部を電極接続用に容易に露出させることができる。
また、上記露出工程において、半導体コア13の半導体層14aに覆われた領域の外周面と半導体コア13の露出領域の外周面とが連続するようにして、半導体コア13の露出領域が細くなっているので、上記切り離し工程において半導体コア13の露出領域の基板11側で折れやすくなり、切り離しが容易になる。
さらに、上記棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子は、半導体層14aが半導体コア13の外周面から半径方向外向に結晶成長し、径方向の成長距離が短くかつ欠陥が外向に逃げるため、結晶欠陥の少ない半導体層14aにより半導体コア13を覆うことができる。したがって、特性の良好な棒状構造発光素子を実現することができる。
〔第2実施形態〕
図2A〜図2Eはこの発明の第2実施形態の棒状構造発光素子の製造方法を示す工程図である。この第2実施形態の棒状構造発光素子は、量子井戸層を除いて第1実施形態の棒状構造発光素子と同一の構成をしている。
まず、図2Aに示すように、n型GaNからなる基板21上に、成長穴22aを有するマスク22を形成する。マスクには、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si34)など半導体コアおよび半導体層に対して選択的にエッチング可能な材料を用いることができる。成長穴の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。この際、成長する半導体コアの径は上記マスクの成長穴のサイズに依存する。
次に、図2Bに示すように、半導体コア形成工程において、マスク22の成長穴22aにより露出した基板21上に、MOCVD装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア23を形成する。成長温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH4)を、さらにキャリアガスとして水素(H2)を供給することによってSiを不純物としたn型GaNの半導体コアを成長させることができる。ここで、n型GaNは、六方晶系の結晶成長となり、基板21表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、六角柱形状の棒状の半導体コアが得られる。
次に、図2Cに示すように、量子井戸層,半導体層形成工程において、棒状の半導体コア23を覆うように基板21全面にp型InGaNからなる量子井戸層24を形成し、さらに基板21全面に半導体層25を形成する。MOCVD装置内で前述のようにn型GaNの半導体コアを成長させた後、発光波長に応じて設定温度を600℃から800℃に変更し、キャリアガスに窒素(N2)、成長ガスにTMGおよびNH3、トリメチルインジウム(TMI)を供給することで、n型GaNの半導体コア21上にInGaN量子井戸層24を形成することができる。その後、さらに設定温度を960℃にし、前述のように、成長ガスとしてTMGおよびNH3を使用し、p型不純物供給用にCp2Mgを用いることによってp型GaNからなる半導体層25を形成することができる。なお、この量子井戸層は、InGaN層とp型GaN層の間に電子ブロック層としてp型AlGaN層を入れてもよい。また、GaNの障壁層とInGaNの量子井戸層を交互に積層した多重量子井戸構造であってもよい。
次に、図2Dに示すように、露出工程において、リフトオフにより量子井戸層24,半導体層25の半導体コア23を覆う部分を除く領域とマスク22を除去して、棒状の半導体コア23の基板21側に基板側の外周面を露出させて露出部分23aを形成する。この状態で、上記半導体コア23の基板21と反対の側の端面は、量子井戸層24aと半導体層25aにより覆われている。マスクに酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si34)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずにマスクをエッチングすることができ、マスクとともに半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域をリフトオフにより除去することができる。この実施形態の露出工程では、リフトオフを用いたがエッチングにより半導体コアの一部を露出させてもよい。ドライエッチングの場合、CF4やXeF2を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずにマスクをエッチングすることができ、マスクとともに半導体コアを覆う半導体層の部分を除く領域を除去することができる。
次に、切り離し工程において、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板21を基板平面に沿って振動させることにより、基板21上に立設する半導体コア23の基板21側に近い根元を折り曲げるように、量子井戸層24と半導体層25aに覆われた半導体コア23に対して応力が働いて、図2Eに示すように、量子井戸層24と半導体層25aに覆われた半導体コア23が基板21から切り離される。
こうして、基板21から切り離なされた微細な棒状構造発光素子20を製造することができる。この第2実施形態では、棒状構造発光素子20の直径を1μm、長さを10μmとしている。
この棒状構造発光素子20は、半導体コア23の露出部分23aにn側電極を接続し、半導体層25aにp側電極を接続して、p型の半導体層25aからn型の半導体コア23に電流を流すことにより、量子井戸層24aで電子と正孔の再結合が起きて光が放出される。上記半導体層25aで覆われた半導体コア23の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、高い発光効率が得られる。
上記構成の棒状構造発光素子の製造方法によれば、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子20を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体コア23の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
上記第2実施形態の棒状構造発光素子の製造方法は、第1実施形態の棒状構造発光素子の製造方法と同様の効果を有する。
また、n型の半導体コア23とp型の半導体層25aとの間に形成された量子井戸層24aで電子と正孔の再結合が起きて光が放出されることにより、量子井戸層24aの量子閉じ込め効果により第1実施形態よりもさらに発光効率を高くできる。
〔第3実施形態〕
図3A〜図3Dはこの発明の第3実施形態の棒状構造発光素子の製造方法を示す工程図である。この第3実施形態の棒状構造発光素子は、半導体コアの露出部分を除いて第1実施形態の棒状構造発光素子と同一の構成をしている。
まず、図3Aに示すように、半導体コア形成工程において、n型GaN基板31上に、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア33を形成する。この半導体コア33の形成工程は、第1実施形態と同様に行って、マスクを削除する。
次に、図3Bに示すように、半導体層形成工程において、棒状の半導体コア33を覆うように基板31全面にp型GaNからなる半導体層34を形成する。
次に、図3Cに示すように、露出工程において、ドライエッチングにより半導体コア33を覆う半導体層34の部分を除く領域を除去して、棒状の半導体コア33の基板31側の外周面を露出させて露出部分33aを形成する。この場合、ドライエッチングのRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)にSiCl4を用いることにより、容易にGaNに異方性を持ってエッチングすることができる。この状態では、ドライエッチングにより半導体コア33の基板31と反対の側の端面が露出している。
ここで、半導体層34aの外周面と半導体コア33の露出部分33aの外周面とが段差なく連続している。これにより、切り離し後の微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して軸方向が平行になるように実装するとき、半導体層34aの外周面と半導体コア33の露出部分33aの外周面との間に段差がないので、半導体コア33の露出部分33aと電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
次に、切り離し工程において、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板31を基板平面に沿って振動させることにより、基板31上に立設する半導体コア33の基板31側に近い根元を折り曲げるように、半導体層34aに覆われた半導体コア33に対して応力が働いて、図3Dに示すように、半導体層34aに覆われた半導体コア33が基板31から切り離される。
こうして、基板31から切り離なされた微細な棒状構造発光素子30を製造することができる。この第3実施形態では、棒状構造発光素子30の直径を1μm、長さを10μmとしている。
この棒状構造発光素子30は、半導体コア33の露出部分33aにn側電極を接続し、半導体層34aにp側電極を接続して、p型の半導体層34aからn型の半導体コア33に電流を流すことにより、n型の半導体コア33の外周面とp型の半導体層34aの内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きて光が放出される。上記半導体層34aで覆われた半導体コア33の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、高い発光効率が得られる。
上記構成の棒状構造発光素子の製造方法によれば、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子30を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
上記第3実施形態の棒状構造発光素子の製造方法は、第1実施形態の棒状構造発光素子の製造方法と同様の効果を有する。
また、図3Cに示すように、半導体層形成工程の後かつ切り離し工程の前に、半導体層34のうちの半導体コア33の表面を覆う部分を除く領域およびその領域に対応するn型GaN基板31の上側領域の厚さ方向の一部をエッチングにより除去することによって、半導体コア33の外周面の一部を露出させるので、半導体層34aの外周面と半導体コア33の外周面の露出部分33aとの間に段差がないようにできる。これにより、切り離し後の微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して軸方向が平行になるように実装するとき、半導体コア33の露出部分33aと電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
〔第4実施形態〕
図4A〜図4Dはこの発明の第4実施形態の棒状構造発光素子の製造方法を示す工程図である。この第4実施形態の棒状構造発光素子は、半導体コアの露出部分を除いて第2実施形態の棒状構造発光素子と同一の構成をしている。
まず、図4Aに示すように、半導体コア形成工程において、n型GaN基板41上に、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア43を形成する。この半導体コア43の形成工程は、第1実施形態と同様に行って、マスクを削除する。
次に、図4Bに示すように、量子井戸層,半導体層形成工程において、棒状の半導体コア43を覆うように基板41全面にp型InGaNからなる量子井戸層44を形成し、さらに基板41全面に半導体層45を形成する。なお、この量子井戸層は、障壁層と量子井戸層を積層した多重量子井戸構造であってもよい。
次に、図4Cに示すように、露出工程において、ドライエッチングにより量子井戸層44,半導体層45の半導体コア43を覆う部分を除く領域を除去して、棒状の半導体コア43の基板41側に基板41側の外周面を露出させて露出部分43aを形成する。この場合、ドライエッチングのRIEにSiCl4を用いることにより、容易にGaNに異方性を持ってエッチングすることができる。この状態では、ドライエッチングにより半導体コア43の基板41と反対の側の端面が露出している。
ここで、半導体層45aの外周面と半導体コア43の露出部分43aの外周面とが段差なく連続している(量子井戸層44aの外周面の露出部分と半導体コア43の露出部分43aの外周面とも段差がない)。これにより、切り離し後の微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して軸方向が平行になるように実装するとき、半導体層45aの外周面と半導体コア43の露出部分43aの外周面との間に段差がないので、半導体コア43の露出部分43aと電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
次に、切り離し工程において、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板41を基板平面に沿って振動させることにより、基板41上に立設する半導体コア43の基板41側に近い根元を折り曲げるように、半導体層45aに覆われた半導体コア43に対して応力が働いて、図4Dに示すように、半導体層45aに覆われた半導体コア43が基板41から切り離される。
こうして、基板41から切り離なされた微細な棒状構造発光素子40を製造することができる。この第4実施形態では、棒状構造発光素子40の直径を1μm、長さを10μmとしている。
この棒状構造発光素子40は、半導体コア43の露出部分43aにn側電極を接続し、半導体層45aにp側電極を接続して、p型の半導体層45aからn型の半導体コア43に電流を流すことにより、量子井戸層44aで電子と正孔の再結合が起きて光が放出される。上記半導体層45aで覆われた半導体コア43の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、高い発光効率が得られる。
上記構成の棒状構造発光素子の製造方法によれば、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子40を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
上記第4実施形態の棒状構造発光素子の製造方法は、第1実施形態の棒状構造発光素子の製造方法と同様の効果を有する。
また、n型の半導体コア43とp型の半導体層45aとの間に形成された量子井戸層44aで電子と正孔の再結合が起きて光が放出されることにより、量子井戸層44aの量子閉じ込め効果により第3実施形態よりもさらに発光効率を高くできる。
また、図4Cに示すように、半導体層形成工程の後かつ切り離し工程の前に、量子井戸層44,半導体層45のうちの半導体コア43の表面を覆う部分を除く領域およびその領域に対応するn型GaN基板41の上側領域の厚さ方向の一部をエッチングにより除去することによって、半導体コア43の外周面の一部を露出させるので、半導体層44aの外周面と半導体コア43の外周面の露出部分43aとの間に段差がないようにできる。これにより、切り離し後の微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して軸方向が平行になるように実装するとき、半導体コア43の露出部分43aと電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
〔第5実施形態〕
次に、この発明の第5実施形態の表示装置の製造方法について説明する。この第5実施形態では、上記第1〜第4実施形態の棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子を絶縁性基板に配列する。この棒状構造発光素子の配列は、本出願人が特願2007−102848(特開2008−260073号公報)で出願した「微細構造体の配列方法及び微細構造体を配列した基板、並びに集積回路装置及び表示素子」の発明の技術を用いて行う。
図5はこの第5実施形態の表示装置の製造方法の絶縁性基板の平面図を示している。図5に示すように、絶縁性基板50の表面に、金属電極51,52を形成している。絶縁性基板50はガラス、セラミック、酸化アルミニウム、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。
上記金属電極51,52は、印刷技術を利用して所望の電極形状に形成している。なお、金属膜および感光体膜を一様に積層し、所望の電極パターンを露光し、エッチングして形成してもよい。
図5では省略されているが、金属電極51,52には外部から電位を与えられるように、パッドを形成している。この金属電極51,52が対向する部分(配列領域)に棒状構造発光素子を配列する。図5では、棒状構造発光素子を配列する配列領域が2×2個配列されているが、任意の個数を配列してよい。
図6は図5のF6−F6線から見た断面模式図である。
まず、図6に示すように、絶縁性基板50上に、棒状構造発光素子60を含んだイソプロピルアルコール(IPA)61を薄く塗布する。IPA61の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物でもよい。あるいは、IPA61は、他の有機物からなる液体、水などを用いることができる。
ただし、液体を通じて金属電極51,52間に大きな電流が流れてしまうと、金属電極51,52間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、金属電極51,52を覆うように、絶縁性基板50表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜をコーティングすればよい。
棒状構造発光素子60を含むIPA61を塗布する厚さは、次に棒状構造発光素子60を配列する工程で、棒状構造発光素子60が配列できるよう、液体中で棒状構造発光素子60が移動できる厚さである。したがって、IPA61を塗布する厚さは、棒状構造発光素子60の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは薄すぎると、棒状構造発光素子60が移動し難くなり、厚すぎると、液体を乾燥する時間が長くなる。また、IPAの量に対して、棒状構造発光素子60の量は、1×104本/cm3〜1×107本/cm3が好ましい。
棒状構造発光素子60を含むIPA61を塗布するために、棒状構造発光素子60を配列させる金属電極の外周囲に枠を形成し、その枠内に棒状構造発光素子60を含むIPA61を所望の厚さになるように充填してもよい。しかしながら、棒状構造発光素子60を含むIPA61が粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。
IPAやエチレングリコール、プロピレングリコール、…、またはそれらの混合物、あるいは、他の有機物からなる液体、または水などの液体は、棒状構造発光素子60の配列工程のためには粘性が低いほど望ましく、また加熱により蒸発しやすい方が望ましい。
次に、金属電極51,52間に電位差を与える。この第5実施形態では、1Vの電位差とするのが適当であった。金属電極51,52の電位差は、0.1〜10Vを印加することができるが、0.1V以下では棒状構造発光素子60の配列が悪くなり、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始める。したがって、1〜5Vが好ましく、更には1V程度とするのが好ましい。
図7は上記棒状構造発光素子60が金属電極51,52上に配列する原理を示している。図7に示すように、金属電極51に電位VLを印加し、金属電極52に電位VR(VL<VR)を印加すると、金属電極51には負電荷が誘起され、金属電極52には正電荷が誘起される。そこに棒状構造発光素子60が接近すると、棒状構造発光素子60において、金属電極51に近い側に正電荷が誘起され、金属電極52に近い側に負電荷が誘起される。この棒状構造発光素子60に電荷が誘起されるのは静電誘導による。すなわち、電界中に置かれた棒状構造発光素子60は、内部の電界が0となるまで表面に電荷が誘起されることによる。その結果、各電極と棒状構造発光素子60との間に静電力により引力が働き、棒状構造発光素子60は、金属電極51,52間に生じる電気力線に沿うと共に、各棒状構造発光素子60に誘起された電荷がほぼ等しいので、電荷による反発力により、ほぼ等間隔に一定方向に規則正しく配列する。しかしながら、例えば、第1実施形態の図1Eに示す棒状構造発光素子10では、半導体層14aに覆われた半導体コア13の露出部分13a側の向きは一定にならず、ランダムになる。
以上のように、この表示装置の製造方法によれば、棒状構造発光素子60が金属電極51,52間に発生した外部電場により、棒状構造発光素子60に電荷を発生させ、電荷の引力により金属電極51,52に棒状構造発光素子60を吸着させるので、棒状構造発光素子60の大きさは、液体中で移動可能な大きさであることが必要である。したがって、棒状構造発光素子60の大きさは、液体の塗布量(厚さ)により変化する。液体の塗布量が少ない場合は、棒状構造発光素子60はナノオーダーサイズでなければならないが、液体の塗布量が多い場合は、マイクロオーダーサイズであってもかまわない。
棒状構造発光素子60が電気的に中性ではなく、正または負に帯電している場合は、金属電極51,52間に静的な電位差(DC)を与えるだけでは、棒状構造発光素子60を安定して配列することができない。例えば、棒状構造発光素子60が正味として正に帯電した場合は、正電荷が誘起されている金属電極52との引力が相対的に弱くなる。そのため、棒状構造発光素子60の配列が非対象になる。
そのような場合は、図8に示すように、金属電極51,52間にAC電圧を印加することが好ましい。図8においては、金属電極51に基準電位を、金属電極52には振幅VPPL/2のAC電圧を印加している。こうすることにより、棒状構造発光素子60が帯電している場合でも、配列を対象に保つことができる。なお、この場合の金属電極52に与える交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzとするのが好ましく、50Hz〜1kHzとするのが最も配列が安定し、より好ましい。さらに、金属電極51,52間に印加するAC電圧は、正弦波に限らず、矩形波、三角波、ノコギリ波など、周期的に変動するものであればよい。なお、VPPLは1V程度とするのが好ましかった。
次に、金属電極51,52上に、棒状構造発光素子60を配列させた後、絶縁性基板50を加熱することにより、液体を蒸発させて乾燥させ、棒状構造発光素子60を金属電極51,52間の電気力線に沿って等間隔に配列させて固着させる。
図9は上記絶縁性基板50上に棒状構造発光素子60を配列した状態を示している。
また、図10は上記棒状構造発光素子60を配列した絶縁性基板を備えた表示装置の平面図を示している。図10に示すように、表示装置100は、絶縁性基板110上に、表示部101、論理回路部102、論理回路部103、論理回路部104および論理回路部105を備える構成となっている。上記表示部101には、マトリックス状に配置された画素に棒状構造発光素子60を配列している。
図11は上記表示装置100の表示部101の要部の回路図を示しており、上記表示装置100の表示部101は、図11に示すように、互いに交差する複数の走査信号線GL(図11では1本のみを示す)と複数のデータ信号線SL(図11では1本のみを示す)とを備えており、隣接する2本の走査信号線GLと隣接する2本のデータ信号線SLとで包囲された部分に、画素がマトリクス状に配置されている。この画素は、ゲートが走査信号線GLに接続され、ソースがデータ信号線SLに接続されたスイッチング素子Q1と、そのスイッチング素子Q1のドレインにゲートが接続されたスイッチング素子Q2と、上記スイッチング素子Q2のゲートに一端が接続された画素容量Cと、上記スイッチング素子Q2により駆動される複数の発光ダイオードD1〜Dn(棒状構造発光素子60)とを有している。
上記棒状構造発光素子60のpnの極性は、一方に揃っておらず、ランダムに配列されている。このため、駆動時は交流電圧により駆動されて、異なる極性の棒状構造発光素子60が交互に発光することになる。
また、上記表示装置の製造方法によれば、独立した電位が夫々与えられる2つの電極51,52を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板50を作成し、その絶縁性基板50上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの棒状構造発光素子60を含んだ液体を塗布する。その後、2つの電極51,52に独立した電圧を夫々印加して、微細な棒状構造発光素子60を2つの電極51,52により規定される位置に配列させる。これにより、上記棒状構造発光素子60を所定の絶縁性基板50上に容易に配列させることができる。
また、上記表示装置の製造方法では、使用する半導体の量を少なくできると共に、薄型化と軽量化が可能な表示装置を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子60は、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な表示装置を実現することができる。
〔第6実施形態〕
図12〜図34はこの発明の第6実施形態の棒状構造発光素子の製造方法を示す工程図である。この第6実施形態では、Siをドープしたn型GaNとMgをドープしたp型GaNとを用いるが、GaNにドーピングする不純物はこれに限らない。
まず、図12に示す基板111の表面を洗浄する。基板には、Si、SiC、サファイアなど、GaNの成長が可能な基板を用いることができる。
次に、図13に示すように、基板111上に、成長マスク層(以下、マスクという)112を形成する。マスクには、酸化シリコン(SiO2)などの半導体コアおよび半導体層に対して選択的にエッチング可能な材料を用いることができる。
次に、図14に示すように、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法を用いて、基板111上に塗布されたレジスト120にパターニングにより穴120aを形成する。
次に、図15に示すように、パターンニングされたレジスト120の穴120aを用いて、マスク112に成長穴112aを形成する。成長穴の形成は、ドライエッチング法が利用できる。
次に、図16に示すように、半導体コア成長用の触媒金属113を成膜する。触媒金属には、Ni、Fe、Auなど、半導体コアの半導体の成長を促進する材料を用いることができる。
次に、図17に示すように、成長穴112a(図15に示す)以外の領域に成膜された触媒金属113の領域およびレジスト120を除去する。ここではリフトオフを用いているが、リソグラフィー法とエッチングを利用してもよい。
この際、成長する半導体コアの径は上記マスクの成長穴のサイズと触媒金属の体積に依存する。
次に、図18に示すように、半導体コア形成工程において、触媒金属113を有するマスク層112の成長穴112a内の基板111上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア114を形成する。成長温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH4)を、さらにキャリアガスとして水素(H2)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNの半導体コアを成長させることができる。ここで、n型GaNは、基板111表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、無極性面または半極性面を多く有する半導体コアが得られる。
次に、図19に示すように、量子井戸層,半導体層形成工程において、棒状の半導体コア114を覆うように基板111全面にp型InGaNからなる量子井戸層115を形成し、さらに基板111全面に半導体層116を形成する。MOCVD装置内で前述のようにn型GaNの半導体コアを成長させた後、発光波長に応じて設定温度を600℃から800℃に変更し、キャリアガスに窒素(N2)、成長ガスにTMGおよびNH3、トリメチルインジウム(TMI)を供給することで、n型GaNの半導体コア114上にInGaN量子井戸層115を形成することができる。その後、さらに設定温度を960℃にし、前述のように、成長ガスとしてTMGおよびNH3を使用し、p型不純物供給用にCp2Mgを用いることによってp型GaNからなる半導体層116を形成することができる。なお、この量子井戸層は、InGaN層とp型GaN層の間に電子ブロック層としてp型AlGaN層を入れてもよい。また、GaNの障壁層とInGaNの量子井戸層を交互に積層した多重量子井戸構造であってもよい。
次に、図20に示すように、触媒金属113(図19に示す)をウェットエッチングにより除去した後、図21に示すように導電膜117を半導体層116の表面に形成する。
次に、図22に示すように異方性ドライエッチング(RIE)により導電膜117のうちの筒状部分117aを除く先端部分117b(図21に示す)と基板側部分117c(図21に示す)を除去する。
次に、図23に示すように、ドライエッチングにより半導体層116と量子井戸層115の半導体コア114を覆う部分を除く領域を除去する。図23では、半導体コア114を量子井戸層115a,半導体層116a,導電膜117aで覆っている。
次に、図24に示すように、マスク112(図23に示す)をウェットエッチングで除去する。マスクが酸化シリコン(SiO2)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずにマスクをエッチングすることができる。
次に、図25に示すように、基板111をドライエッチングによりエッチングする。この場合、CF4やXeF2を用いることにより、容易に半導体コアおよび半導体コアを覆う半導体層部分に影響を与えずに基板111をエッチングすることができる。これにより、半導体コア114直下の基板111に、凸部111aを形成する。
次に、切り離し工程において、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板111を基板平面に沿って振動させることにより、基板111上に立設する半導体コア114の基板111側に近い根元を折り曲げるように、量子井戸層115a,半導体層116a,導電膜117aに覆われた半導体コア114に対して応力が働いて、図26に示すように、導電膜117a、半導体層116a、量子井戸層115aに覆われた半導体コア114が基板111から切り離される。
こうして、基板111から切り離なされた微細な棒状構造発光素子118を製造することができる。この第6実施形態では、棒状構造発光素子118の直径を1.5μm、長さを25μmとしている。なお、この棒状構造発光素子118の断面は、後述する図27C,図27Dに示すように、正三角形状としている。
次に、上記棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子118を絶縁性基板に配列する。この棒状構造発光素子118の配列は、第5実施形態の表示装置の製造方法を用いて行い、図27A〜図34Dに従って以下に説明する。なお、図27A〜図34Dにおいて、図26に示す棒状構造発光素子118と同一の構成部は、同一参照番号を付している。
なお、この棒状構造発光素子118の断面を正三角形状としたが、棒状構造発光素子の断面形状はこれに限らず、断面が六角形,円形または楕円の棒状であってもよいし、断面が他の多角形状の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子の製造方法にこの発明を適用してもよい。
図27Aは図26に示す棒状構造発光素子118を用いた表示装置の製造方法の工程を示す平面図を示し、図27Bは図27AのF27B−F27B線から見た表示装置の断面図、図27Cは図27AのF27C−F27C線から見た表示装置の断面図、図27Dは図27AのF27D−F27D線から見た表示装置の断面図である。
まず、図27A〜図27Dに示すように、独立した電位が夫々与えられる少なくとも2つの電極を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板130上に棒状構造発光素子118を配列した後、洗浄を行う。棒状構造発光素子118を絶縁性基板130上の所定の位置に所定の向き配列する方法は、第5実施形態で詳しく説明しており、ここでは詳しい説明は省略する。
図27Bに示すように、絶縁性基板130の表面に、所定の間隔をあけて金属電極131,132を形成し、その金属電極131,132を覆うように絶縁膜133を形成している。絶縁性基板130はガラス、セラミック、酸化アルミニウム、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。また、金属電極を覆う絶縁膜は無くても良い。
上記金属電極131,132は、印刷技術を利用して所望の電極形状に形成している。なお、金属膜および感光体膜を一様に積層し、所望の電極パターンを露光し、エッチングして形成してもよい。
ここで、棒状構造発光素子118の両端の長さ3μmの部分が、金属電極131,132に夫々重なっている。
なお、図27A〜図27Dでは省略されているが、金属電極131,132には外部から電位を与えられるように、パッドを形成している。図27A〜図27Dでは、棒状構造発光素子を配列する配列領域が1つ配置されているが、任意の個数を配列してよい。
なお、棒状構造発光素子118は、絶縁性基板130上の2つの金属電極131,132を架橋するように配列するが、後述するように、その向きには2通りの任意性がある。図27A〜図27Dに描いた棒状構造発光素子118の向きと、棒状構造発光素子118の左右を入れ替えた向き(この第6実施形態の発光素子118では両者は区別できない)である。第5実施形態の表示装置の製造方法では、その2つの向きを意図して決定できないので、2つの向きがそれぞれ50%の確率で出現する。
次に、図28Aは図27A〜図27Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図を示し、図28Bは図28AのF28B−F28B線から見た表示装置の断面図、図28Cは図28AのF28C−F28C線から見た表示装置の断面図、図28Dは図28AのF28D−F28D線から見た表示装置の断面図である。
図28A〜図28Dに示すように、絶縁性基板130上にレジスト140を塗布した後にリソグラフィー法によりパターニングを行い、棒状構造発光素子118の一端(図28Aにおいて左端)を露出させる。
次に、図29Aは図28A〜図28Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図を示し、図29Bは図29AのF29B−F29B線から見た表示装置の断面図を示し、図29Cは図29AのF29C−F29C線から見た表示装置の断面図、図29Dは図29AのF29D−F29D線から見た表示装置の断面図である。
図29A〜図29Dに示すように、パターニングされたレジスト140を用いて、導電膜117aをウェットエッチングにて除去した後、ドライエッチングにより半導体層116aと量子井戸層115aの一部を除去し、半導体コア114の露出部分114aを得る。このようにして、棒状構造発光素子118の一端の側の半導体コア114を露出させることができる。
前述のように、図27A〜図27Dにおいて、絶縁性基板130上に棒状構造発光素子118を配列する際には、2通りの向きをとることができる。ここで、2通りの向きが生じるのは、図27A〜図27Dにおいて、棒状構造発光素子118の左右が入れ替わった向きを互いに区別したためである。もっとも、棒状構造発光素子118は左右入れ替えても対称なので両者は区別できないが、例えば、第1〜第4実施形態の棒状構造発光素子は、そのような入替えが行なわれえた場合区別可能である。この第6実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、棒状構造発光素子118を絶縁性基板130上に配列(図27)した後に、棒状構造発光素子118の半導体114の外周面の一部を露出させる露出工程(図29)を行なうので、配列時に棒状構造発光素子118がどちらの向きで配列したとしても、絶縁性基板130上に配列した棒状構造発光素子118の所定の側の半導体コア114の外周面の一部を露出させることができる。それ故、棒状構造発光素子118を絶縁性基板130上に配列する際に、その向きを揃えて配列する必要がない。棒状構造発光素子118はアノード電極とカソード電極を有するダイオードであり、その向きを揃えることは重要であり、この第6実施形態によれば、そのような向きを揃える工程が不要となるため、プロセスを簡略化することができる。
次に、図30Aは図29A〜図29Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図を示し、図30Bは図30AのF30B−F30B線から見た表示装置の断面図、図30Cは図30AのF30C−F30C線から見た表示装置の断面図、図30Dは図30AのF30D−F30D線から見た表示装置の断面図である。また、図31Aは図30A〜図30Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図を示し、図31Bは図31AのF31B−F31B線から見た表示装置の断面図、図31Cは図31AのF31C−F31C線から見た表示装置の断面図、図31Dは図31AのF31D−F31D線から見た表示装置の断面図である。
図30A〜図30Dに示すように、絶縁性基板130上にSiO2からなる絶縁膜141を成膜し、その後、図31A〜図31Dに示すように、SiO2からなる絶縁膜141をドライエッチングによりエッチングする。このとき、SiO2からなる絶縁膜141のすべてを除去せず、半導体コア114と絶縁性基板130との間にある量子井戸層115aと半導体層116aが露出せずに絶縁膜141のSiO2に包まれており、かつ半導体コア114の露出領域114aが露出されるようにエッチングする(図31C参照)。
次に、図32Aは図31A〜図31Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図を示し、図32Bは図32AのF32B−F32B線から見た表示装置の断面図、図32Cは図32AのF32C−F32C線から見た表示装置の断面図、図32Dは図32AのF32D−F32D線から見た表示装置の断面図である。
上記エッチングに用いたレジスト140を剥離した後、図32A〜図32Dに示すように、再度レジスト142を塗布した後にリソグラフィー法によりパターニングを行い、棒状構造発光素子118の一端で半導体コア114の露出領域114aを露出させると共に、棒状構造発光素子118の他端で導電膜117aを露出させる。
次に、図33Aは図32A〜図32Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図を示し、図33Bは図33AのF33B−F33B線から見た表示装置の断面図、図33Cは図33AのF33C−F33C線から見た表示装置の断面図、図33Dは図33AのF33D−F33D線から見た表示装置の断面図である。また、図34Aは図33A〜図33Dに続く表示装置の製造方法の工程を示す平面図を示し、図34Bは図34AのF34B−F34B線から見た表示装置の断面図、図34Cは図34AのF34C−F34C線から見た表示装置の断面図、図34Dは図34AのF34D−F34D線から見た表示装置の断面図である。
図33A〜図33Dに示すように、メタルを蒸着法やスパッタリング法によりメタル層143を成膜し、その後、図34A〜図34Dに示すように、リフトオフを行う。
これにより、棒状構造発光素子118は、半導体コア114の露出部分114aに一方の電極143Aを接続し、導電膜117aに他方の電極143Bを接続して、導電膜117aを通じてp型の半導体層116aからn型の半導体コア114に電流を流すことにより、n型の半導体コア114の外周面とp型半導体層116aの内周側とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きて光が放出される。上記半導体層116aで覆われた半導体コア114の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、高い発光効率が得られる。
上記第6実施形態において、半導体層116a上に形成された導電膜117aにITO(錫添加酸化インジウム)を用いることによって、半導体層を透明な導電膜を介して電極に接続するので、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。なお、導電膜は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。
上記構成の棒状構造発光素子の製造方法によれば、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子118を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子118は、基板から切り離された微細構造物として用いるので、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層116aで覆われた半導体コア114の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
また、上記露出工程は、上記切り離し工程より後に行なわれるので、棒状構造発光素子118を基板から切り離すまでの工程が少なく、高歩留まりで棒状構造発光素子118を作成することができる。
また、上記半導体層形成工程において半導体層116の形成を阻害する物質からなるマスク112で、露出させたい箇所である半導体コア114の外周面の一部を覆って半導体層形成工程後にマスク112を除去することにより、半導体コア114の外周面の一部を容易に露出させることができる。ここで、半導体層116の形成を阻害する物質として、酸化シリコン(SiO2)などの半導体コアおよび半導体層に対して選択的にエッチング可能な材料を用いたが、半導体層の形成を阻害する物質はこれに限らず、半導体層の組成などに応じて適宜選択すればよい。
また、上記切り離し工程において、超音波を用いて基板101平面に沿って基板101を振動させることにより、基板101上に立設する半導体コア114の基板111側に近い根元を折り曲げるように、半導体層116aに覆われた半導体コア114に対して応力が働いて、半導体層116aに覆われた半導体コア114が基板111から切り離される。したがって、簡単な方法で基板101上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子118を容易に切り離すことができる。
なお、上記切り離し工程において、切断工具を用いて半導体コア114を基板111から機械的に切り離してもよい。切断工具を用いて、基板111上に立設する半導体コア114の基板111側に近い根元を折り曲げるようにし、半導体層116aに覆われた半導体コア114に対して応力が働いて、半導体層116aに覆われた半導体コア114が基板111から切り離される。この場合、簡単な方法で基板111上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子118を短時間で切り離すことができる。
また、棒状構造発光素子118は、長手方向の中間点を通りかつ長手方向に対して直角な直線に対して両側がほとんど対称な構造であるので、配列をより行いやすい。これにより、より確実に高歩留まりの配列を行うことができる。
また、上記棒状構造発光素子118を配列基板(絶縁性基板130)上に配列した後に、半導体コア114の外周面の一部を露出させる露出工程において、棒状構造発光素子118は長手方向でほとんど対称な構造であり、かつ所望の場所の量子井戸層115a,半導体層116a,導電膜117aを除去して半導体コア114の一端の外周面を露出させることができるので、複数の棒状構造発光素子(発光ダイオード)の極性を揃えて配列する必要がなく、製造時に複数の棒状構造発光素子(発光ダイオード)の極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、棒状構造発光素子(発光ダイオード)の極性(向き)を識別するために、棒状構造発光素子にマークを設ける必要がなく、極性識別のために棒状構造発光素子を特別な形状にする必要がなくなる。よって、棒状構造発光素子の製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。なお、発光ダイオードのサイズが小さな場合や発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、上記製造工程を格段に簡略化できる。
さらに、上記露出工程の後、半導体コア114の露出部分114aをn側電極に接続し、半導体コア114の他端が量子井戸層、半導体層、導電膜に覆われていることにより、導電膜の部分にp側電極を接続することができる。これにより、微細な棒状構造発光素子の両端に電極を容易に接続することが可能となる。
さらに、上記棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子は、半導体層116が半導体コア114の外周面から半径方向外向に結晶成長し、径方向の成長距離が短くかつ欠陥が外向に逃げるため、結晶欠陥の少ない半導体層116により半導体コア114を覆うことができる。したがって、特性の良好な棒状構造発光素子を実現することができる。
上記第1〜第4,第6実施形態では、基板11〜41と半導体コア13〜43,114と半導体層14a,25a,34a,45a,116aに、GaNを母材とする半導体を用いたが、GaAs,AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInPなどを母材とする半導体を用いた発光素子にこの発明を適用してもよい。また、基板と半導体コアをn型とし、半導体層をp型としたが、導電型が逆の棒状構造発光素子の製造方法にこの発明を適用してもよい。また、六角柱形状および三角柱形状の半導体コアを有する棒状構造発光素子の製造方法について説明したが、これに限らず、断面が円形または楕円の棒状であってもよいし、断面が三角形などの他の多角形状の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子の製造方法にこの発明を適用してもよい。
また、上記第1〜第4,第6実施形態では、棒状構造発光素子の直径を1μmまたは1.5μmとし長さを10μm〜30μmのマイクロオーダーサイズとしたが、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子でもよい。上記棒状構造発光素子の半導体コアの直径は500nm以上かつ50μm以下が好ましく、数10nm〜数100nmの棒状構造発光素子に比べて半導体コアの直径のばらつきを抑えることができ、発光面積すなわち発光特性のばらつきを低減でき、歩留まりを向上できる。
また、上記第1〜第4,第6実施形態では、MOCVD装置を用いて半導体コア13,23,33,43,114を結晶成長させたが、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いて半導体コアを形成してもよい。また、上記第1〜第4実施形態では、成長穴を有するマスクを用いて半導体コアを基板上に結晶成長させたが、第6実施形態のように、基板上に金属種を配置して、金属種から半導体コアを結晶成長させてもよい。
また、上記第1〜第4,第6実施形態では、半導体層14a,25a,34a,45a,116aに覆われた半導体コア13〜43,114を、超音波を用いて基板11〜41,111から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に折り曲げて切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
また、上記第1〜第4,第6実施形態において、半導体層14a,25a,34a,45a,116a上にITO(錫添加酸化インジウム)からなる透明電極を形成してもよい。これにより、半導体層を透明電極を介して電極に接続することにより、電極接続部分に電流が集中して偏ることがなく、広い電流経路を形成して、素子全体を発光させることができ、発光効率がさらに向上する。なお、透明電極は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/Niの積層金属膜などを用いてもよい。
また、上記第5,第6実施形態では、絶縁性基板50(130)の表面に形成された2つの金属電極51,52(131,132)に電位差を与えて、金属電極51,52(131,132)間に棒状構造発光素子60(118)を配列させたが、これに限らず、絶縁性基板の表面に形成された2つの電極間に、第3の電極を形成し、3つの電極に独立した電圧を夫々印加して、棒状構造発光素子を電極により規定される位置に配列させてもよい。
また、上記第5,第6実施形態では、棒状構造発光素子を備えた表示装置について説明したが、これに限らず、この発明の棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子をバックライトや照明装置などの他の装置に適用してもよい。
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1〜第6実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
また、この発明の棒状構造発光素子の製造方法は、
基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成する半導体コア形成工程と、
上記半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成する半導体層形成工程と、
上記半導体コアの外周面の一部を露出させる露出工程と、
上記露出工程において露出された露出部分を含む上記半導体コアを、上記基板から切り離す切り離し工程と
を有することを特徴とする。
上記構成によれば、基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成した後、半導体コアの表面を覆うように筒状の第2導電型の半導体層を形成する。ここで、半導体コアの基板と反対側の端面は半導体層に覆われていてもよいし、露出していてもよい。次に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させた後、露出部分を含む半導体コアを、例えば超音波により基板を振動させたり切断工具を用いたりして基板から切り離す。このようにして基板から切り離なされた棒状構造発光素子は、半導体コアの露出部分に一方の電極を接続し、半導体層に他方の電極を接続して、半導体コアの外周面と半導体層の内周面とのpn接合部で電子と正孔の再結合が起きるように電極間に電流を流すことにより、pn接合部から光が放出される。このようにして、装置への実装の自由度が高い微細な棒状構造発光素子を製造できる。ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズや、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子である。また、上記棒状構造発光素子は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力なバックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記露出工程において、上記半導体コアの上記基板側の外周面を露出させると共に、
上記半導体層形成工程において、上記半導体コアの上記基板と反対の側の端面を上記半導体層により覆う。
上記実施形態によれば、上記露出工程において半導体コアの基板側の外周面を露出させると共に、上記半導体層形成工程において半導体コアの基板と反対の側の端面を半導体層により覆うことによって、半導体コアの基板側の露出部分を一方の電極に接続し、半導体コアの基板と反対の側の端面が半導体層に覆われていることにより、半導体コアの基板と反対の側を覆う半導体層の部分に他方の電極を接続することができる。これにより、微細な棒状構造発光素子の両端に電極を容易に接続することが可能となる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記切り離し工程において、超音波を用いて上記半導体層に覆われた上記半導体コアを上記基板から切り離す。
上記実施形態によれば、上記切り離し工程において、超音波を用いて半導体層に覆われた半導体コアを基板から切り離す。例えば、超音波を用いて基板平面に沿って基板を振動させることにより、基板上に立設する半導体コアの基板側に近い根元を折り曲げるように応力が働いて、半導体層に覆われた半導体コアが基板から切り離される。したがって、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を容易に切り離すことができる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記切り離し工程において、切断工具を用いて上記半導体コアを上記基板から機械的に切り離す。
上記実施形態によれば、上記切り離し工程において、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に切り離すことによって、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記半導体コアと上記半導体層は、GaNを母材とする半導体からなり、
上記露出工程においてドライエッチングを用いる。
上記実施形態によれば、上記露出工程においてドライエッチングを用いることによって、GaNを母材とする半導体からなる半導体コアの外周面の一部を容易に露出させることができる。GaNを母材とする半導体は、ウェットエッチングが困難なため、半導体コアと半導体層がGaNを母材とする半導体からなる場合、切り離し工程の前に予めドライエッチングにより半導体コアの外周面の一部を露出させることは、実装が容易な微細な棒状構造発光素子を実現する上で特に有効である。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記露出工程において、上記半導体層の外周面と段差なく連続するように上記半導体コアの外周面を露出させる。
上記実施形態によれば、上記露出工程において、半導体層の外周面と段差なく連続するように半導体コアの外周面を露出させることによって、切り離し後の微細な棒状構造発光素子を、電極が形成された絶縁性基板上に基板平面に対して軸方向が平行になるように実装するとき、半導体層の外周面と半導体コアの外周面の露出部分との間に段差がないので、半導体コアの露出部分と電極とを確実かつ容易に接続することが可能となる。
また、一実施形態の棒状構造発光素子の製造方法では、
上記露出工程において、上記半導体コアの上記半導体層に覆われた領域の外周面と上記半導体コアの露出領域の外周面とが連続している。
上記実施形態によれば、上記露出工程において、半導体コアの半導体層に覆われた領域の外周面と半導体コアの露出領域の外周面とが連続するようにして、半導体コアの露出領域が細くなっているので、上記切り離し工程において半導体コアの露出領域の基板側で折れやすくなり、切り離しが容易になる。
また、この発明の表示装置の製造方法では、
上記のいずれか1つの棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子を備えた表示装置の製造方法であって、
独立した電位が夫々与えられる少なくとも2つの電極を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板を作成する基板作成工程と、
上記絶縁性基板上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの上記棒状構造発光素子を含んだ液体を塗布する塗布工程と、
上記少なくとも2つの電極に上記独立した電圧を夫々印加して、上記棒状構造発光素子を上記少なくとも2つの電極により規定される位置に配列させる配列工程と
を有することを特徴とする。
上記構成によれば、独立した電位が夫々与えられる少なくとも2つの電極を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板を作成し、その絶縁性基板上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの上記棒状構造発光素子を含んだ液体を塗布する。その後、少なくとも上記2つの電極に独立した電圧を夫々印加して、微細な棒状構造発光素子を少なくとも2つの電極により規定される位置に配列させる。これにより、上記棒状構造発光素子を所定の基板上に容易に配列させることができる。
また、上記表示装置の製造方法では、微細な棒状構造発光素子のみを用いることによって、使用する半導体の量を少なくできると共に、薄型化と軽量化が可能な表示装置を製造することができる。また、上記棒状構造発光素子は、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な表示装置を実現することができる。
11〜41…基板
12…マスク
13〜43…半導体コア
14a,25a,34a,45a…半導体層
24a,44a…量子井戸層
50…絶縁性基板
51,52…金属電極
10,20,30,40,60…棒状構造発光素子
100…表示装置
111…基板
112…マスク
113…金属触媒
114…半導体コア
115a…量子井戸層
116a…半導体層
117a…導電膜
130…絶縁性基板
131,132…金属電極
118…棒状構造発光素子

Claims (10)

  1. 基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成する半導体コア形成工程と、
    上記半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成する半導体層形成工程と、
    上記半導体層形成工程において形成された上記筒状の第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアを、上記基板から切り離す切り離し工程と、
    上記半導体層形成工程の後かつ上記切り離し工程の前に、または、上記切り離し工程の後に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる露出工程と
    を有すると共に、
    上記露出工程は、上記切り離し工程により上記基板から切り離された上記第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアが、絶縁性基板上の予め設定された位置に配列された状態で、上記第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアの長手方向の一部分における上記半導体コアの外周面の少なくとも一部を露出させることを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  2. 基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成する半導体コア形成工程と、
    上記半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成する半導体層形成工程と、
    上記半導体層形成工程において形成された上記筒状の第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアを、上記基板から切り離す切り離し工程と、
    上記半導体層形成工程の後かつ上記切り離し工程の前に、または、上記切り離し工程の後に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる露出工程と
    を有すると共に、
    上記半導体層形成工程において、上記第2導電型の半導体層の形成を阻害する物質により上記半導体コアの外周面の一部を覆った状態で、上記半導体コアの表面を覆う筒状の上記第2導電型の半導体層を形成し、
    上記露出工程において、上記第2導電型の半導体層の形成を阻害する物質を除去することにより、上記半導体コアの外周面の一部を露出させることを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  3. 基板上に棒状の第1導電型の半導体コアを形成する半導体コア形成工程と、
    上記半導体コアの表面を覆う筒状の第2導電型の半導体層を形成する半導体層形成工程と、
    上記半導体層形成工程において形成された上記筒状の第2導電型の半導体層を有する上記半導体コアを、上記基板から切り離す切り離し工程と、
    上記半導体層形成工程の後かつ上記切り離し工程の前に、または、上記切り離し工程の後に、上記半導体コアの外周面の一部を露出させる露出工程と
    を有すると共に、
    上記基板は、上記第1導電型の半導体からなり、
    上記露出工程は、上記半導体層形成工程の後かつ上記切り離し工程の前に、上記第2導電型の半導体層のうちの上記半導体コアの表面を覆う部分を除く領域およびその領域に対応する上記基板の上側領域の厚さ方向の一部をエッチングにより除去することによって、上記半導体コアの外周面の一部を露出させることを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の棒状構造発光素子の製造方法において、
    上記露出工程において、上記半導体コアの上記基板側の外周面を露出させると共に、
    上記半導体層形成工程において、上記半導体コアの上記基板と反対の側の端面を上記半導体層により覆うことを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  5. 請求項1からまでのいずれか1つに記載の棒状構造発光素子の製造方法において、
    上記切り離し工程において、超音波を用いて上記半導体層に覆われた上記半導体コアを上記基板から切り離すことを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  6. 請求項1からまでのいずれか1つに記載の棒状構造発光素子の製造方法において、
    上記切り離し工程において、切断工具を用いて上記半導体コアを上記基板から機械的に切り離すことを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  7. 請求項1からまでのいずれか1つに記載の棒状構造発光素子の製造方法において、
    上記半導体コアと上記半導体層は、GaNを母材とする半導体からなり、
    上記露出工程においてドライエッチングを用いることを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  8. 請求項1からまでのいずれか1つに記載の棒状構造発光素子の製造方法において、
    上記露出工程において、上記半導体層の外周面と段差なく連続するように上記半導体コアの外周面を露出させることを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  9. 請求項1からまでのいずれか1つに記載の棒状構造発光素子の製造方法において、
    上記露出工程において、上記半導体コアの上記半導体層に覆われた領域の外周面と上記半導体コアの露出領域の外周面とが連続していることを特徴とする棒状構造発光素子の製造方法。
  10. 請求項1から3までのいずれか1つに記載の棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子を備えた表示装置の製造方法であって、
    独立した電位が夫々与えられる少なくとも2つの電極を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板を作成する基板作成工程と、
    上記絶縁性基板上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの上記棒状構造発光素子を含んだ液体を塗布する塗布工程と、
    上記少なくとも2つの電極に上記独立した電圧を夫々印加して、上記棒状構造発光素子を上記少なくとも2つの電極により規定される位置に配列させる配列工程と
    を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
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